JP2007112634A - コンクリート成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】間伐材などから製炭してなる木炭を多量に含み、資源を有効活用できるとともに保水性に優れ、しかも曲げ強度を高めて車両の乗り入れ部分にも適用可能なコンクリート成形体を提供する。
【解決手段】セメントと骨材とを主要素材とした第1層2と、棒状炭3及び粒状炭4とセメントと骨材と繊維材と混和剤とを主要素材とした第2層5とからなり、第1層2の素材と第2層5の素材とをそれぞれ混合して、プレス成型機の型内に積層状に充填し、加振しながら設定形状に圧縮して固化した。
【選択図】図2

Description

本発明は、歩道及び車道の敷石や建築物における内壁や天井や床材、漁礁や消波や護岸などにおける特殊建材として利用可能なコンクリート成形体に関する。
木炭を用いたコンクリート成形体として、木炭並びに竹炭、果実の殻の炭化物を粉砕し、これを主体にして、パルプ又は樹脂繊維とセメントとを組み合わせ、水を加えて混練し、ブロック形状に加圧成形して乾燥させてなるチャコールブロックや、木炭粉粒とセメントと木酢液と木繊維を混ぜ合わせ、これに圧力をかけてブロック状に成形し、成形後一定期間乾燥させて製作した木炭ブロックが知られている(例えば、特許文献1参照、特許文献2参照。)。
前記木炭ブロックは、軽量でしかも自然環境に優しいことから、最近注目されているが、粉粒状の木炭を用いていることから、排水性やクッション性を十分に確保できないという問題があり、しかも意匠的にも単純で面白味に欠けるものであった。また、コンクリートブロックと比較して軽量であることから、敷石等として用いる場合には、木炭ブロックがガタツクという問題があり、実用化に対する大きな障害になっていた。
そこで、本出願人は、特許文献3において、木炭片と樹脂バインダーとセメントと骨材とを主要素材とし、設定形状に圧縮して固化してなる敷石を提案し、実施している。
実開平4−98914号公報 特開平11−131633号公報 特開2004−116147号公報
しかし、この特許文献3記載の敷石は、軽量でしかも自然環境に優しいことから、最近注目されているが、基本的には遊歩道での使用を前提として製作されたもので、木炭片として、長さが2cm〜5cmで、断面積が0.6cm2〜0.8cm2の比較的大きな木炭を多量に含み、曲げ強度を十分に確保できないことから、車両の乗り入れ部分への適用が困難であるという問題があった。また、樹脂バインダーを使用していることから、紫外線による経年劣化により、更に強度が低下するという問題もある。
本発明の目的は、間伐材などから製炭してなる木炭を多量に含み、資源を有効活用できるとともに保水性に優れ、しかも曲げ強度を高めて車両の乗り入れ部分にも適用可能なコンクリート成形体を提供することである。
本発明者は、自然環境に適合し、しかも歩道及び車道の両方での利用が可能な舗装材について鋭意検討し、間伐材の有効利用商品としてリサイクル率51%以上の保水性リサイクル舗装材を実現すべく種々の試験を行って、本発明を完成するに至った。
請求項1に係るコンクリート成形体は、棒状炭及び粒状炭とセメントと骨材と繊維材と混和剤とを主要素材とし、設定形状に圧縮して固化してなるものである。
このコンクリート成形体では、棒状炭が相互に絡まって、その隙間に粒状炭が配置されるので、多孔質な棒状炭により保水性を十分に確保しつつ、粒状炭により成形体に含まれる炭の量を増やすことができる。また、圧縮成形することで棒状炭同士の絡まりが強くなり、木炭紛を用いた場合よりも、軽量でありながら、十分な強度を確保することが可能となる。特に、振動を加えながら圧縮成形すると、棒状炭同士の絡まりがより一層強くなるので好ましい。建築物の壁材や天井材などとして使用した場合には、棒状炭及び粒状炭により湿気や臭気も吸収できるので居住環境を改善することも可能となる。また、繊維材を配合させているので、コンクリート成形体の強度を一層高めることができる。
本発明に係る第2のコンクリート成形体は、セメントと骨材とを主要素材とした第1層と、棒状炭及び粒状炭とセメントと骨材と繊維材と混和剤とを主要素材とした第2層とからなり、第1層と第2層とを積層し、設定形状に圧縮して固化してなるものである。
