図1から図7には、本発明の実施例1である撮像システムとしてのカメラシステムの構成を示している。
まず図6には、本実施例のカメラシステムの概略構成を示している。本実施例のカメラシステムは、CCDセンサ又はCMOSセンサなどの撮像素子を用いた単板式のデジタルカラーカメラである。撮像素子を連続的又は単発的に駆動して動画像又は静止画像を取得できる。撮像素子は、いわゆるエリアセンサであり、受光した光を2次元方向に配列された画素毎に電気信号に変換し、受光量に応じた電荷を蓄積する。
図6において、101は撮像装置としてのカメラ本体であり、この内部には以下に説明する部材が配置されている。
102はレンズ装置としての交換レンズであり、その内部には撮影光学系としての結像光学系103が配置されている。交換レンズ102は、カメラ本体101に対して着脱可能であり、マウント機構を介してカメラ本体101に電気的および機械的に接続される。
カメラ本体101には、焦点距離の異なる複数の交換レンズが着脱可能であり、交換レンズを交換することによって様々な画角の画像を取得することができる。
交換レンズ102は不図示の駆動機構を有している。この駆動機構は、結像光学系103の一部を構成するフォーカシングレンズを光軸L1の方向に移動させて焦点調節を行わせる。なお、フォーカシングレンズを柔軟性のある透明弾性部材や液体レンズで構成し、界面形状を変化させて屈折力を変えることにより焦点調節を行うこともできる。
また、交換レンズ102内には、光通過口の開口面積を変化させて撮影光束の光量を調節する絞り(不図示)と、この絞りを駆動する駆動機構(不図示)とが配置されている。
106は撮像パッケージ124内に収納された撮像素子である。結像光学系103から撮像素子106に至る光路中には、撮像素子106上に被写体像の必要以上に高い空間周波数成分が伝達されないように結像光学系103のカットオフ周波数を制限する光学ローパスフィルタ156が設けられている。また、結像光学系103には、不図示の赤外カットフィルタも設けられている。
撮像素子106で捉えられた被写体像は、ディスプレイユニット(画像表示ユニット)107上に表示される。ディスプレイユニット107は、カメラ本体101の背面に取り付けられており、使用者がディスプレイユニット107に表示された画像を直接観察できるようになっている。ここで、ディスプレイユニット107を、有機EL空間変調素子や液晶空間変調素子、微粒子の電気泳動を利用した空間変調素子などで構成すれば、消費電力を小さくかつ薄型にすることができる。
本実施例では、特に撮像素子106として、増幅型固体撮像素子の1つであるCMOSプロセスコンパチブルのセンサ(CMOSセンサ)を用いている。CMOSセンサの特長の1つとして、エリアセンサ部のMOSトランジスタと撮像素子駆動回路、AD変換回路、画像処理回路といった周辺回路を同一工程で形成できることが挙げられる。これにより、マスク枚数、プロセス工程がCCDセンサと比較して大幅に削減できる。また、任意の画素へのランダムアクセスが可能といった特長も有し、ディスプレイ表示用に間引いた読み出しが容易であって、高い表示レートでリアルタイム表示が行える。
撮像素子106は、上記特長を利用して、ディスプレイ画像の出力動作と高精細画像の出力動作とを行う。
111は第1の光学部材としてのハーフミラーである。該ハーフミラー111は、結像光学系103からの光束の一部を反射して後述する光学ファインダに導き、他の光束を透過させる。これにより、結像光学系103からの光束が分割される。
ハーフミラー111は、撮影光路内(光軸L1上)に斜めに位置したり、撮影光路から退避したりする可動ミラーである。
105は、被写体像の予定結像面に配置されたフォーカシングスクリーンである。ペンタプリズム112は、ハーフミラー111からの光束を複数回反射し、倒立像を正立像に変換して接眼レンズ109に導く。
接眼レンズ109は、フォーカシングスクリーン105上に形成された被写体像を観察するためのレンズであり、実際には後述するように3つのレンズ(図1の109a、109b、109c)で構成されている。フォーカシングスクリーン105、ペンタプリズム112および接眼レンズ109により、光学ファインダが構成される。
ハーフミラー111の屈折率はおよそ1.5であり、厚さは0.5mmである。ハーフミラー111の背後(撮像素子106側)には、可動の第2の光学部材としてのサブミラー122が配置されている。ハーフミラー111を透過した光束のうち、光軸L1上又はその近傍の光束を焦点検出ユニット121に向けて反射させる。
サブミラー122は、後述する回動軸125を中心に回動可能である。そして、サブミラー122は、後述する第2の光路状態および第3の光路状態において、ハーフミラー111およびサブミラー122を保持する不図示のミラーボックスの下部に収納される。
104は被写体に照明光を照射するポップアップ式の照明ユニットであり、使用時にはカメラ本体101から上方に突出し、不使用時にはカメラ本体101に対して収納される。
113はフォーカルプレンシャッタ(以下、シャッタと称す)であり、それぞれ複数枚の遮光羽根で構成される先幕および後幕を有する。このシャッタ113において、画像の取得時以外では、アパーチャを先幕又は後幕で覆うことで撮影光束を遮光する。また、画像取得時には、先幕および後幕がスリットを形成しながら走行することで撮影光束を撮像素子106に到達させる。
119はカメラを起動させるためのメインスイッチ(電源スイッチ)である。120は2段階の押圧操作が可能なレリーズボタンである。該レリーズボタン120が半押し操作されることによりカメラの撮影準備動作(焦点調節動作および測光動作等)が開始され、全押し操作されることにより撮影動作が開始される。
焦点検出ユニット121は、位相差検出方式によって結像光学系103の焦点状態を検出する。
123はファインダモード切り換えスイッチであり、このスイッチ123の操作により、後述する光学ファインダモード(OVFモード)と電子ファインダモード(EVFモード)とを選択的に設定できる。OVFモードでは、光学ファインダを介して被写体像を観察することができる。また、EVFモードでは、ディスプレイユニット107を介して被写体像を観察することができる。
180は光学ファインダ内情報表示ユニットであり、フォーカシングスクリーン105上に所定の情報(例えば、シャッタ速度、絞り値等の撮影条件の情報)を表示する。撮影者は、接眼レンズ109を覗くことで、被写体像とともに所定の情報を観察することができる。
