JP2007154762A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Hiroyuki Yamaji
洋行 山路
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Abstract

【課題】固定スクロール(21)の鏡板(21a)に形成した連通路(32)をピストン(33)(33)で開閉する運転容量制御機構(30)を備えたスクロール圧縮機において、ピストン(33)の先端面(33f)と固定スクロール(21)の鏡板(21a)の内面(21h)との段差を実質的にゼロにして、通常運転時の冷媒の漏れによる性能低下を防止する。
【解決手段】ピストン(33)が連通路(32)を閉鎖する状態でピストン(33)の先端面(33f)が固定スクロール(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するようにピストン(33)の寸法公差を設定する。また、ピストン(33)が連通路(32)を閉鎖する状態で固定スクロール(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出する部分を先端部(33g)としたときに、少なくともその先端部(33g)を可動側ラップ(22b)よりも耐摩耗性の低い材料で形成する。
【選択図】図10

Description

本発明は、互いに噛み合う第1スクロール部材と第2スクロール部材の少なくとも一方が偏心回転運動をするスクロール圧縮機に関し、特に、第1スクロール部材に設けた容量制御用の開口をピストンにより開閉して運転容量を制御する機構に関するものである。
従来より、スクロール圧縮機は例えば冷凍サイクルで冷媒ガスを圧縮する圧縮機構として用いられている(例えば特許文献1参照)。スクロール圧縮機は、互いに噛み合う渦巻き状のラップを鏡板上に有する固定スクロール(第1スクロール部材)と可動スクロール(第2スクロール部材)とをケーシング内に備えている。固定スクロールはケーシングに圧入や溶接により保持されたハウジングに固定され、可動スクロールは駆動軸(クランク軸)の偏心部に回転可能に嵌合している。固定スクロールと可動スクロールは、鏡板のラップ側の面が内面となるように向き合った状態で両ラップが噛み合っている。このスクロール圧縮機では、可動スクロールが固定スクロールに対して自転することなく公転のみを行うことで、両スクロールのラップ間に形成される圧縮室を収縮させて冷媒などのガスを圧縮し、圧縮機構の吐出口から吐出する動作が行われる。
特許文献1のスクロール圧縮機では、運転容量制御機構として、固定スクロールの鏡板における圧縮室の中間圧位置に、圧縮機の低圧側に連通する開口を形成するとともに、この開口を開閉する機構(アンロード機構(30))が設けられている。この運転容量制御機構では、上記開口を開閉する部材としてピストンが用いられている。このピストンは、開口の中に進入して該開口を閉鎖する閉鎖位置と、開口から退避して該開口を解放する開放位置との間で進退可能に構成されている。そして、上記ピストンで開口を塞いだ状態では設計容量通りの運転を行い、ピストンが開口を開放した状態では中間圧冷媒を低圧側に逃がすことで運転容量を減らすようにしている。
特開平01−106990号公報
ところで、圧縮機構は、一般に、可動スクロールのラップの先端(またはラップの先端に装着されたチップシール)が固定スクロールの鏡板の内面に実質的に接触した状態(冷媒の漏れがない状態)となるように設計されている。
そこで、上記運転容量制御機構において、ピストンが開口を塞いだ状態で、ピストンの先端面は、冷媒の漏れなどの不具合が生じないように、鏡板の内面と同一平面上に位置して段差がないことが望ましい。しかし、上記ピストンや固定スクロールが加工部品であり、寸法公差や組み立て誤差があることを考慮すると、ピストンの先端と鏡板の内面との段差をゼロにすることは実際問題としてはほぼ不可能である。そのため、鏡板の内面とピストンの先端面とに段差が生じることは避けられず、通常運転時に冷媒の漏れが生じて性能が低下することとなる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、容量制御用の開口をピストンで開閉する運転容量制御機構を備えたスクロール圧縮機において、ピストンの先端と鏡板の内面との段差を実質的にゼロにして、通常運転時の冷媒の漏れによる性能低下を防止することである。
第1の発明は、互いに噛み合う渦巻き状のラップ(21b,22b)を鏡板(21a,22a)上に備えた第1スクロール部材(21)と第2スクロール部材(22)の少なくとも一方が偏心回転運動をするとともに、両鏡板(21a,22a)の内面(21h)の間でラップ(21b,22b)同士が噛み合って圧縮室(25a,25b)が形成された圧縮機構(20)をケーシング(10)内に備え、第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)に形成されて上記圧縮室(25a,25b)に連通する開口(32)と、該開口(32)を開閉するピストン(33)とを有する運転容量制御機構(30)を備えたスクロール圧縮機を前提としている。
そして、このスクロール圧縮機は、上記ピストン(33)が、上記開口(32)を閉鎖する状態で、先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出する寸法公差に基づいて形成され、上記ピストン(33)が上記開口(32)を閉鎖する状態で上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出する部分を先端部(33g)としたときに、少なくともその先端部(33g)がラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い材料により形成されていることを特徴としている。ここで、ラップ(21b,22b)の先端にチップシールが装着される場合、ピストン(33)の先端部(33g)はチップシールよりも耐摩耗性の低い材料により形成される。
この第1の発明では、組み立て初期に、上記第1スクロール部材(21)の開口(32)にピストン(33)を装着し、該ピストン(33)で開口(32)を閉鎖すると、ピストン(33)の先端部(33g)が該第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出する。この突出した先端部(33g)は、ラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い材料により形成されている。したがって、その状態で第1スクロール部材(21)と第2スクロール部材(22)を噛み合わせて圧縮機構(20)の運転(通常運転)を行うと、上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)から突出したピストン(33)の先端部(33g)が第2スクロール部材(22)のラップ(22b)との摺動によって摩耗する。その結果、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置することになる。
第2の発明は、第1の発明において、ピストン(33)の先端部(33g)がラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い合成樹脂材料の先端層(33g)をピストン(33)の本体部(33i)に積層することにより形成されていることを特徴としている。この先端層(33g)は、例えば、ピストン(33)の本体部(33i)に合成樹脂材料をコーティングすることにより形成することができる。
この第2の発明では、組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)に形成した合成樹脂材料の先端層(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。