この第2のコンクリート成形体では、第2層が前記第1のコンクリート成形体と同様の主用素材を用いて成形されるので、第1のコンクリート成形体と同様の作用が得られる。また、第1層としてセメントと骨材とを主要素材とし、一般的な構成のコンクリートブロックと同様の素材からなるものを用いているので、この第1層が表面側に配置されるようにコンクリート成形体を施工することで、コンクリート成形体の強度剛性を高めることができる。しかも、この第1層は、コンクリート成形体によるリサイクル率及び保水性能を高めるため、比較的薄肉(例えばコンクリート成形体の厚さの5%〜20%の厚さ)に設定され、しかも炭が入っていないので、この第1層の素材に顔料を配合することで、顔料の使用量を少なくしつつ、コンクリート成形体の表面部を綺麗に着色することができる。但し、第1層の骨材として天然石を用いて、天然石の風合いや色合いでコンクリート成形体の意匠性を高めることもできる。また、このコンクリート成形体においても、振動を加えながら圧縮成形することで、棒状炭同士の絡まりがより一層強くなるので好ましい。
ここで、前記棒状炭及び粒状炭の容積率は、35%未満の場合には、骨材と合わせたときの重量比が低くなって、適正リサイクル率(51%以上)を満たすことができず、また55%を越えると、成型2週間後の曲げ強度が、車両の乗り入れ可能な規格値(5N/mm2以上)よりも低くなることから、35〜55%に設定することが好ましい。
前記棒状炭に対する粒状炭の容積率は、25%未満の場合には、棒状炭の隙間に入る粒状炭が少なくなり保水力が低減し、また45%を越えると、軟質である炭の量が増えて強度が低下することから、25〜45%に設定することが好ましい。また、棒状炭の容積が増えると、木材チップと同様に、プレス成形時に弾性能力を持ち、上手く成形できないという問題もある。尚、棒状炭及び粒状炭としては、炭化温度800℃以下の比較的軟質なものを採用できる。
前記棒状炭の長さを5〜30mm、直径を0.5〜6mmに設定し、粒状炭の粒径を5mm以下に設定することが好ましい。即ち、棒状炭のサイズがこの数値よりも大きいと、材料練り工程においてセメントと反応させるのに必要な水分が棒状炭の微細孔に吸収されて水分調整が困難になり、棒状炭のサイズがこの数値未満の場合には、棒状炭による保水性能が十分に得られなくなる。また、粒状炭のサイズがこの数値を超える場合には、ランダム配位となる棒状炭の隙間へ粒状炭が入り込まなくなる現象が発生し、リサイクル率が低下するとともに、コンクリート成形体の強度が低下する。
前記混和剤として、無機質系混和剤を用いると、紫外線による経年劣化を防止して、コンクリート成形体の耐久性を向上できるので好ましい。
前記繊維材として、天然繊維からなるものを用いると、コンクリート成形体の強度を高めつつ、環境に優しいコンクリート成形体を実現できる。繊維材としては、取り扱いが容易でしかもコンクリート成形体の十分な強度を確保するため、繊維長を5〜20mmに設定したものを用いることが好ましい。天然繊維としては、木質系繊維や竹繊維や椰子繊維などを好適に採用できる。但し、繊維材として、ビニロン繊維等の化学繊維や、化学繊維と天然繊維を混合した繊維を用いることも可能である。
本発明に係る第1のコンクリート成形体によれば、棒状炭及び粒状炭と繊維材を配合させているので、木炭紛のみを用いた場合よりも、軽量でありながら、十分な強度を確保することが可能となり、遊歩道や並木道や歩道などのインターロッキングブロックに適用できることは云うまでもなく、車道や駐車場などの舗装材としても使用でき、また河川や護岸等の敷石、擁壁材など各種土木資材に用いたり、天井材や壁材や床材などの各種建築資材に用いたり、或いはパーテーションやテーブルの天板や椅子などの各種家具類に用いることもできる。しかも、建築物の壁材や天井材などとして使用した場合には、湿気や臭気も吸収できるので居住環境を改善できる。また、棒状炭の微細孔に微生物が生息できるので、水質浄化目的としても利用できる。
