以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1は、図1に示すように、冷凍庫内の冷却を行う冷凍装置(1)である。上記冷凍装置(1)は、室外ユニット(2)と冷凍ユニット(3)とブースタユニット(4)とコントローラ(100)とを備えている。
上記冷凍装置(1)においては、上記室外ユニット(2)に室外回路(20)が、上記冷凍ユニット(3)に冷凍庫内回路(30)が、上記ブースタユニット(4)にブースタ回路(40)がそれぞれ設けられている。上記冷凍装置(1)では、これらの回路(20,30,40)が配管で接続されて冷媒回路(10)が構成されている。
上記冷媒回路(10)においては、冷凍庫内回路(30)の液端側が、液側連絡配管(21)を介して室外回路(20)の液端側に接続される一方、冷凍庫内回路(30)のガス端側が第1ガス側連絡配管(27)を介してブースタ回路(40)の低圧側に接続されている。また、上記ブースタ回路(40)の高圧側は、第2ガス側連絡配管(22)を介して室外回路(20)のガス端側に接続されている。
〈室外ユニット〉
上記室外ユニット(2)の室外回路(20)には、第1高段側圧縮機(11a)と、第2高段側圧縮機(11b)と、第3高段側圧縮機(11c)と、室外熱交換器(13)と、レシーバー(14)と、室外膨張弁(45)と、冷媒熱交換器(50)と分岐膨張弁(46)とが設けられている。さらに、室外回路(20)には、四路切換弁(12)と、第1液側閉鎖弁(53)と、第1ガス側閉鎖弁(54)とが設けられている。この室外回路(20)において、第1液側閉鎖弁(53)には液側連絡配管(21)の一端が、第1ガス側閉鎖弁(54)には第2ガス側連絡配管(22)の一端がそれぞれ接続されている。
第1高段側圧縮機(11a)は、容量可変に構成された圧縮機であり、第2高段側圧縮機(11b)及び第3高段側圧縮機(11c)は、容量が固定に構成された圧縮機であり、これらの圧縮機(11a,11b,11c)が高段側圧縮機構に構成されている。上記第1高段側圧縮機(11a)の吸入側には、第1高段側吸入管(61a)が接続され、上記第2高段側圧縮機(11b)の吸入側には、第2高段側吸入管(61b)が接続され、上記第3高段側圧縮機(11c)の吸入側には、第3高段側吸入管(61c)が接続されている。上記第3高段側吸入管(61c)の他端は、四路切換弁(12)に接続されている。また、第2高段側吸入管(61b)の他端には、第1吸入接続管(63)の一端及び第2吸入接続管(62)の一端が接続されている。該第1吸入接続管(63)の他端には、第1高段側吸入管(61a)の他端が接続され、第2吸入接続管(62)の他端は、第3高段側吸入管(61c)の途中に接続されている。
上記各高段側圧縮機(11a,11b,11c)には、高段側吐出管(64)が接続されている。高段側吐出管(64)の一端は、四路切換弁(12)に接続され、他端は、第1吐出分岐管(64a)と第2吐出分岐管(64b)と第3吐出分岐管(64c)とに分岐されている。上記第1吐出分岐管(64a)が第1高段側圧縮機(11a)の吐出側に接続され、上記第2吐出分岐管(64b)が第2高段側圧縮機(11b)の吐出側に接続され、上記第3吐出分岐管(64c)が第3高段側圧縮機(11c)の吐出側に接続されている。各吐出分岐管(64a,64b,64c)には、上記各圧縮機(11a,11b,11c)から四路切換弁(12)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-1,CV-2,CV-3)が、それぞれ設けられている。
室外熱交換器(13)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、冷媒と室外空気との間で熱交換を行うものであり、凝縮器に構成されている。室外熱交換器(13)の入口側は四路切換弁(12)に接続されている。一方、室外熱交換器(13)の出口側は、第1液管(81)を介してレシーバー(14)の頂部に接続されている。この第1液管(81)には、室外熱交換器(13)からレシーバー(14)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-4)が設けられている。レシーバー(14)の底部には第2液管(82)の一端が接続されている。
冷媒熱交換器(50)は、プレート式熱交換器であって、冷媒と冷媒との間で熱交換を行うものであり、第1流路(50a)と第2流路(50b)とを備えている。上記冷媒熱交換器(50)の第1流路(50a)の入口側には、上記第2液管(82)の他端が接続され、第1流路(50a)の出口側は、第3液管(83)の一端が接続されている。第3液管(83)の他端は、第1液側閉鎖弁(53)を介して液側連絡配管(21)の一端に接続されている。上記第3液管(83)には、第1流路(50a)の他端から第2液側閉鎖弁(53)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-5)が設けられている。
上記第3液管(83)には、上記逆止弁(CV-5)の上流側に分岐液管(84)の一端が接続され、該分岐液管(84)の他端は、上記冷媒熱交換器(50)の第2流路(50b)の入口側に接続されている。また、上記分岐液管(84)には、分岐膨張弁(46)が設けられている。該分岐膨張弁(46)は、電子膨張弁であって、開度調整自在に構成されている。