第3の発明は、第1の発明において、ピストン(33)の先端部(33g)がラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い金属材料の先端層(33g)をピストン(33)の本体部(33i)に積層することにより形成されていることを特徴としている。この先端層(33g)は、例えば、ピストン(33)の本体部(33i)に金属材料をメッキすることにより形成することができる。
この第3の発明では、組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)に形成した金属材料の先端層(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。
第4の発明は、第1の発明において、ピストン(33)の全体がラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い材料により一体的に形成されていることを特徴としている。
この第4の発明では、組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、ピストン(33)の全体がラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い材料で形成されているため、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。
第5の発明は、第4の発明において、ピストン(33)の全体がラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い合成樹脂材料により形成されていることを特徴としている。
この第5の発明では、組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、ピストン(33)の全体がラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い合成樹脂材料で形成されているため、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。
第6の発明は、第1の発明において、ピストン(33)の先端部(33g)がラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い材料の先端層(33g)をピストン(33)の本体部(33i)に積層することにより形成され、上記ピストン(33)で運転容量制御機構(30)の開口(32)を閉鎖して該ピストン(33)の先端層(33g)の先端面(33f)が第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置するか突出する状態で、該先端層(33g)の後端面(33h)が上記開口(32)内に位置するように構成されていることを特徴としている。
この第6の発明では、組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)に形成した先端層(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。また、組み立て初期にピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出した状態であっても、通常運転後にピストン(33)の先端面(33f)が上記内面(21h)と同一面上に位置する状態であっても、上記先端層(33g)の後端面(33h)は上記開口(32)内に位置している。つまり、ピストン(33)の先端部(33g)には先端層(33g)が必ず残った状態になっている。
第7の発明は、第1の発明において、ピストン(33)の全面にはラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い材料のカバー層(33j)が積層され、上記ピストン(33)で運転容量制御機構(30)の開口(32)を閉鎖して該ピストン(33)の先端面(33f)が第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一平面上に位置する状態で、該ピストン(33)の先端側のカバー層(33j)の厚さが他の部分のカバー層(33j)の厚さよりも薄いことを特徴としている。
この第7の発明では、ピストン(33)を、該ピストン(33)の本体部(33i)の全面にラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い材料による均一な厚さのカバー層(33j)を形成したものにした場合に、組み立て初期には、ピストン(33)に形成したカバー層(33j)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。このとき、該ピストン(33)の先端側のカバー層(33j)の厚さが他の部分のカバー層(33j)の厚さよりも薄くなる。
第8の発明は、第1から第7の発明の何れか1つにおいて、運転容量制御機構(30)が圧縮機構(20)の吸入行程における圧縮室(25a,25b)の吸入閉じ切り位置を調節することにより吸入容積を調整可能な吸入容積調整機構(30)により構成されていることを特徴としている。
この第8の発明では、圧縮機構(20)の吸入行程における圧縮室(25a,25b)の吸入閉じ切り位置(吸入行程が完了して圧縮行程が開始される位置)を調節することにより吸入容積を調整可能な吸入容積調整機構(30)を、第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)に形成されて圧縮室(25a,25b)に連通する開口(32)と、該開口(32)を開閉するピストン(33)とを用いて構成したスクロール圧縮機において、組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。
第9の発明は、第1から第7の発明の何れか1つにおいて、運転容量制御機構(30)が、圧縮途中の中間圧の冷媒を圧縮機構(20)の吸入側に戻すことの可能なアンロード機構(30)により構成されていることを特徴としている。
この第9の発明では、圧縮途中の中間圧の冷媒を圧縮機構(20)の吸入側に戻すことの可能なアンロード機構(30)を、第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)に形成されて圧縮室(25a,25b)に連通する開口(32)と、該開口(32)を開閉するピストン(33)とを用いて構成したスクロール圧縮機において、組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。
第10の発明は、第1から第9の発明の何れか1つにおいて、圧縮機構(20)が、ケーシング(10)に保持される第1スクロール部材(21)である固定スクロール(21)と、該固定スクロール(21)に対して偏心回転運動をする第2スクロール部材(22)である可動スクロール(22)とを備え、上記固定スクロール(21)に運転容量制御機構(30)が設けられ、ケーシング(10)内には、可動スクロール(22)の駆動源である電動機(45)が収納されていることを特徴としている。なお、固定スクロール(21)は、一般に、ケーシング(10)に圧入や溶接により保持されるハウジング(23)にボルト等で固定される。
この第10の発明では、ケーシング(10)内に固定スクロール(21)と可動スクロール(22)とからなる圧縮機構(20)と、可動スクロール(22)を駆動する電動機(45)とを備え、固定スクロール(21)に運転容量制御機構(30)が設けられたスクロール圧縮機において、圧縮機構(20)の組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)が上記固定スクロール(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記固定スクロール(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。