本発明に係る第2のコンクリート成形体によれば、第1のコンクリート成形体と同様に効果が得られる。加えて、第1層が表面側に配置されるようにコンクリート成形体を施工することで、コンクリート成形体の強度剛性を高め、コンクリート成形体の経年劣化を抑制できる。しかも、この第1層に顔料を配合することで、顔料の使用量を少なくしつつ、コンクリート成形体の表面部を綺麗に着色することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1、図2に示すように、コンクリート成形体1は、セメントと骨材とを主要素材とした第1層2と、棒状炭3及び粒状炭4とセメントと骨材と繊維材と混和剤とを主要素材とした第2層5とからなり、第1層2及び第2層5の素材をそれぞれ設定割合で配合して混練し、プレス成型機の型内へ第1層2の素材と第2層5の素材とを積層状に充填し、プレス成型機により設定形状に加振しながら圧縮して固化してなるものである。
コンクリート成形体1は、歩道や車道等の施工時に使用されるインターロッキングブロックで、高さ61mm、幅99mm、長さ199mmの略直方体のブロック状に成形されたものである。コンクリート成形体1の形状やサイズは、その用途などに応じて任意に設定できる。また、第1層2を省略したコンクリート成形体も本発明の範疇である。但し、本発明は、インターロッキングブロック以外に、車道や駐車場などの舗装材、河川や護岸等の敷石、擁壁材など各種土木資材、天井材や壁材や床材などの各種建築資材、パーテーションやテーブルの天板や椅子などの各種家具類に適用することができる。
次に、コンクリート成形体1を構成する素材について説明する。但し、第1層2及び第2層5におけるセメントと骨材は共通の素材を採用できる。
セメントとしては、石灰石、粘土、珪石、酸化鉄及び石こう等などを設定の割合で配合して製作した普通ポルトランドセメントを採用できる。
骨材としては、砂、砂利、砕石など周知の骨材を利用できる。
混和剤としては、無機質系混和剤を用いることが紫外線による経年劣化を防止する上で好ましいが、有機質系混和剤を用いることも可能である。
無機質系混和剤としては、AE(エントラップエア)や減水剤を好適に採用できる。
有機質系混和剤としては、ユリア樹脂系、ポリ酢酸ビニルを中心とするエマルジョン系、メラミン樹脂系、ゴム系、フェノール樹脂系、エポキシ樹脂系などの有機質系混和剤を利用できる。特に、コンクリート成形体1の強度剛性を十分に確保可能なエマルジョン系の有機質系混和剤を用いることが好ましい。
棒状炭3及び粒状炭4の炭材としては、ナラ、クヌギ、カシなどの木材を好適に利用できるが、竹等を炭材として利用することも可能である。特に、間雑材、根株、枝打ちした枝葉、製材過程で発生する端材など、建築資材等として使用に適さない各種木材を採用することが、資源を有効活用する上で好ましい。
棒状炭3は、これらの炭材をハンマー等で打撃して細かく粉砕した後、これを炭化させ、設定サイズの貫通孔を形成したパンチングメタルなどのメッシュの篩にかけて残った棒状の破砕炭を好適に利用できる。このように、ハンマーなどで粉砕した木片は、基本的には繊維方向に細長い、ささくれ立った木片となり、このような木片を炭化処理した木炭片は、ささくれ立った部分が一部残った細長い歪な形状となり、混和剤やセメントの接触面積が大きくなるとともに、棒状炭3同士が相互に絡まり易くなって、コンクリート成形体1の強度を高めることができる。粒状炭4としては、棒状炭3の製作時にメッシュを通過した木炭の細片を更にミル等で粉砕して、設定サイズに調整したものを好適に利用できる。
棒状炭3及び粒状炭4の容積率は、35%未満の場合には、例えば骨材と合わせたときにおける重量比が低くなって、適正リサイクル率(51%以上)を満たすことができず、また55%を越えると、成型2週間後の曲げ強度が、車両の乗り入れ可能な規格値(5N/mm2以上)よりも低くなることから、35〜55%に設定することが好ましい。また、棒状炭3に対する粒状炭4の容積率は、25%未満の場合には、棒状炭の隙間に入る粒状炭が少なくなり保水力が低減し、また45%を越えると、軟質である炭の量が増えて強度が低下することから、25〜45%に設定することが好ましい。
棒状炭3の長さは5〜30mm、直径は0.5〜6mmに設定することが好ましく、粒状炭4の粒径は5mm以下に設定することが好ましい。即ち、棒状炭3のサイズがこの数値よりも大きいと、材料練り工程においてセメントと反応させるのに必要な水分が棒状炭3の微細孔に吸収されて水分調整が困難になり、棒状炭3のサイズがこの数値未満の場合には、棒状炭3による保水性能が十分に得られなくなる。また、粒状炭4のサイズがこの数値を超える場合には、ランダム配位となる棒状炭3の隙間へ粒状炭4が入り込まなくなる現象が発生し、リサイクル率が低下するとともに、コンクリート成形体1の強度が低下する。棒状炭3の長さは、粒状炭4の直径の1.2〜10倍に設定することになる。尚、棒状炭3及び粒状炭4の直径とは、棒状炭3及び粒状炭4が通過可能な貫通孔の最小径を意味する。
