JP2007139236A - 床下空調装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】床下空間の空気を温めたり冷やしたり湿気を取ったりする空調を、大掛りな設備や工事を行うことなく、効率的に低コストで実用的に実現する。
【解決手段】建築物の床下空間を空調する装置である。床下空間Uは、周囲を建築物の基礎構造10で囲まれ、上部に建築物の床構造20が配置され、底部に地盤Eが配置されてなる。床下空間Uに設置され、床下空間Uを空調する空調機60と、空調機60に配置され、床下空間Uの空気と熱媒体との間で熱交換させる熱交換部64と、床下空間Uの下方で地盤E内に地表面から0.2〜2mの深さで水平方向に沿って埋設され、一端が空調機60の熱交換部64に導入されて熱媒体が循環し、地盤Eとの間で熱交換を行う熱媒体循環パイプ50とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、床下空調装置および方法に関し、詳しくは、住宅などの建築物において、基礎構造と上部構造との間に存在する床下空間の温度や湿度を調整する空調装置と、このような空調装置を用いた空調方法とを対象にしている。
住宅などの建築物において、床下空間を暖房したり冷房したりすることで、床下空間の上部に存在する床構造を介して、居住者が生活する屋内空間の冷暖房を行う技術が知られている。
居住空間を床下空間から床面を介して穏かに暖めたり冷やしたりすることで、居住者にとって快適な温度環境を作り易い。冷暖房装置を床下空間に設置すれば、居住空間のスペースを有効に利用できる。就寝時などに、冷暖房装置の稼動音が耳障りになることが防げる。熱容量の大きな床下空間を保温あるいは保冷しておけば、冷暖房装置の稼動を止めても、居住空間が急激かつ過度に冷えたり暑くなったりすることが床下空間からの放熱によって防げる。
さらに、床下空間を除湿することで、床下空間への白蟻など害虫の侵入を防いだり、構造材料の腐食や劣化を防いだりすることも行われている。
特許文献1には、建築物の外部に設置され石油を燃料に用いる温風発生機で、床下空間に温風供給あるいは換気送風を行って、床下空間を温めたり、床下空間の除湿を行ったりする技術が示されている。
特許文献2には、地下数mから十数mに埋設された貯水器と床下空間に設置された熱交換器の間を循環パイプでつなぎ、循環パイプに水を循環させることで、地中熱を床下空間から建物に導入する技術が示されている。地下深くにおける地熱温度は年間を通じてほぼ一定であるため、安定した熱の供給ができるとされている。冬期には暖房、夏期には冷房の機能を果たせるとされている。
特開2003−166734号公報 特開2003−343883号公報
前記した従来の床下空調技術のうち、特許文献1に記載された、建築物の外側に温風発生機を設置する技術では、建築物の外側に余分のスペースが必要である。燃料である石油の供給や保守管理の手間がかかる。石油の消費に伴う稼動コストも高くつく。
特許文献2に記載された地中熱の利用技術は、地中深くまで穴を掘ったり、貯水器を埋設したりする工事が非常に大掛りになり、施工コストおよび設備コストが高くつく。
本発明の課題は、床下空間の空気を温めたり冷やしたり湿気を取ったりする空調を、大掛りな設備や工事を行うことなく、効率的に低コストで実用的に実現することである。
本発明にかかる床下空調装置は建築物の床下空間を空調する装置であって、前記床下空間は、周囲を前記建築物の基礎構造で囲まれ、上部に建築物の床構造が配置され、底部に前記地盤が配置されてなり、前記床下空間に設置され、床下空間を空調する空調機と、前記空調機に配置され、床下空間の空気と熱媒体との間で熱交換させる熱交換部と、前記床下空間の下方で地盤内に地表面から0.2〜2mの深さで水平方向に沿って埋設され、一端が前記空調機の熱交換部に導入されて前記熱媒体が循環し、地盤との間で熱交換を行う熱媒体循環パイプとを備える。
各構成について詳しく説明する。
〔建築物〕
一般住宅を含む各種建築物に適用できる。大掛りな冷暖房装置や施工作業が行い難い戸建て住宅に適しているが、集合住宅やオフィスビル、公共建築物、商業施設などに適用することも可能である。
床下空調装置を施工する建築物は、通常の建築物と同様に、地盤に基礎構造を介して構築される。基礎構造には、ベタ基礎や布基礎、連続基礎、独立基礎などと呼ばれる構造が知られており、何れの構造も採用できる。複数の基礎構造を組み合わせることもできる。基礎構造は、コンクリートを打設したり、コンクリートブロックを連結したりして構築される。コンクリートの内部に補強用の鉄筋や鉄骨などを埋め込むこともある。現場打ちの基礎部分と既製のコンクリートブロックからなる基礎部分とを組み合わせることもできる。
基礎構造は、建築物の上部構造における間取りや設計に合わせて配置される。通常、建築物の外周に沿って枠状に配置されるとともに、枠の内側を縦横に仕切る格子状にも配置される。
〔床下空間〕
床下空間は、周囲を建築物の基礎構造で囲まれ、上部に建築物の床構造が配置され、底部に地盤が配置される。
建築物の基礎構造で周囲が囲まれた一つの独立空間が床下空間になる。枠状あるいは格子状に配置された基礎構造には複数の床下空間が形成される場合がある。床下空間を仕切る基礎構造に貫通穴や切り欠きを有する場合には、複数の床下空間が連通して一体となった床下空間を構成する場合もある。
