JP2007104721A - 位相反転検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 周波数が特定されない、及び又は、周波数誤差が大きい位相反転信号を検出できるようにする。
【解決手段】 本発明は、位相が反転する信号における位相反転を検出する位相反転検出装置に関する。そして、入力信号のレベルが、第1の所定値を上回った時点、及び又は、第1の所定値よりも小さい第2の所定値を下回った時点を検出し、この検出した各時点の間隔が所定範囲外である場合に、位相反転を検出する位相反転検出手段を有している。
【選択図】 図5
【解決手段】 本発明は、位相が反転する信号における位相反転を検出する位相反転検出装置に関する。そして、入力信号のレベルが、第1の所定値を上回った時点、及び又は、第1の所定値よりも小さい第2の所定値を下回った時点を検出し、この検出した各時点の間隔が所定範囲外である場合に、位相反転を検出する位相反転検出手段を有している。
【選択図】 図5
Description
この発明は位相反転検出装置に関し、例えば、エコーキャンセラの動作を停止させるディセーブリング信号を検出するシステムに適用し得るものである。
例えば、通信回線に挿入されるエコーキャンセラは、音声通信時に動作状態になり、データ通信時には、通信回線に接続されたモデムからのディセーブリング信号によって動作停止状態になる。ここで、ディセーブリング信号は、一定時間450±25ms間隔で位相が反転する特定周波数2100Hzの信号である(特許文献1参照)。
従来、このような信号を検出する方法としては、入力信号を2100Hzのバンドパスフィルタを介して位相同期回路に与え、位相同期回路において、位相反転に基づいて生じる制御信号の極性反転を検出し、この極性反転が450±25msで発生するか否かによって検出するものであった。
国際公開番号WO97/00130
ところで、このような従来の検出方法は、検出手段に位相同期回路を用いるので、ディセーブリング信号が特定周波数2100Hzを有することを前提とし、さらに、その周波数誤差が小さい場合に検出可能となるものであった。
しかしながら、実際には、検出する信号の周波数が特定されない場合や、周波数が特定されても、送信側の装置の精度や伝送路の状況などによって、検出する信号の周波数誤差が大きくなる場合があり、従来の検出方法では、これら場合に信号を検出することは困難であるという課題があった。
さらに、前述の説明では、ディセーブリング信号を検出する場合を前提に説明したが、一般に、不定期的に位相が反転する信号(以下、「位相反転信号」という)を検出する場合であっても、検出手段に位相同期回路を用いるのであれば、同様な課題を有することは勿論である。
そのため、周波数が特定されない、及び又は、周波数誤差が大きい位相反転信号を検出できる位相反転検出装置が求められていた。
かかる課題を解決するため、本発明は、位相が反転する信号における位相反転を検出する位相反転検出装置において、入力信号のレベルが、第1の所定値を上回った時点、及び又は、第1の所定値よりも小さい第2の所定値を下回った時点を検出し、この検出した各時点の間隔が所定範囲外である場合に、位相反転を検出する位相反転検出手段を有することを特徴とする。
本発明によれば、位相が反転する信号における位相反転を検出する位相反転検出装置において、入力信号のレベルが、第1の所定値を上回った時点、及び又は、第1の所定値よりも小さい第2の所定値を下回った時点を検出し、この検出した各時点の間隔が所定範囲外である場合に、位相反転を検出する位相反転検出手段を有するので、入力信号の周波数に関係なく位相反転を検出することができ、周波数が特定されない、及び又は、周波数誤差が大きい位相反転信号であっても、その位相反転を検出することができるようになる。
(A)第1の実施形態
以下、本発明による位相反転検出装置の第1の実施形態について、図面を参照しながら詳述する。
(A−1)構成の説明
図1は、第1の実施形態の位相反転検出装置の構成を示すブロック図である。図1において、この位相反転検出装置は、離散フーリエ変換部(図中「DFT」)2と、絶対値検出部(図中「ABS」)4及び振幅検出部5を有する入力信号振幅検出部3と、位相推定部8及び位相反転検出部9を有する入力信号位相反転検出部7と、振幅・位相反転検出部11とを有する。
以下、本発明による位相反転検出装置の第1の実施形態について、図面を参照しながら詳述する。
(A−1)構成の説明
