JP2007163610A - 多層膜ミラー、多層膜ミラーを備えた光学系 - Google Patents
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Abstract
【課題】極端紫外(EUV)光の照射によって生じる表面の酸化や汚染を低減することができ、反射率劣化を抑制することが可能となる多層膜ミラー、多層膜ミラーを備えた光学系を提供する。
【解決手段】EUV多層膜ミラーを、X線領域における、真空の屈折率との差が相対的に大きい屈折率を有する材料からなる低屈折率層と、相対的に小さい屈折率を有する材料からなる高屈折率層とを交互に積層した多層膜により構成する。その際、EUV多層膜ミラーにおける少なくとも最表面の膜4を、バイアスを印加された膜によって構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】EUV多層膜ミラーを、X線領域における、真空の屈折率との差が相対的に大きい屈折率を有する材料からなる低屈折率層と、相対的に小さい屈折率を有する材料からなる高屈折率層とを交互に積層した多層膜により構成する。その際、EUV多層膜ミラーにおける少なくとも最表面の膜4を、バイアスを印加された膜によって構成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、多層膜ミラー、多層膜ミラーを備えた光学系に関し、特に多層膜ミラーに極端紫外(EUV)光を照射した際に生じる最表面での表面汚染を防止する多層膜ミラー、多層膜ミラーを備えた光学系に関するものである。
近年、半導体集積回路素子の微細化の進展に伴い、従来の紫外線に代えてこれより短い軟X線(11〜14nm)を使用したリソグラフィーであるEUVリソグラフィー(EUVLとも呼ばれる)技術が開発されている。
この技術は、従来の波長190nmや157nmの光線を用いた光リソグラフィーでは実現不可能な、70nm以下の解像力を得られる技術として期待されている。
この技術は、従来の波長190nmや157nmの光線を用いた光リソグラフィーでは実現不可能な、70nm以下の解像力を得られる技術として期待されている。
極端紫外(EUV)光を反射するEUV多層膜ミラーは、空気による吸収を防ぐために真空中で使用されるのが一般的である。
このような光学素子として、つぎのような構成の多層膜ミラーが一般的に用いられている。
その際、13.4nmの使用波長で吸収の少ない軽元素で、X線領域での屈折率と真空の屈折率との差が相対的に小さい高屈折率材料であるシリコン(Si)と、重元素で前記差が大きい低屈折率材料であるモリブデン(Mo)が膜材料として用いられる。
そして、これらによる層を交互に所定の膜厚で繰り返し積層し、あるいは、MoとSiの界面の相互拡散や相互反応を防止するB4C膜等の中間層を挟んだ膜構成のものが用いられている。
このような光学素子として、つぎのような構成の多層膜ミラーが一般的に用いられている。
その際、13.4nmの使用波長で吸収の少ない軽元素で、X線領域での屈折率と真空の屈折率との差が相対的に小さい高屈折率材料であるシリコン(Si)と、重元素で前記差が大きい低屈折率材料であるモリブデン(Mo)が膜材料として用いられる。
そして、これらによる層を交互に所定の膜厚で繰り返し積層し、あるいは、MoとSiの界面の相互拡散や相互反応を防止するB4C膜等の中間層を挟んだ膜構成のものが用いられている。
ところで、このような構成の多層膜ミラーは、共に最表面がシリコンで終わる多層構造の光学素子であった。
しかしながら、前記光学素子を真空雰囲気内に組み込み極端紫外(EUV)光を長時間照射するEUV露光装置等においては、つぎのような問題を有していた。すなわち、光学素子の最表面のSiが有機物のレジストや真空内部品等からの残留ガスによる反応で酸化されたり、ハイドロカーボン膜が付着したりする等の汚染が発生し、徐々に反射率が低下する等の問題を有していた。