本発明によれば、組み立て初期に、上記第1スクロール部材(21)の開口(32)にピストン(33)を装着し、該ピストン(33)で開口(32)を閉鎖すると、ピストン(33)の先端部(33g)が該第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、この突出した先端部(33g)がラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い材料により形成されているため、その状態で第1スクロール部材(21)と第2スクロール部材(22)を噛み合わせて圧縮機構(20)の通常運転を行うと、ピストン(33)の先端部(33g)が摩耗する。そして、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置するため、ピストン(33)の先端面(33f)と上記鏡板(21a)の内面(21h)とに段差がない状態となる。したがって、開口(32)をピストン(33)で開閉するタイプの運転容量制御機構(30)を備えたスクロール圧縮機において、通常運転時に開口(32)をピストン(33)で塞いだ部分における冷媒の漏れを防止できるから、性能の低下を防止することが可能となる。
上記第2の発明によれば、組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)に形成した合成樹脂材料の先端層(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。したがって、通常運転時の冷媒の漏れを防止できるから性能の低下を防止できる。また、先端層(33g)を合成樹脂材料のコーティングにより形成できるので、構成を簡単にすることができる。
上記第3の発明によれば、組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)に形成した金属材料の先端層(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。したがって、通常運転時の冷媒の漏れを防止できるから性能の低下を防止できる。また、先端層(33g)を金属材料のメッキにより形成できるので、構成を簡単にすることができる。
上記第4の発明によれば、組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、ピストン(33)の全体がラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い材料で形成されているため、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a,22a)の内面(21h)と同一面上に位置する。したがって、通常運転時の冷媒の漏れを防止できるから性能の低下を防止できる。また、ピストン(33)の全体をラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い材料で形成すればよいので、構成を簡単にすることができる。
上記第5の発明によれば、組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、ピストン(33)の全体がラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い合成樹脂材料で形成されているため、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。したがって、通常運転時の冷媒の漏れを防止できるから性能の低下を防止できる。また、ピストン(33)の全体をラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い合成樹脂材料で形成すればよいので、構成を簡単にすることができる。
上記第6の発明によれば、組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)に形成した先端層(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。したがって、通常運転時の冷媒の漏れを防止できるから性能の低下を防止できる。
また、組み立て初期にピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出した状態であっても、通常運転後にピストン(33)の先端面(33f)が上記内面(21h)と同一面上に位置する状態であっても、上記先端層(33g)の後端面(33h)は上記開口(32)内に位置している。つまり、ピストン(33)の先端部(33g)には先端層(33g)が必ず残った状態になっている。そのため、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する状態を確実に維持できる。
上記第7の発明によれば、ピストン(33)を、該ピストン(33)の本体部(33i)の全面にラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い材料による均一な厚さのカバー層(33j)を形成したものにした場合に、組み立て初期には、ピストン(33)に形成したカバー層(33j)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。このとき、該ピストン(33)の先端側のカバー層(33j)の厚さが他の部分のカバー層(33j)の厚さよりも薄くなる。したがって、ピストン(33)の先端部(33g)には先端層(33g)が必ず残った状態になっている。そのため、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する状態を確実に維持できる。
上記第8の発明によれば、圧縮機構(20)の吸入行程における圧縮室(25a,25b)の吸入閉じ切り位置(吸入行程が完了して圧縮行程が開始される位置)を調節することにより吸入容積を調整可能な吸入容積調整機構(30)を、第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)に形成されて圧縮室(25a,25b)に連通する開口(32)と、該開口(32)を開閉するピストン(33)とを用いて構成したスクロール圧縮機において、組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。したがって、通常運転時の冷媒の漏れを防止できるから性能の低下を防止できる。
上記第9の発明によれば、圧縮途中の中間圧の冷媒を圧縮機構(20)の吸入側に戻すことの可能なアンロード機構(30)を、第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)に形成されて圧縮室(25a,25b)に連通する開口(32)と、該開口(32)を開閉するピストン(33)とを用いて構成したスクロール圧縮機において、組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。したがって、通常運転時の冷媒の漏れを防止できるから性能の低下を防止できる。
上記第10の発明によれば、ケーシング(10)内に固定スクロール(21)と可動スクロール(22)とからなる圧縮機構(20)と、可動スクロール(22)を駆動する電動機(45)とを備え、固定スクロール(21)に運転容量制御機構(30)が設けられたスクロール圧縮機において、圧縮機構(20)の組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)が上記固定スクロール(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記固定スクロール(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。したがって、通常運転時の冷媒の漏れを防止できるから性能の低下を防止できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。
本実施形態のスクロール圧縮機は、例えば、蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う空気調和装置の冷媒回路に設けられ、蒸発器から吸入した低圧の冷媒を圧縮して凝縮器へ吐出するものである。
