JP2007112151A - インクジェット記録装置用インクカートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】流路抵抗が少なく、設計の自由度が高くなるインクカートリッジを提供する。
【解決手段】底面にインク供給口4を備えた容器本体2を壁10により上下に2分割して下部側に第1インク室11を、上部側に第1インク室11およびインク供給口4に連通する第3インク室17を配置させ、上記第3インク室17に収容された差圧弁の上流側に、ブロック状の第1フィルタ7と板状の第2フィルタ55とを選択的に配置しうるように構成したことにより、従来ほどフィルタ面積を確保しなくてすむため、カートリッジ1自体の小型化が可能となるうえ、流路設計に対する制約が少なくなり、設計の自由度が高くなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、印刷信号に対応してインク滴を吐出する記録ヘッドにインクを適正な負圧状態で供給しうるインクジェット記録装置用インクカートリッジに関するものである。
一般に、インクジェット記録装置は、記録用紙の紙幅方向に往復動するキャリッジに、印刷信号に対応してインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッドを搭載し、外部のインクタンクから記録ヘッドにインクを供給するように構成されている。このようなインクタンク等のインク貯蔵容器は、小型の記録装置にあってはキャリッジに着脱可能に搭載され、大型の記録装置にあっては函体に設置されてインク供給チューブにより記録ヘッドに接続されている。
キャリッジに搭載されるインクカートリッジは、内部にスポンジ等の多孔質材を収容し、この多孔質材にインクを含浸させるタイプや、インクのみが収容されたインク収容部の供給口近傍に差圧弁を配置したタイプのものがある。
これらのインクカートリッジにおいては、多孔質材および差圧弁によって記録ヘッドのノズル開口にかかるインク圧力を所定の値にすることができ、ノズル開口からのインク漏れの防止が可能になっている。また、これらのインクカートリッジにおいては、インク供給口近傍にフィルタが配置されており、これらのフィルタによってインク中の異物や気泡をトラップしうるようになっている。上記フィルタは、記録ヘッドへのインクの供給能力を考慮した流路抵抗や、異物や気泡のトラップ能力などを考慮して設計されている。
本発明は、上記インクカートリッジに用いられるフィルタに関するものであり、以下の事項を目的とするものである。
第1に、所望の流路抵抗が小さく、設計の自由度が高く、製造工程も簡略化でき、リサイクル性にも優れたインクカートリッジの提供である。
第2に、インクの種類や要求される特性によって選択可能なフィルタを有するインクカートリッジの提供である。
上記目的を達成するため、本発明のインクジェット記録装置用インクカートリッジは、インク供給口を備えた容器と、上記インク供給口に連通する負圧発生手段とを備えたインクカートリッジであって、上記負圧発生手段より上流側にブロック状の第1フィルタ部材が配置されていることを第1の要旨とする。
また、本発明のインクジェット記録装置用インクカートリッジは、インク供給口を備えた容器と、上記インク供給口に連通する負圧発生手段とを備えたインクカートリッジであって、上記負圧発生手段より上流側の流路に、ブロック状の第1フィルタ部材と板状の第2フィルタ部材とを選択的に配置しうるように構成されていることを第2の要旨とする。
すなわち、本発明の第1のインクジェット記録装置用インクカートリッジは、負圧発生手段より上流側にブロック状の第1フィルタ部材が配置されている。このように、板状フィルタでインクをろ過するのではなくブロック状の第1フィルタ部材でインクをろ過しうることから、ろ過面積が小さくなって流路抵抗が低くなる。したがって、従来ほどフィルタ面積を確保しなくてすむため、カートリッジ自体の小型化が可能となるうえ、流路設計に対する制約が少なくなり、設計の自由度が高くなる。また、ブロック状の第1フィルタは、流路に装填するだけで異物に十分な捕捉が可能であることから、板状フィルタを使用するときのようなフィルタを溶着する工程が不要で製造工程も簡略化することができる。
