JP2007141644A - プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性の高い処理を実施可能なプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法を提供する。
【解決手段】大気圧近傍圧力雰囲気下で電極対の電極間に交番電界を印加して放電プラズマを生成せしめ、プラズマ内で生成された励起ガスを搬送される被処理基材に吹き付け作用させるプラズマ処理装置において、希ガスからなる主放電ガスの励起および励起された主放電ガスの吹き付けを行うための第1および第2の経路、並びに、搬送される被処理基材上の空間であって第1の経路のガス吹き出し部と第2の経路のガス吹き出し部との間に位置する空間の酸素の状態を制御するための制御手段を設けた。
【選択図】図1
【解決手段】大気圧近傍圧力雰囲気下で電極対の電極間に交番電界を印加して放電プラズマを生成せしめ、プラズマ内で生成された励起ガスを搬送される被処理基材に吹き付け作用させるプラズマ処理装置において、希ガスからなる主放電ガスの励起および励起された主放電ガスの吹き付けを行うための第1および第2の経路、並びに、搬送される被処理基材上の空間であって第1の経路のガス吹き出し部と第2の経路のガス吹き出し部との間に位置する空間の酸素の状態を制御するための制御手段を設けた。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガラス、金属、プラスチック、繊維等の平板基材の表面洗浄、特に電子部品を含む半導体デバイスの洗浄処理に好適に応用されるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関する。
従来から大気圧近傍圧力下で生成したプラズマによる各種被処理基材への表面洗浄改質処理が行われている。
このような表面洗浄処理としては、窒素などのキャリアガスに酸素を添加した混合ガスをプラズマ励起し、被処理基材へ噴射供給して処理を行う手法が提案されている。このような手法では、高速で搬送される被処理基材の表面処理を前提としているが、被処理基材表面の汚染状態や酸素(水分)の吸着状態、または処理が実施される雰囲気の酸素量や湿度などの要因によっては十分な表面処理が行われず、複数回にわたる処理、又は搬送速度を低下させる必要があった。(特許文献1参照)。
そこで、窒素に対して体積比で0.01〜0.7%の微量な濃度の酸素を加えた混合ガスを中間接地した高圧トランスに接続された電極間に導入してプラズマ化し、得られた励起ガスを被処理基材へ吹き付け作用させる手法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、このような手法では、窒素ガスに対してごく微量の酸素ガスを均一に混合した状態で励起し、電極から噴出させることが困難であり、被処理基材に処理の分布を形成する場合があった。加えて、その構造上、電極と大地(接地)間の電位差に起因する被処理基材への帯電やチャージアップダメージを引き起こすといった弊害を抱えていた。
また、別の方法として、対向配置された複数の電極およびガス流路を有し、プラズマ化したガスを被処理基材表面へ吹き付けた後、空気、又は、酸素を含むガスで曝露することで被処理基材表面へ酸素を吸着させ、その後再びプラズマ供給することで吸着した酸素を励起して表面処理を行う手法が提案されている(特許文献3参照)。
特開2005−108482号公報
特開2004−311314号公報
特開2005−72497号公報
しかしながら、発明者らの試験によると、特許文献3のような構成では被処理基材へ吸着させる空気、又は酸素を含むガスの供給量が基板表面付近で精密に制御されないので、処理雰囲気へ酸素が過剰に供給され、プラズマ化したガスが過剰な酸素との反応や励起に費やされて被処理基材まで到達する活性種が大幅に減少し、プラズマ化したガスのみを吹き付け処理を行う場合よりも、かえって処理効果が低下するという問題が確認された。従って、処理雰囲気中の酸素の状態を適切に制御する構成の処理装置が要求される。そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、より信頼性の高い処理を実施可能なプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法の提供を目的とするものである。