図1に示すように、上記スクロール圧縮機(1)は、いわゆる全密閉型に構成されている。このスクロール圧縮機(1)は、縦長円筒形の密閉容器状に形成されたケーシング(10)を備えている。ケーシング(10)は、縦長円筒部材である胴部(11)と、胴部(11)の上端部に固定された上部胴体(12)と、胴部(11)の下端部に固定された下部胴体(13)とから構成されている。
このケーシング(10)内には、冷媒を圧縮する圧縮機構(20)と、該圧縮機構(20)を駆動する電動機(45)とが収納されている。この電動機(45)は、圧縮機構(20)の下方に配置され、回転軸である駆動軸(40)を介して圧縮機構(20)に連結されている。この電動機(45)には、インバータ制御により回転速度を可変に調整することが可能なブラシレスDCモータが用いられている。
上記ケーシング(10)の頂部である上部胴体(12)には、吸入管(14)が貫通して取り付けられている。この吸入管(14)は、終端(図の下端)が圧縮機構(20)に接続されている。上記ケーシング(10)の胴部(11)には、吐出管(15)が貫通して取り付けられている。この吐出管(15)は、終端(図の右端)がケーシング(10)内の圧縮機構(20)と電動機(45)の間に開口している。
上記駆動軸(40)は、ケーシング(10)の上下方向の中心線上に配置されている。この駆動軸(40)は、主軸部(41)と偏心部(42)とを備え、クランク軸を構成している。上記偏心部(42)は、主軸部(41)よりも小径に形成され、主軸部(41)の上端面に形成されている。そして、この偏心部(42)は、主軸部(41)の軸心に対して所定寸法だけ偏心し、偏心ピンを構成している。
上記ケーシング(10)の胴部(11)内には、その下端付近に、下部軸受部材(48)が固定されている。この下部軸受部材(48)は、滑り軸受(48a)を介して駆動軸(40)の主軸部(41)の下端部を回転自在に支持している。
なお、図示していないが、上記駆動軸(40)の内部には、上下方向へ延びる給油通路が形成されている。また、主軸部(41)の下端部には、給油ポンプ(43)が設けられている。この給油ポンプ(43)によってケーシング(10)の底部から冷凍機油が吸い上げられ、その冷凍機油は、駆動軸(40)の給油通路を通って圧縮機構(20)の摺動部や駆動軸(40)の軸受部へ供給される。
上記電動機(45)は、ステータ(46)とロータ(47)とによって構成されている。ステータ(46)は、ケーシング(10)の胴部(11)に固定されている。ロータ(47)は、駆動軸(40)の主軸部(41)に連結され、駆動軸(40)を回転駆動する。
上記圧縮機構(20)は、第1スクロール部材である固定スクロール(21)と、第2スクロール部材である可動スクロール(22)とを備えると共に、固定スクロール(21)を固定支持するハウジング(23)を備えている。固定スクロール(21)と可動スクロール(22)は、後述するように、互いに噛み合う渦巻き状のラップ(21b,22b)を鏡板(21a,22a)上に備えている。そして、上記圧縮機構(20)は、可動スクロール(22)が固定スクロール(21)に対して偏心回転運動をするように構成されている。
上記ハウジング(23)は、フランジ部(23a)と本体部(23b)と軸受部(23c)とによって構成されている。これらフランジ部(23a)、本体部(23b)および軸受部(23c)は、上から下へ連続して形成され、本体部(23b)がケーシング(10)の胴部(11)に嵌合して接合されている。フランジ部(23a)は、本体部(23b)の上端において該本体部(23b)から径方向外方へ突出している。軸受部(23c)は、本体部(23b)よりも小径に形成され、本体部(23b)の下面から下方へ突出している。この軸受部(23c)は、滑り軸受(23d)を介して駆動軸(40)の主軸部(41)を回転自在に支持している。
上記固定スクロール(21)は、固定側鏡板(21a)と、固定側ラップ(21b)と、縁部(21c)とを備えている。上記固定側鏡板(21a)は略円板状に形成されている。上記固定側ラップ(21b)は、固定側鏡板(21a)の下面に立設され、該固定側鏡板(21a)に一体形成されている。この固定側ラップ(21b)は、高さが一定の渦巻き壁状に形成されている。上記縁部(21c)は、固定側鏡板(21a)の外周縁部から下方へ向かって延びる壁状の部分と、その壁上の部分の下端部から径方向外方へ突出し、ハウジング(23)のフランジ部(23a)の上面に固定されるフランジ状の部分とから構成されている。
上記可動スクロール(22)は、可動側鏡板(22a)と、可動側ラップ(22b)と、ボス部(22c)とを備えている。上記可動側鏡板(22a)は略円板状に形成されている。上記可動側ラップ(22b)は、可動側鏡板(22a)の上面に立設され、該可動側鏡板(22a)に一体形成されている。この可動側ラップ(22b)は、高さが一定の渦巻き壁状に形成され、固定スクロール(21)の固定側ラップ(21b)に噛合するように構成されている。上記ボス部(22c)は、可動側鏡板(22a)の下面から下方へ延設され、該可動側鏡板(22a)に一体形成されている。
このボス部(22c)には、滑り軸受(22d)を介して駆動軸(40)の偏心部(42)が挿入されている。このため、上記駆動軸(40)が回転すると、可動スクロール(22)が主軸部(41)の軸心を中心として公転する。この可動スクロール(22)の公転半径は、偏心部(42)の偏心量、すなわち主軸部(41)の軸心から偏心部(42)の軸心までの寸法と同じである。
上記可動側鏡板(22a)はハウジング(23)の上端面に設けられた第1凹部(23e)内に位置し、上記ボス部(22c)はハウジング(23)の本体部(23b)に設けられた第2凹部(23f)内に位置している。なお、上記可動側鏡板(22a)とハウジング(23)との間には、可動スクロール(22)の自転を阻止するオルダム継手(24)が配設されている。上記第1凹部(23e)は可動側鏡板(22a)の偏心回転運動を許容する大きさに形成され、上記第2凹部(23f)はボス部(22c)の偏心回転運動を許容する大きさに形成されている。
図2は図1のII−II線断面図であり、圧縮機構(20)の横断面形状を表している。この図2に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機(1)では、いわゆる非対称渦巻き構造が採用されており、固定側ラップ(21b)と可動側ラップ(22b)とで巻き数(渦巻きの長さ)が相違している。具体的に、上記固定側ラップ(21b)は、可動側ラップ(22b)よりも約1/2巻き分だけ渦巻きの巻き数が長くなっている。ただし、固定側ラップ(21b)の最外周の一巻き分には外周面は形成されておらず、その範囲で固定側ラップ(21b)が固定スクロール(21)の縁部(21c)につながっている。そして、固定側ラップ(21b)の巻き終わり端は、外周側端部とそれよりも一巻き分だけ長く巻かれたところに位置する内周側端部とが向き合った形で終結しており、その近傍に可動側ラップ(22b)の外周側端部(巻き終わり端)が位置している。
上記圧縮機構(20)は、固定側鏡板(21a)と可動側鏡板(22a)の間で固定側ラップ(21b)と可動側ラップ(22b)が噛合して区画形成された複数の圧縮室(25a,25b)を備えている。これら複数の圧縮室(25a,25b)は、固定側ラップ(21b)の内周面と可動側ラップ(22b)の外周面との間に構成される第1圧縮室(25a)と、固定側ラップ(21b)の外周面と可動側ラップ(22b)の内周面との間に構成される第2圧縮室(25b)とから構成され、第1圧縮室(25a)と第2圧縮室(25b)のそれぞれが複数形成されている。この例では、上記固定側ラップ(21b)の巻き数が可動側ラップ(22b)の巻き数よりも多いため、第1圧縮室(25a)の最大容積が第2圧縮室(25b)の最大容積よりも大きい。
図1に示すように、上記固定スクロール(21)の外周側には、吸入管(14)の終端が接続される吸入ポート(29)が形成されている。この吸入ポート(29)には、図示していないが、圧縮室(25a,25b)への冷媒の吸入のみを許容し、逆向きの冷媒の流れを禁止する逆止弁が設けられている。この吸入ポート(29)は、可動スクロール(22)の公転運動に伴って、第1圧縮室(25a)と第2圧縮室(25b)のそれぞれに間欠的に連通する。
