JP2007144560A - ボールねじ装置の組立装置およびその組立方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ボールねじ装置1の組立装置15が、サポートブロック43と、ナット4を縦方向に設置し、ナット4をサポートブロック23に対して昇降自在に支持するナット受台40と、ナット受台40に設置されたナット4の内径側に挿入され、サポートブロック43に回転自在に支持された仮軸16と、仮軸16の先端部に形成され、投入された循環路に装填する数の鋼球7をナット軌道溝5に導く傾斜面31と、仮軸16の中心側に配置された円環状弾性体22と、この円環状弾性体22の半径方向の弾性により仮軸16の外周面から突出する先端がナット軌道溝5に送り込まれた鋼球7を押圧する円柱体23とを備える。
【選択図】 図4
Description
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、ナットの軸方向に沿った連結路を有するボールねじ装置においても、ボールの損傷を防止し、玉詰まりが生ずることのないボールねじ装置の組立装置を提供することを目的とする。
図1において、1はボールねじ装置である。本実施例ではデフレクタ式のボールねじ装置である。
2はボールねじ装置1のねじ軸であり、合金鋼等の鋼材で製作された棒状部材であって、その外周面には略半円弧形状の軸軌道溝3が所定のリードで螺旋状に形成されている。
4はボールねじ装置1のナットであり、合金鋼等の鋼材で製作された円筒状部材であって、その内周面には軸軌道溝3と対向する略半円弧形状のナット軌道溝5が軸軌道溝3と同じリードで形成されている。
また、ナット4の外周部の一方の端部にはフランジ部6が設けられ、フランジ部6に設けたボルト穴6aにより図示しない機械装置の移動台にボルト等で固定される。
8は戻り路であり、ナット4の側壁の厚肉部4aに形成された鋼球7を循環させるための鋼球7の直径より大きい直径を有し、ナット4の厚肉部4aを軸方向に貫通する貫通穴であって、ナット4に形成されたナット軌道溝5の条数(本実施例では1条)に対応して設けられている。
上記の負荷路の両端部はエンドデフレクタ10の方向転換路12とナット4の戻り路8とにより形成される連結路により連結されて循環路が形成され、この循環路には複数の鋼球7と所定の量のグリースが封入され、負荷路を転動した鋼球7がタング部13により連結路に掬上げられながら循環路を循環し、ねじ軸2を回転させることによって鋼球7が循環路を循環しながらナット4を軸方向に移動させる。
16は仮軸であり、ナット4への鋼球7の装填時にねじ軸2の替わりにナット4の内径側に挿入する棒状部材であって、段付軸として形成された基軸17の大径軸17aの端部に形成された嵌合穴18をシャフト19の端部の突起軸部20に嵌合させ、そこに設けられた切欠き部をセットビスにより押圧して固定される。
円柱体23は、樹脂材料や金属材料等の円環状弾性体22より硬い材料で形成され、図6に示すように外筒21の大径穴21aの側壁に軸方向に沿って複数穿孔された挿入穴24に挿入され、その外周面の一の部位が円環状弾性体22の外周面により押圧されたときに、その押圧部の直径方向の反対側が外筒21の外周面から突出するように形成されている。
また、外周面開口部25の図6に示す幅Wは、円柱体23の外周面が接触したときに円柱体23の外周面の外筒21の外周面からの突出部の先端の突出量Sがナット軌道溝5に装填された鋼球7の内接円の半径方向の外側に所定の押圧代が得られる幅に設定される。
本実施例の押圧機構は、挿入穴24に仮軸16の半径方向に移動可能に保持された円柱体23と、円柱体23を弾性により押圧して挿入穴24の外周面開口部25から半径方向に出没可能に支持する円環状弾性体22とにより形成される。
また、調整間座27は、円環状弾性体22を一つずつ挟むように配置され、複数の調整間座27の間に自由状態の円環状弾性体22を挟んで積み重ねたときに、これらの全長が外筒21の小径穴21bから突出する基軸17の小径軸17bの軸方向の長さより長くなるように調整間座27の厚さを選定して組合される。
本実施例の仮軸16は、上記の基軸17、外筒21、円環状弾性体22、円柱体23、調整間座27、蓋体30等で構成された組立体として形成される。
図4において、40はナット受台であり、合金鋼等の鋼材で製作され、組立対象となるナット4を縦方向に設置してその外周面を嵌合する設置穴40aが設けられた円筒状部材であって、設置穴40aの反対側の端部に形成された嵌合穴40bをスライダ41の端部の取付部41aに嵌合させて取付けられる。
