JP2007167021A - 光学活性エステルの製造方法 - Google Patents

光学活性エステルの製造方法 Download PDF

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Hitoshi Kakiya
均 柿谷
Hiroshi Iida
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Abstract

【課題】光学活性カルボン酸エステルを効率的に得るための、加水分解酵素を用いた新規な方法の提供。
【解決手段】ゲオバチラス(Geobacillus)属細菌に由来し、特定な配列で示されるアミノ酸配列を有し、分子量約55,000であるカルボキシルエステラーゼ、または特定な配列で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するカルボキシルエステラーゼにより、ラセミ体のカルボン酸エステルを光学分割し、光学活性カルボン酸エステルを得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、カルボキシルエステラーゼを用いてラセミ体のカルボン酸エステルを光学分割することにより、効率よく光学活性カルボン酸エステルを得る方法を提供するものである。
光学活性なカルボン酸エステルは広くキラルビルディングユニットとして重要な化合物であり、各種医農薬の原料として非常に広い用途がある。これらを製造するには、光学活性な化合物から誘導する、ジアステレオマーに誘導して分別する、別の光学活性な化合物と複合体を形成させて分別する、キラル認識するリガンドを結合させたクロマトグラフィー担体を用いる、などの様々な方法がある。この中でも触媒を用いて片方のエナンチオマーを選択的に加水分解することによって、もう一方のエナンチオマーを得る方法は速度論的光学分割と呼ばれ、リパーゼ(EC3.1.1.3)などの加水分解酵素は工業的な速度論的光学分割プロセスにおいて多く使用されている(例えば特許文献1)。速度論的光学分割においては高いエナンチオ選択性を有する酵素を選択することが必要であるが、高いエナンチオ選択性を有する酵素を用いる場合においても、50%を超える転換率で反応させることによって高い光学純度のカルボン酸エステルを得ることが一般的に行われている。
カルボキシルエステラーゼ(EC3.1.1.1)はリパーゼに類縁の加水分解酵素であり、リパーゼと同様の目的で使用されることがあるが、速度論的光学分割に十分な高いエナンチオ選択性を有することが少なく、また一般に有機溶媒に対する耐性がリパーゼほど高くないため、その利用は限定されている。リパーゼはトリアシルグリセロールを加水分解する酵素として定義されているが、カルボキシルエステラーゼの中にはトリアシルグルセロールの加水分解活性を有するものもあり、両者の違いは厳密なものではない。ただしカルボキシルエステラーゼはC12以上の長鎖アシル基を有するトリアシルグリセロールに対してはほとんど活性を示さないことから、例えばトリオレインに対する活性を調べることによりリパーゼとカルボキシルエステラーゼを区別することもある(例えば非特許文献1)。
エナンチオ選択性の高いカルボキシルエステラーゼとしては例えばPseudomoas fluorescens SIK WI由来酵素があり、この酵素の3−ブロモ−2−メチルプロピオン酸メチルに対するE値は12である(例えば非特許文献2)。さらにこの酵素にアミノ酸置換を導入することによりE値は61にまで上昇することが報告されている(例えば非特許文献3)。しかしながらこの酵素は2−クロロプロピオン酸メチルに対するエナンチオ選択性は低い(E=2.2、例えば非特許文献4)。また同酵素は3−ブロモ−2−メチルプロピオン酸メチルについては(S)体選択的、2−クロロプロピオン酸メチルについては(R)体選択的に作用し、それぞれ逆のエナンチオマーに対する高い選択性を有するカルボキシルエステラーゼは知られていなかった。
実用的な酵素を選択する上では有機溶媒や高い濃度の基質に対する耐性も重要な因子であり、この観点から耐熱性の酵素や好熱性菌由来の酵素が選ばれることがしばしばある。また常温菌由来の酵素に様々なアミノ酸置換を導入して耐熱性や有機溶媒耐性を上げることも試みられている(例えば非特許文献5)。しかしながら耐熱性のカルボキシルエステラーゼを用いてカルボン酸エステルに対するエナンチオ選択性を調べた報告は数少なく(例えば非特許文献6)、また中度好熱菌であるGeobacillus属細菌由来のカルボキシルエステラーゼ(例えば非特許文献7)は光学活性カルボン酸エステルを得る目的では使用されていない。
