JP2007121287A - 脂質膜を被覆する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】膜タンパク質の自動化された、効果的で、信頼できる高スループット・スクリーニングツールを提供する。
【解決手段】タンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及び/又はペプチドを含む層によって少なくとも部分的に覆われた担体を用意する工程と、前記担体を、少なくとも1種類の短鎖リン脂質及び少なくとも1種類の長鎖リン脂質及び/又は少なくとも1種類の界面活性剤を含むバイセルを含む溶液と接触させて、一緒にインキュベートし、それによって、担持された脂質膜を得る工程と、任意に、該担体上に形成された該脂質膜を該担体から取り出す工程とを含む、担持された脂質膜の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、担持された脂質膜の製造方法に関する。
膜タンパク質は、バイオメディカル研究の重要なターゲットとされている。膜タンパク質によって媒介される数多くの細胞プロセスを理解するために、膜タンパク質の構造、機能及び種々の疾患への関与についての情報は必須である。コンビナトリアル遺伝学及び化学によって、被験体となるべき多数の薬剤学的分子及び遺伝子工学タンパク質が提供されている。したがって、自動化された、効果的で、信頼できる高スループット・スクリーニングツールが、薬物の開発研究や安全性スクリーニング及び品質保証のためばかりでなく基礎的研究(プロテオミクス)においても必要とされ、特に、単一イオンチャンネル及び受容体活性に関するものが非常に必要とされている。
脂質膜に固定されているかあるいは膜を通ってまたがる膜関連タンパク質の機能を再現可能な条件下で研究するためには、天然の生物学的膜をシミュレートする脂質二層を提供しなければならない。パッチ−クランプ及び自立型脂質膜の技術が安定性に問題を惹起することから、異なるタイプの安定化又は支持若しくは担持された脂質膜とそのような膜を得る方法が開発された(Sackmann, 1996; Cornell et al., 1997; Schiller et al., 2003)。脂質膜を製造するための当該技術分野で最も広く普及した方法の1つは、Langmuir Blodgett(LB)法である(例えば、Zasadzinski JA,et al., Science(1994)263:1726-1733参照のこと)。この方法では、Langmuir Blodgettフィルム(主として、脂質単層)を、水面上で両親媒性分子を機械的に組み立てて配列したものとして得ることができる。分子がひと度圧縮されて所望の構成になった後、Langmuir Blodgett装置の浸漬穴中に予め入れておいた固体担体をその穴から取り出すことによって、フィルムを固体担体(複数の開口を含むこともできる)の上に移すことができる。浸漬方法次第で、異なる物理的性質を有する固体で担持された脂質膜(solid supported lipid films: 固体担持脂質膜)を得ることができる。固体担持脂質膜を製造するための別のアプローチは、リポソームの使用である。一般に知られた方法によって得られるリポソームを、固体担体の表面に融合することができる(Keller et al.,1998)。リポソームによる固体担体上の平面的な脂質膜の形成は2工程の方法である。まず、リポソームを担体上に吸着させなければならず、第2工程では、リポソームの融解によって、二層形成が生じなければならない。しかし、上記方法では、吸着されたリポソームがそのままの状態で留まって担体の表面を覆うので再現可能な二層形成が達成されないことがしばしばある。この脂質構造は、単一膜タンパク質に関する電気生理学的研究に適さない。
WO 01/81425 は、担体表面上にS層タンパク質を固定するための二次的細胞壁ポリマーの使用を開示している。このような方法で得られたS層被覆面を用いて、さらに脂質フィルムを製造することができる。
Pum D et al.(Trends in Biotechnology 17(1999):8-12)は、S層タンパク質の可能な用途を開示している。
WO 02/095406 は、担体の表面上の固定脂質二層の製造方法に関する。
US 4,921,705では、短鎖及び長鎖リン脂質を含む単層状脂質小嚢が記載されている。
WO 01/81425 WO 02/095406 US 4,921,705 Zasadzinski JA,et al., Science(1994)263:1726-1733 Pum D et al., Trends in Biotechnology 17(1999):8-12
固体に担持された脂質膜を製造するための従来の方法の全ては労働集約的であり、且つ、例えば膜関連タンパク質に関する研究を行なうために必要なだけの満足できる性質を備えた脂質膜を生じていない。従って、先行技術の方法の欠点を克服することができる脂質膜、特に固体担持脂質膜(solid supported lipid membranes)を製造するための新規な方法を提供することが本発明の目的である。
それ故、本願は以下の発明を提供する。
(1)タンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及び/又はペプチドを含む層によって少なくとも部分的に覆われた担体を用意する工程と、前記担体を、少なくとも1種類の短鎖リン脂質及び少なくとも1種類の長鎖リン脂質及び/又は少なくとも1種類の界面活性剤を含むバイセルを含む溶液と接触させて、一緒にインキュベートし、それによって、担持された脂質膜を得る工程と、任意に、該担体上に形成された該脂質膜を該担体から取り出す工程とを含む、担持された脂質膜の製造方法。
(2)該タンパク質、糖タンパク質又はペプチド層を少なくとも1つの官能基によって修飾することを特徴とする、(1)記載の方法。
(3)該少なくとも1つの官能基が、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、グリカン及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、(2)記載の方法。
(4)該タンパク質及び/又は糖タンパク質層がS層であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)該担体が実質的に平面状であることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)該担体が、シリコン、半導体材料、特に、半導体シリコン、ヒ化ガリウム及びヒ化アルミニウムガリウム、有機又は無機ポリマー、ソリッドステート・ポリマー、及びこれらの混合物から選択される物質を含むことを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)該担体の表面が金属及び/又は金属酸化物で被覆されていることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)金属が金又はアルミニウムであり、金属酸化物が酸化インジウムスズ(indium tin oxide: ITO)であることを特徴とする、(7)記載の方法。
(9)該担体の表面が、化学的又は物理的に修飾されていることを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(10)該修飾が、電離放射線、原子ラジカル、コロナ処理、シラン基、官能基及びこれらの混合から成る群から選択されることを特徴とする、(9)記載の方法。
(11)官能基が、グリカン鎖、特に、二次細胞壁ポリマーであることを特徴とする、(10)記載の方法。
(12)該少なくとも1種類の長鎖リン脂質が、炭素原子10〜24個、好ましくは炭素原子12〜20個、特に好ましくは炭素原子14〜18個を有する脂肪酸残基を含むことを特徴とする、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(13)該少なくとも1種類の長鎖リン脂質が、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリステライドイルホスファチジルコリン、ミリストイルパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、ジ−O−テトラデシルホスファチジルコリン、卵−PC、ジ−O−ヘキサデシルホスファチジルコリン、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(14)該少なくとも1種類の長鎖リン脂質が、カジトカルアーキアル・テトラエーテル脂質、特に、グリセロール−ジアルキル−ノニトール−テトラエーテル脂質(GDNT)とグリセロール−ジアルキル−グリセロール−テトラエーテル脂質(GDGT)、カルアーキアル・テトラエーテル脂質及びこれらの混合物から成る群から選択される、少なくとも1種類のテトラエーテル脂質によって、少なくとも一部分置換されていることを特徴とする、上記(1)〜(13)のいずれかに記載の方法。
(15)該少なくとも1種類の短鎖リン脂質が、炭素原子4〜10個、好ましくは炭素原子6〜8個を有する脂肪酸残基を含むことを特徴とする、上記(1)〜(14)のいずれかに記載の方法。
(16)該少なくとも1種類の短鎖リン脂質が、ジカプロイルホスファチジルコリン(DHPC)、ジカプリロイルホスファチジルコリン(DCPC)、ジカプリルホスファチジルコリン、1,2−ジ−O−ヘキシルホスファチジルコリン及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、(1)〜(15)のいずれかに記載の方法。
(17)該少なくとも1種類の界面活性剤が、3-[(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパン−スルフェート(CHAPS)、3-[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)、ドデシルジメチル−N−アミンオキシド(DDAO)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート・ナトリウム塩、N−ラウロイルサルコシン・ナトリウム塩、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド(OG)、n−ドデシル−β−G−マルトシド(DDM)、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム(DOC)、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、上記(1)〜(16)のいずれかに記載の方法。
