JP2007146350A - 礼服及び汎用型礼服システム - Google Patents
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Abstract
【課題】日本社会の多元的な儀礼観念に鑑み、仏教儀礼への礼意に配慮された洋装礼服を基点として、各種儀礼の性格や諸宗教、諸宗派の儀礼に対峙した洋装礼服と礼服システムを構築し、現行の一元的な洋装礼服に対して着用選択の可能性を提供する。
【解決手段】宗教の教義または象徴である表象要素が施された編織布、不織布他を衣服の内壁面を構成する裏地に用いて組立て、優先課題である仏教儀礼に対峙した礼服を構築する。さらに、衣服本体の裏地面と異なる表象要素を有する着脱交換可能な裏地、またはリバーシブル型の着脱交換可能な裏地を衣服本体の内壁面に装着し、表裏の取替えや交換、取外しによって、仏教または諸宗教、諸宗派の儀礼に配慮された多元的な礼服システムを構築する。
【選択図】図3
【解決手段】宗教の教義または象徴である表象要素が施された編織布、不織布他を衣服の内壁面を構成する裏地に用いて組立て、優先課題である仏教儀礼に対峙した礼服を構築する。さらに、衣服本体の裏地面と異なる表象要素を有する着脱交換可能な裏地、またはリバーシブル型の着脱交換可能な裏地を衣服本体の内壁面に装着し、表裏の取替えや交換、取外しによって、仏教または諸宗教、諸宗派の儀礼に配慮された多元的な礼服システムを構築する。
【選択図】図3
Description
本発明は、各種儀礼に対峙する洋装礼服及び礼服システムに関するものである。
政教分離の公的儀礼等は別として、儀礼には宗教色が伴うのが一般的である。多様な宗教儀礼を認容する日本社会では参列者も主催者側の礼式に適応した作法に従っているが、礼服においては一神教なる西洋礼式に準じた黒礼服を兼用しているのが通例である。
然し、至便なる礼服の兼用性も日本社会の多元的な儀礼観念において、同一の礼服を用いるのが礼意に逆らう場合もある。例えば、キリスト教会での婚儀に用いる礼服と、仏教寺院での仏事に用いる礼服の同一には礼儀に違和感があるはずである。礼服の選択は神仏との間に機縁を持とうという意思表示の手段であり、本発明は礼服または平服において、各種儀礼に配慮された特色を施し、礼装の選択可能性を提供するものである。
現況に優先されるべき課題は仏事に対峙した礼服のあり方である。本発明は仏教儀礼に配慮された洋装礼服の実施例を基点として、その準用において諸宗教、諸宗派の各種儀礼に適応する礼服及び礼服システムを構築する。
日本社会では地域社会の風習が優先する神道儀礼も多在するが、礼式や礼法においては主に仏式と神式に大別され、何れの儀式も教義の形式を以て構成される。仏教において教義の形式とは典拠となる仏教経典と教義が図式化された曼荼羅がそれに該当する。また、仏教においては経文を常に所持する持経という功徳の通念があり、仏教の本質を象徴する曼荼羅は壇にして輪円具足、つまり、儀礼の聖なる空間にして一切の諸法と功徳をその中に具えているとされる。そこで、本発明は仏式儀礼に対峙した配慮のあり方として、仏教経典及び曼荼羅の表象を礼服に用いて、仏教と機縁を有する礼装を構築するものである。
曼荼羅には形式的分類として、諸仏の壇や形体を以て表現される大曼荼羅、法輪や蓮華や器杖や印契などの諸仏を象徴する標識で表現される三昧耶曼荼羅、諸仏を象徴する真言や梵字で表現される法曼荼羅または種子曼荼羅、仏像などの立体像で表現される羯磨曼荼羅があり、本発明に関わる曼荼羅の形式とは大曼荼羅、三昧耶曼荼羅、法曼荼羅が対象となる。また、内容的には両界、別尊、浄土、垂迹、宮曼荼羅などがある。
本発明における仏教経典とは般若心経をはじめとする経文であり、儀礼の性格や諸宗派の依拠とする経典、個人の求めに合致した経文が対象となる。
教会堂では教義を図絵化した内壁で聖なる空間を構成するように、礼服は個人を囲う建築物として裏地部分は聖堂や仏堂の内壁に相当する。また、教義は個人の内意に用いられるべき通念から、本発明において仏教経典及び曼荼羅は、礼服の内壁を構成する裏地に用いて組立てられることを特徴とする。すなわち、仏教経典または曼荼羅を表した編織布、不織布、紙、フィルム、シートを衣服の身頃や袖部、衿部やポケット等の裏地部分に用いて組立てる。また、斯かる裏地は衣服本体の裏地、衣服本体の身頃に装着する着脱交換可能な裏地、または、各面に異なる表象要素が施されたリバーシブル型の着脱交換可能な裏地に用いて、着脱交換可能な裏地の交換、表裏の取替え、取外しによって、仏教または諸宗教、諸宗派の儀礼に配慮された多元的な礼服システムを構築するものである。