建築物の床構造は、基礎構造の上端に、土台や梁などを介して、床下地板、断熱材、防音材、床仕上げ板、フローリング、床貼り材などを適宜に施工して構成される。床構造の上には居室、共用設備、廊下、階段、その他の屋内空間が設けられる。床下空間と屋内空間との伝熱性を良好にするには、床構造にはあまり分厚い断熱材など伝熱性を大きく損なう部材は施工しないほうが望ましい。
床下空間の底面を構成する地盤は、建築物を施工する敷地の地盤と同じ地盤である。通常、敷地の地盤と床下空間の地盤は同じ高さである。建築物の外側敷地と床下空間との地盤の高さ位置が異なる場合もある。床下空間の地盤には、コンクリート層を施工して土間コンクリート構造にすることもできる。基礎構造がベタコンクリート基礎の場合は、地盤の上に基礎構造を介して床下空間が配置される場合もある。
床下空間は、床構造、基礎構造および地盤で囲まれた密閉空間であれば、床下空間に供給された温熱および冷熱が外部に逃げ難い。床下空間を囲む基礎構造の内面に断熱層を有していれば、床下空間の保温保冷機能はより高まる。
床下空間に、外気を導入して換気する換気口を設けることもできる。例えば、建築物の外周を囲む基礎構造に換気用の貫通孔を設けることができる。但し、換気口は、床下空間の冷暖房機能などを阻害しないように、必要以上の空気の入れ換えが行われないようにすることが望ましい。換気口から、害虫獣が侵入しないようにしておくことが望ましい。換気口に換気を制御する開閉自在な蓋を設けることもできる。
床下空間と屋内空間とを、床構造や壁構造に設けた通気路で連結しておけば、床下空間の空調された空気を、通気路から屋内空間に供給することができる。
〔地盤〕
熱媒体循環パイプの埋設が可能であれば、特別な地質条件は要求されない。温泉地帯のような地熱が特別に高い地盤である必要はない。
床下空間の真下の地盤は、建築物の外側の地盤とは違って、地盤を覆う建築物が日射や外気の影響を遮断する作用がある。地盤内の温度変動は少ない。特に、十分な高さのある床下空間が良好な断熱機能すなわち保温保冷を果たす。床下空間の底面にコンクリート層が打設された土間コンクリート構造であれば、さらに良好な断熱機能を発揮できる。
床下空間の真下の地盤につづく基礎構造の真下になる地盤も、床下空間の真下の地盤と同様に、地盤内の温度変動は少ない。建築物の外周に配置された基礎構造の下方から、基礎構造の外側で基礎構造に近い建築物の軒下部分などの地盤も、建築物で日射などが遮られるので、比較的に地盤内の温度変動は少なくなるので、熱媒体循環パイプの埋設に利用できる。
〔空調機〕
通常の床下空調装置あるいは居住空間用の空調装置における室内機と共通する技術が適用される。
空調機は、暖房機能と冷房機能との両方を有し、空気の温度を適切な状態に調整する機能を備えている。空調機は、空気を除湿して、湿度を適切な状態に調整する機能も備えていることができる。これらの機能を果たす空調機の構造が採用される。
空調機には、空気と熱媒体との間で熱交換させる熱交換機能を果たす熱交換部を備えている。なお、空調機あるいは熱交換部における熱という技術概念には、温熱と冷熱との両方の技術概念を含むことがある。熱交換部の構造は、通常の空調機と同様の構造が採用できる。熱交換部には、熱媒体が流通する管路構造を備えている。通常の熱交換器と同様に、熱交換用のコイルや蛇腹管、フィン付き管などを備えておけば、熱交換の効率が高まる。送風ファンで強制的に生成された空気流と接触させれば、熱交換効率が高まる。熱媒体を強制循環させる循環ポンプを備えておくことができる。
空調機には、熱交換部とは別に除湿器を備えておくことできる。熱交換部で除湿機能を果たすこともできる。
空調機には、通常の空調機と同様に、空気や熱媒体の温度や流量などを検知するセンサ、センサからの情報に基づいて熱交換部や送風ファンなどの作動を制御する制御機構、床下空間に設置された空調機の作動制御や常態検知を、屋内空間などで遠隔操作する操作パネルなどを備えておくことができる。
<熱媒体>
空調機の熱交換部と熱媒体循環パイプとの間で熱媒体を循環させる。
熱媒体としては、温熱または冷熱を効率的に移送できる流体が使用される。熱容量が大きく熱の移送効率が高いものが好ましい。熱媒体循環パイプを循環することで、高温側では蒸気あるいは気体になり、低温側では液体になるという相変化を起こす熱媒体も使用できる。通常の空調機と同様の冷媒あるいは熱媒が使用できる。冷媒ガスあるいは冷媒液が使用できる。熱媒体として、水や空気も利用でき、コスト的には安価になる場合もあるが、伝熱効率や熱容量などの点で、空調用の冷媒のほうが優れている。
空調機で使用される熱媒体は、熱交換部などの内部を循環して熱を移送するだけで、熱媒体が外部に放出されたり排出されたりすることはない。但し、経時的に熱媒体が散逸したり劣化したりする場合は、定期的に熱媒体を追加充填したり交換したりすることもできる。
〔熱媒体循環パイプ〕
基本的には、通常の空調装置において、室内機と屋外機との間で熱媒体を循環させるパイプあるいはホースの技術が利用できる。通常の地中熱利用技術で利用されている熱移送パイプの技術も適用できる。
熱媒体循環パイプの構造として、細いチューブや管材、ホースなどを、長さ方向における熱媒体の往路と復路とに平行に配置し、両端をU字形に連結して環状の熱媒体循環路を構成した構造が採用できる。二重管の内側と外側とを熱媒体の往路および復路に使用することもできる。1本の管材に長さ方向につづく仕切りを設けて熱媒体の往路および復路を構成することもできる。