冷媒熱交換器(50)の第2流路(50b)の出口側は、高段側インジェクション管(85)の一端が接続されている。該高段側インジェクション管(85)の他端は、上記第3高段側吸入管(61c)における四路切替弁(12)と第2吸入接続管(62)との間に接続されている。該高段側インジェクション管(85)は、圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側に、分岐冷媒をインジェクションするためのものである。また、上記分岐液管(84)において、分岐膨張弁(46)と冷媒熱交換器(50)の第2流路(50b)との間には、第1バイパス管(86)の一端が接続されている。また、該第1バイパス管(86)の他端は、上記高段側インジェクション管(85)の途中に接続されている。つまり、上記第1バイパス管(86)は、冷媒熱交換器(50)の第2流路(50b)をバイパスするものである。上記第1バイパス管(86)には、電磁弁(SV-4)が設けられ、該電磁弁(SV-4)を開くと、分岐冷媒が、第1バイパス管(86)を流れて液状態で圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側にインジェクションされ、上記電磁弁(SV-4)を閉じると、分岐冷媒は、冷媒熱交換器(50)の第2流路(50b)を流れ蒸発し、ガス状態で圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側にインジェクションされるように構成されている。
第3液管(83)において、逆止弁(CV-5)と第2液側閉鎖弁(53)の間には、第5液管(88)の一端が接続されている。第5液管(88)の他端は、第1液管(81)において、逆止弁(CV-4)とレシーバー(14)との間に接続されている。また、また、第5液管(88)には、その一端から他端へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-6)が設けられている。
また、上記第3液管(83)において、分岐液管(84)の上流側には、第6液管(89)の一端が接続され、該第6液管(89)の他端は、第1液管(81)における室外熱交換器(13)の出口側と逆止弁(CV-4)の間に接続されている。また、第6液管(89)には、室外膨張弁(45)が設けられている。
四路切換弁(12)は、第1ポートが高段側吐出管(64)に、第2ポートが第3高段側吸入管(61c)に、第3ポートが室外交換器(13)の入口側に、第4ポートが第1ガス側閉鎖弁(54)に、それぞれ接続されている。上記四路切替弁(12)は、第1のポートと第3のポートとが互いに連通して第2のポートと第4のポートとが互いに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートとが互いに連通して第2のポートと第3ポートとが互いに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換え可能に構成されている。
室外回路(20)には、油分離器(70)、3つの油戻し管(71,72,73)、及び連通管(77)も設けられている。
油分離器(70)は、高段側吐出管(64)に設けられ、圧縮機(11a,11b,11c)の吐出ガスから冷凍機油を分離するためのものである。油分離器(70)には、第1油戻し管(71)の一端が接続され、該第1油戻し管(71)の他端は、第1高段側吸入管(61a)の途中に接続されている。上記第1油戻し管(71)には、電磁弁(SV-1)が設けられ、該電磁弁(SV-1)を開くと、油分離器(70)で分離された冷凍機油が、第1高段側圧縮機(11a)の吸入側へ送り返されるように構成されている。また、上記第1油戻し管(71)において、電磁弁(SV-1)の上流側に第2油戻し管(72)の一端が接続され、該第2油戻し管(72)の他端は、第2高段側吸入管(61b)の途中に接続されている。上記第2油戻し管(72)には、電磁弁(SV-2)が設けられ、該電磁弁(SV-2)を開くと、油分離器(70)で分離された冷凍機油が、第2高段側圧縮機(11b)の吸入側へ送り返されるように構成されている。さらに、上記第1油戻し管(71)において、油分離器(70)と第2油戻し管(72)との間には、第3油戻し管(73)の一端が接続され、該第3油戻し管(73)の他端は、第3高段側吸入管(61c)の途中に接続されている。上記第3油戻し管(73)には、電磁弁(SV-3)が設けられ、該電磁弁(SV-3)を開くと、油分離器(70)で分離された冷凍機油が、第3高段側圧縮機(11c)の吸入側へ送り返されるように構成されている。
上記連通管(77)は、一端が上記レシーバー(14)の頂部に接続され、他端が第1吐出分岐管(64a)における逆止弁(CV-1)と高段側吐出管(64)との間に接続されている。連通管(77)には、レシーバー(14)から第1吐出分岐管(64a)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-7)が設けられている。
上記室外回路(20)には、各種のセンサや圧力スイッチ(95)が設けられている。具体的に、高段側圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側に圧力センサ(25)及び温度センサ(24)が設けられ、高段側圧縮機(11a,11b,11c)の吐出側に、圧力センサ(23)、温度センサ(19a,19b,19c)、及び圧力スイッチ(95)が設けられている。冷媒熱交換器(50)の第1流路(50a)の出口側には、温度センサ(51)が設けられている。
また、上記室外ユニット(2)には、外気温センサ(13a)と室外ファン(13f)とが設けられている。室外熱交換器(13)へは、この室外ファン(13f)によって室外空気が送られる。
〈冷凍ユニット〉
上記冷凍ユニット(3)の冷凍庫内回路(30)においては、冷凍熱交換器(16)と、冷凍膨張弁(15)と、ドレンパンヒータ(26)と、第2液側閉鎖弁(56)とが設けられている。
上記冷凍熱交換器(16)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、冷媒と冷凍庫内の空気との間で熱交換を行うものであり、蒸発器に構成されている。上記冷凍熱交換器(16)の入口側は、配管を介して冷凍膨張弁(15)に接続される一方、出口側は、第1ガス側連絡配管(27)の一端に接続されている。