現行の一元的洋装礼服において、仏教経典及び曼荼羅を礼服の内壁に具現化することによって、先ずは優先課題である仏教儀礼に配慮された礼服のあり方が実践される。これにより、現行の洋装礼服を仏式とその他の礼式に二分化することができる。次に、儀礼の性格や諸宗教、諸宗派の依拠とする教義が単一の表象要素では対応が難しい場合、礼服本体の裏地と異なる表象要素を有する着脱交換可能な裏地、または、表裏に異なる表象要素を有するリバーシブル型の着脱交換可能な裏地を装着することで、表象要素の選択可能性は倍増されることになる。斯かる裏地の交換様式は礼服本体の裏地面の表象を主体として、着脱可能な裏地の交換や表裏の取替えまたは取外しによって、仏教または諸宗教、諸宗派の儀礼に配慮された多元的な礼服システムを構築する。特に多様な礼装様式を扱う貸衣装業においては、各種儀礼に対応する礼服を各々に備えることは難しく、礼服本体の共用可能な礼服システムは、着脱交換可能な裏地のみを適宜に備えることで、礼服本体の過剰な衣装在庫の増加を回避できる利点がある。また、従来型の礼服本体に斯かる着脱交換可能な裏地を装着する係止手段を具設することで、既製品を各種儀礼対応型の礼服に変容もしくは新構築することが可能である。これはメーカーや貸衣装業において既製礼服の在庫品を甦生もしくは再生する有効手段でもある。
日本国内での洋式礼装には一般的に正礼服、準礼服、略礼服、平服に至る形式がある。本発明は男子においてはモーニングコートや燕尾服やタキシード、上着、ズボン、チョッキからなるスーツや背広、ジャケット、コート等、女子においてはドレス、ワンピース、アンサンブル、スーツ、ジャケット、コート等が適用の対象となる。但し、チョッキ等の礼装の内壁を構成する合着系では表地にも斯かる表象が用いられる場合がある。
表象として用いられる図絵、文字、記号、文様は、編織布、不織布、紙、フィルム、シートなどに具現化され、その方法には、編織成、刺繍、染色、印刷、転写、凹凸、貼付、押印、穿孔、透かし加工などがある。
図1は、スーツ上着の裏地に曼荼羅の表象を適用した組立例である。前身頃を開放した正面図は右半身の裏地に曼荼羅図式、左半身の裏地に組立縫合線を参考例に示している。つまり、図1は、曼荼羅図式を織成した織布2を上着1の裏地として総裏仕様に組立てた実施例である。洋装礼服において織布2は被服裏面の一部または総裏に用いられ、図1は金剛界曼荼羅を繰返して表された織布2を用いて組立てた例である。金剛界と胎蔵界を組合せた両界曼荼羅のように複数の異なる曼荼羅を合成して組立てる方法には、複数の異なる曼荼羅を組成して表された裁断片を用いて組立てる場合と、各々に異なる曼荼羅が表された裁断片を裏地組立部分2a、2b、2c、2dに混成させて組立てる場合がある。
仏教経典の経文文字を適用する場合も曼荼羅の組立例と同様、仏教経典の経文文字を表した編織布、不織布、紙、フィルム、シートを衣服の裏地に用いて組立てるものである。般若心経と阿弥陀経の組合せなど、複数の異なる仏教経典を合成して組立てる方法には、複数の異なる曼荼羅を合成して組立てる方法と同様、複数の異なる仏教経典を組成して表された裁断片を用いて組立てる場合と、各々に異なる仏教経典が表された裁断片を裏地組立部分に混成させて組立てる場合がある。また、仏教経典と曼荼羅を合成して組立てる方法には、仏教経典と曼荼羅を組成して表された裁断片を用いて組立てる場合と、仏教経典と曼荼羅が各々に表された裁断片を裏地組立部分に混成させて組立てる場合がある。これらは宗教、諸宗派の依拠とする経典が単数でないことと、教義を文字と図絵の形式で表す場合があるためである。
図2は、曼荼羅図式を織成した織布2を裏地に用いたスーツ上着1の身頃に、着脱交換可能な裏地3を装着して組立てた実施例である。前身頃を開放した正面図は上着1の裏地面に曼荼羅、着脱交換可能な裏地面3aに経典文字が施され、図2ではスライドファスナー4による装着を参考例に示している。つまり、上着本体の裏地である織布2と着脱交換可能な裏地面3aの二面関係において、仏教経典と曼荼羅、あるいは、二面に異なる仏教または仏教と異なる宗教、諸宗派の教義、象徴である図絵、文字、記号、文様を表すものである。また、無地もしくは宗教を特定しない表象要素からなる着脱交換可能な裏地を用いて、上着本体の裏地面に施された表象要素を被覆し、通常の礼服としての着用を可能にする実施法もある。着脱交換可能な裏地は礼服本体の裏地面との二面関係において、裏地本体の装着や交換、取外しによって、諸宗教、諸宗派の儀礼に汎用性を有する多元的な礼服システムを構築する。
