そこで、本発明は、HDDVDドライブが、適正な信号特性にてデータ記録を行えるか、データリードインデータを適正に記録できるか、また、ファイルデータを各レイヤーに対して適正に記録できるか、さらに、ディスクをファイナライズするためのターミネータを適正に記録できるかを円滑に検証できるドライブ検査方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、HDDVDドライブが、各レイヤーに対して適正にデータ再生を行えるか、また、BCAとシステムリードインエリアに保持されているデータを円滑に再生できるかを円滑に検証できるドライブ検査方法およびそれに用いるテストディスクを提供することを課題とする。
加えて、本発明は、HDDVDドライブが、データリードインエリアに記録された最新のRMDを取得でき、且つ、このRMDあるいはその他の情報から、当該ディスクの追記の可否や、記録終了位置、追記開始アドレスおよび追記可能な空き容量を適正に認識できるか、および、ミドルエリアの拡張の有無および拡張の範囲を適正に認識できるかを円滑に検証できるドライブ検査方法およびそれに用いるテストディスクを提供することを課題とする。
さらに、本発明は、2層タイプの追記型HDDVDの記録動作・再生動作の検証をできるだけ少ないテストディスクで実現し、コストや検証時間を短縮し、さらに、検証されたドライブ間で一定の互換性が維持されることを確認できる検証方法を提供することを課題とする。
上記課題に鑑み本発明は、以下の特徴を有する。
請求項1の発明は、追記型光ディスク装置の動作検証に用いるテストディスクにおいて、積層方向に記録層が2層配されるとともに、第1層目のデータエリアと第2層目のデータエリアの全容量が埋まるように前記第1層目の先頭から前記第2層目に亘ってテストデータが記録され、且つ、該テストデータに続いて、前記第2層目に追記不可を示すターミネータデータが記録されていることを特徴とする。
この発明によれば、各層のデータエリアの全容量が埋まるようにテストデータが記録されているため、検査対象ドライブが、2層に亘るデータエリアの任意の位置からユーザデータを適正に再生できるかを検証することができる。
また、テストデータに続いて追記不可を示すターミネータデータが記録されているため、検査対象ドライブがターミネータデータを実際に読み取るタイプのものである場合にも、これを適正に実行してターミネータデータを取得できるかを検証することができる。
請求項1に記載のテストディスクにおいて、該テストディスクは、積層方向に記録層が2層配された未記録の追記型光ディスクに、前記テストデータと前記ターミネータデータを記録することにより構成されることを特徴とする。
この発明によれば、検査対象ドライブにて実際に扱われる2層タイプの追記型ディスクと同じディスクを用いてテストディスクが構成されるため、これとは構成が異なる専用のテストディスクを用いる場合よりも、より精度の高い検証を行うことができる。
請求項3の発明は、請求項2に記載のテストディスクにおいて、試し書き回数が予め設定した上限回数Nsを越えない範囲でレーザパワーを設定して前記テストデータと前記ターミネータデータの記録を行うことを特徴とする。
未記録の追記型ディスクに記録を行う場合には、先に試し書きを行ってレーザパワーが適正なレベルに設定される。この場合、試し書き回数は、各ディスクによってまちまちであり、粗悪なディスクほど、試し書き回数が増加する。粗悪なディスクをテストディスクとして用いると、ドライブの検証を適正に行うことができない。
これに対し、請求項3の発明によれば、レーザパワー設定時の試し書き回数が上限回数Nsを越えない範囲に制限される。試し書き回数が上限回数Nsを越えた場合、そのディスクは粗悪であるとして、テストディスクの生成には用いられない。すなわち、本発明によれば、粗悪なディスクを用いてテストディスクが構成されることが排除される。よって、ドライブの動作検証を適正に行い得るテストディスクのみを提供することが可能となる。
請求項4の発明は、請求項3に記載のテストディスクにおいて、前記レーザパワー設定時に行われた試し書きの回数が前記上限回数Nsに達しない場合にも、前記試し書き回数をNsとして、記録状態を管理する情報(RMD)に含めることを特徴とする。
この発明によれば、レーザパワー設定時に行われた試し書き回数がテストディスク毎に異なる場合にも、同一の回数(Ns)だけ試し書きが行われたとして、管理情報が構成される。よって、ドライブ側から見たとき、全てのテストディスクに対し同じ状態の管理情報を提示することができる。
請求項5の発明は、請求項1ないし4の何れかに記載のテストディスクおいて、前記第2層目の記録層の最内周位置に、記録層をディスク円周方向に間欠的に消失させて情報を保持するバーストカッティングエリアが配されていることを特徴とする。
この発明によれば、ディスク最内周位置における再生特性を検証できるとともに、そのドライブ装置が、ユーザデータとは異なる方式にて記録されたバースト領域を円滑に再生できるかを、併せて検証することができる。
請求項6の発明は、請求項1ないし5の何れかに記載のテストディスクにおいて、前記第1層目の前記データエリアの内側に、ピット列によって所定の情報を保持するシステムリードインエリアが配されていることを特徴とする。
この発明によれば、ディスク内周位置における再生特性を検証できるとともに、そのドライブ装置が、ユーザデータとは異なる方式にて記録されたシステムリードイン領域を円滑に再生できるかを、併せて検証することができる。
請求項7の発明は、テストディスクを用いて追記型光ディスク装置の検査を行う検査方法において、前記テストディスクには、積層方向に記録層が2層配されるとともに、第1層目のデータエリアと第2層目のデータエリアの全容量が埋まるように前記第1層目の先頭から前記第2層目に亘ってテストデータが記録され、且つ、該テストデータに続いて、前記第2層目に追記不可を示すターミネータデータが記録されており、該テストディスクから前記テストデータを読み出させ、これが適正であるかを判定する第1の工程と、該テストディスクから前記ターミネータデータを読み出させ、これが適正であるかを判定する第2の工程とを有することを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項7に記載のドライブ検査方法において、前記第1の工程における判定は、前記第1層目の記録層と前記第2層目の記録層の最外周部位置近傍の一定範囲からそれぞれ前記テストデータを読み出させ、このテストデータが当該テストディスクに記録されているべきテストデータに一致するかを照合することによって行われることを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項7または8に記載のドライブ検査方法において、前記テストディスクには、前記第2層目の記録層の最内周位置に、記録層をディスク円周方向に間欠的に消失させて情報を保持するバーストカッティングエリアが配されており、該テストディスクから前記バーストカッティングエリアに記録されているデータを読み出させ、これが適正であるかを判定する第3の工程を有することを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項7ないし9の何れか一項に記載のドライブ検査方法において、前記テストディスクには、前記第1層目の前記データエリアの内側にピット列によって所定の情報を保持するシステムリードインエリアが配されており、該テストディスクから前記システムリードインエリアに記録されているデータを読み出させ、これが適正であるかを判定する第4の工程を有することを特徴とする。
請求項7ないし10の発明は、上記請求項1ないし6に記載のテストディスクを用いたドライブ検査方法に係るものである。これらの発明は、上述の請求項1ないし6の発明について挙げた効果と同様の効果を奏し得る。
請求項11の発明は、追記型光ディスク装置の動作検証に用いるテストディスクにおいて、積層方向に記録層が2層配されるとともに、第1層目と第2層のデータエリアのすぐ外側にあるミドルエリアがそれぞれ内周側に拡張され、且つ、前記第2層目のデータエリアの終端部に空き容量を追記可能な状態にて残しながら、テストデータが前記前記第1層目から前記第2層目に亘って記録されていることを特徴とする。
この発明によれば、検査対象ドライブが、当該ディスクの追記の可否や、記録終了位置、追記開始アドレスおよび追記可能な空き容量を適正に認識できるか、および、ミドルエリアの拡張の有無および拡張の範囲を適正に認識できるかを円滑に検証することができる。
請求項12の発明は、請求項11に記載のテストディスクにおいて、該テストディスクは、積層方向に記録層が2層配された未記録の追記型光ディスクに、前記ミドルエリアを拡張した状態にて前記テストデータを記録することにより構成されることを特徴とする。
この発明によれば、検査対象ドライブにて実際に扱われる2層タイプの追記型ディスクと同じディスクを用いてテストディスクが構成されるため、これとは構成が異なる専用のテストディスクを用いる場合よりも、より精度の高い検証を行うことができる。
請求項13の発明は、請求項12に記載のテストディスクにおいて、試し書き回数が予め設定した上限回数Nsを越えない範囲でレーザパワーを設定して前記テストデータの記録を行うことを特徴とする。
この発明によれば、レーザパワー設定時の試し書き回数が上限回数Nsを越えない範囲に制限される。試し書き回数が上限回数Nsを越えた場合、そのディスクは粗悪であるとして、テストディスクの生成には用いられない。すなわち、本発明によれば、粗悪なディスクを用いてテストディスクが構成されることが排除される。よって、ドライブの動作検証を適正に行い得るテストディスクのみを提供することが可能となる。
請求項14の発明は、請求項13に記載のドライブ検査方法において、前記レーザパワー設定時に行われた試し書きの回数が前記上限回数Nsに達しない場合にも、前記試し書き回数をNsとして、記録状態を管理する情報(RMD)に含めることを特徴とする。