図1は、第1の実施形態の位相反転検出装置の構成を示すブロック図である。図1において、この位相反転検出装置は、離散フーリエ変換部(図中「DFT」)2と、絶対値検出部(図中「ABS」)4及び振幅検出部5を有する入力信号振幅検出部3と、位相推定部8及び位相反転検出部9を有する入力信号位相反転検出部7と、振幅・位相反転検出部11とを有する。
まず、各構成要素の接続対応関係について説明する。入力信号1は離散フーリエ変換部2に与えられ、離散フーリエ変換部2は入力信号振幅検出部3と入力信号位相反転検出部7に接続される。また、入力信号振幅検出部3から出力される振幅検出信号6は、入力信号位相反転検出部7と振幅・位相反転検出部11とに与えられ、一方、入力信号位相反転検出部7から出力される位相反転検出信号10は、振幅・位相反転検出部11に与えられる。さらに、振幅・位相反転検出部11は出力信号12を出力する。
次に、各構成要素について説明する。
離散フーリエ変換部2は、与えられた入力信号1をフーリエ変換し、その変換した周波数帯域のうち注目する周波数(検出する位相反転信号の周波数)のレベル変化を検出し、さらに、そのレベル変化のある一定区間毎の振幅及び位相を示す複素数値x+iyを出力するものである。なお、振幅は(x2+y2)1/2、位相はarctan(y/x)で算出することができる。また、この出力の複素数値x+iyの表記を説明上わかりやすくするために、その変換した区間の振幅及び位相をr及びθとし、以下、reiθと記すこともある。
入力信号振幅検出部3は、内部に絶対値計算部4及び振幅検出部5を有し、離散フーリエ変換部2から与えられた複素数値reiθの振幅rが、所定範囲内であるか否かの検出を行うものである。その出力である振幅検出信号6は真偽の論理値をとり、ここで、振幅rが所定範囲内であれば真となり、所定範囲外であれば偽となる。
絶対値検出部4は、離散フーリエ変換部2から与えられた複素数値reiθから、その絶対値成分である振幅rを検出するものである。その出力は振幅rの大きさを示す実数値となる。
振幅検出部5は、絶対値検出部4から与えられた振幅rが、予め規定された範囲内であるか否かを検出するものである。その出力は真偽の論理値をとり、この出力が入力信号振幅検出部3の出力である振幅検出信号6となる。なお、振幅rが所定範囲内であれば出力は真となり、所定範囲外であれば出力は偽となる。
入力信号位相反転検出部7は、内部に位相推定部8及び位相反転検出部9を有し、入力信号振幅検出部3からの振幅検出信号6の論理値に基づき、離散フーリエ変換部2からの複素数値reiθとの位相が反転したか否かを検出するものである。ここで、入力信号位相反転検出部7は、振幅検出信号6の論理値が真の場合、すなわち、入力信号1の振幅rが所定範囲内である場合のみ、検出動作を行う。その出力である位相反転検出信号10は真偽の論理値をとり、ここで、位相の反転を検出すれば真となり、検出しなければ偽となる。
位相推定部8は、離散フーリエ変換部2から与えられる連続した3区間の複素数値を格納し、これら3区間の最初の区間と最後の区間の位相差を算出し、この算出した位相差を推定する区間の2つ前の区間の位相に加えることによって、その推定区間の位相を推定し、この推定した位相を位相反転検出部9に与えるものである。
位相反転検出部9は、離散フーリエ変換部2からの複素数値の位相と位相推定部8からの推定した位相とを比較し、これらが反転が起きていると思われる程度の位相差を有する場合に、位相の反転を検出するものである。その出力は真偽の論理値をとり、この出力が入力信号位相反転検出部7の動作時における出力となる。ここで、位相の反転を検出すれば出力は真となり、検出しなければ出力は偽となる。
振幅・位相反転検出部11は、入力信号振幅検出部3からの振幅検出信号6の論理値と入力信号位相反転検出部7からの位相反転検出信号10の論理値とに基づき、継続的にある範囲内の振幅を有し、かつ、継続的に位相の反転が起きているか否か、すなわち、位相反転が正常に検出されているか否かを判定するものである。その出力である出力信号12は真偽の論理値となり、ここで、このような条件が満たされていれば真となり、満たされていなければ偽となる。
(A−2)動作の説明
次に、このような構成を有する位相反転検出装置の動作について、図2〜図4を参照しながら説明する。
次に、このような構成を有する位相反転検出装置の動作について、図2〜図4を参照しながら説明する。
(A−2−1)まず、入力信号1から振幅検出信号6が生成されるまでの動作を説明する。
離散フーリエ変換部2では、与えられた入力信号1がフーリエ変換され、その変換された周波数帯域のうち、位相反転信号が有する周波数のレベル変化が検出され、さらに、そのレベル変化のある一定の区間毎の振幅及び位相を示す複素数値x+iyが出力される。
