JP2007143446A - スイングアーム式搾乳ユニット離脱装置 - Google Patents

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Tomohiko Ikeda
池田智彦
Masayuki Tanaka
田中昌幸
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Abstract

【課題】 スイングパーラーにおいて簡易かつ丈夫な構成にて搾乳ユニットの自動復帰を実現し、作業の手間を軽減できると共に作業時間を短縮できる装置を提供する。
【解決手段】 2個のストールの間の作業通路上に垂直に設けられた固定アームと、該コラムに設けられた揺動軸を介して水平面に沿って2個のストールのそれぞれに近接する位置まで揺動可能に支持されるスイングアームと、アクチュエータとを有し、アクチュエータの可動部と連結されたロープを、スイングアームの中間部及び先端部の2個の孔部を経由するようにスイングアーム内部を通してアーム先端部から垂下させ、該ロープの先に搾乳ユニットを連結する。スイングアーム先端の孔部と搾乳ユニットの間のロープ中間部にはストッパを設け、ロープ引き上げの途中で該ストッパがスイングアーム先端孔部に当接するように構成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ミルキングパーラーのミルククロー等の搾乳ユニットを支持し、搾乳終了後に自動で離脱させる搾乳ユニットの自動離脱装置に関し、特に1つの搾乳ユニットを両サイドのストール間で振り分けて使用するスイングパーラーのためのスイングアーム式搾乳ユニット離脱装置に関する。
ミルキングパーラーでは真空圧のパイプラインを牛舎内に配設し、ティートカップ、ミルククロー等からなる搾乳ユニットをパイプラインの所定位置に接続することにより搾乳を行う。この際、搾乳中にミルクチューブからミルククローに力が加わるのを防ぐため、手動で回動可能なミルクチューブサポートバーを設けて支持させることが行われる。また搾乳を終えた牛からミルククローが床に落下して汚染されることを防ぐため、ティートカップの真空圧の供給を停止した後にミルククローをすみやかに引き上げる自動離脱装置が設けられる。
例えば特開平11−285325号公報には、垂直平面内で回動するサポートバーを用いたミルククローの自動排除機構が記載されている。この自動排除機構は、サポートバーの端部に係合させたロープを、アクチュエータの可動部に設けた滑車に巻き掛けて、他端をミルククローに連結することにより、ミルククローの引き上げに必要な引張り力を発揮させるようにしている。またロープのミルククローよりにストッパを設けて、ミルククローの引き上げ中に前記滑車付近に当接させる機構により、ミルククローの引き上げに続いてサポートバーの復帰を順次行わせるようにしている。
特開平11−285325号公報
米国特許第6382130号明細書には、ミルキングパーラーの通路をはさんで相対する位置に設けられる2個のストールで1個の搾乳ユニットを共用するいわゆるスイングパーラーのための搾乳補助装置であって、ミルクチューブを収容する、縦平面内で揺動可能な直線状のスイングアームと、該アームと平行に設けられたアクチュエータと、ばねの補助によりアームを適当な角度に係止できる弧状部材を用いて、搾乳ユニットの取付け及び回収を容易に行えるようにした搾乳器具の位置決め装置が記載されている。この装置ではミルククローの引上げはアクチュエータにより自動で行うが、スイングアームの復帰は手動で行っている。
米国特許第6382130号明細書
2個のストールの間に搾乳ユニットを設置して共用する方式(スイングパーラー)は、搾乳ユニットを持ち運ぶことに比べると効率が良く、また搾乳ユニット数がストール数の半分ですむ点で優れているが、2個のストールで一箇所のステーションを共有するため、搾乳ユニットの移動やチューブ類の引き回しが煩雑となる恐れがある。また一層の省力化のためには、搾乳終了後に搾乳ユニットが自動で回収されて元の位置に復帰することが望ましい。米国特許第6382130号明細書記載の発明はこれを改善しようとしたもので、ミルククローの引き上げが自動化されているが、スイングアームの自動復帰手段は設けられていないため、反対側のストールの搾乳を行う際に大きく振れたアームを手動で移動させたり、搾乳終了後に中立位置まで復帰させなければならない不便があった。
本発明の目的はスイングパーラーにおける上記の問題点を解消するため、簡易かつ丈夫な構成にて搾乳ユニットの自動復帰を実現し、作業の手間を軽減できると共に作業時間を一層短縮できる装置を提供することにある。