上述した構成において、ハーフミラー111およびサブミラー122により構成される光路切換ユニットは、第1、第2、第3および第4の光路状態をとることができる。
第1の光路状態は、結像光学系103からの光束を光学ファインダおよび焦点検出ユニット121に導く状態である。第2の光路状態は、結像光学系103からの光束を撮像素子106および焦点検出ユニット121に導く状態である。第3の光路状態は、結像光学系103からの光束をダイレクトに撮像素子106に受光させるための状態である。さらに、第4の光路状態は、結像光学系103からの光束を焦点検出ユニット121に導く状態である。
第1の光路状態では、ハーフミラー111およびサブミラー122が撮影光路上に斜めに配置される。結像光学系103からの光束の一部がハーフミラー111で反射することにより光学ファインダに導かれるとともに、ハーフミラー111を透過した光束がサブミラー122で反射して焦点検出ユニット121に導かれる。これにより、第1の光路状態では、接眼レンズ109を介して被写体像を観察することができるとともに、焦点検出ユニット121において焦点検出を行うことができる。この光路状態に対応するファインダモードがOVFモードである。
第2の光路状態では、ハーフミラー111が撮影光路上に斜めに配置される。結像光学系103からの光束の一部は、ハーフミラー111で反射して焦点検出ユニット121に導かれるとともに、ハーフミラー111を透過した光束は撮像素子106側に向かう。なお、サブミラー122は、撮影光路から退避した状態となっている。この第2光路状態においてシャッタ113が開状態となると、撮像素子106の出力に基づいて生成されたいわゆるスルー画像をディスプレイユニット107に表示させることができる。また、焦点検出ユニット121において焦点検出を行うこともできる。この光路状態に対応するファインダモードがEVFモードである。また、この光路状態において、記録用画像の取得動作である撮像(連続撮像や動画撮像)を行うこともできる。
第3の光路状態では、ハーフミラー111およびサブミラー122が撮影光路上から退避する。この光路状態では、結像光学系103からの光束は、シャッタ113が開動作することで、直接、撮像素子106に到達する。これにより、撮像素子の106の出力に基づいて撮像を行うことができる。この光路状態での撮像は、高精細な静止画像を取得することができるので、該静止画像を拡大して大型プリントを行う場合等に好適である。
第4の光路状態では、サブミラー122が撮影光路上に斜めに配置される。結像光学系103からの光束は、サブミラー122で反射して焦点検出ユニット121に導かれる。この光路状態では、焦点検出ユニット121において焦点検出を行うことができる。この光路状態では、ハーフミラー111は、撮影光路から退避した状態となっている。
上述した第1〜第3の光路状態を高速で切り換えるために、サブミラー122に比べて大型のハーフミラー111は透明樹脂で構成され、軽量化が図られている。また、ハーフミラー111の裏面には複屈折性を持つ高分子薄膜が貼り付けられている。このため、第2の光路状態において、画像をディスプレイユニット107でモニタする場合や高速連続撮影を行う場合には、撮像素子106の全画素を用いて撮像しないことに対応して、さらに強いローパス効果を付与する。
なお、ハーフミラー111の表面に、可視光の波長よりも小さなピッチを持つ微細な角錐状の周期構造を樹脂によって形成し、いわゆるフォトニック結晶として作用させることができる。これにより、空気と樹脂との屈折率差による光の表面反射を低減し、光の利用効率を高めることが可能である。このように構成すると、第2の光路状態において、ハーフミラー111の表裏面での光の多重反射によってゴーストが発生するのを防ぐことができる。
電磁モータとギア列からなるミラー駆動機構(図7の145参照)は、ハーフミラー111およびサブミラー122の位置を変化させることにより、光路切換ユニットを、第1の光路状態から第4の光路状態の間で切り換える。
第2の光路状態における撮像では、後述するようにハーフミラー111およびサブミラー122が所定位置に保持されたままであり、ミラー駆動機構を作動させる必要がない。このため、撮像素子106からの信号に対する画像処理を高速化させることで超高速連続撮影を行うことができる。また、ディスプレイユニット107に画像が表示されているときでも、焦点調節を行うことができる。
図7には、本実施例のカメラシステムの電気的構成を示す。このカメラシステムは、撮像系、画像処理系、記録再生系および制御系を有する。まず、被写体像の撮像、記録に関する説明を行う。なお、同図において、図6で説明した部材と同じ部材については同一符号を付す。
撮像系は、結像光学系103および撮像素子106を含み、画像処理系は、A/D変換器130、RGB画像処理回路131およびYC処理回路132を含む。また、記録再生系は、記録処理回路133および再生処理回路134を含み、制御系は、カメラシステム制御回路(制御回路)135、操作検出回路136および撮像素子駆動回路137を含む。
138は外部のコンピュータ等に接続して、データの送受信を行うための規格化された接続端子である。上記の電気回路は、不図示の小型燃料電池によって駆動される。
撮像系は、被写体からの光束を結像光学系103を介して撮像素子106の撮像面に結像させる光学処理系である。撮像系は、交換レンズ102内の絞り(光量調節ユニット)143とシャッタ113における先幕および後幕の走行とを調節して、適切な光量で撮像素子106を露光する。
撮像素子106は、正方画素が長辺方向に3700個、短辺方向に2800個並べられ、合計約1000万個の画素数を有している。各画素には、R(赤色),G(緑色),B(青色)のカラーフィルタのいずれかが配置され、2つのGと1つずつのR,Bの4画素が1組となる、いわゆるベイヤー配列画素となっている。
ベイヤー配列では、撮影者が画像を見たときに強く感じやすいGの画素をRやBの画素よりも多く配置することで、総合的な画像性能を上げている。一般に、この方式の撮像素子106を用いる画像処理では、輝度信号は主にGから生成し、色信号はR,G,Bから生成される。