(18)以下を含む、担持された脂質膜を製造するためのキット:
・上記(12)〜(17)のいずれかで定義したとおりの、バイセル及び/又は少なくとも1種類の長鎖リン脂質及び/又は少なくとも1種類の短鎖リン脂質及び/又は少なくとも1種類の界面活性剤、
・S層タンパク質、及び
・場合により、任意に、上記(5)〜(9)のいずれかで定義したとおりの担体。
(19)S層タンパク質が、安定化形で、好ましくは凍結乾燥形で用意されることを特徴とする、(18)記載のキット。
(20)上記(1)〜(17)のいずれかに記載の方法によって得られる、脂質膜又は固体担持脂質膜。
(21)該脂質が、少なくとも1つの官能基で修飾されることを特徴とする、(20)記載の膜。
(22)少なくとも官能基が、ビオチニル−、マレイミド−、スクシニル−,グルタリル−、カルボキサシル−、及び金属キレート化基及びこれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする、(21)記載の膜。
(23)タンパク質層で少なくとも一部被覆された担体上の脂質膜又は固体担持脂質膜を製造するための、上記(1)〜(16)のいずれかで定義されたバイセルの使用。
本発明により、先行技術の方法の欠点を克服することができる脂質膜、特に固体担持脂質膜を製造するための新規な方法が提供される。
発明を実施するための形態
本発明の一つは、担持脂質膜の製造方法であって下記工程を含む方法を提供する:すなわち、
・タンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及び/又はペプチドを含む層によって少なくとも部分的に覆われた担体を用意する工程と、
・前記担体を、少なくとも1種類の短鎖リン脂質及び少なくとも1種類の長鎖リン脂質及び/又は少なくとも1種類の界面活性剤を含むバイセル(bicelles)を含む溶液と接触させて、一緒にインキュベートし、それによって、担持された脂質膜を得る工程と、
・場合によっては、任意に、該担体上に形成された該脂質膜を前記担体から取り出す工程を含む方法である。
前記膜に固定される又は前記膜をまたがる、タンパク質(例えば、酵素、イオンチャンネル)を有する又は有さない脂質膜を製造するためには、実質的に規則的な脂質膜の形成を可能にする、適当な担体を用意しなければならない。適当な担体の選択が重要であるのみでなく、脂質膜を得るために固体担体上に融合される、適当な脂質膜構造の選択が非常に重要であることが、意外にも判明した。本発明による適当な脂質膜構造はバイセルである。Erb E.-M. et al.(Anal Biochem 280: 29-35(2000))では、例えば、その表面上に疎水性残基を有するデキストランマトリックスを含む担体上に脂質膜を製造するためにバイセル及びリポソームを用いることが記載されている。リポソーム又はバイセルとのインキュベーション後に、疎水性デキストランマトリックス上のBSAの結合の有意な減少が観察されている。著者は、このような担体上に脂質膜を得るためにリポソームとバイセルの両方が等しく良好に適していることを示唆している。しかし、タンパク質、例えばS層タンパク質(Wetzer,1997)、糖タンパク質、ポリペプチド及び/又はペプチド(Naumann et al., 1999, 2002)で被覆された担体上には、リポソームを用いて、充分な電気化学的性質、安定性及び品質を有する脂質膜を得ることができないことは、当該技術分野で周知である。それ故、バイセルを用いて、このような担体上に充分な電気化学的性質、安定性及び品質を有する脂質膜を製造することができることは、意外であった。
本発明による「バイセル」は、長鎖リン脂質、少なくとも1種類の長鎖リン脂質及び/又は少なくとも1種類の界面活性剤の二元混合物から成るディスク状脂質凝集体である(Whiles et al.,2002; Raffard et al.,2000; Glover et al.,2001)。該平面領域は、膜の荷電特性を変化させるために異なる先端基(headgroups)を有するリン脂質をドープすることができる長鎖リン脂質から成る(Struppe et al.,2000)。該バイセルのリムは、界面活性剤によって安定化される。本来、バイセルは、Prestegardと共同研究者によって膜結合バイオ分子のソリッドステートNMR研究のための膜モデルとして紹介されたものであった(Ram and Prestegard, 1988; Sanders and Prestegard,1990)。さらに最近では、バイセルは、バイセル中に再構成した複合膜タンパク質の機能性を研究するため(Sanders and Landis, 1995; Sasaki et al., 2003)、及びタンパク質結晶化(Faham and Bowie, 2002; Faham et al., 2005)に用いられている。
本発明による「界面活性剤(detergents)」は、極性(水溶性)ドメインと非極性(疎水性)ドメインを有する、両親媒性の界面活性分子である。これらは、疎水性分子又は分子ドメインに強力に結合して、水溶性を与える。
本発明による「脂質膜」は、疎水性コア(アルキル鎖)と2つの親水性外側部分(先端基領域)とを特徴とする脂質構造であるように意図される。脂質膜は、リン脂質及び/又はエーテル脂質から成る脂質二層によって、又はテトラエーテル脂質単層によって構築されるように意図される。しかし、本発明によると、次々に、多重に重ねられた脂質層も、本明細書で定義する脂質膜である。
本発明に関連して、「担体(substrate)」なる用語は、脂質膜を担持して、その結果として、「担持脂質膜(supported lipid membrane)」を生じるために適した、任意の物質を意味する。「担体」は、固体担体のみに制限されるのではなく、脂質膜又はタンパク質層を含むことができる物質をも包含する。
場合によっては、担体上に形成された脂質膜を別の固体担体に移すことができる、又は少なくとも部分的に固体担体なしに(例えば、開口によって接続している、容器の2つの仕切り間のバリヤーとして)用いることができる(Gufler et al., 2004; Shuster et al.,2002; Schuster et al.,2003)。
担体へのバイセルの結合は、該担体の化学的及び物理的性質によって影響される。バイセル中の荷電したリン脂質の存在のために、バイセルは、高い電荷密度を有する担体に静電的に結合する傾向がある。担体上の単独バイセルの、脂質膜への融合は、前記担体上の疎水性領域の存在によって影響される。これらの疎水性領域は、担体上のバイセルからの脂質単層の形成を可能にし、その結果、担体上の脂質膜の形成を触媒する。タンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及びペプチドはこれらの特性を示し、他の分子との疎水的並びに静電気的相互作用を触媒することができるので、担体を少なくとも部分的に前記分子で被覆する。
担体上へのタンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及び/又はペプチドの固定は、該担体と該脂質膜との間にある種のスペーサーを与える。該担体と該脂質膜との間にギャップを与えることは、電気生理的測定のような、実験を行なうために重要である。当該技術分野では、前記ギャップの形成を可能にする、幾つかの方法が開示されている。これらの方法は、例えば、固体担体上のヒドロゲル(例えば、デキストラン)の供給を包含する、この場合には、前記ヒドロゲル上に脂質膜が形成される(Erb E.-M. et al.(2000) Anal Biochem 280:29-35)。最も手の込んだ概念は、ポリマー・クッションの代わりに、二官能性分子を付着させて、親油性ドメインと親水性スペーサーを与えることである。親油性部分を、脂質膜の1つのリーフレット又は両方のリーフレット中に挿入する、親油性部分はリン脂質から(Naumann et al.,2002; Peggion et al.,2001)から、コレステロールから(Lang et al.,1994)、アルキル鎖から(Cornell et al.,1997)、又はフィタノイル基から(Schiller et al.,2003)成ることができる。親水性スペーサーは、担体にテザー分子(tethering molecule)を固定して、親水性環境並びに膜下スペースの容積を決定する。テザー分子の大部分は、金表面上のチオール化学によって連結されるか又は架橋剤によって酸化物表面にカップリングされる。脂質(チオ−、ヒスチジン−及びスクシンイミジル−脂質)、ペプチド、オリゴマー、又は炭水化物のような、広範囲な分子が、テザー層を形成するために用いられる。しかし、テザー部分は、膜が置かれる、機能的で、明確なイオン・レザバ(ionic reservoir)を得るために、テザー分子間の左右の間隔を調節する幾つかのスペーサー分子を必要とする(Raguse et al, 1998)。テザーされる二層脂質膜(tBLMs)は、イオン・レザバとして並びに膜タンパク質組み込みのための充分なスペースの用意の両方に役立つ膜下スペースの必要性に対処する(Krishna et al., 2003)。tBLMsにおける最も要求の厳しい問題は、自立性脂質膜と競合する電気的性質を得ることである。さらに、特に、該漏れにくい系(less leaky system)がしばしば、膜タンパク質によって、恐らくはこれらのtBLMsの限定された流動性のために、機能することができないことを挙げなければならない。