特開平5−284986号公報 Ruiz,C.ら、FEMS Microbiology Letters、2002、217巻、(263−267頁) Horsman,G.P.ら、Chemistry A European Jounal、2003、9巻、(1933−1939頁) Park,S.ら、Chemistry and Biology、2005、12巻、(45−54頁) Man Fei Liu,A.ら、Tetrahedron Asymmetry、2001、12巻、(545−556頁) Spiller,B.ら、Proceedings of National Academy of Sciences USA、1999、96巻、(12305−12310頁) Somers,N.A.ら、Tetrahedron Asymmetry、2004、15巻、(2991−3004頁) Wood,A.N.P.ら、Enzyme and Microbial Technology、1995、17巻、(816−825頁)
本発明は、光学活性カルボン酸エステルを効率的に得るための、加水分解酵素を用いた新規な方法を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ゲオバチルス(Geobacillus)属の中度好熱性細菌であるゲオバチラス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)DSM22株に由来する分子量約55,000の耐熱性カルボキシルエステラーゼを暗号化する遺伝子(Ewis,H.E.ら、Gene、2004、329巻、(187−195頁))を導入した大腸菌およびそれに由来する細胞内容物がエナンチオ選択的なカルボン酸エステル加水分解活性を持つことを見出し、またこのキラル認識がPseudomoas fluorescens SIK WI由来酵素とは逆であるために、(S)体に富む3−ブロモ−2−メチルプロピオン酸メチルおよび(R)体に富む2−クロロプロピオン酸メチルを得る目的で好適に使用できることを見出し本発明に至った。
すなわち本発明は、
・ゲオバチラス(Geobacillus)属細菌に由来し、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有し、分子量約55,000であるカルボキシルエステラーゼ(以下、Est55と表記する)、または
・配列番号1で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するカルボキシルエステラーゼ
により、ラセミ体のカルボン酸エステルを光学分割することを特徴とする、光学活性カルボン酸エステルの製造方法である。
また本発明は、Est55またはそのアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するカルボキシルエステラーゼを産生しうる遺伝子組換え微生物である。
さらに本発明は、上述の方法により製造されたことを特徴とする、光学活性カルボン酸エステルである。以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明では、Est55またはそのアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するEst55の誘導体により、ラセミ体のカルボン酸エステルの光学分割を行うが、その反応条件については基質の非酵素的な分解が生じない範囲である限り特に制限はなく、Est55またはその誘導体の特性上、比較的広い温度範囲とpH範囲を選択することができる。具体的には温度範囲として5℃から65℃、pH範囲として4から9がより好適に選択される。
反応媒体としては酵素活性を著しく低下させるものでなければ特に制限はないが、基質の溶解度あるいは分散性を向上させるために有機溶媒を緩衝液に添加することが有用であることが多い。例えばDMSOを10から20%濃度含有させることにより好適な結果が得られる。また有機溶媒によっては酵素の基質特異性やキラル選択性に影響を与えることがあるので、適切な有機溶媒を選択することが重要である。
Est55またはその誘導体の利用形態には特に制限はないが、ゲオバチラス(Geobacillus)属細菌には基本特性の異なる複数の耐熱性カルボキシルエステラーゼが共存している(Ewis,H.E.ら、Gene、2004、329巻、(187−195頁))ことから、Est55またはその誘導体を暗号化する遺伝子を組み込んで、その活性を増強させた微生物から得られたものを用いることがより好ましい。Est55またはその誘導体としては上記組換え微生物の菌培養物、培養上清、濃縮菌体、乾燥菌体、菌破砕物、菌破砕物に由来する活性画分、精製酵素など、目的に合致するものであればいずれを用いても良い。