撮像素子106から読み出された信号は、A/D変換器130を介して画像処理系に供給される。A/D変換器130は、各画素からの信号をその振幅に応じて、例えば10ビットのデジタル信号に変換して出力する信号変換回路であり、以降の画像信号処理はデジタル処理にて実行される。
画像処理系は、R,G,Bのデジタル信号から所望の形式の画像信号を生成する信号処理系であり、R,G,Bの色信号を輝度信号Yおよび色差信号(R−Y),(B−Y)にて表されるYC信号などに変換する。
RGB画像処理回路131は、A/D変換器130を介して撮像素子106から受けた3700×2800画素からの信号を処理する信号処理回路であり、ホワイトバランス回路、ガンマ補正回路および補間演算による高解像度化を行う補間演算回路を有する。
YC処理回路132は、輝度信号Yおよび色差信号R−Y,B−Yを生成する信号処理回路である。この処理回路132は、高域輝度信号YHを生成する高域輝度信号発生回路、低域輝度信号YLを生成する低域輝度信号発生回路、および色差信号R−Y,B−Yを生成する色差信号発生回路で構成されている。輝度信号Yは、高域輝度信号YHと低域輝度信号YLを合成することによって形成される。
記録再生系は、不図示の記録媒体(半導体メモリや光ディスク等)への画像信号の出力と、ディスプレイユニット107への画像信号の出力とを行う処理系である。記録処理回路133は、記録媒体に対する画像信号の書き込み処理および読み出し処理を行う。再生処理回路134は、記録媒体から読み出した画像信号を再生して、ディスプレイユニット107に出力する。
また、記録処理回路133は、静止画像および動画像を表すYC信号を所定の圧縮形式(例えば、JPEG形式)にて圧縮するとともに、圧縮データを読み出した際に圧縮データを伸張する圧縮伸張回路を有する。圧縮伸張回路は、信号処理のためのフレームメモリなどを含み、このフレームメモリに画像処理系からのYC信号をフレーム毎に蓄積して、それぞれ複数のブロック毎に読み出して圧縮符号化する。圧縮符号化は、例えば、ブロック毎の画像信号を2次元直交変換、正規化およびハフマン符号化することにより行われる。
再生処理回路134は、輝度信号Yおよび色差信号R−Y,B−Yをマトリックス変換し、例えばRGB信号に変換する回路である。再生処理回路134によって変換された信号は、ディスプレイユニット107に出力され、可視画像が表示(再生)される。
再生処理回路134およびディスプレイユニット107は、Bluetoothなどの無線通信回線を介して接続することができる。このように構成すれば、カメラで撮像した画像を離れたところからモニタすることができる。
一方、制御系の一部である操作検出回路136は、レリーズボタン120やファインダモード切り換えスイッチ123等の操作を検出する。また、カメラシステム制御回路135は、操作検出回路136の検出信号に応じてハーフミラー111やサブミラー122を含むカメラ内の各部材の駆動を制御し、撮像の際のタイミング信号などを生成して出力する。
撮像素子駆動回路137は、カメラシステム制御回路135の制御の下に撮像素子106を駆動する駆動信号を生成する。情報表示回路142は、光学ファインダ内情報表示ユニット180の駆動を制御する。
制御系は、外部操作に応じて撮像系、画像処理系および記録再生系における各回路の駆動を制御する。例えば、制御系は、レリーズボタン120が押圧操作されたことを検出して、撮像素子106の駆動、RGB画像処理回路131の動作、記録処理回路133の圧縮処理などを制御する。また、制御系は、ファインダ内情報表示回路142によって光学ファインダ内に表示される情報における各セグメントの状態を制御する。
次に、焦点調節に関して説明する。カメラシステム制御回路135には、AF制御回路140およびレンズシステム制御回路141が接続されている。これらの制御回路は、カメラシステム制御回路135を中心にして各々の処理に必要とするデータを相互に通信する。
AF制御回路140は、焦点検出ユニット121に含まれて撮影画面上の所定の位置に設けられた焦点検出領域に対応して設けられた焦点検出用受光素子(以下、焦点検出センサという)167からの出力信号を受けて焦点検出信号を生成する。そして、結像光学系103の焦点状態(デフォーカス量)を検出する。
デフォーカス量が検出されると、AF制御回路140は、このデフォーカス量を結像光学系103の一部の要素であるフォーカシングレンズの駆動量に変換する。そして、このフォーカシングレンズ駆動量情報(焦点調節情報)を、カメラシステム制御回路135を介してレンズシステム制御回路141に送信する。
AF制御回路140は、移動する被写体に対しては、レリーズボタン120が押圧操作されてから実際の撮像動作が開始されるまでのタイムラグを勘案して、適切なレンズ停止位置の予測結果に基づいてフォーカシングレンズの駆動量を指示する。また、カメラシステム制御回路135は、測光回路(不図示)での被写体輝度の測光結果により、被写体輝度が低くて十分な焦点検出精度が得られないと判定したときには、照明ユニット104を発光させて被写体を照明する。このとき、カメラ本体101に設けられた不図示の白色LEDや蛍光管によって被写体を照明してもよい。
レンズシステム制御回路141は、カメラシステム制御回路135から送られたフォーカシングレンズ駆動量情報を受信すると、該駆動量情報に基づいてレンズ装置102内の不図示の駆動機構を介してフォーカシングレンズを光軸L1の方向に移動させる。
AF制御回路140において被写体にピントが合ったことが検出されると、この検出情報はカメラシステム制御回路135に伝えられる。このとき、レリーズボタン120が押圧操作されていれば、上述したように撮像系、画像処理系やよび記録再生系によって撮像制御が行われる。
絞り143は、レンズシステム制御回路141からの指令に応じて像面側に向かう被写体からの光束の光量を調節する。なお、カメラシステム制御135とレンズシステム制御回路141は、交換レンズ102側のマウント部電気接点(通信ユニット)102aおよびカメラ本体101側のマウント部電気接点101aを介して通信が行えるように構成されている。145は光路切換ユニットを構成するハーフミラー111とサブミラー122を駆動するミラー駆動機構である。
図1から図5には、本実施例のカメラシステムのより具体的な構成を示している。なお、交換レンズ102についてはその一部の構成のみを示している。これらの図では、主にハーフミラー111およびサブミラー122の動作を時系列で示している。図1から図5において、図6および図7で説明した部材と同じ部材については同一符号を付す。