上記冷凍膨張弁(15)は、電子膨張弁であり、膨張機構に構成されている。上記冷凍熱交換器(16)には、第1冷媒温度センサ(17)が設けられ、出口側には、第2冷媒温度センサ(18)が設けられている。上記第1冷媒温度センサ(17)は、冷凍熱交換器(16)における冷媒の蒸発温度を測定するものである。上記冷凍膨張弁(15)は、第2冷媒温度センサ(18)の測定温度が、第1冷媒温度センサ(17)で測定される蒸発温度の測定温度よりも所定温度(例えば5℃)高くなるように開度調整がなされるように構成されている。
上記ドレンパンヒータ(26)は、冷凍熱交換器(16)のドレンを受けるドレンパンに配置され、該ドレンパンを加温することにより、着霜や氷の生成を防止するものである。上記ドレンパンヒータ(26)の入口側は、第2液側閉鎖弁(56)を介して上記液側連絡配管(21)の他端に接続され、出口側は、上記冷凍膨張弁(15)の入口側に接続されている。
なお、上記冷凍ユニット(3)には、冷凍庫内温度センサ(16a)と、冷凍庫内ファン(16f)とが設けられている。上記冷凍熱交換器(16)へは、この冷凍庫内ファン(16f)によって、冷凍庫内の空気が送られる。
〈ブースタユニット〉
上記ブースタユニット(4)のブースタ回路(40)には、第1ブースタ圧縮機(101a)と、第2ブースタ圧縮機(101b)と、第3ブースタ圧縮機(101c)と、本発明の特徴である液インジェクション通路(90)と減圧弁(91)とが設けられている。さらに、ブースタ回路(40)には、第2ガス側閉鎖弁(57)設けられている。
第1ブースタ圧縮機(101a)は、容量可変に構成された圧縮機であり、第2ブースタ圧縮機(101b)及び第3ブースタ圧縮機(101c)は、容量が固定に構成された圧縮機であり、これらの圧縮機(101a,101b,101c)が低段側圧縮機構に構成されている。上記第1ブースタ圧縮機(101a)の吸入側には、上記第1ブースタ吸入管(31)の一端が接続され、該ブースタ吸入管(31)の他端は、第1ガス側連絡配管(27)の他端に接続されている。上記第2ブースタ圧縮機(101b)の吸入側には、第2ブースタ吸入管(32)の一端が接続され、該第2ブースタ吸入管(32)の他端は、上記第1ブースタ吸入管(31)の途中に接続さている。上記第3ブースタ圧縮機(101c)の吸入側には、第3ブースタ吸入管(33)の一端が接続され、該第3ブースタ吸入管(33)の他端は、上記第2ブースタ吸入管(32)の途中に接続されている。
上記各ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)には、ブースタ吐出管(37)が接続されている。該ブースタ吐出管(37)は、各ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吐出管に構成され、一端が、第2ガス側閉鎖弁(57)を介して上記第2ガス側連絡配管(22)の他端に接続され、他端が、第1吐出分岐管(37a)と第2吐出分岐管(37b)と第3吐出分岐管(37c)とに分岐されている。上記第1吐出分岐管(37a)が第1ブースタ圧縮機(101a)の吐出側に接続され、上記第2吐出分岐管(37b)が第2ブースタ圧縮機(101b)の吐出側に接続され、上記第3吐出分岐管(37c)が第3ブースタ圧縮機(101c)の吐出側に接続されている。各吐出分岐管(37a,37b,37c)には、上記各ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)から第2ガス側閉鎖弁(57)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-5,CV-6,CV-7)が、それぞれ設けられている。
ブースタ回路(40)には、油分離器(36)、3つの油戻し管(41,42,43)、及び油吐出管(38)が設けられている。
上記油分離器(36)は、ブースタ吐出管(37)に設けられ、上記各ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吐出ガスから冷凍機油を分離するためのものである。油分離器(36)には、第1油戻し管(41)の一端が接続され、該第1油戻し管(41)の他端は、第1ブースタ吸入管(31)における第2ブースタ吸入管(32)と第1ブースタ圧縮機(101a)の間に接続されている。上記第1油戻し管(41)には、電磁弁(SV-5)が設けられ、該電磁弁(SV-5)を開くと、油分離器(36)で分離された冷凍機油が、第1ブースタ圧縮機(101a)の吸入側へ送り返されるように構成されている。また、上記第1油戻し管(41)において、電磁弁(SV-5)の上流側には、第2油戻し管(42)の一端が接続され、該第2油戻し管(42)の他端は、第2ブースタ吸入管(32)における第3ブースタ吸入管(33)の下流側に接続されている。上記第2油戻し管(42)には、電磁弁(SV-6)が設けられ、該電磁弁(SV-6)を開くと、油分離器(36)で分離された冷凍機油が、第2ブースタ圧縮機(101b)の吸入側へ送り返されるように構成されている。また、上記第2油戻し管(42)において、第1油戻し管(41)と電磁弁(SV-6)との間には、第2油戻し管(72)との間には、第3油戻し管(43)の一端が接続され、該第3油戻し管(43)の他端は、第3ブースタ吸入管(33)の途中に接続されている。上記第3油戻し管(43)には、電磁弁(SV-7)が設けられ、該電磁弁(SV-3)を開くと、油分離器(36)で分離された冷凍機油が、第3ブースタ圧縮機(101c)の吸入側へ送り返されるように構成されている。
上記第1ブースタ圧縮機(101a)のケーシングにおける底部の所定高さには、油吐出管(38)の一端が接続され、該油吐出管(38)の他端は、吐出管(38)における油分離器(36)と第2ガス側閉鎖弁(57)との間に接続されている。上記油吐出管(38)には、電磁弁(SV-9)が設けられている。後述する冷凍装置(1)の冷却運転中には、電磁弁(SV-9)が開状態とされ、第1ブースタ圧縮機(101a)に冷凍機油が所定量以上溜まると、該冷凍機油が油吐出管(38)を流れて冷凍機油をブースタ吐出管(37)に供給するように構成されている。つまり、上記油吐出管(38)は、第1ブースタ圧縮機(101a)に溜まり込んだ冷凍機油を各高段側圧縮機(11a,11b,11c)に戻すためのものである。