本発明で用いられるEst55の誘導体としては例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列のN末端から100以下のアミノ酸残基が欠失したもの、配列番号1で示されるアミノ酸配列のC末端から80以下のアミノ酸残基が欠失したもの、配列番号1で示されるアミノ酸配列のN末端から30以下のアミノ酸残基が欠失したものに連続する6つのヒスチジン残基を含む人工的な30以下のアミノ酸残基がN末端に付加したもの、配列番号1で示されるアミノ酸配列のC末端から30以下のアミノ酸残基が欠失したものに連続する6つのヒスチジン残基を含む人工的な30以下のアミノ酸残基がC末端に付加したもの、またはこれらの組合せによるものなどが包含される。これらはいずれもEst55の持つ基本的な特性を保持していると期待されるものである。このような誘導体は反応速度、基質特異性、エナンチオ選択性、至適pH、至適温度、耐熱性、溶媒耐性などにおいて野生型酵素とは幾分異なる性質を示すことが予想される。また6つの連続するヒスチジン残基は亜鉛やニッケルなどの金属と配位結合を形成して、群特異的なアフィニティー・クロマトグラフィーを用いた簡便な精製を可能にする。
具体的には、Est55の誘導体として、配列番号1のアミノ酸配列のN末端から107番目のグリシン残基がアラニン残基またはプロリン残基に置換されたもの、配列番号1のアミノ酸配列のN末端から408番目のシステイン残基がアスパラギン酸残基に置換されたもの、または配列番号1のアミノ酸配列のN末端から494番目のアラニン残基のC末端側に配列番号2のアミノ酸配列が連結したもの等が例示される。
本発明において、遺伝子組換え微生物を用いる場合、その微生物宿主には特に制限はないが、培養が容易であり、高密度に生育し、遺伝子操作における宿主−ベクター系が整備されているものがより好ましい。そのようなものとして例えばエシェリヒア(Escherichia)属細菌、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、サーマス(Thermus)属細菌、バチラス(Bacillus)属細菌、ストレプトミセス(Streptomyces)属細菌、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌、アスペルギルス(Aspergillus)属糸状菌、ピキア(Pichia)属酵母、サッカロミセス(Saccharomyces)属酵母、およびシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属酵母等を挙げることができる。これらの中でも特に扱いの簡便さからエシェリヒア(Escherichia)属細菌が好ましい。
本発明により、各種の光学活性エステルが得られるが、例えば(S)体の3−ブロモ−2−メチルプロピオン酸メチルはこれ自体、またこれより誘導される(S)体の3−ブロモ−2−メチル−1−プロパノールは有用なキラルビルディングブロックである。一方、(R)体の2−クロロプロピオン酸メチルはアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害作用を有する除草剤の合成原料として使用される。
各種の光学活性エステル、特に(S)体に富む3−ブロモ−2−メチルプロピオン酸メチルおよび(R)体に富む2−クロロプロピオン酸メチルを効率よく得ることができる。
以下に、発明を更に詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
ゲオバチラス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)DSM22株から常法に従ってDNAを抽出し、これを鋳型にして配列番号3で示されるプライマーEst55F1と配列番号4で示されるプライマーEst55R1の組み合わせによるポリメラーゼ連鎖反応(以下PCRという)を行った。その結果1.6kbpの特異的な増幅産物が得られた。これを制限酵素SacIとXbaIで処理し、同じくSacIとXbaIで処理して開環させたプラスミドベクターpTrc99A(Amersham Biosience社製)とDNAリガーゼを用いて連結させた。これを大腸菌JM109に導入することによって組換え大腸菌JM109/pEst55.1を得た。この組換え大腸菌JM109/pEst55.1から抽出・精製することにより、図1に記載のプラスミドpEst55.1を得た。
