JP2007130398A - 光学式位置計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】マーク部材の位置を計測する際の死角を減らし、かつ複数台の位置計測器を用いた場合でも誤認識を低減した光学式位置計測装置を提供する。
【解決手段】マーク部材からの光を検出して撮像するイメージセンサを有する光検出器を所定間隔を置いて複数配置し、隣接する光検出器によってマーク部材を異なる方位から撮像可能にし、各光検出器は、イメージセンサの受光面に対向して視野角拡大のために双曲線ミラー又は魚眼レンズ等の光学部材を配置する。或いは複数の位置計測器からマーク部材に赤外光を照射しその反射光を各位置計測器で計測する際に、イメージセンサで受光可能な赤外線波長をそれぞれの位置計測器毎に異なるようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は外科手術をサポートするナビゲーションシステム等に使用できる光学式位置計測装置に係り、被検体に付されたマーカー等の位置を計測する上で計測領域の拡大を図り計測領域の死角を減少した光学式の位置計測装置に関するものである。
従来、医用分野においては医用画像診断装置を用いて被検体の断層画像を撮影し、画像処理することで三次元画像等を取得し、医用診断を行うようにしている。医用画像診断装置としては、例えばX線CT装置(X線コンピュータトモグラフィ装置)、MRI装置(磁気共鳴イメージング装置)、X線撮影装置等が一般的に用いられている。
また、医用画像診断装置で撮影した画像は、手術ナビゲーションシステムにも利用されている。手術ナビゲーションシステムは、被検体の患部に複数のマーカーを付し、このマーカーの位置を位置検出装置によって検出し、検出結果からマーカーの位置座標を求め、医用画像診断装置で取得した三次元画像におけるマーカー映像と上記位置座標とから、両者の対応付けを行い手術に必要な画像を術者が見る方向から提示することによって、手術の支援を行なうものである。
特許文献1には、位置検出装置とMRI等の医用画像診断装置を利用した手術支援システムが記載されており、被検体の患部に付したマーカーを位置検出装置で検出し、検出したマーカーの実空間における位置とMRIで取得した画像データにおけるマーカーの位置とを対応付けする例が示されている。
このような位置計測装置の原理は、計測装置本体に所定の間隔で左右にイメージセンサを配置し、これらイメージセンサで撮影した2枚の画像と、それに写り込んでいるマーカーの情報と、左右のイメージセンサの瞳間隔の情報から、マーカーの3次元位置情報を計算して求めるものである。
一方、このような位置計測装置は、マーカーが自発光型か反射型かの違いによって2種類に大別される。自発光型のマーカーは、例えば赤外線LEDなどを使い、外部電源で点滅可能にしたものである。自発光型のマーカーを使った位置計測装置では、点滅するマーカーからの赤外光をセンサで検出するようにしている。また、反射型マーカーは、例えば再帰性塗料を塗布した反射球が用いられている。反射型マーカーを使った位置計測装置では、計測装置側に赤外線光源を設け、赤外線光源からの赤外光をマーカーに当て、マーカーで反射して戻る赤外光をセンサで検出するようにしている。
ところで、従来の光学式位置計測装置は、一般的に1台だけで使用することを前提としているため、手術室などの込み入った場所で使おうとすると、どうしても死角が発生するという問題があった。そこで検出の対象物を取り囲むように複数台の位置計測装置を配置して同時に計測することも考えられるが、どの測定タイミングにどの位置計測装置が計測しているかを特定することが難しく、また、誤認識によって混信を生じてしまうことがあった。
例えば、第1の位置計測装置の赤外線光源によって照らされたマーカー以外の物体(術具等)からの反射光を、第2の位置計測装置がマーカーから反射して戻った光線と間違えて検出してしまい、位置計測が正常に行われないといった問題が生じる。さらに、複数台の位置計測装置を使う場合、対象物体を取り囲むようにそれぞれの計測領域をオーバーラップさせておく必要があり、設置位置に関する制約条件が厳しくなるという欠点があった。
特開2003−88508号公報
従来の光学式位置計測装置や、特許文献1に示す手術支援システムで使用される位置検出装置では、一般的に1台だけで使用することを前提としているため、どうしても死角が発生するという問題があった。また、死角をなくすため複数台の光学式位置計測装置を配置して同時計測する場合は誤認識を生じたり、各位置計測装置の設置位置に関する制約条件が厳しくなるという欠点があった。