また、本発明の第2のインクジェット記録装置用インクカートリッジは、負圧発生手段の上流側に、ブロック状の第1フィルタ部材と板状の第2フィルタ部材とを選択的に配置しうるように構成されている。これにより、使用するインクの種類によってフィルタ部材を使い分けることができるようになる。
本発明のインクジェット記録装置用インクカートリッジにおいて、上記第1フィルタ部材と第2フィルタ部材の少なくとも一方が容器と同種の材料から形成されている場合には、使用済みのカートリッジをリサイクルする際、そのまま廃プラスチックとして粉砕等することができ、リサイクル性に優れている。
本発明のインクジェット記録装置用インクカートリッジにおいて、第1フィルタ部材と第2フィルタ部材の双方が装填されている場合や、第1フィルタ部材が収容される第1フィルタ収容室と、第2フィルタが収容される第2フィルタ収容室とが隣接されている場合には、特性の異なる2種類のフィルタ部材で効果的に異物をトラップできる。
本発明のインクジェット記録装置用インクカートリッジにおいて、容器の底面にインク供給口が形成され、上記容器が壁により上下に2分割され、下部側にインク収容室が配置され、上部側に上記インク収容室およびインク供給口に連通する負圧発生手段が配置されている場合には、負圧発生手段によって内部のインク圧力を調整しているインクカートリッジにおいて、流路抵抗が小さくて設計の自由度が高く、製造工程も簡略化できてリサイクル性にも優れたインクカートリッジとなる。あるいは、インクの種類や要求される特性によって選択可能なフィルタを有するインクカートリッジとなる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1および図2は、本発明のインクジェット記録装置用インクカートリッジ(以下「カートリッジ」という)の一実施の形態を示す分解斜視図である。このカートリッジ1は、一方の面(図1における右側面)が開口した扁平な矩形状の容器本体2と、上記開口を封止する蓋体3とを備えている。上記容器本体2および蓋体3は、いずれも合成樹脂から形成されている。
図3は、上記容器本体2を開口側から見た状態を示す。上記容器本体2の挿入方向の先端面(この例では下面)には、インク供給口4が形成され、図3における左右の側面にはそれぞれ係止部材5,6が容器本体2と一体的に形成されている。上記インク供給口4にはインク供給針の挿通により開弁する弁体(図示せず)が収容されている。なお、図1および図2において、2Bはインク供給口4側の係止部材5の下部に設けられる記憶手段(図示せず)を収容する凹部である。
上記容器本体2の内部は、略水平方向でインク供給口4の側に若干下り傾斜となるように延びる壁10により上下に2分割されている。上記壁10より下側の領域は、インクが収容される第1インク室11に形成されている。
上記壁10より上側の領域は、壁10を含む枠状部14により容器本体2の内壁面と略一定の隙間を持たせて区画されている。上記枠状部14と容器本体2の内壁面との間に形成された隙間と、上記枠状部14のバルブ収容室8側に設けられた壁12とにより、通孔67を介して第1インク室11を大気と連通させる大気連通路13,13'が形成されている。上記壁12と容器本体2の外周壁とに蓋体3が融着されて大気連通路13'が形成されている。
上記枠状部14の内部は、底部にインクが流通する連通口15Aが形成された縦方向に延びる壁15により左右に分割されている。そして、上記壁15で分割された図示の右側に位置する領域は、第1インク室11のインクを吸い上げて一時貯留する第2インク室16に形成されている。また、図示の左側に位置する領域は、膜弁52やばね50等から構成される差圧弁が収容される第3インク室17に形成されている。
上記第1インク室11の第2インク室16に対応する領域には、第2インク室16と容器本体2の底面2A近傍との間を接続して第1インク室11のインクを第2インク室16に導入する連通流路18が形成されている。上記連通流路18の下部には、周囲が壁19で囲まれた矩形の領域が形成され、上記壁19には、その下部と上面とにそれぞれ連通口19A,19Bが形成されている。