また、第1ブースタ吸入管(31)における第1油戻し管(41)の上流側に、第2バイパス管(58)の一端と第3バイパス管(59)の一端とが接続されている。第2バイパス管(58)の他端は、ブースタ吐出管(37)における油分離器(36)と油吐出管(38)との間に接続されている。第2バイパス管(58)には、第1ブースタ吸入管(31)からブースタ吐出管(37)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-11)が設けられている。該第2バイパス管(58)は、冷凍装置(1)の冷却運転中に、ブースタ回路(40)が室外回路(20)より高圧となる逆差圧状態になって、第1ブースタ圧縮機(101a)の運転が停止する際に、冷媒を第1ブースタ吸入管(31)からブースタ吐出管(37)へと逃がすためのものである。
第3バイパス管(59)は、他端が第2バイパス管(58)における逆止弁(SV-11)とブースタ吐出管(37)との間に接続され、電磁弁(SV-8)を備えている。第3バイパス管(59)は、該冷凍装置(1)の除霜運転時に冷媒が流れるものである。具体的に、除霜運転時において、上記室外回路(20)の四路切替弁(12)が第2状態に設定され、電磁弁(SV-8)が開状態に設定され、各高段側圧縮機(11a,11b,11c)から吐出された冷媒を第3バイパス管(59)を介して冷凍熱交換器(16)の出口側から供給される。
次に、本発明の特徴である液インジェクション通路(90)と減圧弁(91)とについて説明する。液側連絡配管(21)において、第1液側閉鎖弁(53)と第2液側閉鎖弁(56)との間には、液インジェクション通路(90)の一端が接続されている。該液インジェクション通路(90)の他端は、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)のブースタ吐出管(37)における油分離器(36)と油吐出管(38)との間に接続されている。上記液インジェクション通路(90)には、減圧弁(91)が設けられ、該減圧弁(91)は、開度調整可能に構成されている。このようにして、上記液インジェクション通路(90)は、該液側連絡配管(21)を流れる液冷媒より分岐した分岐液冷媒を減圧して上記ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吐出ガス冷媒に供給するように構成されている。
上記ブースタ回路(40)には、各種のセンサや圧力スイッチ(103)が設けられている。具体的に、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吸入側に圧力センサ(107)及び温度センサ(108)が設けられている。吸入側の圧力センサ(107)は、第1ブースタ吸入管(31)と配管を介して接続されている。これは、冷凍熱交換器(16)から第1ブースタ吸入管(31)に流入する冷媒が低温であることにより、圧力センサ(107)が破損することを防止するためである。また、各ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吐出側には、温度センサ(109a,109b,109c)、及び圧力スイッチ(103)が設けられている。また、各ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)から吐出ガス冷媒が合流する吐出管(36)には、各吐出分岐管(37a,37b,37c)が合流する位置に圧力センサ(102)が設けられ、該ブースタ吐出管(37)における油分離器(36)と油吐出管(38)との間には、吐出温度センサ(39)とが設けられている。
〈コントローラ〉
上記コントローラ(100)は、上記冷媒回路(10)に設けられた各種の弁の切換や開度調整等を行って、冷凍装置(1)の運転動作の制御を行うものである。また、上記コントローラ(100)は、減圧弁制御部(110)を備えている。該減圧弁制御部(110)は、上記ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吐出ガス冷媒の過熱度に基づいて、上記減圧弁(91)の開度を制御する制御手段に構成されている。
−運転動作−
次に、上記冷凍装置(1)の運転動作について説明する。なお、上記冷凍装置(1)は、冷却運転動作と除霜運転動作とを行うように構成されているが、ここでは、冷却運転動作の説明のみを行う。
〈冷却運転〉
冷却運転においては、図2に示すように、コントローラ(100)の制御により、室外回路(20)の四路切換弁(12)が第1状態に設定され、室外膨張弁(45)が全閉される。そして、この状態において、各高段側圧縮機(11a,11b,11c)及び各ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)が運転され、冷凍膨張弁(15)及び分岐膨張弁(46)が適宜調節され、冷媒が図2の太線の実線矢印の方向に循環する。また、電磁弁(SV-1,SV-2,SV-3,SV-4,SV-5,SV-6,SV-7)は適宜開閉され、電磁弁(SV-9)は開状態に設定され、電磁弁(SV-8)は閉状態に設定される。この冷却運転においては、冷凍室内の設定温度を、例えば、−20℃とする運転が行われる。
上記各高段側圧縮機(11a,11b,11c)から吐出された冷媒は、各吐出分岐管(64a,64b,64c)を流れて高段側吐出管(64)で合流する。そして、冷媒が高段側吐出管(64)の油分離器(70)を通過する際に、一部の冷凍機油は、冷媒から分離されて油戻し管(71,72,73)により各高段側圧縮機(11a,11b,11c)に戻されるが、残りの冷凍機油は冷媒と共に油分離器(64)を通過する。冷凍機油を含む冷媒は、高段側吐出管(64)から四路切替弁(12)を通って室外熱交換器(13)へ送られる。室外熱交換器(13)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(13)で凝縮した冷媒は、第1液管(81)を介してレシーバー(14)を流れ、第2液管(82)介して冷媒熱交換器(50)の第1流路(50a)に流入する。第1流路(50a)を流れた液冷媒は、第3液管(83)を流れ、その一部が、分岐冷媒として、図2の細線の実線矢印に示すように、分岐液管(84)を流れる。該分岐液管(84)を流れる液冷媒は、分岐膨張弁(46)を通って上記冷媒熱交換器(50)の第2流路(50b)に流入し、第1流路(50a)を流れる液冷媒と熱交換して蒸発する一方、第1流路(50a)を流れる液冷媒は、例えば、5℃に冷却される。第1流路(50a)を流れる液冷媒の温度調節は、コントローラ(100)により、冷凍庫内の設定温度と冷媒熱交換器(50)の出口側の温度センサ(51)の測定値に基づいて、分岐膨張弁(46)の開度を制御することにより行われる。