本発明は、死角を減らすことができ、かつ複数台の位置計測装置を用いた場合でも誤認識を低減することができる光学式位置測定装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の本発明の光学式位置計測装置は、自発光する能動型マーカー、又は外部から照射された光を反射する受動型マーカーにて成るマーク部材の位置を計測するための光学式位置計測装置であって、前記マーク部材からの光を検出して撮像するイメージセンサを有する光検出器を所定間隔を置いて複数配置し、隣接する光検出器によって前記マーク部材の位置を異なる方位から撮像可能にし、前記各光検出器は、前記イメージセンサの受光面に対向して視野角拡大のための光学部材を配置したことを特徴とする。
また、請求項6記載の本発明の光学式位置計測装置は、自発光する能動型マーカー、又は外部から照射された光を反射する受動型マーカーにて成るマーク部材の位置を計測するための光学式位置計測装置であって、前記マーク部材からの光を検出して撮像するイメージセンサを有する光検出器を所定間隔を置いて複数配置し、隣接する光検出器によって前記マーク部材の位置を異なる方位から撮像可能にし、前記各光検出器は、水平軸又は垂直軸の少なくとも一方の軸を中心に同期して回動可能とし、前記マーク部材を含む測定環境を所定の角度範囲に拡大して撮像するようにしたことを特徴とする。
また、請求項11記載の本発明の光学式位置計測装置は、外部から照射された光を反射する受動型マーカーにて成るマーク部材の位置を複数の位置計測器を用いて計測する光学式位置計測装置であって、前記各位置計測器は、前記マーク部材からの光を検出して撮像するイメージセンサと該イメージセンサの受光面を囲むように配置した赤外線光源とを含む光検出器を所定間隔を置いて複数配置し、隣接する光検出器の各赤外線光源から放射される赤外光によって前記マーク部材を照射しその反射光を前記イメージセンサで撮像可能にし、前記各位置計測器は、前記イメージセンサで受光可能な赤外線波長帯域がそれぞれの位置計測器毎に異なるようにしたことを特徴とする。
また、請求項14記載の本発明の光学式位置計測装置は、自発光する能動型マーカー、又は外部から照射された光を反射する受動型マーカーにて成るマーク部材の位置を複数の位置計測器を用いて計測する光学式位置計測装置であって、前記各位置計測器は、前記マーク部材からの光を検出して撮像するイメージセンサを含む光検出器を所定間隔を置いて複数配置し、隣接する光検出器によって前記マーク部材の位置を異なる方位から撮像可能にし、前記各位置検出装置は、前記イメージセンサでの受光動作タイミングが位置計測器毎にそれぞれ異なるようにしたことを特徴とする。
さらに、請求項15記載の本発明の光学式位置計測装置は、外部から照射された光を反射する受動型マーカーにて成るマーク部材の位置を複数の位置計測器を用いて計測する光学式位置計測装置であって、前記各位置計測器は、前記マーク部材からの光を検出して撮像するイメージセンサと該イメージセンサの受光面を囲むように配置した赤外線光源とを含む光検出器を所定間隔を置いて複数配置するとともに、それぞれの位置計測器毎に固有のマーカーを設けて成り、各位置計測器の前記赤外線光源から赤外光によって前記マーク部材及び前記固有のマーカーを照射し、その反射光を前記イメージセンサで撮像して前記マーク部材の位置を測定するとともに、前記固有のマーカー位置を測定してそれぞれの位置計測器の相互位置関係を特定可能にしたことを特徴とする。
本発明によれば、マーク部材の位置を計測する際に死角を減らすことができ、かつ複数台の位置計測装置を用いた場合でも誤認識を低減することができる光学式位置計測装置を提供することができる。
以下、この発明の光学式位置計測装置の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の光学式位置計測装置の一実施の形態を示す正面図であり、図2は平面図を示している。尚、本実施形態では、マーク部材として反射型のマーカー20(受動型マーカー)を使用する例を示している。
図1の光学式位置計測装置10は、支持台11と、支持台11を支えるスタンド12と、支持台11の左右に所定間隔を置いて配置された光検出器13L,13Rと、光検出器13Lと13Rの間に配置した遮光板14を有している。