同図において、103aは結像光学系103を構成する複数のレンズのうち最も像面側に位置するレンズである。102bは交換レンズ102側のマウント機構、101bはカメラ本体101側のマウント機構である。
164は焦点検出ユニット121における光束の取り込み窓となるコンデンサーレンズである。また、165は反射ミラー、166は再結像レンズ、167は前述した焦点検出センサ(受光素子)である。
結像光学系103から射出して、ハーフミラー111(第2の光路状態)又はサブミラー122(第1の光路状態)で反射した光束は、コンデンサーレンズ164に入射する。その後、該光束は反射ミラー165で偏向され、再結像レンズ166の作用によって焦点検出センサ167上に被写体の2次像を形成する。
焦点検出用センサ167には、少なくとも2つの画素列が設けられている。該2つの画素列の出力信号波形の間には、焦点検出領域上に結像光学系103によって形成された被写体像の結像状態に応じて、相対的に横シフトした状態が観測される。前ピン、後ピンでは出力信号波形のシフト方向が逆になり、相関演算などの手法を用いてこの位相差(シフト量)を、シフト方向を含めて検出するのが位相差検出方式の原理である。
109−1〜109−3は図6に示した接眼レンズ109を構成するレンズである。163は光学ファインダの光路に対して進退可能な遮光部材であるアイピースシャッタである。このアイピースシャッタ163は、接眼レンズ109から逆侵入した光が撮像素子106に到達することによる撮像への影響を回避するための部材である。
図3を用いてミラー駆動機構145の構成について説明する。図3は、カメラが上述した第1の光路状態にあるときの図を示している。
ハーフミラー111は、不図示のハーフミラー受け板に保持されている。このハーフミラー受け板には、ピン173,174が設けられており、ハーフミラー111およびピン173,174はハーフミラー受け板を介して一体となって移動可動である。
170はハーフミラー駆動レバー、171はハーフミラー支持アームである。ハーフミラー駆動レバー170は、回動軸170aに対して回動可能に支持されており、ハーフミラー支持アーム171は、回動軸171aに対して回動可能に支持されている。
ハーフミラー駆動レバー170は、不図示の動力伝達機構を介して駆動源に連結されており、駆動源からの駆動力を受けることにより回動軸170aを中心に回動することができる。また、ハーフミラー支持アーム171は、接続部171bを介してミラーボックスの対向する壁面側にある略同一形状の構造と接続されている。
ハーフミラー支持アーム171の先端に設けられた貫通孔171cには、不図示のハーフミラー受け板に設けられたピン173が摺動可能に係合している。これにより、ハーフミラー111は、ハーフミラー受け板を介して貫通孔171cを中心に回動可能となっている。また、ハーフミラー受け板のうちピン173とピン174の中間位置には、不図示のトーションバネによって矢印A方向の付勢力が付与されている。
図3に示す第1の光路状態においては、ミラーストッパ160,161が、撮影光路外であってハーフミラー111の移動軌跡内に進入した状態にある。この状態にあるとき、ハーフミラー111は、トーションバネによる矢印A方向の付勢力を受けることにより、ミラーストッパ160,161に当接して位置決めされる。これにより、ハーフミラー111は、撮影光路上に斜めに配置された状態となる。
ここで、ピン173は、ハーフミラー駆動レバー170の第1カム面170bに当接しておらず、ピン174はハーフミラー駆動レバー170の第2カム面170cに当接していない。
また、サブミラー122は回動軸125周りの回動が抑制された状態で、ハーフミラー111の背後に位置している。
上述した第1の光路状態において、結像光学系103から射出した光束のうちハーフミラー111で反射した光束は光学ファインダに導かれる。また、ハーフミラー111を透過した光束は、ハーフミラー111の背後にあるサブミラー122で反射して焦点検出ユニット121に導かれる。
ミラーストッパ160,161がハーフミラー111の移動軌跡から退避したときは、不図示のトーションバネによる矢印A方向の付勢力により、ピン173はハーフミラー駆動レバー170の第1カム面170bに当接する。また、ピン174はハーフミラー駆動レバー170の第2カム面170cに当接する。このことは、ハーフミラー駆動レバー170が図3中の時計回り方向に回動したときも同様である。
そして、ピン173,174はそれぞれ、ハーフミラー駆動レバー170の回動量に応じて、第1カム面170bおよび第2カム面170cに沿って移動する。これにより、ハーフミラー111の姿勢が変化する。
すなわち、ハーフミラー駆動レバー170の回動に連動してハーフミラー支持アーム171が回動する。そして、ハーフミラー駆動レバー170およびハーフミラー支持アーム171にピン173,174を介して連結しているハーフミラー受け板が回動し、これとともにハーフミラー111が回動する。
図1から図5には、ハーフミラー111およびサブミラー122の動作を示す。図1は、第2の光路状態を示し、図2は、第1の光路状態から第2の光路状態への移行過程を示す。図4は、第1の光路状態から第3の光路状態への移行過程を示し、図5は第3の光路状態を示す。
第1の光路状態(図3)にあるとき、ハーフミラー111およびサブミラー122は、上述したように結像光学系103から射出された被写体からの光束を、光学ファインダおよび焦点検出ユニット121に導くように作用する。
また、第2の光路状態(図1)にあるときには、ハーフミラー111が結像光学系103から射出された光束を、撮像素子106および焦点検出ユニット121に導くように作用する。さらに、第3の光路状態(図5)にあるときには、ハーフミラー111およびサブミラー122が撮影光路から退避する。
次に、図8から図16を用いて、撮影環境の光源の検出方法と動作について説明する。図8には、太陽である自然光源からの光と蛍光灯等の人工光源からの光の代表的な分光特性を示している。
図9には、ハーフミラー111の分光反射率と分光透過率とを示す。また、図10には、焦点検出センサ167の分光感度特性を示す。