上記連通流路18は、容器本体2の表面(以下、容器本体2の開口側と反対側の面を「容器本体2の表面」という)に溝状の凹部18Aを形成し、この凹部18Aを遮気性のフィルム(図示せず)で封止することにより形成されている。
そして、上記連通流路18は、その上部が連通口47を介して第2インク室16と連通し、下部の壁19で囲まれた矩形の領域内に開口部(図示せず)が形成されて第1インク室11と連通している。これにより、第1インク室11と第2インク室16と連通流路18を介して連通され、第1インク室11のインクが第2インク室16に導入されうるようになっている。
また、容器本体2の底面2Aには、その連通流路18に対向する箇所に、第1インク室11にインクを注入する際に用いられるインク注入口20が形成されている。さらに、上記インク注入口20の近傍には、インク注入の際に空気を排出する空気排出口21が形成されている。
上記第3インク室17には、枠状部14の上面14Aとの間で所定間隔を隔てて横方向に延びる壁22が形成されている。また、上記第3インク室17は、上記壁22に連続した略円弧状を呈する壁24によって区画され、上記壁24に囲まれた部分が、差圧弁収容室33と第2フィルタ収容室34が形成される領域になっている。
上記略円弧状の壁24で囲まれた領域と対向する領域の、厚み方向の表面側に差圧弁収容室33を形成するとともに、開口側に第2フィルタ収容室34を形成するよう壁25により厚み方向に2分割されている。上記第2フィルタ収容室34の内部には、第2フィルタ55が溶着されて第2フィルタ55を固定する筒形のフィルタ取付部31が形成されている。上記壁25には、第2フィルタ55を通過したインクを差圧弁収容室33に導くインク流通口25Aが設けられている。
上記略円弧状の壁24の下部には、壁10との間に連通口26Aを備えた区画壁26が形成され、この壁26より下流側(図3における左側)が第4インク室23に形成されている。また、上記略円弧状の壁24と枠状部14との間には下部に連通口27Aを備えて縦方向に延びる区画壁27、および上下に連通口32A,32Bを備えて縦方向に延びる区画壁32が設けられ、インク流路28A,28Bが形成されている。
また、上記壁27の上端部に連続するとともに、略円弧状の壁24および壁22に接続されるよう形成された円弧状の壁30が形成されている。そして、上記円弧状の壁30に囲まれた領域が、ブロック状(この例では円柱状)の第1フィルタ7が収容される第1フィルタ収容室9に形成されている。
そして、上記第1フィルタ収容室9を形成している円弧状の壁30にまたがって、大円と小円を連結した形状の貫通穴29が形成されている。そして、上記貫通穴29の大円側がインク流路28Aの上部に連通し、貫通穴29の小円側が、略円弧状の壁24の先端部に設けられた連通口24Aを介して第2フィルタ収容室34の上部に連通している。これにより、上記貫通穴29を介してインク流路28Aと第2フィルタ収容室34とが連通している。
そして、第2インク室16から連通口15A,26A,32B,27A等を通過してインク流路28Aに流入したインクは、第1フィルタ収容室9の第1フィルタ7でろ過されて貫通穴29の大円側に流れ込む。ついで、貫通穴29に流入したインクは、貫通穴29の小円側から連通口24Aを介して第2フィルタ収容室34に流れ込むようになっている。
一方、上記差圧弁収容室33の下部とインク供給口4とは、表面側に形成された溝状の凹部35と、この凹部35を覆う遮気性フィルム(図示せず)とからなる流路により連通されている。これにより、第2フィルタ収容室34に流入したインクは、第2フィルタ55でろ過されてインク流通口25Aを通過し、差圧弁収容室33を通って凹部35で形成される流路からインク供給口4に流れるようになっている。
ここで、上記第1フィルタ7が第1フィルタ収容室9に装填された状態を図4に示す。このように、上記カートリッジ1では、板状の第2フィルタ55でインクをろ過するのではなくブロック状の第1フィルタ7でインクをろ過することが可能となる。