実施例2
Est55の誘導体を作製するための中間材料であるプラスミドpEst1を以下の手順で作製した。
まず実施例1で得た組換えプラスミドpEst55.1を制限酵素NcoIとXhoIで処理し、4.4kbpのDNA断片をアガロースゲル電気泳動により精製した。次にpEst55.1を鋳型にして配列番号5で示されるプライマーTrc99A238Fと配列番号6で示されるプライマーEst55R01の組み合わせによるPCRを行った。その結果0.5kbpの特異的な増幅産物が得られた。これを制限酵素NcoIとXhoIで処理し、上記4.4kbのDNAとDNAリガーゼを用いて連結させた。これを大腸菌JM109に導入することによって組換え大腸菌JM109/pEst1を得た。この組換え大腸菌JM109/pEst1から抽出・精製することにより、プラスミドpEst1を得た。
実施例3
Est55のN末端から408番目に位置するシステイン残基をアスパラギン酸残基に置換した配列を有するpEst0120を以下の手順で作製した。
まず実施例2で得た組換えプラスミドpEst1を制限酵素PmaCIとXhoIで処理し、4.9kbpのDNA断片をアガロースゲル電気泳動により精製した。次にpEst55.1を鋳型にして配列番号7で示されるプライマーEst55F01と配列番号8で示されるプライマーEst55R20の組み合わせによるPCRを行った。その結果0.9kbpの特異的な増幅産物が得られた。これを制限酵素SmaIとXhoIで処理し、実施例2で得た4.4kbのDNAとDNAリガーゼを用いて連結させた。これを大腸菌JM109に導入することによって組換え大腸菌JM109/pEst0120を得た。この組換え大腸菌JM109/pEst0120から抽出・精製することにより、プラスミドpEst0120を得た。
実施例4
Est55のN末端から107番目に位置するグリシン残基をアラニン残基に置換した配列を有するpEst4000を以下の手順で作製した。
pEst55.1を鋳型にして配列番号9で示されるプライマーEst55F40と配列番号10で示されるプライマーEst55R03の組み合わせによるPCRを行った。その結果0.9kbpの特異的な増幅産物が得られた。これを制限酵素FspIとXhoIで処理し、実施例2で得た4.4kbのDNAとDNAリガーゼを用いて連結させた。これを大腸菌JM109に導入することによって組換え大腸菌JM109/pEst4000を得た。この組換え大腸菌JM109/pEst4000から抽出・精製することにより、プラスミドpEst4000を得た。
実施例5
Est55のN末端から107番目に位置するグリシン残基をプロリン残基に置換した配列を有するpEst4700を以下の手順で作製した。
pEst55.1を鋳型にして配列番号11で示されるプライマーEst55F47と配列番号10で示されるプライマーEst55R03の組み合わせによるPCRを行った。その結果0.9kbpの特異的な増幅産物が得られた。これを制限酵素StuIとXhoIで処理し、実施例2で得た4.4kbのDNAとDNAリガーゼを用いて連結させた。これを大腸菌JM109に導入することによって組換え大腸菌JM109/pEst4700を得た。この組換え大腸菌JM109/pEst4700から抽出・精製することにより、プラスミドpEst4700を得た。
実施例6
Est55のN末端から494番目のアラニン残基のC末端側に配列番号2のアミノ酸配列が連結されたpEst55XHを以下の手順で作製した。
まず実施例1で得た組換えプラスミドpEst55.1を制限酵素NcoIとXbaIで処理し、4.4kbpのDNA断片をアガロースゲル電気泳動により精製した(DNA−1)。次にpEst55.1を鋳型にして配列番号5で示されるプライマーTrc99A238Fと配列番号12で示されるプライマーEst55R02の組み合わせによるPCRを行った。その結果1.6kbpの特異的な増幅産物が得られ、これを制限酵素MfeIとSpeIで処理した(DNA−2)。また配列番号13で示される化学合成オリゴヌクレオチドXaH6Fと配列番号14で示される化学合成オリゴヌクレオチドXaH6R2を等量混合してアニーリングにより2本鎖を形成させた(DNA−3)。これらDNA−1、DNA−2、DNA−3の3種類のDNA断片を混合してDNAリガーゼにより連結させた。これを大腸菌JM109に導入することによって組換え大腸菌JM109/pEst55XHを得た。この組換え大腸菌JM109/pEst55XHから抽出・精製することにより、プラスミドpEst55XHを得た。
実施例7