本発明の第1の側面は、大気圧近傍圧力雰囲気下で電極対の電極間に交番電界を印加して放電プラズマを生成せしめ、プラズマ内で生成された励起ガスを搬送される被処理基材に吹き付け作用させるプラズマ処理装置において、希ガスからなる主放電ガスの励起および励起された主放電ガスの吹き付けを行うための第1および第2の経路、並びに、搬送される被処理基材上の空間であって第1の経路のガス吹き出し部と第2の経路のガス吹き出し部との間に位置する空間の酸素の状態を制御するための制御手段を設けたプラズマ処理装置である。ここで、制御手段が、酸素を含む気体からなる補助ガスの励起および励起された補助ガスの吹き付けを行うための第3の経路からなり、第3の経路のガス吹き出し部が、第1の経路のガス吹き出し部と第2の経路のガス吹き出し部との間に配置される構成とした。また、制御手段が、搬送される被処理基材表面上に希ガスを流通させるための第4の経路を備える構成とした。
上記第1の側面において、2つの電極が高圧側の高圧電極および接地側の接地電極からなるとともに中間部材によって互いに位置決めされて電極ユニットを構成し、電極ユニットにおいて、高圧電極が被処理基材と直接対向しないように一定の間隙をもって接地電極によって覆われる構造を有し、第1、第2および第3の経路がそれぞれ、高圧電極と接地電極および中間部材とによって画定される空間、又は高圧電極および中間部材と接地電極とによって画定される空間に形成され、高圧電極および接地電極はそれぞれ電気的に切れ目のない一体構造を有し、交番電界印加手段に接続される構成とした。ここで、第4の経路が、電極ユニットの外面の少なくとも一部を覆うカバーと電極ユニットとで画定される空間によって構成されるとともに、第4の経路の排気および給気部が電極ユニットと被処理基材との間隙に向かって位置し、第4の経路に希ガスを流通させるための供給設備および排気設備を具備する構成とした。
本発明の第2の側面は、大気圧近傍圧力雰囲気下で電極対の電極間に交番電界を印加して放電プラズマを生成せしめ、プラズマ内で生成された励起ガスを被処理基材に吹き付け作用させるプラズマ処理装置におけるプラズマ処理方法であって、第1の電極対で希ガスからなる主放電ガスを励起し、励起された主放電ガスを搬送される被処理基材に対して吹き付ける第1の処理ステップ、第2の電極対で酸素を含む補助ガスを励起し、励起された補助ガスを搬送される被処理基材に対して吹き付ける第2の処理ステップ、および第3の電極対で希ガスからなる主放電ガスを励起し、励起された主放電ガスを搬送される被処理基材に対して吹き付ける第3の処理ステップを順次行うプラズマ処理方法である。さらに、第1から第3のステップを、搬送される被処理基材上に希ガスを流通させた状態で行うようにした。
本発明によれば、一台の処理装置で複数の処理ステップが連続的に行えるため、信頼性の高い処理を実現できる。また、処理雰囲気中に酸素を適切に供給してその酸素分布を制御する機構を設けたので、好適な被処理基材への酸素吸着又は表面有機汚染物との反応を行うことができる。さらに、処理雰囲気を覆うカバー内の給排気制御によって被処理基材周辺への外気混入や酸素過多を抑制することで、励起ガスの酸素との反応や失活を抑え、処理効果の向上を図ることが可能となる。
また、補助ガスの吹き付けによる酸素の吸着について、励起された酸素(特に原子状態)を主成分とするガスを吹き付ける構成としたので、特許文献3のように励起されない酸素(分子状態)によって吸着を行う場合よりも、被処理基材への吸着性や表面有機汚染物との反応性を増すことができる。
以下に本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1、2は本発明のプラズマ処理装置の構成例を示す図である。プラズマ処理装置は高圧電極1、接地電極2、および高圧電極1に密着配置される固体誘電体3とからなる一対の電極を形成しており、電極対と接地電極2下面に配置される搬送手段20を含む空間は給排気制御機構を具備するカバー8で覆われている。ここで、電極対は3つ以上隣接して配置され、各電極対の高圧電極1、および接地電極2が電気的に接続されることで、一つの電極ユニットとして構成される。