しかしながら、前記光学素子を真空雰囲気内に組み込み極端紫外(EUV)光を長時間照射するEUV露光装置等においては、つぎのような問題を有していた。すなわち、光学素子の最表面のSiが有機物のレジストや真空内部品等からの残留ガスによる反応で酸化されたり、ハイドロカーボン膜が付着したりする等の汚染が発生し、徐々に反射率が低下する等の問題を有していた。
従来において、これらの問題を解決するために、主につぎの1)〜3)の提案がなされている。
1)最表面の膜材料、膜構成、照射環境雰囲気で汚染を防止する提案。
2)多層膜ミラーの膜設計で汚染を防止する提案。
3)多層膜光学素子を後処理にて耐環境性を向上する提案。
1)最表面の膜材料、膜構成、照射環境雰囲気で汚染を防止する提案。
2)多層膜ミラーの膜設計で汚染を防止する提案。
3)多層膜光学素子を後処理にて耐環境性を向上する提案。
上記1)の提案に関しては、例えば特許文献1では、EUV多層膜ミラーにおける光学素子膜の化学・物理侵害に対して、耐性を得るためにキャッピング層を設けた提案がなされている。
また、例えば特許文献2等では、EUV多層膜ミラーの最表面のオーバーコート層が下層のB4Cと上層のRuの2層構成とすることが提案されている。
更に、これらにおいては前記のオーバーコート構成で照射環境雰囲気に水(H2O)を導入する等の提案がなされている。
また、例えば特許文献3では、多層膜ミラーにおける光学素子膜のキャッピング層に光触媒材料を形成して汚染を洗浄する等の提案がなされている。
また、例えば特許文献2等では、EUV多層膜ミラーの最表面のオーバーコート層が下層のB4Cと上層のRuの2層構成とすることが提案されている。
更に、これらにおいては前記のオーバーコート構成で照射環境雰囲気に水(H2O)を導入する等の提案がなされている。
また、例えば特許文献3では、多層膜ミラーにおける光学素子膜のキャッピング層に光触媒材料を形成して汚染を洗浄する等の提案がなされている。
上記2)の提案に関しては、例えば特許文献4等では、光学素子表面に堆積する汚染は空気又は真空と多層膜ミラー界面近傍の2次電子に起因し、その汚染を抑制する提案がなされている。
そのために、ここでは多層膜ミラー表面の電界強度が定在波の節に位置する様に設計される。
更に、これらにおいては電界強度の定在波の節となるオーバーコート層の厚さを2〜3nmとする等が提案されている。
そのために、ここでは多層膜ミラー表面の電界強度が定在波の節に位置する様に設計される。
更に、これらにおいては電界強度の定在波の節となるオーバーコート層の厚さを2〜3nmとする等が提案されている。
上記3)の提案に関しては、例えば特許文献5では、蒸着により形成した多層膜ミラーの上にRu、Al2O3、SiC、Tin、TiO2材料を蒸着もしくはイオンビームにより形成させる。その後、更にイオンビームを用いて後処理を行い、環境耐久性を向上させる等の提案がなされている。
特開2001−59901号公報
米国特許出願公開第2003/0008148号明細書
特開2003−227898号公報
米国特許出願公開第2003/0064161号明細書
欧州特許第1150139号明細書
ところで、上記1)の最表面の膜材料、膜構成、照射環境雰囲気で汚染を防止する提案や、上記2)の多層膜ミラーの膜設計で汚染を防止する提案及び3)の多層膜光学素子を後処理にて耐環境性を向上する提案では、つぎのような問題を有していた。
すなわち、これらの従来例のものにおいては、短期的な極端紫外(EUV)光には有効であるが、長期的に極端紫外(EUV)光を照射すると最表面に汚染物質が付着する。
しかしながら、このような汚染物質が、極わずかでも最表面に付着すると、キャッピング層の環境耐久性が低下することとなる。
すなわち、これらの従来例のものにおいては、短期的な極端紫外(EUV)光には有効であるが、長期的に極端紫外(EUV)光を照射すると最表面に汚染物質が付着する。
しかしながら、このような汚染物質が、極わずかでも最表面に付着すると、キャッピング層の環境耐久性が低下することとなる。
本発明は、上記課題に鑑み、極端紫外(EUV)光の照射によって生じる表面の酸化や汚染を低減することができ、反射率劣化を抑制することが可能となる多層膜ミラー、多層膜ミラーを備えた光学系を提供することを目的とするものである。
