JP2007109441A - 表皮電流加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】表皮電流加熱装置をユニット化することにより、施行現場での施行管理、品質管理が容易で敷設作業性の良い表皮電流加熱装置を提供すること。
【解決手段】導電管内に絶縁電線またはケーブルを通し、前記絶縁電線またはケーブルに電流を流すことによって、前記電流とは逆向きの電流を前記導電管の内表面付近に発生させ、これによって前記導電管を発熱させる表皮電流加熱装置であって、発熱量を増加させようとする発熱区間内において、前記導電管が、一対の離間した鋼管と、前記鋼管同士を接続する接続鋼管とから構成され、前記鋼管の外表面と前記接続鋼管の内表面端部とを電気的に接続するとともに、前記電気的に接続された前記鋼管の外表面と前記接続鋼管の内表面端部以外の、前記鋼管の外表面と前記接続鋼管の内表面とが接触しないよう絶縁手段を設け、これにより前記発熱区間以外の箇所よりも前記発熱区間内の発熱量が増加するように構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、鋼管を流れる電流の流路の鋼管単位長さ当りの長さを増すことにより、鋼管単位長さ当りの発熱量を増量することのできる表皮電流加熱装置に関するものである。
従来より、輸送配管を介して液体の輸送が行われている。
この液体が例えば高粘度を有する重油などの場合には、輸送配管に加熱装置を装備し、一定以上の温度に加熱保温することにより、輸送配管内の液体の流れを良くすることが行われている。
このような加熱装置は、例えば輸送配管の外表面に取付けられ、被加熱体の輸送配管を加熱するように構成されている。
輸送配管の温度は、以下の(1)式に示すように発熱量(Q)と輸送配管からの放散熱係数(α)の比に比例する。
θp=Q/α+θ0・・・(1)
θp(℃) :輸送配管の温度
Q(W/m) :強磁性管と絶縁電線またはケーブルの発熱量の和
α(W/mK) :放散熱係数
θ0(℃) :輸送配管の周囲温度
ここで輸送配管全長に渡り導電管のサイズが同じで、またその管内に収納される絶縁電線またはケーブルが同じサイズであれば、導電管および絶縁電線またはケーブルの発熱量は、その全長に渡り一定である。従って、輸送配管全長に渡り周囲温度(θ0)および放
散熱係数(α)が一定であれば、(1)式より配管温度は輸送配管全長に渡り一定になる。
ところで、実際の加熱装置が装備された輸送配管は、配管敷設の際には何メートルか置き(例えば5メートル置き)に配管サポートにて支えられるようにして敷設されるのが一般的である。
しかしながら、このような配管サポートにて支えられた輸送配管は、加熱装置によって加熱されているものの、配管サポートの周辺部分は輸送配管と配管サポートとが接触しているため、輸送配管の熱が配管サポートを経由して大気に奪われてしまうこととなる。
そのため配管サポート部の放散熱係数(α)は他の配管部分より大きくなり、配管温度も他の配管部分より低くなってしまう。
従って、電気的に加熱された輸送配管で放散熱量の大きい配管サポート部などは、もし発熱増量されなければ、送液停止時に加熱装置が温度保持運転されている間に、流体が凝固点以下に低下し、再送液運転できなくなる可能性が生じる。
また、長期運転停止後の輸送配管内の固化された内容物を送液可能な温度まで昇温、融解するリメルティング運転で融点まで昇温できなくなる可能性も起こりうる。
しかしながら、仮に配管サポート部の放散熱係数がその他の部分の2倍と成ったとき、逆に配管サポート部の発熱量を2倍に増量できれば(1)式よりその部分の輸送配管の温度を、他の部分と同じ温度にすることができる。
このため、例えば配管サポートの放散熱量の大きい箇所の放散熱量を減らす方法として
、その配管サポートの構造を変えることにより、またその部分の保温の厚みを増すことにより放散熱量を下げる方法がある。
しかしながら、この方法には限度があり、この部分の発熱量の増量と組合せる方が経済的である。