本発明によると、「タンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及び/又はペプチドを含む層」は、担体の表面に固定されることができる、あらゆる種類のタンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及び/又はペプチドを包含する。さらに、この定義は、単層を意味するのみでなく、タンパク質多重層をも包含する。タンパク質多重層は、重ねられた単層を意味する(例えば、2、3、5個又はそれ以上のタンパク質単層がタンパク質多重層を形成する)。さらに、タンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及び/又はペプチドは、均質であることができ、その結果、同じ種類の分子を含むことができる、或いは不均質であって、異なる種のタンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及び/又はペプチドの混合物を含むことができる。
本発明の好ましい実施態様によると、タンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及び/又はペプチド層を少なくとも1つの官能基によって修飾する、この場合、該少なくとも1つの官能基は、好ましくは、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、グリカン及びこれらの混合物から成る群から選択される。
担体上の修飾及び/又は組み換えタンパク質層の使用は、官能価(functionalities)を与えることになり、この官能価にバイセルを、化学的カップリング反応(例えば、エステル結合)又は特異的相互作用(例えば、ビオチニル化バイセルと組み合わせたS層/ストレプトアビジン融合タンパク質層)のいずれかによって結合させることができる。他の可能な特異的相互作用は、レクチン結合(デキストラン−ConA、アシアロ糖タンパク質受容体−グルコース)、アフィニティ結合(例えば、his−タグ/Ni2+−イオン/キレーター)、リガンド−受容体相互作用、S層−SCM相互作用(AU 5,201,001)である。もちろん、組み換えによるアミノ酸交換(例えば、塩基性アミノ酸から酸性アミノ酸への)又は化学的修飾(例えば、架橋、逸脱)の結果としてアミノ酸の修飾を有するタンパク質及びポリペプチドを用いることも可能である。このようなタンパク質は、対応するタンパク質とは異なる物理化学的性質(例えば、表面電荷)を有することができ、バイセルを担体に結合させ、脂質膜の形成を多かれ少なかれ効果的に「触媒する」ために用いることができる。
該タンパク質/糖タンパク質層は、好ましくは、S層タンパク質又は、ネイティブのS層タンパク質に匹敵できる規則的なタンパク質層をまだ形成することができる、その断片から構成される。ナノメーター未満の範囲に至るまで、その反復物理化学的性質を有する該S層タンパク質格子は、脂質膜のための付着部位(安定化効果)を与えるが、さらに大きい膜タンパク質の取り込みを妨害しない、脂質分子の左右拡散(流動性)を維持する。さらに、膜タンパク質をS層タンパク質格子上に、特にS層融合タンパク質上に付着させることもできる(例えば、S層/ストレプトアビジン融合タンパク質はビオチニル化脂質膜タンパク質と相互作用する)。これは、脂質膜中の膜タンパク質の制御された配向(controlled orientation)を可能にするであろう。
担体又は担体のカバーリングとしてのS層タンパク質は、それらが規則的な形状の構造を形成することができるため、バイセルによって脂質膜が形成されうる、適当な表面の提供を可能にするので、脂質膜の製造に非常に良好に適する。特に、1つのタンパク質単層の厚さ以下の高さ(例えば、約5nm〜8nm)のステップ(step: 刻み幅)を有するS層格子の平滑さは、高度にフラットな脂質膜の製造を可能にする。さらに、結晶質S層は、明確な位置に反復する官能基を与える。したがって、S層は、膜関連分子(膜タンパク質、脂質)の充分に規定された、高配向性の結合を可能にする。これとは対照的に、極薄ポリマー・クッションの場合にさえ、100nm以上まであるいはそれ以上のステップを期待することができる。デキストランマトリックスは、非常に粗雑で、非晶質の構造であり、疎水性残基のような、化学的に導入された官能基がランダムに配置されている。S層格子の平滑さは、担持脂質膜の安定性及び流動性に強いポジティブな効果を及ぼす。最も重要なことは、融合が、複数のバイセルの相互への良好な接近性のために、容易になると考えられる。
「S層」タンパク質は、広範囲の細菌及び古細菌の最も外側の細胞エンベロープ成分である。S層は、単一タンパク質又は糖タンパク質種(MW40〜200kDa)から構成され、3〜30nmの範囲内の単位細胞サイズで、斜め(p1、p2)、正方(p4)又は六方(p3、p6)格子対称性のいずれかを有する。S層は一般に5〜10nm厚さであり、同じサイズ(直径2〜8nm)及び形状の穴を示す。S層タンパク質は、幾つかの技術的用途にルーチンに用いられている。例えば、EP 0 306 473は、ハプテン、免疫原物質又は免疫賦活剤物質のキャリヤーとしてのS層タンパク質の使用を開示している。S層タンパク質上の分子の固定、特にタンパク質の固定は、EP 0 362 339 B1に記載されている。WO 02/097118 A1では、S層タンパク質を用いた担体上の機能性分子層の製造が開示されている。これでは、キャリヤー表面上のタンパク質層が、溶液と該表面との間に電気化学的電位差を作り出すことによって、形成される。EP 0189 019 B1は、S層タンパク質を用いた、限外濾過膜の作製と使用を開示している。
固体担持機能性リン脂質及びテトラエーテル脂質膜の範囲内の分子構成ブロックとしての二次元結晶質細菌表面層(S層)の用途も、紹介されている(Schuster et al.,1998、2001、2003;Gufler et al.,2004)。先行技術は、強化された機械的長期間堅牢性、作製の容易さ及び低い製造コストを有する、新しい「スマート(smart)」膜に基づくバイオセンサーのための有望な構造としてS層を薦めている。
特に、少なくとも部分的にS層タンパク質で覆われた担体は、脂質膜の製造に特に適すると判明している。S層タンパク質で覆われた担体は、ギャップ、ステップ、欠損及び、2枚の上部S層格子が接触するクリスタリット境界を示す。担体表面のトポグラフィーにおけるこのような不規則性は、脂質結合部位として作用し、バイセルによって認識される。最初の自己組織化プロセス(SA1)では、バイセルが脂質結合部位に接着する。第2自己組織化プロセス(SA2)では、結合したバイセルが、既存の二層にバイセルを融合することによって、次の側方二層成長の出発点になる。SA1は、バイセル−S層相互作用であると思われるが、SA2は、主として、支配的なバイセル−バイセル相互作用である。脂質凝集体(例えば、リポソーム、バイセル、二層)間の相互作用は良好に特徴付けられている(Stryer, 1995)が、脂質凝集体−S層相互作用はまだ充分に理解されていない。S層タンパク質の三次元分子構造と、それらの官能基の配置については殆ど知られていない。単層状及び二層状S層タンパク質(例えば、SbpA Acc.No.AAF22978)の両方の上では、外側タンパク質表面が大量の水溶液に暴露される。バイセル結合と二層成長は、単層状S層格子によってのみでなく、二層状又は多層状S層格子(例えば、二層状S層格子)によっても生じる。脂質結合部位は、頂部上又は底部格子上のいずれかに配置される官能基によって形成される。
「S層脂質結合部位」へのバイセル接着に関しては幾つかの可能な機構が存在する。
(i)多くのバシラス科細菌S層の共通の特徴は、それらの平滑な電荷中性外面と、高い電荷密度のより大きく波形の内面である(Rum and Sleytr, 1996)。幾つかのS層タンパク質の内面は正味陽性に帯電している(Gyoervary et al., 2003)。ホスファチジルコリン先端基は、高い電荷密度を有する表面に結合する。強い架橋剤のグルタルアルデヒドによって、該タンパク質アミノ基を架橋すると、バイセル結合がさらに減少した。結晶質S層タンパク質をホモ二官能性架橋剤(homobifunctional crosslinker)BS(ビス(スルホ−スクシンイミジル)スベレート)と共にインキュベートすることも、特に、長いインキュベーション時間では、二層形成に寄与した。BSは、タンパク質の表面上のアミノ基に対して反応性である、2つの反応性スルホNHSエステル基から成る。該2つのエステル基を分離するスペーサー・アームは、1.14nmの長さである。その結果、静電気的相互作用がバイセル接着に寄与する。
(ii)或いは、タンパク質−エピトープが存在して、これに脂質先端基が取り付くことも可能である。このようなエピトープは、幾つかのアミノ酸残基によって形成されることができる。S層タンパク質の結晶性(crystalline properties)と、明確な位置における官能基の配置が、このようなエピトープの密集した、反復配置を維持する。
(iii)ネイティブS層タンパク質上の二次細胞壁ポリマー(SCWP)の残留物も、バイセル接着を開始させることができる。
(iv)疎水性相互作用は、タンパク質のフォールディングとアセンブリに、並びに脂質二層形成に決定的に重要な役割を果たす。(Stryer, 1995)。単離されたS層タンパク質は、自然に、非常に多様な表面及び界面上の結晶質二次元アレイに再組み立てされる。このセルフ−アセンブリ・プロセスにおける駆動力は、非共有結合的相互作用、主として、疎水性相互作用である。再結晶した多層状S層格子の欠損リム、ステップ及びクリスタリット境界に沿った疎水性ドメインは、アクセス可能であり、疎水性バイセル・コアと相互作用する可能性がある。S層の反復特性(repetitive properties)のために、該疎水性ドメインは、欠損帯に沿って「反復疎水性パールネックレス」を形成する。バイセルが接近すると、バイセルはS層の疎水性領域上に部分的脂質単層を形成することができるが、親水性領域では、バイセルは依然として二層状である。
(v)幾何学的見地から−格子欠損及び不規則性に帰せられる、構造及びエッジ関連効果の見地から、S層格子中のギャップ、ステップ及びクリスタリット境界も、バイセル接着に寄与することができる。S層の格子不規則性並びにクリスタリット・サイズは、用いるS層タンパク質と、担体の表面特性によって影響される。該エッジの幾何学とレベルは、ギャップ及びステップの寸法、粗雑さ及びシャープさ並びに脂質結合部位の密度及び規則性を決定する。
バイセル結合の機構は主として静電的及び疎水性相互作用の間の相互の反応であり、これはタンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及びペプチド層、なかでもとりわけS層の固有の性質によって決定され且つ数量化される。