請求項1記載の発明は、2個のストールの間の作業通路上に垂直に設けられた固定アームと、該コラムに設けられた揺動軸を介して水平面に沿って揺動可能に支持されるスイングアームを有し、スイングアーム先端が通路両側の2個のストールのそれぞれに近接する位置まで揺動可能となるようにしている。また、装置の固定部分に設けたアクチュエータの可動部と連結されたロープを、スイングアームの中間部及び先端部の2個の孔部を経由するようにスイングアーム内部を通してアーム先端部から垂下させ、該ロープの先に搾乳ユニットを連結している。アクチュエータのロープ引き込み口は、スイングアーム通過面の上方で、かつ、両ストールの中間の位置に配置させる。これにより搾乳終了時にロープを引き上げて搾乳ユニットを自動で回収できるようにするとともに、アクチュエータ出口とスイングアーム中間側孔部で作用する引張り力を利用して、スイングアームを通路と平行な中立位置に復帰させることができる。
請求項2記載の発明は、スイングアーム先端とティートカップの間のロープ中間部にストッパ(ボール)を設け、ロープ引き上げの途中でスイングアーム先端側孔部に当接するようにして、この当接が生じた場合に、ロープの張力がすべてアクチュエータ出口とスイングアーム中間側孔部の間の引張り力として作用するようにしている。そして引き上げるべき搾乳ユニットの重量等に合わせて揺動軸とスイングアーム中間側孔部の相対位置(従ってスイングアームの復帰に必要な引張り力の大きさ)を適宜に調整することにより、ストッパの当接前には搾乳ユニットの引き上げを専ら行わせ、ストッパの当接後はスイングアームの復帰を専ら行わせるようにしている。
アクチュエータのロープ引き上げ動作によって、両ストールの中間位置にスイングアームを揺動させ、ティートカップユニットを中心付近に位置させることができるため、作業者は一方の牛の搾乳の間に他方の牛の搾乳前処理を行い、搾乳後に自動的に中立位置に復帰したティートカップユニットを受け取って滞りなく次の搾乳作業に移ることができるので、作業動線が簡潔となり作業時間が短縮できる。またロープ中間部にストッパを設けてユニット引き上げとアーム復帰を選択的に行わせれば、搾乳ユニット引き上げに伴うロープの揺れやアクチュエータの負荷を小さく抑えることができ、装置の耐久性や作業性が向上する。
以下、図面を参照しながら、本発明の具体的な実施形態について説明する。図1は本発明のスイングアーム式離脱装置を牛舎に設置した場合(スイングパーラー)の配置例を示す正面図である。両側のプラットホームの間には沈床式の作業用通路が設けられ、その上方に通路と平行にミルカーの各種配管が設けられている。本発明に係るスイングアーム式離脱装置10は、作業用通路の中央にあり、奥行き方向には左右のプラットホームの対応するストールの各組毎に1個ずつ設置されている。
図2は本発明のスイングアーム式離脱装置の要部を示す右側面図である。図において、11は固定アーム、12はアクチュエータである真空シリンダ、13はスイングアーム、14はスイングアームの揺動軸、15は制御装置、16は引き上げ用のロープ、17はロープ引き入れ口である先端側孔部、18はロープ引出口である中間側孔部、19はストッパとして作用するボールである。ロープ16の先端には搾乳ユニット20が係止されている(図1参照)。
固定アーム11は好ましくは背面側が開いたC字断面を有する垂直部材であって、左右のストールの支柱を用いて十分高く掛けわたされた梁に直接固定されている。固定アーム11の内側をミルカーパイプラインの支管その他の管束が通って下端より引き出される。固定アーム11の前面(図1では正面)に沿って真空シリンダ12が設置され、その下端出口から引き上げ用のロープ16が垂れ下がっている。
スイングアーム13は固定アーム11上の揺動軸14を中心にして左右に揺動し、その揺動角度は、中立位置(通路正面)を基準として+90°〜−90°以上であることが好ましい。スイングアーム13は水平面内で移動するから、支点の摩擦力を越えるトルクをアームに作用させることにより任意の角度まで容易に移動させその場で静止させることができる。また、スイングアーム13は必ずしも中立位置及び両端位置でロックさせることを要しない。その理由は搾乳中に牛の動きにつれて片側に引張られるのを防ぐため、両端位置にあるときのアームを牛の動きに追従させたほうがよく、また復帰する位置にも多少の幅があってよいからである。スイングアーム13の先端付近の下部には制御装置15が固定され、固定アーム11の下端から引き出された真空圧チューブその他が所定位置に接続されている。
スイングアーム13は先端側孔部17と中間側孔部18を有し、内部は中空となっており、真空シリンダ12から延びるロープ16が通過できるようになっている。真空シリンダから搾乳ユニットまでのロープ16を送る経路は破線A〜Fで示される。Aは真空シリンダ12出口、Bは中間側孔部の縁、Cは第一のプーリ、Dは第二のプーリ、Eは第三のプーリ、Fは搾乳ユニットのミルククローの所定位置に係止されるクリップである。プーリC、D、Eはロープ16の送りを円滑にするためのもので、その位置はロープ16の材質等に合わせて適宜定めることができる。また中間側孔部の縁Bは、スイングアーム13の揺動につれて真空シリンダ12とA点の相対位置が変化してもロープ16の送りが妨げられないような丸みのある断面であることが望ましい。ロープ16の最大引出し位置は、両側のストールにおける搾乳時の搾乳ユニットの位置に対応させる。