このような方法として特許文献1(特許第724992号公報)では図9に示したように、強磁性管102、104内に絶縁電線106を通し、これに交流電流aを流し、この交流電流aに対応して強磁性管102、104を流れる電流bが強磁性管102、104の内表面付近のみに集中して流れるようにした表皮電流発熱管100において、発熱量を増加させようとする発熱増量区間c内で強磁性管を2つに切断し、この発熱増量区間cの両端に位置する強磁性管102、104の外表面の両部分を電気的に接続して、この発熱増量区間c内の強磁性管102、104にはその内表皮のみならず外表皮にも電流を流すことを特徴とした表皮電流発熱管100の部分的発熱増加方法が開示されている。
このような方法によれば、液体輸送管110の一部分に発熱量の増加が要求される場合に、単に強磁性管を2つに切断し、その部分の外表皮にも電流が流れるような構造とすることによって、簡単に発熱量を増加することができる。
特許第724992号公報
しかしながら、このような表皮電流発熱管100の部分的発熱増量を行うためには、液体輸送管110の敷設と同時に上記のような構造の表皮電流発熱管100を施行現場で加工し、液体輸送管110に取付ける必要があり、施行管理、品質管理に難点がある。
また、故障が起きた際の対応や、後で付け足したりすることが困難であるため作業性にも問題があるというのが現状である。
さらに、このような従来の表皮電流発熱管100の部分的発熱増量方法は、強磁性管102、104の外表面付近を流れるとともに、液体輸送管110の外表面付近を電流bが流れるようになっているため、液体輸送管110の材質は導電性の材質に限定しなければならない。
さらに、液体輸送管110に導電性を有しない材質、例えばプラスチックから成る管を用いた場合には、液体輸送管110に導電体108を設けて電流の流路とする必要があり、電流の流路を確保するために様々な制約が生じている。
本発明は、このような現状に鑑み、表皮電流加熱装置をユニット化することにより、施行現場での施行管理、品質管理が容易で敷設作業性の良い表皮電流加熱装置を提供することを目的とする。
さらに、輸送配管などの被加熱体が導電性を有しない材質からなっても、被加熱体の所望の区間を確実に加熱することができ、また、被加熱体の外表面付近に電流を流さなくても被加熱体を加熱することができる表皮電流加熱装置を提供することを目的とする。
本発明は、前述したような従来技術における課題および目的を達成するために発明されたものであって、
本発明の表皮電流加熱装置は、
導電管内に絶縁電線またはケーブルを通し、
前記絶縁電線またはケーブルに電流を流すことによって、前記電流とは逆向きの電流を
前記導電管の内表面付近に発生させ、これによって前記導電管を発熱させる表皮電流加熱装置であって、
発熱量を増加させようとする発熱区間内において、
前記導電管が、
一対の離間した鋼管と、
前記鋼管同士を接続する接続鋼管とから構成され、
前記鋼管の外表面と前記接続鋼管の内表面端部とを電気的に接続するとともに、
前記電気的に接続された前記鋼管の外表面と前記接続鋼管の内表面端部以外の、前記鋼管の外表面と前記接続鋼管の内表面とが接触しないよう絶縁手段を設け、
これにより前記発熱区間以外の箇所よりも前記発熱区間内の発熱量が増加するように構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、表皮電流加熱装置部分のみが発熱するため、被加熱体がいかなる材質、形状であっても限定されず、被加熱体の所望の区間を確実に加熱することができる。
また、被加熱体の外表面付近に電流を流す必要がないため、安全に被加熱体を加熱することができる。
また、本発明の表皮電流加熱装置は、
前記絶縁手段が、
前記鋼管の外表面と、前記接続鋼管の内表面との間に隙間を設ける構成であることを特徴とする。
このように構成することによって、鋼管の内表面付近と外表面付近、接続鋼管の内表面を電流が流れるようになるため、部分的に発熱量を増加させることができる。
また、本発明の表皮電流加熱装置は、
前記絶縁手段が、
前記鋼管の外表面と、前記接続鋼管の内表面との間に絶縁部材を設ける構成であることを特徴とする。
このように構成することによって、鋼管と接続鋼管で発生した熱量を効果的に被加熱体に伝えることができる。
また、本発明の表皮電流加熱装置は、
前記隙間内に絶縁性と良熱伝導性を有する充填材が充填されることを特徴とする。