バイセルとリポソームとの両方が、多層状タンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及びペプチド格子上の脂質結合部位を認識するように思われるが、(固体担持)脂質膜を得るためのリポソームの使用は、バイセルの使用ほど適切ではない。リポソーム融合は、固体担体上に膜を製造するためにしばしば用いられる方法である。溶液中の小胞は、表面上に沈着する傾向を示す(Seifert and Lipowsky, 1991)。リポソームが固体表面に遭遇すると、リポソームは吸着してそのまま完全な状態で留まる(吸着)か、又は破裂して広がって脂質二層を形成することができる(融合)(Jass et al., 2000)。バイセルと比較すると、リポソームは吸着してそのままの状態で留まるのみである。
小胞−タンパク質相互作用及び小胞融合に寄与する、多数の種々なパラメーターの量はまだ知られていない。固体担体上での小胞破壊と融合は、非常に複雑であり、表面の性質、表面−リポソーム相互作用、リポソームの組成、サイズ、電荷、溶解特性、温度及び浸透圧(osmotic stress)に強く依存する(Jass et al., 2000; Reimhult et al., 2003; Seitz et al., 2000)。バイセルの形態学自体が、固体担持脂質膜の上首尾な形成のための重要な要因であることが判明した。少なくとも部分的にタンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及びペプチドで、特にS層タンパク質で覆われた担体とバイセルを組合わせて一緒にすることは、全く新しい方法である。現在までに、同じ結果を与える、他の脂質凝集体(例えば、リポソーム、ミセル)は存在しなかった。本発明の方法によって得られる脂質膜は、4℃において2週間以上、好ましくは3週間以上、特に4週間以上安定である。バイセル融合の実施は、高スループット・スクリーニング及びラブ−オン−チップ診断学のための膜/タンパク質に基づくバイオセンサーに関して、タンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及びペプチド並びにS層被覆マイクロアレイの製造のために用いることができる担持膜の簡単で、実用的な製造方法であると思われる。膜タンパク質機能の迅速で、信頼できるスクリーニングは、例えば、薬学研究、品質管理及びプロテオミクスの分野に従事する人々に最高に重要な生物学的関連情報を与える。単一イオンチャンネル測定に関して、高度に絶縁性の膜が必要である。
タンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及びペプチド担持膜チップは、例えば、電気化学的技術(例えば、インピーダンス分光法)、ピエゾ電気結晶及び表面音響デバイス(例えば、QCM−D)、表面プラスモン及び導波デバイス(例えば、SPR、SPR−イメージング)、蛍光技術(例えば、TIRF、FRET及び蛍光顕微鏡検査)、免疫分析技術、及びサーミスタを用いる技術(例えば、膜関連発熱反応の検出)のような、非常に多様な技術に適用可能である。広範囲な方法が、例えば、薬剤分子のスクリーニング、膜タンパク質の構造−機能関係の研究、リガンド−受容体相互作用の研究(例えば、リガンドフィッシュイング(ligand fishing)、ホルモン・シグナル伝達の研究、アフィニティ定数、結合特異性の研究)、膜を横切ってのイオン及び分子の能動的及び受動的輸送のモニターリング、並びに品質管理及び安全性スクリーニングにおける有害化合物のスクリーニングのような、多様な分野の応用を可能にする。
本発明によると、種々な生物からのS層タンパク質種が使用可能である。タンパク質種は、ネイティブ・タンパク質、組み換えタンパク質、又は任意に、識別可能な機能的ドメイン(単数又は複数)、例えばストレプトアビジン、リガンド、アフィニティタグを有する組み換えタンパク質として用いられる。S層は、同じS層タンパク質から、又は少なくとも2種類の種の混合物から、又はそれぞれ、1つ以上の特異的官能価(specific functionalities)を含む、異なるタンパク質種から構成される。識別可能なタンパク質の比率は、変化することができる。S層はネイティブであることも、化学的に修飾されることも可能である。 さらに、S層は、単層、二層又は多層として再結晶することができる。
用いるS層タンパク質種に依存して、再結晶後に、識別可能な表面特性が得られる:
)ネイティブ単離S層タンパク質と、融合した機能的ドメインを有さない組み替えS層タンパク質の固有の機能性:例えば、電荷密度と分布。多くの場合に、主として、大腸菌(E.coli)に発現される組み換えS層タンパク質は、細菌細胞壁から単離したネイティブタンパク質とは異なる電荷分布を示す。
S層の共通の特徴は、それらのin vivo配向に関して、それらの平滑な電荷中性外面と、より大きく波形の正味陰性に帯電した内面である。そのため、担体上のS層タンパク質の配向は、物理化学的性質を特徴付ける。
)ネイティブS層の化学的表面修飾後の官能価;例えば、電荷及び電荷密度の変化、化学的反応基の導入。
)人為的に挿入された機能的ドメイン:遺伝子操作されたS層融合タンパク質、化学的融合機能的ドメイン。
)不活性表面特徴:中性帯電表面。これらの種類のS層は、結合アフィニティ又は非特異的結合を示さない。
S層上の少なくとも1の官能価の官能基(functional groups of the at least one functionality)は、リン脂質の脂質先端基領域と相互作用して、脂質膜の安定化をもたらす。安定化は、脂質膜上で(Wetzer et al., 1997,1998; Gufler et al.,2004)、及びリポソーム上で(Kuepcue et al.,1995; Mader et al.,1999)実証されている。S層は、単層(例えば、テトラエテール脂質)膜又は二層膜の疎水性領域に浸透しない;それ故、これらは、脂質凝集体、細胞又は細胞膜の完全性に影響を与えない。S層は、脂質膜と生物学的物質に中性環境を与える:例えば、多くの古細菌では、S層は、細胞膜の外側の唯一の成分である。異なる物理化学的表面性質と官能価とを有する、広範囲なS層タンパク質が入手可能である。機能的ドメインを有する、組み換えS層−(US 2002/0168728 A1)とS層−融合タンパク質の実現は、特異的な結合機構の適用を可能にする(Moll et al., 2002)。結晶格子の高い規則性のために、明確な位置と配向で反復的に配置された官能価を得ることができる。さらに、再結晶後に担体表面の粗雑さの顕著な減少が観察される(Gufler et al.,2004; Schuster et al.,2003)。
担体は、好ましくは、実質的に平面状である。
担体の実質的に平面の形状が好ましいが、任意の三次元構造を有することができる担体を用いることも、もちろん可能である。このような担体は、例えば球形を有する担体も包含する。
本発明の好ましい実施態様によると、担体は、シリコン、半導体物質、特に半導体シリコン、ヒ化ガリウム、及びヒ化アルミニウムガリウム、有機又は無機ポリマー、ソリッドステート・ポリマー、及びこれらの混合物から選択される物質を含む。
担体の表面は、好ましくは、金属及び/又は金属酸化物で被覆する。
その上にタンパク質層が固定される担体が、金属及び/又は金属酸化物で被覆されることが有利である。担体の金属化は、該表面への金属のスパッタリングによって又は電気化学的方法によって行なうことができる。さらに、担体の均質な金属化によって、例えば、該表面の導電性のような物理的性質が担体の表面を通して実質的に同一になることが保障される。
担体表面に付着する金属は、好ましくは、金又はアルミニウムであり、金属酸化物は、好ましくは、酸化スズインジウム(ITO)である。
特に金が、その物理化学的性質のために、表面上へのタンパク質(例えば、S層タンパク質)及び他の化学基の固定を可能にすることは、当該技術分野で知られている。特に、金で被覆した表面が好ましい、この理由は、脂質層が結合したこのような担体は、表面プラスモン共鳴分光法(SPR)のような、多様な表面増感方法に使用可能であるからである。担体表面上の金の接着を改良するために、金を付着させる前に、該表面をクロムで付加的に被覆することができる。
本発明の好ましい実施態様によると、担体の表面を化学的又は物理的に修飾する。
担体表面への修飾の導入のために、該表面の化学的及び/又は物理的性質を変化させることが可能である。さらに、例えば、識別可能な官能基を有する表面を得るために、該表面を官能化することも可能である。したがって、該表面は、未処理表面に比べて、より疎水性若しくはより親水性になりうる、又は該表面に分子(例えば、抗体)を特異的に結合させることができる。
該修飾は、好ましくは、電離放射線、原子ラジカル、コロナ処理、シラン基、官能基及びこれらの混合から成る群から選択される。
該官能基は、好ましくは、グリカン鎖、特に、二次細胞壁ポリマーである。
グリカン鎖を用いて、タンパク質層又は該層の一部を表面に固定することができる、但し、該タンパク質が前記グリカン鎖(例えば、レクチン)に結合できることを条件とする。例えば、S層タンパク質は、二次細胞壁ポリマーのようなグリカン鎖に結合することができる。WO 01/81425 A1では、固体担体にS層タンパク質を結合させるためのS層タンパク質固定手段として、炭水化物(二次細胞壁ポリマー)を含む構造の使用が開示されている。それ故、二次細胞壁ポリマーで担体表面を官能化することは、担体を例えばS層タンパク質で被覆しようと意図する場合に、有利である。
本発明の好ましい実施態様によると、該少なくとも1つの長鎖リン脂質は、炭素原子10〜24個、好ましくは炭素原子12〜20個、特に好ましくは炭素原子14〜18個を有する脂肪酸残基を含み、この場合、該少なくとも1種類の長鎖リン脂質は、好ましくは、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリステライドイルホスファチジルコリン、ミリストイルパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、ジ−O−テトラデシルホスファチジルコリン、卵−PC、ジ−O−ヘキサデシルホスファチジルコリン、及びこれらの混合物から成る群から選択される。該少なくとも1種類の長鎖リン脂質は、好ましくは、カジトカルアーキアル・テトラエーテル脂質(caditocalarchaeol tetraetherlipids)、特に、グリセロール−ジアルキル−ノニトール−テトラエーテル脂質(GDNT)とグリセロール−ジアルキル−グリセロール−テトラエーテル脂質(GDGT)、カルアーキアル・テトラエーテル脂質(calarchaeol tetraetherlipids)及びこれらの混合物から成る群から選択されるテトラエーテル脂質と混合することができる、又は該テトラエーテル脂質によって置換されることができる。好ましくは、テトラエーテル脂質を用いて、安定な脂質膜を作製することができる。
