JP2007135328A - ステータ、モータ及びステータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コアを構成する各分割体同士の当接部にて生じる磁気特性の劣化を改善できるステータ及びその関連技術を提供する。
【解決手段】このステータ5では、ティース部材7とヨーク部材9との嵌合部のギャップに挿入材21が挿入されている。挿入材21は、ティース部材7及びヨーク部材9を構成する圧粉磁性体と同種の軟磁性粉末、又はその軟磁性粉末を含む材料からなっており、具体的には、軟磁性粉末が混入された接着剤をティース部材7の所定部分に塗布して挿入材21として用いる等が考えられる。
【選択図】図2
【解決手段】このステータ5では、ティース部材7とヨーク部材9との嵌合部のギャップに挿入材21が挿入されている。挿入材21は、ティース部材7及びヨーク部材9を構成する圧粉磁性体と同種の軟磁性粉末、又はその軟磁性粉末を含む材料からなっており、具体的には、軟磁性粉末が混入された接着剤をティース部材7の所定部分に塗布して挿入材21として用いる等が考えられる。
【選択図】図2
Description
本発明は、モータのステータ及びその関連技術に関する。
ステータのコアを複数の分割体に分割して形成し、その各分割体を組み合わせてコアを構成する場合がある。例えば、圧粉磁性体を用いてコアを構成する場合の例として、ティース部とヨーク部とを分割して形成するようにしたものがある(非特許文献1参照)。
平成16年電気学会産業応用部門大会論文集III(393頁、図4)
しかしながら、上記のように複数の分割体を組み合わせてコアを構成した場合、各分割体同士の当接部に生じるギャップによりコアの透磁率が低下し、コアの磁気特性が劣化する。
そこで、本発明の解決すべき課題は、コアを構成する各分割体同士の当接部にて生じる磁気特性の劣化を改善できるステータ及びその関連技術を提供することである。
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、コアが複数の分割体を組み合わせて構成されているモータのステータであって、前記各分割体同士の当接部に生じるギャップに、磁性材料、又は磁性材料を含む材料からなる挿入材が挿入されている。
また、請求項2の発明では、請求項1の発明に係るステータにおいて、前記挿入材は、コアを構成する磁性材料と同種の磁性粉末、又はその磁性粉末を含む材料からなる。
また、請求項3の発明では、請求項2の発明に係るステータにおいて、前記挿入材は、前記磁性粉末と樹脂との混合物により形成されている。
また、請求項4の発明では、請求項3に記載のステータにおいて、前記挿入材はシート状である。
また、請求項5の発明では、請求項1ないし4のいずれかの発明に係るステータにおいて、前記挿入材は、前記ティース部とヨーク部との当接部におけるギャップに挿入されている。
また、請求項6の発明では、請求項1ないし5のいずれかの発明に係るステータにおいて、前記コアの前記各分割体は圧粉磁性体により形成され、前記挿入材は、軟磁性粉末又は軟磁性粉末を含む材料からなる。
また、請求項7の発明では、請求項1ないし6のいずれかの発明に係るステータを用いる。
また、請求項8の発明では、コアが複数の分割体を組み合わせて構成されているモータのステータの製造方法であって、前記各分割体同士の当接部に生じるギャップに、磁性材料、又は磁性材料を含む材料からなる挿入材を挿入する。
請求項1に記載の発明によれば、各分割体同士の当接部に生じるギャップに、磁性材料、又は磁性材料を含む材料からなる挿入材が挿入されているため、各分割体同士の当接部にて生じる磁気特性の劣化を改善できる。
請求項2に記載の発明によれば、挿入材が、コアを構成する磁性材料と同種の磁性粉末、又はその磁性粉末を含む材料からなるため、挿入材の磁気特性を各分割体の磁気特性に近似させることができ、その結果、コアの磁気特性を均一で良好な状態に保持できる。
請求項3に記載の発明によれば、挿入材を磁性粉末と樹脂との混合物により形成することにより、挿入材を挿入すべきギャップの状況に応じた多様な態様の挿入材を提供できる。例えば、樹脂系の接着剤に磁性粉末を混入させたものを挿入材として用いたり、磁性粉末が混入された樹脂をシート状に加工したものを挿入材として用いることなどが考えられる。
請求項4に記載の発明によれば、挿入材がシート状の形態を有しているため、コアを構成する分割体間のギャップに挿入材を挟み込む等して、挿入材のギャップへの挿入を容易に行うことができる。
請求項5に記載の発明によれば、ティース部とヨーク部との当接部における磁気特性を改善することができる。
請求項6に記載の発明によれば、コアの各分割体を圧粉磁性体で形成するのに伴って、挿入材が軟磁性粉末又は軟磁性粉末を含む材料により形成されているため、挿入材の磁気特性を各分割体の磁気特性に近似させることができ、その結果、コアの磁気特性を均一で良好な状態に保持できる。
請求項7に記載の発明によれば、ステータコアの磁気特性の改善により、モータ性能の向上が図れる。
請求項8に記載の発明によれば、各分割体同士の当接部に生じるギャップに、磁性材料、又は磁性材料を含む材料からなる挿入材を挿入するため、各分割体同士の当接部にて生じる磁気特性の劣化を改善できる。
図1は本発明の一実施形態に係るモータのロータ、ステータの構成を示す平面図であり、図2は図1の一部を拡大した図であり、図3は図2のA−A線に沿った断面図である。