43はサポートブロックであり、合金鋼等の鋼材で製作された円筒状部材であって、その外周面が、スライダ41の内周面と遊嵌してスライダ41をシャフト19に対して軸方向に往復移動可能に支持している。
44は玉軸受等の転がり軸受であり、内輪がシャフト19に嵌合し、外輪がサポートブロック43の内周面に嵌合して固定されており、シャフト19をサポートブロック43に対して回転自在に支持している。
50はボール挿入冶具であり、ナット4の内周面の直径から所定の隙間代を減じた外径を有する挿入部51が形成されており、挿入部51の端面には仮軸16の先端部の蓋体30に形成された円錐面31に対向し、円錐面31と同様の円錐面を有する円錐状凹部51aが形成されると共に、ボール挿入冶具50を軸方向に貫通してその上面50aから円錐状凹部51aに達するボール導入穴52が形成されている。
上記の各部品を組込んでボールねじ装置1の組立装置15とするときは、基軸17の小径軸17bに外筒21の小径穴21bを差込んで取付け、小径軸17bに内周面を嵌合させた調整間座27および円環状弾性体22を交互に差込んで積み重ね、外筒21の挿入穴24にそれぞれ円柱体23を挿入し、基軸17の小径軸17bのガイド穴37に蓋体30のガイド突起38を遊嵌させ、ボルト34により蓋体30を基軸17に締結して仮軸16を組立てる。
そして、仮軸16の嵌合穴18にシャフト19の突起軸部20を挿入してセットビスにより締付けて固定し、ナット受台40の貫通穴16bに仮軸16を挿通させ、ナット受台40の嵌合穴40bをスライダ41の取付部41aに挿入して組立装置15を組立てる。
ボール導入穴52に投入された鋼球7は、ボール導入穴52の開口から仮軸16の円錐面31上に投入され、図9に示すようにボール挿入冶具50の案内面56に案内されて円錐面31を転がって仮軸16の肩部39に達し、転がり軸受44に支持されたシャフト19により仮軸16を図10に示す矢印C方向に回転させると、鋼球7が自重により仮軸16の外筒21の外周面とナット4のナット軌道溝5との間に送り込まれる。
このとき、円柱体23の押圧による摩擦力で下方のエンドデフレクタ10の近傍のナット軌道溝5を移動する鋼球7が押されながら移動するので、縦配置となっている戻り路8の鋼球7が下方から押し上げられて上方の方向転換路12に達し、図9に示すように先頭の鋼球7がボール挿入冶具50の位置決め溝54の係止部55に当接して停止する。
この場合に、鋼球7が連結路の全てに装填され、ナット軌道溝5に停止している鋼球7を押圧機構の円柱体23の先端が押圧したとしても、円柱体23は円環状弾性体22の弾性により外筒21の外周面から半径方向に出没可能に構成されているので、鋼球7に損傷を与えることはなく円柱体23を乗り越えさせることができる他、仮軸16のC方向への回転に支障が生ずることもない。
このように、本実施例では、ナット軌道溝5に送り込まれた鋼球7を押圧機構の円柱体23の突出した先端により押しながら円滑に移動させるので、玉詰まりが生ずることはなく、縦配置にされたナット4の下方から縦配置の連結路に鋼球7を容易に送りこむことができる。
更に、ボール挿入冶具50の挿入部51に係止部55を有する位置決め溝54を設けてあるので、ナット4とボール導入穴52の位置合せを容易に行うことができると共に、係止部55により連結路に装填された鋼球7を上方で停止させるので、一旦連結路に装填された鋼球7が再びナット軌道溝5に混入することはない。
以上説明したように、本実施例では、ボールねじ装置の組立装置のサポートブロックに昇降自在に支持されたナット受台に、ナットを縦方向に設置し、ナットの内径側にサポートブロックに回転自在に支持された仮軸を挿入し、仮軸の先端部に形成された円錐面に投入された所定数のボールを肩部からナット軌道溝に送り込み、押圧機構の円環状弾性体の弾性により仮軸の外周面から半径方向に突出する円柱体の先端でナット軌道溝に送り込まれた鋼球を押圧するようにしたことによって、仮軸を回転させてナット軌道溝に送り込まれた鋼球を押圧機構の突出した円柱体の先端により押しながら移動させることができ、縦配置にされたナットの連結路に下方から鋼球を円滑に送りこむことが可能になり、玉詰まりを防止することができると共に、突出した円柱体の先端が円環状弾性体の弾性により仮軸の外周面から半径方向に出没可能に構成されているので、ナット軌道溝に停止している鋼球を突出した円柱体の先端が容易に乗り越えることができ、鋼球への損傷を防止することができる。