このように構成することによって、鋼管と接続鋼管で発生した熱量を効果的に被加熱体に伝えることができる。
また、本発明の表皮電流加熱装置は、
前記電気的に接続された前記鋼管の外表面と前記接続鋼管の内表面端部とが、ネジ結合されることを特徴とする。
このように構成することによって、確実に鋼管と接続鋼管とを接続することができる。
また、鋼管の雄ネジ部分と接続鋼管の雌ネジ部分は、電流の流路が密集していることになるため、一定区間における熱量が平坦な部分に比べて多いため、効果的に熱量を得ることができる。
また、本発明の表皮電流加熱装置は、
前記鋼管の内表面に凹凸部が設けられていることを特徴とする。
このように構成することによって、一定区間における熱量を平坦な部分に比べて多くすることができるため、効果的に熱量を得ることができる。
また、本発明の表皮電流加熱装置は、
前記鋼管の外表面に凹凸部が設けられていることを特徴とする。
このように構成することによって、一定区間における熱量を平坦な部分に比べて多くすることができるため、効果的に熱量を得ることができる。
また、本発明の表皮電流加熱装置は、
前記接続鋼管の内表面に凹凸部が設けられていることを特徴とする。
このように構成することによって、一定区間における熱量を平坦な部分に比べて多くすることができるため、効果的に熱量を得ることができる。
また、本発明の表皮電流加熱装置は、
前記接続鋼管が、
プルボックスと、
前記プルボックスの両側端部と電気的に接続される連結管から構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、プルボックス両端での発熱量が増量され、この発熱増量で放散熱量の大きいプルボックス部の放熱分を、ある程度補うことができる。
また、本発明の表皮電流加熱装置は、
一対の鋼管の端部同士を溶接して成る導電管内に絶縁電線またはケーブルを通し、
前記絶縁電線またはケーブルに電流を流すことによって、前記電流とは逆向きの誘導電流を前記導電管の内表面付近に発生させ、これによって前記導電管を発熱させる表皮電流加熱装置であって、
発熱量を増加させようとする発熱区間内において、
前記導電管の内表面に、複数の凹凸部を設けることにより、前記発熱区間以外の箇所よりも前記発熱区間内の発熱量が増加するように構成したことを特徴とする。
このように構成することによって、鋼管と接続するための接続鋼管を用意することがなく部分的に発熱量を増加させたい区間を発熱させることができるため、発熱量の増加が少なくて済む場合には特に有効であり、コストを抑えることができる。
また、本発明の表皮電流加熱装置は、
前記表皮電流加熱装置が、
被加熱体の外表面に、被加熱管の前記発熱量を増加させようとする発熱区間ごとにユニット化されて設けられていることを特徴とする。
このように構成することによって、既に敷設されている輸送配管などの被加熱体に表皮電流加熱装置を設置する際、効率良く設置作業を行うことができる。
また、表皮電流加熱装置が部分的に不要になったり故障した際には、ユニットごとに交換するだけでよいため、作業にかかる手間を最小限に抑えることができる。
また、本発明の表皮電流加熱装置は、
前記被加熱体と前記導電管とが溶接にて接続されていることを特徴とする。
このように構成することによって、表皮電流加熱装置の熱量を確実に被加熱体に伝えることができる。
さらに、輸送配管などの被加熱体との固定を確実に行うことができる。
また、本発明の表皮電流加熱装置は、
前記被加熱体と前記導電管とがバンドまたはバンドと良熱伝導性セメントとの併用によ
って接続されていることを特徴とする。
被加熱体が導電性を有しない材質の場合において、被加熱体への導電管の取付けをバンドまたはバンドと良熱伝導性セメントとの併用で行えば、表皮電流加熱装置の熱量を確実に被加熱体に伝えることができる。
さらに、輸送配管などの被加熱体との固定を確実に行うことができる。
また、本発明の表皮電流加熱装置は、
前記被加熱体が、
粘性を有する液体の輸送配管または低温液体の貯蔵タンクであることを特徴とする。
このように被加熱体が粘性を有する液体の輸送配管であれば、液体の輸送を一時的に停止した際にも表皮電流加熱装置によって加熱されているため、輸送配管内の液体を常にスムーズに流すことができる。