上記ブロック状の第1フィルタ7としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成繊維をブロック状に集積させたものを用いることができる。このように、第1フィルタ7を構成する材質として、容器本体2や蓋体3等のカートリッジ1を構成する部材の材質と同種の合成樹脂材料から形成したことにより、使用済みのカートリッジ1をリサイクルする際、そのまま廃プラスチックとして粉砕等することができ、リサイクル性に優れたものとなる。
また、上記第2フィルタ55が第2フィルタ収容室34に装填された状態を図5に示す。このように、上記カートリッジ1では、差圧弁の上流側に、ブロック状の第1フィルタ7と板状の第2フィルタ55とを選択的に配置することが可能となる。
一方、容器本体2の表面には、なるべく流路抵抗が高くなるよう蛇行する細溝36と、上記細溝36に連通し、差圧弁収容室33および細溝36の周囲を囲む幅広の溝37とが形成されている。また、上記容器本体2の表面には、その第2インク室16に対応する領域に矩形状の凹部38が形成されている。
上記矩形状の凹部38内には、一段下がりの状態で枠部39およびリブ40が形成されている。そして、これらに發インク性を有する通気性フィルム(図示せず)が張設されることにより、上記矩形状の凹部38内が、細溝36および溝37を介して大気に連通する大気通気室に形成されている。
上記凹部38の奥面には貫通穴41が穿設され、第2インク室16内の壁42で区画された細長い領域43に連通されている。また、上記凹部38の通気性フィルムよりも表面側の領域には細溝36が連通している。さらに、上記細長い領域43の貫通穴41と反対側の端部には貫通穴44が穿設されている。この貫通穴44は、容器本体2の表面側に形成された連通用の溝45、および上記溝45と連通するよう穿設された貫通穴46を介して大気開放弁室であるバルブ収容室8に連通されている。
バルブ収容室8は、そのカートリッジ挿入側(この実施例では下側)が開放されていて、記録装置本体に設けられた識別片およびバルブ作動杆が進入可能に形成され、上部に、作動杆の進入により開弁して常時開放弁状態を維持する大気開放弁が収容されている。
図6は、前述の第2フィルタ収容室34および差圧弁収容室33近傍の断面構造を示す。なお、図示の右側が差圧弁収容室33のある容器本体2の表面側である。上記差圧弁収容室33には、バネ50とエラストマー等の弾性変形可能な材料により構成され、中心に貫通穴51を備えた膜弁52が収容されている。上記膜弁52はその周囲が環状の厚肉部52Aを有し、この厚肉部52Aに一体に形成された枠部54を介して容器本体2に固定されている。また、上記バネ50は、一端が膜弁52のバネ受け部52Bに当接され、他端が差圧弁収容室33を蓋する蓋体53のバネ受け部53Aに当接されて支持されている。
なお、図において、56,57は容器本体2の表面側および開口面側に貼付された遮気性フィルムである。遮気性フィルム56は、壁10,15,22,24,30,42,枠状部14,区画壁26,27,32と溶着されている。
このような構成により、第2フィルタ55を通ってインク流通口25Aを通過したインクは、膜弁52によって流通を阻止される。この状態でインク供給口4の圧力が低下すると、その負圧により膜弁52がバネ50の付勢力に抗して弁座部25Bから離れ、インクは貫通穴51を通過して凹部35で形成された流路を経由してインク供給口4に流れ込む。
インク供給口4のインク圧力が所定の値に上昇すると、膜弁52がバネ50の付勢力によって弁座部25Bに弾接され、インクの流通が遮断される。このような動作を繰り返すことにより一定の負圧を維持しながらインクをインク供給口4から排出することができる。
図7は、大気連通用のバルブ収容室8の断面構造を示す。上記バルブ収容室8を区画する壁には貫通穴60が穿設され、ここにゴム等の弾性部材により構成された押圧部材61がその周囲を容器本体2に支持されて移動可能に挿入されている。上記押圧部材61の進入側の先端には、弾性部材62に支持されて貫通穴60に常時付勢された弁体65が配置されている。上記弾性部材62は、この例では下端が突起63で固定され、中央部が突起64で規制された板バネが用いられている。
