JP2007144555A - 高速断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents

高速断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 Download PDF

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Abstract

【課題】高速断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具を提供する。
【解決手段】超硬合金またはサーメットで構成された基体の表面に、下部層と上部層からなる硬質被覆層を被覆形成してなる表面被覆切削工具において(a)下部層は、0.5〜15μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、(b)上部層は、1〜10μmの平均層厚を有する、AlとCrの複合酸化物(Al1−XCrと酸化バナジウムVOの少なくとも2相混合の複合組織層であり、かつ、該2相混合の複合組織を、組成式:[(Al1−XCr]1−Y(VO)の形で表した場合に、上記組成式におけるMの値が1.8〜2.3であり、かつ、Xの値が0.05〜0.35、Yの値が0.03〜0.2を満足するAlとCrとVの含有割合(原子比)からなる、AlとCrの複合酸化物(Al1−XCrと酸化バナジウムVOの少なくとも2相混合の複合組織層、前記(a)、(b)からなる硬質被覆層を化学蒸着により形成してなる。
【選択図】 なし

Description

この発明は、硬質被覆層がすぐれた高温硬さ・耐熱性・高温強度を備えるとともに、すぐれた潤滑性を示し、したがって、鋼や鋳鉄などを、高速断続切削という厳しい条件下で切削加工を行なった場合にも、被削材と切削工具との間の摩擦力が低減され、硬質被覆層の過熱が防止されることによって、切削時に切粉が切刃部に溶着することなく、すぐれた耐チッピング性を発揮する、炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された基体の表面に、化学蒸着により硬質被覆層を形成してなる表面被覆切削工具(以下、被覆工具という)に関するものである。
従来、被覆工具として、炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金または炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)基サーメットで構成された基体(以下、これらを総称して工具基体という)の表面に、
(a)下部層が、Tiの炭化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示す)層のうちの1層または2層以上からなり、かつ0.5〜15μmの全体平均層厚を有するTi化合物層、
(b)上部層が、1〜10μmの平均層厚を有し、かつ組成式:(Al1−XCrにおいて、AlとCrの含有割合を示すXの値が、原子比で、0.05〜0.35を満足するAlとCrの複合酸化物[以下、(Al,Cr)で示す]層、

以上(a)および(b)で構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる被覆工具が知られており、また、上記従来被覆工具が、その硬質被覆層の上部層を構成するAl成分により高温硬さと耐熱性を、また、Cr成分により高温強度を具備することから、かかる被覆工具を各種の鋼や鋳鉄などの切削加工に用いた場合にすぐれた切削性能を発揮することも知られている。
さらに、上記の従来被覆工具が、例えば図1に概略縦断面図で示される通り、中央部にステンレス鋼製の反応ガス吹き出し管が立設され、前記反応ガス吹き出し管には、図2(a)に概略斜視図で、同(b)に概略平面図で例示される黒鉛製の工具基体支持パレットが串刺し積層嵌着され、かつこれらがステンレス鋼製のカバーを介してヒーターで加熱される構造を有する化学蒸着装置を用い、工具基体を前記工具基体支持パレットの底面に形成された多数の反応ガス通過穴位置に図示される通りに載置した状態で前記化学蒸着装置に装入し、ヒーターで装置内を、例えば850〜1050℃の範囲内の所定の温度に加熱した後、まず、硬質被覆層の下部層として、例えば表3に示される形成条件でTi化合物層を形成し、ついで、
(a)反応ガス組成:容量%で(以下、反応ガスの%は容量%を示す)、
AlCl: 1.43〜2.09 %、
CrCl: 0.11〜0.77 %、
CO: 5〜6 %、
HCl: 2〜3 %、
2 : 残り、
(b)反応雰囲気温度: 800〜1050 ℃、
(c)反応雰囲気圧力: 5〜25 kPa、
の条件で、上記の(Al,Cr)層からなる上部層を形成することも知られている。