また、被加熱体が低温液体の貯蔵タンクであれば、貯蔵タンクと接している基礎部分などが必要に以上に冷たくなって凍上が発生することを確実に防止することができる。
本発明によれば、表皮電流加熱装置をユニット化することにより、工事現場での施行管理、品質管理が容易で経済的である。
また、故障した際の対応や後での付け足しが容易で施行作業性の良い表皮電流加熱装置を提供することができる。
さらに、輸送配管などの被加熱体が導電性を有しない材質からなっても、被加熱体の所望の区間を確実に加熱することができ、また被加熱体の外表面付近に電流を流さなくても被加熱体を加熱することができる。
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、公知の表皮電流加熱装置の原理を説明する原理説明図、図2は、本発明の表皮電流加熱装置の実施例を説明する説明図である。
本発明は、輸送配管内を流れる粘性を有する液体がスムーズに流れるよう輸送配管を加熱するために用いられる表皮電流加熱装置において、輸送配管の温度が下がりやすい箇所の発熱量を部分的に補うことのできる表皮電流加熱装置に関するものである。
また、本発明において輸送配管とは、輸送配管に付属されるバルブなどの付属品も含まれるものである。
なお、本実施例では表皮電流加熱装置を、輸送配管の温度が下がりやすい配管サポートなどの特殊部を加熱するために用いているが、他にも低温液体の貯蔵タンクの基礎部分(発熱増量を必要とするような箇所)に設置して凍上の発生を防止するなど、加熱の必要な構造物に用いることができ、特に限定されるものではない。
また、本実施例の表皮電流加熱装置では、導体の外側が絶縁層で絶縁された構造を有する絶縁電線を使用しているがこれに限定されるものではなく、絶縁電線の代わりに導体上の絶縁層の外側に外傷保護用のシース層が設けられた構造を有するケーブルを用いることもでき、設置する環境に応じて適宜選択することができるものである。
なお絶縁電線とケーブルとは、いずれにおいても耐熱性を有するものを適用することが
望ましい。
また本実施例において、表皮電流加熱装置が取付けられる輸送配管は、導電性を有する輸送配管が用いられているがこれに限定されるものではなく、例えばプラスチックからなる輸送配管を用いることもできる。
まず、公知の表皮電流加熱装置10の原理を説明する。
図1に示したように、強磁性の小口径鋼管である導電管12を用意し、この導電管12内に絶縁電線14を挿通する。
挿通された絶縁電線14の一端部は、導電管12の一端部、他端部は電源16を介して導電管12の他端部に接続され、直列回路を構成している。
すなわち、電源16から供給される交流電流Aは、絶縁電線14を通して表皮電流効果により導電管12の内表面付近に集中して流れて電源16に帰るようになっている。
電源16から供給される交流電流Aは、詳しくは絶縁電線14を流れて導電管12一端部より導電管12の内表面付近を流れ、導電管12他端部より絶縁電線14を介して電源16に戻る。
このような経路で流れる交流電流Aのジュール熱によって、導電管12および絶縁電線14が発熱するようになっている。
なお、発熱量のほとんどは導電管12で発熱されたものである。
また、導電管12全長に渡りサイズが同じで、また導電管12内に収納される絶縁電線14のサイズもその全長に渡り同径であれば、導電管12および絶縁電線14の発熱量は、その全長に渡り一定である。
図2に示した表皮電流加熱装置10aは、上記の基本原理を用いた本発明の表皮電流加熱装置の実施例である。
図2に示したように、本発明の表皮電流加熱装置10aは、まず電気的に直接接触しないように隙間を設けて2つの強磁性で小口径の鋼管22、24を準備する。
さらに、この鋼管22、24の外表面の一部分と一部分とを接続鋼管26を介して接続する。
なお、鋼管22、24と接続鋼管26との接続部分50は、鋼管22、24と接続鋼管26とを直接溶接により接続するか、あるいは鉄製のリングを介して溶接することが好ましい。
この際、鋼管22、24と接続鋼管26の溶接接続された箇所以外の箇所は、電気的に直接接触しないよう隙間52が設けられている。