一方、上記押圧部材61の反対側には、アーム66が配置されている。上記アーム66は、そのカートリッジ1の挿入方向側(この例では下端)が、後述する作動杆70より内側に位置する回動支点66Aを介して容器本体2に固定されている。また、上記アーム66は、その引き抜き側(この例では上部側)が作動杆70の進入路に斜めに突出している。上記アーム66の先端には、押圧部材61を弾圧する凸部66Bが形成されている。このような構成により、弁体65の開弁時に、第1インク室11の上部に設けられた通孔67が貫通穴60を介して大気連通用の凹部38に接続される。
また、上記バルブ収容室8には、アーム66よりも挿入側(この例では下側)に記録装置に対するカートリッジ1の適否を判断するための識別用凸部68が設けられている。この識別用凸部68は、インク供給針72にインク供給口4を連通させる前でかつ弁体65を開弁させる前に、識別片(作動杆)70による判定が可能な位置に設けられている。
このような構成により、図8に示したように下面に作動杆70が立設されたカートリッジホルダ71にカートリッジ1が装填されると、作動杆70が傾斜したアーム66に当接し、カートリッジ1の押込みとともに凸部(押圧部材)61を弁体65の側に傾斜させる。これにより弁体65が貫通穴60から離れ、前述した貫通穴46、溝45、貫通穴44、領域43、貫通穴41を介して大気連通用の凹部38を大気に開放させる。
また、カートリッジホルダ71から引き抜かれた場合には、アーム66が作動杆70の支持を失うため、弾性部材62の付勢力により弁体65が貫通穴60を封鎖し、インク収容領域と大気との連通を断つ。なお、図において、符号72はインクジェット記録ヘッド73にインクを供給するインク供給針を示す。
つぎに、上記のように弁等の全ての部材が容器本体2に組み込まれた状態で、表面には、少なくとも凹部が形成されている領域を覆うように遮気性フィルムを貼付する。これにより、表面側には凹部とフィルムにより大気連通路となるキャピラリが形成される。
また、容器本体2の開口部には、前述した各壁に対して気密的になるよう、遮気性フィルム56が熱溶着等により貼着される。そして、そのうえから蓋体3をかぶせて溶着等により固定される。これにより、各壁によって区画された領域が連通口や開口を介してのみ連通するように封止される。
さらに、バルブ収容室8の開口側も、同様に熱溶着により遮気性フィルム56'で封止され、カートリッジ1に仕上げられる。このようにインク収容領域を遮気性フィルム56等により封止する構造を採ることにより、容器本体2を容易に成形できるばかりでなく、キャリッジの往復動に起因するインクの揺動を遮気性フィルム56の膜変形により吸収してインク圧力をなるべく一定に維持することが可能となる。
ついで、インク注入口20にインク注入管を挿通するとともに、空気排出口21を開放した状態で、十分に脱気したインクを注入する。注入が完了した後、インク注入口20および空気排出口21をフィルムや栓体で封止する。
このように構成されたカートリッジ1は、弁等により大気との連通が断たれて保存されるため、インクの脱気度が十分に維持される。
そして、カートリッジ1をカートリッジホルダ71に装填する際、当該カートリッジホルダ71に適合したカートリッジ1である場合には、インク供給口4がインク供給針72に挿通される位置まで進入し、また前述したように作動杆70により貫通穴60が開放され、インク収容領域が大気に連通し、またインク供給口4のバルブもインク供給針72により開弁される。
一方、当該ホルダに適合しない場合には、インク供給口4がインク供給針72に到達する前に、識別用凸部68がホルダ71の識別片70'に当接して進入が阻止される。この状態では、作動杆70もアーム66に到達できないため、弁体65が封止状態を維持し、インク収容領域の大気開放が阻止されてインク溶媒の蒸発を防止する。
カートリッジ1がカートリッジホルダ71に正常に装着され、印刷が行なわれて記録ヘッド73によりインクが消費されると、インク供給口4の圧力が規定値以下に低下するため、前述のように膜弁52が開放される。また、インク供給口4の圧力が上昇すると膜弁52が閉弁する。このようにして、所定の負圧に維持されたインクが記録ヘッド73に流れ込む。