本発明は上記課題を解決するため、つぎのように構成した多層膜ミラー、多層膜ミラーを備えた光学系を提供するものである。
本発明は、多層膜ミラーをつぎのように構成したことを特徴としている。
本発明の多層膜ミラーは、X線領域における、真空の屈折率との差が相対的に大きい屈折率を有する材料からなる低屈折率層と、相対的に小さい屈折率を有する材料からなる高屈折率層とを交互に積層した多層膜により構成される。
本発明は、このような構成の多層膜ミラーおいて、前記多層膜における少なくとも最表面の膜が、バイアスを印加された膜によって構成されていることを特徴としている。
また、本発明の多層膜ミラーは、前記バイアスを印加された膜が、正のバイアスを印加された膜であることを特徴としている。
また、本発明の多層膜ミラーは、前記最表面の膜が、導電性で、且つ耐酸化性のある金属または化合物材料で構成されていることを特徴としている。
また、本発明の多層膜ミラーは、前記最表面の膜の材料が、ルテニウム(Ru)、ジルコニウム(Zr)、イリジウム(Ir)、炭素(C)、白金(Pt)、金(Au)のいずれかであることを特徴としている。
あるいは、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、硼化ジルコン(ZrB2)、硼化ロジウム(RhB)のいずれかであることを特徴としている。
また、本発明の多層膜ミラーは、前記高屈折率層が、Siで構成されていることを特徴としている。
また、本発明の多層膜ミラーは、前記低屈折率層が、Moで構成されていることを特徴としている。
また、本発明の光学系は、上記したいずれかに記載の多層膜ミラーを備えたことを特徴としている。
本発明は、多層膜ミラーをつぎのように構成したことを特徴としている。
本発明の多層膜ミラーは、X線領域における、真空の屈折率との差が相対的に大きい屈折率を有する材料からなる低屈折率層と、相対的に小さい屈折率を有する材料からなる高屈折率層とを交互に積層した多層膜により構成される。
本発明は、このような構成の多層膜ミラーおいて、前記多層膜における少なくとも最表面の膜が、バイアスを印加された膜によって構成されていることを特徴としている。
また、本発明の多層膜ミラーは、前記バイアスを印加された膜が、正のバイアスを印加された膜であることを特徴としている。
また、本発明の多層膜ミラーは、前記最表面の膜が、導電性で、且つ耐酸化性のある金属または化合物材料で構成されていることを特徴としている。
また、本発明の多層膜ミラーは、前記最表面の膜の材料が、ルテニウム(Ru)、ジルコニウム(Zr)、イリジウム(Ir)、炭素(C)、白金(Pt)、金(Au)のいずれかであることを特徴としている。
あるいは、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、硼化ジルコン(ZrB2)、硼化ロジウム(RhB)のいずれかであることを特徴としている。
また、本発明の多層膜ミラーは、前記高屈折率層が、Siで構成されていることを特徴としている。
また、本発明の多層膜ミラーは、前記低屈折率層が、Moで構成されていることを特徴としている。
また、本発明の光学系は、上記したいずれかに記載の多層膜ミラーを備えたことを特徴としている。
本発明によれば、極端紫外(EUV)光の照射によって生じる表面の酸化や汚染を低減することができ、反射率劣化を抑制することが可能となる。
上記構成により、極端紫外(EUV)光の照射によって生じる表面の酸化や汚染を低減することができ、反射率劣化を抑制することが可能となるが、それは本発明者らの鋭意研究した結果によるつぎのような知見に基づくものである。
極端紫外(EUV)光を長期的に照射した際に、極わずかでも最表面に汚染が付着すると、反射率の低下が生じる。
本発明者らは、このような反射率の低下を低減するため、鋭意研究した結果、つぎのようにすることで、最表面の汚染が低減され、反射率劣化の抑制されたEUV多層膜ミラーを得ることが可能となることを見出した。