上記固定側鏡板(21a)の上端部には凹陥部(21g)が形成され、該固定側鏡板(21a)の上面には、上記凹陥部(21g)を覆う吐出カバー(27)が取り付けられている。そして、この凹陥部(21g)が吐出カバー(27)で覆われた空間が吐出室(28)として構成されている。この固定側鏡板(21a)の中央には、吐出室(28)に開口する吐出ポート(26)が形成されている。この吐出ポート(26)は、可動スクロール(22)の公転運動に伴って第1圧縮室(25a)と第2圧縮室(25b)のそれぞれに間欠的に連通する。なお、上記吐出室(28)に吐出されたガス冷媒は、固定スクロール(21)とハウジング(23)に形成された図示しないガス通路を通じてハウジング(23)の下方の空間(高圧空間)(16)に導入され、吐出管(15)からケーシング(10)外へ吐出される。ケーシング(10)内は、ハウジング(23)の下方の空間が高圧空間(16)であるのに対して、ハウジングの上方の空間(圧縮機構(20)の周囲の空間)は、低圧空間(17)になるように構成されている。
この実施形態では、圧縮機構(20)の吸入行程における圧縮室(25a,25b)の吸入閉じ切り位置を調節することにより吸入容積を調整することのできる吸入容積調整機構(30)が運転容量制御機構として設けられている。この吸入容積調整機構(30)は、第1圧縮室(25a)と第2圧縮室(25b)の両方で吸入閉じ切り位置(吸入行程が完了し、圧縮行程が開始される位置)を調節できるものであり、図2に示すように渦巻きの外周側一巻き範囲内の1箇所のみに設けられている。この吸入容積調整機構(30)は、第1圧縮室(25a)と第2圧縮室(25b)とを連通状態と遮断状態とに切り換え可能な開閉機構(31)により構成されている。
上記開閉機構(31)は、その断面構造を表す図3に示すように、具体的には、第1圧縮室(25a)と第2圧縮室(25b)とが連通状態にあるときに両圧縮室(25a,25b)間での冷媒の流れを許容するように圧縮室(25a,25b)に連通する連通路(開口)(32)と、この連通路(32)を開放する開放位置と該連通路(32)を閉鎖する閉鎖位置とに移動可能なピストン(閉鎖部材)(33)と、このピストン(33)を開放位置と閉鎖位置とに位置変化させる開閉駆動機構(34)とを備えている。
上記連通路(32)は、固定側鏡板(21a)に形成された段付き穴(32)により構成されている。この段付き穴(32)は、固定スクロール(21)の底面図である図4に示すように、渦巻きの外周側一巻き範囲内で、図において渦巻き中心の左側斜め下方の位置に形成されている。この段付き穴(32)は、固定スクロール(21)のサブアセンブリを示す断面図である図5に示すように、固定側鏡板(21a)の上面に開口した大径部(32a)と、それよりも直径の小さな小径部(32b)とから構成されていて、小径部(32b)が上記連通路(32)を構成している。この段付き穴(32)は、小径部(32b)が固定側ラップ(21b)の歯と歯の間に位置するように形成されている。この小径部(32b)は、可動側ラップ(22b)の歯の厚さよりも直径が大きい円形の穴である。
上記段付き穴(32)の中には、図6に示す圧縮コイルバネ(付勢部材)(35)と、先端部で上記小径部(32b)を開閉する上記ピストン(33)(図7参照)とが装填されている。このピストン(33)は、図7に示すように、上記小径部(32b)と嵌合する寸法のプラグ部(33a)と、このプラグ部(33a)よりも大径で上記圧縮コイルバネ(35)が装着されるバネ受け部(33b)と、このバネ受け部(33b)よりも大径のシール装着部(33c)とが、先端(図の下端)側から連続するように一体的に形成されたものである。そして、上記シール装着部(33c)には周方向に沿ってシール装着溝(33d)が形成され、このシール装着溝(33d)には図8に示すリング状のシール部材(33e)が装着されている。
図5に示すように、上記開閉駆動機構(34)は、ピストン(33)を開放位置に向かって付勢する上記圧縮コイルバネ(35)と、ピストン(33)に低圧圧力を印加する状態と該ピストン(33)に圧縮コイルバネ(35)の付勢力に抗して高圧圧力を印加する状態とを切り換える切換弁(切換部材)(36)とから構成されている。切換弁(36)によりピストン(33)の後端面(上端面)に低圧圧力を印加した状態では、ピストン(33)を押し下げようとする力よりも圧縮コイルバネ(35)がピストン(33)を押し上げる力が勝って図9に示すように上記連通路(32)が開き、第1圧縮室(25a)と第2圧縮室(25b)とが連通状態になる(図3参照)。一方、切換弁(36)によりピストン(33)の後端面に高圧圧力を印加した状態では、ピストン(33)を押し下げる力が、圧縮コイルバネ(35)によりピストン(33)を押し上げようとする力よりも勝って図10に示すように上記連通路(32)が閉じ、第1圧縮室(25a)と第2圧縮室(25b)とが遮断状態となる。
上記ピストン(33)は、上記開口を閉鎖する図10の遮断状態で、先端面(33f)が固定側鏡板(21a)の内面(21h)よりも数十ミクロンから数百ミクロン程度突出するような寸法公差に基づいて形成されている。また、ピストン(33)は、上記遮断状態で固定側鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出する部分を先端部(33g)としたときに、その先端部(33g)が可動側ラップ(22b)よりも耐摩耗性の低い材料により形成されている。
このピストン(33)の先端部(33g)は、具体的には、可動側ラップ(22b)よりも耐摩耗性の低い合成樹脂材料の先端層(33g)をピストンの本体部(33i)にコーティングして積層することにより形成されている。また、上記ピストン(33)で上記連通路(32)を閉鎖した遮断状態で、この先端層(33g)の後端面(33h)は上記連通路(32)内に位置するように構成されている。
本実施形態において、組み立て初期には、上記遮断状態においてピストン(33)の先端層(33g)が固定側鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出する(図10)。一方、その状態で固定スクロール(21)と可動スクロール(22)を噛み合わせて圧縮機構(20)の運転(通常運転)を行うと、上記固定側鏡板(21a)の内面(21h)から突出したピストン(33)の先端層(33g)が可動側ラップ(22b)との摺動によって摩耗する。その結果、図11に示すように、遮断状態においてピストン(33)の先端面(33f)が上記固定側鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置することになる。このとき、上記先端層(33g)の後端面(33h)は上記連通路(32)内に位置している。つまり、ピストン(33)には先端層(33g)が残った状態になっている。
吸入容積調整機構(30)の動作の詳細については後述するが、ピストン(33)を閉鎖位置にして運転を行うと、第1圧縮室(25a)と第2圧縮室(25b)とが遮断状態になるため、設計値通りの吸入容積で冷媒を圧縮する通常運転となる。これに対して、ピストン(33)を開放位置にして運転を行うと、第1圧縮室(25a)と第2圧縮室(25b)とが連通状態になるため、設計値よりも少ない吸入容積で冷媒を圧縮する調整運転となる。
−運転動作−
次に、上述したスクロール圧縮機(1)の運転動作について説明する。
まず、上記電動機(45)を駆動すると、駆動軸(40)が回転し、可動スクロール(22)(22)が固定スクロール(21)に対して公転運動を行う。その際、固定スクロール(21)は、オルダム継手(24)によって自転が阻止される。
上記可動スクロール(22)の公転運動に伴って、圧縮室(25a,25b)の容積が周期的に増減を繰り返す。上記圧縮室(25a,25b)では、吸入ポート(29)に連通した部分の容積が増大するときに、冷媒回路の冷媒が吸入管(14)から吸入ポート(29)を通って圧縮室(25a,25b)に吸い込まれ、吸入側が閉じ切られた部分の容積が減少するときに冷媒が圧縮された後、吐出ポート(26)から吐出室(28)に吐出される。吐出室(28)の冷媒は、図示しないガス通路を通じてハウジング(23)の下方の高圧空間(16)に流入し、吐出管(15)から冷媒回路の凝縮器に供給される。