記録ヘッド73でのインクの消費が進行すると、第1インク室11のインクが連通流路18を介して第2インク室16に流れ込む。ここに流れ込んだ気泡は浮力により上昇し、インクだけが下部の連通口15Aを経由して第3インク室17に流れ込む。
第3インク室17のインクは、第2フィルタ収容室34を区画する壁26の連通口26Aを通過して第4インク室23を通り、インク流路28A,28Bへ流れ込む。
インク流路28Aを流れたインクは、第1フィルタ収容室9に流れ込み、第1フィルタ7が装填されていれば第1フィルタ7でろ過される。上記第1フィルタ収容室9を通過したインクは、貫通穴29の大円側から小円側と流れ、連通口24Aを通過して第2フィルタ収容室34の上部に流れ込む。
ついで、第2フィルタ収容室34に流入したインクは、第2フィルタ55が装填されていれば第2フィルタ55でろ過され、インク流通口25Aを通過して差圧弁収容室33に流れ込み、前述したように膜弁52の開閉動作により所定の負圧でインク供給口4に流れ込む。
ここで、第1インク室11は、大気連通路13,13'および通孔67を介して大気に連通されていて、大気圧に維持されているから、負圧が発生してインクの流れを阻害することにはならない。仮に、第1インク室11のインクが逆流して凹部38まで流れ込んだとしても、ここには通気性を備えた發インク性の膜が設けられているから、この膜により大気との連通は維持しつつインクの流出が阻止される。これにより、細溝36に流れ込んだインクの固化により大気連通路が閉塞するような不都合を未然に防止できる。
このように、上記カートリッジ1では、板状の第2フィルタ55でインクをろ過するのではなくブロック状の第1フィルタ7でインクをろ過しうることから、ろ過面積が小さくなって流路抵抗が低くなる。したがって、従来ほどフィルタ面積を確保しなくてすむため、カートリッジ1自体の小型化が可能となるうえ、流路設計に対する制約が少なくなり、設計の自由度が高くなる。また、ブロック状の第1フィルタ7は、流路に装填するだけで異物を十分に捕捉可能であることから、第2フィルタ55を使用するときのようなフィルタを溶着する工程が不要で製造工程も簡略化することができる。
また、上記カートリッジ1では、差圧弁の上流側に、ブロック状の第1フィルタ7と板状の第2フィルタ55とを選択的に配置しうるように構成されているため、使用するインクの種類によってフィルタ部材を使い分けることができる。
図9は、本発明の第2の実施の形態のインクジェット記録装置用カートリッジを示す。この例では、円柱状の第1フィルタ7と、板状の第2フィルタ55との双方が装填されている。それ以外は、上記実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。このカートリッジでも、上記実施の形態と同様の作用効果を奏する。
なお、上記各実施の形態では、第1フィルタ7として円柱状のものを用いた例を示したが、これに限定するものではなく、ブロック状を呈したフィルタであれば、各種の形状大きさのものを含む趣旨である。
また、上記各実施の形態では、容器本体2の開口部を遮気性のフィルムで封止して、インク圧力の変動をより確実に防止できるようにしているが、剛性を備えた板状体で封止しても負圧発生手段が存在するから、実用上印刷に障害をきたすことはない。
以上のように、本発明の第1のインクジェット記録装置用インクカートリッジによれば、板状フィルタでインクをろ過するのではなくブロック状の第1フィルタ部材でインクをろ過しうることから、ろ過面積が小さくなって流路抵抗が低くなる。したがって、従来ほどフィルタ面積を確保しなくてすむため、カートリッジ自体の小型化が可能となるうえ、流路設計に対する制約が少なくなり、設計の自由度が高くなる。また、ブロック状の第1フィルタは、流路に装填するだけで異物を十分に捕捉可能であることから、板状フィルタを使用するときのようなフィルタを溶着する工程が不要で製造工程も簡略化することができる。
また、本発明の第2のインクジェット記録装置用インクカートリッジによれば、ブロック状の第1フィルタ部材と板状の第2フィルタ部材とを選択的に配置しうるように構成されているため、使用するインクの種類によってフィルタ部材を使い分けることができるようになる。