これらの熱媒体が流通する管路だけで熱媒体循環パイプを構成することができる。熱媒体循環パイプの外壁で、地盤との間の熱交換を果たしたり、空調機の熱交換部における熱交換を果たしたりできる。管路の材料は、金属、合成樹脂、繊維強化樹脂、セラミックなどが使用できる。熱伝導性の良い金属等を使用することが望ましい。管路を屈曲させたり湾曲させたりする必要がある場合は、柔軟性のある金属などの可撓性材料や、蛇腹状などの可撓性構造を採用することができる。複数の材料からなる複合管も利用できる。管路の外面に、熱交換機能を高めるフィンや鍔、突起、凹凸などを設けておくことができる。管路の内面に、熱媒体の流動性および熱伝達性を高める溝や凹凸を設けておくこともできる。
熱媒体循環パイプの一端は、空調機の熱交換部に導入されて熱媒体が循環する。熱媒体循環パイプの材料や構造は、熱交換部における熱交換管路の材料や構造と共通していてもよいし、異なる管材を連結して使用することもできる。熱媒体循環パイプの他端は、地盤内に埋め込まれて地盤との間で熱交換を行う。
<熱媒体循環パイプの配置>
熱媒体循環パイプの一端側は、地盤内からの熱を得るために地盤内に埋設される。特に、地表面から一定の深さで水平方向に沿って埋設される。
熱媒体循環パイプの埋設範囲は、床下空間の下方であれば、床下空間の真下だけでなく、床下空間の真下を含み周囲の基礎構造の真下部分までを含むことができる。さらに、建築物の外周に配置される基礎構造の真下から建築物の外側領域にまで、熱媒体循環パイプを埋設しておくこともできる。
熱媒体循環パイプの埋設深さは、通常、0.2〜2mに設定する。好ましくは、0.3〜1mである。基礎構造の真下まで配置する場合は、基礎構造の下端位置よりも深く埋設する。
埋設深さが浅過ぎると、大気温や日射などの影響を受け易く、地盤内の温度が安定し難くなる。冷暖房に必要な熱エネルギーを得難くなる。埋設深さが深すぎると、利用できる熱エネルギーがそれほど増えないのに比べて、埋設施工に手間がかかったり大掛りな施工装置が必要になったりする。
建築物の基礎構造と同程度の深さ位置に設定しておけば、施工が容易である。一般的な基礎構造の深さである0.5〜0.6mに設定できる。建築物の基礎工事に合わせて熱媒体循環パイプを施工する場合は、基礎工事における地盤の掘り下げ面に、熱媒体循環パイプを敷設すればよい。この場合は、基礎工事の掘り下げ深さが熱媒体循環パイプの埋設深さと同程度になる。
寒期に地盤が凍結する凍結深度が深い寒冷地の場合、比較的深い位置に埋設することができる。具体的には、1.5〜2mの深さに埋設することができる。但し、建築物の下方になる地盤は、屋外地盤のような凍結は生じ難いので、それほど深くに埋設しなくても良い場合がある。
熱媒体循環パイプは、正確に水平方向に埋設する場合のほか、水平方向に近い傾斜状態で埋設していても目的は達成できる。地盤内で、深さ方向に複数段に熱媒体循環パイプを埋設することもできる。
熱媒体循環パイプの平面方向における配置は、単純な直線状のほか、曲線状や屈曲線状、これらを組み合わせた各種パターン状などが採用できる。より具体的には、渦巻き状や折り返し平行線状、ジグザグ状などがある。熱媒体循環パイプを合流させたり分岐させたりして、より複雑なパターンで配置することもできる。平面方向で、場所により、熱媒体循環パイプの埋設深さを変えることもできる。地下の埋設物を回避するように迂回させて熱媒体循環パイプを配置することもできる。
したがって、本発明において、水平方向に熱媒体循環パイプを埋設するとは、本発明の目的を達成できる範囲で、水平方向に近い傾斜状態や段差など、一部あるいは全体が正確な水平方向ではない場合も含んでいる。
熱媒体循環パイプの埋設長さは、床下空間の空調に必要な熱量と、地盤から熱交換して得られる単位長さ当たりの熱量とを勘案して設定できる。埋設長さが増えると、後述する熱媒体の流通が行い難くなったり大きな動力を必要になったりする。また、床下空間を含む建築物の下方の地盤には、埋設スペースすなわち埋設長さに制限がある。
地盤内に水平方向に埋設された個所から、床下空間の空調機までの敷設経路は、特に限定されない。地盤内の水平部分から垂直あるいは斜め上向きに延びて、床下空間の地表から床下空間の空調機へと引き込めばよい。床下空間の地盤上に設置された空調機の底面に地盤内から直接に引き込むことができる。地盤から床下空間に延びたあと、空調機の側面などから内部に引き込むようにしてもよい。地盤から基礎構造の内部を経て、床下空間あるいは空調機まで敷設することもできる。
<熱媒体の循環>
熱媒体循環パイプ内における熱媒体の循環移動は、空調機に備えた電動ポンプやコンプレッサーなどの強制循環手段を用いて行われる。通常、ポンプは液体の移送装置、コンプレッサーは気体の移送装置を意味するが、本明細書では、液体および気体を含む熱媒体の循環装置をポンプと称することがある。空調機とは別に、熱媒体循環パイプの経路中にポンプなどの循環装置を設けておくこともできる。
<保護筒>
熱媒体循環パイプの外周に、熱媒体循環パイプを保護する保護筒を設けることができる。保護筒は、金属、合成樹脂、繊維強化樹脂、セラミックなど、基本的には熱媒体循環パイプと同様の材料の中から、地盤からの圧力に耐える機械的強度に優れた材料や、地下水などに侵蝕され難い耐蝕性に優れた材料などが使用できる。熱媒体循環パイプは、地表から地盤内に打ち込んで設置するものではないので、保護筒には、打ち込み作業に耐えるほどの剛性や耐久性は要求されない。熱媒体循環パイプと地盤とが熱交換を行う個所に設ける保護筒は、熱媒体循環パイプおよび地盤との熱伝達性に優れた材料や構造が好ましい。保護筒の外面に熱交換用のフィンなども設けることもできる。