この発明によれば、レーザパワー設定時に行われた試し書き回数がテストディスク毎に異なる場合にも、同一の回数(Ns)だけ試し書きが行われたとして、管理情報が構成される。よって、ドライブ側から見たとき、全てのテストディスクに対し同じ状態の管理情報を提示することができる。
請求項15の発明は、テストディスクを用いて追記型光ディスク装置の検査を行う検査方法において、前記テストディスクには、積層方向に記録層が2層配されるとともに、第1層目と第2層のデータエリアのすぐ外側にあるミドルエリアがそれぞれ内周側に拡張され、且つ、前記第2層目のデータエリアの終端部に空き容量を追記可能な状態にて残しながら、テストデータが前記前記第1層目から前記第2層目に亘って記録されており、該テストディスクから前記テストデータの記録最終位置を取得させ、これが適正であるかを判定する第1の工程と、該テストディスクから更にテストデータを追記する場合の追記開始アドレスを取得させ、これが適正であるかを判定する第2の工程と、該テストディスクから追記可能な空き容量を取得させ、これが適正であるかを判定する第3の工程とを有することを特徴とする。
請求項16の発明は、請求項15に記載のドライブ検査方法において、該テストディスクから前記ミドルエリアの開始位置を取得させ、これが適正であるかを判定する第4の工程を有することを特徴とする。
請求項15および16の発明は、上記請求項11ないし14に記載のテストディスクを用いたドライブ検査方法に係るものである。これらの発明は、上述の請求項11ないし14の発明について挙げた効果と同様の効果を奏し得る。
請求項17の発明は、追記型光ディスク装置の検査を行う検査方法において、積層方向に記録層を2層有する未記録の追記型光ディスクに、検査対象ドライブを用いて、第1層目と第2層のデータエリアのすぐ外側にあるミドルエリアを拡張することなく、前記第2層目のデータエリアの終端部に空き容量を残しながら、テストデータを前記前記第1層目から前記第2層目に亘って記録し、さらに、前記空き容量の全てに追記不可を示すターミネータデータを記録する記録工程と、該記録済みの追記型光ディスクから、評価装置によって、前記テストデータを再生し、これが適正であるかを判定する第1の判定工程と、該記録済みの追記型光ディスクから、評価装置によって、前記ターミネータデータを再生し、これが適正であるかを判定する第2の判定工程と、を有することを特徴とする。
この発明によれば、検査対象ドライブが、適正な信号特性にてデータ記録を行えるか、また、第1の記録層と第2の記録層に亘ってユーザデータを適正に記録でき、且つ、第2の記録層のデータエリアにターミネータデータを適正に記録できるかを検査することができる。
請求項18の発明は、請求項17に記載のドライブ検査方法において、前記記録工程は、前記未記録の追記型光ディスクにデータリードインデータを記録する工程を含んでおり、該記録済みの追記型光ディスクから、評価装置によって、前記データリードインデータを再生し、これが適正であるかを判定する第3の判定工程を有することを特徴とする。
この発明によれば、検査対象ドライブが、さらに、データリードインデータを適正に記録できるかを検査することができる。
上記各請求項に係る発明は、第1のテストディスク(請求項1〜6)とそれを用いたドライブ検査方法(請求項7〜10)と、第2のテストディスク(請求項11〜14)とそれを用いたドライブ検査方法(請求項15、16)と、一つのブランクディスクを用いたドライブ検査方法(請求項17、18)の3種類の発明に分けられる。そして、これら3種の発明を併せて用いる場合には、わずか3枚のディスクを用いるのみで、検査対象ドライブの記録再生動作の適否を多数の項目に亘って円滑に検査することができる。すなわち、これら3種の発明を併せて用いた場合には、多数の項目の検証を、わずか3枚のディスクを用いながら、短時間、低コストおよび簡易な作業にて効率よく行えるとの効果が奏される。そして、これらの検査にパスしたドライブは、必要項目の範囲内で相互に互換性が満たされることとなる。
なお、第1のテストディスク(請求項1〜6)とそれを用いたドライブ検査方法(請求項7〜10)と、第2のテストディスク(請求項11〜14)とそれを用いたドライブ検査方法(請求項15、16)は、以下の各請求項の発明に係るものとすることができる。
請求項19〜24は、上記第1のテストディスクに対応するものである。
請求項19の発明は、追記型光ディスク装置の動作検証に用いるテストディスクにおいて、積層方向に記録層が2層配されるとともに、第1層目のデータエリアの全容量と第2層目のデータエリアの外周部一定容量が埋まるように前記第1層目の先頭から前記第2層目に亘ってテストデータが記録され、且つ、追記不可を示すターミネータデータが記録されずに、前記第2層目のデータエリアに空き容量が追記可能な状態にて残されていることを特徴とする。
この発明によれば、第1層目のデータエリアの全容量と第2層目のデータエリアの外周部一定容量が埋まるようにテストデータが記録されているため、再生特性が最も不安定な外周領域から、検査対象ドライブが、第1層目、第2層目とも適正にデータを再生できるかを検証することができる。なお、この検証にパスしたドライブは、外周領域よりも再生特性が良好な内周領域も適正に再生できると推定される。よって、第1層目と第2層目の2層に亘るデータエリアの任意の位置からユーザデータを適正に再生できることが確認される。
併せて、この発明によれば、追記不可を示すターミネータデータが記録されずに、前記第2層目のデータエリアに空き容量が追記可能な状態にて残されているため、検査対象ドライブが、当該ディスクの追記の可否や、追記開始アドレスおよび追記可能な空き容量を適正に認識できるかを円滑に検証することができる。
請求項20の発明は、請求項19に記載のテストディスクにおいて、該テストディスクは、積層方向に記録層が2層配された未記録の追記型光ディスクに、前記テストデータを記録することにより構成されることを特徴とする。
この発明によれば、検査対象ドライブにて実際に扱われる2層タイプの追記型ディスクと同じディスクを用いてテストディスクが構成されるため、これとは構成が異なる専用のテストディスクを用いる場合よりも、より精度の高い検証を行うことができる。
請求項21の発明は、請求項20に記載のテストディスクにおいて、試し書き回数が予め設定した上限回数Nsを越えない範囲でレーザパワーを設定して前記テストデータと前記ターミネータデータの記録を行うことを特徴とする。
この発明によれば、レーザパワー設定時の試し書き回数が上限回数Nsを越えない範囲に制限される。試し書き回数が上限回数Nsを越えた場合、そのディスクは粗悪であるとして、テストディスクの生成には用いられない。すなわち、本発明によれば、粗悪なディスクを用いてテストディスクが構成されることが排除される。よって、ドライブの動作検証を適正に行い得るテストディスクのみを提供することが可能となる。
請求項22の発明は、請求項21に記載のテストディスクにおいて、前記レーザパワー設定時に行われた試し書きの回数が前記上限回数Nsに達しない場合にも、前記試し書き回数をNsとして、記録状態を管理する情報(RMD)に含めることを特徴とする。
この発明によれば、レーザパワー設定時に行われた試し書き回数がテストディスク毎に異なる場合にも、同一の回数(Ns)だけ試し書きが行われたとして、管理情報が構成される。よって、ドライブ側から見たとき、全てのテストディスクに対し同じ状態の管理情報を提示することができる。
請求項23の発明は、請求項19ないし22の何れか一項において、前記第2層目の記録層の最内周位置に、記録層をディスク円周方向に間欠的に消失させて情報を保持するバーストカッティングエリアが配されていることを特徴とする。
この発明によれば、ディスク最内周位置における再生特性を検証できるとともに、そのドライブ装置が、ユーザデータとは異なる方式にて記録されたバースト領域を円滑に再生できるかを、併せて検証することができる。
請求項24の発明は、請求項1ないし5の何れか一項に記載のテストディスクにおいて、前記第1層目の前記データエリアの内側に、ピット列によって所定の情報を保持するシステムリードインエリアが配されていることを特徴とする。
この発明によれば、ディスク内周位置における再生特性を検証できるとともに、そのドライブ装置が、ユーザデータとは異なる方式にて記録されたシステムリードイン領域を円滑に再生できるかを、併せて検証することができる。
請求項25〜28は、第1のテストディスク(請求項19〜24)を用いたドライブ検査方法に対応するものである。これらの発明は、上述の請求項19ないし24の発明について挙げた効果と同様の効果を奏し得る。
請求項25の発明は、テストディスクを用いて追記型光ディスク装置の検査を行う検査方法において、前記テストディスクには、積層方向に記録層が2層配されるとともに、第1層目のデータエリアの全容量と第2層目のデータエリアの外周部一定容量が埋まるように前記第1層目の先頭から前記第2層目に亘ってテストデータが記録され、且つ、追記不可を示すターミネータデータが記録されずに、前記第2層目のデータエリアに空き容量が追記可能な状態にて残されており、該テストディスクから前記テストデータを読み出させ、これが適正であるかを判定する第1の工程と、該テストディスクから更にテストデータを追記する場合の追記開始アドレスを取得させ、これが適正であるかを判定する第2の工程と、該テストディスクから追記可能な空き容量を取得させ、これが適正であるかを判定する第3の工程とを有することを特徴とする。
請求項26の発明は、請求項25に記載のドライブ検査方法において、前記第1の工程における判定は、前記第1層目の記録層と前記第2層目の記録層の最外周部位置近傍の一定範囲からそれぞれ前記テストデータを読み出させ、このテストデータが当該テストディスクに記録されているべきテストデータに一致するかを照合することによって行われることを特徴とする。
請求項27の発明は、請求項25または26に記載のドライブ検査方法において、前記テストディスクには、前記第2層目の記録層の最内周位置に、記録層をディスク円周方向に間欠的に消失させて情報を保持するバーストカッティングエリアが配されており、該テストディスクから前記バーストカッティングエリアに記録されているデータを読み出させ、これが適正であるかを判定する第3の工程を有することを特徴とする。