光検出器13Lと13Rは同一の構成であり、それぞれCCD、C−MOS等で成るイメージセンサ15と、イメージセンサ15の受光部周辺を取り囲むように配置した赤外線LED等からなる赤外線光源16と、イメージセンサ15の受光面に設けた光学フィルタ17と、イメージセンサ15に対向して配置した双曲面ミラー18とで構成されている。
赤外線光源16から放射された赤外光は双曲面ミラー18で反射され、計測領域のほぼ全域を照らし、図2で示すように、放射された赤外線は計測領域内に置かれた反射マーカー20で反射され、再び双曲面ミラー18を経由してイメージセンサ15に戻ってくる。反射型マーカー20は、例えば再帰性塗料が塗布された球体であり、光が照射されると照射された方向に光を反射する。再帰性塗料としては、アルミなどのガラス小球を混合させた塗料を使用し、マーカー20を対象物(例えば被検体の頭部)に固着させることで、光学式位置計測装置10とマーカー20間の位置関係がリアルタイムに計測される。反射型マーカーの場合は電力を外部から供給する必要がない。
双曲線ミラー18は、図3に示すように、透光性の円筒状筐体181内に取り付けられ、円筒状筐体181の軸方向(Z軸方向)に沿った断面の曲線が双曲線となる凸面鏡であり、一度の撮影で全方位(360度)の画像を撮影でき、双曲線ミラー18を使用することにより、一点の視点から見込んだ画像を得ることができる。イメージセンサ15で撮影された画像は、図4(a)で示す丸画像となるが、透視投影変換を行うことで、人の視点と同様に一点から或るものを見た場合の画像、即ち図4(b)に示す透視投影変換画像に変換することができ、図3の二次元領域pの画像を得ることができる。また変換アルゴリズムを変えれば、同じ画像データから図4(c)に示すようなパノラマ画像に変換することも可能である。
また、左右のイメージセンサ15で得られた2枚の画像と、双曲面の焦点間距離に関する先験情報等から光学式位置計測装置10のアルゴリズムに従ってマーカー20の3次元位置情報が計算される。
このような光学式位置計測装置10を手術ナビゲーションシステムに応用した場合、被検体の患部に付した複数のマーカーの位置を位置検出装置によって検出し、検出結果からマーカーの位置座標を求め、医用画像診断装置で取得した三次元画像におけるマーカー映像と上記位置座標とから、両者の対応付けを行い手術を進行することができる。また、複数のマーカーで患部の観察視野を指定し、指定した視野内を手術顕微鏡で観察しながら手術を進めることもできる。
尚、遮蔽板14は、光検出器13Lと13Rの干渉を防止するものであり、赤外線光源16からの赤外光を反射しないように黒色のつや消し塗装とするか、サンドブラスト等の表面処理により赤外線が乱反射するような処理を付しておく必要がある。
このように、本発明の光学式位置計測装置は、双曲面ミラー18を付加することで計測領域の拡大が可能となり、計測領域を見込む視野角を垂直・水平方向に広げることができる。さらに垂直視野角はさほど変えずに水平視野角をほぼ360度にすることもでき、位置計測する際の死角を減らすことができる。但し、ピクセル数が大きいイメージセンサ15を使う必要がある。
尚、図1,2の実施形態では、マーク部材として反射型マーカー20を用いる場合を説明したが、自発光型のマーカー(能動型マーカー)を利用することも可能である。自発光型のマーカーとしては、通常自然界に殆ど存在しない赤外線(近赤外線が望ましい)を使うことで誤認識を大幅に低減することができるため、赤外線LEDなどを内蔵したマーカーを用いると良い。自発光型のマーカーを用いた場合、イメージセンサ15は赤外線だけを感知するCCDまたはC−MOSセンサを使用する。この場合、マーカーに外部から電力を供給する必要があるが、図1,図2の赤外線光源16は不要となる。
マーク部材として、反射型マーカー又は自発光型マーカーのいずれを使用した場合であっても、1台の光学式位置計測装置には2個以上のイメージセンサが搭載され、それぞれにイメージセンサから出力される視線方向が異なる複数枚の画像と、それぞれの画像上で同一のマーカーがどう対応しているかという先験情報から、位置計測装置からマーカーまでの相対位置関係をリアルタイムに計測することができる。
次に本発明の光学式位置計測装置の第2の実施形態を図5,図6を参照して説明する。図5の光学式位置計測装置10は、支持台11と、支持台11を支えるスタンド12と、支持台11の左右に配置された光検出器13L,13Rと、光検出器13Lと13Rの間に配置した遮光板14を有している。
