JP2007162409A - 擁壁構造及びその構築方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】柔軟性及び追随性に優れ、変位、変形量が小さく、長期に亘って、安全性及び信頼性を維持し得る、コンクリートパネル擁壁構造及びその構築方法を提供する。
【解決手段】上端面11A及び下端面11Bが、前面水平部a1、b1、中間斜降部a2、b2及び背面水平部a3、b3からなるコンクリートパネル11を上下に積層してなる擁壁において、下部コンクリートパネル11Lの上端面11Aと上部コンクリートパネル11Uの下端面11Bとの間に形成される前面水平目地部M1、中間斜降目地部M2及び背面水平目地部M3からなる目地の前記前面水平目地部M1と前記背面水平目地部M3との2箇所に緩衝材1が介装されていることを特徴とする擁壁構造である。
【選択図】図8
【解決手段】上端面11A及び下端面11Bが、前面水平部a1、b1、中間斜降部a2、b2及び背面水平部a3、b3からなるコンクリートパネル11を上下に積層してなる擁壁において、下部コンクリートパネル11Lの上端面11Aと上部コンクリートパネル11Uの下端面11Bとの間に形成される前面水平目地部M1、中間斜降目地部M2及び背面水平目地部M3からなる目地の前記前面水平目地部M1と前記背面水平目地部M3との2箇所に緩衝材1が介装されていることを特徴とする擁壁構造である。
【選択図】図8
Description
本発明は、擁壁構造及びその構築方法に関し、更に詳しくは、柔軟性及び追随性に優れ、変位、変形量が小さく、長期に亘って、安全性及び信頼性を維持し得る、コンクリートパネル擁壁構造及びその構築方法に関する。
従来、この種の擁壁構造にあっては、コンクリートパネルをモルタル等接着材を使用することなく空積みし、パネル同士は連結ピンや連結棒で連結を図っている。
そして、このようなコンクリートパネルとしては、図10に示すように、上端面11A及び下端面11Bが、前面水平部a1、b1、中心斜降部a2、b2及び背面水平部a3、b3からなっており、このようなコンクリートパネル11を上下に積層した場合、下部コンクリートパネル11(L)の上端面11Aと上部コンクリートパネル11(U)の下端面11Bとの間に、前面水平目地部M1、中間斜降目地部M2、背面水平目地部M3が形成される。12は連結具(連結ピン)である。
背面水平目地部M3は、中間斜降目地部M2を介して、前面水平目地部M1よりも低い位置に設けられているが、これはコンクリートパネル11の背面側には裏込め用盛土材13が充填されるため、この盛土材13が背面水平目地部M3内に侵入したとしても中間斜降目地部M2内で堰止められ、一段と高い位置の前面水平目地部M1からは視認できないようにし、優れた美観を保つように配慮されているためである。
また、上記の背面水平目地部M3には、通常、緩衝材14が介装される。緩衝材14の目的は、第1に、裏込め用の盛土材13が侵入するのを防ぐためであり、第2に、裏込め用盛土材13の土圧や盛土材締固め時の重機の重量等によりコンクリート擁壁面に応力が発生するため、この応力を分散、吸収して擁壁面の変位、変形を防ぐためである(例えば、特許文献1参照)。
上部下部コンクリートパネル11(U)、11(L)の背面水平目地部M3に緩衝材14を介装しながら擁壁を構築するに際しては、コンクリートパネル11の前倒れを防ぐために、前面水平目地部側M1にライナーやキャンバー、クサビ等の仮設材(図示せず)を敷き込むことにより直立性を微調整しながらコンクリートパネル11を積み重ね擁壁を構築するのが一般的である。
特開2003−321847号公報(図10)
しかしながら、これら仮設材が木製である場合は、コンクリートパネルにもよく馴染み、コンクリートパネルを損傷することもないが、使用を繰り返しているうちに材料疲労や復元力の低下により寸法が変化し、所期の役目を果たさなくなるという問題がある。
また、仮設材が樹脂製の場合は、木製の場合に比べて材料疲労や復元力の低下は小さいが、その反面、馴染み具合が低下し前面水平目地部M1から外れ易くなる。