すなわち、EUV多層膜ミラーの少なくとも最表面の材料を、金属又は金属化合物材料で形成し、電気的に導電性を有する構造にして、更に正のバイアスを印加することで、EUV多層膜ミラーの表面の汚染を防止できるという知見を得た。
極端紫外(EUV)光を長期的に照射した際に、極わずかでも最表面に汚染が付着すると、反射率の低下が生じる。
本発明者らは、このような反射率の低下を低減するため、鋭意研究した結果、つぎのようにすることで、最表面の汚染が低減され、反射率劣化の抑制されたEUV多層膜ミラーを得ることが可能となることを見出した。
すなわち、EUV多層膜ミラーの少なくとも最表面の材料を、金属又は金属化合物材料で形成し、電気的に導電性を有する構造にして、更に正のバイアスを印加することで、EUV多層膜ミラーの表面の汚染を防止できるという知見を得た。
以下に、これらについて説明する。
EUV多層膜ミラーに極端紫外(EUV)光を照射した時の汚染メカニズムは、下記の様に考えられる。
極端紫外(EUV)光、例えば、次世代のX線露光装置に使用されるEUV光は、波長が、13.4nmと短く、この光りのエネルギーは約100eVの高エネルギーを有する。
高エネルギーを有する光がEUV多層膜ミラーに照射されると、主に多層ミラー最表面の膜材料から光電子が放出する。
放出した光電子は、例えば、EUV露光装置においては、真空内に有機物のレジストや、真空内部品等からの放出された水分や、ハイドロカーボン等のガスと衝突し、放出ガスは分解や活性化する。
水分が分解や活性化した場合、多層膜ミラー最表面の膜材料と酸化反応が進み酸化物が形成される。
また、ハイドロカーボンが分解や活性化した場合、多層膜ミラー最表面にカーボンが形成されと考えられる。
EUV多層膜ミラーに極端紫外(EUV)光を照射した時の汚染メカニズムは、下記の様に考えられる。
極端紫外(EUV)光、例えば、次世代のX線露光装置に使用されるEUV光は、波長が、13.4nmと短く、この光りのエネルギーは約100eVの高エネルギーを有する。
高エネルギーを有する光がEUV多層膜ミラーに照射されると、主に多層ミラー最表面の膜材料から光電子が放出する。
放出した光電子は、例えば、EUV露光装置においては、真空内に有機物のレジストや、真空内部品等からの放出された水分や、ハイドロカーボン等のガスと衝突し、放出ガスは分解や活性化する。
水分が分解や活性化した場合、多層膜ミラー最表面の膜材料と酸化反応が進み酸化物が形成される。
また、ハイドロカーボンが分解や活性化した場合、多層膜ミラー最表面にカーボンが形成されと考えられる。
以上の検討を踏まえ、本発明者らは、鋭意研究した結果、つぎのようにすることで、EUV多層膜ミラーの表面汚染を抑制することができることを見出した。すなわち、EUV多層膜ミラーの少なくとも最表面の材料を、金属又は金属化合物材料で形成し、電気的に導電性を有する構造にして、更に正のバイアスを印加することで、EUV多層膜ミラーの表面汚染を防止できるという知見を得た。
これは、高エネルギー光を照射した時に放出する光電子を捕獲することで、これらの光電子と、水分やハイドロカーボン等のガスとの衝突を抑制することができ、これによりEUV多層膜ミラーの表面汚染を防止することを可能とするものである。
これは、高エネルギー光を照射した時に放出する光電子を捕獲することで、これらの光電子と、水分やハイドロカーボン等のガスとの衝突を抑制することができ、これによりEUV多層膜ミラーの表面汚染を防止することを可能とするものである。
また、EUV多層膜ミラーの使用環境は、真空雰囲気内で一般的に使用されるが、多層膜ミラー成膜後やシステムに組み込む時の調整時等に大気と接触するので、最表面の金属又は金属化合物材料は、つぎのような材料が好ましい。
すなわち、耐酸化の有する材料で、且つ、使用波長帯で吸収の少ない金属又は金属化合物材料が好ましい。
具体的なEUV多層膜ミラー光学素子の最表面の材料としては、ルテニウム(Ru)、ジルコニウム(Zr)、イリジウム(Ir)、炭素(C)、白金(Pt)、金(Au)のいずれかの材料を用いることができる。