請求項28の発明は、請求項25ないし27の何れか一項に記載のドライブ検査方法において、前記テストディスクには、前記第1層目の前記データエリアの内側にピット列によって所定の情報を保持するシステムリードインエリアが配されており、該テストディスクから前記システムリードインエリアに記録されているデータを読み出させ、これが適正であるかを判定する第4の工程を有することを特徴とする。
請求項29〜32は、上記第1のテストディスクに対応するものである。
請求項29の発明は、追記型光ディスク装置の動作検証に用いるテストディスクにおいて、積層方向に記録層が2層配されるとともに、第1層目と第2層のデータエリアのすぐ外側にあるミドルエリアがそれぞれ内周側に拡張され、且つ、第1層目のデータエリアと第2層目のデータエリアの全容量が埋まるように、テストデータが前記前記第1層目から前記第2層目に亘って記録されていることを特徴とする。
この発明によれば、検査対象ドライブが、ミドルエリアの拡張の有無および拡張の範囲を適正に認識できるかを円滑に検証することができる。また、第1層目のデータエリアと第2層目のデータエリアの全容量が埋まるように、テストデータが前記前記第1層目から前記第2層目に亘って記録されているため、検査対象ドライブが、ディスクが追記可否の何れの状態にあるかを適正に認識できるかを検証することができる。
請求項30の発明は、請求項29に記載のテストディスクにおいて、該テストディスクは、積層方向に記録層が2層配された未記録の追記型光ディスクに、前記ミドルエリアを拡張した状態にて前記テストデータを記録することにより構成されることを特徴とする。
この発明によれば、検査対象ドライブにて実際に扱われる2層タイプの追記型ディスクと同じディスクを用いてテストディスクが構成されるため、これとは構成が異なる専用のテストディスクを用いる場合よりも、より精度の高い検証を行うことができる。
請求項31の発明は、請求項30に記載のテストディスクにおいて、試し書き回数が予め設定した上限回数Nsを越えない範囲でレーザパワーを設定して前記テストデータの記録を行うことを特徴とする。
この発明によれば、レーザパワー設定時の試し書き回数が上限回数Nsを越えない範囲に制限される。試し書き回数が上限回数Nsを越えた場合、そのディスクは粗悪であるとして、テストディスクの生成には用いられない。すなわち、本発明によれば、粗悪なディスクを用いてテストディスクが構成されることが排除される。よって、ドライブの動作検証を適正に行い得るテストディスクのみを提供することが可能となる。
請求項32の発明は、請求項31に記載のテストディスクにおいて、前記レーザパワー設定時に行われた試し書きの回数が前記上限回数Nsに達しない場合にも、前記試し書き回数をNsとして、記録状態を管理する情報(RMD)に含めることを特徴とする。
この発明によれば、レーザパワー設定時に行われた試し書き回数がテストディスク毎に異なる場合にも、同一の回数(Ns)だけ試し書きが行われたとして、管理情報が構成される。よって、ドライブ側から見たとき、全てのテストディスクに対し同じ状態の管理情報を提示することができる。
請求項33、34は、第2のテストディスク(請求項29〜32)を用いたドライブ検査方法に対応するものである。これらの発明は、上述の請求項19ないし24の発明について挙げた効果と同様の効果を奏し得る。
請求項33の発明は、テストディスクを用いて追記型光ディスク装置の検査を行う検査方法において、前記テストディスクには、積層方向に記録層が2層配されるとともに、第1層目と第2層のデータエリアのすぐ外側にあるミドルエリアがそれぞれ内周側に拡張され、且つ、第1層目のデータエリアと第2層目のデータエリアの全容量が埋まるように、テストデータが前記前記第1層目から前記第2層目に亘って記録されており、該テストディスクから前記テストデータの記録最終位置を取得させ、これが適正であるかを判定する第1の工程と、該テストディスクから前記ミドルエリアの開始位置を取得させ、これが適正であるかを判定する第2の工程と、該テストディスクからファイナライズ状態を取得させ、これが適正であるかを判定する第3の工程とを有することを特徴とする。
請求項34の発明は、請求項33に記載のドライブ検査方法において、前記テストディスクには、所定ファイル数のテストデータが記録されており、該テストディスクから記録ファイル数を取得させ、これが適正であるかを判定する第4の工程を有することを特徴とする。
請求項35、36の発明は、上記第1のテストディスクを用いたドライブ検査方法と、上記第2のテストディスクを用いたドライブ検査方法と、上記ブランクディスクを用いたドライブ検査方法を組み合わせたものである。
請求項35の発明に係るドライブ検査方法は、請求項7ないし10の何れか一項に記載のドライブ検査工程と、請求項15または16に記載のドライブ検査工程と、請求項17または18に記載のドライブ検査工程を実行して追記型光ディスク装置の検査を行うドライブ検査方法である。
請求項36の発明に係るドライブ検査方法は、請求項25ないし28の何れか一項に記載のドライブ検査工程と、請求項33または34に記載のドライブ検査工程と、請求項17または18に記載のドライブ検査工程を実行して追記型光ディスク装置の検査を行うドライブ検査方法である。
これらの発明によれば、わずか3枚のディスクを用いるのみで、検査対象ドライブの記録再生動作の適否を多数の項目に亘って円滑に検査することができる。すなわち、これらの発明によれば、多数の項目の検証を、わずか3枚のディスクを用いながら、短時間、低コストおよび簡易な作業にて効率よく行えるとの効果が奏される。そして、これらの検査にパスしたドライブは、必要項目の範囲内で相互に互換性が満たされることとなる。
以上のとおり本発明によれば、検査対象ドライブが、適正な信号特性にてデータ記録を行えるか、データリードインデータを適正に記録できるか、また、ファイルデータを各レイヤーに対して適正に記録できるか、さらに、ディスクをファイナライズするためのターミネータを適正に記録できるかを円滑に検査することができる。
また、検査対象ドライブが、各レイヤーに対して適正にデータ再生を行えるか、また、バーストカッティングエリアとシステムリードインエリアに保持されているデータを円滑に再生できるかを円滑に検査することができる。
加えて、検査対象ドライブが、当該ディスクの追記の可否や、記録終了位置、追記開始アドレスおよび追記可能な空き容量を適正に認識できるか、および、ミドルエリアの拡張の有無および拡張の範囲を適正に認識できるかを円滑に検査することができる。
また、本発明によれば、3枚のディスクによって多数の項目の検査が実現されるから、多くのディスクを使う場合に比べ、効率的に記録・再生動作の検査を行うことができる。また、ディスクの交換やテストディスクの管理といった作業・管理の煩雑性を回避でき、検査時間の短縮や、ディスク購入などによるコストの上昇を抑制することができる。
なお、本発明に係る検査方法にて適正とされたドライブは、少なくともレイヤー1、2に対する記録が可能で、且つ、追記不可を示すターミネータにてディスクをファイナライズする構成を備えており、また、追記不可のディスクと追記可能なディスクを正確に判別できる機能を有し、さらに、ミドルエリアの拡張の有無を適正に認識できる機能を有するものであると認められる。その意味において、本発明に係る検査方法に従えば、それにパスした追記型HDDVDのドライブ同士で互換性を維持ことが可能となる。
本検証により、ディスクに規格に沿って正しくデータが記録され、正しく記録されたディスクから適正に再生が行えるドライブのみを選びだすことが可能となる。
本発明の意義ないし効果は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。なお、本実施形態は、記録層を2層有する追記型HDDVD(以下、本実施形態では、単に、「追記型HDDVD」と称する)を扱うドライブ装置を検査する際のテストディスクおよび検査方法に本発明を適用したものである。
まず、図1に実施の形態に係る追記型HDDVDの構成を示す。図示の如く、追記型HDDVDは、第1の記録層12と半透過反射層13が積層された基板11と、第2の記録層15と反射層16が積層された基板17を、接着層14を介して張り合わせ、さらに、その上に、印刷層18を形成した構成となっている。
基板11、17は、ポリカーボネートからなっている。基板材料は、HDDVDドライブで用いられる波長400nm程度のレーザ光を透過しやすい材料とするのが好ましい。基板材料として、ポリオレフィンやポリ乳酸等の生分解材料を用いることもできる。
これら基板11、17は、ディスクのトラックパターン(ピット、グルーブ)を有するスタンパを用いて射出成型により形成される。基板11、17の表面には、スタンパ上のトラックパターンが転写される。これら基板11、17は、共に、0.6mmの厚みとされる。
第1記録層12と第2の記録層15は、有機色素材料により構成される。この有機色素材料は、記録マーク部分の反射率が未記録部分の反射率よりも高くなる、いわゆる、Low-to-High型の有機色素材料とされる。この他、記録マーク部分の反射率が未記録部分の反射率よりも低くなる、いわゆる、High-to-Low型の有機色素材料を用いることもできる。ただし、記録層12、15に用いる材料は、書き換えできないタイプのものに制限される。また、記録層材料は、相変化型の材料であってもよく、Pd-CUや、Co系、Ag-Pd-Cu等であっても良い。これら記録層12、15は、スパッタ等の手法によって形成される。
半透過反射層13は、HDDVDドライブで用いられる波長400nm程度のレーザ光を半透過する材料にて形成される。また、反射層16は、Ag等の高反射材料から構成される。この他、波長400nm程度のレーザ光に対して高反射率のAl、Pt等を用いることもできる。半透過反射層13と反射層16は、スパッタリングによって形成される。
図2に、追記型HDDVDのエリアフォーマットを示す。