図3は、曼荼羅図式を織成した織布2を裏地に用いたスーツ上着1に、着脱交換可能なリバーシブル型の裏地5を装着して組立てた実施例である。前身頃を開放した正面図は上着1の裏地面に曼荼羅、着脱交換可能なリバーシブル型の裏地面5aに経典文字、裏地面5bに十字架表象が施されている。つまり、上着本体の裏地である織布2と着脱交換可能な裏地面5a、5bの三面関係において、仏教経典または曼荼羅、他面にそれと異なる仏教または仏教と異なる宗教、諸宗派の教義、象徴である図絵、文字、記号、文様を表すものである。例えば、三面の各々に法輪と十字架と三日月の表象を施すことによって、仏教とキリスト教とイスラムに対応する。また、浄土三部経のように依拠となる経典が三部で構成される場合の三面構成や、リバーシブル型の裏地の一面において無地もしくは宗教を特定しない裏地面を有して、上着本体の裏地面に施された表象要素を被覆し、通常の礼服としての着用を可能にする三面構成などもある。着脱交換可能な裏地のリバーシブル方式は表裏の取替え、裏地本体の交換や取外しによって、諸宗教、諸宗派の儀礼に汎用性を有する多元的な礼服システムを構築する。
図4は、通常の裏地を有するスーツ上着1の身頃に曼荼羅図式が施された着脱交換可能な裏地6を装着した実施例である。図4では係止手段の一例として、図面左側にはスーツ上着1にボタン7a、着脱交換可能な裏地6にボタン孔7bを設けた参考例を、図面右側にはスーツ上着1にスナップボタン雌部8a、着脱交換可能な裏地6にスナップボタン雄部8bを設けた参考例を示している。つまり、通常の礼服本体に諸宗教の教義または象徴である表象が施された着脱交換可能な裏地を装着する係止手段を具設することによって、従来型の既成礼服を各種儀礼対応型の礼服に変容または新構築するものである。これは、メーカーや貸衣装業において既製品を甦生もしくは再生する有効手段である。
図2、3、4の着脱交換可能な裏地が複数の裁断片で構成される場合は、衣服本体の裏地の組立例と同じく、複数の異なる表象要素を合成して組立てる方法がある。すなわち、複数の異なる表象要素を組成して表された裁断片を用いて組立てる場合と、各々に異なる表象要素が表された裁断片を組立部分に混成させて組立てる場合である。着脱交換可能な裏地の衣服本体への係止手段は、衣服側と着脱交換可能な裏地側の両側もしくは片側に係止具、係止孔、係止輪などが具設され、係止具の方式は衣服の種類や組立構造及び素材の性状や強度に応じて選択される。
1 スーツ上着
2 曼荼羅図式を織成した織布
2a 裏地組立部分
2b 裏地組立部分
2c 裏地組立部分
2d 裏地組立部分
3 着脱交換可能な裏地
3a 着脱交換可能な裏地面
4 スライドファスナー
5 着脱交換可能な裏地
5a 着脱交換可能な裏地面
5b 着脱交換可能な裏地面
6 着脱交換可能な裏地
7a ボタン
7b ボタン孔
8a スナップボタン雌部
8b スナップボタン雄部
2 曼荼羅図式を織成した織布
2a 裏地組立部分
2b 裏地組立部分
2c 裏地組立部分
2d 裏地組立部分
3 着脱交換可能な裏地
3a 着脱交換可能な裏地面
4 スライドファスナー
5 着脱交換可能な裏地
5a 着脱交換可能な裏地面
5b 着脱交換可能な裏地面
6 着脱交換可能な裏地
7a ボタン
7b ボタン孔
8a スナップボタン雌部
8b スナップボタン雄部
Claims (3)
- 仏教経典の経文文字または曼荼羅、及び、諸宗教の教義または象徴である図絵、文字、記号、文様なる表象要素を施した編織布、不織布、紙、フィルム、シートを、衣服本体の内壁を構成する裏地、または着脱交換可能な裏地、リバーシブル型の着脱交換可能な裏地に用いて組立てられた礼服及び礼服裏地。
- 衣服本体の裏地面と異なる表象要素を有する着脱交換可能な裏地、または表裏に異なる表象要素を有するリバーシブル型の着脱交換可能な裏地を、衣服本体の内壁面に装着、交換、取外して構築される汎用型礼服システム。
- 請求項1、2記載の礼服に該当しない既製服の内壁に、着脱交換可能な裏地またはリバーシブル型の着脱交換可能な裏地を装着する係止手段を具設して構築された請求項1、2記載の礼服及び礼服裏地と汎用型礼服システム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005370809A JP2007146350A (ja) | 2005-11-25 | 2005-11-25 | 礼服及び汎用型礼服システム |
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- 2005-11-25 JP JP2005370809A patent/JP2007146350A/ja active Pending
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