絶対値計算部4では、離散フーリエ変換部2から与えられた複素数値x+iyから、その絶対値成分である振幅r(r=(x2+y2)1/2)が検出されて振幅検出部5に与えられ、振幅検出部5では、与えられた振幅rがある範囲内、すなわち、th1≦r≦th2(但しth1、th2は前もって定められた値)であるか否かが検出され、その範囲内であれば真の論理値が、その範囲外であれば偽の論理値が出力される。その結果、振幅検出信号6は、入力信号1において、位相反転信号が有する周波数の振幅がある範囲内にある場合に真、それ以外の場合に偽という論理値を持つことになる。
(A−2−2)次に、入力信号1と振幅検出信号6とから、位相反転検出信号10が生成されるまでの動作を説明する。
入力信号位相反転検出部7には、離散フーリエ変換部2からの複素数値x+iyと入力信号振幅検出部3からの振幅検出信号6の論理値とが与えられる。なお、離散フーリエ変換部2からの複素数値は、内蔵する位相推定部8と位相反転検出部9とに与えられる。
ここで、振幅検出信号6の論理値が偽である場合には、入力信号位相反転検出部7から偽の論理値が出力される。一方、振幅検出信号6の論理値が真である場合には、位相推定部8で、離散フーリエ変換部2から次の区間に与えられる複素数値の位相が推定され、位相反転検出部9で、その推定された位相と、次の区間に実際に離散フーリエ変換部2から与えられた位相とが比較され、位相の反転が検出されれば真の論理値が、検出されなければ偽の論理値が出力されることになる。なお、入力信号位相反転検出部7に論理値が真である振幅検出信号6が初めて与えられた場合には、位相推定部8では、まず位相推定に必要なパラメータが算出されてから、位相推定が行われることになる。
さらにここで、位相推定部8において、位相推定に必要なパラメータを算出する方法と、このパラメータを用いて位相を推定する方法とについて、より具体的に説明する。
まず、位相推定に必要なパラメータの算出方法について、図2を参照しながら説明する。位相推定部8では、離散フーリエ変換部2において所定区間毎に変換された複素数値が連続して3区間分保持され、これら3区間における最初の区間と最後の区間の位相差Δθが算出され、第1の実施形態においては、この算出された位相差Δθが位相推定に必要なパラメータとなる。
例えば、図2において、連続した3区間を、区間A、区間B、及び区間Cとし、それぞれの区間の離散フーリエ変換部2からの複素数値を、xA+iyA、xB+iyB、xC+iyCとする。なお、それぞれの区間の複素数値の振幅は互いに等しいものとする。ここで、区間A及び区間Cの位相θA及びθCはそれぞれ、θA=arctan(yA/xA)、θC=arctan(yC/xC)から算出でき、さらにθC−θAを算出すれば、図2における区間Cと区間Aの位相差Δθを求めることができる。但し、θA及びθCはそれぞれ、xA<0、xC<0の場合、π加算される。
次に、この算出されたパラメータΔθを用いて、位相を推定する方法について、図3を参照しながら説明する。
図3は、2つ前の区間Dから現在の区間Fの位相を推定する場合の説明図である。ここで、推定する区間Fの位相をθ’、2つ前の区間Dの位相をθDとすると、推定する区間Fの位相θ’は、θD+Δθの算出結果から推定することができる。なお、θDは、θD=arctan(yD/xD)から算出できる。但し、xD及びyDはそれぞれ、区間Dの離散フーリエ変換部2からの複素数値xD+iyDの実数部及び虚数部の値である。また、xD<0の場合、上式のθDにπが加算される。
このようにして、位相推定部8では、位相推定に必要なパラメータが算出されると共に位相が推定されて、その推定された位相が位相反転検出部9に与えられることになる。
続いて、位相反転検出部9では、位相推定部8で推定された位相と、離散フーリエ変換部2から与えられた実際の複素数値の位相とが比較され、これらが反転がおきていると思われる程度の位相差を有する場合に、位相の反転が検出されることになる。なお、位相の反転を検出すれば出力は真となり、検出しなければ出力は偽となる。
ここで、位相の反転を検出する方法について具体的に説明する。離散フーリエ変換部2からの複素数値の位相をθ、推定された位相をθ’とすると、θ−θ’は予想された位相と実際の位相との差分となる。すなわち、位相の反転が起きていなければ|θ−θ’|≒0となり、一方、反転が起きていれば、変換した区間における反転が起きた時点にもよるが、|θ−θ’|はπに近い値をとるようになる。