実施例1、3、4、5で得られたプラスミドをエレクトロポレーション法により大腸菌BL21(DE3)に導入し、BL21(DE3)/pEst55.1、BL21(DE3)/pEst0120、BL21(DE3)/pEst4000、BL21(DE3)/pEst4700を得た。これら4種の組換え大腸菌をそれぞれ200mlの2xYT培地(組成:1L中に16g Bactotrypton、10g Yeast extract、5g NaCl、5ml 1N NaOHを含む)中で37℃、16時間振とう培養した。この培養物を8,000rpm、20分間の遠心にかけて菌体のペレットを得た。菌体ペレットは50mM Tris−HCl、5mM EDTA(pH7.0)の組成よりなる緩衝液(以下緩衝液Aという)60mlに懸濁した後、8,000rpm、20分間の遠心にかけて再度菌体のペレットを得た。この懸濁と遠心の操作をもう一度繰り返した後、菌体ペレットを25mlの緩衝液Aに懸濁し、Kubota Insonator 201M(久保田製作所製)を用いて15分間、3回の超音波処理を施すことにより、菌体を破砕した。
この破砕物を12,000rpm、20分間の遠心にかけて上清を回収し、これを60℃の湯浴に20分間浸した。次に回収した上清の1/15容量の60mg/mlプロタミン硫酸を添加し、30分間4℃で静置した。これを12,000rpm、20分間の遠心にかけて上清を回収した。
上記操作によって回収した上清の7/3容量の飽和硫安水溶液を添加した後、4℃で一晩静置した。これを8,000rpm、20分間の遠心にかけ、沈殿物を回収し、2.5mlの緩衝液Aを用いて沈殿を溶解させた。この溶液を2Lの緩衝液Aに対して透析することにより硫安を除去し、それぞれの粗酵素、即ちEst55、Est0120、Est4000、Est4700の粗酵素約5mlを得た。
実施例8
実施例7によって得られたEst55(野生型(WT))とEst0120の粗酵素を用いて3−ブロモ−2−メチルプロピオン酸メチル(以下MBMPと表記する)および2−クロロプロピオン酸メチル(以下M2CPと表記する)を基質とした加水分解反応を行った。
反応液組成は0.1M リン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)、20% DMSO、1% エステル基質とし、粗酵素をMBMPに対しては0.2ml、M2CPに対しては0.01ml添加して、全量を8mlに調整し25℃で反応させた。適当な反応時間後に0.4mlをサンプリングし、これを1.5mM n−オクタンを含有する0.8mlの酢酸エチルで抽出し、ガスクロマトグラフィーで分析した。定量分析にはHP−5カラム(Hewlett−Packard社製)を装着したHP5890(Hewlett−Packard社製)を用い、40℃から200℃までの直線温度勾配(20℃/分)をかけて成分を分離させた。光学純度(エナンチオ過剰率、ee)を測定するためにはG−TAカラム(Astec社製)を装着したGC−14(島津製作所社製)を用い、カラム温度を90℃に保って分析した。
光学純度(エナンチオ過剰率、ee)とエナンチオ選択性(E)は以下の式に従って算出した。その結果表1に示すようにEst55(野生型(WT))あるいはEst0120を用いることで光学純度99%以上の(S)体に富むMBMPを得ることができた。一方両酵素はM2CPに対する活性は高いもののエナンチオ選択性は相対的に低かった。
Figure 2007167021
Figure 2007167021
Figure 2007167021
Figure 2007167021
Figure 2007167021
実施例9
実施例8に示したと同様の方法を用い、Est55(野生型(WT))、Est0120、Est4000、Est4700の粗酵素を用いてM2CPを基質とした加水分解反応を行った。また反応液全量を6mlとし、WT、Est0120については0.01ml、Est4000、Est4700については0.05ml用いて反応を行った。
その結果表2に示すようにEst4000、Est4700はWT、Est0120に比べて活性は低いもののエナンチオ選択性が高く、光学純度97%以上の(R)体に富むM2CPを得ることができた。
Figure 2007167021
実施例10
実施例8に示したと同様の方法を用い、Est55(野生型(WT))とEst0120の粗酵素を用いてMBMPとM2CPを基質とした加水分解反応を10℃で行った。反応液全量は6mlとし、粗酵素はMBMPに対して0.1ml、M2CPに対して0.01ml用いた。
その結果表3に示すようにWTとEst0120の両者においてMBMPに対するエナンチオ選択性が25℃での反応(表1)に比べて上昇し、一方M2CPに対するエナンチオ選択性には大きな変化が見られなかった。