保護筒は、熱媒体循環パイプの保護を必要とする個所だけに設けておけばよい。例えば、地盤から床下空間に露出して配置される個所では保護が必要になる場合が多い。地盤内に埋設される個所では、保護筒は必要ない場合がある。熱媒体循環パイプが地盤との間で熱交換を果たす個所では、保護筒がないほうが、熱交換の効率が良い場合がある。
<断熱筒>
保護筒あるいは熱媒体循環パイプの外側に断熱筒を設けておくことで、熱媒体循環パイプのうち外部との熱交換が不要であるか有害である個所において、外部との断熱を果たすことができる。
具体的には、地盤内において熱媒体循環パイプと地盤との間で熱交換を行う領域には断熱筒は不要であるが、それ以外の領域で熱媒体循環パイプから熱が逃げないように断熱筒を配置しておくことができる。熱媒体循環パイプが、床下空間に露出する個所では、断熱筒による外部との断熱が有効である。
断熱筒には、通常の空調配管などにおける断熱層の材料や構造が適用できる。例えば、発泡樹脂パイプやガラスウール筒、金属箔などが挙げられる。断熱筒の外周に、断熱筒を保護する保護筒を設けることもできる。
〔箱状の断熱部〕
地盤内に埋設され、熱媒体循環パイプの上方および側方を囲む箱状をなす。熱媒体循環パイプとその周囲の地盤を、床下空間や外側の地盤に対して断熱する機能を果たす。
断熱部の材料は、通常の建築土木技術において利用されているシート状、板状あるいはブロック状の断熱材料が使用できる。具体的には、発泡樹脂、グラスウール、無機繊維材料などが挙げられる。複数の材料層を積層することで、断熱機能を向上させたりすることもできる。地盤に埋設された状態で、腐蝕したり変質したりし難い材料が好ましい。吸水性の少ない材料は、吸水による変質劣化や断熱性の低下が生じ難い。地震等で地盤に加わる負荷や衝撃、振動などで損傷し難いように、強度や耐久性のある材料が好ましい。柔軟性のある材料は取り扱い易い。断熱材層に防蟻・防虫処理を施しておくことができる。断熱材料を、防蟻・防虫機能を有する袋に収容したり、防蟻・防虫コーティングを施したりすることもできる。具体的には、発泡スチロールは、独立気泡で吸水し難く断熱性にも優れている点で好ましい材料となる。
断熱部を構成する断熱材料の厚みは、材質や層構造、地盤などの施工条件によっても異なるが、通常、10〜100mmに設定できる。好ましくは、25〜100mmである。
断熱部は、平面形状において、熱媒体循環パイプの上方を覆う範囲、あるいは、熱媒体循環パイプよりも少し外側までを覆う範囲に配置される。上下方向で、熱媒体循環パイプとの間に間隔をあけておけば、熱媒体循環パイプと周囲の地盤との間の熱交換が良好に行える。施工条件によっても異なるが、例えば、熱媒体循環パイプの上端と断熱部の内面との間に10〜30cmの間隔をあけることができる。
断熱部は、熱媒体循環パイプの上方および側方を囲む箱状をなす。熱媒体循環パイプの側方でも、前記上方と同じ程度の間隔をあけておけば、熱媒体循環パイプと地盤との熱交換を損ない難い。断熱部は、熱媒体循環パイプの側方で、熱媒体循環パイプよりも深い位置まで配置しておけば、断熱部の下端を回って外側に漏れる熱の移動が阻止できる。断熱部の下端位置は、全ての位置で同じ深さまで設けられていてもよいし、部分的に深さの違うところがあっても構わない。
基礎構造の内面に断熱層が施工される場合、基礎構造の断熱層と、断熱部とが連結されていたり一体形成されていたりしてもよい。
〔空調方法〕
前記した構造の床下空調装置を用い、地盤内と床下空間との温度差によって、床下空間の空調を行い、さらに、建築物の屋内空間の冷暖房を行うことができる。
<温度差>
建築物の屋内温度は、気候、昼夜の別、日射の方向や強さ、外気温、風雨の存在と強さなど、様々な環境条件によって、大きく変動する。例えば、冬期の夜間には氷点下、夏期の日中には40℃近くになることがある。
床下空間は、屋内空間に比べると温度の変動幅はかなり少ない。特に、床下空間に外気が侵入し難い構造であれば、床下空間の温度変化はより少なくなる。しかし、建築物の上部構造からの伝熱や、基礎構造を通じての外気からの伝熱によって、温度変化が生じることは避け難い。
これに対して、地盤内の温度は、あまり変動しない。一般的に、温泉などの高熱源が存在しないところでは、地盤の十分に深いところ、具体的には深度100m以下程度では、季節や昼夜の違いに関係なく、ほぼ一定である。例えば、日本列島の中央近くである関西地方では、約15℃前後であることが判っている。地盤の深さが浅くなると、少しずつ、地表側の影響を受けることになり、温度の変動幅が増える。それでも、地表面から0.1m以上深くなれば、温度の変動幅は±3℃程度に収まる。さらに、床下空間の下方に存在する地盤の場合は、日射や外気の影響を受け難いので、温度の変動幅はさらに少なくなり、実質的に一定であるとみなせる場合もある。
したがって、夏期の日中など冷房が必要なときには、床下空間の地表面から少し下の地盤でも、地盤内の温度は、冷房に利用する低温源として十分に利用できる。冬期の夜間など暖房が必要なときには、暖房に利用する高温源となる。但し、暖房の場合は、居住に快適な温度である20℃程度に比べて地盤温度は少し低いことがあるので、別の暖房装置と組み合わせる必要がある場合も生じる。冷房の場合にも、通常の冷房装置と組み合わせたほうが強力な冷房が可能になることもある。何れの場合も、通常の暖房装置や冷房装置の冷暖房能力を、床下空調装置で補うことによって、建築物の冷暖房に要するコストを削減できる。
暖房、冷房および除湿の各段階に分けて、より具体的に説明する。これらの段階は、気候条件や居住環境の必要性に応じて、何れか一つの段階、あるいは、複数の段階を、必要な時期に実行することになる。