あるいは、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、硼化ジルコン(ZrB2)、硼化ロジウム(RhB)のいずれかの材料を用いることができる。
すなわち、耐酸化の有する材料で、且つ、使用波長帯で吸収の少ない金属又は金属化合物材料が好ましい。
具体的なEUV多層膜ミラー光学素子の最表面の材料としては、ルテニウム(Ru)、ジルコニウム(Zr)、イリジウム(Ir)、炭素(C)、白金(Pt)、金(Au)のいずれかの材料を用いることができる。
あるいは、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、硼化ジルコン(ZrB2)、硼化ロジウム(RhB)のいずれかの材料を用いることができる。
以上の本発明の実施の形態の構成によれば、極端紫外(EUV)光、例えば、次世代のX線露光装置に使用される13.4nmのEUV光を長期間照射しても、EUV多層膜ミラーの最表面の汚染が低減される。
それにより、反射率劣化の抑制されたEUV多層膜ミラーを得ることが可能となる。
それにより、反射率劣化の抑制されたEUV多層膜ミラーを得ることが可能となる。
つぎに、本発明の実施の形態を、図に基づいて説明する。
図1に、本実施の形態における軟X線光を反射するEUV多層膜ミラーの断面図を示す。
図1において、1はミラー基板、2はシリコン(Si)、3はモリブデン(Mo)、4はバイアス電極層(Ru)、5は鏡筒チャンバー、6は調整保持機構、7は導入端子、8はバイアス電源である。
ただし、簡略化するため実際の多層膜の積層数より少なく記載している。
さらに、露光機などで用いられる多層膜ミラー形状は一般に曲率を有しているが、本実施の形態では便宜上、平面形状を用いて説明する。
図1に示す実施形態のEUV多層膜ミラーの断面は、表面が平滑な金属又は誘電体によるミラー基板1に、つぎのような多層膜が形成されている。
この多層膜は、X線領域での光に対し吸収が小さく、且つX線領域での屈折率と真空の屈折率との差が相対的に大きい材料からなる低屈折率層と、屈折率の差が相対的に小さい材料からなる高屈折率層とが交互に積層することで形成されている。
具体的には、図1に示されるように、ミラー基板1に第1層(高屈折率層)2と、第2層(低屈折率層)3を、マグネトロンスパッタ装置(図示せず)を用い繰り返し積層成膜してなる多層膜が形成されている。
そして、最表面には、X線領域での光に対し吸収が小さく、且つ導電性及び耐酸化性を有するバイアス電極層4が成膜されている。
なお、ここでバイアス電極層4を形成する方法としては、スパッタリング・蒸着など、いずれの方法を用いてもよい。
図1に、本実施の形態における軟X線光を反射するEUV多層膜ミラーの断面図を示す。
図1において、1はミラー基板、2はシリコン(Si)、3はモリブデン(Mo)、4はバイアス電極層(Ru)、5は鏡筒チャンバー、6は調整保持機構、7は導入端子、8はバイアス電源である。
ただし、簡略化するため実際の多層膜の積層数より少なく記載している。
さらに、露光機などで用いられる多層膜ミラー形状は一般に曲率を有しているが、本実施の形態では便宜上、平面形状を用いて説明する。
図1に示す実施形態のEUV多層膜ミラーの断面は、表面が平滑な金属又は誘電体によるミラー基板1に、つぎのような多層膜が形成されている。
この多層膜は、X線領域での光に対し吸収が小さく、且つX線領域での屈折率と真空の屈折率との差が相対的に大きい材料からなる低屈折率層と、屈折率の差が相対的に小さい材料からなる高屈折率層とが交互に積層することで形成されている。
具体的には、図1に示されるように、ミラー基板1に第1層(高屈折率層)2と、第2層(低屈折率層)3を、マグネトロンスパッタ装置(図示せず)を用い繰り返し積層成膜してなる多層膜が形成されている。
そして、最表面には、X線領域での光に対し吸収が小さく、且つ導電性及び耐酸化性を有するバイアス電極層4が成膜されている。
なお、ここでバイアス電極層4を形成する方法としては、スパッタリング・蒸着など、いずれの方法を用いてもよい。
次世代のX線露光装置に使用される13.4nmのEUVの場合では、例えば、つぎのような構成のEUV多層膜ミラーを適用することができる。