また、一般に、上記の被覆工具の硬質被覆層を構成するTi化合物層やAl層が粒状結晶組織を有し、さらに、前記Ti化合物層を構成するTiCN層を、層自身の強度向上を目的として、通常の化学蒸着装置にて、反応ガスとしてCHCNなどの有機炭窒化物を含む混合ガスを使用し、700〜950℃の温度域で化学蒸着することにより形成して縦長成長結晶組織をもつようにすることも知られている。
特開昭54−153758号公報 特開平6−8010号公報 特開平6−31503号公報
近年の切削加工装置のFA化はめざましく、一方で切削加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求は強く、これに伴い、切削加工は、通常の切削条件に加えて、より高速条件下での切削加工が要求される傾向にあるが、上記の従来被覆工具においては、各種の鋼や鋳鉄を通常条件下で切削加工した場合に特段の問題は生じないが、これをより厳しい切削条件である高速断続切削加工、即ち、切刃部にきわめて速いピッチで機械的熱的衝撃の加わる高速断続切削加工に用いた場合には、高速断続切削加工により高い発熱が生じ、硬質被覆層の上部層を構成する(Al,Cr)層の潤滑性不足のために硬質被覆層が過熱され、切粉が切刃部に溶着し易くなり、これが原因でチッピング(微少欠け)が発生し、この結果比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、鋼や鋳鉄などの高速断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する被覆工具を開発すべく、上記従来の被覆工具を構成する硬質被覆層に着目し、研究を行った結果、
(1)下部層がTi化合物層、上部層が(Al,Cr)層からなる上記従来の硬質被覆層の蒸着形成において、上部層の蒸着形成を、次の(a)〜(c)の蒸着条件で行うと、Ti化合物層からなる下部層の上に、1〜10μmの平均層厚のAlとCrの複合酸化物[(Al1−XCr]と酸化バナジウム[VO]の少なくとも2相混合の複合組織(以下、本発明では、この複合組織を、(Al,Cr)−VOで示す)層が蒸着形成されること。

(a)反応ガス組成:容量%で(以下、反応ガスの%は容量%を示す)、
AlCl: 1.43〜2.09 %、
CrCl: 0.11〜0.77 %、
VCl: 0.08〜0.53 %、
CO: 5〜7 %、
HCl: 2〜3 %、
2 : 残り、
(b)反応雰囲気温度: 850〜1050 ℃、
(c)反応雰囲気圧力: 5〜25 kPa、

(2)そして、上記2相混合の複合組織を、

組成式:[(Al1−XCr]1−Y(VO)

の形で表した場合に、上記組成式におけるMの値は1.8〜2.3であり、かつ、Xの値は0.05〜0.35、Yの値は0.03〜0.2を満足するAlとCrとVの含有割合(原子比)からなる、AlとCrの複合酸化物(Al1−XCrと酸化バナジウムVOの少なくとも2相混合の複合組織((Al,Cr)−VO)層であること。

(3)上記2相混合の複合組織(Al,Cr)−VO層からなる上部層は、上部層中に含有されるV成分によって非常にすぐれた潤滑性を示すようになるため、硬質被覆層の上部層として(Al,Cr)−VO層が蒸着形成された被覆工具を、鋼や鋳鉄の高速断続切削加工に供した場合には、切刃部にきわめて速いピッチで機械的熱的衝撃が加わり、同時に、被削材およびその切粉が高温加熱された状態となる切削加工条件であるにも拘わらず、切刃部(すくい面および逃げ面と、これら両面が交わる切刃稜線部)と被削材および切粉との間には常にすぐれた潤滑性が確保され、前記被削材および切粉の切刃部表面に対する粘着性および反応性が著しく低減され、切刃部への切粉の溶着等が防止され、その結果として、チッピングの発生を防止することができること。
以上(1)〜(3)に示される研究結果を得たのである。
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された基体の表面に、基体の表面を被覆する下部層と、該下部層の表面を被覆する上部層からなる硬質被覆層を被覆形成してなる表面被覆切削工具において、