(通常運転時の圧縮機構の動作)
ここで、吸入容積調整機構(30)が作動していないとき(通常運転時)の圧縮機構(20)の冷媒吸入動作及び冷媒圧縮動作について、図12から図17を参照して説明する。この通常運転時は、開閉機構(31)のピストン(33)が閉鎖位置にあって連通路(32)を閉鎖しており、第1圧縮室(25a)と第2圧縮室(25b)とが遮断状態になっている。なお、図12から図17は、圧縮機構(20)の動作状態を6つの段階に分けて示す断面図であり、可動スクロール(22)が図の時計回り方向に所定の角度間隔で公転している様子を表している。
まず、図12に示した第1の動作状態では、可動側ラップ(22b)の巻き終わり端が固定側ラップ(21b)の歯と歯の間に位置しており、最外周の第1圧縮室(25a-0)と第2圧縮室(25b-0)の両方が低圧側に開放された状態で、両圧縮室(25a-0,25b-0)が吸入ポート(29)に連通している。なお、第1圧縮室(25a)に関し、図の中心線Y上のポイントP1で可動側ラップ(22b)の外周面と固定側ラップ(21b)の内周面とが実質的に接触しており(ここで言う「接触」はミクロンオーダーの隙間はあるが、油膜が形成されるために冷媒の漏れが問題にならない状態のことである)、その接触位置(シールポイント)P1よりも内周側(渦巻きの巻始め側)の部分(25a-1)は既に圧縮行程に入っている。
ここから可動スクロール(22)が図において時計回り方向に公転し、図13の第2の動作状態になると、可動側ラップ(22b)の巻き終わり端の内周面が固定側ラップ(21b)の外周面に接触し、その接触位置(シールポイント)P2が第2圧縮室(25b-1)の吸入閉じ切り位置となる。このとき、最外周の第1圧縮室(25a-0)では容積が拡大する吸入行程の途中であり、まだ巻き終わり側のシールポイントは形成されていない。
そこから可動スクロール(22)が公転して図14の第3の動作状態になると、第2圧縮室(25b-1)では容積が縮小して冷媒の圧縮行程が始まり、最外周の第1圧縮室(25a-0)では容積がさらに拡大して冷媒の吸入行程が進む。図15の第4の動作状態では、第2圧縮室(25b-1)での圧縮行程と最外周の第1圧縮室(25a-0)での吸入行程がさらに進んでいる。なお、第2圧縮室(25b)に関しては、既に圧縮途中の第2圧縮室(25b-1)に対して渦巻きの巻き終わり側に新たな第2圧縮室(25b-0)が形成され、そこで吸入行程が開始されている。
図16に示す第5の動作状態になると、最外周の第2圧縮室(25b-0)での吸入行程がさらに進む一方、可動側ラップ(22b)の巻き終わり端の外周面が固定側ラップ(21b)の内周面に接触し、その接触位置(シールポイント)P1が第1圧縮室(25a-1)の吸入閉じ切り位置となる。図17に示す第6の動作状態になると、図16の状態で形成された第1圧縮室(25a-1)での圧縮行程が進むとともに、最外周の第2圧縮室(25b-0)での吸入行程が進む。そして、図12に示す第1の動作状態に戻って、圧縮途中の第1圧縮室(25a-1)の外周側(渦巻きの巻き終わり側)に新たな第1圧縮室(25a-0)が形成される。
その後は、図12から図17の動作が繰り返され、圧縮途中の第1圧縮室(25a-1)及び第2圧縮室(25b-1)が容積を縮小しながら渦巻きの内周側へ移動して、それぞれ吐出直前の第1圧縮室(25a-2)及び第2圧縮室(25b-2)へ変化していく。そして、第1圧縮室(25a-2)及び第2圧縮室(25b-2)は、最も内周側へ移動して容積が最小になったときに吐出ポート(26)と連通し、冷媒が圧縮機構(20)から吐出される。
(調整運転時の圧縮機構の動作)
次に、吸入容積調整機構(30)が作動しているとき(調整運転時)の圧縮機構(20)の冷媒吸入動作及び冷媒圧縮動作について、同じく図12から図17を参照して説明する。この調整運転時は、吸入容積調整機構(30)である開閉機構(31)はピストン(33)が開放位置にあって連通路(32)である小径部(32b)を開放しており、第1圧縮室(25a)と第2圧縮室(25b)とが連通状態(連通可能な状態)になっている。
まず、図12に示した第1の動作状態において、最外周の第1圧縮室(25a-0)と第2圧縮室(25b-0)の両方が低圧側に開放された状態で、両圧縮室(25a-0,25b-0)が吸入ポート(29)に連通している点は通常運転時と同じである。一方、通常運転時には可動側ラップ(22b)の外周面と固定側ラップ(21b)の内周面が図の中心線Y上のポイントP1で接触し、このポイント(シールポイント)P1よりも内周側(渦巻きの巻始め側)の第1圧縮室(25a-1)が既に閉じ切られていたのに対して、この第1圧縮室(25a-1)は連通路(32)を介して、吸入行程の途中にある最外周の第2圧縮室(25b-0)に連通している。したがって、この第1圧縮室(25a-1)はまだ吸入閉じ切り位置の手前の状態であり、上記第2圧縮室(25b)と同様に吸入行程の途中の段階である。
図13の第2の動作状態になると、固定側ラップ(21b)の内周面と可動側ラップ(22b)の外周面との接触点P1が開閉機構(31)の連通路(32)を通過した直後の位置に変位している。したがって、このときの接触位置(シールポイント)P1が第1圧縮室(25a-1)の吸入閉じ切り位置となる。一方、この状態で通常運転時には閉じ切られていた最外周の第2圧縮室(25b-1)は、圧縮行程に入った第1圧縮室(25a-1)の渦巻き外周側に形成されている最外周の第1圧縮室(25a-0)に連通路(32)を通じて連通している。そして、この最外周の第1圧縮室(25a-0)が吸入行程の途中であるため、上記第2圧縮室(25b)は吸入閉じ切り前である。
この状態は図14に示す第3の運転状態と図15に示す第4の運転状態でも同じであり、第2圧縮室(25b-1)は吸入閉じ切り前の状態で、まだ巻き終わり側のシールポイントは形成されていない。このとき、最外周の第1圧縮室(25a-0)も吸入行程の途中である。なお、図15に示す第4の動作状態では、上記第2圧縮室(25b-1)の渦巻き外周側に、新たな第2圧縮室(25b-0)が形成され始めている。
図16に示す第5の動作状態になると、固定側ラップ(21b)の外周面と可動側ラップ(22b)の内周面との接触点P2が開閉機構(31)の連通路(32)を通過する。したがって、このときの接触点P2が第2圧縮室(25b-1)のシールポイントとなり、第2圧縮室(25b-1)での圧縮行程が開始される。この状態で、通常運転時には最外周の第1圧縮室(25a-1)が閉じ切られた状態になっていたが、調整運転時には最外周の第1圧縮室(25a-1)が最外周の第2圧縮室(25b-0)を通じて低圧側に連通しているため、まだ吸入行程の途中である。このことは図17の第6の動作状態でも同じであり、図12の第1の動作状態に戻っても同じである。
以上のように、開閉機構(31)の連通路(32)を開いておくことにより、第1圧縮室(25a)及び第2圧縮室(25b)の両方の吸入容積が通常運転時に比べて小さくなる。その結果、電動機(45)の回転数が同じであるとすると運転容量が減少する。
また、通常運転時よりも圧縮比が小さくなるため、吸入圧力が通常運転時と同じとすると吐出圧力が下がることになる。そのため、例えば冷媒回路の運転条件がスクロール圧縮機(1)の設計点から外れた低圧縮比(低圧力比)の運転条件になっていると、通常運転では、圧縮室(25a,25b)の内圧(吐出圧)がその運転条件での冷媒回路の高圧圧力よりも高い圧力まで上昇することになり(過圧縮)、過圧縮の発生時には余分な圧縮を行う分だけ動力が消費されて圧縮機の効率が低下するのに対して、調整運転を行うと過圧縮を防止できるので圧縮機(1)の効率低下を抑えられる。
なお、この調整運転を行うとき、電動機(45)の回転速度を通常運転時よりも速めると、スクロール圧縮機(1)の運転容量が低下するのを抑えながら、吐出圧力が上昇しすぎるのを防止できる。そして、電動機(45)は一般に低速よりも高速の方が効率が高いため、このような制御を行うと、運転容量を保ったままで過圧縮を起こさずに、しかも効率のよい運転を行うことができる。
−実施形態1の効果−