例えば、前記高屈折率層の材料としてシリコン(Si)、前記低屈折率層の材料としてモリブデン(Mo)を用い、これらを交互に繰り返し積層し、最表面にバイアス電極層としてルテニウム(Ru)を形成した構成のEUV多層膜ミラーを適用することができる。
例えば、前記高屈折率層の材料としてシリコン(Si)、前記低屈折率層の材料としてモリブデン(Mo)を用い、これらを交互に繰り返し積層し、最表面にバイアス電極層としてルテニウム(Ru)を形成した構成のEUV多層膜ミラーを適用することができる。
このような構成のEUV多層膜ミラーを、鏡筒チャンバー5内に配置するに際し、前記ミラー基板1が金属で形成されている場合には、図1に示すように電気的な絶縁機能を有する調整保持機構6を介して固定する。
ここで、EUV多層膜ミラーのバイアス電極層(Ru)4には、バイアス電源8から大気と真空を封止する機能と電極機能を有する導入端子7を介して、正のバイアスを印加する。
これにより、多層ミラー最表面の膜材料から放出する光電子と、水分やハイドロカーボン等のガスとの衝突を抑制することで、EUV多層膜ミラーの最表面の汚染が抑制され、反射率劣化のないEUV多層膜ミラーを得ることができる。
このよう多層膜ミラーを、例えば露光装置等のシステムに組み込むことで、光学素子の光電子に起因する表面の酸化や汚染等を低減でき、高品質な多層膜ミラーによる光学機器を実現することができる。
ここで、EUV多層膜ミラーのバイアス電極層(Ru)4には、バイアス電源8から大気と真空を封止する機能と電極機能を有する導入端子7を介して、正のバイアスを印加する。
これにより、多層ミラー最表面の膜材料から放出する光電子と、水分やハイドロカーボン等のガスとの衝突を抑制することで、EUV多層膜ミラーの最表面の汚染が抑制され、反射率劣化のないEUV多層膜ミラーを得ることができる。
このよう多層膜ミラーを、例えば露光装置等のシステムに組み込むことで、光学素子の光電子に起因する表面の酸化や汚染等を低減でき、高品質な多層膜ミラーによる光学機器を実現することができる。
つぎに、本発明の構成を適用した実施例におけるEUV多層膜ミラーについて説明する。
本実施例のEUV多層膜ミラーにおける各層の厚さは、各層の境界面で反射されるEUV光が互いに強め合う値に設定される。
ここでは、モリブデン(Mo)は約3nm、シリコン(Si)は約4nm、バイアス電極層であるルテニウム(Ru)は約2.5nmとしてEUV多層膜ミラーを形成した。
これにより、反射率Rが65%以上の値のものが得られた。
本実施例のEUV多層膜ミラーにおける各層の厚さは、各層の境界面で反射されるEUV光が互いに強め合う値に設定される。
ここでは、モリブデン(Mo)は約3nm、シリコン(Si)は約4nm、バイアス電極層であるルテニウム(Ru)は約2.5nmとしてEUV多層膜ミラーを形成した。
これにより、反射率Rが65%以上の値のものが得られた。
ここで、本実施例のEUV多層膜ミラーへのバイアス印加には、図1に示す装置を用い、つぎのようにバイアスを印加した。
まず、上記構成図の多層膜ミラーを、調整保持機構6を介して鏡筒チャンバー5にセットした。
つぎに、光軸位置調整した後、鏡筒チャンバー5内部をメインポンプであるクライオポンプやターボ分子ポンプ等の排気系で排気する。
実際の露光装置では鏡筒チャンバー内部にはレジストがコーティングされたウエハー等が有り、放出ガスが多いので照射実験としてはフォトレジストからの炭化水素を導入した。
このガスの分圧はおよそ3×E−8Torrとした。
十分に排気操作を行った後、EUV多層膜ミラー光学素子のバイアス電極層に+200Vのバイアスを印加しながらEUV光を多層膜ミラーに照射した。この照射は1mW/mm2の強度で6時間照射した。
まず、上記構成図の多層膜ミラーを、調整保持機構6を介して鏡筒チャンバー5にセットした。
つぎに、光軸位置調整した後、鏡筒チャンバー5内部をメインポンプであるクライオポンプやターボ分子ポンプ等の排気系で排気する。