更に、仮設材が金属製である場合は、強度や硬度に優れるため材料疲労や復元力の低下は問題がないが、反面、上記した馴染みの乏しさから外れ易いという問題が生じるばかりでなく、更には、強度と硬度に優れるがために、コンクリートパネルに損傷を与えるという問題ははらんでいる。
また、仮設材が樹脂製の場合は、木製の場合に比べて材料疲労や復元力の低下は小さいが、その反面、馴染み具合が低下し前面水平目地部M1から外れ易くなる。
更に、仮設材が金属製である場合は、強度や硬度に優れるため材料疲労や復元力の低下は問題がないが、反面、上記した馴染みの乏しさから外れ易いという問題が生じるばかりでなく、更には、強度と硬度に優れるがために、コンクリートパネルに損傷を与えるという問題ははらんでいる。
仮設材は擁壁工事完了時には、撤去されるか又は壁面前面に突出している部分を切断される。後者の場合には切断された残部が前面水平目地部内に介装された状態であるが、仮設材が木製や樹脂製の場合には、経時劣化し、仮設材と目地との間に隙間が生じ、応力の分散、吸収や直立性の維持には役立たない。また、切断という作業が必要となり、作業性が低下する欠点もある。
また、金属製の仮設材の場合には、強度と硬度のために経時劣化も小さいが、応力が発生した場合には十分に分散、吸収がなされず、その結果、コンクリートパネルを損傷するばかりでなく、場合によっては、金属製仮設材とコンクリートパネルとの間に隙間が生じ、やはり応力の分散、吸収や直立性維持には役立たないことになる。
また、金属製の仮設材の場合には、強度と硬度のために経時劣化も小さいが、応力が発生した場合には十分に分散、吸収がなされず、その結果、コンクリートパネルを損傷するばかりでなく、場合によっては、金属製仮設材とコンクリートパネルとの間に隙間が生じ、やはり応力の分散、吸収や直立性維持には役立たないことになる。
一方、上記工法により擁壁が完成された場合、コンクリートパネルに背面側の裏込め用盛土材等により応力が発生するが、この応力の分散、吸収は、背面水平目地部に介装された、柔軟性、弾力性に富んだ緩衝材によってなされることになる。
しかしながら、背面水平目地部は、通常、コンクリートパネルの巾(厚み)の約2/3程度の巾しかなく、前面水平目地部及び中間斜降目地部は空隙状態にあるため、図中、波線で示したように、緩衝材の前面側、即ち、前面水平目地部及び中間斜降目地部側が不等圧縮されコンクリートパネルは前面側に倒れたり傾き易くなる。この際、上下コンクリートパネルは云わば1個の緩衝材により1点(1面)支持されているに過ぎないため、これを支点として転倒や回転が起こり易くなり、予測できないような変位、変形が生じる虞れがある。更に、前面水平目地部の上下寸法tが小さい場合には、上下コンクリートパネル同士が接触し、パネルにクラックが入ったり、破損したりして、擁壁の耐久性が低下するばかりでなく、外観を損なうばかりでなく、安全性や信頼性に深刻な影響を与えることになる。
本発明はかかる実情に鑑み、上記のような問題点を解消し、柔軟性及び追随性に優れ、変位、変形量が小さく、長期に亘って、安全性及び信頼性を維持し得るとともに、良好な外観を維持し得る、コンクリートパネルからなる擁壁構造及びその構築方法を提供するものである。
本発明者は上記課題を解決せんとして鋭意研究の結果、緩衝材を背面水平目地部のみならず前面水平目地部にも介装することにより、上下コンクリートパネルは緩衝材により2点(2面)支持されることになり、上記課題が一挙に解消されることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の請求項1は、上端面及び下端面が、前面水平部、中間斜降部及び背面水平部からなるコンクリートパネルを上下に積層してなる擁壁において、下部コンクリートパネルの上端面と上部コンクリートパネルの下端面との間に形成される前面水平目地部、中間斜降目地部及び背面水平目地部からなる目地の前記前面水平目地部と前記背面水平目地部との2箇所に緩衝材が介装されていることを特徴とする擁壁構造を内容とする。
本発明の請求項2は、前面水平目地の緩衝材と背面水平目地部の緩衝材とで弾性率が異なることを特徴とする擁壁構造を内容とする。
本発明の請求項3は、前面水平部の緩衝材と背面水平部の緩衝材とが連結部により連結されていることを特徴とする請求項1又は2記載の擁壁構造を内容とする。