<暖房段階(a)>
地盤内の温度が床下空間の温度よりも高い条件で適用できる。通常、冬期の全日や春秋期の夜間が相当する。寒冷地と温暖地とでは、適用時期が異なる場合がある。
熱媒体循環パイプを循環する熱媒体は、相対的に高温度の地盤との間で熱交換を行って、地盤からの熱エネルギーを受け取る。床下空間では、空調機の熱交換器を介して、熱媒体の熱エネルギーを床下空間に放出することで、床下空間を保温あるいは暖房することになる。
床下空間に供給され蓄積された熱は、床構造を介して屋内空間へと伝達され、屋内空間を暖房することになる。したがって、屋内空間の昇温は、床下空間における昇温に比べて少し遅れるのが普通である。また、屋内空間における空気の温度は、床下空間における空気の温度よりも少し低くなる。
<冷房段階(b)>
地盤内の温度が床下空間の温度よりも低い条件で適用できる。通常、夏期の全日や春秋期の日中が相当する。寒冷地と温暖地とでは、適用時期が異なる場合がある。
熱媒体循環パイプを循環する熱媒体は、相対的に低温度の地盤との間で熱交換を行う。床下空間に溜まる熱を奪って、地盤に捨て去ることになる。逆に考えると、地盤の冷熱を、床下空間の空調機で熱交換器を介して放出することで、床下空間の空気を冷却することになる。空調機で床下空間の冷房を行い、そのときに発生する排熱を、熱媒体循環パイプを循環する熱媒体によって、地盤内に捨てていることになる。
<除湿段階(c)>
床下空間の空気に含まれる湿気を取り除き乾燥させる。
前記冷房段階と同様に、地盤内の温度が床下空間の温度よりも低い条件で適用できる。
空調機の内部で熱交換部の内部を低温の熱媒体が流通し、熱交換部の外側に床下空間の空気が接触すると、空気が冷却されるとともに、断熱冷却された空気中の湿気が凝結し液体の水になる。空気が除湿される。除湿された空気は床下空間に送り出される。床下空間の過剰な湿気が除去され乾燥する。床下空間に湿気を好む白蟻などの害虫獣が侵入し難くなる。床構造などを構成する部材や金具が湿気で腐食したり劣化したりすることが防止できる。
熱交換部で凝結した水は、熱交換部の外面から落下する。落下した水は、空調機に備えた排水管に回収することができる。排水管に回収された水は、排水管の先端から地盤へと廃棄することができる。
上記の方法では、床下空間の空気が除湿と同時に冷却される。一般的な我が国の気象条件では、外気および床下空間の空気は、夏期に高湿で冬期は乾燥する傾向にあるので、夏期に除湿と冷房が同時に果たされることが有効である。
空気を過剰に冷却することなく除湿を行うこともできる。例えば、除湿と同時に冷却されたあとの空気をヒータなどで温めればよい。
本発明にかかる床下空調装置は、通常の空調装置では屋外に設置される室外機を用いず、室内機に相当する空調機だけを床下空間に設置する。そして、空調機の熱源に地中熱を利用する。地盤から取り出した地中熱を暖房に利用し、空調機で冷房時に発生した排熱を大気中に放出せずに地盤に捨てる。空調機の熱交換部に導入される熱媒体循環パイプを、床下空間の下方で地盤内に地表面から比較的に浅い位置で水平方向に沿って埋設する。
地盤をわずかに掘り下げる程度であれば、通常の住宅建設などで使用されている汎用の掘削機でも容易かつ迅速に施工できる。新規住宅の建設時であれば、布基礎などの基礎工事を行う際にも地盤をある程度まで掘り下げる。地盤を掘り下げたところの底に熱媒体循環パイプを敷き、その上に土砂を埋め戻す作業も、何ら特別な機械設備は要しない。箱状断熱部を設ける場合も、土砂の埋め戻し作業の途中で箱状断熱部を設置したあと、地表まで土砂を埋め戻すだけで施工できる。しかも、地盤に埋めこむ熱媒体循環パイプが長くなったとしても、地盤を掘り下げる範囲が広くなる程度で、作業自体が難しくなることはない。
床下空間の下方における地盤内では、比較的に浅い位置であっても、大気中や地表面のような大きな温度変動は生じず、比較的に狭い温度範囲での変動しか生じないから、大気温度や地表温度との間には、冷暖房に十分に利用できるだけの温度差あるいは熱エネルギーが得られる。
特に、熱媒体循環パイプを箱状断熱部で囲んでおけば、地表からの放射冷却や日射による加熱、大気温の大きな変動が、熱媒体循環パイプの埋設位置における地盤温度に大きな影響を及ぼすことを遮断することができ、地盤の深い位置と実質的に変わりなく安定した温度条件を維持することができる。
その結果、従来の地中深くに杭を打ち込む地中熱利用技術に比べて、施工が容易でありながら、冷暖房機能の点では何ら遜色のない地中熱を利用した床下空調が、極めて経済的に実現できる。
図1に示す実施形態は、一般の戸建て住宅に床下空調装置を設置した場合である。
〔住宅の基本構造〕
コンクリートを打設して構築され断面逆T字形をなす布基礎10が、住宅の間取り区画に対応して縦横に格子状に配置されている。布基礎10の下端部分は、地盤Eに埋設されていて、地表面G.L.よりも低い位置に配置されている。なお、布基礎10の施工は、施工地盤Eを、布基礎10の下端位置程度まで掘り下げ、布基礎10の形状に対応するコンクリート打設型枠を設置したあと、コンクリートを流し込んで硬化させ、型枠を撤去した後、土砂を地表面G.L.まで埋め戻して施工される。
布基礎10の上部には、床構造20や壁構造30が施工されて住宅の上部構造が構築される。床構造20および壁構造30で囲まれ図示を省略した天井や屋根構造で上面が覆われた空間が屋内空間Rである。
床構造20の下方で布基礎10に囲まれた空間が床下空間Uである。床下空間Uの下面は前記した地表面G.L.と同じ高さ位置の地盤Eである。このような閉塞空間である床下空間Uは、屋外における気温変動の影響を受け難い。また、屋内空間Rにおける冷暖房や人間活動などによる温度変動の影響も受け難い。