(a)上記下部層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2種以上で構成され、かつ0.5〜15μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、
(b)上記上部層は、1〜10μmの平均層厚を有する、AlとCrの複合酸化物(Al1−XCrと酸化バナジウムVOの少なくとも2相混合の複合組織((Al,Cr)−VO)層であり、かつ、該2相混合の複合組織((Al,Cr)−VO)を、
組成式:[(Al1−XCr]1−Y(VO)
の形で表した場合に、上記組成式におけるMの値が1.8〜2.3であり、かつ、Xの値が0.05〜0.35、Yの値が0.03〜0.2を満足するAlとCrとVの含有割合(原子比)からなる、AlとCrの複合酸化物(Al1−XCrと酸化バナジウムVOの少なくとも2相混合の複合組織((Al,Cr)−VO)層、
前記(a)、(b)からなる硬質被覆層を、炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された基体の表面に化学蒸着により形成してなる、
高速断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する被覆工具(表面被覆切削工具)に特徴を有するものである。
つぎに、この発明の被覆工具において、これを構成する硬質被覆層の構成を上記のとおりに限定した理由を説明する。
(1)下部層(Ti化合物層)
Ti化合物層は、基本的には上部層の下部層として存在し、自身の具備するすぐれた高温強度によって硬質被覆層の高温強度向上に寄与するほか、工具基体と上部層((Al,Cr)−VO層)のいずれにも強固に密着し、よって硬質被覆層の工具基体に対する密着性を向上させる作用を有するが、その合計平均層厚が0.5μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その合計平均層厚が15μmを越えると、切削時の発生熱によって偏摩耗の原因となる熱塑性変形を起し易くなることから、その合計平均層厚を0.5〜15μmと定めた。
(2)上部層((Al,Cr)−VO層)

上部層である(Al,Cr)−VO層におけるAl成分は高温硬さおよび耐熱性、同Cr成分は高温強度を向上させ、また、同V成分は、潤滑性・耐溶着性向上に寄与するが、組成式:[(Al1−XCr]1−Y(VO)において、AlとCr成分の含有割合を示すX値が原子比で(以下同じ)0.05未満であると、上部層の高温強度の向上が望めないため、耐チッピング性の改善は期待できず、一方、X値が0.35を越えると、相対的にAlの含有割合が低くなり、層自体の高温硬さおよび耐熱性が低下し、これが摩耗促進の原因となることから、X値を0.05〜0.35と定めた。また、上部層のV成分は、化学蒸着の際または化学蒸着後の冷却工程において、VO,V,VO,Vの形態でAlとCrの複合酸化物(Al1−XCr中に取り込まれ、そして、上部層に存在する低融点のVが切削加工時の発熱によって潤滑作用を発揮し、その結果、被削材および切粉の切刃部表面に対する粘着性および反応性が著しく低減され、切刃部への切粉の溶着等が防止される。

上部層の組成式:[(Al1−XCr]1−Y(VO)におけるMの値は、いわば、上部層全体のバナジウム酸化物中におけるVの存在割合を示す指標といえる(即ち、Mが1であれば、すべてのバナジウム酸化物はVOとして存在しVは存在しないことになり、また、Mが2.5であるならばすべてのバナジウム酸化物はVとして存在し、VO,V,VOは存在しないことになる)が、Mの値が1.8未満であると、化学蒸着により形成した上部層中にはVがきわめて僅かしか存在しないことになり潤滑性、耐溶着性改善の効果が期待できず、一方、Mの値が2.3を超える(即ち、バナジウム酸化物のほとんどがVとなるようにする)と、上部層の高温硬さおよび高温強度が大きく低下し、硬質被覆層の特性劣化を招くので、Mの値は、1.8〜2.3と定めた。