光検出器13Lと13Rは同一の構成であり、図5の円内に拡大して示すように、それぞれCCD、C−MOS等で成るイメージセンサ15と、イメージセンサ15の受光部周辺を取り囲むように配置した赤外線LED等からなる赤外線光源16と、イメージセンサ15の受光面に設けた光学フィルタ17と、イメージセンサ15に対向して配置した魚眼レンズ19とで構成されている。
魚眼レンズ19は、赤外線を透過するものであり、赤外線光源16から放射された赤外光は、図5で示すように、計測領域内に置かれた反射マーカー20で反射され、反射光は魚眼レンズ19を介してイメージセンサ15で検出される。反射型マーカー20は、図2と同様の再帰性塗料が塗布された球体である。
魚眼レンズ19としては、歪画像を元の歪の無い画像に変換する都合から一対一写像になっている必要があり、歪画像であっても必ず一点の瞳から見込んだ画像になっていることが重要である。
魚眼レンズ19を装着した場合、イメージセンサ15で得られた画像を歪無し画像に変換し、次に光学式位置計測装置10のアルゴリズムでマーカー20の三次元位置情報を計算・推定する。魚眼レンズ19により視野角が広がることから、垂直・水平両方向に計測領域を広げることが可能となる。
図6は、左右の光検出器13L,13Rにおけるイメージセンサ15での画像イメージを示したものである。尚、図5の実施形態において、自発光型のマーカーを利用することも可能である。この場合、イメージセンサ15は赤外線だけを感知するCCDまたはC−MOSセンサを使用し、赤外線光源16は不要となる。
このように、本発明の第2の実施形態による光学式位置計測装置は、魚眼レンズ19を付加することで計測領域の拡大が可能となり、計測領域を見込む視野角を垂直・水平方向に広げることができ、測定する上での死角を減少することができる。
次に本発明の光学式位置計測装置の第3の実施形態を図7,図8を参照して説明する。図7の光学式位置計測装置10は、支持台11と、支持台11を支えるスタンド12と、支持台11の左右に配置された光検出器21L,21Rと、光検出器21Lと21Rの間に配置した遮光板14を有している。
そして、光検出器21L,21Rを同期して垂直軸周りに回動可能にしたものである。光検出器21Lと21Rは同一の構成であり、それぞれCCD、C−MOS等で成るイメージセンサ15と、イメージセンサ15の受光部周辺を取り囲むように配置した赤外線LED等からなる赤外線光源16と、イメージセンサ15の受光面に設けた光学フィルタ17とで構成されており、光検出器21L、21Rは透光性の筐体22内に取り付けられ、垂直軸周りに回転可能に支持されている。あるいは、筐体22も一緒に回動する構造としても良い。
光検出器21L、21Rは、それぞれモータ23L,23Rによって回転可能となっており、光検出器21L、21Rの回転角の情報を同時に取得できるように角度検出器24L,24Rを設けている。回動範囲は概ね一周の往復運動(首振り)であってもよいし360度の連続回転運動であってもよい。
光検出器21L、21Rのイメージセンサ15での画像取得のタイミングがずれないようにするため、左右の光検出器21L、21Rの回転運動は同期し且つ同じ向きに回転動作をすることが望ましい。
図8で示すように、赤外線光源16から放射された赤外光は、計測領域内に置かれた反射マーカー20で反射され、反射光はイメージセンサ15で検出され、左右のイメージセンサ15からは歪のない画像が直接得られる。この場合、光検出器21L、21Rは回転しながらマーカー20の位置を検出するため、計測領域の拡大が可能となり、マーカー位置を測定する際の死角を減らすことができる。
尚、図7の実施形態において、自発光型のマーカーを利用することも可能である。この場合、イメージセンサ15は赤外線だけを感知するCCDまたはC−MOSセンサを使用し、赤外線光源16は不要となる。
次に第3の実施形態の変形例を図9,図10を参照して説明する。図9は、図7に示す光検出器21L、21Rを垂直方向に向け、光検出器21L、21Rをそれぞれモータ25L,25Rによって水平軸周りに回動可能にしたものであり、回転角の情報を同時に取得できるように角度検出器26L,26Rを設けている。これにより垂直方向の計測領域を拡大することができる。回動範囲は概ね一周の往復運動であってもよいし360度の連続回転運動であってもよいが、支持台11によって撮影できない領域があるため、撮影不能領域を避けた角度範囲で往復回転(首振り)させると良い。
図10は、図9に示す光検出器21L、21Rを、それぞれモータ25L,25Rによって水平軸周りに回動可能にし、さらに光検出器21L、21Rを、それぞれモータ27L,27Rによって垂直軸周りに回動可能にしたものであり、水平・垂直の両方向に計測領域を拡大したものである。