ロープ16上に設けられるストッパボール19の直径は、スイングアーム13の先端側孔部17の直径よりも大きく、ボール19が先端側孔部17の外側に当接してロープ16の引き込みを制限できるようにしている。ボールを設置する位置は、ボール19が先端側孔部17に当接した時の搾乳ユニットの吊下げ高さが適当な値となるように定められる。さらにスイングアーム13の復帰のために、ボールが先端側孔部の外側に当接した時に真空シリンダのストロークにさらに余裕を設けている。
制御装置15は特開2004−305032号公報記載の制御手段と類似のもので、スイングアーム13の先端付近の下部で作業者の目の高さ付近に設けられており、図示しないが、装置の状態を表す表示手段、作業者が操作できる操作手段、乳量センサ、弁制御手段及び真空シリンダ制御手段等を有しており、内蔵されたプログラムに従って所定の手順を装置に実行させる。
以下、本実施例のスイングアーム式離脱装置を使用する場合の搾乳作業の手順を説明する。搾乳時には、牛をストールに引き入れ、スイングアーム13が通路正面に向く中立位置にある状態で、通常の手順に従って、最初に搾乳する牛(図1の右側)の洗浄やマッサージなどの搾乳前処理を行う。その後、制御装置15の開始ボタンを押すと真空シリンダ12の図示しないロック機構を解除し、手動でスイングアーム13を引くと、真空シリンダ12のロープ16を引き出しながらスイングアーム13が作業するストールの側へ揺動する。スイングアーム13が通路と直角になるか所定の最大角度に達した後に、さらにミルククローを手で持って、ロープ16をスイングアーム13先端から繰り出しつつ搾乳ユニット20を牛の体の下まで引出し、空いた他方の手でティートカップを乳頭に装着する。
その後、各部の弁制御手段が作動して搾乳用の真空圧がミルククローに供給され、所定の手順で搾乳が行われる。この搾乳作業は自動で行われその間は人手を要しないので、作業者は一頭の搾乳中に次に搾乳すべき反対側にあるストールの牛に対して、予め搾乳前処理を行うことができる。
搾乳が終了すると制御装置15が乳量の減少を検知して真空圧の供給を停止し、また適当なタイミングで真空シリンダ12を作動させてロープ16を引き戻し、吸着力を失ったティートカップが床に落ちるより前に自動的に搾乳ユニット20を引き上げる。引き上げられた搾乳ユニット20はスイングアーム13の下方に戻って一旦係留されるが、ストッパボール19がスイングアーム先端側孔部17のロープ引出口に当接してロープ16の引き戻しを阻止すると、ロープ16にC,D,Eのプーリを介して搾乳ユニット20の重量を超える引張り力が生じ、揺動軸の静止摩擦力に打ち勝ってスイングアーム13の揺動を開始させる。スイングアーム13が通路正面に向いた中立位置に戻ると、AB間の距離が最小となり、同時に真空シリンダ12のストロークが実質的に尽きてアームは静止する。
作業者はこのとき作業用通路の反対側(図1の左側)に立って次の牛の搾乳前処理を行っているので、中立位置に戻って吊下げられているミルククローを容易に手に取ることができ、作業通路内で移動することなく次の搾乳作業のための搾乳ユニット20の装着作業を始めることができる。搾乳後は同じ手順によりティートカップユニットが再び自動で離脱し、スイングアーム13が中立位置に戻る。通常各プラットホームにはストールが2組以上あり、本発明のスイングアーム装置は通路に沿って複数台設置されているから、作業者は2頭目の搾乳の間に別のスイングアーム設置位置に進んで、次の牛の搾乳のための前処理を行う。このように作業者は手戻りなくスムーズに次の工程に進むことができるので、効率的に搾乳作業を進めることができる。
上記の通り、本発明のスイングアーム式搾乳ユニット離脱装置によれば、簡易な構成にてスイングパーラー作業者の作業性を向上し、作業効率を高めることができるから、酪農施設の経営上顕著な効果がある。
本発明のスイングアーム式離脱装置の全体の配置例を示す正面図である。 本発明のスイングアーム式離脱装置の要部を示す右側面図である。
符号の説明
10 スイングアーム式離脱装置
11 固定アーム
12 真空シリンダ
13 スイングアーム
14 揺動軸
15 制御装置
16 引き上げ用ロープ
17 先端側孔部
18 中間側孔部
19 ストッパボール
20 搾乳ユニット

A 真空シリンダ出口
B 中間側孔部の縁
C 第一のプーリ
D 第二のプーリ
E 第三のプーリ
F クリップ

Claims (2)

  1. 2個のストールの間の作業通路上に垂直に設けられた固定アームと、該コラムに設けられた揺動軸を介して水平面に沿って2個のストールのそれぞれに近接する位置まで揺動可能に支持されるスイングアームと、アクチュエータとを有し、アクチュエータの可動部と連結されたロープを、スイングアームの中間部及び先端部の2個の孔部を経由するようにスイングアーム内部を通してアーム先端部から垂下させ、該ロープの先に搾乳ユニットを連結したことを特徴とする搾乳ユニットの離脱装置。
  2. スイングアーム先端の孔部と搾乳ユニットの間のロープ中間部にストッパを設け、ロープ引き上げの途中で該ストッパがスイングアーム先端孔部に当接するように構成したことを特徴とする請求項1記載の搾乳ユニットの離脱装置。
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