さらに、鋼管22、24の内側に絶縁電線14を通して、図示しないが図1に示した表皮電流加熱装置10のように電源に接続すると、絶縁電線14を流れる交流電流Aの帰りは、表皮電流効果により鋼管22、24の内表面付近に集中して流れて電源に帰る回路構成になる。
ここで導電管は、鋼管22、24の2つに分割されているため、発熱増量区間Lの電流Bの流れは、鋼管22の内表面から鋼管22の端部の鋼管断面を経由し、鋼管22の外表面を流れ、さらに鋼管22と接続鋼管26との接合部を介して接続鋼管26の内表面、そして鋼管24との接合部を介して鋼管24の外表面、さらに鋼管24の端部の鋼管断面を経由して鋼管24の内表面を流れることになる。
このように発熱増量区間Lでは、管が鋼管22、24と接続鋼管26の二重構造となっているため、通常の単管の導電管に比べ、管を流れる電流Bの経路が長くなるため、その経路を流れる電流のジュール熱による発熱量が増加することになる。
なお、発熱増量区間Lを二重構造とすることにより、流れる電流Bが接続鋼管26の外表面に漏れ出ることがなく安全である。
本実施例の構造では、発熱増量区間Lでの単位長さ当りの発熱量は、このような二重構造を持たない単管の導電管の単位長さ当りの発熱量と比べると約2倍になる。
また鋼管22、24は、例えば外径が26mm以上から43mm以下のJIS規格品である汎用炭素鋼鋼管を用いることが好ましい。
さらに接続鋼管26は、例えば外径が33mm以上から61mm以下のJIS規格品である汎用炭素鋼鋼管を用いることが好ましい。
また、鋼管22、24で発生した熱量を接続鋼管26を経由して被加熱体である輸送配管(図示せず)へ効率的に伝えるため、鋼管22、24と接続鋼管26の間の隙間52に、熱伝導性の充填材30を充填することが望ましい。
このような充填材30としては、例えば窒化アルミニウムの粉末、良熱伝熱性セメントなどを用いることが好ましい。
特に発熱増量区間Lが300mm以上の場合には、鋼管22、24の温度が上がり過ぎないように鋼管22、24と接続鋼管26との間の隙間52に充填材30を詰めることが好ましい。
また、隙間52に充填材30を充填しない場合には、鋼管22、24から接続鋼管26への熱伝導を良くするため、鋼管22、24と接続鋼管26との隙間52の間隔をできるだけ狭くすることが望ましい。
なお、図示しないが、発熱増量区間Lにおいて鋼管22、24の内表面または外表面、接続鋼管26の内表面の表面の一部分または全体に凹凸部(図示せず)を設ければ、鋼管単位長さ当りの電流Bの流路長が長くなり、電流Bの流路の長さに比例して増加する発熱量をさらに増量させることができる。
また、凹凸部(図示せず)を設ければ、発熱増量区間Lの長さを短くすることができるため、取付けスペースが限定された狭い場所での施工であっても確実に表皮電流加熱装置10aを設置することができる。
また輸送配管(図示せず)のバルブの取付け部では、面間に合致した鋼管22、24または接続鋼管26でその部分の放散熱量の増加分を補う発熱増量の調整が可能である。
なお、これら発熱増量区間Lの長さおよび鋼管22、24または接続鋼管26のどの箇所に凹凸部(図示せず)を設けるかについては、適用する輸送配管特殊部の構造、運転条件などによって適宜変更が可能なものである。
図3は本発明の表皮電流加熱装置の第2の実施例を示したものであり、図4は、図3に示した表皮電流加熱装置の要部拡大図である。
図3の表皮電流加熱装置10bは、基本的には、図2に示した実施例の表皮電流加熱装置10aと同じ構成であるので、同じ構成部材には、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
図3に示した表皮電流加熱装置10bは、接続鋼管26がプルボックス32とプルボッ
クス32の両側端部と電気的に接続される連結管34、36から構成されている。
なお、プルボックス32の両側部には連結管34、36が溶接により接続されており、また連結管34は鋼管22と、連結管36は鋼管24と溶接により接続されている。
接合方法は、実施例1と同様、部材同士を溶接付け、または鉄製のリングを介して溶接付けされることが好ましい。