床下空間Uを囲む布基礎10の内面に基礎断熱層12を施工している。基礎断熱層12は、発泡ポリスチレンボードなどを貼り付けて構成される。基礎断熱層12は、床下空間Uから地盤E内にわたって、布基礎10の内面を覆っている。前記した布基礎10の構築時に、コンクリート打設型枠の内面に発泡ポリスチレンボードなどを貼り付けたあとでコンクリートを打設すれば、基礎断熱層12の施工が容易に行われる。
基礎断熱層12を施工することで、床下空間Uの断熱性が向上し、床下空間Uの温度変動が抑制できる。床下空間Uと床構造20を介して隣接する屋内空間Rについても、床下空間Uとの伝熱によって、温度変動を抑制できることになる。
〔床下空調装置〕
<熱媒体循環パイプ>
床下空間Uの地盤Eには、熱媒体循環パイプ50が埋設されている。
熱媒体循環パイプ50には、熱伝導性の良い金属等の管材で形成された熱媒体循環路52を有する。熱媒体循環路52は、熱媒体循環パイプ50の長さ方向に沿って、往路および復路が平行に配置され、熱媒体循環パイプ50の両端で、往路と復路とが連通しており、全体として環状の閉じた循環通路を構成している。熱媒体循環路52には、エアコン用の冷媒などからなる熱媒体が充填封入されており、熱媒体循環パイプ50の一端から他端へと熱を移送する。
熱媒体循環パイプ50は、布基礎10で囲まれた空間で、床下空間Uの地面(=地表面G.L.)よりも40cmの深さで水平方向に延べ100mの長さで埋設されている。図示を省略したが、熱媒体循環パイプ50は、水平面内で屈曲折り返しをすることで、基礎構造10の配置領域よりも内側で床下空間Uの地盤Eに収められている。基礎構造10すなわち住宅の外側領域まで配置する必要はない。水平方向に延びる熱媒体循環パイプ50の端部は、上方側に屈曲して、地盤Eから床下空間Uに延び、床構造20から室内空間Rへと延びている。
熱媒体循環パイプ50のうち、地盤E内で水平方向に延びる個所には、伝熱フィン56を有している。伝熱フィン56は、伝熱性の良い金属片からなり、熱媒体循環パイプ50の長さ方向に沿って間隔をあけて多数枚が設けられている。伝熱フィン56は、地盤Eと熱媒体循環パイプ50の熱媒体循環路52との伝熱面積を増大させ、熱伝達効率を高める。
熱媒体循環パイプ50のうち、水平方向の端部近くから垂直方向に延びる個所にわたって、熱媒体循環路52を覆う保護筒54を有する。保護筒54は、強度や耐久性に優れた金属管材からなり、熱媒体循環路52を保護する。
<箱状断熱部>
床下空間Uの地盤Eで、水平方向に延びる熱媒体循環パイプ50の上方には、箱状断熱部40が埋設されている。
箱状断熱部40は、前記した基礎断熱層12と同様の発泡ポリスチレンからなり、下面が開口する直方体箱状をなしている。例えば、1m×1mの矩形で厚さ30mmの発泡ポリスチレンボードを、熱媒体循環パイプ50の外側に10cmの間隔をあけて矩形枠状に配置し、熱媒体循環パイプ50の上面にも10cmの間隔をあけて発泡ポリスチレンボードを蓋状に並べて配置すればよい。発泡ポリスチレンボードと熱媒体循環パイプ50の間は地盤Eの土砂を埋め戻しておく。発泡ポリスチレンボード同士は接着やステープル打ちなどで互いに離れないように固定しておくことができる。
その結果、箱状断熱部40の内側に収容された熱媒体循環パイプ50、および、熱媒体循環パイプ50と熱交換を行う周囲の地盤Eが、上方の床下空間Uと良好に断熱される。熱媒体循環パイプ50から地盤Eに放出された熱が、床下空間Uの温度環境に悪い影響を及ぼすことが防げる。熱媒体循環パイプ50は、箱状断熱部40の下方に拡がり熱容量が膨大な下方の地盤Eとの間で熱伝達を効率的に行うことができる。
<空調機>
床下空間Uには空調機60が設置されている。空調機60は、基本的には、通常の空調装置における室内機と同様の構造を備えている。
空調機60には、地盤Eから上方に引き出された熱媒体循環パイプ50の一端が連結され、熱交換部64に接続されている。熱交換部64は、蛇腹状管や放熱フィン構造などで構成され、熱媒体循環パイプ50から送り込まれた熱媒体と、床下空間Uの空気との間における熱交換を効率的に行う。
空調機60には、送風ファン62を有する。送風ファン62は、熱交換部64を通過する空気流を強制的に作り、熱媒体循環パイプ50の熱媒体と床下空間Uの空気との間における熱交換を効率化する。
空調機60には、熱媒体循環パイプ50の熱媒体循環路52内で熱媒体を強制循環させる循環ポンプ66を備える。熱媒体を強制循環させることで、効率的に熱の移送を果たす。
図示を省略したが、空調機60には、通常の空調装置と同様に、温度調整器や送風調整器、除湿器、風向調整機構などを備えていることができる。
空調機60には、除湿器で回収された水分、あるいは、熱交換部64の表面に空気が接触して凝結することによって生じる結露水などの水分が回収される排水管58を有する。排水管58は、通常の空調装置における排水パイプと同様の部材および構造を備えている。但し、排水管58の端部は、地盤Eの内部に埋め込まれ、先端が地盤E内に開口している。前記した水分は、排水管58から地盤Eに廃棄される。
〔床下空調装置の施工〕
熱媒体循環パイプ50の施工は、住宅の建設時に布基礎10を構築する作業工程に合わせて行う。すなわち、布基礎10を施工するために地盤Eを掘り下げるときには、通常、布基礎10の下端位置を少し超える深さまで地盤Eを掘り下げる。このとき、熱媒体循環パイプ50および箱状断熱部40、排水管58などの施工個所についても掘り下げておけば、作業の手間はそれほど掛からない。基本的に、布基礎10を施工する掘削装置や作業手順がそのまま利用できる。作業者がスコップなどを使って手作業で掘り下げる程度でも可能な場合がある。