実際の露光装置では鏡筒チャンバー内部にはレジストがコーティングされたウエハー等が有り、放出ガスが多いので照射実験としてはフォトレジストからの炭化水素を導入した。
このガスの分圧はおよそ3×E−8Torrとした。
十分に排気操作を行った後、EUV多層膜ミラー光学素子のバイアス電極層に+200Vのバイアスを印加しながらEUV光を多層膜ミラーに照射した。この照射は1mW/mm2の強度で6時間照射した。
本発明の比較例として、上記実施例のEUV多層膜ミラーにおけるバイアス電極層にバイアスを印加していないものをサンプルとして、バイアスを印加した実施例のものと比較実験を行った。
この比較例のサンプルでは、多層膜成膜後に、この実験を行う前の反射率を1とすると、本実験を行った後のサンプルでは0.94となり、反射率が約1割程度減少した。
これに対して、バイアス電極層にバイアスを印加した実施例のものをサンプルとしたものでは、本実験前の反射率を1とすると本実験後では、1程度の反射率を示し、反射率は殆ど変化しなかった。
この原因を確認するため、オージェ電子分光法にてそれぞれのサンプルを分析したところ、バイアスを印加していない比較例のサンプルでは表面に炭素の析出が確認できた。
その反射率低下の原因は、炭化水素の分解に起因するサンプル表面への炭素の析出であることが確認された。
この比較例のサンプルでは、多層膜成膜後に、この実験を行う前の反射率を1とすると、本実験を行った後のサンプルでは0.94となり、反射率が約1割程度減少した。
これに対して、バイアス電極層にバイアスを印加した実施例のものをサンプルとしたものでは、本実験前の反射率を1とすると本実験後では、1程度の反射率を示し、反射率は殆ど変化しなかった。
この原因を確認するため、オージェ電子分光法にてそれぞれのサンプルを分析したところ、バイアスを印加していない比較例のサンプルでは表面に炭素の析出が確認できた。
その反射率低下の原因は、炭化水素の分解に起因するサンプル表面への炭素の析出であることが確認された。
1:ミラー基板
2:シリコン(Si)
3:モリブデン(Mo)
4:バイアス電極層(Ru)
5:鏡筒チャンバー
6:調整保持機構
7:導入端子
8:バイアス電源
2:シリコン(Si)
3:モリブデン(Mo)
4:バイアス電極層(Ru)
5:鏡筒チャンバー
6:調整保持機構
7:導入端子
8:バイアス電源
Claims (7)
- X線領域における、真空の屈折率との差が相対的に大きい屈折率を有する材料からなる低屈折率層と、相対的に小さい屈折率を有する材料からなる高屈折率層とを交互に積層した多層膜により構成された多層膜ミラーにおいて、
前記多層膜における少なくとも最表面の膜が、バイアスを印加された膜によって構成されていることを特徴とする多層膜ミラー。 - 前記バイアスを印加された膜が、正のバイアスを印加された膜であることを特徴とする請求項1に記載の多層膜ミラー。
- 前記最表面の膜が、導電性で、且つ耐酸化性のある金属または化合物材料で構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多層膜ミラー。
- 前記最表面の膜の材料が、ルテニウム(Ru)、ジルコニウム(Zr)、イリジウム(Ir)、炭素(C)、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、硼化ジルコン(ZrB2)、硼化ロジウム(RhB)
のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の多層膜ミラー。 - 前記高屈折率層が、Siで構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層膜ミラー。
- 前記低屈折率層が、Moで構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層膜ミラー。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層膜ミラーを備えたことを特徴とする光学系。
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