レイヤー0(第1の記録層12)は、ディスク内周側から順に、システムリードインエリア、コネクションエリア、データリードインエリア、データエリア、ミドルエリアにエリア分割される。また、レイヤー1(第2の記録層15)は、ディスク内周側から順に、バーストカッティングエリア(BCA)、システムリードアウトエリア、コネクションエリア、データリードアウトエリア、データエリア、ミドルエリアにエリア分割される。なお、レイヤー0には、BCAは配置されない。レイヤー0のBCA対応領域は、記録層12と反透過反射層13がそのまま残った状態となっている。
BCAには、記録層を2層有する追記型HDDVDに関する規格(以下、「2層型HDDVD−R規格」という)に従う形態にて、所定の情報が記録される。具体的には、平坦な第2の記録層15と反射層16をディスク円周方向に間欠的に消失させることにより、BCA IDや、当該テストディスクが準拠する規格書のブック番号等の情報が記録される。なお、第2の記録層15と反射層16の消失は、たとえば、高パワーレーザを用いて焼き切ることによって行われる。
BCA上にビームスポットを位置づけると、その反射光には、第2の記録層15と反射層16の消失部分と非消失部分に応じて、明暗が生じる。この明暗の変化を復調することにより、BCAに記録された情報が再生される。
システムリードインエリアには、2層型HDDVD−R規格に従う形態にて、所定の情報が記録されている。具体的には、第1の記録層12上に螺旋状にピット列を配列することにより、当該HDDVDの物理パラメータ(ピットサイズ、トラックピッチ、等)に関する情報等が記録されている。システムリードインエリアにはグルーブは形成されておらず、ピット列のみが形成されている。これらピットはスタンパ作成時に付加されている。
コネクションエリアは、レイヤー0、1とも、平坦な鏡面となっている。
レイヤー0のデータリードインエリア、データエリア、ミドルエリアには、螺旋状のグルーブが形成されている。このグルーブ上に、2層型HDDVD−R規格に従うフォーマットにて、種々のデータが記録される。ブランクの追記型HDDVDを用いてテストディスクを形成する際には、未記録のグルーブ上に、後述の構造を有するデータが記録される。また、ドライブの記録状態を検査する際には、検査対象のドライブによって後述のデータがグルーブ上に記録される。
レイヤー1のデータリードアウトエリア、データエリア、ミドルエリアにも、螺旋状のグルーブが形成されている。ただし、このグルーブは、レイヤー0のグルーブとは反対向きに旋回している。このグルーブ上に、2層型HDDVD−R規格に従うフォーマットにて、種々のデータが記録される。ブランクの追記型HDDVDを用いてテストディスクを形成する際には、未記録のグルーブ上に、後述の構造を有するデータが記録される。また、ドライブの記録状態を検査する際には、検査対象のドライブによって後述のデータがグルーブ上に記録される。
なお、追記型HDDVDでは、グルーブのみにデータが記録されるため、グルーブ間のランドは、狭小に形成されている。グルーブは、ディスク径方向に蛇行(ウォブル)している。このウォブルによって物理アドレスが保持されている。なお、記録データには、この物理アドレスとは別に、論理アドレスが保持される。
システムリードアウトエリアには、2層型HDDVD−R規格に従う形態にて、所定の情報が記録されている。システムリードアウトエリアには、システムリードインエリアと同様、グルーブは形成されておらず、ピット列のみが形成されている。
図3に、システムリードインエリア、データリードインエリアおよびデータリードアウトエリアのデータフォーマットを示す。
図示の如く、データリードインエリアとデータリードアウトエリアには、ドライブテストゾーンが設定されている。ユーザデータの記録時には、何れかのドライブテストゾーンを使って試し書きが行われ、記録レーザパワーの初期値が設定される。たとえば、レイヤー0に対する記録時には、データリードインエリアのドライブテストゾーンが使用され、レイヤー1に対する記録時には、データリードアウトエリアのドライブテストゾーンが使用される。
また、データリードインエリアには、RMD(Recording Management Data)ダプリケーションゾーン(RDZ)と、L−RMZ(Lead-in Recording Management Zone)が設定されている。L−RMZには、データの記録状態を管理する情報(RMD)が記録される。このRMDには、そのRMD作成時における最終の記録アドレス等が含まれる。なお、RMDは、ユーザデータの記録動作の度に更新され、L−RMZに追記される。L−RMZには、2層型HDDVD−R規格に従って、所定個数のRMDを記録できる容量が割り当てられている。
RMDダプリケーションゾーンには、現在有効な最新のRMDとそのアドレスを示す情報等、RMDに関する情報が記録されている。この他、当該ディスクに記録を行ったドライブに関する情報(Unique ID)や、その記録を行った時間(Time Stamp)等の情報が記録される。
ブランクゾーンは未記録状態とされる。ガードトラックゾーンには、所定のデータが埋められる。レイヤー1のガードトラックゾーンにドライブにて記録を行う場合、その直下にあるレイヤー0の領域に記録がなされた後に、レイヤー1のガードトラックゾーンに記録が行われる。なお、レイヤー1のガードトラックゾーンは、未記録状態に設定しても良い。
図4に、ミドルエリアのデータフォーマットを示す。
図示の如く、ミドルエリアにも、ドライブテストゾーンが設定されている。通常、レーザパワー設定時の試し書きには、データリードインエリアとデータリードアウトエリアに設定されたドライブテストゾーンが用いられる。これは、ディスク内周部の方が、ディスク特性(記録層の特性等)が安定しているためである。ただし、ドライブによっては、ミドルエリアのドライブテストゾーンが使用されることもある。
なお、レイヤー0とレイヤー1に各種データを記録する際には、フレーム毎にデータID等のヘッダが付される。ここで、データIDには、そのデータがデータリードインエリア、データエリア、ミドルエリア、データリードアウトエリアの何れのエリアに属するかを示す属性情報(エリアタイプ)が含まれる。
なお、記録層を2層有する追記型HDDVDでは、レイヤー1にデータ記録を行う際には、必ずその直下にあるレイヤー0の領域が記録状態になければならない旨、2層型HDDVD−R規格に規定されている。これは、レイヤー0が記録状態にあるか未記録状態にあるかによってレイヤー1の光学特性が大きく変化することによるものである。すなわち、レイヤー1に記録を行う際はその直下にあるレイヤー0の領域を必ず記録状態とし、レイヤー1に対する記録の進行の際に、レイヤー0が記録状態から未記録状態へ、または、未記録状態から記録状態へ変化して、その境目において光学特性が大きく変化するのを避けるためである。これにより、レイヤー1に、安定した光学特性にて、記録を行おうとするものである。
なお、データは、レイヤー0の内周位置から外周方向に向かって記録され、その後、レイヤー0に対する記録が終了すると、レイヤー1の外周位置から内周方向に向かって記録される。
また、ミドルエリアは、通常、各レイヤーの最外周位置に予め決められた容量だけ設定される。なお、2層型HDDVD−R規格では、この他にも、ユーザからの要求に応じてミドルエリアの容量を拡張することも認められている。
たとえば、少ない容量のファイルデータをシーク効率よく記録しようとする場合には、レイヤー0を内周から外周まで使って記録を行うよりも、内周部のレイヤー0とレイヤー1を使って記録する方がシーク距離が短くなり、ランダムアクセス時の待ち時間が短くなるため好ましい。この場合、レイヤー0とレイヤー1のミドルエリアは、最外周位置から、それぞれ各レイヤーのファイルデータ記録終了位置まで、ディスク内周方向に拡張される。この拡張により、記録する全データの途中でレイヤー0はミドルエリアになり、その後、レイヤー1に移って残りのデータが記録される。これにより、できる限りデータリードアウトに近いところで、データの記録が終了するようにされる。
1.テストディスク10
図5に、ドライブ検査に用いる第1のテストディスク(テストディスク10)のデータのデータフォーマットを示す。このテストディスク10は、たとえば、上記構造を有する未記録の追記型HDDVDに、図5のフォーマットにてデータを記録することにより生成される。なお、このデータフォーマットは、上述の2層型HDDVD−R規格に準拠するものである。
図示の如く、テストディスク10には、データリードインに続いて、データエリアの略全容量が埋まるようにテストデータ(所定個数のファイルデータ)が記録され、さらに、それに続くレイヤー1のデータエリアの終端部に、ディスクをファイナライズするためのターミネータが記録されている。具体的には、レイヤー0、1の全データエリア容量である30GB中、29.5GB程度にテストデータを記録し、残り0.5GB程度にターミネータを記録する。なお、ターミネータが記録されることで、テストディスクは“追記不可”の状態とされる。
なお、このテストディスク10では、ターミネータがデータエリアに記録されているが、ターミネータデータに付されるヘッダのエリアタイプは、データリードアウトエリアに設定されている。
また、データリードインエリアのL−RMZには、ファイルデータの記録状態に応じたRMDが更新記録されている。最新のRMDには、当該ディスクがファイナライズされていることを示す情報(フラグ)が含まれている。
図6に、テストディスク10の生成方法を示す。
図6(a)は、テストディスク10生成時の基本工程を示すものである。
まず、上記図1を参照して説明した如くして未記録の追記型HDDVDが生成される(S10)。このとき、BCAは、未カッティングの状態となっている。
次に、未記録の追記型HDDVDの機械特性が適正範囲内であるかが検査される(S20)。具体的には、ディスク面の反り状態や、記録層の形成状態等が検査される。機械特性が適正な追記型HDDVDのみが、テストディスク生成用に用いられる。