この例の場合、光検出器21L、21Rの水平軸周りの回転角の情報を同時に取得できるように角度検出器26L,26Rを設け、垂直軸周りの回転角の情報を同時に取得できるように角度検出器28L,28Rを設けている。尚、モータ25L,25Rはそれぞれ断面U字状の回転台29L,29Rに取付けられ、この回転台29L,29Rをモータ27L,27Rによって垂直軸周りに回転するようにしている。また、光検出器21Lと21Rの間に干渉防止用の遮光板14を配置している。
このように光検出器21L、21Rを水平軸周り及び垂直軸周りに回動可能にした場合、マーカー20の測定がリアルタイムでなくなるが、首振りまたは連続回転時の回転角度を画像撮影に同期させて収集することで、位置計測領域の拡大が可能になる。したがって計測領域の拡大により、マーカー位置を測定する際の死角を減らすことができる。また、このような位置測定装置を複数台用いてマーカー20の位置を測定する場合には、計測領域が拡大するため各位置測定装置の計測領域をオーバーラップさせる必要がなくなるため、設置条件が緩和される。
さらに本発明の光学式位置計測装置の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は図11で示すように、複数台の位置計測器31,32…3nを同時に使用するものである。
位置計測器31,32…3nはいずれも同じ構成を有し、位置計測器3nを代表に説明する。位置計測器3nは、支持台11と、支持台11を支えるスタンド12と、支持台11の左右に配置された光検出器13L,13Rを有している。
光検出器13L、13Rは、それぞれCCD、C−MOS等で成るイメージセンサ15と、イメージセンサ15の受光部周辺を取り囲むように配置した赤外線LED等からなる赤外線光源16と、イメージセンサ15の受光面に設けた光学フィルタ17とで構成されている。或いは図1、図5の光検出器13L、13Rのように双曲線ミラー18、又は魚眼レンズ19を配置したものであっても良い。
各位置計測器31,32…3nの赤外線光源16から放射された赤外光は、計測領域内に置かれた複数の反射マーカー20で反射され、反射光はそれぞれの位置計測器31,32…3nのイメージセンサ15で検出される。複数の反射型マーカー20は、被検体の患部に付され、図2と同様の再帰性塗料が塗布された球体である。
従来のように位置計測装置1台でマーカー位置を計測した場合には、視線方向が1方向に限られていたため計測時に死角が発生しやすかったが、複数台の位置計測器31,32…3nでマーカー20を測定することにより、死角を減らすことができる。
このように複数の位置計測器31,32…3nを使用してマーカー20を撮影する場合、それぞれの位置計測器31,32…3nから放射される赤外線が同じ波長であると誤認識を誘発する確率が高くなる。例えば図12のように反射型マーカー20に対して2台の位置計測器31,32が配置され、マーカー以外の反射物体40(例えば術具)が計測領域に紛れ込んでいる場合を考える。このとき第1の位置計測器31には、第2の位置計測器32の赤外線光源16で照らされたマーカー以外の反射物体40からの光が偶然入ってくる可能性がある。このため、反射物体40をマーカー20と誤認識する可能性が高くなる。
このため、マーカー20が現在どの位置計測器によって測定されているかという情報が必要になる。そこで図11の実施形態では、赤外線光源16の波長帯域をそれぞれの位置計測器31,32…3n毎に制限するようにしている。即ち、赤外線光源16としてLEDを使う場合は、近赤外線に限定すると、図13で示すように、波長が780nm〜1550nmの範囲内にあり、それぞれ中心波長λ1,λ2…λnが異なり、波長帯域幅が例えば30nm〜100nmのLEDを、各位置計測器31,32…3nに使用する。このようなLEDとしては、例えばスペクトロライト株式会社から市販されている“SPL−100”シリーズがある。
或いは、各位置計測器31,32…3nの赤外線光源16として多少波長帯域幅の広いLEDを使用し、各位置計測器31,32…3nの光学フィルタ17の帯域幅をそれぞれ異ならせた狭帯域干渉フィルタとしても良い。狭帯域干渉フィルタとしては、例えばエドモンドオプティックスジャパン株式会社から市販されている、中心波長334nm〜1064nm、半値全幅10nmのものがある。
受光するCCDやC−MOS等のイメージセンサ15は、感度波長帯域が広いものが多いので、その前方に中心波長が一致する狭帯域干渉フィルタ17を設けることにより、各位置計測器31,32…3n毎に波長の割り当てを実現することができる。