本発明の請求項4は、緩衝材がゴムからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の擁壁構造を内容とする。
本発明の請求項5は、緩衝材が補強材入りゴムからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の擁壁構造を内容とする。
本発明の請求項6は、緩衝材が発泡合成樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の擁壁構造を内容とする。
本発明の請求項7は、緩衝材がエラストマーからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の擁壁構造を内容とする。
本発明の請求項8は、緩衝材がコンクリートパネルと同系色であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の擁壁構造を内容とする。
本発明の請求項9は、上端面及び下端面が、前面水平部、中間斜降部及び背面水平部からなるコンクリートパネルを上下に積層して擁壁を構築するに際し、下部コンクリートパネルの上端面と上部コンクリートパネルの下端面との間に形成される前面水平目地部、中間斜降目地部及び背面水平目地部からなる目地の前記前面水平目地部と前記背面水平目地部との2箇所に緩衝材を介装しながらコンクリートパネルを積層することを特徴とする擁壁構築方法を内容とする。
本発明の擁壁構造は、背面水平目地部と背面水平目地部の2箇所に緩衝材が介装されているので、従来の背面水平目地部のみに緩衝材を介装した1点(1面)支持の場合のように、土圧等により前面側に倒れたり傾いたりすることがなく、また、1点(1面)支持部を支点として転倒したり、表面側に回転するといった問題が解消される。
また、裏込め用盛土材等から受ける応力は、柔軟性、追随性に優れた2箇所の緩衝材で十分に分散、吸収されるので、変形、変位量は驚異的に小さくなり、長期に亘って良好な外観を維持するとともに、安全性、及び信頼性が大巾に高められる。
また、裏込め用盛土材等から受ける応力は、柔軟性、追随性に優れた2箇所の緩衝材で十分に分散、吸収されるので、変形、変位量は驚異的に小さくなり、長期に亘って良好な外観を維持するとともに、安全性、及び信頼性が大巾に高められる。
また、本発明の擁壁構造の構築方法は、従来工法のようにライナー等の仮設材で直立性を微調整しながら背面水平目地部に緩衝材を敷設し、コンクリートパネルを積み重ねる必要がなく、前面水平目地部と背面水平目地部に緩衝材を敷設、介装するだけでよい。従って、施工性は高められ、大巾な省力化が図られる。また、仮設材が不要であるのでコストダウンが図られる。
本発明は、上端面及び下端面が、前面水平部、中間斜降部及び背面水平部からなるコンクリートパネルを上下に積層してなる擁壁において、下部コンクリートパネルの上端面と上部コンクリートパネルの下端面との間に形成される前面水平目地部、中間斜降目地部及び背面水平目地部からなる目地の前記前面水平目地部と前記背面水平目地部との2箇所に緩衝材が介装されていることを特徴とする。
本発明に用いられる緩衝材は、弾性変形による柔軟性と追随性によりコンクリートパネルの特定部分に荷重が集中するのを防止し、応力を分散吸収してコンクリートパネルのクラックや破損を防止するとともに、柔軟性、追随性により擁壁の直立性(斜壁の場合は斜め方向の直線性)を保持するものである。
このような緩衝材としては、天然ゴム、合成ゴム、エラストマー、発泡合成樹脂等が挙げられる。合成ゴム、エラストマーとしては、ブタジエン(BR)、スチレン−ブタジエン(SBR)、クロロプレン(CR)、ブタジエン−アクリロニトリル(NBR)等のジエン系ゴム、イソブチレン−イソプレン(IIR)、エチレン−プロピレン(EPM、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エピクロルヒドリン系、有機ケイ素化合物系、含フッ素化合物系、ウレタン系、ビニル系等の非ジエン系ゴム、スチレン系、オレフィン系、エステル系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。発泡合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン等が挙げられる。