5℃の液冷媒は、第3液管(83)から第1液側閉鎖弁(53)を介して液側連絡配管(21)を流れ、冷凍庫内回路(30)に流入する。
冷凍庫内回路(30)では、5℃の液冷媒がドレンパンヒータ(26)を流れてドレンパンを加温し、ドレンパンの着霜を防止する。該ドレンパンヒータ(26)から流出した液冷媒は、各冷凍膨張弁(15)を通過する際に減圧されて冷凍熱交換器(16)へ導入される。該冷凍熱交換器(16)では、冷媒が冷凍庫内の空気から吸熱して、例えば、−30℃の蒸発温度で蒸発する。冷凍ユニット(3)においては、冷凍熱交換器(16)で冷却された空気が冷凍庫内へ供給され、冷凍庫内の温度が設定温度の−20℃に維持される。
上記冷凍熱交換器(16)を流れた冷媒は、第1ガス側連絡配管(27)を通って、ブースタ回路(40)に導入され、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の第1ブースタ吸入管(31)を流れる。第1ブースタ吸入管(31)を流れた冷媒の一部は、第1ブースタ圧縮機(101a)に吸入され、残りの冷媒は、第2ブースタ吸入管(32)を流れる。第2ブースタ吸入管(32)に流れた冷媒は、その一部が、第2ブースタ圧縮機(101b)に吸入され、残りの冷媒は、第3ブースタ吸入管(33)を流れて第3ブースタ圧縮機(101c)に吸入される。
上記各ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)に吸入された冷媒は、各ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)で圧縮されて吐出された吐出ガス冷媒となり、各吐出分岐管(37a、37b、37c)を流れてブースタ吐出管(37)で合流する。該ブースタ吐出管(37)では、油分離器(36)において、冷凍機油の一部が吐出ガス冷媒から分離され、該冷凍機油は、各油戻し管(41,42,43)から各ブースタ吸入管(31,32,33)を介して各ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)に戻される。一方、残りの冷凍機油は、吐出ガス冷媒と共に、ブースタ吐出管(37)の油分離器(36)の下流側に流れる。また、第1ブースタ圧縮機(101a)内の冷凍機油が、油吐出管(38)を介してブースタ吐出管(37)に供給される。
ここで、上記ブースタ吐出管(37)を流れる吐出冷媒は、ガス状態であるために、冷凍機油が混合させにくい。
そこで、液インジェクション通路(90)により、液側連絡配管(21)を流れる液冷媒より分岐した分岐液冷媒を、ブースタ吐出管(37)の油分離器(36)の下流側の吐出ガス冷媒に供給して、ブースタ吐出管(37)を流れる冷媒を湿り状態とする。これにより、冷凍機油が、湿り状態の冷媒に確実に混合される。この際、コントローラ(100)の減圧弁制御部(110)は、ブースタ吐出管(37)を流れる吐出ガス冷媒の過熱度に基づいて、インジェクション通路(90)の減圧弁(91)を制御する。具体的に、減圧弁制御部(110)は、ブースタ吐出管(37)の油分離器(36)の下流側の温度センサ(39)の測定値と、上記高段側圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側の圧力センサ(25)の測定値とから、上記ブースタ吐出管(37)を流れる吐出ガス冷媒の過熱度を導出し、この導出された過熱度が高い時は、減圧弁(91)の開度を大きくし、該吐出ガス冷媒の過熱度が低い時は、減圧弁(91)の開度を小さくして、ブースタ吐出管(37)を流れる冷媒を確実に湿り状態とする。なお、吐出ガス冷媒の過熱度を導出する際に、高段側圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側の圧力センサ(25)の測定値に代わって、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吐出側の圧力センサ(102)の測定値を用いてもよい。
冷凍機油を含む湿り状態の冷媒は、ブースタ吐出管(37)から第2ガス側連絡配管(22)へ流れて室外回路(20)に導入される。湿り状態の冷媒は第2ガス側連絡配管(22)から四路切替弁(12)を介して第3高段側吸入管(61c)へと流れ、その一部が第3高段側圧縮機(11c)に流れ、残りの冷媒は、第2吸入接続管(62)を流れる。第2吸入接続間(62)に流れた冷媒は、さらに第1吸入接続管(63)と第2高段側吸入管(61b)とに分流し、第2高段側吸入管(61b)に流れた冷媒は、第2高段側圧縮機(11b)に吸入され、第1吸入接続管(63)を流れた冷媒は、第1高段側吸入管(61a)を流れて第1高段側圧縮機(11a)に吸入される。
−実施形態1の効果−
上記冷凍装置(1)は、液インジェクション通路(90)により、上記ブースタ吐出管(37)における油分離器(36)の下流側を流れる吐出ガス冷媒に、液側連絡配管(21)を流れる液冷媒より分岐した分岐液冷媒を供給するようにしたために、該ブースタ吐出管(37)を流れる冷媒を湿り状態とすることができる。これにより、該湿り状態の冷媒に、冷凍機油が確実に混合させることができるので、高段側圧縮機(11a,11b,11c)に冷凍機油を確実に供給することができる。この結果、高段側圧縮機(11a,11b,11c)の冷凍機油の不足を防止することができることから、高段側圧縮機(11a,11b,11c)の機器としての信頼性が向上する。