図11Aは、光路切換ユニットの第2の光路状態を模式的に示しており、この光路状態では、ハーフミラー111で反射した光を焦点検出センサ167で受光してデフォーカス量を求める焦点検出動作を行うことができる。またこのとき、焦点検出センサ167の出力値(後述する分光出力分布の総和)を検出する第2のセンサ出力検出動作を行うことができる。
図11Bは、光路切換ユニットの第1の光路状態を模式的に示しており、この光路状態では、ハーフミラー111を透過してサブミラー122で反射した光を用いた焦点検出動作を行うことができる。またこのとき、焦点検出センサ167からの出力値を検出する第1のセンサ出力検出動作を行うことができる。
EVFモードから光路切換ユニットを第3の光路状態に切り換えて撮像を行うEVF撮像モード(第2の検出モード)では、図11Aに示す第2の光路状態で焦点検出動作と、1度目のセンサ出力検出動作(第2のセンサ出力検出動作)とを行う。そして次に、図11Bに示す第1の光路状態で2度目のセンサ出力検出動作(第1のセンサ出力検出動作)を行う。その後、撮像を行うために第3の光路状態に移行する。第1および第2の光路状態では、焦点検出センサ167に到達する光が、ハーフミラー111を透過するか否かと、ハーフミラー111で反射するかサブミラー122で反射するかが異なる。
図12には、EVF撮像モードにおいて光源が自然光源である場合の第1および第2のセンサ出力検出動作時における焦点検出センサ167の分光出力分布を示す。図13には、EVF撮像モードにおいて光源が人工光源である場合の第1および第2のセンサ出力検出動作時における焦点検出センサ167の分光出力分布を示す。
ここで、交換レンズ102(結像光学系103)を構成するレンズの分光透過率特性や、反射作用しか持たないミラーであるサブミラー122の分光反射率特性は、可視光を中心とした広い分光域でほぼ一定である。また、焦点検出センサ167の分光出力分布に与える影響は少ない。このため、図12,13に示された焦点検出センサ167の分光出力分布には、図8から図10に示した光源の分光特性、蒸着膜が形成されたハーフミラー111の分光反射率/透過率特性および焦点検出センサ167の感度分布が影響すると考えて差し支えない。焦点検出センサ167からの出力値は、図12および図13に示した分光出力分布の積分和(面積)となる。
図12において、自然光源下での第2のセンサ出力検出動作時におけるハーフミラー111での反射光(以下、ハーフミラー反射光という)による焦点検出センサ167の出力値(以下、センサ出力という)を100とする。このとき、自然光源下での第1のセンサ出力検出動作時におけるハーフミラー111を透過した光(以下、ハーフミラー透過光という)によるセンサ出力は260となる。
これに対し、図13において、人工光源下での第2のセンサ出力検出動作時におけるハーフミラー反射光によるセンサ出力を100とすると、人工光源下での第1のセンサ出力検出動作時におけるハーフミラー透過光によるセンサ出力は64となる。
したがって、EVF撮像モードにおいて、1度目のセンサ出力検出動作時と2度目のセンサ出力検出動作時でのセンサ出力の相対値が100から260に変化した場合には、撮影環境の光源が自然光源であると判別できる。また、センサ出力の相対値が100から64に変化した場合には、撮影環境の光源が人工光源であると判別できる。つまり、2回のセンサ出力検出動作で得られたセンサ出力間での変化(変化量や変化方向〔増減〕)を算出することにより、光源を判別することができる。
図14Aは、図11Bと同様に、光路切換ユニットの第1の光路状態を模式的に示しており、この光路状態では、ハーフミラー111を透過してサブミラー122で反射した光を用いた焦点検出動作を行うことができる。またこのとき、焦点検出センサ167からの出力値を検出する第1のセンサ出力検出動作を行うことができる。
図14Bは、光路切換ユニットの第4の光路状態を模式的に示しており、この光路状態では、ハーフミラー111を介さずにサブミラー122で反射した光を受光した焦点検出センサ167からの出力値を検出する第2のセンサ出力検出動作を行うことができる。
OVFモードから光路切換ユニットを第3の光路状態に切り換えて撮像を行うOVF撮像モード(第1の検出モード)では、図14Aに示す第1の光路状態で焦点検出動作と、1度目のセンサ出力検出動作(第1のセンサ出力検出動作)とを行う。次に、図14Bに示す第4の光路状態で2度目のセンサ出力検出動作(第2のセンサ出力検出動作)を行う。その後、撮像を行うために第3の光路状態に移行する。第1および第4の光路状態では、焦点検出センサ167に到達する光が、ハーフミラー111を透過するか否かの点が異なる。
図15には、OVF撮像モードにおいて光源が自然光源である場合の第1および第2のセンサ出力検出動作時における焦点検出センサ167の分光出力分布を示す。図16には、OVF撮像モードにおいて光源が人工光源である場合の第1および第2のセンサ出力検出動作時における焦点検出センサ167の分光出力分布を示す。これら図15および図16に示す分光出力分布は、図12および図13に示した分光出力分布と同様にして求められたものである。
図15において、自然光源下での第1のセンサ出力検出動作時におけるハーフミラー透過光によるセンサ出力を100とする。このとき、自然光源下での第2のセンサ出力検出動作時におけるハーフミラー111を介さない光(以下、ハーフミラー無透過光という)によるセンサ出力は140となる。
これに対し、図16において、人工光源下での第2のセンサ出力検出動作時におけるハーフミラー透過光によるセンサ出力を100とすると、人工光源下での第1のセンサ出力検出動作時におけるハーフミラー無透過光によるセンサ出力は250となる。
したがって、OVF撮像モードにおいて、1度目のセンサ出力検出動作時と2度目のセンサ出力検出動作時でのセンサ出力の相対値が100から140に変化した場合には、撮影環境の光源が自然光源であると判別できる。また、センサ出力の相対値が100から250に変化した場合には、撮影環境の光源が人工光源であると判別できる。つまり、2回のセンサ出力検出動作で得られたセンサ出力間での変化を算出することにより、光源を判別することができる。
そして、撮影環境における光源を特定することができれば、該光源に対応したフォーカシングレンズ駆動量情報の補正値を生成することができる。