さらに、連結管34と鋼管22、連結管36と鋼管24は、溶接接合されていない箇所において、鋼管と連結管との間に隙間52が生ずるように構成されている。
なお、この隙間52には、図2に示した表皮電流加熱装置10aのように充填材30を充填しても良いものである。
このように、プルボックス32を備えた場合、発熱増量区間Lの電流Bの経路は、図4に示した要部拡大図を用い、片側のみについて説明するが、プルボックス32の内表面を経由して連結管36の内表面を流れ、連結管36と鋼管24の接合部を経て鋼管24の外表面、鋼管24の端部を経て鋼管24の内表面を流れることになる。
このようにプルボックス32両端の二重構造の発熱増量区間Lでは、二重構造でない通常の単管の導電管に比べて流れる電流の経路が長くなるため、その経路を流れる電流のジュール熱による発熱量も増加することができる。
このように接続することによって、プルボックス32の両端の発熱増量区間Lで発熱量が増量される。
この発熱増量区間Lで放散熱量の大きいプルボックス32部分の放熱をある程度補い、不足分は保温の厚みで補うことが好ましい。
すなわち、発熱増量と保温厚みとの組合せで、プルボックス32の取付け部の輸送配管(図示せず)の温度を、出来るだけプルボックス32が取付けられていない鋼管発熱部の温度と同じにすることができる。
図5は、本発明の表皮電流加熱装置の第3の実施例を示したものであり、図6は、図5に示した表皮電流加熱装置の要部拡大図である。
図5に示した表皮電流加熱装置10cは、基本的には、図2に示した実施例の表皮電流加熱装置10aと同じ構成であるので、同じ構成部材には、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
図5に示した表皮電流加熱装置10cは、鋼管22、24の外表面と接続鋼管26の内表面とにそれぞれ管用平行ネジ55を設けることにより、結合された構造になっている。
なお本実施例の構造では、図6に示したように鋼管22、24と接続鋼管26とのネジ結合部54の電気的な絶縁を保つよう、管用平行ネジ55を設けた表面に、絶縁部材として絶縁テープ56を介在させるようになっている。
また、接続鋼管26の両端は、鋼管22、24と溶接接続することにより、鋼管22、24の外表面と接続鋼管26の内表面が電気的に接続されるようになっている。
なお、発熱増量区間Lの電流Bの流れは図2に示した表皮電流加熱装置10aと同様であるが、鋼管22の内表面から鋼管22の端部の鋼管断面を経由し、鋼管22の外表面を流れ、さらに鋼管22と接続鋼管26との接合部を介して接続鋼管26の内表面、そして鋼管24との接合部を介して鋼管24の外表面、さらに鋼管24の端部の鋼管断面を経由して鋼管24の内表面を流れるようになっている。
このように発熱増量区間Lでは二重構造でない通常の導電管に比べて流れる電流の経路
が長くなるため、その経路を流れる電流のジュール熱による発熱量も増加することになる。
この方式は、発熱増量区間Lが比較的短い場合(例えば300mm以下)に適用することが好ましい。
図7は本発明の表皮電流加熱装置の第4の実施例を示したものである。
図7に示した表皮電流加熱装置10dは、基本的には、図2に示した実施例の表皮電流加熱装置10aと同じ構成であるので、同じ構成部材には、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
図7に示した表皮電流加熱装置10dは、鋼管22、24の内表面に凹凸部58を設け、この部分を流れる電流Bの流路を長くして鋼管22、24の単位長さ当りの発熱量を増量する構造である。
なお、鋼管22と鋼管24とは、両端部を溶接することにより電気的に接続されている(図7に示した溶接部25を参照のこと)。
この場合、鋼管22、24の内表面に管用平行ネジで凹凸部58を設けた場合、凹凸部58のない鋼管に比べて発熱量を約30%増加させることができる。
図8は本発明の表皮電流加熱装置の第5の実施例を示したものである。
図8に示した表皮電流加熱装置10eは、基本的には、図2に示した実施例の表皮電流加熱装置10aと同じ構成であるので、同じ構成部材には、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