このようにして複数台の位置計測器31,32…3nの放射・受光波長を位置計測器毎に異なるように割り当てることにより、例えば第1の位置計測器31は、それ以外の位置計測器32,33…3nとの混信を回避できる。また偶然赤外線を発する物体があっても波長領域が制限されていることから誤認識を避けられる確率が高くなる。
即ち、この実施形態では、混信を避ける方法として、赤外線波長の割り当てという手段をとったものである。例えば同一の位置計測器の左右イメージセンサに対しては、同一波長で且つ帯域幅が狭いLEDを放射光源に利用する。また、イメージセンサ自体は感度波長がブロードなので、その前面に狭帯域干渉フィルタを付加する。これにより、他の位置計測装置からの放射された赤外線はイメージセンサでは撮影されないため混信を避けることができる。
さらに図14は、図11と同様に複数の位置計測器31,32…3nを使用してマーカー20の位置を測定する場合の変形例を示したもので、マスタークロックを利用して各位置計測器31,32…3nでの測定タイミングを時分割で制御し、位置計測器31,32…3n毎に異なる動作タイミングでマーカー20の位置を計測するようにしたものである。このように位置計測器31,32…3nの動作タイミングを割り当てることにより、図11の例のように位置計測器毎に赤外線波長や狭帯域干渉フィルタの特性を変えることなく測定が可能となり、混信を避けることができる。この場合、複数の位置計測器31,32…3nからの位置情報をPC(パーソナルコンピュータ)で一括して集め、一元管理することでマーカー20の位置を計測することができる。
このように、第4の実施形態では、複数台の位置計測器に対して赤外線の波長割り当て、もしくは時分割による位置計測のタイミング割り当てを行うことで、マーカーが受動型/能動型にかかわらず、混信を低減することができる。
また、図15は更なる変形例を示したものである。図15の光学位置測定装置は、複数の位置計測器41,42…を使用して複数のマーカー20の位置を測定する場合の変形例を示したもので、各位置計測器41,42…は、図1の実施形態で用いた双曲線ミラー18を利用した光検出器13L,13Rと、遮光板141,142と、各位置計測器41,42…毎にそれぞれ固有のマーカーツール51,52…を付加した構造を有している。
位置計器41,42…は、同じ構成を有しており、図16の位置計側器41を代表に説明する。位置計側器41は、支持台11と、支持台11を支えるスタンド12と、支持台11の左右に配置された光検出器13L,13Rと、光検出器13Lと13Rの間に配置した遮光板141,142を有している。
光検出器13L、13Rは、図1と同様にイメージセンサ15と、赤外線光源16と、光学フィルタ17と、双曲面ミラー18とを有して構成され、赤外線光源15から放射された赤外線は双曲面ミラー18で反射されて放射され、放射された赤外線は反射マーカー20で反射され、再び双曲面ミラー18を経由してイメージセンサ15で検出される。
また、支持台11の遮光板141と142の間には複数の反射型マーカーで構成されたマーカーツール51が設けられている。マーカーツール51は3個以上のマーカー(例えば不等辺三角形状を形成する3つのマーカー)から構成され、各マーカーの相対位置関係は固定されたものであり、マーカーツール51,52の形状(不等辺三角形の形状)は各位置計側器41,42…毎に異ならせることにより、マーカー20の位置情報と各位置計測器41,42…の位置情報を同時に収集することができる。
即ち、各位置計測器41,42…で計測したマーカー20の位置情報と、各位置計測器41,42の位置情報も得られるので、それらの情報を基により詳細なデータを得ることができる。情報量が増えることにより、位置情報誤差の標準偏差を減らすことができるため、結果的に位置計測精度の向上を図ることが可能となる。
今、各位置計器41,42…の個数nをn≧2とし、例えば図15で示すように位置計測器41と42が共通の対象領域A(複数のマーカー20でなる領域)を取り囲むように配置されている場合を考える。このとき第m番目のマーカー20mは第1の位置計測器41で計測され位置情報(ベクトルrm1で示す)が得られる。同様にして第2の位置計測装置42でも計測され位置情報(ベクトルrm2で示す)が得られる。また、第1と第2の位置計測器41,42間の位置情報は、それぞれに固有のマーカーツール51,52によって相互間の位置情報(ベクトルr21で示す)が得られる。本来、これらベクトル情報を基に以下のベクトル式(1)が成立すべきであるが、測定誤差が含まれているので常にこの式が成立するわけではない。