このモータは、例えば永久磁石型の同期モータであり、複数の永久磁石1が設けられたロータ3と、ステータ5とを備える。ステータ5は、複数のティース部材(ティース部)7と、そのティース部材7が固定される略リング状のヨーク部材(ヨーク部)9と、各ティース部材7に外挿されるコイル11とを備えている。複数のティース部材7とヨーク部材9とは、本発明の分割体に相当しており、互いに組み合わされてステータコア12を構成している。
ヨーク部材9は、図4に示すような2つのヨーク分割体13,15を組み合わせて構成されている。このヨーク分割体13,15は、ヨーク部材9をモータ軸に垂直な面に沿って2分割したような形状を有し、ティース部材7の基端部7aを挟み込んだ状態で接着剤等で互いに固定されるようになっている。このため、ヨーク分割体13,15の内周部には、ティース部材7の基端部7aを挟み込んで保持する保持凹部13a,15aが設けられている。また、ティース部材7の基端部7a(基端部7aの周方向側面)、及びヨーク分割体13,15の保持凹部13a,15aの内周面(周方向の内側面)には、抜け止め用の互いに嵌合する凸部17a,19a及び凹部17b,19bが設けられている。
このようなヨーク分割体13,15及びティース部材7は、圧粉磁性体により形成されている。圧粉磁性体は、金属磁性粉末(例えば鉄粉)又は所定の被膜(例えば燐酸化合物被膜)で覆った金属磁性粉末(例えば鉄粉)を樹脂で結合したものである。圧粉磁性体の結合用樹脂としては、例えばポリフェニレンサルファイド、可溶性ポリイミド若しくは更に他の樹脂、又はこれらの混合物等が用いられる。圧粉磁性体の成形は、軟磁性粉末(粉状の圧粉磁性体材料)を所定の成型用の型に充填して加圧、圧縮した後、加熱処理を施すことにより行われる。
また、ティース部材7とヨーク部材9との嵌合部(当接部)に生じるギャップには、図3に示すように、ギャップによるステータコア12の磁気特性の劣化を抑制するために、挿入材21が挿入されている。この挿入材21は、例えばティース部材7及びヨーク部材9と同種の磁性体粉末を主成分としたものである。
挿入材21の具体的な挿入方法としては、例えば、図5に示すように、挿入材21として用いられる軟磁性粉末21aをティース部材7の基端部7aに付着させた状態で、ヨーク分割体13,15の保持凹部13a,15aに嵌合させることにより、挿入材21をギャップに挿入する。このとき、軟磁性粉末21aがティース部材7に付着しにくい場合には、ティース部材7の表面に接着剤等の粘着剤を塗布しておき、その上から軟磁性粉末21aを付着させるようにしてもよい。あるいは、ティース部材7をヨーク部材9に接着固定するための接着剤(樹脂系のもの)に軟磁性粉末21aを混入させ、その接着剤をティース部材7に塗布したものを挿入材21として用いるようにしてもよい。
また、同様な要領により、ヨーク分割体13,15間のギャップに挿入材21を挿入するようにしてもよい。例えば、ヨーク分割体13,15同士を接着固定するための接着剤に軟磁性粉末を混入させてもよい。
図6は、コアのギャップと透磁率減少率との関係を示すグラフであり、横軸はギャップの大きさに対応し、縦軸は各ギャップ値におけるコアの透磁率の減少率に対応している。ここで、透磁率減少率は、ギャップがない状態(連続状態)の透磁率をμaとし、各ギャップ値における透磁率をμbとすると、(μb−μa)/μaで与えられる。
図6のグラフ中の曲線Gは、理論的に求めたギャップ値と透磁率減少率との関係を示すものである。また、図6中の測定値P1は、コアの分断部分を実質的にギャップがゼロになるように密着させた状態における透磁率減少率を示している。また、図6中の測定値P2は、実際にティース部材7とヨーク部材9との嵌合部に生じるギャップと同等なギャップ値における透磁率減少率を示している。ティース部材7とヨーク部材9との間のギャップに挿入材21を挿入することにより、ギャップが挿入材21により埋められるため、測定値P1,P2の差Dに相当する分(透磁率減少率にして約35%)のステータコア12の磁気特性の改善が期待できる。
以上のように、本実施形態によれば、ティース部材7とヨーク部材9との嵌合部のギャップに磁性材料、又は磁性材料を含む材料からなる挿入材21が挿入されているため、ティース部材7とヨーク部材9との嵌合部にて生じる磁気特性の劣化を改善できる。
また、挿入材21が、ティース部材7及びヨーク部材9を構成する圧粉磁性体と同種の軟磁性粉末、又はその軟磁性粉末を含む材料からなるため、挿入材21の磁気特性をティース部材7及びヨーク部材9の磁気特性に近似させることができ、その結果、ステータコア12の磁気特性を均一で良好な状態に保持できる。
[変形例]
前述の実施形態の変形例として、図7に示す構成が考えられる。この変形例では、図7に示すように、ティース部材7とヨーク部材9との嵌合部におけるギャップにシート状の挿入材31を挿入するようになっている。この挿入材31は、前述の軟磁性粉末が混入された樹脂をシート状に加工したものであり、図7に示すように、ティース部材7の基端部7aに沿わせた状態で基端部7aと一緒に保持凹部13a,15aに挟み込まれるようになっている。この場合、シート状の挿入材31をギャップに挟み込むことにより挿入材31の挿入作業を行うことができ、挿入作業が容易であるという利点がある。他の構成として、挿入材31を接着剤等の粘着剤でティース部材7の基端部7aに貼着した状態で保持凹部13a,15a内に挟み込むようにしてもよい。