図8は輸送配管60へ本発明の表皮電流加熱装置10eを接続したものである。
なお、表皮電流加熱装置10eは、上記実施例の表皮電流加熱装置10aから10dのいずれのものでも良いものである。
工場または工事現場の作業場で製作された表皮電流加熱装置10eの発熱増量ユニット(図8においては、鋼管22、24、接続鋼管26)62は、輸送配管60の適用する部分に溶接付けされ、発熱増量ユニット62の両端はその前後の輸送配管60に溶接付けされている鋼管40、42に接続されている。
なお輸送配管が導電性を有する輸送配管ではなく、プラスチックからなる被導電性の輸送配管が用いれれる場合には、輸送配管60と表皮電流加熱装置10eの発熱増量ユニット62とは、バンドまたはバンドと良熱伝導性セメントとの併用によって接続すると良い。
また、発熱増量ユニット62の両側の鋼管22、24と輸送配管60との隙間部分は、鋼棒または鋼板44を介して溶接付けされている。
さらに、発熱増量ユニットの鋼管22、24と両側の鋼管40、42とは、管継ぎ手46によってそれぞれ溶接接続されている。
なお、鋼管内に収納される絶縁電線14は、輸送配管60への鋼棒または鋼板44および発熱増量ユニット62の溶接による焼損を防ぐために、これらの溶接作業が完了した後に通線されることが好ましい。
また、発熱増量ユニット62の長さは、100mmから1000mmの間の長さとすることが好ましいが、特に限定されるものではなく、適用する輸送配管特殊部の構造、運転
条件などによって適宜決定することができる。
例えば、輸送配管60の配管サポートに適用する場合は輸送配管のサイズ、配管サポートの構造、保温仕様、送液する流体の種類によって発熱増量ユニット62の長さを変えることができる。
また発熱増量ユニット62は、工場または工事現場の作業場でプレハブリケーションされることにより品質管理が容易であり、また工事現場での施工管理も容易で経済的である。
以上、本発明の表皮電流加熱装置について説明してきたが、何ら本実施例に限定されるものではなく、たとえば、図3に示した表皮電流加熱装置10bの鋼管22、24、連結管34、36の内表面と外表面に凹凸部を設け、さらにプルボックス32の内表面に凹凸部を設けるなど、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能なものであり、表皮電流加熱装置を必要とする如何なる構造体にも適応可能なものである。
図1は、公知の表皮電流加熱装置の原理を説明する原理説明図である。 図2は、本発明の表皮電流加熱装置の第1の実施例を説明する説明図である。 図3は、本発明の表皮電流加熱装置の第2の実施例を説明する説明図である。 図4は、図3に示した表皮電流加熱装置の要部拡大図である。 図5は、本発明の表皮電流加熱装置の第3の実施例を説明する説明図である。 図6は、図5に示した表皮電流加熱装置の要部拡大図である。 図7は、本発明の表皮電流加熱装置の第4の実施例を説明する説明図である。 図8は、本発明の表皮電流加熱装置の第5の実施例を説明する説明図である。 図9は、従来の表皮電流発熱管の部分的発熱量増加方法について説明する説明図である。
符号の説明
10・・・表皮電流加熱装置
10a・・表皮電流加熱装置
10b・・表皮電流加熱装置
10c・・表皮電流加熱装置
10d・・表皮電流加熱装置
10e・・表皮電流加熱装置
12・・・導電管
14・・・絶縁電線
16・・・電源
22・・・鋼管
24・・・鋼管
25・・・溶接接続部
26・・・接続鋼管
30・・・充填材
32・・・プルボックス
34・・・連結管
36・・・連結管
40・・・鋼管
42・・・鋼管
44・・・鋼棒または鋼板
46・・・管継ぎ手
50・・・接続部分
52・・・隙間
54・・・ネジ結合部
55・・・管用平行ネジ
56・・・絶縁テープ
58・・・凹凸部
60・・・輸送配管
62・・・発熱増量ユニット
A・・・交流電流
B・・・電流
L・・・発熱増量区間
100・・・表皮電流発熱管
102・・・強磁性管
104・・・強磁性管
106・・・絶縁電線
108・・・導電体
110・・・液体輸送管
a・・・交流電流
b・・・電流
c・・・発熱増量区間

Claims (14)

  1. 導電管内に絶縁電線またはケーブルを通し、