図1、2は本発明のプラズマ処理装置の構成例を示す図である。プラズマ処理装置は高圧電極1、接地電極2、および高圧電極1に密着配置される固体誘電体3とからなる一対の電極を形成しており、電極対と接地電極2下面に配置される搬送手段20を含む空間は給排気制御機構を具備するカバー8で覆われている。ここで、電極対は3つ以上隣接して配置され、各電極対の高圧電極1、および接地電極2が電気的に接続されることで、一つの電極ユニットとして構成される。
本発明で用いられる高圧電極1、接地電極2の材質はステンレス(SUS)、アルミニウム、チタンなどから選ばれる金属製であり、紙面と直交する方向に長い断面矩形形状で形成される。
また、高圧電極1、又は接地電極2に密着配置される固体誘電体3の材質としては、アルミナ、チタニア、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウムなどのセラミックス単体、またはこれらの複合体や石英ガラス、ホウケイ酸ガラスなどの固体、又はセラミックスの溶射皮膜が好適に用いられる。中でも、誘電損による発熱ロスや耐プラズマ性の観点から、アルミナ(比誘電率10程度)、チタン酸カルシウムとチタン酸マグネシウムの複合体、ペロブスカイト系セラミックス(比誘電率140程度)などが好適に用いられる。
ここで、上記のような材質から選択される固体誘電体3の厚みはアーク防止効果又は電極間の電界による誘電体の絶縁破壊防止の観点から少なくとも0.1mm以上が必要となる。さらに、より信頼性を高めるために0.5mm以上であることが望ましい。一方、この厚みが大きくなりすぎると電極間に印加すべき電圧が増加するため、一般的に入手できる電源構成やその他部材の信頼性の観点から、厚みは10mm以下の必要がある。より好ましくは5mm以下の厚みであることが望ましい。なお、本実施形態においては、最も好適な例として固体誘電体を用いているが、上記のアーク防止効果又は電極間の電界による誘電体の絶縁破壊防止という目的を達成できれば、固体誘電体以外の材料を用いて代替の部材を構成してもよい。
次に動作について説明する。高圧電極1、および接地電極2の間には、ここでは図示されない電界印加手段(電源)が接続され、固体誘電体3を介して一定の間隙を隔てて配置された各々電極対内部に大気圧近傍の圧力雰囲気下でプラズマ6が生成される。尚、プラズマ6による電極のスパッタリングが懸念される処理用途においては、高圧電極1と接地電極2の両方の放電面に固体誘電体3を密着配置させた構造を選択することも可能である。
電極ユニット上部に設けられたガス導入部5から導入される主放電ガス5a、5b、又は補助ガス5cは、プラズマ6が生成される電極対内部、より詳細には固体誘電体3と接地電極2の間隙を流通することで励起され、電荷をほとんど持たない励起ガス7(活性種)として接地電極2に設けられたガス吹き出し部4から処理空間へ噴出される。
本発明で用いられる主放電ガス5a、5bとしては窒素、アルゴンの何れか1種類、またはこれらの混合ガスから選ばれる希ガスが適宜選択され、補助ガス5cとしては酸素単体、または上記希ガスと酸素の混合ガス、空気、一酸化二窒素(N2O)など酸素を主成分として含むガスが適宜選択される。
内部にプラズマ6を生成した状態の電極対が3つ隣接して配置される電極ユニット構成によって、搬送手段20で搬送される被処理基材10に対して、第1のステップでは主放電ガスの励起ガス7aによる処理、第2のステップでは酸素を主成分に含む補助ガスの励起ガス7cによる処理、第3のステップでは主放電ガスの励起ガス7bによる処理が順に連続して行われる。尚、ここでいう被処理基材10とは、ガラス、有機フィルムなどのプラスチック、繊維、金属などが挙げられる。本装置の構造上、チャージアップなどの電気的ダメージに弱い半導体ウェハーなどが特に好んで用いられる。
処理メカニズムをより詳細に説明すると、3つの処理ステップにおいて、まず主放電ガスの励起ガス7aにより被処理基材表面の活性化、基材表面有機基の切断が行われ、次に補助ガスの励起ガス7cが吹き付け作用されることで酸素が基材表面に吸着、又は、表面有機汚染物が酸素と反応することで有機揮発物として飛散除去され、さらに主放電ガスの励起ガス7bにより基材表面に吸着した酸素が励起されることで、有機物の反応、除去、および官能基の形成が行われる。