また、減圧弁制御部(110)により、ブースタ吐出管(37)を流れるブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吐出ガス冷媒の過熱度に基づいて減圧弁(91)を制御するようにしたために、該吐出ガス冷媒の過熱度が高い時は、減圧弁(91)の開度を大きくし、該吐出ガス冷媒の過熱度が低い時は、減圧弁(91)の開度を小さくし、ブースタ吐出管(37)を流れる冷媒を確実に湿り状態として、冷凍機油を湿り状態の冷媒に確実に混合させることができる。
−実施形態1の変形例1−
本実施形態は、上記実施形態1の減圧弁制御部(110)が、上記ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吐出ガス冷媒の過熱度に基づいて、減圧弁(91)の開度を制御したことに代わり、減圧弁制御部(110)が、高段側圧縮機(11a,11b,11c)の吸入ガス冷媒の過熱度に基づいて、減圧弁(91)の開度を制御するようにしたものである。
具体的に、本実施形態の減圧弁制御部(110)は、高段側圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側に圧力センサ(25)と温度センサ(24)との測定値に基づいて、高段側圧縮機(11a,11b,11c)の吸入ガス冷媒の過熱度を導出し、該過熱度が高い場合には、減圧弁(91)の開度を大きくし、過熱度が低い場合には、減圧弁(91)の開度を小さくするように制御して、高段側圧縮機(11a,11b,11c)に液冷媒が吸入されないようにする。
本実施形態では、減圧弁制御部(110)が、高段側圧縮機(11a,11b,11c)の吸入ガス冷媒の過熱度に基づいて、減圧弁(91)を制御するようにしたために、高段側圧縮機(11a,11b,11c)に液冷媒が吸入されて高段側圧縮機(11a,11b,11c)が故障することを防止することができる。
その他の構成、作用及び動作は、実施形態1と同じである。
−実施形態1の変形例2−
本実施形態は、上記実施形態1が、液インジェクション通路(90)の他端を、ブースタ吐出管(37)における油分離器(36)の下流側に接続したことに代わり、図3に示すように、液インジェクション通路(90)の他端を油分離器(36)に接続したものである。
本実施形態では、冷却運転中において、減圧弁制御部(110)の制御により、減圧弁(91)の開度制御が行われ、液インジェクション通路(90)から油分離器(36)内に液冷媒が供給される。これにより、油分離器(36)内の吐出ガス冷媒に液冷媒を供給して湿り状態にすることができるので、油分離器(36)内に滞留している冷凍機油を、ブースタ吐出管(37)における油分離器(36)の吐出側と、第1油戻し管(41)とに確実に排出することができる。
また、第1油戻し管(41)には、湿り状態の冷媒が含まれるので、各油戻し管(41,42,43)から各ブースタ吸入管(31,32,33)を介してブースタ圧縮機(101a,101b,101c)に湿り状態の冷媒をインジェクションすることができることから、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の過熱防止をも図ることができる。これにより、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の機器としての信頼性も向上する。
なお、減圧弁制御部(110)による減圧弁(91)の制御は、実施形態1と同様に、上記ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吐出ガス冷媒の過熱度に基づいて行うようにしてもよいし、実施形態1の変形例1と同様に、高段側圧縮機(11a,11b,11c)の吸入ガス冷媒の過熱度に基づいて行うようにしてもよい。
その他の構成、作用及び動作は、実施形態1と同じである。
−実施形態1の変形例3−
本実施形態は、上記実施形態1が、液インジェクション通路(90)の他端をブースタ吐出管(37)における油分離器(36)の下流側に接続したことに代わり、図4に示すように、液インジェクション通路(90)の他端をブースタ吐出管(37)における油分離器(36)の上流側に接続したものである。
具体的に、本実施形態では、インジェクション通路(90)の他端が、ブースタ吐出管(37)における圧力センサ(102)と油分離器(36)との間に接続されている。
本実施形態では、冷却運転中において、減圧弁制御部(110)の制御により、減圧弁(91)の開度制御が行われ、液インジェクション通路(90)からブースタ吐出管(37)における圧力センサ(102)と油分離器(36)との間に液冷媒が供給される。これにより、ブースタ吐出管(37)の油分離器(36)の上流側の吐出ガス冷媒に液冷媒を供給して湿り状態にすることができるので、油分離器(36)に湿り状態の冷媒が供給することができることから、冷凍機油を、油分離器(36)からブースタ吐出管(37)における油分離器(36)の吐出側と第1油戻し管(41)とに確実に排出することができる。
また、第1油戻し管(41)には、湿り状態の冷媒が含まれるので、各油戻し管(41,42,43)から各ブースタ吸入管(31,32,33)を介してブースタ圧縮機(101a,101b,101c)に湿り状態の冷媒をインジェクションすることができることから、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の過熱防止をも図ることができる。これにより、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の機器としての信頼性も向上する。
このように、本実施形態では、上記実施形態1の変形例2と同様な効果が得られると共に、油分離器(36)にインジェクション通路(90)を接続していないために、油分離器(36)の構成の簡素化を図ることができる。