これらは、コンクリートパネルの荷重、盛土材の土圧等を勘案して適度な硬度のものが選ばれるが、例えば、ゴムの場合は、通常、硬度55〜65程度のものが好ましい。勿論、古タイヤ等をリサイクルしたものも使用可能である。また、紙、各種合成繊維、ガラス繊維、これらからなる布、ネット等を表面又は内部に配することにより補強したゴム等も使用可能である。
緩衝材は、コンクリートパネルと色が異なる場合は、目地として興趣のある外観を呈するが、逆に、これを余り好まない場合は、コンクリートパネルと同系色として目立たなくすることも可能である。
緩衝材は2枚を用い、それぞれ前面水平目地部と背面水平目地部とに介装させてもよいが、下記に示す如く、2枚の緩衝材を連結部で連結することにより一体化すれば、恰も1
枚の緩衝材の如くとなるので、2枚の緩衝材をそれぞれ製造し、在庫管理し、また、施工の際に2枚の緩衝材を介装するのに比べ、製造の生産性、在庫管理の効率化が図られるとともに、施工性や施工性も大巾に向上するので望ましい。尚、連結方法は特に制限されず、2枚の緩衝材が連結されておればよい。
枚の緩衝材の如くとなるので、2枚の緩衝材をそれぞれ製造し、在庫管理し、また、施工の際に2枚の緩衝材を介装するのに比べ、製造の生産性、在庫管理の効率化が図られるとともに、施工性や施工性も大巾に向上するので望ましい。尚、連結方法は特に制限されず、2枚の緩衝材が連結されておればよい。
図1〜図6は、本発明に用いられる緩衝材の好ましい例を示すものである。
図1において、(a)は上面図、(b)、(c)、(d)はそれぞれA−A断面図(便宜上、3種の断面を示す)で、緩衝材1は前面水平目地部の緩衝材2と背面水平目地部の緩衝材3とからなり、両者は表面付近(b)、中間付近(c)、裏面付近(d)でそれぞれ薄い連結部4により連結一体化されている。
図1において、(a)は上面図、(b)、(c)、(d)はそれぞれA−A断面図(便宜上、3種の断面を示す)で、緩衝材1は前面水平目地部の緩衝材2と背面水平目地部の緩衝材3とからなり、両者は表面付近(b)、中間付近(c)、裏面付近(d)でそれぞれ薄い連結部4により連結一体化されている。
図2の緩衝材1は、前面水平目地部の緩衝材2と背面水平目地部の緩衝材3とが両端(図面では上下両端)付近で帯状の連結部4により連結一体化されている。連結部4の部位は、図1の(b)、(c)、(d)で示したうちのいずれでもよい。
図3の緩衝材1は、前面水平目地部の緩衝材2、背面水平目地部の緩衝材3の各表面が波形状に形成されており、また、図4の緩衝材1は、波形状に代えて半円状の突起が形成されている。連結部4の部位は、図1の(b)、(c)、(d)で示したうちのいずれでもよい。このように表面を凹凸状とすることにより、弾性が高められ、柔軟性、追随性が一層良好となり、好ましい結果を与える。
図5の緩衝材1は、前面水平目地部の緩衝材2の弾性率を背面緩衝材3の弾性率よりも高くしている。前記した如く、コンクリートパネル(擁壁)には裏込め材としての盛土材から大きな荷重が掛り前傾したり前倒れになる傾向があるので、前面水平目地部の緩衝材2の緩衝材の応力分散性、吸収性を大きくしたものである。この場合、背面目地部の緩衝材3としては、少々弾性率の低いものでもよく、古タイヤのリサイクル品等からなる安価な材料からなるものを使用することができる。
図6の緩衝材1は、前面水平目地部の緩衝材2と背面水平目地部の緩衝材3とが外側から内側に向かって集束するテーパー状(クサビ状)に形成されている。
図7の緩衝材1は、前面水平目地部の緩衝材2と背面水平目地部3とが略同じ厚さの連結部4とで連結一体化されている。この場合は、連結部4も恰も中間斜降目地部の緩衝材として機能することが期待される。
以上のように、本発明の擁壁構造は、背面水平目地部と背面水平目地部の2箇所に緩衝材が介装されているので、従来の背面水平目地部のみに緩衝材を介装した1点(1面)支持の場合のように、土圧等により前面側に倒れたり傾いたりすることがなく、また、1点(1面)支持部を支点として転倒したり、表面側に回転するといった問題が一挙に解消される。