地盤Eの掘り下げ個所で、水平な底面に沿って熱媒体循環パイプ50を敷設するのも手作業で行える。熱媒体循環パイプ50が可撓性のある管材からなる場合は、端から順に敷き詰めて置くだけで良い場合もある。図1に示すような伝熱フィン56を有してしても、水平に敷き延べるだけであるから、伝熱フィン56が損傷する心配はない。所定の長さおよび配置で熱媒体循環パイプ50が敷かれたあと、熱媒体循環パイプ50の端部を上方側に屈曲させて地盤Eの上方に延ばしておく。
箱状断熱部40は、例えば、1m×1mの矩形で厚さ30mmの発泡ポリスチレンボードを、熱媒体循環パイプ50の外側に10cmの間隔をあけて矩形枠状に配置し、熱媒体循環パイプ50の上面にも10cmの間隔をあけて発泡ポリスチレンボードを蓋状に並べて配置すればよい。発泡ポリスチレンボードと熱媒体循環パイプ50の間には地盤Eの土砂を埋め戻す。発泡ポリスチレンボード同士は接着やステープル打ちなどで互いに離れないように固定しておくことが望ましい。箱状断熱部40の一部に孔や切れ目を設け、熱媒体循環パイプ50を貫通させて上方に延ばしておく。
その後、布基礎10の施工を行うことができる。この段階で、箱状断熱部40の上方に土砂を埋め戻しておけば、箱状断熱部40および熱媒体循環パイプ50が、作業資材などにぶつかって損傷することが防止できる。布基礎10の施工は、コンクリート打設用の型枠を組みたてたり、型枠の内面に基礎断熱層12を貼り付けたり、コンクリートを流し込んだり、コンクリートの硬化後に型枠を取り外したりする。
箱状断熱部40の上に、屋外の地表面G.L.と同じ位置まで土砂を埋め戻す。この状態は、通常の住宅施工における布基礎10が施工された状態と同じである。但し、床下空間Uの地盤Eから上方に熱媒体循環パイプ50の一端が延びている。
布基礎10の上に住宅の上部構造である床構造20、壁構造30、さらには天井や屋根構造までを構築するのは、通常の住宅施工と全く同じに行える。
住宅が完成した状態で、床下空間Uの所定場所に空調機60が設置され、熱媒体循環パイプ50を導入する。排水管58も連結する。
既設の住宅に、後から床下空調装置を設置することもできる。この場合は、既設住宅の床下空間Uで、地盤Eを掘り下げ、熱媒体循環パイプ50を敷設し、箱状断熱部40を設置し、土砂を埋め戻せばよい。その後、床下空間Uに空調機60が設置される。
〔床下空調装置の稼動〕
床下空調装置の稼動について説明する。夏期などにおいて、屋内空間Rを冷房する場合と、冬期などにおいて、屋内空間Rを暖房する場合と、さらに床下空間Uの除湿を行う場合とに分けて説明する。
<暖房段階(a)>
熱媒体循環パイプ50が、相対的に高温状態にある地盤Eの熱エネルギーを、床下空間Uの空調機60へと移送し、空調機60で床下空間Uの空気を暖める。床下空間Uから床構造20を介して屋内空間Rを暖房することができる。
地盤Eの温度が15℃、外気温が10℃以下であるとすると、床下空間Uを外気温よりも5℃程度は高い温度まで暖房することが可能になる。屋内空間Rも、床下空間Uと同程度に暖房することができる。
但し、20℃程度を超える温度まで屋内空間Rを暖房するには、床下空調装置だけでは不十分になる。その場合は、屋内空間Rに設置される通常の暖房装置や空調装置と協働させて、屋内空間Rを所望の温度まで上昇させることができる。
特に、夜間の就寝時に、安全性や経済性、静粛化などの目的で屋内空間の暖房装置を止めておく場合でも、循環ポンプ66の稼動コストは極めてわずかであるから、熱媒体循環パイプ50による熱の供給は終日続けておくことで、屋内空間Rが過剰に低温になってしまうことを防止できる。翌朝に、屋内空間Rの暖房装置を稼動させれば、直ぐに快適な20℃以上の温度まで昇温させることが可能になる。
<冷房段階(b)>
熱媒体循環パイプ50が、相対的に低温状態にある地盤Eの冷熱を、床下空間Uの空調機60へと移送し、空調機60で床下空間Uの空気を冷却する。床下空間Uから床構造20を介して屋内空間Rを冷房することができる。
地盤Eの温度が15℃、外気温が30℃以上であるとすると、床下空間Uおよび屋内空間Rを外気温よりも15℃程度まで冷却することが可能になる。
但し、酷暑期の日中など、熱媒体循環パイプ50で供給できる冷熱量が不足する場合は、通常の冷房装置や空調装置と協働させて、屋内空間Rを所望の温度まで冷却させればよい。
冷房の場合も、夜間の就寝時には、冷房の効き過ぎによる健康への影響を少なくしたり、冷房装置の作動騒音を軽減したり、電力消費を低減したりするために、通常の冷房装置は止めておくことができる。日射のない夜間であれば、熱媒体循環パイプ50が供給する冷熱だけでも、就寝にとって快適な温度環境を作り出すことが可能になる。床下空間Uに設置された循環ポンプ66などの稼動音だけであれば、床構造20で遮音されて屋内空間Rにはほとんど届かない。空調機60の送風ファン62を止めて、床下空気の自然対流や循環だけで熱交換を行わせることもできる。さらに、夜間に床下空間Uおよび屋内空間Rの温度を下げておけば、日の出後に日射によって急激に温度が上がるのを遅らせることができ、起床時に快適な温度環境を実現することができる。
<除湿段階(c)>
上記した冷房段階(b)においては、床下空間Uの湿度を下げる除湿作用も働く。