ここで、図2に示すように接地電極2に設けられるガス吹き出し部4について、補助ガスの励起ガス7cの吹き出し部4cの面積が主放電ガスの励起ガス7a、7bの吹出し部4a、4bの各面積よりも小さくなっている。より具体的にはガス吹き出し部4cの面積が4a、4bの各面積の10分の1以下となるように構成されている。つまり、酸素を主成分に含む補助ガスの励起ガス7cが被処理基材10に吹き付け処理が行われる時間を主放電ガスの励起ガス7a、7bが被処理基材10に吹き付け処理が行われる時間よりも実質的に短くすることができ、処理空間や被処理基材10表面への過剰な酸素供給を抑制することが可能となる。言い換えると、酸素との反応によって励起ガスが失活することを軽減し、表面処理効果の低下を防止できる。このことは、プラズマからの発光を分光器(OES)で観察しても明らかであり、基材周辺の酸素量の増大に伴って、希ガス(例えば窒素)の励起準位間遷移に伴う発光スペクトルのピーク強度は顕著に減少する。
上述の理由から、ガス吹き出し部4a、4bの各面積に対するガス吹き出し部4cの面積は10分の1以下となるよう構成されるが、ガス流通の観点からその面積は100分の1以上であることが望ましい。ガス吹き出し部4cの面積が上記範囲未満であると、被処理基材への励起酸素の供給がほとんどなされず、有機物の除去効果が大幅に低下してしまうためである。
図2ではガス吹き出し部4が矩形スリット形状の単純な構造を例示したが、所望の面積比が確保できれば、多数穴やメッシュ形状、又は金属や誘電体の多孔質体で形成されていてもよい。
また、本発明では、処理空間や被処理基材10表面付近への過剰な酸素供給を抑制するために、電極ユニット、および処理空間を覆うように、主放電ガスとして用いられる希ガスの供給機構、および排気機構が具備されたカバー8を備えている。処理空間内の酸素量をより精密に制御するため、図3のように各電極対に各々ガス供給及び排気経路30を設け、さらに排気経路内にジルコニア固体電解質の酸素センサー9を配置し、一定以上の酸素濃度とならないように給排気制御がなされる構造としてもよい。
なお、図1又は図3には、処理空間や被処理基材10表面付近への過剰な酸素供給を抑制するための最も好適な構成を示したが、この抑制を適切に行えるものであれば図示したような構成に制限されることはない。例えば、図においては被処理基材10の搬送方向に対して平行に希ガスを流通する構成としたが、この搬送方向に対して垂直な方向(即ち、図面の手前から奥又はその逆)に希ガスを流通する構成としてもよい。また、図においては電極ユニットとそれを覆うカバー8との隙間に希ガスの流路を形成したが、電極ユニットから独立した配管を別途設けて希ガスを流通させてもよい。
さらに、被処理基材への励起された補助ガスの吹き付け制御と希ガスの給排気制御は必要に応じて適切な態様で適合させればよい。即ち、処理対象となる空間の酸素の状態(組成、濃度、分布、量等)を適切に制御できれば、励起された補助ガスの吹き付け制御と希ガスの給排気制御は必要に応じて単独で使用しても組み合わせて使用してもよい。
以下、本発明の具体的態様の例を示す。
実施例1.
実施例1では図1、2に示すプラズマ処理装置を使用した。図1のように、高圧電極1は内部に冷却水を通水できるような3本のステンレス(SUS304)製角パイプ形状とし、その外周に固体誘電体3として放電面となる面の肉厚が2mmのアルミナ製角パイプ加工品を密着配置させた。固体誘電体3の放電面と2mmの間隙を隔てて、さらに電極対が3部屋に仕切られるようにステンレス(SUS304)製の接地電極2を対向配置させた。また、図2で示すように、接地電極2の下面にガス吹き出し部4a、4bとして5×300mmのスリットを各1箇所、0.5×10mmのガス吹き出し部4cのスリットを千鳥状に2列設けた。従って、搬送される被処理基材上の任意の1点からみると、順に、5mmの長さのガス吹き出し部4a、0.5mmの長さのガス吹き出し部4c、5mmの長さのガス吹き出し部4bの下部を通過することになる。
実施例1.