テトラエーテル脂質は、古細菌 サーモプラスマ・アシドフィルム(Thermoplasma Acidophilum)のようなの古細菌の細胞膜中に存在する。これらの古細菌の脂質は、比較的多量に単離して、クロマトグラフィーによって精製することができる。先端基を選択的に修飾することにより、担体表面に共有結合で固定させること、並びに、物理化学的性質(疎水性、表面電荷、表面エネルギー)、生物を模した性質(biomimetic character)(例えば、ホスホリルコリン)に関して異なる表面特性を確立すること及び/又は特定の表面組成に影響を与える(例えば、特定シグナル分子、ペプチド等のカップリング)ことができる。テトラエーテル脂質で被覆した表面は、酸化劣化、酵素劣化及び加水分解劣化に対して非常に安定である。さらに、スチーム殺菌並びにγ線殺菌が可能である。テトラエーテル脂質を含む脂質膜は、非粘着性コーティング、バイオフィルム保護若しくは防汚性表面、生体適合性表面、特異的センサー若しくは生物学的センサー・コーティング若しくは分子フィルム(例えば、電気生理的研究用)のために用いることができる。
本発明の他の好ましい実施態様によると、該少なくとも1種類の短鎖リン脂質は、炭素原子4〜10個、好ましくは炭素原子6〜8個を有する脂肪酸残基を含み、この場合、該少なくとも1種類の短鎖リン脂質は、ジカプロイルホスファチジルコリン(DHPC)、ジカプリロイルホスファチジルコリン(DCPC)、ジカプリルホスファチジルコリン、1,2−ジ−O−ヘキシルホスファチジルコリン及びこれらの混合物から成る群から選択される。
短鎖リン脂質の代わりに又は短鎖リン脂質の他に、該バイセルは、少なくとも1種類の界面活性剤を含むことができ、該少なくとも1種類の界面活性剤は、好ましくは、3-[(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパン−スルフェート(CHAPS)、ジカプロイルホスファチジルコリン(DHPC)、ジカプリロイルホスファチジルコリン(DCPC)、ジカプリルホスファチジルコリン、1,2−ジ−O−ヘキシルホスファチジルコリン及びこれらの混合物から成る群から選択される。
用いる界面活性剤は、脂質膜に組み込まれるタンパク質の性質を変化することはなく、もちろん、バイセルの形成を妨げることはありえない。
脂質膜の製造に用いるためのバイセルに界面活性剤を用いる場合の重要な点は、該界面活性剤が、該脂質膜と接触するであろう酵素又はタンパク質の天然の性質に影響を与えるないことである。
本発明の他の態様は、担持脂質膜の製造用キットであって、
・バイセル及び/又は、バイセル形成に必要な成分と、
・(場合によっては任意)に担体
を含むキットに関する。
前記キットのS層タンパク質は、好ましくは、安定化形で、好ましくは凍結乾燥形で備えられる。バイセル形成に必要な成分は、本明細書で定義したとおりの、少なくとも1種類の短鎖リン脂質及び少なくとも1種類の長鎖リン脂質及び/又は少なくとも1種類の界面活性剤を含むことができる。もちろん、テトラエーテル脂質も使用可能である。
本発明の他の態様は、本発明による方法によって得られる、脂質膜又は固体担持脂質膜に関する。
本発明による方法によって得られる脂質膜が、Langmuir-Blodgett法又はリポソーム融合方法のような、慣用的な方法によって得られる、同様な膜に比べて、強化された特徴を示すことが、意外にも判明した。
ペプチド、ポリペプチド、タンパク質等で被覆された担体上に付着したバイセルは、結果として、実質的に連続した厚さを有し、脂質凝集体の存在も、過度なバイセルの非特異的な結合の存在も実質的に有さない脂質膜の形成を生じた。さらに、得られた脂質膜は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質等を含む担体表面の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%を被覆した。脂質膜による担体の総合被覆は、例えば、AFMによって観察することができる。
これとは対照的に、Langmuir-Blodgett法によって得られるペプチド、ポリペプチド、タンパク質等を含む、担体上の脂質膜は、前記担体の表面の約75%を被覆するに過ぎない。さらに、このような脂質膜は、脂質多層及び脂質凝集体(崩壊した脂質二層、再組織化及び脱着プロセスによる)を有する面積を含み、電気化学的測定(例えば、インピーダンス分光法、サクリック・ボルタンメトリー)を適用する場合に絶縁効果を示さない。
AFMイメージング、電気化学的測定及び表面プラスモン測定は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質等によって被覆された担体上のリポソームの添加が、融合プロセスではなく吸着を生じることを明らかにした。脂質二層構造の形成を生じる融合プロセスは、担体の極小さい面積上での電気化学的測定によって初めて検出することができた(Naumann et al., 1999, 2002)。リポソームは、好ましくは、吸着して、そのままの状態で留まって、凝集体を形成する。その結果、該担体の表面は非常に不規則である。
本発明による膜の脂質は、ビオチニル−、マレイミド−、スクシニル−,グルタリル−、カルボキサシル−(carboxacyl-)、及び金属キレート化基及びこれらの組み合わせから成る群から選択される官能基によって修飾することができ、したがって、結果として、ビオチニル−、マレイミド−、スクシニル−,グルタリル−、カルボキサシル−及び金属キレート化脂質を生じることができる。
本発明のさらに他の態様は、タンパク質層で少なくとも一部被覆された担体上の脂質膜又は固体担持脂質膜を製造するための、本明細書で定義されたバイセルの使用に関する。
特に、バイセルが、タンパク質層で少なくとも一部被覆された担体上の固体担持脂質膜の製造に適切に用いることができることが、意外にも判明した。
本発明を添付図面と下記実施例によって、さらに説明するが、本発明がこれらに限定されることはない。
下記実施例は、リポソーム融合の独創的な代替手段として、再結晶S層上のバイセル融合を実施する。
これらの実施例では、長鎖ホスファチジルコリンと短鎖ホスファチジルコリンから成る、天然の脂質混合物である卵PC、又はDMPC(C14)とDCPC(C8)との二元混合物のいずれかによって、バイセルを製造した。グラム陽性菌バシラス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)CCM2177からの充分に特徴付けられたS層タンパク質SbpAの極薄タンパク質二層(及び幾つかの実験では、タンパク質単層)で被覆したシリコン・ウェファーを、固体担体として用いた。SbpA(Mr=129kDa)は、正方格子対称性と13.1nmの格子定数を有する格子を形成する(Ilk et al., 2002)。1形態ユニット(A〜170nm)は、4サブユニットから成る。孔径は〜3.5nmである。SbpAは、グリコシル化されない。S層タンパク質に関して、典型的に、SbpAは、波形の正味陽性に帯電した内面と、平滑な電荷中性外面を示す。SbpAは、例えば、シリコン、金、平面脂質フィルム、リポソーム、及び二次細胞壁ポリマー(SCWP)層のような、非常に多様な表面上で再結晶する。結晶化には、カルシウムイオンが必要である。SbpAは、親水性シリコン・ウェファー及びガラス上では二層状態で(in bilayers)再結晶する。疎水性シリコン・ウェファー、金層及びSCPW層上では、SbpAは単層を形成する(Gyoervary et al., 2003)。二層状態では、帯電した内面が相互に付着する。単層状態では、該タンパク質は、それらの内面をシリコンに向けて置かれる。SbpAの厚さ(〜9nm)は、走査型原子間力顕微鏡検査(scanning force microscopy)(AFM)によって(Gyoervary et al., 2003)及びX線反射率によって(Weygand et al., 1999)測定した。固体担体上で再結晶したSbpA二層に関しては、〜15nmの厚さが観察された(AFM)(Gyoervary et al., 2003)。固体担体上では、平滑な外面が、バルク水溶液に常に暴露される。グラム陽性菌の硬い細胞壁は、ペプチドグリカンと付属的なSCWPsから構成される。ポリペプチド鎖のN末端部分に配置されたS層相同(S-layer homologous)(SLH)モチーフが、該タンパク質を、SCWPsを介して、下にある細胞壁に固定することが示されている(Ries et al., 1997)。SbpAは、少なくとも1つのSLHモチーフを含有する。バシラス・スフェリカス(B.sphaericus )CCM 2177からのSCWPは、二糖反復単位から構成されるタイクロン酸である(Ilk et al., 1999)。
材料:
リン脂質卵ホスファチジルコリン(卵PC;粉末)、1,2−ジオクタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DCPC;C8:0;クロロホルム溶液)及び1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DMPC;C14:0;粉末)は、Avanti Polar Lipids(Alabaster, Alabama, USA)から購入した。全ての化学薬品は、Sigma Aldrich(Vienna, Austria)から購入した。緩衝溶液は、MilliQ水(Millipore, 最小抵抗>18 Mohms cm)中で調製した。全ての緩衝溶液は、使用前に、完全に脱気し、0.2μm酢酸セルロースフィルター(Sartorius AG, Goettingen, Germany)に通して濾過した。ハチ毒液(bee venom)からのホスホリパーゼAは、Sigmaから購入した(10mMCaClを含有する0.5mM Tris(pH8.5)中3.5u/ml)。