そこで、最小二乗法を用いて第m番目のマーカー20mの位置を推定すれば、1台の位置計測装置で計測した場合よりもn台で計測した方が誤差の標準偏差を1/√2倍に減らすことができる。即ち位置計測精度を向上できることになる。また第1の位置計測器41からはマーカー20を認識できないが、第2の位置計測器42ならマーカー20の位置を認識可能な場合も少なくない。このような場合、マーカー20の位置計測の死角を低減できるというメリットが生じる。
こうして、各位置計測器41,42…にそれぞれ固有のマーカー51,52を付加することで、位置計測器相互の位置関係情報も収集できるため、同一マーカー20に関連する位置情報を増加させることができる。このことからマーカーの位置計測精度を向上させることが可能となる。
以上述べたように、本発明では、マーカーの位置を測定する際の死角を減らすことができ、かつ死角を減らすために複数台の位置計測器を用いた場合でも誤認識を低減することができる。尚、本発明の光学式位置計測装置は、手術ナビゲーションシステムに利用可能であるが、その利用範囲は医用に特定されるものではない。また特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
本発明の光学式位置計測装置の一実施形態の構成を示す正面図。 同実施形態の光学式位置計測装置を示す平面図。 同実施形態の光学式位置計測装置に使用する光検出器の構成を説明する斜視図。 同実施形態の光学式位置計測装置による計測結果の一例を説明する説明図。 本発明の光学式位置計測装置の第2の実施形態の構成を示す斜視図。 第2の実施形態の光学式位置計測装置による計測結果の一例を説明する説明図。 本発明の光学式位置計測装置の第3の実施形態の構成を示す正面図。 本発明の光学式位置計測装置の第3の実施形態の構成を示す平面図。 第3の実施形態の光学式位置計測装置の変形例を示す正面図。 第3の実施形態の光学式位置計測装置の他の変形例を示す正面図。 本発明の光学式位置計測装置の第4の実施形態の基本構成を説明する平面図。 複数の位置計測器を用いた場合の混信を説明するための平面図。 第4の実施形態の光学式位置計測装置の動作を説明する説明図。 第4の実施形態の光学式位置計測装置の変形例の動作を説明する説明図。 第4の実施形態の光学式位置計測装置の他の変形例を説明する平面図。 図15の光学式位置計測装置の構成を説明する正面図。
符号の説明
10…位置計測装置
11…支持台
12…スタンド
13L,13R…光検出器
14…遮光板
15…イメージセンサ
16…赤外線光源
17…光学フィルタ
18…双曲線ミラー
19…魚眼レンズ
20…マーカー(マーク部材)
21L,21R…光検出器
22…筐体
23L,24L,25L,25R,27L,27R…モータ
24L,24R,26L,26R,28L,28R…角度検出器
29L,29R…回転台
31,32,3n、41,42…位置計測器
51…マーカーツール

Claims (16)

  1. 自発光する能動型マーカー、又は外部から照射された光を反射する受動型マーカーにて成るマーク部材の位置を計測するための光学式位置計測装置であって、
    前記マーク部材からの光を検出して撮像するイメージセンサを有する光検出器を所定間隔を置いて複数配置し、隣接する光検出器によって前記マーク部材の位置を異なる方位から撮像可能にし、
    前記各光検出器は、前記イメージセンサの受光面に対向して視野角拡大のための光学部材を配置したことを特徴とする光学式位置計測装置。
  2. 前記マーク部材は外周に再帰性塗料が塗布された反射型マーカーで構成され、前記各光検出器は、それぞれのイメージセンサの受光面を囲むように配置した赤外線光源を有し、前記赤外線光源からの赤外光を前記マーク部材に照射し、マーク部材で反射した光を前記イメージセンサで撮像することを特徴とする請求項1記載の光学式位置計測装置。
  3. 前記光学部材は、前記イメージセンサと対向して配置され、前記マーク部材からの光を反射して前記イメージセンサに導く双曲線ミラーにて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式位置計測装置。
  4. 前記光学部材は、前記イメージセンサと対向して配置され、前記マーク部材からの光を前記イメージセンサに導く魚眼レンズにて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式位置計測装置。