しかる後、この追記型HDDVDに高パワーレーザを照射して、レイヤー1のBCAにカッティングが行われる(S30)。さらに、レイヤー0とレイヤー1に、上記図5に示すフォーマットにて、各種データが記録される(S40)。このとき、データリードインエリアのL−RMZには、テストデータの記録状態に応じたRMDが記録される。テストデータとして複数のファイルを繰り返し記録する場合には、それに応じた個数のRMDが、L−RMZに追記される。なお、RMDの更新記録回数は、L−RMZの記録容量を超えない範囲に設定されている。また、RMDには、ドライブテストゾーンの使用状態に関する情報が含まれている。同時に、データリードインのRMDダプリケーションゾーンには、テストデータの記録に応じた情報が記録される。
しかして、データの書き込みが終了すると、次に、データが適正に記録されたかが検査される(S50)。具体的には、テストディスク10を再生したときのPRSNR(Partial Response Signal to Noise Ratio)が所定の基準値以下であるか、および、フラグ情報等、各種ビット情報が正確であるか等が検査される。この検査にて、不良判定されないもののみが、HDDVDドライブの検査に利用可能なテストディスクとされる。
図6(b)は、図6(a)のS40の詳細を示すものである。
データ書き込み時には、まず、記録レーザパワー設定の際に行う試し書き回数の上限値がNsに設定される(S41)。そして、この上限回数Nsを越えない範囲で各ドライブテストゾーンに試し書きを行いつつ、適宜、記録レーザパワーが設定され、ユーザデータ、データリードインデータ、データリードアウトデータ、ミドルエリアデータ等、図5に示す構造のデータが記録される(S42、43)。なお、レイヤー0に記録を行う際には、データリードインエリア内のドライブテストゾーンが使用され、レイヤー1に記録を行う際には、データリードアウトエリア内のドライブテストゾーンが使用される。試し書き回数の上限値Nsは、レイヤー0とレイヤー1に対してそれぞれ設定される。
RMZに記録されるRMDのうち、ドライブテストゾーンの使用状態に関する情報は、各レイヤーのドライブテストゾーンに対する全試し書き回数が各々上限回数Nsに達しない場合にも、一律に、上限回数Nsに到達したとして設定される。また、記録レーザパワー設定時の試し書き回数がモニターされ(S44)、各レイヤーにおける試し書き回数の何れかが上限回数Nsを越えることとなる場合に(S45:NO)、このディスクは不良と判別して、データの書き込みが中止される。
なお、図6のフローでは、BCAをテストディスク作成時に付加するとしたが、機械特性などを評価する前にあらかじめBCAが形成されていても良い。また、上記では、各ドライブテストゾーンの使用上限をNsとすべて同様にするとしているが、レイヤー0とレイヤー1の内周/外周のそれぞれドライブテストゾーンに個別に異なった使用上限回数を設定してもよい。
2.テストディスク30
図7に、ドライブ検査に用いる第2のテストディスク(テストディスク30)のデータフォーマットを示す。このテストディスク30は、たとえば、上記構造を有する未記録の追記型HDDVDに、図7のフォーマットにてデータを記録することにより生成される。なお、このデータフォーマットは、上述の2層型HDDVD−R規格に準拠するものである。
図示の如く、データエリアには、レイヤー0とレイヤー1の総容量の数分の1(3Mbytes)程度のテストデータ(ファイルデータ)がレイヤー0からレイヤー1に亘って記録されている。図示の如く、レイヤー0とレイヤー1のミドルエリアは、それぞれ、データエリアの終端位置まで拡張されている。また、レイヤー1のデータエリアには追記可能な空き容量が設定されている。このテストディスク30は、ターミネータによるファイナライズがなされず、追加可能状態とされている。
レイヤー0とレイヤー1のミドルエリアは、上記の如く拡張されており、ミドルエリアにある各レイヤーのドライブテストゾーンが、内周方向にシフトされている。なお、ミドルエリアにある各レイヤーのディスクテストゾーンは、ミドルエリアが拡張されないときの位置(アドレス)と同じ位置に設定されている。このため、ミドルエリアにある各レイヤーのドライブテストゾーンとディスクテストゾーンには、ブランクゾーンが設定されている。
このとき、レイヤー1のディスクテストゾーンの直下に対応するレイヤー0の位置にはブランクゾーンが設定される。上記の如く、記録層を2層有する追記型HDDVDでは、レイヤー1にデータ記録を行う際には、必ずその直下にあるレイヤー0の領域が記録状態になければならない旨、2層型HDDVD−R規格に規定されている。しかし、ディスクテストゾーンはディスクメーカにて使用されるものであり、ドライブ側では使用されないので、このようにレイヤー0の対応する位置が未記録状態でも、規格上、問題が生じることはない。
なお、データリードインエリアのL−RMZには、上記テストディスク10と同じく、ファイルデータの記録状態に応じたRMDが更新記録されている。最新のRMDには、当該ディスクがファイナライズされていないことを示す情報(フラグ)が含まれている。また、最新のRMDには、ミドルエリアが拡張されていることを示す情報(フラグ)およびミドルエリアの開始アドレスが含まれている。ここで、ミドルエリアの開始アドレスとは、レイヤー0に設定されたミドルエリアの開始アドレスのことである。
このテストディスク30は、上記図6に示すと同様の工程にて生成される。なお、この場合も、図6(b)に示すように、各レイヤーに対して試し書き回数の上限値が設定され、その上限回数の範囲で試し書きを行いながら、図7に示すフォーマットのデータが記録される。この場合も、上記テストディスク10の場合と同様、RMZに記録されるRMDのうち、ドライブテストゾーンの使用状態に関する情報は、各レイヤーのドライブテストゾーンに対する全試し書き回数が各々上限回数に達しない場合にも、一律に、上限回数に到達したとして設定される。
なお、このようにドライブテストゾーンの使用回数を所定回数に設定することにより、ディスクごとにドライブテストゾーンの使用状態が異ならないようにすることが可能となる。また、意図的にレイヤー0の内周のテストゾーンをほとんど使用済みにしておき、レイヤー0のミドルエリアのドライブテストゾーンを次の使用エリアとして認識できる状態を作ることが可能となる。この場合、ドライブに記録動作を行わせることで、ドライブテストゾーン位置が移動していることをドライブが認識できているかを確認することが可能となる。
3.ドライブ検査方法
次に、HDDVDドライブの検査方法について説明する。
<記録状態の検査>
図8に、記録状態の検査の際に、検査対象のHDDVDドライブ(ターゲットドライブ)によって未記録の追記型HDDVDに記録されるデータの内容を示す。
図示の如く、記録状態の検査の際には、レイヤー0とレイヤー1の総容量に満たない容量(20Mbytes程度)のテストデータ(所定個数のファイルデータ)が、レイヤー0からレイヤー1のデータエリアに亘って記録される。この場合、各レイヤーのミドルエリアは拡張されない。さらに、レイヤー1の記録終了位置からデータエリアの終了位置までターミネータデータが記録される。ここで、ターミネータデータに付されるヘッダのエリアタイプは、2層型HDDVD−R規格上、データリードアウトエリアに設定される。また、L−RMZ中の最新のRMDには、当該ディスクがファイナライズされていることを示す情報(フラグ)が含まれる。
記録状態の検査時には、ターゲットドライブによって、このデータフォーマットに従ってデータ記録が行われる。その後、図9に従う検査フローにて、ターゲットドライブの記録状態が適正に行われたかが検査される。
まず、ターゲットドライブにて記録済みの追記型HDDVDが、測定装置に装着され、PRSNR(Partial Response Signal to Noise Ratio)、アシンメトリ等の記録信号特性や、記録状態に係る各種パラメータの値が測定される(S101)。測定されたパラメータ値は、それぞれ基準値と比較照合される(S102)。そして、これらパラメータ値が一定の基準値範囲内にない場合(S103:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、パラメータ値が一定の基準値範囲内にあれば(S103:YES)、当該ターゲットドライブは、記録状態に係る各種パラメータの値が適正な範囲にて記録動作を行えると判定する(S104)。
かかる検査工程が終了すると、次に、ターゲットドライブにて記録が行われた追記型HDDVDが、適正に動作するHDDVDドライブ(参照ドライブ)に装着され、以下の検査が行われる。
まず、この追記型HDDVDが参照ドライブに装着されると、当該参照ドライブに接続された評価装置(PC端末、等)から、参照ドライブに対し、ファイルデータの出力要求コマンドが送信される(S111)。評価装置は、これに応じて参照ドライブから受信したファイルデータをもとに、記録ファイル数が適正であることや、ファイル間に重なりがないか等、ファイルデータの状態を検証する(S112)。この検証結果が不良の場合(S113:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、検証結果が良好であれば(S113:YES)、当該ターゲットドライブは、ファイルデータを適正に記録できると判定する(S114)。
上記検証フローを実行した後、または、上記検証フローと並行して、評価装置から参照ドライブに対し、データリードインデータの出力要求コマンドが送信される(S121)。評価装置は、これに応じて参照ドライブから受信したデータリードインデータと当該追記型HDDVDに記録されているはずのデータリードインデータを比較照合し、データリードインデータの記録状態を検証する(S122)。そして、この検証結果が不良の場合(S123:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、検証結果が良好であれば(S123:YES)、当該ターゲットドライブは、データリードインエリアに適正にデータ記録を行えると判定する(S124)。