    前記絶縁電線またはケーブルに電流を流すことによって、前記電流とは逆向きの電流を前記導電管の内表面付近に発生させ、これによって前記導電管を発熱させる表皮電流加熱装置であって、
    発熱量を増加させようとする発熱区間内において、
    前記導電管が、
    一対の離間した鋼管と、
    前記鋼管同士を接続する接続鋼管とから構成され、
    前記鋼管の外表面と前記接続鋼管の内表面端部とを電気的に接続するとともに、
    前記電気的に接続された前記鋼管の外表面と前記接続鋼管の内表面端部以外の、前記鋼管の外表面と前記接続鋼管の内表面とが接触しないよう絶縁手段を設け、
    これにより前記発熱区間以外の箇所よりも前記発熱区間内の発熱量が増加するように構成されていることを特徴とする表皮電流加熱装置。
  2. 前記絶縁手段が、
    前記鋼管の外表面と、前記接続鋼管の内表面との間に隙間を設ける構成であることを特徴とする請求項1に記載の表皮電流加熱装置。
  3. 前記絶縁手段が、
    前記鋼管の外表面と、前記接続鋼管の内表面との間に絶縁部材を設ける構成であることを特徴とする請求項1に記載の表皮電流加熱装置。
  4. 前記隙間内に絶縁性と良熱伝導性を有する充填材が充填されることを特徴とする請求項2に記載の表皮電流加熱装置。
  5. 前記電気的に接続された前記鋼管の外表面と前記接続鋼管の内表面端部とが、ネジ結合されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の表皮電流加熱装置。
  6. 前記鋼管の内表面に凹凸部が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の表皮電流加熱装置。
  7. 前記鋼管の外表面に凹凸部が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の表皮電流加熱装置。
  8. 前記接続鋼管の内表面に凹凸部が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の表皮電流加熱装置。
  9. 前記接続鋼管が、
    プルボックスと、
    前記プルボックスの両側端部と電気的に接続される連結管から構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の表皮電流加熱装置。
  10. 一対の鋼管の端部同士を溶接して成る導電管内に絶縁電線またはケーブルを通し、
    前記絶縁電線またはケーブルに電流を流すことによって、前記電流とは逆向きの誘導電流を前記導電管の内表面付近に発生させ、これによって前記導電管を発熱させる表皮電流加熱装置であって、
    発熱量を増加させようとする発熱区間内において、
    前記導電管の内表面に、複数の凹凸部を設けることにより、前記発熱区間以外の箇所よ
    りも前記発熱区間内の発熱量が増加するように構成したことを特徴とする表皮電流加熱装置。
  11. 前記表皮電流加熱装置が、
    被加熱体の外表面に、被加熱管の前記発熱量を増加させようとする発熱区間ごとにユニット化されて設けられていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の表皮電流加熱装置。
  12. 前記被加熱体と前記導電管とが溶接にて接続されていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の表皮電流加熱装置。
  13. 前記被加熱体と前記導電管とがバンドまたはバンドと良熱伝導性セメントとの併用によって接続されていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の表皮電流加熱装置。
  14. 前記被加熱体が、
    粘性を有する液体の輸送配管または低温液体の貯蔵タンクの基礎部または側壁部であることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の表皮電流加熱装置。

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