前述の実施形態の変形例として、図7に示す構成が考えられる。この変形例では、図7に示すように、ティース部材7とヨーク部材9との嵌合部におけるギャップにシート状の挿入材31を挿入するようになっている。この挿入材31は、前述の軟磁性粉末が混入された樹脂をシート状に加工したものであり、図7に示すように、ティース部材7の基端部7aに沿わせた状態で基端部7aと一緒に保持凹部13a,15aに挟み込まれるようになっている。この場合、シート状の挿入材31をギャップに挟み込むことにより挿入材31の挿入作業を行うことができ、挿入作業が容易であるという利点がある。他の構成として、挿入材31を接着剤等の粘着剤でティース部材7の基端部7aに貼着した状態で保持凹部13a,15a内に挟み込むようにしてもよい。
また、前述の実施形態の他の変形例として、図8に示す構成が考えられる。この変形例では、図8に示すように、ステータ5が複数の分割ステータ33を組み合わせて構成されている。隣接する分割ステータ33同士の分割コア(分割体)35(具体的には分割コア35のヨーク部37)同士の当接部に生じるギャップに、前述の挿入材21又は31が挿入されている。
また、前述の実施形態では、ティース部材7のヨーク部材9への固定を接着剤を用いて行うようにしたが、締結具を用いてその固定を行うようにしてもよい。例えば、図9に示すように、ボルト41及びナット43を用いてその固定を行うようにしてもよい。この場合、ヨーク分割体13,15の径方向の外縁部にモータの軸方向に貫通するボルト孔13b,15bを設け、そのボルト孔13b,15bに通したボルト41にナット43を螺合させて、ボルト41、ナット43でヨーク分割体13,15を両側から締め付けることにより、ヨーク分割体13,15の保持凹部13a,15b内にティース部材7が挟持固定された状態で、ヨーク分割体13,15同士が固定されるようになっている。
また、前述の実施形態では、ティース部材7及びヨーク部材9を圧粉磁性体で形成したが、そのいずれか一方又は両方を積層鋼板により形成してもよい。
1 永久磁石
3 ロータ
5 ステータ
7 ティース部材
9 ヨーク部材
11 コイル
12 ステータコア
21,31 挿入材
33 分割ステータ
35 分割コア
3 ロータ
5 ステータ
7 ティース部材
9 ヨーク部材
11 コイル
12 ステータコア
21,31 挿入材
33 分割ステータ
35 分割コア
Claims (8)
- コアが複数の分割体を組み合わせて構成されているモータのステータであって、
前記各分割体同士の当接部に生じるギャップに、磁性材料、又は磁性材料を含む材料からなる挿入材が挿入されていることを特徴とするステータ。 - 請求項1に記載のステータにおいて、
前記挿入材は、コアを構成する磁性材料と同種の磁性粉末、又はその磁性粉末を含む材料からなることを特徴とするステータ。 - 請求項2に記載のステータにおいて、
前記挿入材は、前記磁性粉末と樹脂との混合物により形成されていることを特徴とするステータ。 - 請求項3に記載のステータにおいて、
前記挿入材はシート状であることを特徴とするステータ。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載のステータにおいて、
前記挿入材は、前記ティース部とヨーク部との当接部におけるギャップに挿入されていることを特徴とするステータ。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載のステータにおいて、
前記コアの前記各分割体は圧粉磁性体により形成され、
前記挿入材は、軟磁性粉末又は軟磁性粉末を含む材料からなることを特徴とするステータ。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載のステータを用いることを特徴とするモータ。
- コアが複数の分割体を組み合わせて構成されているモータのステータの製造方法であって、
前記各分割体同士の当接部に生じるギャップに、磁性材料、又は磁性材料を含む材料からなる挿入材を挿入することを特徴とするステータの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005326957A JP2007135328A (ja) | 2005-11-11 | 2005-11-11 | ステータ、モータ及びステータの製造方法 |
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JP (1) | JP2007135328A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7541711B2 (en) * | 2006-05-30 | 2009-06-02 | Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki | Electric motor, stator of electric motor, and manufacturing method for the stator |
-
2005
- 2005-11-11 JP JP2005326957A patent/JP2007135328A/ja active Pending
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US7541711B2 (en) * | 2006-05-30 | 2009-06-02 | Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki | Electric motor, stator of electric motor, and manufacturing method for the stator |
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