なお、上記各実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例のボールねじ装置1は、実施例1と同様のデフレクタ式のボールねじ装置であるが、ナット4の内周面の直径が比較的小さく、そのボールとしての鋼球7の直径も比較的小さく形成されている。
62は仮軸であり、合金鋼等の鋼材で製作されたナット4への鋼球7の装填時にねじ軸2の替わりにナット4の内径側に挿入する棒状部材であって、実施例1の外筒21と同様に組立対象となるナット4のBCDより鋼球7の直径分小さい内周円の直径から所定の隙間代を減じた外径を有している。
66は板状弾性体であり、天然ゴムや合成ゴム等の弾性材料で形成された板状部材であって、その厚さに所定の締め代を減じた幅を有し、仮軸62を直径方向に貫通するスリット67に板状弾性体66の弾性により嵌合している。
69はナット受台であり、合金鋼等の鋼材で製作され、組立対象となるナット4を縦方向に設置してその外周面を嵌合する設置穴69aが設けられた円環状部材であって、設置穴69aの反対側の端部に形成された嵌合部69bをスライダ70の端部の取付穴70aに遊嵌させて取付けられる。
更に、ナット受台69の設置穴69aにもその内周面に半径方向に突出するボールプランジャ42が設けられており、その先端がナット4の外周面を押圧してナット4とナット受台69とを固定する。
また、シャフト19は、実施例1と同様に転がり軸受44によりサポートブロック43に対して回転自在に支持されている。
上記の各部品を組込んでボールねじ装置1の組立装置61とするときは、サポートブロック43の内周面に転がり軸受44とシール体45とを嵌合させて組付け、シャフト19をシール体45に挿通させ、転がり軸受44の内輪にシャフト19を嵌合させ組付け、サポートブロック43の外周面にスライダ70の内周面を遊嵌させ、図示しない位置決め機構に支持させる。
このようにして組立てたボールねじ装置1の組立装置61のナット受台69の設置穴69aに、組立対象となるナット4の内径側を仮軸62に挿通しながらナット4を縦方向にして挿入し、設置穴69aのボールプランジャ42の先端で押圧して設置し、スライダ70を図示しない位置決め機構により昇降して仮軸62の円錐面31の肩部39を、ナット4の縦方向に設置されている戻り路8の上方の端部に嵌着されているエンドデフレクタ10の方向転換路12のナット軌道溝5への開口部の下部付近に位置させる。
ボール導入穴52に投入された鋼球7は、実施例1と同様に、ボール導入穴52の開口から仮軸62の円錐面31を転がって肩部39に達し、シャフト19により仮軸62をC方向に回転させると、鋼球7が自重により仮軸62の外周面とナット4のナット軌道溝5との間に送り込まれる。
このとき、板状弾性体66の突出した先端の押圧による摩擦力で下方のエンドデフレクタ10の近傍のナット軌道溝5を移動する鋼球7が押されながら移動するので、実施例1と同様に縦配置の戻り路8の下方から押し上げられて上方の方向転換路12に達した先頭の鋼球7がボール挿入冶具50の位置決め溝54の係止部55に当接して停止する。
この場合に、鋼球7が連結路の全てに装填され、ナット軌道溝5に停止している鋼球7を押圧機構の板状弾性体66の先端が押圧したとしても、その突出した先端が板状弾性体66の弾性により仮軸62の外周面から半径方向に出没可能に構成されているので、鋼球7に損傷を与えることはなく板状弾性体66の先端を乗り越えさせることができる他、仮軸62の回転に支障が生ずることもない。
このように、本実施例では、ナット軌道溝5に送り込まれた鋼球7を押圧機構の板状弾性体66の突出した先端により押しながら円滑に移動させるので、玉詰まりが生ずることはなく、縦配置にされたナット4の下方から縦配置の連結路に鋼球7を容易に送りこむことができる。
以上説明したように、本実施例では、ボールねじ装置の組立装置のサポートブロックに昇降自在に支持されたナット受台に、ナットを縦方向に設置し、ナットの内径側にサポートブロックに回転自在に支持された仮軸を挿入し、仮軸の先端部に形成された円錐面に投入された所定数のボールを肩部からナット軌道溝に送り込み、板状弾性体の弾性により仮軸の外周面から半径方向に突出する押圧機構の板状弾性体の先端でナット軌道溝に送り込まれた鋼球を押圧するようにしたことによっても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