なお、減圧弁制御部(110)による減圧弁(91)の制御は、実施形態1と同様に、上記ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吐出ガス冷媒の過熱度に基づいて行うようにしてもよいし、実施形態1の変形例1と同様に、高段側圧縮機(11a,11b,11c)の吸入ガス冷媒の過熱度に基づいて行うようにしてもよい。
その他の構成、作用及び動作は、実施形態1と同じである。
《発明の実施形態2》
本実施形態は、図5に示すように、実施形態1の構成に加えて、液側連絡配管(21)を流れる液冷媒をインジェクション通路(90)の分岐液冷媒により過冷却する過冷却熱交換器(97)を設けたものである。
具体的に、図5に示すように、ブースタユニット(4)のブースタ回路(40)には、過冷却熱交換器(97)が設けられている。該過冷却熱交換器(97)は、プレート熱交換器であって、冷媒と冷媒との間で熱交換を行うものであり、第1流路(97a)と第2流路(97b)とを備えている。上記第1流路(97a)は、液側連絡配管(21)の途中に設けられ、液側連絡配管(21)の液冷媒が、第1流路(97a)を流れるように構成されている。上記第2流路(97b)は、液インジェクション通路(90)の途中に設けられ、液インジェクション通路(90)の分岐液冷媒が、第2流路(97b)を流れるように構成されている。また、第1流路(97a)の出口側には、温度センサ(98)が設けられている。
上記実施形態1の冷却運転では、室外ユニット(2)の冷媒熱交換器(50)において、第1流路(50a)を流れる液冷媒が、5℃に冷却されたが、本実施形態の冷却運転では、冷媒熱交換器(50)において、液冷媒は10〜15℃に冷却される。10〜15℃に冷却された液冷媒は、上記液側連絡配管(21)を流れて、過冷却熱交換器(97)の第1流路(97a)を流れ、その一部が分岐液冷媒となり、液インジェクション通路(90)を通って第2流路(97b)を流れる。この際、第1流路(97a)に流れる液冷媒と第2流路(97b)に流れた分岐液冷媒とが熱交換を行い、第1流路(97a)を流れる液冷媒は、0〜5℃に過冷却される。過冷却された液冷媒は、液側連絡配管(21)を流れてドレンパンヒータ(26)に供給され、ドレンパンを加温する。一方、分岐液冷媒は、第2流路(97b)を流れて、第1流路(97a)を流れる液冷媒から吸熱した後に、液インジェクション通路(90)からブースタ吐出管(37)に供給される。
なお、冷媒熱交換器(50)における第1流路(50a)を流れる液冷媒の温度は、特に限定されず、過冷却熱交換器(97)の第1流路(97a)を流れた液冷媒が0〜5℃であればよい。本実施形態では、冷媒熱交換器(50)における第1流路(50a)を流れる液冷媒は、液側連絡配管(21)を流れる液冷媒の圧力損失を低減させるために低温であることが好ましいが、液側連絡配管(21)を流れる際に、外気温等の影響を受けて温度上昇する可能性があるので、冷凍熱交換器(16)により近い位置で冷却することが好ましいことから、このように段階的に冷却を行っている。また、冷媒回路(10)にドレンパンヒータ(50)を設けていない場合は、過冷却熱交換器(97)の第1流路(97a)を流れた液冷媒が0℃以下であってもよい。
ここで、本実施形態においては、減圧弁制御部(110)が、減圧弁(91)を、過冷却熱交換器(97)の第1流路(97a)の出口の温度センサ(98)に基づいて、第1流路(97a)を流れる液冷媒を0〜5℃とする開度制御を行う一方、この液冷媒の温度に基づいた開度制御が所定時間経過する毎に、間欠的に、ブースタ吐出管(37)を流れる吐出ガス冷媒の過熱度に基づいて、ブースタ吐出管(37)を流れる冷媒を湿り状態とさせる開度制御を行う。つまり、ブースタ吐出管(37)を流れる冷媒を湿り状態とさせる開度制御では、第2流路(97b)を流れる液冷媒が、第1流路(97a)を流れる液冷媒から吸熱しても蒸発することはなく、液状態又は湿り状態に維持される制御が行われる。これにより、所定時間、ドレンパンヒータ(26)を流れる液冷媒が0〜5℃に保たれる一方、所定時間毎に、ブースタ吐出管(37)の冷媒を湿り状態とすることができるので、ドレンパンヒータ(26)の加温及び冷凍熱交換器(16)に供給される液冷媒の過冷却と、高段側圧縮機(11a,11b,11c)への冷凍機油の供給とを行うことができる。
なお、減圧弁制御部(110)によるブースタ吐出管(37)の冷媒を湿り状態とするための減圧弁(91)の開度制御は、高段側圧縮機(11a,11b,11c)の吸入ガス冷媒の過熱度に基づいて行われるようにしてもよい。
本実施形態では、上記インジェクション通路(90)を流れる分岐液冷媒の熱を利用して、液側連絡配管(21)を流れる液冷媒の過冷却を行うことにより、冷凍装置(1)の冷凍能力の向上を図ることができる。
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じである。
−実施形態2の変形例1−
本実施形態は、上記実施形態2が、液インジェクション通路(90)の他端を、ブースタ吐出管(37)における油分離器(36)の下流側に接続したことに代わり、図6に示すように、液インジェクション通路(90)の他端を油分離器(36)に接続したものである。
本実施形態では、冷却運転中において、上記実施形態2と同様の減圧弁制御部(110)の減圧弁(91)の開度制御が行われる。つまり、液側連絡配管(21)を流れた液冷媒より分岐した分岐液冷媒が、液インジェクション通路(90)を流れて、液側連絡配管(21)の液冷媒の過冷却に用いられた後に油分離器(36)内に供給される。そして、この分岐液冷媒は、間欠的に液状態又は湿り状態に維持されて、油分離器(36)内の吐出ガス冷媒に供給され、油分離器(36)内の冷媒を湿り状態とする。これにより、油分離器(36)内に滞留している冷凍機油を、ブースタ吐出管(37)における油分離器(36)の吐出側と、第1油戻し管(41)とに確実に排出することができる。