さらに、上記検証フローを実行した後、または、上記検証フローと並行して、評価装置から参照ドライブに対し、ターミネータに記録されているデータの出力要求コマンドが送信される(S131)。評価装置は、これに応じて参照ドライブから受信したターミネータデータと当該追記型HDDVDに記録されているはずのターミネータデータを比較照合し、これらデータの記録状態を検証する(S132)。具体的には、ターミネータデータの内容が適正であるかを検証する。この検証結果が不良の場合(S133:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、検証結果が良好であれば(S133:YES)、当該ターゲットドライブは、ターミネータを適正に記録できると判定する(S134)。
なお、これら検証の中で、ファイナライズされているディスクであるという情報(フラグ)をも合わせて確認するようにしてもよい。
以上のようにして、各工程の検証が終了すると、最後に、それぞれの検証結果が、それぞれ、S104、S114、S124、S134にて、適正であると判定されたかが評価される(S140)。そして、全ての検証結果が適正であれば、当該ターゲットドライブは、記録動作を適正に行えるとされる。
この記録動作の検証において、ターゲットドライブが規格に準拠した記録信号特性を有しているか、ターミネータ、RMZおよびデータリードインエリアの情報を正しく記録することができるのかを、1枚のブランクディスクによって確認することができる。
<再生状態の検査1>
図10に、テストディスク10を用いてHDDVDドライブの再生状態を検査する際のフローチャートを示す。
検査対象のHDDVDドライブ(ターゲットドライブ)にテストディスク10が装着されると、当該ターゲットドライブに接続された評価装置(PC端末、等)から、ターゲットドライブに対し、BCAデータ(BCAに保持されているデータ)の出力要求コマンドが送信される(S201)。このコマンドに対する応答が無ければ(S202:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、ターゲットドライブから応答があれば(S202:YES)、評価装置は、ターゲットドライブから受信したBCAデータと、テストディスク10のBCAに記録されているはずのBCAデータ(参照BCAデータ)を照合する(S203)。両データが不一致の場合(S204:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、両データが一致すれば(S204:YES)、当該ターゲットドライブは、BCAデータを適正に認識できると判定する(S205)。
上記検証フローを実行した後、または、上記検証フローと並行して、評価装置からターゲットドライブに対し、システムリードインデータの出力要求コマンドが送信される(S211)。このコマンドに対する応答が無ければ(S212:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、ターゲットドライブから応答があれば(S212:YES)、評価装置は、ターゲットドライブから受信したシステムリードインデータと、テストディスク10のシステムリードインに記録されているはずのシステムリードインデータ(参照システムリードインデータ)を照合する(S213)。両データが不一致の場合(S214:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、両データが一致すれば(S214:YES)、当該ターゲットドライブは、システムリードインデータを適正に認識できると判定する(S215)。
さらに、上記検証フローを実行した後、または、上記検証フローと並行して、評価装置からターゲットドライブに対し、テストデータ(ファイルデータ)の出力要求コマンドが送信される(S221)。このコマンドは、たとえば、レイヤー0とレイヤー1のデータエリア最外周部から一定範囲に記録されているデータの出力要求コマンドとされる。この場合、出力すべきデータの範囲がアドレスによって指定される。なお、このように一部のデータのみを出力する要求に代えて、全ユーザデータを出力する要求としても良い。
このコマンドに対する応答が無ければ(S222:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、ターゲットドライブから応答があれば(S222:YES)、評価装置は、ターゲットドライブから受信したユーザデータと、テストディスク10の指定範囲に記録されているはずのユーザデータ(参照ユーザデータ)を照合する(S223)。両データが不一致の場合(S224:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、両データが一致すれば(S224:YES)、当該ターゲットドライブは、ユーザデータを適正に再生できると判定する(S225)。
上記検証フローを実行した後、または、上記検証フローと並行して、評価装置からターゲットドライブに対し、当該テストディスク10のディスク構造を問い合わせるコマンドが送信される(S231)。このコマンドに対する応答が無ければ(S232:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、ターゲットドライブから応答があれば(S232:YES)、評価装置は、ターゲットドライブから受信したディスク構造に関する情報のうちのファイナライズ状態と、当該テストディスク10に設定されているはずのファイナライズ状態とを照合する(S233)。具体的には、ターゲットドライブにて認識されたファイナライズ状態が、ターミネータによってファイナライズされている状態(追記不可)となっているかを判別する。
ターゲットドライブから受信したファイナライズ状態が不適正である場合(S234:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、ターゲットドライブから受信したファイナライズ状態が適正であれば(S234:YES)、当該ターゲットドライブは、ターミネータデータを適正に認識できると判定する(S235)。
以上のようにして、各コマンドについて検証が終了すると、最後に、それぞれの検証結果が、それぞれ、S205、S215、S225、S235にて、適正であると判定されたかが評価される(S240)。そして、全ての検証結果が適正であれば、当該ターゲットドライブは、当該テストディスク10を用いた検査に合格したとされる。
以上、本フローチャートに従う検査によれば、ターゲットドライブが、レイヤー0とレイヤー1を適正に再生できるか、および、ターミネータデータを適正に認識し得るかを円滑に検証することができる。また、これに併せて、ターゲットドライブが、BCAとシステムリードインエリアに保持されているデータを適正に再生し得るかを円滑に検証することができる。
また、かかる検証を、1枚の記録済み追記型HDDVD(テストディスク10)のみを用いて確認できるため、非常に効率よく再生動作の検査を行うことができる。本実施の形態によれば、ディスク購入に要するコストを削減でき、また、ディスク交換等の煩雑な作業を回避でき、検査に要する時間の短縮化を図ることができる。
なお、上記検査フローでは、S203、S213、S223、S233およびS240における照合を評価装置内にて行うようにしたが、これらの検証は、たとえば、ターゲットドライブから受信したデータを評価装置のモニター上に表示させ、このデータと、テストディスク10に記録されているはずの参照データとを、ユーザが目視等により照合して行うようにすることも可能である。
<再生状態の検査2>
図11に、テストディスク30を用いてHDDVDドライブの再生状態を検査する際のフローチャートを示す。
検証対象のHDDVDドライブ(ターゲットドライブ)にテストディスク30が装着されると、当該ターゲットドライブに接続された評価装置(PC端末、等)から、ターゲットドライブに対し、記録最終位置(アドレス)を問い合わせるコマンドが送信される(S301)。このコマンドに対する応答が無ければ(S302:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、ターゲットドライブから応答があれば(S302:YES)、評価装置は、ターゲットドライブから受信した記録最終アドレスと、テストディスク30に設定されているはずの記録最終アドレス(参照最終アドレス)を照合する(S303)。
ここで、両アドレスが不一致の場合(S304:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、両アドレスが一致すれば(S304:YES)、当該ターゲットドライブは、最新のRMDを認識でき、且つ、このRMDから記録最終アドレスを適正に認識できると判定する(S305)。すなわち、ターゲットドライブは、ミドルエリアが拡張されている場合にも、これに応じて変動する記録最終アドレスを適正に認識できることが確認される。
上記検証フローを実行した後、または、上記検証フローと並行して、評価装置からターゲットドライブに対し、追記開始アドレスを問い合わせるコマンドが送信される(S311)。このコマンドに対する応答が無ければ(S312:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、ターゲットドライブから応答があれば(S312:YES)、評価装置は、ターゲットドライブから受信した追記開始アドレスと、テストディスク30に設定されているはずの追記開始アドレス(参照開始アドレス)を照合する(S313)。
ここで、両アドレスが不一致の場合(S314:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、両アドレスが一致すれば(S314:YES)、当該ターゲットドライブは、最新のRMDを認識でき、且つ、このRMDから追記開始アドレスを適正に認識できると判定する(S315)。すなわち、ターゲットドライブは、ミドルエリアが拡張されている場合にも、これに応じて変動する追記開始アドレスを適正に認識できることが確認される。