例えば、光源が自然光源である場合には、補正値を0とする。一方、光源が人工光源である場合には、予め人工光源からの光によって結像光学系103で発生する色収差に応じて不図示のメモリに記憶した補正値を読み出す。この場合、メモリに、カメラ本体101に装着可能な種々の交換レンズごとに発生する色収差に応じた補正値を記憶しておき、装着された交換レンズが有する識別情報に対応した補正値を読み出すようにしてもよい。また、センサ出力やその変化量等に基づいて補正値を算出してもよい。
なお、光源が自然光源の場合と人工光源の場合とで異なる補正値(0ではない補正値)を予め不図示のメモリに記憶しておいたり、センサ出力やその変化量等に基づいて算出したりしてもよい。
これにより、光源の種類によって結像光学系103で発生する色収差が異なることに起因したフォーカシングレンズ駆動量の算出結果のばらつきを解消することができ、光源の種類にかかわらず高い合焦精度を得ることができる。また、光源からの入射光束の分光特性にかかわらず、所望の波長の光に対する合焦位置にフォーカシングレンズを調節することができる。
次に、本実施例のカメラシステムにおける撮像シーケンスについて、図17を用いて説明する。図17のシーケンスは、主として、カメラシステム制御回路135およびAF制御回路140によって、それらの内部に格納されたコンピュータプログラムに従って実行される。
ステップS1では、メインスイッチ119が操作(ON)されるまで待機し、操作されることでステップS2に進む。ステップS2では、カメラ本体101内の各種電気回路に電流を供給(起動)する。
ステップS3では、設定されているファインダモードを判別し、OVFモードに設定されている場合にはステップS4に進み、EVFモードに設定されている場合にはステップS5に進む。
ステップS4Aでは、光学ファインダ内情報表示ユニット180を駆動することにより、光学ファインダ内に設けられた表示部に所定の情報を表示させる。このOVFモードでは、接眼レンズ109を介して上記所定の情報とともに被写体像を観察することができる。
ステップS4Bでは、ディスプレイユニット107に画像や所定の情報を表示させる。このEVFモードでは、ディスプレイユニット107を介して上記所定の情報とともに被写体画像を観察することができる。
ここで、操作検出回路136によりファインダモード切り換えスイッチ123が操作されたことを検出した場合には、ファインダモードを切り換える。例えば、OVFモードからEVFモードに切り換えられた場合には、撮像系および画像処理系の駆動により、ディスプレイユニット107に被写体画像が表示される。
ステップS5では、操作検出回路136の出力に基づいてレリーズボタン120が半押し操作されたことを検出するまで、すなわち、SW1がON状態になるまで待機し、SW1がON状態になることでステップS6に進む。
ステップS6では、被写体輝度の測定(測光)が行われるとともに、焦点検出ユニット121において焦点検出動作が行われる。ここで、EVF撮像モードでは図11Aに示した第2の光路状態で焦点検出動作が、OVF撮影モードでは図14Aに示した第1の光路状態で焦点検出動作が行われる。そしてこのとき、1度目のセンサ出力検出動作も行われ、センサ出力が不図示のメモリに記憶される。
カメラシステム制御回路135は、測光結果に基づいて露出値(シャッタ速度および絞り値)を算出する。また、AF制御回路140は、焦点検出センサ167からの2像に対応した信号の位相差を検出し、該位相差からデフォーカス量を算出する。さらに該デフォーカス量に基づいて、フォーカシングレンズ駆動量を算出する。
そして、AF制御回路140とレンズシステム制御回路141による焦点調節制御により、結像光学系103のフォーカシングレンズを駆動する。また、レンズシステム制御回路141は、演算された絞り値に基づいて絞り143を駆動し、光量を調節する。この後、合焦確認のために再度、焦点検出動作を行い、合焦していないと判別された場合には再度フォーカシングレンズ駆動量の演算と、フォーカシングレンズの駆動とを行ってもよい。
ステップS7では、操作検出回路136の出力に基づいて、レリーズボタン120が全押し操作されているか否か、すなわちSW2がON状態となっているか否かを判別する。SW2がON状態になっていればステップS8に進み、OFF状態になっていればステップS5に戻る。
ステップS8では、ミラー駆動機構を介してハーフミラー111およびサブミラー122を2度目のセンサ出力検出動作が可能な状態とする。つまり、EVF撮像モードでは図11Bに示した第1の光路状態に、OVF撮像モードでは図14Bに示した第4の光路状態に光路切換ユニットを切り換える。
そして、ステップS9では、2度目のセンサ出力検出動作を行い、その結果と1度目のセンサ出力検出動作での検出結果とを比較して光源を判別する。そして、特定された光源がフォーカシングレンズの駆動量補正が必要な光源である場合(例えば、人工光源である場合)には、補正値を生成(メモリから読み出したり算出したり)する。
ステップS10では、フォーカシングレンズを該補正値に対応する量だけ駆動する。
ステップS11では、ハーフミラー111およびサブミラー122を第3の光路状態(図5)に切り換える。
ステップS12では、先に演算されたシャッタ速度に基づいてシャッタ113を動作させ、撮像素子106を露光する。
ステップS13では、撮像素子106から読み出した信号に基づいて、画像処理系により高精細画像の取り込みを行う。
なお、上述した撮像シーケンスは合焦精度を優先した撮像を行う場合のシーケンスであるが、本実施例では、レリーズタイムラグの短縮を優先した撮像を行うシーケンスを焦点調節モード選択スイッチ126により選択できる。この場合、図中に点線で示しように、上述した撮像シーケンスにおいて、ステップS8から、ステップS9,10をスキップしてステップ11に移行するシーケンスが実行される。また、連続撮影を行う場合には、自動的に後者のシーケンスが選択されるようにしてもよい。
なお、本実施例のカメラは、撮像素子106を用いて取得した画像をディスプレイユニット107上でモニタしているとき(EVFモード)でも、焦点検出ユニット121において位相差検出方式による焦点検出を行うことができる。これにより、EVFモードにおいて、コントラスト検出方式(TV−AF方式)による焦点検出を行う場合に比べて、高速な焦点調節動作を行うことができる。