本発明のインクジェット記録装置用カートリッジの一実施の形態を示す分解斜視図である。 上記カートリッジを示す分解斜視図である。 容器本体の開口部の状態を示す図である。 容器本体に第1フィルタを装填した状態を示す図である。 容器本体に第2フィルタを装填した状態を示す図である。 負圧発生手段収容室の断面構造を拡大して示す図である。 大気連通用のバルブ収容室の断面構造を拡大して示す図である。 本発明のインクカートリッジに適したカートリッジホルダの一例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態のインクカートリッジを示す図である。
符号の説明
1…カートリッジ、2…容器本体、3…蓋体、4…インク供給口、5,6…係止部材、7…第1フィルタ、8…バルブ収容室、9…第1フィルタ収容室、10…壁、11…第1インク室、12…壁、13…大気連通路、14…枠状部、14A…上面、15…壁、15A…連通口、16…第2インク室、17…第3インク室、18…連通流路、18A…凹部、19…壁、19A,19B…連通口、20…インク注入口、21…空気排出口、22…壁、23…第4インク室、24,25…壁、25A…インク流通口、25B…弁座部、26,27…区画壁、26A,27A…連通口、28A,28B…インク流路、29…貫通穴、30…壁、30A…凹部、31…フィルタ取付部、32…区画壁、32A,32B…連通口、33…差圧弁収容室、34…第2フィルタ収容室、35…凹部、35…深部、36…細溝、37…溝、38…凹部、39…枠部、40…リブ、41…貫通穴、42…壁、43…領域、44…貫通穴、45…溝、46…貫通穴、47…連通口、50…バネ、51…貫通穴、52…膜弁、52A…厚肉部、52B,53A…バネ受け部、53…蓋体、54…枠部、55…第2フィルタ、56,56',57…遮気性フィルム、60…貫通穴、61…押圧部材、62…弾性部材、63,64…突起、65…弁体、66…アーム、66A…回動支点、66B…凸部、67…通孔、68…識別用凸部、70…作動杆、70'…識別片、71…カートリッジホルダ、72…インク供給針、73…記録ヘッド。

Claims (6)

  1. インク供給口を備えた容器と、上記インク供給口に連通する負圧発生手段とを備えたインクカートリッジであって、
    上記負圧発生手段より上流側にブロック状の第1フィルタ部材が配置されていることを特徴とするインクジェット記録装置用インクカートリッジ。
  2. インク供給口を備えた容器と、上記インク供給口に連通する負圧発生手段とを備えたインクカートリッジであって、
    上記負圧発生手段より上流側の流路に、ブロック状の第1フィルタ部材と板状の第2フィルタ部材とを選択的に配置しうるように構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置用インクカートリッジ。
  3. 上記第1フィルタ部材と第2フィルタ部材の少なくとも一方が容器と同種の材料から形成されている請求項1または2記載のインクジェット記録装置用インクカートリッジ。
  4. 第1フィルタ部材と第2フィルタ部材の双方が装填されている請求項2記載のインクジェット記録装置用インクカートリッジ。
  5. 第1フィルタ部材が収容される第1フィルタ収容室と、第2フィルタが収容される第2フィルタ収容室とが隣接されている請求項2〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置用インクカートリッジ。
  6. 容器の底面にインク供給口が形成され、上記容器が壁により上下に2分割され、下部側にインク収容室が配置され、上部側に上記インク収容室およびインク供給口に連通する負圧発生手段が配置されている請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置用インクカートリッジ。
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