また、裏込め用盛土材等から受ける応力は、柔軟性、追随性に優れた2箇所の緩衝材で十分に分散、吸収されるので、変形、変位量は驚異的に小さくなり、長期に亘って良好な外観を維持するとともに、安全性、及び信頼性が大巾に高められる。
また、裏込め用盛土材等から受ける応力は、柔軟性、追随性に優れた2箇所の緩衝材で十分に分散、吸収されるので、変形、変位量は驚異的に小さくなり、長期に亘って良好な外観を維持するとともに、安全性、及び信頼性が大巾に高められる。
さらに、本発明の擁壁構造の構築方法は、従来工法のようにライナー等の仮設材で直立性を微調整しながら背面水平目地部に緩衝材を敷設し、コンクリートパネルを積み重ねる必要がなく、前面水平目地部と背面水平目地部に緩衝材を敷設、介装するだけでよい。従って、施工性は高められ、大巾な省力化が図られる。また、仮設材が不要であるのでコストダウンが図られる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されないことは云うまでもない。
実施例1
図8は、本発明の擁壁構造の一例を示す要部概略断面図である。
同図において、上端面11Aが前面水平部a1、中間斜降部a2及び背面水平部a3からなり、下端面11Bが前面水平部b1、中間斜降部b2及び背面水平部b3からなるコンクリートパネル11を上下に積層してなり、下部コンクリートパネル11(L)の上端面11Aと上部コンクリートパネル11(U)の下端面11Bとの間に形成される目地、即ち、a1とb1との間に形成される前面水平目地部M1、a2とb2との間に形成される中間斜降目地部M2及び背面水平目地部M3からなる目地において、前面水平目地部M1と背面水平目地部M3との2箇所に、前面水平目地部M1の緩衝材2、背面水平目地部M3の緩衝材3がそれぞれ介装されている。12は、上部コンクリートパネル11(U)と下部コンクリートパネル(L)とを連結するための連結ピン、連結棒等の連結具、13は裏込め用の盛土材である。
図8は、本発明の擁壁構造の一例を示す要部概略断面図である。
同図において、上端面11Aが前面水平部a1、中間斜降部a2及び背面水平部a3からなり、下端面11Bが前面水平部b1、中間斜降部b2及び背面水平部b3からなるコンクリートパネル11を上下に積層してなり、下部コンクリートパネル11(L)の上端面11Aと上部コンクリートパネル11(U)の下端面11Bとの間に形成される目地、即ち、a1とb1との間に形成される前面水平目地部M1、a2とb2との間に形成される中間斜降目地部M2及び背面水平目地部M3からなる目地において、前面水平目地部M1と背面水平目地部M3との2箇所に、前面水平目地部M1の緩衝材2、背面水平目地部M3の緩衝材3がそれぞれ介装されている。12は、上部コンクリートパネル11(U)と下部コンクリートパネル(L)とを連結するための連結ピン、連結棒等の連結具、13は裏込め用の盛土材である。
上記の擁壁構造は、下部コンクリートパネル11(L)の上端面11Aの前面水平部a1、中間斜降部a2、及び背面水平部a3のうちの前面水平部a1、背面水平部a3の上面に、前面水平目地部の緩衝材2、背面水平目地部の緩衝材3をそれぞれ載置し、次いで、上部コンクリートパネル11(U)の下端面11Bの前面水平部b1、背面水平部b3を前面水平目地部の緩衝材2、背面水平目地部の緩衝材3の上部に載置することにより、前面水平目地部M1と背面水平目地部M3にそれぞれ緩衝材2、3を介装したコンクリート擁壁を構築することができる。
実施例2
図9は、本発明の擁壁構造の他の例を示すもので、図1(a)、(c)で示した、連結部4で連結された緩衝材1を用い、前面水平目地部の緩衝材2を前面水平目地部M1に、背面水平目地部の緩衝材3を背面水平目地部M3に介装した例である。本例では、緩衝材2、3とも前面水平目地部M1、背面水平目地部M3の僅かに内側寄りに介装され、図8とは少し趣きの異なる外観に仕上げられている。
図9は、本発明の擁壁構造の他の例を示すもので、図1(a)、(c)で示した、連結部4で連結された緩衝材1を用い、前面水平目地部の緩衝材2を前面水平目地部M1に、背面水平目地部の緩衝材3を背面水平目地部M3に介装した例である。本例では、緩衝材2、3とも前面水平目地部M1、背面水平目地部M3の僅かに内側寄りに介装され、図8とは少し趣きの異なる外観に仕上げられている。