また、上記組成式におけるYの値が0.03未満であると、相対的にV含有割合が少なくなるため上部層における潤滑性の改善、耐溶着性の改善が図られず、チッピング発生防止を期待することはできず、一方、Yの値が0.2を超えると、潤滑性、耐溶着性にはすぐれるものの、相対的なAlとCrの含有割合の減少によって上部層の耐熱性、高温硬さおよび高温強度が低下し、耐摩耗性が不十分となることから、組成式:[(Al1−XCr]1−Y(VO)におけるV含有割合の指標となるYの値を0.03〜0.2と定めた。
上部層の平均層厚が1μm未満では、硬質被覆層のすぐれた特性である潤滑性、耐溶着性を長期に亘って確保することができず、一方その平均層厚が10μmを超えると、チッピングが発生しやすくなることから、上部層の平均層厚を1〜10μmと定めた。
この発明の被覆工具は、硬質被覆層を、工具基体を覆うTi化合物層からなる下部層、下部層を覆うAlとCrの複合酸化物(Al1−XCrと酸化バナジウムVOの少なくとも2相混合の複合組織層((Al,Cr)−VO層)からなる上部層で構成することにより、硬質被覆層の下部層の具備する高温強度、上部層の具備する高温硬さ、高温強度、耐熱性を何ら損なうことなくこれを維持したままで、硬質被覆層がすぐれた潤滑性、耐溶着性を具備することから、各種の鋼や鋳鉄などの通常条件の切削加工に用いることができることは勿論、特に、厳しい切削条件の高速断続切削加工、即ち、切刃部にきわめて速いピッチで機械的熱的衝撃の加わる高速断続切削加工に用いた場合であっても、被削材と切削工具との間の摩擦力が低減され、硬質被覆層の過熱が防止され、切刃部への切粉の溶着が防止されることによって、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を示し、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するのである。
つぎに、この発明の被覆工具を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、100MPa の圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を6Paの真空中、温度:1400℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃部分にR:0.07のホーニング加工を施してISO規格・CNMG120408のチップ形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A1〜A10(以下、工具基体A1〜A10という)を形成した。
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比で、TiC/TiN=50/50)粉末、MoC粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を2kPaの窒素雰囲気中、温度:1500℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃部分にR:0.07のホーニング加工を施してISO規格・CNMG120408のチップ形状をもったTiCN基サーメット製の工具基体B1〜B6(以下、工具基体B1〜B6という)を形成した。
上記の工具基体A1〜A10およびB1〜B6のそれぞれを、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した後、図1に示される化学蒸着装置内に、第2図に示される超硬基体支持パレットの位置決め穴に載置した状態で装入し、まず、表3(表3中のl−TiCNは特開平6−8010号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつTiCN層の形成条件を示すものであり、これ以外は通常の粒状結晶組織の形成条件を示すものである)に示される通常の条件にて、表6に示される組み合わせおよび目標平均層厚のTi化合物層を硬質被覆層の下部層として蒸着形成した。
つぎに、表4に示される条件で、かつ同じく表6に示される目標平均層厚の(Al,Cr)−VO層を硬質被覆層の上部層として蒸着形成し、本発明被覆工具である本発明被覆スローアウエイインサート(以下、本発明被覆インサートと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、これら工具基体A1〜A10およびB1〜B6を、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した後、同じくそれぞれ図1,2に示される通常の化学蒸着装置に装入し、表7に示されるTi化合物層を硬質被覆層の下部層として蒸着形成した(なお、表7に示される従来被覆工具1〜16の下部層(Ti化合物層)は、本発明被覆工具1〜16のそれぞれと同じにしてあるので、下部層の具体的な形成条件、目標平均層厚は、表3、表6に示されているとおりである)。
次に、表5に示される条件で、かつ同じく表7に示される目標平均層厚の(Al,Cr)層を硬質被覆層の上部層として下部層(Ti化合物層)の表面に蒸着形成し、従来被覆工具としての従来表面被覆スローアウエイインサート(以下、従来被覆インサートと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