また、上記各実施例においては、縦配置の連結路を有するボールねじ装置はデフレクタ式であるとして説明したが、縦配置の連結路を有するボールねじ装置は前記に限らず、エンドキャップ式のボールねじ装置であってもよい。この場合においても縦配置の連結路に鋼球を円滑に送りこむことができ、上記各実施例と同様の効果を得ることができる。
更に、上記各実施例においては、ナット軌道溝は1条のであるとして説明したが、多条のナット軌道溝の場合も同様である。この場合にボール挿入冶具のボール導入穴をその条数に合せて複数設けるようにするとよい。このようにすれば多条のナット軌道溝を有するナットへの鋼球の装填を同時に行うことが可能になり、多条のナットへの鋼球装填の作業時間の短縮を図ることができる。
更に、上記各実施例においては、ナットに鋼球を介してねじ軸を螺合させるときに、一旦ナットをスリーブに移した後に、ナットをねじ軸に螺合させるとして説明したが、ねじ軸の軸端形状に合わせて仮軸の円錐状突起やC面取を形成してナット回転させながらねじ軸に直接螺合させるようにしてもよい。これによりボールねじ装置の組立効率を向上させることができる。
2 ねじ軸
3 軸軌道溝
4 ナット
4a 厚肉部
5 ナット軌道溝
6 フランジ部
6a、35 ボルト穴
7 鋼球
8 戻り路
10 エンドデフレクタ
11 嵌着穴
12 方向転換路
12a 端部
13 タング部
15、61 組立装置
16、62 仮軸
17 基軸
17a 大径軸
17b 小径軸
18、40b、64 嵌合穴
19 シャフト
20 突起軸部
21 外筒
21a 大径穴
21b 小径穴
22 円環状弾性体
23 円柱体
24 挿入穴
25 外周面開口部
27 調整間座
30 蓋体
31 円錐面
32 鍔部
33 ボス部
34 ボルト
36 締付面
37 ガイド穴
38 ガイド突起
39 肩部
40、69 ナット受台
40a、69a 設置穴
41、70 スライダ
41a 取付部
42 ボールプランジャ
43 サポートブロック
44 転がり軸受
45 シール体
50 ボール挿入冶具
50a 上面
51 挿入部
51a 円錐状凹部
52 ボール導入穴
54 位置決め溝
55 係止部
56 案内面
63 固定端
66 板状弾性体
67 スリット
69b 嵌合部
70a 取付穴
Claims (5)
- 外周面に螺旋状の軸軌道溝を形成したねじ軸と、内周面に前記軸軌道溝に対向するナット軌道溝を形成した円筒状のナットと、前記ナット軌道溝を連結する連結路と、前記軸軌道溝とナット軌道溝と連結路とで構成される循環路を循環する複数のボールとを備えたボールねじ装置の組立装置において、
サポートブロックと、前記ナットを縦方向に設置し、該ナットを前記サポートブロックに対して昇降自在に支持するナット受台と、該ナット受台に設置されたナットの内径側に挿入され、前記サポートブロックに回転自在に支持された仮軸と、該仮軸の先端部に形成され、投入された前記循環路に装填する数のボールを前記ナット軌道溝に導く傾斜面と、前記仮軸の半径方向に弾性を有し、前記仮軸の外周面から突出する先端が、前記ナット軌道溝に送り込まれたボールを押圧する押圧機構とを備えたことを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項1において、
前記押圧機構が、前記仮軸の外周面から突出する突出部材と、該突出部材を押圧し、前記仮軸の中心側に配置された円環状弾性体とで形成されていることを特徴とするボールねじ装置の組立装置。 - 請求項1において、
前記押圧機構が、前記仮軸を直径方向に貫通するスリットに嵌合し、両端が該仮軸の外周面から突出する板状弾性体で形成されていることを特徴とするボールねじ装置の組立装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記ナットが、該ナットの軸方向に沿った連結路を有することを特徴とするボールねじ装置の組立装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のボールねじ装置の組立装置を用い、
前記仮軸の傾斜面に投入された前記循環路に装填する所定の数のボールを、前記仮軸を回転させて、記押圧機構と前記ナット軌道溝に送りこまれたボールとの摩擦力により、前記連結路に送り込むことを特徴とするボールねじ装置の組立方法。
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