途上のとおり、本発明の擁壁構造は、背面水平目地部と背面水平目地部の2箇所に緩衝材が介装されているので、従来の背面水平目地部のみに緩衝材を介装した1点(1面)支持の場合のように、土圧等により前面側に倒れたり傾いたりすることがなく、また、1点(1面)支持部を支点として転倒したり、表面側に回転するといった問題が解消される。
また、裏込め用盛土材等から受ける応力は、柔軟性、追随性に優れた2箇所の緩衝材で十分に分散、吸収されるので、変形、変位量は驚異的に小さくなり、長期に亘って良好な外観を維持するとともに、安全性、及び信頼性が大巾に高められる。
さらに、本発明の擁壁構造の構築方法は、従来工法のようにライナー等の仮設材で直立性を微調整しながら背面水平目地部に緩衝材を敷設し、コンクリートパネルを積み重ねる必要がなく、前面水平目地部と背面水平目地部に緩衝材を敷設、介装するだけでよい。従って、施工性は高められ、大巾な省力化が図られる。また、仮設材が不要であるのでコストダウンが図られる。
1 緩衝材
2 前面水平目地部の緩衝材
3 背面水平目地部の緩衝材
4 連結部
5 波形
6 突起
11 コンクリートパネル
11A コンクリートパネルの上端面
11B コンクリートパネルの下端面
L 下部コンクリートパネル
U 上部コンクリートパネル
a1、b1 前面水平部
a2、b2 中間斜降部
a3、b3 背面水平部
M1 前面水平目地部
M2 中間斜降目地部
M3 背面水平目地部
12 連結具
13 裏込め用の盛土材
14 緩衝材
2 前面水平目地部の緩衝材
3 背面水平目地部の緩衝材
4 連結部
5 波形
6 突起
11 コンクリートパネル
11A コンクリートパネルの上端面
11B コンクリートパネルの下端面
L 下部コンクリートパネル
U 上部コンクリートパネル
a1、b1 前面水平部
a2、b2 中間斜降部
a3、b3 背面水平部
M1 前面水平目地部
M2 中間斜降目地部
M3 背面水平目地部
12 連結具
13 裏込め用の盛土材
14 緩衝材
Claims (9)
- 上端面及び下端面が、前面水平部、中間斜降部及び背面水平部からなるコンクリートパネルを上下に積層してなる擁壁において、下部コンクリートパネルの上端面と上部コンクリートパネルの下端面との間に形成される前面水平目地部、中間斜降目地部及び背面水平目地部からなる目地の前記前面水平目地部と前記背面水平目地部との2箇所に緩衝材が介装されていることを特徴とする擁壁構造。
- 前面水平部の緩衝材と背面水平部の緩衝材とが連結部により連結されていることを特徴とする請求項1記載の擁壁構造。
- 前面水平目地部の緩衝材の弾性率と背面水平目地部の緩衝材の弾性率とが異なることを特徴とする請求項1又は2記載の擁壁構造。
- 緩衝材がゴムからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の擁壁構造。
- 緩衝材が補強材入りゴムからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の擁壁構造。
- 緩衝材が発泡合成樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の擁壁構造。
- 緩衝材がエラストマーからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の擁壁構造。
- 緩衝材がコンクリートパネルと同系色であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の擁壁構造。
- 上端面及び下端面が、前面水平部、中間斜降部及び背面水平部からなるコンクリートパネルを上下に積層して擁壁を構築するに際し、下部コンクリートパネルの上端面と上部コンクリートパネルの下端面との間に形成される前面水平目地部、中間斜降目地部及び背面水平目地部からなる目地の前記前面水平目地部と前記背面水平目地部との2箇所に緩衝材を介装しながらコンクリートパネルを積層することを特徴とする擁壁構築方法。
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