実施例1では図1、2に示すプラズマ処理装置を使用した。図1のように、高圧電極1は内部に冷却水を通水できるような3本のステンレス(SUS304)製角パイプ形状とし、その外周に固体誘電体3として放電面となる面の肉厚が2mmのアルミナ製角パイプ加工品を密着配置させた。固体誘電体3の放電面と2mmの間隙を隔てて、さらに電極対が3部屋に仕切られるようにステンレス(SUS304)製の接地電極2を対向配置させた。また、図2で示すように、接地電極2の下面にガス吹き出し部4a、4bとして5×300mmのスリットを各1箇所、0.5×10mmのガス吹き出し部4cのスリットを千鳥状に2列設けた。従って、搬送される被処理基材上の任意の1点からみると、順に、5mmの長さのガス吹き出し部4a、0.5mmの長さのガス吹き出し部4c、5mmの長さのガス吹き出し部4bの下部を通過することになる。
ガス導入部5a′、5b′から主放電ガス5a、5bとして純度99.999%の窒素をそれぞれ流量20リットル/分、ガス導入部5c′から補助ガス5cとして乾燥空気を流量2リットル/分で供給、高圧電極1および接地電極2に周波数20kHz、15kVの電圧を印加し、電極内部にプラズマ6を生成した状態で、被処理基材10として250×400mmのCorning社製#1737アルミノシリケートガラスを接地電極2から5mm下部に搬送速度4m/分のコンベア(搬送手段)で搬送させることで処理を行った。なお、被処理基材は等速で搬送されているので、各ガス吹き出し部による処理時間は各ガス吹き出し部の長さに比例することになる。
その際、電極ユニットと搬送手段20、被処理基材10をカバー8で囲み、被処理基材10が搬送される上流側から純度99.999%の窒素を幅300mmのガスノズルにて流量50リットル/分で供給し、下流側からクロスフローファンにて排気を行った。
その結果、未処理基材の接触角が約42°であったのに対し、処理後は接触角が4.6°まで減少した。なお、接触角とは、固体表面に液体を滴下したとき、液層が固体表面を覆う、即ち、濡れの状態を表す指標であり、固体表面と液体表面接線のなす角のことをいう。この接触角は、一般的に接触角計を用いて測定され、純水による固体表面の濡れを定量的に表す量であり、この数値が低い程、固体表面エネルギーが大きく、濡れが良い状態、即ち、表面の洗浄、改質がなされていることを示す。尚、接触角は被処理基材10上の任意の20点を測定し、その平均値を示している。
実施例2.
実施例2では、補助ガス5cとして純度99.999%の酸素を流量1リットル/分でガス導入部5c′から供給した以外、実施例1と同じ条件で処理を実施した。その結果、未処理基材の接触角が約42°であったのに対し、処理後は接触角が5.2°まで減少し、実施例1と同様に良好な処理が得られた。
実施例2では、補助ガス5cとして純度99.999%の酸素を流量1リットル/分でガス導入部5c′から供給した以外、実施例1と同じ条件で処理を実施した。その結果、未処理基材の接触角が約42°であったのに対し、処理後は接触角が5.2°まで減少し、実施例1と同様に良好な処理が得られた。
比較例1.
比較例として、ガス導入部5c′から補助ガス5cに純度99.999%の窒素を流量10リットル/分で供給した以外は実施例1と同様な構成で処理を行った。その結果、未処理の接触角が約42°であったのに対し、処理後の接触角は27.2°であった。
比較例として、ガス導入部5c′から補助ガス5cに純度99.999%の窒素を流量10リットル/分で供給した以外は実施例1と同様な構成で処理を行った。その結果、未処理の接触角が約42°であったのに対し、処理後の接触角は27.2°であった。
比較例2.
比較例2では、図4に示すような厚さ2mmのセラミックスの角パイプにSUS304製の高圧電極1、および接地電極2を挿入し、それぞれ間隙2mm隔てて平行配置した構造の従来手法の電極を用いた。電極間には純度99.999%の窒素に対し酸素を3体積%混合したガスを20リットル/分の流量で供給、高圧電極1および接地電極2に周波数20kHz、15kVの電圧を印加して電極間隙にプラズマ6を生成した状態で被処理基材10として250×150mmのCorning社製#1737アルミノシリケートガラスを接地電極2から5mm下部に搬送速度4m/分のコンベア(搬送手段)で搬送させ、大気開放下で処理を行った。
比較例2では、図4に示すような厚さ2mmのセラミックスの角パイプにSUS304製の高圧電極1、および接地電極2を挿入し、それぞれ間隙2mm隔てて平行配置した構造の従来手法の電極を用いた。電極間には純度99.999%の窒素に対し酸素を3体積%混合したガスを20リットル/分の流量で供給、高圧電極1および接地電極2に周波数20kHz、15kVの電圧を印加して電極間隙にプラズマ6を生成した状態で被処理基材10として250×150mmのCorning社製#1737アルミノシリケートガラスを接地電極2から5mm下部に搬送速度4m/分のコンベア(搬送手段)で搬送させ、大気開放下で処理を行った。
