JP2007153064A - 液体運搬船、船舶 - Google Patents
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Abstract
【課題】船の船体とタンクや上部構造等、異種材料の接合を、外観を損なうことなく確実に接合することのできる液体運搬船、船舶を提供することを目的とする。
【解決手段】継ぎ手部材14を、船体側固定部材13、タンク側固定部材15の間に介在させ、同材料である継ぎ手部材14の下部14Aと船体側固定部材13、継ぎ手部材14の上部14Bとタンク側固定部材15を、通常の溶接によって接合することで、船体とタンクとを、容易かつ確実に接合する。このとき、爆着等の他の手法に比較して接合強度の高い摩擦撹拌接合によって継ぎ手部材14を形成することで、船体側固定部材13、継ぎ手部材14、タンク側固定部材15を、突出部の無い、一体的に連続した筒状、スカート状とする。
【選択図】図2
Description
また、爆着の際に十分な加圧力を得るため、継ぎ手は、プレートを2枚重ね合わせたような状態で接合されたものとなる。また、接合後においても、十分な接合強度を確保するために、所定の面積が必要となる。したがって、船体やタンク、上部構造等、板材の端部どうしの接合部分に上記の継ぎ手を用いると、図6に示すように、接合すべき異種材料の2つの材料1、2に対し、継ぎ手3は略直交する面内に位置することになり、接合部にフランジ状の突起ができることになる。また、このような継ぎ手3は、湾曲した部材に適用しにくく、湾曲した部材を接合するには、複数の継ぎ手3を間隔を隔てて配置するしかなく、これも外観を損なうという問題がある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、船の船体とタンクや上部構造等、異種材料の接合を、外観を損なうことなく確実に接合することのできる液体運搬船、船舶を提供することを目的とする。
このような接合部材を得るには、第一のプレートと第二のプレートの十分な接合強度を確保できるのであれば、いかなる接合手法を用いても良いが、第一のプレートおよび第二のプレートが、タンクと船体とを結ぶ面内に位置するような状態で十分な接合強度を確保するには、第一のプレートと第二のプレートを、双方の端部を付き合わせた状態で摩擦撹拌接合によって一体に接合するのが好ましい。
タンクを船体に接合する場合、接合部材は、リング状をなし、船体とタンクの間に介在するよう設けるのが好ましい。このような接合部材は、前記のように接合された短冊状の第一のプレートおよび第二のプレートをC字状に曲げ、第一のプレートの両端部の合わせ目、第二のプレートの両端部の合わせ目を、それぞれ摩擦撹拌接合により接合することで、リング状とすることができる。
〔第一の実施形態〕
図1は、本発明を適用したLNGタンカー(液体運搬船、船舶)におけるタンクの支持部の構成を示す図である。
この図1に示すように、LNGタンカーは、船体(第一の部材)10上に、LNGを収容するためのタンク(第二の部材)11を所定数備えた構成となっている。
船体10は、鉄系、ステンレス系材料等の鋼材から形成されている。これに対しタンク11は、アルミ系材料等の軽金属から形成され、これによって船体10とタンク11は、融点が互いに異なる異種材料によって形成されている。
タンク11は、一般に略球状をなしており、その下部が、筒状あるいは円錐台形状の支持スカート12によって支持された状態で船体10に取り付けられている。
船体側固定部材13、継ぎ手部材14、タンク側固定部材15はそれぞれ円筒状、リング状をなしており、このうち、船体10に溶接により一体に固定される船体側固定部材13は船体10と同材料で形成され、タンク11に溶接により一体に固定されるタンク側固定部材15はタンク11と同材料で形成されている。
継ぎ手部材14は、下部(第一のプレート)14Aが船体10、船体側固定部材13と同材料で形成され、上部(第二のプレート)14Bがタンク11、タンク側固定部材15と同材料で形成されている。下部14A、上部14Bはそれぞれリング状で、異種材料からなる下部14Aと上部14Bとは、摩擦撹拌接合によって接合されている。これにより、下部14Aと上部14Bの間には、摩擦撹拌接合によって下部14Aの材料と上部14Bの材料とが混在した接合部14Cが存在している。