繊維材としては、ガラス繊維、炭素繊維、天然繊維、化学繊維などの繊維材を用いることができる。化学繊維としては、靭性に優れたビニロン繊維が好適である。また、天然繊維としては、木質系繊維や竹繊維や椰子繊維などを好適に採用できる。天然繊維を用いると、コンクリート成形体1の強度を高めつつ、環境に優しいコンクリート成形体1を実現できる。繊維材としては、取り扱いが容易でしかもコンクリート成形体1の十分な強度を確保するため、繊維長を5〜20mmに設定してものを用いることが好ましい。
次に、コンクリート成形体1の製造方法について説明する。
先ず、間雑材、根株、枝打ちした枝葉、製材過程で発生する端材などの木材を粉砕して、これを例えば600℃で6時間加熱して炭化させてから、多数の貫通孔を形成した孔径の異なる2種類のパンチングメタルからなる篩にかけて、設定サイズ範囲の直径の木炭片だけを選別して、長さが5〜30mmで直径が0.5〜6mmの棒状炭3を得る。一方、小径の貫通孔を形成した篩を通過した木炭片及び大径の貫通孔を形成した篩に残った木炭片を集め、これをミルにて粉砕し、更に設定サイズの貫通孔を形成した篩にかけて、粒径が5mm以下の粒状炭4を得る。但し、加熱温度は、木材が焼失しない程度の温度、例えば400℃〜700℃の任意の温度に設定でき、加熱時間は加熱温度に応じて適宜に設定するものとする。
次に、第1層2を構成する素材としての、セメントと骨材と混和剤と水とを計量して設定割合で混合機に投入し、これらを一様に混合する。一方、第2層5を構成する素材としての、棒状炭3及び粒状炭4と、セメントと、骨材と、繊維材と、混和剤と、水とを計量して設定割合で混合機に投入し、これらを一様に混合する。
次に、プレス成型機の型内に第2層5を構成する混合素材を投入してから、第1層2を構成する混合素材を投入し、加振しながら油圧力において0.5〜1.5kg/cm2で加圧してコンクリート成形体1の形状に成形して、コンクリート成形体1を得ることになる。
コンクリート成形体の斜視図 コンクリート成形体の要部断面斜視図
符号の説明
1 コンクリート成形体 2 第1層
3 棒状炭 4 粒状炭
5 第2層

Claims (8)

  1. 棒状炭及び粒状炭とセメントと骨材と繊維材と混和剤とを主要素材とし、設定形状に圧縮して固化してなるコンクリート成形体。
  2. セメントと骨材とを主要素材とした第1層と、棒状炭及び粒状炭とセメントと骨材と繊維材と混和剤とを主要素材とした第2層とからなり、第1層と第2層とを積層し、設定形状に圧縮して固化してなるコンクリート成形体。
  3. 前記棒状炭及び粒状炭の容積率を35〜55%に設定した請求項1又は2記載のコンクリート成形体。
  4. 前記棒状炭に対する粒状炭の容積率を25〜45%に設定した請求項1〜3のいずれか1項記載のコンクリート成形体。
  5. 前記棒状炭の長さを5〜30mm、直径を0.5〜6mmに設定し、粒状炭の粒径を5mm以下に設定した請求項1〜4のいずれか1項記載のコンクリート成形体。
  6. 前記混和剤が無機質系混和剤からなる請求項1〜5のいずれか1項記載のコンクリート成形体。
  7. 前記繊維材が天然繊維からなる請求項1〜6のいずれか1項記載のコンクリート成形体。
  8. 前記繊維材の繊維長を5〜20mmに設定した請求項1〜7のいずれか1項記載のコンクリート成形体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2023060787A (ja) * 2021-10-18 2023-04-28 学校法人足利大学 竹繊維による舗装用ブロックおよびその製造方法
CN116375427A (zh) * 2023-04-13 2023-07-04 中建海龙科技有限公司 一种低碳型高性能再生混凝土及其制备方法

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