このとき同時に、当該ターゲットドライブが、ディスクのファイナライズ状態を適正に認識できることが確認される。すなわち、当該コマンドに対する追記開始アドレスの出力は、通常、当該ディスクが追記可能状態にあることをドライブが認識した上でなされる。したがって、当該コマンドに対しターゲットドライブが追記開始アドレスを出力したことから、ターゲットドライブは、ディスクがファイナライズされておらず追記可能な状態にあることを適正に認識できることが確認される。
さらに、上記検証フローを実行した後、または、上記検証フローと並行して、評価装置からターゲットドライブに対し、追記できる残容量(空き容量)を問い合わせるコマンドが送信される(S321)。このコマンドに対する応答が無ければ(S322:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、ターゲットドライブから応答があれば(S322:YES)、評価装置は、ターゲットドライブから受信した空き容量と、テストディスク30に残されているはずの空き容量(参照空き容量)を照合する(S323)。
ここで、空き容量は、ターゲットドライブにおいて、追記開始アドレスと、レイヤー1におけるデータエリアの最終アドレスに基づいて算出される。すなわち、当該最終アドレスから追記開始アドレスを減算することにより、当該ディスクの空き容量が求められる。したがって、ターゲットドライブにおいて、当該テストディスク30に記録されている最新のRMD等から追記開始アドレスを認識できれば、当該テストディスク30の空き容量を適正に取得することができる。
S323の照合において、両容量が不一致の場合(S324:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、両データが一致すれば(S324:YES)、当該ターゲットドライブは、ディスクの空き容量を適正に認識できると判定される(S325)。
また、上記検証フローを実行した後、または、上記検証フローと並行して、評価装置からターゲットドライブに対し、ミドルエリアの開始アドレスを問い合わせるコマンドが送信される(S331)。このコマンドに対する応答が無ければ(S332:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、ターゲットドライブから応答があれば(S332:YES)、評価装置は、ターゲットドライブから受信したミドルエリアの開始アドレスと、テストディスク30に設定されているはずのミドルエリアの開始アドレス(参照アドレス)を照合する(S333)。
ここで、両アドレスが不一致の場合(S334:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、両アドレスが一致すれば(S334:YES)、当該ターゲットドライブは、最新のRMDを認識でき、且つ、このRMDからミドルエリアの開始アドレスを適正に認識できると判定する(S335)。すなわち、ターゲットドライブは、ミドルエリアが拡張されていること、および、これに応じてシフトするレイヤー0のミドルエリアの開始アドレスを適正に認識できることが確認される。
以上のようにして、各コマンドについての検証が終了すると、最後に、それぞれの検証結果が、S305、S315、S325、S335にて、適正であると判定されたかが評価される(S340)。そして、全ての検証結果が適正であれば、当該ターゲットドライブは、当該テストディスク30を用いた検査に合格したとされる。
以上、本フローチャートに従う検査によれば、ミドルエリアが拡張されているかを適正に認識できるか、ミドルエリアの開始位置を適正に認識できるか、ファイルデータの記録終了位置を適正に認識できるか、当該ディスクが追記可の状態にあることを適正に認識できるか、追記開始位置と追記可能容量(空き容量)を適正に認識できるかを適正に認識できるかを円滑に検証することができる。これにより、たとえば、ミドルエリアの拡張領域に誤って追記を行うとの誤動作が当該ターゲットドライブにおいて起こらず、適正に追記動作を実行し得ることが確認される。
また、これら複数の検証を、1枚の記録済み追記型HDDVD(テストディスク30)のみを用いて確認できるため、非常に効率よく、ターゲットドライブの検査を行うことができる。本実施の形態によれば、ディスク購入に要するコストを削減でき、また、ディスク交換等の煩雑な作業を回避でき、検査に要する時間の短縮化を図ることができる。
なお、上記検査フローでは、S303、S313、323、333およびS340における照合を評価装置内にて行うようにしたが、これらの検証は、たとえば、ターゲットドライブから受信したデータを評価装置のモニター上に表示させ、このデータと、テストディスク30に記録されているはずの参照データとを、ユーザが目視等により照合して行うようにすることも可能である。
なお、テストディスク30は追記可能であるため、ターゲットドライブに記録を行わせようとすると、テストディスク30のドライブテストゾーンが使用される。この場合、予め、使用されるドライブテストゾーンがミドルエリアになるようテストディスク30のデータ構造を設定していれば、ターゲットドライブが、ミドルエリアが拡張されたことによりドライブテストゾーンの位置が変更になったことを正確に認識しているかを、併せて確認することも可能となる。
以上、本実施の形態によれば、同一のターゲットドライブに対して記録状態の検査および再生状態の検査1、2を行うことにより、ターゲットドライブが記録動作および再生動作の両方において適正であるかを検証することができる。
特に、テストディスク10を用いることにより、ターゲットドライブが、レイヤー0とレイヤー1を適正に再生できるか、および、ターミネータを適正に認識し得るかを円滑に検証することができ、併せて、ターゲットドライブが、BCAとシステムリードインエリアに保持されているデータを適正に再生し得るかを円滑に検証することができる。
また、テストディスク30を用いることにより、ターゲットドライブが、最新のRMDを適正に認識できるか、また、ミドルエリアが拡張されているかを適正に認識できるか、さらに、追記型HDDVDが“追記可”になっていることを適正に認識できるかを円滑に検証することができる。
このように、本実施の形態に係る検査方法によれば、ターゲットドライブが記録を適正に行えるか、ターゲットドライブが追記型HDDVDのファイナライズ状態を適正に認識できるか、追記可能な追記型HDDVDの認識を適正に行えるか、および、ターゲットドライブがレイヤー0とレイヤー1に渡って適正に再生を行えるかが検査され、さらに、追記型HDDVDにおいてミドルエリアが拡張されているか、および、不適正な位置に記録を行うことがないかが検査される。
したがって、本実施の形態に係る検査方法にパスしたドライブは、2層タイプの追記型HDDVDに対して、それが追記可である場合には適宜記録を行うことができ、また、このタイプの追記型HDDVDのどの位置からも適正に情報を再生することができる。したがって、これらドライブ同士では、相互に互換性が保てるようになる。加えて、この検査は、上記実施の形態に示すディスク構造を採用することにより、わずか3枚のディスクを用いることのみで実現でき、コスト削減と検証時間短縮が可能となる。
4.テストディスク10の変更例
上記では、テストディスク10とテストディスク30を用いて、種々の検査項目について再生動作の検査を行うようにした。しかし、これら検査項目は、テストディスク10とテストディスク30に固有のものではなく、検査項目の割り振りを、テストディスク10とテストディスク30間で相互に入れ替え、ドライブ検査における各テストディスクの役割分担を変更することもできる。
図12は、テストディスク10に適用されるデータ構造の変更例を示すものである。すなわち、このデータ構造では、レイヤー1に未記録の空き容量が残されており、また、ターミネータによってファイナライズされることなく追記可能な状態とされている。ここでは、ミドルエリアは拡張されず、ファイルデータは、レイヤー1のデータエリア全てと、レイヤー2の冒頭部分に僅かだけ(1Mbytes未満程度)記録されている。
5.テストディスク30の変更例
図13は、図12に示すテストディスク10の変更に伴って変更されるテストディスク30のデータ構造を示すものである。すなわち、このデータ構造では、レイヤー1に未記録の空き容量が残されずに、レイヤー1のデータエリア全てにファイルデータが記録されている。ミドルエリアは、上記と同様拡張されている。なお、このデータ構造では、ターミネータによるファイナライズはなされていないが、レイヤー1に空き容量が残されていないため、ディスクは追記不可となっている。リードインエリアの最新のRMDには、追記不可の情報(フラグ)が含まれている。
6.ドライブ検査方法
上記のようにテストディスク10、30に適用されるデータ構造が変更されるに伴い、これらテストディスクを用いて行われるドライブ検査方法も、それぞれ以下のように変更される。
<再生状態の検査1>
図14に、テストディスク10を用いる場合のドライブ検査方法の変更例を示す。
この検査フローでは、図10の検査フローに比べ、S231〜S235の工程が省略されている。これは、変更例に係るテストディスク10がファイナライズされていないことによるものである。なお、ドライブがファイナライズ状態を適正に認識できるかの検証は、後述の如く、テストディスク30による検査フローに移管されている。
また、図14のS221〜S225では、図10の検査フローと同様、ファイルデータの読み出し検証がなされる。しかし、ここでは、変更例に係るテストディスク10のレイヤー1には、冒頭部分に僅かな容量だけしかファイルデータが記録されていないため、ドライブがレイヤー2の全データエリアについて適正に再生できるかについては検証できない。しかし、上述の如く、追記型HDDVDでは、ディスクの反り等のために、一般的に外周位置における再生特性が劣化するため、通常、ドライブがレイヤー1の冒頭部分を適正に再生できれば、それより再生特性の良い内周側は、別途検査しなくとも、適正に再生できるものと推定できる。よって、このテストディスク10によっても、ドライブがレイヤー0、1に亘って適正に再生できるかを検証できる。