これによって、2枚のプレートP1、P2が接合されて一体化され、短冊状の1枚のプレートPが形成されるので、この後、このプレートPをローラ等を用いた機械加工によってC字状に丸め、継ぎ目の部分14Dを接合し、これによって、図3(b)に示すようなリング状の継ぎ手部材14を得る。図3(c)に示すように、この継ぎ目の部分14D、すなわちプレートP1の両端部の合わせ目、プレートP2の両端部の合わせ目は、同材料どうしが隣り合うことになるので、通常の溶接等の接合手段を用いることができる。またこの部分においても、摩擦撹拌接合を用いることもできる。この場合、下部14Aを形成することになる部分の継ぎ目と、上部14Bを形成することになる継ぎ目とは材料が異なるため、摩擦撹拌接合の条件(ツールの種類、回転速度、移動速度等)が異なることがある。その場合、下部14Aを形成することになる部分と、上部14Bを形成することになる部分とで、条件を切り替えるのが好ましい。
そして、継ぎ手部材14は、リング状であるため、船体側固定部材13、継ぎ手部材14、タンク側固定部材15を、突出部の無い、一体的に連続した筒状、スカート状とすることができ、外観に優れたものとなる。これは、爆着等の他の手法に比較して接合強度の高い摩擦撹拌接合によって継ぎ手部材14を形成することで、継ぎ手部材14の板厚でも下部14Aと上部14Bの十分な接合強度を確保できるからである。
さらに、継ぎ手部材14の下部14Aと船体側固定部材13、継ぎ手部材14の上部14Bとタンク側固定部材15の接合部分は、全周に連続したものとなり、多点接合とならざるを得なかった従来の手法に比較し、タンク11の船体10に対する接合強度を高めることができる。
次に、本発明を船体と上部構造の接合部分に適用した例を示す。
図4に示すものは、船体(第一の部材)30と、船体30の甲板31上に設けられる上部構造(第二の部材)32との接合部分である。船体30および甲板31は、鉄系、ステンレス系材料等の鋼材から形成されている。これに対し、甲板31上に設けられる船室等を形成する上部構造32を構成する板材は、軽量化のため、アルミ系材料等の軽金属から形成され、これによって船体30と上部構造32は、融点が互いに異なる異種材料によって形成されている。
図5に示すように、継ぎ手部材34は、下部(第一のプレート)34Aが船体30の甲板31と同材料で形成され、上部(第二のプレート)34Bが上部構造32と同材料で形成されている。下部34A、上部34Bはそれぞれプレート状で、異種材料からなる下部34Aと上部34Bとは、摩擦撹拌接合によって接合されている。これにより、下部34Aと上部34Bの間には、摩擦撹拌接合によって下部34Aの材料と上部34Bの材料とが混在した接合部34Cが存在している。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
Claims (6)
- 船体と、
前記船体上に設けられて液体を収容し、前記船体とは融点の異なる材料で形成されたタンクと、
前記船体と前記タンクを接合する接合部材とを備え、
前記接合部材は、前記船体に溶接により接合され、前記船体と同材料で形成された第一のプレートと、前記タンクに溶接により接合され、前記タンクと同材料で形成された第二のプレートとを備え、前記第一のプレートおよび前記第二のプレートは、前記タンクと前記船体とを結ぶ面内に位置した状態で一体に接合されていることを特徴とする液体運搬船。 - 前記第一のプレートと前記第二のプレートは、双方の端部を付き合わせた状態で摩擦撹拌接合によって一体に接合されていることを特徴とする請求項1に記載の液体運搬船。
- 前記接合部材は、リング状をなし、前記船体と前記タンクの間に介在するよう設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体運搬船。
- 前記接合部材は、短冊状の前記第一のプレートおよび前記第二のプレートをC字状に曲げ、前記第一のプレートの両端部の合わせ目、前記第二のプレートの両端部の合わせ目が、摩擦撹拌接合により接合されることで、リング状とされていることを特徴とする請求項3に記載の液体運搬船。
- 船体を構成する板状の第一の部材と、
前記第一の部材に接合され、前記第一の部材とは融点の異なる材料で形成された板状の第二の部材と、
前記第一の部材と前記第二の部材を接合する接合部材とを備え、
前記接合部材は、前記第一の部材に溶接により接合され、前記第一の部材と同材料で形成された第一のプレートと、前記第二の部材に溶接により接合され、前記第二の部材と同材料で形成された第二のプレートとを備え、前記第一のプレートと前記第二のプレートは摩擦撹拌接合により一体に接合され、かつ、前記第一のプレートおよび前記第二のプレートの少なくとも一方は、前記第一の部材または前記第二の部材に連続する面内に位置するよう設けられていることを特徴とする船舶。 - 前記第二の部材は、前記船体上に設けられる前記船舶の上部構造を構成することを特徴とする請求項5に記載の船舶。
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