つぎに、上記の各種の被覆インサートを、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、本発明被覆インサート1〜16および従来被覆インサート1〜16について、
被削材:JIS・SNCM439の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 400 m/min.、
切り込み: 1.3 mm、
送り: 0.2 mm/rev.、
切削時間: 25 分、
の条件(切削条件Aという)でのニッケルクロムモリブデン鋼の乾式断続高速切削加工試験(通常の切削速度は200m/min.)、
被削材:JIS・S50Cの長さ方向等間隔8本縦溝入り丸棒、
切削速度: 500 m/min.、
切り込み: 1.7 mm、
送り: 0.7 mm/rev.、
切削時間: 30 分、
の条件(切削条件Bという)での炭素鋼の乾式断続高速切削加工試験(通常の切削速度は250m/min.)、
被削材:JIS・FC300の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 450 m/min.、
切り込み: 1.5 mm、
送り: 0.3 mm/rev.、
切削時間: 20 分、
の条件(切削条件Cという)での鋳鉄の乾式断続高速切削加工試験(通常の切削速度は200m/min.)を行い、いずれの切削加工試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表8に示した。
Figure 2007144555
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Figure 2007144555
この結果得られた本発明被覆インサート1〜16および従来被覆インサート1〜16の硬質被覆層を構成する各層について、その組成を、オージェ分光分析装置を用いて測定したところ、いずれのTi化合物層、(Al,Cr)−VO層、(Al,Cr)層も目標組成と実質的に同じ組成を示し、各層の層厚も目標平均層厚と実質的に同じ値を示した。
表8に示される結果から、硬質被覆層の下部層上に、上部層として(Al,Cr)−VO層を設けた本発明被覆インサート1〜16は、鋼、鋳鉄などを高速条件下で断続切削加工を行なった場合にも、硬質被覆層がすぐれた潤滑性、耐溶着性を示し、すぐれた耐チッピング性、耐摩耗性を長期に亘って発揮するのに対して、硬質被覆層の下部層上に、上部層として(Al,Cr)層のみが設けられた従来被覆インサート1〜16においては、特に前記上部層の潤滑性不足が原因して、チッピングが発生し易く、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の被覆工具は、通常の条件での切削加工は勿論のこと、鋼や鋳鉄などを高速断続切削という厳しい条件下で切削加工を行なった場合であっても、すぐれた耐チッピング性を発揮し、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を示すものであるから、切削装置のFA化、並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。
被覆工具を構成する硬質被覆層を形成するのに用いた化学蒸着装置を示す概略縦断面図である。 化学蒸着装置の構造部材である工具基体支持パレットを示し、(a)が概略斜視図、(b)が概略平面図である。

Claims (1)

  1. 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された基体の表面に、基体の表面を被覆する下部層と、該下部層の表面を被覆する上部層からなる硬質被覆層を被覆形成してなる表面被覆切削工具において、
    (a)上記下部層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2種以上で構成され、かつ0.5〜15μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、
    (b)上記上部層は、1〜10μmの平均層厚を有する、AlとCrの複合酸化物(Al1−XCrと酸化バナジウムVOの少なくとも2相混合の複合組織層であり、かつ、該2相混合の複合組織を、
    組成式:[(Al1−XCr]1−Y(VO)
    の形で表した場合に、上記組成式におけるMの値が1.8〜2.3であり、かつ、Xの値が0.05〜0.35、Yの値が0.03〜0.2を満足するAlとCrとVの含有割合(原子比)からなる、AlとCrの複合酸化物(Al1−XCrと酸化バナジウムVOの少なくとも2相混合の複合組織層、
    前記(a)、(b)からなる硬質被覆層を、炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された基体の表面に化学蒸着により形成してなる、
    高速断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010131741A (ja) * 2008-10-31 2010-06-17 Sumitomo Electric Hardmetal Corp 表面被覆切削工具

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