また、2層タイプの追記型HDDVDの場合、レイヤー0の終端からレイヤー1への始端へと円滑に引き継ぎながら再生動作を実行できるかが重要となる。この点、本テストディスク10においても、レイヤー1の冒頭部分にファイルデータが記録されているため、この部分のファイルデータが適正かを見ることによって、ドライブがレイヤー0の終端からレイヤー1への始端へと円滑に再生動作を引き継げるかを検証することができる。
なお、図14の検査フローでは、図10に比べ、S251〜S255の工程と、S261〜S265の工程が追加されている。これは、図12に示す如く、テストディスク10がファイナライズされずに、空き容量を残しながら、追記可とされたことによるものである。すなわち、S251〜S255の工程では、ドライブが追記開始アドレスを適正に認識できるかが検証され、S261〜S265では、ドライブが記録可能な空き容量を適正に認識できるかが検証される。
なお、これらの工程に係る検査は、上記では、図7に示すテストディスク30を用いながら、図11のS311〜S315の工程と、S321〜S325の工程によって行われている。すなわち、図14の検査フローでは、これらの検査工程が、テストディスク30を用いた検査工程から、テストディスク10を用いた検査工程へと移管されている。
図14を参照して、図12に示すデータ構造を有するテストディスク10がターゲットドライブに装着されると、S201〜S205、S211〜S215およびS221〜S225の検査工程の後、あるいは、これらの工程と並行して、評価装置からターゲットドライブに対し、追記開始アドレスを問い合わせるコマンドが送信される(S251)。このコマンドに対する応答が無ければ(S252:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、ターゲットドライブから応答があれば(S252:YES)、評価装置は、ターゲットドライブから受信した追記開始アドレスと、テストディスク30に設定されているはずの追記開始アドレス(参照開始アドレス)を照合する(S253)。
ここで、両アドレスが不一致の場合(S254:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、両アドレスが一致すれば(S254:YES)、当該ターゲットドライブは、最新のRMDを認識でき、且つ、このRMDから追記開始アドレスを適正に認識できると判定する(S255)。
このとき同時に、当該ターゲットドライブが、ディスクのファイナライズ状態を適正に認識できることが確認される。すなわち、当該コマンドに対する追記開始アドレスの出力は、通常、当該ディスクが追記可能状態にあることをドライブが認識した上でなされる。したがって、当該コマンドに対しターゲットドライブが追記開始アドレスを出力したことから、ターゲットドライブは、ディスクがファイナライズされておらず追記可能な状態にあることを適正に認識できることが確認される。
さらに、上記検証フローを実行した後、または、上記検証フローと並行して、評価装置からターゲットドライブに対し、追記できる残容量(空き容量)を問い合わせるコマンドが送信される(S261)。このコマンドに対する応答が無ければ(S262:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、ターゲットドライブから応答があれば(S262:YES)、評価装置は、ターゲットドライブから受信した空き容量と、テストディスク30に残されているはずの空き容量(参照空き容量)を照合する(S263)。
ここで、空き容量は、ターゲットドライブにおいて、追記開始アドレスと、レイヤー1におけるデータエリアの最終アドレスに基づいて算出される。すなわち、当該最終アドレスから追記開始アドレスを減算することにより、当該ディスクの空き容量が求められる。したがって、ターゲットドライブにおいて、当該テストディスク30に記録されている最新のRMD等から追記開始アドレスを認識できれば、当該テストディスク30の空き容量を適正に取得することができる。
S263の照合において、両容量が不一致の場合(S264:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、両データが一致すれば(S264:YES)、当該ターゲットドライブは、ディスクの空き容量を適正に認識できると判定される(S265)。
<再生状態の検査2>
図15に、テストディスク30を用いる場合のドライブ検査方法の変更例を示す。
この検査フローでは、図11の検査フローに比べ、S311〜S315およびS321〜S325の工程が省略されている。これは、変更例に係るテストディスク30に空き容量が残されていないことによるものである。なお、ドライブが追記開始アドレスを適正に認識できるか、および、追記可能な空き容量を適正に認識できるかの検証は、前述の如く、テストディスク10による検査フローに移管されている。
なお、図15の検査フローでは、図11に比べ、S351〜S355の工程が追加されている。これは、図13に示す如く、テストディスク30に空き容量が残されておらず、追記不可となっていることによるものである。すなわち、S351〜S355の工程では、ドライブがファイナライズ状態(追記不可)を適正に認識できるかが検証される。
なお、この工程に係る検査は、上記では、図5に示すテストディスク10を用いながら、図10のS231〜S235の工程によって行われている。すなわち、図15の検査フローでは、この検査工程が、テストディスク10を用いた検査工程から、テストディスク30を用いた検査工程へと移管されている。
また、図15の検査フローでは、図11に比べ、S361〜S365の工程が追加されている。これは、先の検査フローでは未検証の新たな検査項目に係るものである。
図15を参照して、図13に示すデータ構造を有するテストディスク30がターゲットドライブに装着されると、S301〜S305およびS331〜S335の検査工程の後、あるいは、これらの工程と並行して、評価装置からターゲットドライブに対し、当該テストディスク10のディスク構造を問い合わせるコマンドが送信される(S351)。このコマンドに対する応答が無ければ(S352:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、ターゲットドライブから応答があれば(S352:YES)、評価装置は、ターゲットドライブから受信したディスク構造に関する情報のうちのファイナライズ状態が追記不可となっているかを照合する(S353)。
ターゲットドライブから受信したファイナライズ状態が不適正である場合(S354:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、ターゲットドライブから受信したファイナライズ状態が適正であれば(S354:YES)、当該ターゲットドライブは、ディスクのファイナライズ状態を適正に認識できると判定する(S355)。
さらに、上記検証フローを実行した後、または、上記検証フローと並行して、評価装置からターゲットドライブに対し、記録ファイル数を問い合わせるコマンドが送信される(S361)。このコマンドに対する応答が無ければ(S362:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、ターゲットドライブから応答があれば(S362:YES)、評価装置は、ターゲットドライブから受信した記録ファイル数と、テストディスク30に記録されているはずのファイル数(参照ファイル数)を照合する(S363)。
ここで、両ファイル数が不一致の場合(S364:NO)、当該ターゲットドライブは、不適正ドライブとされる。一方、両ファイル数が一致すれば(S364:YES)、当該ターゲットドライブは、記録ファイル数を適正に認識できると判定される(S365)。
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、この他にも種々の実施形態にて実現可能なものである。
たとえば、上記実施の形態では、通常の追記型HDDVDと同様、ポリカーボネートを基板材料としたディスクを用いてテストディスクを生成することを想定しているが、テストディスクはガラス基板上に追記可能な材料・構成を有するようにして作製してもよく、その場合、ポリカーボネート基板で問題となるチルトなどの問題を低減することができ、また、温度変化に対してもチルト変化量が少なく有利である。
また、上記実施の形態では、ブランクの追記型HDDVDに記録を行ってテストディスクを作製するとしたが、ウォブルを持ったグルーブ内の表面構造を変化させたスタンパをあらかじめ作製し、これをもとに基板を生成した後、その反射率が規格に準拠するように調整された反射層を形成するようにすれば、記録という工程を経ずに2層型HDDVD−R規格に準拠したテストディスクを作製することが可能となる。しかし、この場合は、実際にユーザが用いるディスクとテストディスクで構造が異なることとなるため、テスト結果が、実際にユーザが用いる追記型HDDVDに応じたものからやや乖離することも考えられる。したがって、テスト結果を実際にユーザが用いる追記型HDDVDに応じたものとするためには、上記実施の形態で示すように、ブランクの追記型HDDVDに記録を行ってテストディスクを作製する方が望ましい。
また、上記実施の形態では、BCAはレイヤー1のみに配するとしたが、BCAはレイヤー0とレイヤー1の両方にあってもよく、2層型HDDVD−R規格に準拠していれば、上記実施形態と同様の効果が奏される。
また、記録するデータのサイズについて具体的に記述した部分は、本発明に制限を加えるものではなく、たとえば、図7に示すテストディスク30のファイルデータのサイズが10GBであってもよい。本実施形態のディスクフォーマットにて決められたサイズでテストディスクを作成するようにし、記録したサイズなどがあらかじめ分かっていさえすれば、検証時に照合するデータの一部が変更になるだけであるから、それにより本発明の目的・効果は変わるものではない。
本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。