空調機60の内部で、熱交換部64の内部を低温の熱媒体が流通し、熱交換部64の外側に床下空間Uの空気が接触すると、空気が冷却されるとともに、断熱冷却された空気に含まれる湿気が凝結して液体の水になる。熱交換部64から出て行く空気は、含まれていた湿気が除去された状態になる。その結果、床下空間Uの湿度が下がり、乾燥した状態にすることができる。
熱交換部64で凝結した水すなわち結露水は、熱交換部64の外面に溜まるが、さらに水分が増えれば熱交換部64の下方に落下し、排水管58に回収される。排水管58を落下した水は、排水管58の下端から地盤Eへと廃棄される。
上記説明は、冷房段階(b)と除湿段階(c)とが同時に行われる場合である。
これとは別に、床下空間Uおよび屋内空間Rの温度は下げずに除湿を行うこともできる。この場合は、空調機60の内部で、熱交換部64との接触で除湿されると同時に冷却された空気を、ヒーターなどで加熱すればよい。除湿された空気を加熱するので、空気は乾燥状態を維持し、しかも、過度に冷却されない状態で、床下空間Uに戻される。床下空間Uの温度を下げずに除湿を行うことができる。屋内空間Rの温度を過度に下げることもない。
〔別の実施形態〕
図2に示す実施形態は、基本的な使用装置や構造は前記実施形態と共通しているが、熱媒体循環パイプ50や空調機60の配置構造が異なる。共通する点は省略し、相違点を主に説明する。
熱媒体循環パイプ50は、地盤E内で、建築物の外周部分の基礎構造10および建築物の内部を仕切る基礎構造10よりも深い位置に埋設される。熱媒体循環パイプ50の埋設領域は、複数の床下空間U、複数個所の基礎構造10にわたり、一部は建築物の外周を囲む基礎構造10よりも外側にまで及んでいる。但し、建築物の外側では、基礎構造10からあまり離れていない軒下近くまでで止めている。建築物が過度の日射や放熱を防ぐので、床下空間Uの真下と同様に地下の温度変化は少ない領域である。
地盤E内で、熱媒体循環パイプ50の上方には箱状断熱部40も埋設されているので、建築物の外側であっても、地表面の温度変化による影響は受け難くなっている。
空調機60は、建築物の内側領域を複数の床下空間Uに仕切る基礎構造10に沿って設置されている。空調機60の送風ファン62が、基礎構造10に貫通形成された通気孔14に向かって送風し、隣りの床下空間Uへ空調された空気を送り込む。基礎構造10の別の位置にも通気孔14を設けておけば、空調機60が設置された側の床下空間Uにも空調された空気を循環させることができる。
この実施形態では、建築物の施工領域の広い範囲に熱媒体循環パイプ50を埋設して、地盤Eとの熱交換を効率的に大容量で行うことができる。また、基礎構造10よりも深い位置に熱媒体循環パイプ50を埋設することで、地表面からの影響を受け難くすることができる。但し、既設の建築物に対して床下空調装置を設置するには、工事の手間がかかる場合がある。
本発明の床下空調装置は、例えば、住宅における冷暖房装置あるいは補助的な冷暖房装置、さらには床下空間の除湿装置として有効に利用できる。住宅の外や居住空間に大掛りな設備や装置を設置する必要がない。地中熱を利用しているが、地中深くまで杭を打ち込む必要がなく、大掛りな杭打ち装置などが搬入できない狭い敷地や、既設の住宅地などにも施工が容易である。
本発明の実施形態を表す床下空調装置の施工状態における断面図 別の実施形態を表す床下空調装置の施工状態における断面図
符号の説明
10 布基礎
12 基礎断熱層
20 床構造
30 壁構造
40 箱状断熱部
50 熱媒体循環パイプ
52 熱媒体循環路
54 保護筒
56 伝熱フィン
58 排水管
60 空調機能部
62 送風ファン
64 熱交換器

Claims (5)

  1. 建築物の床下空間を空調する装置であって、
    前記床下空間は、周囲を前記建築物の基礎構造で囲まれ、上部に建築物の床構造が配置され、底部に前記地盤が配置されてなり、
    前記床下空間に設置され、床下空間を空調する空調機と、
    前記空調機に配置され、床下空間の空気と熱媒体との間で熱交換させる熱交換部と、
    前記床下空間の下方で地盤内に地表面から0.2〜2mの深さで水平方向に沿って埋設され、一端が前記空調機の熱交換部に導入されて前記熱媒体が循環し、地盤との間で熱交換を行う熱媒体循環パイプと、
    を備える床下空調装置。
  2. 前記地盤内に埋設され、前記熱媒体循環パイプの上方および側方を囲む箱状をなす断熱部をさらに備える
    請求項1に記載の床下空調装置。
  3. 前記建築物が、前記床下空間を囲む基礎構造の内面に基礎断熱層を有する
    請求項1または2に記載の床下空調装置。
  4. 前記空調機が、床下空間の除湿で生じた水を回収し前記地盤内に導いて廃棄する排水管を備える
    請求項1〜3の何れかに記載の床下空調装置。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の床下空調装置を用いて、前記建築物の床下空間を空調する方法であって、
    前記地盤内の温度が前記床下空間の温度よりも低い条件において、前記熱媒体循環パイプにより、床下空間の熱を地盤内に放出させて、床下空間を冷房する段階(a)と、
    前記地盤内の温度が前記床下空間の温度よりも高い条件において、前記熱媒体循環パイプにより、地盤内の熱を床下空間内に放出させて、床下空間を暖房する段階(b)と、
    の少なくとも何れか一つの段階を含む
    床下空調方法。
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