その結果、未処理の接触角が約42°であったのに対し、処理後の接触角は25.6°であった。さらに被処理基材10が電極対下部を通過する際の様子を観察したところ、高圧電極1の側の電極から被処理基材に対してフィラメント状の放電が発生していた。処理後の基材表面を電子顕微鏡で観察したところ、直径数ミクロン程度の無数の放電痕が確認された。
以上より、励起された主放電ガスのガス吹き出し部4a及び4bとの間にある空間の酸素の状態(組成、濃度、分布、量等)を適切に制御する構成とすることにより、低接触角を達成する処理が可能となることが確認された。
1 高圧電極
2 接地電極
3 固体誘電体
4 ガス吹き出し部
5a、5b
主放電ガス(希ガス)
5c 補助ガス
6 プラズマ
7 励起ガス
8 カバー
9 酸素モニター
10 被処理基材
20 搬送手段
30 ガス給排気経路
2 接地電極
3 固体誘電体
4 ガス吹き出し部
5a、5b
主放電ガス(希ガス)
5c 補助ガス
6 プラズマ
7 励起ガス
8 カバー
9 酸素モニター
10 被処理基材
20 搬送手段
30 ガス給排気経路
Claims (7)
- 大気圧近傍圧力雰囲気下で電極対の電極間に交番電界を印加して放電プラズマを生成せしめ、該プラズマ内で生成された励起ガスを搬送される被処理基材に吹き付け作用させるプラズマ処理装置において、
希ガスからなる主放電ガスの励起および該励起された主放電ガスの吹き付けを行うための第1および第2の経路、並びに
該搬送される被処理基材上の空間であって該第1の経路のガス吹き出し部と該第2の経路のガス吹き出し部との間に位置する空間の酸素の状態を制御するための制御手段を設けたことを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項1記載のプラズマ処理装置において、
前記制御手段が、酸素を含む気体からなる補助ガスの励起および該励起された補助ガスの吹き付けを行うための第3の経路からなり、
該第3の経路のガス吹き出し部が、前記第1の経路のガス吹き出し部と前記第2の経路のガス吹き出し部との間に配置されたことを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項1又は請求項2記載のプラズマ処理装置において、
前記制御手段が、希ガスを該搬送される被処理基材表面上に流通させるための第4の経路を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項2又は請求項3に記載のプラズマ処理装置において、前記2つの電極が高圧側の高圧電極および接地側の接地電極からなるとともに中間部材によって互いに位置決めされて電極ユニットを構成し、
該電極ユニットにおいて、該高圧電極が被処理基材と直接対向しないように一定の間隙をもって該接地電極によって覆われる構造を有し、
前記第1、第2および第3の経路がそれぞれ、該高圧電極と該接地電極および該中間部材とによって画定される空間、又は該高圧電極および該中間部材と該接地電極とによって画定される空間に形成され、
該高圧電極および該接地電極はそれぞれ電気的に切れ目のない一体構造を有し、交番電界印加手段に接続されることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項3および請求項4記載のプラズマ処理装置において、前記第4の経路が、前記電極ユニットの外面の少なくとも一部を覆うカバーと該電極ユニットとで画定される空間によって構成されるとともに、該第4の経路の排気および給気部が該電極ユニットと該搬送される被処理基材との間隙に向かって位置し、該第4の経路に希ガスを流通させるための供給設備および排気設備を具備したことを特徴とするプラズマ処理装置。
- 大気圧近傍圧力雰囲気下で電極対の電極間に交番電界を印加して放電プラズマを生成せしめ、該プラズマ内で生成された励起ガスを被処理基材に吹き付け作用させるプラズマ処理装置におけるプラズマ処理方法であって、
第1の電極対で希ガスからなる主放電ガスを励起し、該励起された主放電ガスを搬送される被処理基材に対して吹き付ける第1の処理ステップ、
第2の電極対で酸素を含む補助ガスを励起し、該励起された補助ガスを該搬送される被処理基材に対して吹き付ける第2の処理ステップ、および
第3の電極対で希ガスからなる主放電ガスを励起し、該励起された主放電ガスを該搬送される被処理基材に対して吹き付ける第3の処理ステップ
を順次行うことを特徴とするプラズマ処理方法。 - 請求項6記載のプラズマ処理方法において、前記第1から第3のステップを、該搬送される被処理基材上に希ガスを流通させた状態で行うことを特徴とするプラズマ処理方法。
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WO2018037468A1 (ja) * | 2016-08-22 | 2018-03-01 | 富士機械製造株式会社 | プラズマ照射装置、および、プラズマ照射方法 |
JPWO2018037468A1 (ja) * | 2016-08-22 | 2019-06-20 | 株式会社Fuji | プラズマ照射装置、および、プラズマ照射方法 |
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