Figure 2007167021
実施例1で得られたプラスミドpEst55.1の制限酵素地図である。

Claims (11)

  1. ゲオバチラス(Geobacillus)属細菌に由来し配列番号1で示されるアミノ酸配列を有し分子量約55,000であるカルボキシルエステラーゼ、または、配列番号1で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するカルボキシルエステラーゼにより、ラセミ体のカルボン酸エステルを光学分割することを特徴とする、光学活性カルボン酸エステルの製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、カルボキシルエステラーゼが遺伝子組換え微生物から得られたものであることを特徴とする方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法において、カルボキシルエステラーゼが、配列番号1で示されるアミノ酸配列のN末端から100以下のアミノ酸残基が欠失したもの、配列番号1で示されるアミノ酸配列のC末端から80以下のアミノ酸残基が欠失したもの、配列番号1で示されるアミノ酸配列のN末端から30以下のアミノ酸残基が欠失したものに連続する6つのヒスチジン残基を含む人工的な30以下のアミノ酸残基がN末端に付加したもの、配列番号1で示されるアミノ酸配列のC末端から30以下のアミノ酸残基が欠失したものに連続する6つのヒスチジン残基を含む人工的な30以下のアミノ酸残基がC末端に付加したもの、またはこれらの組合せであることを特徴とする方法。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の方法において、カルボキシルエステラーゼが、配列番号1のアミノ酸配列のN末端から107番目のグリシン残基がアラニン残基またはプロリン残基に置換されたものであることを特徴とする方法。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の方法において、カルボキシルエステラーゼが、配列番号1のアミノ酸配列のN末端から408番目のシステイン残基がアスパラギン酸残基に置換されたものであることを特徴とする方法。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載の方法において、カルボキシルエステラーゼが、配列番号1のアミノ酸配列のN末端から494番目のアラニン残基のC末端側に配列番号2のアミノ酸配列が連結したものであることを特徴とする方法。
  7. 請求項2〜6いずれかに記載の方法において、遺伝子組換え微生物が、エシェリヒア(Escherichia)属細菌、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、サーマス(Thermus)属細菌、バチラス(Bacillus)属細菌、ストレプトミセス(Streptomyces)属細菌、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌、アスペルギルス(Aspergillus)属糸状菌、ピキア(Pichia)属酵母、サッカロミセス(Saccharomyces)属酵母、およびシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属酵母よりなる群から選ばれるものであることを特徴とする方法。
  8. ・ゲオバチラス(Geobacillus)属細菌に由来し、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有し、分子量約55,000であるカルボキシルエステラーゼ、または
    ・配列番号1で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するカルボキシルエステラーゼを産生しうる遺伝子組換え微生物。
  9. 請求項1から7のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする、光学活性カルボン酸エステル。
  10. 請求項9に記載の光学活性カルボン酸エステルにおいて、(S)体に富む光学活性な3−ブロモ−2−メチルプロピオン酸メチル。
  11. 請求項9に記載の光学活性カルボン酸エステルにおいて、(R)体に富む光学活性な2−クロロプロピオン酸メチル。
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