実施例1:S層タンパク質の単離と再結晶
B−スフェリカスCCM2177(Czech Collection of Microorganisms)から単離したS層タンパク質SbpAの成長、細胞壁調製物及び抽出は、(Sleytr et al., 1986)に記載されているように行なった。SbpAストック溶液を10mMCaClを含有する0.5mM Tris(pH9)によって、0.1mg/mlの最終濃度に希釈した。シリコン・ウェファー(7x7mm)は、NMRC(Cork, Ireland)から購入した。担体は、無水エタノールとMilliQ水によって2回すすぎ洗いすることによって、清潔にした。続いて、該担体を窒素流中で乾燥させた。チップをプラズマ・クリーナー(Plasma Prep2; Gala, Gabler Labor Instruments GmbH, Germany)中でUV/オゾンによって処理した後に、直ちに、S層タンパク質溶液を再結晶のために加えた。再結晶は4〜6時間行なった。原子間力顕微鏡検査(AFM)による研究(Nanoscope III, Digital Instruments Inc., Santa Barbara, CA)を行なって、結晶質SbpA格子による金表面の完全被覆を確認した。幾つかの実験では、SbpA格子をグルタルアルデヒド(20分間;100mMリン酸塩緩衝液pH7.5中0.5%グルタルアルデヒド)又はBS(1mg/mlMilliQ水中)によって架橋させた。
実施例2:バイセルとリポソームの調製
a)卵PC−バイセル:卵PC(粉末)3mg/mlとCHAPS 6mg/mlを、50mM KClを含有する10mM Tris緩衝液(pH7.4)中で水和させた。Bio-Beads SM-2(Sigma Aldrich, Vienna, Austria)100mgを、脂質/界面活性剤溶液 1ml当たりに加えた。該溶液を撹拌して、CD600を測光法によって測定した。CD600が〜0.9〜1に達したときに(35〜40分間撹拌した後)、該溶液を該ビーズから分離した。使用前に、バイセルを、孔径200nmを有するポリカーボネート・フィルターに通して濾過した。該バイセル溶液を4℃において貯蔵し、2週間以内に用いた。卵PCバイセルの直径は40〜50nmであった(ネガティブ染色サンプルの透過電子顕微鏡検査)。
b)DMPC/DCPC/−バイセル:DCPC(クロロホルム溶液)をガラスフラスコに充填した。該溶液を窒素流下で蒸発させて、真空室中に少なくとも2時間貯蔵して、全溶媒を除去した。脂質ケーキを、50mM KClを含有する10mM Tris(pH7.4)中に最終濃度50mg/mlになるように懸濁させた。適当量のDMPC(粉末)をこのDCPC懸濁液に、DMPC/DCPCのモル比率が3.5になるように加えた(このモル比率はq値として知られる)。濃度は総脂質150mg/mlであった。DMPC/DCPC混合物を24時間膨潤させた。該サンプルを下記サイクル:激しい渦流撹拌;0℃に冷却(氷);水浴中で40℃に加熱によって平衡化させた。ゲル様均質溶液が得られるまで、該サイクルを繰り返した。この溶液を最終濃度15mg/mlにまで希釈し、アリコート化し、使用するまで−70℃において貯蔵した。該バイセル溶液を、使用前に、孔径200nmを有するポリカーボネート・フィルターに通して濾過した。DMPC/DCPCバイセルの直径は60〜80nmであった(ネガティブ染色サンプルの透過電子顕微鏡検査)。比較のために、卵PCリポソームを、押出成形方法と、その後の5回の凍結解凍サイクル(freeze-and-thaw cycles)によって調製した。押出成形のために、小型押出成形機(Avanti Polar Lipids, Alabama, USA)と、孔径100nmを有するポリカーボネート・フィルター(Nucleopore, Whatman, Kent, UK)を用いた。
シリコンとS層−担体を2種類のバイセル溶液の1つによって被覆して、サンプルを枯渇から保護するために、加湿室中、室温においてインキュベートした。インキュベーション時間(30分間〜18時間)後に、サンプルを、100mM NaClを含有する10mM HEPES緩衝液(pH7.4)中に浸漬して、AFMによって画像化した。該チップを、MilliQ水中20mM CHAPS(溶解)中で洗浄を繰り返し、10mM HEPES(pH7.4)、100mM NaClで最終的にすすぎ洗いすることによって再生した。
実施例3:原子間力顕微鏡検査(AFM)
AFM画像を液体中、コンタクトモードで、Nanoscope III Atomic Force Microscope(Digital Instruments, Santa Barbara, CA)によって記録した。0.06N/mの法線方向バネ定数(normal spring constant)を有する酸化物−先鋭化した窒化ケイ素先端(oxide-sharped silicon nitride tips)(Nano-Probes, Digital Instruments)を用いた。図2〜4における結果を参照のこと。
実施例4:バイセル融合によるSbpA被覆シリコン・ウェファー上の脂質二層の形成
両方の種類のバイセル(卵PC−及びDMPC/DCPC−バイセル)は融合して、SbpA上の脂質二層になった。DMPC/DCPC−バイセルの脂質二層形成の方が、やや迅速であることが発見された。図2Aは、再結晶したSbpA格子を有するシリコン・チップを示す。SbpAは、親水性シリコン上で二層状S層格子として再結晶して、大きい、非常にフラットなシートを形成した。上部S層シートの境界に沿って、非常に狭いギャップが検出された。高さ画像(height image)にはっきり見えるダーク・スポットは、SbpA二重層内の穴(直径0.5〜1μm)であった。表面占有率は95〜98%であった。図2Bと2Cは、DMPC/DCPC二層形成の時間シーケンスのAFM像を示した。DMPC/DCPCバイセルとのインキュベーションの45分間後に(図2A)、S層欠損のリムとクリスタリット境界に沿った小二層パッチを検出することができた。SbpA中の欠損は、初期バイセル接着帯(脂質結合部位)であると考えられる。初期結合バイセルは、その後の二層成長の出発点として作用した。バイセルとのインキュベーションの3時間後に(図2B)、SbpA表面の大部分は膜によって被覆された。二層中の小穴のみがまだ見られた。インキュベーションの8〜12時間後に、SbpA格子の全てが膜によって被覆された。膜は、S層穴をスパンしなかった。該膜が2つのS層シートの間のギャップをスパンするか否かをAFMによって判定することは、不可能であった。高さ分析から、ギャップ上を二層がスパンすることは非常に見込みがあると思われた。DMPC/DCPC膜の厚さは、〜5nmであった(図2D)。サンプルは、4℃の緩衝溶液(10mM HEPES緩衝液、pH7.4、100mM NaCl)中で少なくとも2週間、膜の品質を損なうことなく、貯蔵することができた。
実施例5:チップの再生
SbpA/シリコン担持脂質二層は、ホスホリパーゼA加水分解(図3AとB)又は20mM CHAPS界面活性剤溶液による反復洗浄(図3C、最初の洗浄工程後に画像を撮影した)によって、容易に離脱した(displaced)。(図3Aは、インキュベーションの5時間後の担持卵PC二層のAFM画像を示す)。この実施例では、二層形成は完成しなかった、大きい二層シート間の狭いギャップ(=S層シートの境界に沿ったギャップ)がはっきりと見える。卵PC−二層の厚さは〜5nmであった。図3Bは、ハチ毒液PLAとのインキュベーション後10分間のサンプルを示す。PLAは、sn−3−グリセロ−リン脂質のsn−2アシルエステル結合のレギオ特異的及び立体特異的加水分解を触媒する(Verger, 1997)(Nielsen et al., 1999)。PLA添加後10分間に、強い二層崩壊が観察された。インキュベーションの1時間後に、若干の脂質凝集体のみがS層上に残留した。新鮮なバイセル溶液を加えることによって、チップは脂質二層形成のために数回再使用することができる。
実施例6:修飾された二重層状SbpA格子へのバイセルの添加
幾つかの実験では、バイセル添加の前に、再結晶したSbpAをグルタルアルデヒド又は架橋剤BSによって架橋させた。グルタルアルデヒド架橋後に、特にS層欠損−リムに沿った脂質二層形成の減少が観察された(図3D)。BSによる架橋は、膜形成に全く影響を及ぼさなかった。未修飾SbpA上に残留する二層に目に見える相違は存在しなかった。唯一の相違は、膜形成がやや緩慢であり、長いインキュベーション時間(約12〜15時間)を要したことであった。
実施例7:単層状SbpAへのバイセルの添加
本特許出願における実施例の大部分は、二層状SbpA格子(親水性シリコン上で再結晶)を扱う。比較のために、バイセルを、単層状SbpA(疎水性シリコン・ウェファー即ち、再結晶前にUV/オゾン処理しないウェファー上で再結晶)に加えた。二層状SbpA格子とは対照的に、単層状SbpA格子は穴又は欠損を示さなかった(Gyoervary et al,2003)。結晶シートは共に非常に密接であった。単層状SbpA上ではバイセルの結合も、脂質二層形成も検出することができなかった。
実施例8:S層単層上の修飾バイセルの結合
S層タンパク質格子上のバイセル結合を促進するために、SbpA−ストレプトアビジン−ヘテロテトラマーとビオチニル化バイセルの系を研究した。ストレプトアビジンは、ビオチンのための4結合ポケットを有するテトラマータンパク質である。ビオチン/ストレプトアビジン結合は、最も強力な非共有結合アフィニティ相互作用の結合である。バシラス・スフェリカスCCM2177のSbpAに基づいて、組み換えS層−ストレプトアビジン融合タンパク質が設計され、大腸菌(E.coli)中で発現され、単離され、折り畳んだ状態に戻されて、機能的ヘテロテトラマーが得られている(1つの鎖S層融合タンパク質、プラス3つの鎖コア・ストレプトアビジン)(Moll et al., 2002)。これらのSbpA−ストレプトアビジン融合タンパク質は、担体上で再結晶されて、その後、ビオチニル化バイセルと共にインキュベートされている。ビオチニル化バイセルは、卵PCに、2モル%のビオチニル化脂質(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(カプ−ビオチニル))及びCHAPSを混合することによって、調製されている。AFMによって判明したように、1分間のインキュベーション後に、脂質パッチを実証することができ、このことは、ビオチニル化バイセルがS層融合タンパク質上に結合していることを示唆する。