次に、ファインダモードの切換動作について説明する。カメラ内の電気回路が動作している間は、各操作スイッチの状態が操作検出回路136を介して検出される。ファインダモード切り換えスイッチ123が操作されたことを検出すると、ファインダモード(OVFモードおよびEVFモード)の切換動作が開始される(図17のステップS3)。
図18は、このファインダモードの切換動作を説明するためのフローチャートである。図18のシーケンスは、主としてカメラシステム制御回路135によって、その内部に格納されたコンピュータプログラムに従って実行される。
ステップS100において、現在のファインダモードが検知される。そして、ファインダモード切り換えスイッチ123がOVFモードからEVFモードに操作されたときには、ステップS101へ移行する。一方、ファインダモード切り換えスイッチ123がEVFモードからOVFモードに切り換えられたときにはステップS111へ移行する。
まず、OVFモードからEVFモードへの切り換えについて説明する。OVFモードにおいては、ハーフミラー111およびサブミラー122からなる光路切換ユニットが第1の光路状態(図3)となっている。EVFモードでは、光学ファインダに被写体光を導かないため、まずステップS101において、アイピース駆動回路143およびアクチュエータ144によりアイピースシャッタ163を閉じ動作させる。すなわち、アイピースシャッタ163を、接眼レンズ109を構成するレンズ109−2とレンズ109−3と間におけるファインダ光路内に進入させる。
これは、EVFモードが設定されているときに接眼レンズ109を介して被写体像が見えなくなるのを撮影者がカメラの故障と誤解しないようにするためである。また、光学ファインダからの逆入光が撮像素子106に入射することにより、ゴーストが発生するのを防ぐためである。
ステップS102では、ファインダ内情報表示ユニット180を駆動して光学ファインダ内の情報表示を消灯状態とする。これは、ステップS101において、すでにアイピースシャッタ163を閉じ状態としているため、光学ファインダ内に情報表示を行っても撮影者はこの表示を見ることができないからである。これにより、電力消費を軽減して電池の消耗を抑えることができる。
ステップS103では、ミラー駆動機構145を動作させることにより、ハーフミラー111を第2の光路状態(図1)に移行させるのに備えて、サブミラー122をミラーボックスの下部に退避させる(図1)。
ステップS104では、ミラーストッパ160,161をハーフミラー111の移動軌跡上から退避させる。
ミラーストッパ160,161が退避した後、ステップS105では、ミラー駆動機構145によりハーフミラー駆動レバー170を図3中の反時計回り方向に回動させる。これにより、ハーフミラー111は、不図示のトーションバネによる矢印A方向の付勢力を受けることで、図2に示す状態を経て第2の光路状態(図1)となる。
ハーフミラー111が第2の光路状態にあるときには、結像光学系103からの光束のうち一部の光束がハーフミラー111で反射して焦点検出ユニット121に導かれる。また、残りの光束は、ハーフミラー111を透過して撮像素子106側に向かう。
第2の光路状態では、ハーフミラー111が、トーションバネによる矢印A方向の付勢力を受けることにより、撮影光路外に配置されたミラーストッパ175,176に当接して位置決めされる。このとき、ピン173は、ハーフミラー駆動レバー170の第1カム面170bに当接しておらず、ピン174は、ハーフミラー駆動レバー170の第2カム面170cに当接していない。
ハーフミラー111の反射面の位置は、第1の光路状態においてサブミラー122の反射面があった位置と略等しい。これにより、第1の光路状態においてサブミラー122により焦点検出ユニット121に導かれる反射光と、第2の光路状態においてハーフミラー111により焦点検出ユニット121に導かれる反射光とのずれが極力小さくなる。したがって、焦点検出領域の位置がほとんど変化しないようにすることができる。
ここで、ハーフミラー111を透過した光が撮像素子106上で結像されることで形成される被写体像のピント位置が、被写体光がハーフミラー111を透過しない場合のピント位置に対して若干ずれる。このため、ステップS106では、ピント位置のずれを補正するために、ピント補正モードを起動する。
第1の光路状態においては、カメラシステム制御回路135は、ハーフミラー111およびサブミラー122が撮影光路から退避(第3の光路状態)したときに、被写体像が撮像素子106上にシャープに結像するようにフォーカシングレンズ駆動量を算出する。
これに対して、第2の光路状態でピント補正モードがオン状態にあるときは、ハーフミラー111を透過して撮像素子106上に投影された被写体像がシャープに結像するようにフォーカシングレンズ駆動量を補正する。これにより、第2の光路状態でピント補正モードが設定されている場合、第2の光路状態におけるフォーカシングレンズの駆動位置は、フォーカシングレンズ駆動量を補正した分だけ、第3の光路状態における合焦位置に対してずれる。
したがって、EVFモードが設定されている状態においてレリーズボタン120が全押し操作されて撮像動作がスタートし、第2の光路状態から第3の光路状態に切り換わるときには、これと同期してシャッタ113の先幕駆動機構をチャージする。すなわち、シャッタ113を閉じ状態とする。さらに、ピント補正モードにより被写体像のピント位置を補正した分だけフォーカシングレンズを第3の光路状態での合焦位置に駆動する。その後、シャッタ113を算出されたシャッタ速度で動作させて撮像素子106を露光する。
このように構成することにより、第2の光路状態においてディスプレイユニット107に表示された画像に基づいてピントの状態を正確に確認した上で、第3の光路状態でピントの合った画像を撮像することができる。
ステップS107では、シャッタ113の先幕を開いて撮像素子116に連続的に露光する状態とし、ディスプレイユニット107上に表示するためのスルー画像の取得を可能とする。
ステップS108では、ディスプレイユニット107の電源を投入する。
ステップS109では、スルー画像のディスプレイユニット107での表示を開始し、ステップS100にリターンする。
次に、ステップS100におけるファインダモードの判別により、EVFモードからOVFモードへ切り換えるためにステップS111へ移行した場合について説明する。