本実施形態によれば、組み立て初期に、上記固定スクロール(21)の連通路(32)にピストン(33)を装着し、該ピストン(33)で連通路(32)を閉鎖すると、ピストン(33)の先端層(33g)が該固定スクロール(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、この突出した先端部(33g)が可動側ラップ(22b)よりも耐摩耗性の低い材料により形成されているため、その状態で固定スクロール(21)と可動スクロール(22)を噛み合わせて圧縮機構(20)の通常運転を行うと、ピストン(33)の先端部(33g)が摩耗する。その結果、ピストン(33)の先端面(33f)が上記固定スクロール(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置するため、ピストン(33)の先端面(33f)と上記鏡板(21a)の内面(21h)とに段差がない状態となる。
したがって、連通路(32)をピストン(33)で開閉するタイプの運転容量制御機構(30)を備えたスクロール圧縮機(1)において、通常運転時に連通路(32)をピストン(33)で塞いだ部分における冷媒の漏れを防止できるから、性能の低下を防止することが可能となる。また、先端層(33g)を合成樹脂材料のコーティングにより形成できるので、構成を簡単にすることができる。
また、通常運転後であっても、上記先端層(33g)の後端面(33h)は上記連通路(32)内に位置している。つまり、ピストン(33)には先端層(33g)が残った状態になっている。そのため、ピストン(33)の先端面(33f)が上記固定スクロール(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する状態を確実に維持できる。
−実施形態1の変形例−
(第1変形例)
上記実施形態では、ピストン(33)の本体部(33i)に可動側ラップ(22b)よりも耐摩耗性の低い合成樹脂材料をコーティングすることにより先端層(33g)を形成しているが、この先端層(33g)は、合成樹脂材料に限らず、他の材料を用いて形成してもよい。例えば、ピストン(33)の本体部(33i)に可動側ラップ(22b)よりも耐摩耗性の低い金属材料でメッキをすることにより先端層(33g)を形成してもよい。
この場合でも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
(第2変形例)
上記実施形態では、ピストン(33)の本体部(33i)に可動側ラップ(22b)よりも耐摩耗性の低い合成樹脂材料をコーティングすることにより先端層(33g)を形成しているが、ピストン(33)は、図18に示すように全体を同じ材料で形成したものであってもよく、その材料が可動側ラップ(22b)よりも耐摩耗性の低い材料(例えば合成樹脂材料)であればよい。
この場合でも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。
この実施形態2では、吸入容積調整機構(30)の具体的な構成は実施形態1と同じであるが、ピストン(33)の構成が異なっている。この実施形態2のピストンは、図19に示すように、ピストン(33)の本体部(33i)の全面に、可動側ラップ(22b)よりも耐摩耗性の低い合成樹脂材料などのカバー層(33j)が積層されている。そして、カバー層(33j)の形成時には、その厚さは全体で均一であるが、圧縮機構(20)の組み立てをして通常運転を行った後は、カバー層(33j)の先端面(33f)が成形直後の実線の位置から仮想線の位置まで後退するため、先端側だけ厚さが変化する。実線の位置が可動側鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出した位置であり、仮想線の位置が可動側鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上まで摩耗した位置である。このとき、ピストン(33)の先端側のカバー層(33j)の厚さは、他の部分のカバー層(33j)の厚さよりも薄くなっている。
この実施形態2においても、組み立て初期には、ピストン(33)に形成したカバー層(33j)が上記固定側鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記固定側鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。このとき、該ピストン(33)の先端側のカバー層(33j)の厚さが他の部分のカバー層(33j)の厚さよりも薄くなる。つまり、ピストン(33)にはカバー層(33j)が必ず残った状態になっている。そのため、ピストン(33)の先端面(33f)が上記固定側鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する状態を確実に維持できるので、通常運転時の冷媒の漏れによる効率の低下を防止できる。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3について説明する。
この実施形態3では、図20に示すように、非対称渦巻き構造の圧縮機構(20)において、運転容量制御機構(30)として、圧縮途中の中間圧の冷媒を圧縮機構(20)の吸入側に戻すことの可能なアンロード機構(30)を設けている。このアンロード機構(30)は、実施形態1と同様の開閉機構(31)により構成されている。開閉機構(31)の構成要素は実施形態1と同じであるため説明を省略する(以下の説明で、参照符号は実施形態1と同じ符号を使用する)が、連通路(開口)(32)を設けている位置が実施形態1とは異なっている。具体的には、連通路(32)は圧縮機構の中間圧の位置に設けられており、圧縮機構(20)の吸入側にバイパス通路(図示せず)を介して連通している。
このアンロード機構(30)を設けると、圧縮途中の中間圧の冷媒を吸入側へバイパスさせることにより、インバータ制御の電動機(45)による回転数制御を行わなくても運転容量を低下させる制御を行うことが可能となる。
また、この実施形態3においても、圧縮機構(20)の組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置する。したがって、通常運転時の冷媒の漏れを防止できるから性能の低下を防止できる。
−実施形態3の変形例−
アンロード機構(30)は、図21に示すように、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)の渦巻きの巻き数が等しい対称渦巻き構造の圧縮機構(20)に設けてもよい。この場合、アンロード機構(30)は、圧縮途中のガス力のアンバランスが生じないようにするために、渦巻きの中心に対して対称となる位置に設けられている。アンロード機構(30)を構成する開閉機構(31)の構造は図20の例と同様に実施形態1と同じである。
この変形例においても、圧縮途中の中間圧の冷媒を吸入側へバイパスさせることにより、インバータ制御の電動機(45)による回転数制御を行わなくても運転容量を低下させる制御を行うことが可能となる。
また、図20の例と同様、圧縮機構(20)の組み立て初期には、ピストン(33)の先端部(33g)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出するが、通常運転を行うとその先端部(33g)が摩耗して、ピストン(33)の先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置するから、通常運転時の冷媒の漏れを防止することにより性能の低下を防止できる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
例えば、本発明は、両歯タイプのスクロール圧縮機や、両方のスクロール部材が旋回するタイプのスクロール圧縮機にも適用可能である。