実施例9:3種類の異なる作製方法によって作製された固体担持脂質膜の特徴付け
(i)バイセル融合:
バイセル融合によって得られる膜は、非常にフラットであり、〜5nmの連続厚さを示す(用いる脂質種に依存する)。S層全体が単独の脂質二層(脂質多層ではなく)で被覆された。大きいS層シート間の小ギャップは、膜によってスパンされた。したがって、脂質二層による担体の被覆は、S層の再結晶特質(recrystallization quality)に関連した(シリコンチップ上の二重層状SbpAの現在の表面被覆:90〜98%)、即ち、S層による固体担体の100%被覆は、単独脂質膜の100%被覆を意味した。膜は非常にクリーン(脂質凝集体の付着も、過剰なバイセルの非特異的な結合も存在しない)であった。
(ii)Langmuir-Blodgettry
Langmuirフィルムは、空気/水の界面における両親媒性分子の単分子組み立てアレイである(Ulman, 1991)。脂質溶液(揮発性溶媒、例えばクロロホルム中に溶解)をLangmuirテフロン(登録商標)−トラフの水面に広げる(サブフェーズ(subphase))。溶媒の蒸発後に、分子の単層が水面に残される。
分子は該表面に広げられると、分子はゆるく詰め込まれて、二次元の「気体状態(gas state)」を形成する。各分子が利用可能な水上の面積は大きく、表面圧は低い。1個若しくは2個のスライディング・バリヤーを用いて、表面圧を高めることができる(各分子に利用可能な表面積は減少する)。最初の相転移は「気体状態」から「液体状態」へであり、これは、液体膨張状態(liquid-expanded state)(LE)としても知られる。さらに圧縮すると、該単層は、液体状態を経て、密接に充填された固体状態になる(液体凝縮状態、LC)。さらに圧縮すると、機械的不安定性のために、単層の崩壊が生ずる。通常、Wilhelmyプレート・センサー系によって測定される表面圧[mN/m]を分子当り面積[nm]の関数としてプロットする。このプロットは、表面圧−面積等温線(Π−A等温線;図8参照)と呼ばれる。
Π−A等温線は、単層安定性、相転移、二次元系における分子の再配向及び立体配座変換に関する重要な情報を与える。単層の相挙動(phase behaviour)は、主として、両親媒性分子の物理的及び化学的性質に、及びサブフェーズの温度と組成に依存する。多くのリン脂質は、LE相とLC相との間に付加的な転移相(L2−L1)を有する。この転移相の位置(表面圧値)は、温度に強く依存する。高温になると、この位置は高い表面圧値に出現し、逆もまた同じである(Roberts, 1990)。
分子がひと度、所望の組織になるまで圧縮されると、単層を通して担体を浸漬することによって、該フィルムを固体担体に移すことができる(Blodgett, 1938)。空気/水−界面から移された単層又は多層は、Langmuir-Blodgettフィルム(LBフィルム)と呼ばれる。通常、LB−移動は、単層中の分子の充分な凝集(cohesion)を保障するほど、表面圧が高い固体状態中で行なわれる。該浸漬プロセスを通してバリヤーを用いることによって、単層を一定表面圧に維持する。重要なパラメーターは、沈着中の表面圧、沈着速度及び固体担体の種類と性質である。沈着中の空気/水−界面上の単層面積の減少と、移される単層で覆われる担体の面積との比率は、「転移比率(transfer ratio)」と呼ばれる。転移比率は、沈着する単層の量の大きさである(理想的な値は1である)(Roberts, 1990; Ulman, 1991)。
空気/水−界面からの単層の水平上昇(horizontal lifting)は、Langmuir-Schaefer移動と呼ばれる。圧縮単層をLangmuirトラフ中に調製して、該単層フィルム上に担体を水平に載せる。担体を持ち上げることによって、該単層は担体上に移される。
固体担体上の複合S層/脂質構造の形成は、種々な方法によって:Langmuir-Schaefer移動と組み合わせたLangmuir-Blodgett法によって、又は小胞(リポソーム)融合、直接リポソーム融合によって、又は改変Langmuir-Blodgett法(Gufler et al., 2004)によって行なうことができる(図9参照)。
第1方法(A)は、直接、固体担体(金、シリコン)上でのS層格子の再結晶を含む。S層は、表面全体を被覆すべきであり、これはAFMによって細心にモニターされる。二層の第1リーフレットを、Langmuirトラフの空気/水界面に形成し、続いて、垂直Langmuir-Blodgett移動によって、S層被覆担体上に沈着させる。第2リーフレットをLangmuir-Schaefer法又は小胞融合のいずれかによって形成する。後者の方法は、プロテオリポソームの融合による、官能分子の同時再構成を可能にする。第2アプローチ(B)では、脂質単層をLangmuirトラフの空気/水界面に形成する。S層タンパク質を該サブフェーズ中に注入して、脂質フィルム上に再結晶させる。その後に、複合S層/脂質構造を空気/水−界面から担体上に垂直に移動させる。Langmuir-Schaefer法又は小胞融合法によって第2リーフレットを形成することによって、二層が完成する。
リン脂質に加えて、膜−スパンニング・テトラエーテル脂質を用いる。後者では、第1脂質沈着工程(垂直Langmuir-Blodgett移動)のみが必要である。
S層被覆担体上への脂質フィルムの移動(方法A)のAFM画像は、膜内に直径0.3〜2μm範囲内の円形穴を示した。S層被覆担体の約75%〜80%の総合膜被覆が観察された。膜厚さは、DPPC二層では、〜6であると測定された。脂質多層や脂質凝集体(脂質二層の崩壊、再組織化及び脱着プロセスによる)を有する面積も検出された。主要な問題は、LB−LS法による、閉じたフィルムの不十分な移動であった。膜作製プロセスは、時間がかかり、再現不能であった、それ故、生成物の品質は強く変化した。リポソーム融合法による膜内の穴を満たすためのリポソームの添加は、膜の品質に何ら改良をもたらさなかった(リポソーム吸着のみ)。膜の絶縁効果は、電気化学的測定(インピーダンス分光法、サイクリック・ボルタンメトリー)によって検出されなかった(Gufler, 2004; Wetzer, 1997)(図7参照)。
方法B(S層/脂質構造の、固体担体上への転移)によって行なった実験は、S層/脂質構造は、該構造を破壊せずに、転移させることができないことを明らかにした。それ故、方法Bは、S層担持脂質膜の調製に適さない(図11参照)。
(iii)リポソーム融合:
リポソームは、球形の脂質二層隣接小胞である。リポソームは、薄い乾燥脂質フィルム又は脂質ケーキを水溶液中で水和することによって作製される。最初に、水和脂質が「オニオン様」の、大きい多層状小胞(MLVs)を形成する。これらの粒子が形成されたならば、明確な直径(50〜200nm以上)を有するポリカーボネート・フィルターを通しての押出成形によって又は界面活性剤の希釈によって、縮小した、均一なサイズを有する大きい単層状小胞(LUVs)を製造することもできる。MLVsの交互凍結解凍サイクルを予め行なうことによって、押出成形が容易になる。MLVsの超音波処理によって、小さい単層状小胞(SUVs)が得られる(直径:15〜50nm)。
小胞の展開と融合による親水性担体上の二層の形成は、多くの研究で報告されている(Kalb et al., 1992; Leonenko et al., 2000; Nollert et al., 1995; Re-Viakine & Brisson, 2000; Jass et al., 2000)。リポソームは表面に吸着して、そのままの状態で留まる(吸着⇒担持小胞層若しくは小胞凝集体)か、又はリポソームは破壊して、平面的な担持二層を形成する(融合)ことができる(Nollert et al., 1995; Leonenko et al., 2000)。吸着、融合及び脱着の動力学は、脂質若しくは脂質混合物の性質、緩衝液の組成、及び固体担体に強く依存する(Kalb et al., 1992)(図12参照)。
AFM画像化(図4参照)、電気化学的測定及び表面プラスモン共鳴測定は、リポソームの添加が主として、S層上への吸着プロセスを生じることを明らかにした。異なる種類のリポソームとS層を用いた。電気化学的測定によって、融合プロセスが検出された、この測定は、チップの極小さい面積のみが二層によって、恐らくは膜パッチによって被覆されていることを示した。リポソームは、好ましくは、吸着して、そのままの状態で留まり、凝集体を形成する。それにも拘わらず、膜を横切ってのKイオンの選択的バリノマイシン仲介輸送を実証することが可能であった(Gufler, 2004)。リポソームが主にS層に吸着することを、QCM−Dによって実証することができた。リポソーム融合は、AFMによっても研究されている。S層被覆担体をリポソームと共にインキュベートした(一晩)後に、可変な量の吸着されたリポソーム若しくはリポソーム凝集体が検出された。このことは、既に以前に、TEMにおいて凍結乾燥サンプルで観察されている(Wetzer, 1997)。二層パッチを有する面積を検出することは殆どできなかった(AFMによる定量的情報は不可能である)。担体表面は、非常に不規則であり、吸着されたリポソーム凝集体によって覆われている。
ペプチド担体へのリポソームの添加(Naumann et al., 1999, 2002)は、S層によって得られたものと同様な、不十分な電気化学的性質を示した。吸着プロセスが効果的であった。ペプチド−テザード(peptide-tethered)二層の不十分な品質にも拘わらず、ウシ・シトクロムcオキシダーゼと、葉緑体からのH−ATPシンターゼを機能的活性形に組み入れて、インピーダンス分光法によって研究した。