初期状態のEVFモードにおいては、ハーフミラー111とサブミラー122からなる光路分割系は第2の光路状態(図1)にあり、上述したようにディスプレイユニット107でスルー画像表示が行われている。
ステップS111では、ディスプレイユニット107の電源をオフにするとともに、撮像素子106によるスルー画像の取得を停止する。
ステップS112では、シャッタ113の後幕を走行させてシャッタ113を閉じ状態とし、撮像に備えて先幕・後幕駆動機構をチャージする。
ステップS113では、ハーフミラー111の移動を可能にするためにミラーストッパ160,161をハーフミラー111の移動軌跡から退避させる。
ステップS114では、ハーフミラー駆動レバー170を図1中の時計回り方向に回動させて、ハーフミラー111およびサブミラー122を図2の状態→図3の状態→図4の状態→図5の状態(第3の光路状態)となるように移動させる。
ハーフミラー駆動レバー170が時計回り方向に回動すると、ピン174は第2カム面170cに押し込まれて移動し、ピン173は第1カム面170bに押し込まれて移動する。これにより、ハーフミラー支持アーム171が回動軸171aを中心に時計回り方向に回動するとともに、ハーフミラー111がピン173を中心に時計回り方向に回動する。
ステップS115では、ミラーストッパ160,161をハーフミラー111の移動軌跡内に挿入する。
第3の光路状態までハーフミラー111を移動させてからミラーストッパ160,161を挿入するので、ミラーストッパ160,161の挿入に際してハーフミラー111と衝突することはない。このため、ハーフミラー111の位置を切り換える際(OVFモードおよびEVFモード間の切り換えの際)の機構的信頼性を高くすることができる。
なお、本実施例ではハーフミラー111を第3の光路状態まで移動させているが、ミラーストッパ160,161がハーフミラー111に衝突しなければよいため、ハーフミラー111を第3の光路状態に相当する位置の近くまで移動させてもよい。
ステップS116では、ハーフミラー駆動レバー170を図5中の反時計回り方向に回動させる。これにより、ハーフミラー111を第3の光路状態(図5)から図4の状態を経て第1の光路状態(図3)に移動させる。このとき、ハーフミラー111は、ミラー駆動機構145内に設けられた不図示のバネの付勢力を受けてミラーストッパ160,161に当接した状態となる。
ステップS117では、アイピースシャッタ163を開く。
ステップS118では、操作検出回路136からの出力に基づいて、マニュアル(M)フォーカスモードに設定されているか否かを判別する。マニュアルフォーカスモードであればステップS107に移行し、マニュアルフォーカスモードではなくオートフォーカスモードであれば、ステップ120に進む。
マニュアルフォーカスモードである場合には、焦点検出ユニット121を動作させる必要がなく、背景のぼけ具合の把握が光学ファインダよりも電子画像(スルー画像)を用いた方が正確にできる。このため、ディスプレイユニット107でのスルー画像表示を行うステップS107に移行する。
ステップS120では、焦点検出ユニット121に被写体光を導くようにサブミラー122を所定の位置にセットする。すなわち、図5に示すようにミラーボックスの下部に収納されていたサブミラー122を、回動軸125を中心に回動させることにより、ハーフミラー111の背後に移動させる(図3)。
ステップS121では、光学ファインダ内情報表示ユニット180を駆動して所定の情報をファインダ内に点灯表示する。そして、ステップS100にリターンする。
以上説明したように、本実施例のカメラによれば、赤外センサを用いることなく、焦点検出センサ167からの出力値のみから撮影環境の光源を判別することが可能である。そして、特定した光源に応じてフォーカシングレンズ駆動量の補正を行うことで、光源の種類にかかわらず精度の高い焦点調節制御を行うことができる。
しかも、本実施例では、一眼レフカメラに既存の部品である焦点検出センサ167、ハーフミラー111およびサブミラー122を利用して光源を判別するため、新たに専用の部品を必要とすることなく、コストアップを抑えることができる。
また、2回のセンサ出力検出動作において、同じ焦点検出センサ167の出力を検出するため、センサ感度のばらつきの影響を受けずに補正量を決定することができる。また、撮影光学系からの光束が導かれる焦点検出センサ167からの出力を用いるため、十分な光量を確保でき、光源判別の精度を向上させることができる。
なお、上記実施例では、ファインダ観察状態から撮像状態への移行中に、撮影環境の光源を判別するための処理を行う場合について説明したが、ファインダモードの切換えの前後に2度のセンサ出力検出動作を行って、光源を判別してもよい。ファインダモードの切換動作の前後の光路状態は、図11Aおよび図11Bに示す状態であるため、EVF撮像モードでのファインダ観察状態から撮像状態への移行時と同様に光源を判別することができる。
また、このようにファインダモードの切換動作の前後において光源を判別した場合は、上述したレリーズタイムラグの短縮優先の撮像を行うシーケンスとすることができる。この場合、図17のステップS6において、補正値を含むフォーカシングレンズ駆動量を算出し、ステップS8からステップS11に移行する。
また、カメラを光源を判別するための専用モードを持つように構成してもよい。例えば、光源判別スイッチを設け、そのスイッチ操作に応じて、第1および第2のセンサ出力検出動作を経て補正値を算出する。この場合も、図17のステップS6において、補正値を含むフォーカシングレンズ駆動量を算出し、ステップS8からステップS11へ移行する。
さらに、上記実施例では、ハーフミラーを透過してサブミラーで反射した光によるセンサ出力と、ハーフミラーを透過せずに該ハーフミラーおよびサブミラーのうち一方で反射した光によるセンサ出力との間の変化に基づいて焦点調節制御を行う。しかし、前述したように、サブミラーの分光反射率特性が焦点検出センサの分光出力分布に与える影響は少ない。このため、本発明は、本質的には、ハーフミラーを透過した光によるセンサ出力と、該ハーフミラーで反射した光および該ハーフミラーを介さない光のうち一方によるセンサ出力とを比較する構成であるとも言える。
なお、本発明にいう「光学部材」は、上記実施例に示したミラー形状を有するものに限らず、入射面と射出面を有する透明体の面に光学膜を形成したいわゆるビームスプリッタのような部材であってもよい。