また、ピストン(33)の先端層(33g)の形成の仕方はコーティングに限らず、プラグ部(33a)に接着したものであってもよいし、プラグ部(33a)自体を合成樹脂材料など、可動側ラップ(22b)よりも耐摩耗性の低い材料で形成してバネ受け部(33b)に一体化したものであってもよい。これは、先端層(33g)に可動側ラップ(22b)よりも耐摩耗性の低い金属材料を使う場合でも同様である。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、互いに噛み合う第1スクロール部材と第2スクロール部材の一方に設けた容量制御用の連通路をピストンにより開閉して運転容量を制御する運転容量制御機構を備えたスクロール圧縮機について有用である。
実施形態1に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 図1のII−II線断面図であり、圧縮機構の横断面構造を示している。 開閉機構(吸入容積調整機構)の断面構造図である。 固定スクロールの底面図である。 固定スクロールのサブアセンブリを示す断面図である。 開閉機構を構成する圧縮コイルバネの断面図である。 開閉機構を構成するピストンの正面図である。 ピストンに装着されるシール部材の断面図である。 開閉機構を連通状態で示す断面図である。 開閉機構を遮断状態(圧縮機構の組み立て直後の状態)で示す断面図である。 開閉機構を遮断状態(圧縮機構の通常運転後の状態)で示す断面図である。 圧縮機構の第1の動作状態を示す断面図である。 圧縮機構の第2の動作状態を示す断面図である。 圧縮機構の第3の動作状態を示す断面図である。 圧縮機構の第4の動作状態を示す断面図である。 圧縮機構の第5の動作状態を示す断面図である。 圧縮機構の第6の動作状態を示す断面図である。 実施形態1の第2変形例に係るピストンの正面図である。 実施形態2に係る開閉機構のピストンを示す正面図である。 実施形態3に係る圧縮機構の横断面図である。 実施形態3の変形例に係る圧縮機構の横断面図である。
符号の説明
1 スクロール圧縮機
10 ケーシング
20 圧縮機構
21 固定スクロール(第1スクロール部材)
21a 固定側鏡板
21b 固定側ラップ
21h 内面
22 可動スクロール(第2スクロール部材)
22a 可動側鏡板
22b 可動側ラップ
25a 第1圧縮室
25b 第2圧縮室
30 運転容量調整機構(吸入容積調整機構、アンロード機構(30))
32 開口
33 ピストン
33f 先端面
33g 先端層(先端部)
33i 本体部
33j カバー層
45 電動機

Claims (10)

  1. 互いに噛み合う渦巻き状のラップ(21b,22b)を鏡板(21a,22a)上に備えた第1スクロール部材(21)と第2スクロール部材(22)の少なくとも一方が偏心回転運動をするとともに、両鏡板(21a,22a)の内面の間でラップ(21b,22b)同士が噛み合って圧縮室(25a,25b)が形成された圧縮機構(20)をケーシング(10)内に備え、
    第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)に形成されて上記圧縮室(25a,25b)に連通する開口(32)と、該開口(32)を開閉するピストン(33)とを有する運転容量制御機構(30)を備えたスクロール圧縮機であって、
    上記ピストン(33)は、上記開口(32)を閉鎖する状態で、先端面(33f)が上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出する寸法公差に基づいて形成され、
    上記ピストン(33)は、上記開口(32)を閉鎖する状態で上記第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)よりも突出する部分を先端部(33g)としたときに、少なくともその先端部(33g)がラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い材料により形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 請求項1において、
    ピストン(33)の先端部(33g)は、ラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い合成樹脂材料の先端層(33g)をピストン(33)の本体部(33i)に積層することにより形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 請求項1において、
    ピストン(33)の先端部(33g)は、ラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い金属材料の先端層(33g)をピストン(33)の本体部(33i)に積層することにより形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  4. 請求項1において、
    ピストン(33)の全体がラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い材料により一体的に形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  5. 請求項4において、
    ピストン(33)は、全体がラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い合成樹脂材料により形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  6. 請求項1において、
    ピストン(33)の先端部(33g)は、ラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い材料の先端層(33g)をピストン(33)の本体部(33i)に積層することにより形成され、
    上記ピストン(33)で運転容量制御機構(30)の開口(32)を閉鎖して、該ピストン(33)の先端層(33g)の先端面(33f)が第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一面上に位置するか突出する状態で、該先端層(33g)の後端面(33h)が上記開口(32)内に位置するように構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  7. 請求項1において、
    ピストン(33)の全面には、ラップ(21b,22b)よりも耐摩耗性の低い材料のカバー層(33j)が積層され、
    上記ピストン(33)で運転容量制御機構(30)の開口(32)を閉鎖して、該ピストン(33)の先端面(33f)が第1スクロール部材(21)の鏡板(21a)の内面(21h)と同一平面上に位置する状態で、該ピストン(33)の先端側のカバー層(33j)の厚さが他の部分のカバー層(33j)の厚さよりも薄いことを特徴とするスクロール圧縮機。
  8. 請求項1から7の何れか1つにおいて、
    運転容量制御機構(30)は、圧縮機構(20)の吸入行程における圧縮室(25a,25b)の吸入閉じ切り位置を調節することにより吸入容積を調整可能な吸入容積調整機構(30)により構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  9. 請求項1から7の何れか1つにおいて、
    運転容量制御機構(30)は、圧縮途中の中間圧の冷媒を圧縮機構(20)の吸入側に戻すことの可能なアンロード機構(30)により構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  10. 請求項1から9の何れか1つにおいて、
    圧縮機構(20)は、ケーシング(10)に保持される第1スクロール部材(21)である固定スクロール(21)と、該固定スクロール(21)に対して偏心回転運動をする第2スクロール部材(22)である可動スクロール(22)とを備え、
    上記固定スクロール(21)に運転容量制御機構(30)が設けられ、
    ケーシング(10)内には、可動スクロール(22)の駆動源である電動機(45)が収納されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
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