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図1は、バイセル形態の概略図である。中央の平面的領域は、長鎖リン脂質によって形成される。リムは、短鎖リン脂質によって安定化される。 図2は、バイセルの融合によるSbpA被覆シリコン・ウェファー上のDMPC/DCPC二層の形成を説明する。(A)DMPC/DCPC−バイセルの添加前の、親水性シリコン上の再結晶したSbpA。(B)DMPC/DCPC−バイセルとのインキュベーションの45分間後のSbpA/シリコン・チップ、S層欠損のリムとクリスタリット境界に沿った膜パッチを示す。 図2は、バイセルの融合によるSbpA被覆シリコン・ウェファー上のDMPC/DCPC二層の形成を説明する。(C)DMPC/DCPC−バイセルとのインキュベーションの3時間後のSbpA/シリコン・チップ。チップの殆ど全体が二層によって被覆された。(A,B,C)左画像:高さモード(Z−範囲=20nm)。右画像:デフレクション・モード(Z−範囲=8nm)。スキャン・サイズ:30x30μm。(D)セクション分析は、〜5nmの二層厚さを明らかにした。スキャン・サイズ:5x5μm 図3は、SbpA/シリコン担持卵PC−二層を示す。左画像:高さモード。右画像:デフレクション・モード。スキャン・サイズ:20x20μm。二層パッチは、卵PC−バイセルとのインキュベーションの5時間後に形成された。(A)ハチ毒液PLAとのインキュイベーション(10分間)前及び(B)後。PLA2は、該二層を完全に加水分解した。Z−範囲(高さ)=20nm;Z−範囲(デフレクション)=10nm。 図3は、SbpA/シリコン担持卵PC−二層を示す。左画像:高さモード。右画像:デフレクション・モード。スキャン・サイズ:20x20μm。二層パッチは、卵PC−バイセルとのインキュベーションの5時間後に形成された。(C)CHAPS処理後(最初の洗浄工程)の卵PC−二層:該二層は、20mM CHAPS溶液による数回の洗浄後に完全に除去することができた。Z−範囲(高さ)=15nm;Z−範囲(デフレクション)=8nm。(D)グルタルアルデヒド処理SbpA上に形成された卵PC−二層。該バイセルを5時間インキュベートした。Z−範囲(高さ)=15nm;Z−範囲(デフレクション)=7nm。 図4は、SbpA/シリコン・チップ上の卵PC−リポソームの吸着を示す、(A)5分間インキュベーション後、及び(B)55分間インキュベーション後。スキャン・サイズ:30x30μm。Z−範囲(高さ)=20nm;Z−範囲(デフレクション)=12nm。 図5は、バイセル融合による二層形成プロセスの概略図である。(SA=セルフ・アセンブリ) (A)再結晶したSbpA上のSCWP残留物の概略図。(B)欠損リムとクリスタリット境界に沿った「反復疎水性パールネックレス」の概略図。 図7は、再結晶したS層内のギャップとステップの概略図である。 図8は、表面圧−面積等温線(Π−A等温線)ダイアグラムを示す。表面圧[mN/m]を分子当り面積[nm]の関数としてプロットする。 図9は、Langmuir-Blodgett法を適用することによる、固体担体上の複合S層/脂質構造の形成を概略的に示す。方法(A)は、固体担体上のタンパク質層の形成と、その後の、空気/水界面に形成された脂質膜の垂直Langmuir-Blodgett転移を含む。方法(B)は、空気/水界面における脂質単層の形成と、その後の、前記単層上のタンパク質層の形成と、該タンパク質/脂質構造の、固体担体への転移を含む。 図10は、Langmuir-Blodgett法とLangmuir-Schaeffer法(LB−LS法)によって形成されたSbpA担持DPPC二層を示す。 図11は、LS法によるシリコン・ウェファー上への転移後の、複合S層/テトラエーテル脂質構造(古細菌、サーモプラズマ・アシドフィルム:Thermoplasma acidophilumのSbpA/主テトラエーテル脂質(MPL))のAFM画像を示す。 図12は、タンパク質層で覆われた固体担体上のリポソームの吸着と部分融合の概略図を示す。

Claims (23)

  1. タンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド及び/又はペプチドを含む層によって少なくとも部分的に覆われた担体を用意する工程と、前記担体を、少なくとも1種類の短鎖リン脂質及び少なくとも1種類の長鎖リン脂質及び/又は少なくとも1種類の界面活性剤を含むバイセルを含む溶液と接触させて、一緒にインキュベートし、それによって、担持された脂質膜を得る工程と、任意に、該担体上に形成された該脂質膜を該担体から取り出す工程とを含む、担持された脂質膜の製造方法。
  2. 該タンパク質、糖タンパク質又はペプチド層を少なくとも1つの官能基によって修飾することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 該少なくとも1つの官能基が、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、グリカン及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項2記載の方法。
  4. 該タンパク質及び/又は糖タンパク質層がS層であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 該担体が実質的に平面状であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 該担体が、シリコン、半導体材料、特に、半導体シリコン、ヒ化ガリウム及びヒ化アルミニウムガリウム、有機又は無機ポリマー、ソリッドステート・ポリマー、及びこれらの混合物から選択される物質を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 該担体の表面が金属及び/又は金属酸化物で被覆されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 金属が金又はアルミニウムであり、金属酸化物が酸化インジウムスズ(ITO)であることを特徴とする、請求項7記載の方法。
  9. 該担体の表面が、化学的又は物理的に修飾されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 該修飾が、電離放射線、原子ラジカル、コロナ処理、シラン基、官能基及びこれらの混合から成る群から選択されることを特徴とする、請求項9記載の方法。
  11. 官能基が、グリカン鎖、特に、二次細胞壁ポリマーであることを特徴とする、請求項10記載の方法。
  12. 該少なくとも1種類の長鎖リン脂質が、炭素原子10〜24個、好ましくは炭素原子12〜20個、特に好ましくは炭素原子14〜18個を有する脂肪酸残基を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 該少なくとも1種類の長鎖リン脂質が、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリステライドイルホスファチジルコリン、ミリストイルパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、ジ−O−テトラデシルホスファチジルコリン、卵−PC、ジ−O−ヘキサデシルホスファチジルコリン、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 該少なくとも1種類の長鎖リン脂質が、カジトカルアーキアル・テトラエーテル脂質、特に、グリセロール−ジアルキル−ノニトール−テトラエーテル脂質(GDNT)とグリセロール−ジアルキル−グリセロール−テトラエーテル脂質(GDGT)、カルアーキアル・テトラエーテル脂質及びこれらの混合物から成る群から選択される、少なくとも1種類のテトラエーテル脂質によって、少なくとも一部分置換されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 該少なくとも1種類の短鎖リン脂質が、炭素原子4〜10個、好ましくは炭素原子6〜8個を有する脂肪酸残基を含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 該少なくとも1種類の短鎖リン脂質が、ジカプロイルホスファチジルコリン(DHPC)、ジカプリロイルホスファチジルコリン(DCPC)、ジカプリルホスファチジルコリン、1,2−ジ−O−ヘキシルホスファチジルコリン及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 該少なくとも1種類の界面活性剤が、3-[(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパン−スルフェート(CHAPS)、3-[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)、ドデシルジメチル−N−アミンオキシド(DDAO)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート・ナトリウム塩、N−ラウロイルサルコシン・ナトリウム塩、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド(OG)、n−ドデシル−β−G−マルトシド(DDM)、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム(DOC)、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  18. ・請求項12〜17のいずれかで定義したとおりの、バイセル及び/又は少なくとも1種類の長鎖リン脂質及び/又は少なくとも1種類の短鎖リン脂質及び/又は少なくとも1種類の界面活性剤、
    ・S層タンパク質、及び
    ・任意に、請求項5〜9のいずれかで定義したとおりの担体
    を含む、担持された脂質膜を製造するためのキット。
  19. S層タンパク質が、安定化形で、好ましくは凍結乾燥形で用意されることを特徴とする、請求項18記載のキット。
  20. 請求項1〜17のいずれかに記載の方法によって得られる、脂質膜又は固体担持脂質膜。
  21. 該脂質が、少なくとも1つの官能基で修飾されることを特徴とする、請求項20記載の膜。
  22. 少なくとも官能基が、ビオチニル−、マレイミド−、スクシニル−,グルタリル−、カルボキサシル−、及び金属キレート化基及びこれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする、請求項21記載の膜。
  23. タンパク質層で少なくとも一部被覆された担体上の脂質膜又は固体担持脂質膜を製造するための、請求項1〜16のいずれかで定義されたバイセルの使用。
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