また、第1油戻し管(41)には、湿り状態の冷媒が含まれるので、各油戻し管(41,42,43)から各ブースタ吸入管(31,32,33)を介してブースタ圧縮機(101a,101b,101c)に湿り状態の冷媒をインジェクションすることができることから、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の過熱防止をも図ることができる。これにより、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の機器としての信頼性も向上する。
また、上記インジェクション通路(90)を流れる分岐液冷媒の熱を利用して、液側連絡配管(21)を流れる液冷媒の過冷却を行うことにより、冷凍装置(1)の冷凍能力の向上を図ることができる。
その他の構成、作用及び動作は、実施形態2と同じである。
−実施形態2の変形例2−
本実施形態は、上記実施形態2が、液インジェクション通路(90)の他端をブースタ吐出管(37)における油分離器(36)の下流側に接続したことに代わり、図7に示すように、液インジェクション通路(90)の他端をブースタ吐出管(37)における油分離器(36)の上流側に接続したものである。
本実施形態では、冷却運転中において、上記実施形態2と同様の減圧弁制御部(110)の減圧弁(91)の開度制御が行われる。つまり、液側連絡配管(21)を流れた液冷媒より分岐した分岐液冷媒が、液インジェクション通路(90)を流れて、液側連絡配管(21)の液冷媒の過冷却に用いられた後に、ブースタ吐出管(37)における圧力センサ(102)と油分離器(36)との間に液冷媒が供給される。そして、この分岐液冷媒は、間欠的に液状態又は湿り状態に維持されて、ブースタ吐出管(37)の油分離器(36)の上流側の吐出ガス冷媒に液冷媒を供給して湿り状態とする。これにより、油分離器(36)に湿り状態の冷媒が供給することができることから、冷凍機油を、油分離器(36)からブースタ吐出管(37)における油分離器(36)の吐出側と第1油戻し管(41)とに確実に排出することができる。
また、第1油戻し管(41)には、湿り状態の冷媒が含まれるので、各油戻し管(41,42,43)から各ブースタ吸入管(31,32,33)を介してブースタ圧縮機(101a,101b,101c)に湿り状態の冷媒をインジェクションすることができることから、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の過熱防止をも図ることができる。これにより、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の機器としての信頼性も向上する。
このように、本実施形態では、上記実施形態1の変形例3と同様な効果が得られると共に、油分離器(36)にインジェクション通路(90)を接続していないために、油分離器(36)の構成の簡素化を図ることができる。
また、上記インジェクション通路(90)を流れる分岐液冷媒の熱を利用して、液側連絡配管(21)を流れる液冷媒の過冷却を行うことにより、分岐液冷媒の熱を利用して、冷凍装置(1)の冷凍能力の向上を図ることができる。
その他の構成、作用及び動作は、実施形態1と同じである。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態1では、冷媒回路(10)において、高段側圧縮機構が3台の圧縮機(11a,11b,11c)で構成され、低段側圧縮機構が3台の圧縮機(101a,101b,101c)で構成されていたが、冷媒回路(10)の構成は特に限定されない。例えば、高段側又は低段側の圧縮機構が1台の圧縮機から構成されていてもよく、低段側圧縮機構、高段側圧縮機構、凝縮器、膨張機構、蒸発器が順に接続され、冷媒の2段圧縮を行う冷媒回路に構成されていればよい。また、冷凍装置(1)のユニット(2,3,4)の構成も特に限定されず、例えば、ブースタユニット(4)と冷凍ユニット(3)とが一体のユニットであってもよい。
また、上記実施形態1では、冷媒回路(10)に油吐出管(38)を設け、第1ブースタ圧縮機(101a)の冷凍機油をブースタ吐出管(37)に供給して、より確実に冷凍機油を高段側圧縮機(11a,11b,11c)に戻すようにしたが、油吐出管(38)を設けなくてもよい。該油吐出管(38)を設けない場合であっても、ブースタ吐出管(37)の吐出ガス冷媒に分岐液冷媒をインジェクションして湿り状態とすることにより、冷凍機油を高段側圧縮機(11a,11b,11c)に戻すことができる。
また、高段側圧縮機(11a,11b,11c)へ冷凍機油を確実に戻すためには、液インジェクション通路(90)の他端を、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)に近い位置に接続することがより効果的であり、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吐出側から高段側圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側までの配管長さを100%とすると、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吐出側から30%以内の配管長さの位置に接続することが好ましく、さらに、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吐出側から10%以内の配管長さの位置に接続することがより好ましい。そして、上記実施形態1では、液インジェクション(90)の他端を接続するブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吐出管を、ブースタ吐出管(37)としたが、ブースタ圧縮機(101a,101b,101c)の吐出側から30%以内の配管長さの位置にある配管であればよく、例えば、液インジェクション通路(90)の他端を、ガス側連絡配管(22)に接続してもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。