  5. 前記隣接する光検出器間に干渉防止用の遮光板を設けたことを特徴とする請求項1記載の光学式位置計測装置。
  6. 自発光する能動型マーカー、又は外部から照射された光を反射する受動型マーカーにて成るマーク部材の位置を計測するための光学式位置計測装置であって、
    前記マーク部材からの光を検出して撮像するイメージセンサを有する光検出器を所定間隔を置いて複数配置し、隣接する光検出器によって前記マーク部材の位置を異なる方位から撮像可能にし、
    前記各光検出器は、水平軸又は垂直軸の少なくとも一方の軸を中心に同期して回動可能とし、前記マーク部材を含む測定環境を所定の角度範囲に拡大して撮像するようにしたことを特徴とする光学式位置計測装置。
  7. 前記各光検出器は、水平軸又は垂直軸の少なくとも一方の軸を中心に所定の角度範囲内を同期して往復運動することを特徴とする請求項6記載の光学式位置計測装置。
  8. 前記各光検出器は、水平軸又は垂直軸の少なくとも一方の軸を中心に同期して連続回転することを特徴とする請求項6記載の光学式位置計測装置。
  9. 前記マーク部材は外周に再帰性塗料が塗布された反射型マーカーで構成され、前記各光検出器は、それぞれのイメージセンサの受光面を囲むように配置した赤外線光源を有し、前記赤外線光源からの赤外光を前記マーク部材に照射し、マーク部材で反射した光を前記イメージセンサで撮像することを特徴とする請求項6記載の光学式位置計測装置。
  10. 前記隣接する光検出器間に干渉防止用の遮光板を設けたことを特徴とする請求項6記載の光学式位置計測装置。
  11. 外部から照射された光を反射する受動型マーカーにて成るマーク部材の位置を複数の位置計測器を用いて計測する光学式位置計測装置であって、
    前記各位置計測器は、前記マーク部材からの光を検出して撮像するイメージセンサと該イメージセンサの受光面を囲むように配置した赤外線光源とを含む光検出器を所定間隔を置いて複数配置し、隣接する光検出器の各赤外線光源から放射される赤外光によって前記マーク部材を照射しその反射光を前記イメージセンサで撮像可能にし、
    前記各位置計測器は、前記イメージセンサで受光可能な赤外線波長帯域がそれぞれの位置計測器毎に異なるようにしたことを特徴とする光学式位置計測装置。
  12. 前記各位置計測器の前記赤外線光源から放射する赤外光の波長帯域が、位置計測器毎にそれぞれ異なることを特徴とする請求項11記載の光学式位置計測装置。
  13. 前記各光検出器の前記イメージセンサの受光面にそれぞれ光学フィルタを設け、前記光学フィルタを通過する赤外光の波長帯域が位置計測器毎にそれぞれ異なることを特徴とする請求項11記載の光学式位置計測装置。
  14. 自発光する能動型マーカー、又は外部から照射された光を反射する受動型マーカーにて成るマーク部材の位置を複数の位置計測器を用いて計測する光学式位置計測装置であって、
    前記各位置計測器は、前記マーク部材からの光を検出して撮像するイメージセンサを含む光検出器を所定間隔を置いて複数配置し、隣接する光検出器によって前記マーク部材の位置を異なる方位から撮像可能にし、
    前記各位置検出装置は、前記イメージセンサでの受光動作タイミングが位置計測器毎にそれぞれ異なるようにしたことを特徴とする光学式位置計測装置。
  15. 外部から照射された光を反射する受動型マーカーにて成るマーク部材の位置を複数の位置計測器を用いて計測する光学式位置計測装置であって、
    前記各位置計測器は、前記マーク部材からの光を検出して撮像するイメージセンサと該イメージセンサの受光面を囲むように配置した赤外線光源とを含む光検出器を所定間隔を置いて複数配置するとともに、それぞれの位置計測器毎に固有のマーカーを設けて成り、
    各位置計測器の前記赤外線光源から赤外光によって前記マーク部材及び前記固有のマーカーを照射し、その反射光を前記イメージセンサで撮像して前記マーク部材の位置を計測するとともに、前記固有のマーカー位置を計測してそれぞれの位置計測器の相互位置関係を特定可能にしたことを特徴とする光学式位置計測装置。
  16. 前記特定のマーカーは、それぞれの位置計測器の位置と方向を特定可能な複数のマーカーツールで構成したことを特徴とする請求項15記載の光学式位置計測装置。
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