そのため、位相反転の検出方法は、ある閾値th3(0<th3<π)を定め、|θ−θ’|>th3であれば位相の反転を検出し、逆に、|θ−θ’|<th3であれば位相の反転を検出しないものである。ここで、この閾値th3が0に近いほど、その反転した区間で検出できる確率は高くなるが、ノイズ等によって誤検出する確率も高くなり、反対に、この閾値th3がπに近くなると、その反転した区間ではなく次の区間で反転を検出してしまったり、又は、反転を検出できなくなる。従って、この閾値th3は適用するシステムに応じて適切な値にする必要がある。
このようにして、入力信号位相反転検出部7では、振幅検出信号6の値が偽の論理値のときは、常に偽の論理値が出力され、一方、振幅検出信号6の値が真の論理値のときは、検出動作が行われて、位相反転信号に位相反転が生じた場合に真の論理値が、位相反転が生じない場合に偽の論理値が出力されることになる。なお、その出力が位相反転検出信号10である。
(A−2−3)さらに、振幅検出信号6と位相反転検出信号10とから、出力信号12が生成されるまでの動作を説明する。
振幅・位相反転検出部11では、入力信号振幅検出部3からの振幅検出信号6と入力信号位相反転検出部7からの位相反転検出信号10とが与えられ、振幅検出信号6がある一定の期間真の値が継続している場合、かつ、位相反転検出信号10が一定の周期で一定回数以上の真の値をとっている場合に、真の論理値が出力され、それ以外の場合に、偽の論理値が出力される。すなわち、出力信号12は、真の値の場合、入力信号1がある一定の期間定まった範囲内の振幅を持ち、かつ、ある一定周期で一定回数以上の位相反転が起きていることを示すものとなる。
なお、振幅・位相反転検出部11において、入力信号振幅検出部3が一定期間(M回)連続して真を検出したことを示した場合、その後定められたN回までは、入力信号振幅検出部3が一時的に偽を検出したときでも、連続して真を検出したとみなす連続検出保護シーケンスの機能を有していれば、ノイズ等による入力信号振幅検出部3の誤検出のために、出力信号12の論理値が誤ることが少なくなり好ましい。ここで、図4は、M=2,N=4の場合の連続検出保護シーケンスの動作説明図である。
図4において、動作停止状態であるステップ41から電源オンすると、通常動作状態であるステップ42になり、ここで、入力信号位相検出部3から真の論理値が1区間分与えられればステップ43に移行し、続けて1区間分真の論理値が与えられれば連続検出保護状態であるステップ44に移行し、以後、連続して真の論理値が与えられればステップ44に留まることになる。一方、ステップ43において、次の区間に偽の論理値が与えられれば、通常動作状態であるステップ41に戻ることになる。
また、連続検出保護状態であるステップ44において、1区間分偽の論理値が与えられるとステップ45に移行し、続けて1区間分偽の論理値が与えられるとステップ46に移行し、さらに続けて1区間分偽の論理値が与えられると通常動作状態であるステップ42に戻ることになる。
ここで、ステップ45又はステップ46において、次の1区間に真の論理値が与えられた場合には、連続検出保護状態であるステップ44に戻ることになる。
なお、図4においては、M=2、N=4の場合について示したが、各値は、適用するシステムの仕様に応じた値であっても良いことは勿論である。
また、振幅・位相反転検出部11において、M、Nの各値を適当に設定できる機能を有していれば、適用するシステムに柔軟に適用できて、好ましい。
(A−3)効果の説明
以上のように、第1の実施形態によれば、(1)離散フーリエ変換部2から与えられる連続した3区間の複素数値を格納し、これら3区間の最初の区間と最後の区間の位相差を算出し、この算出した位相差を推定する区間の2つ前の区間の位相に加えることによって、その推定区間の位相を推定する位相推定部8と、(2)離散フーリエ変換部2からの複素数値の位相と位相推定部8からの推定した位相とを比較し、これらが反転が起きていると思われる程度の位相差を有する場合に位相の反転を検出する位相反転検出部9とを有するので、入力信号の周波数に関係なく位相反転を検出することができ、周波数が特定されない及び又は周波数誤差が大きい位相反転信号であっても、位相反転を検出することができるようになる。
以上のように、第1の実施形態によれば、(1)離散フーリエ変換部2から与えられる連続した3区間の複素数値を格納し、これら3区間の最初の区間と最後の区間の位相差を算出し、この算出した位相差を推定する区間の2つ前の区間の位相に加えることによって、その推定区間の位相を推定する位相推定部8と、(2)離散フーリエ変換部2からの複素数値の位相と位相推定部8からの推定した位相とを比較し、これらが反転が起きていると思われる程度の位相差を有する場合に位相の反転を検出する位相反転検出部9とを有するので、入力信号の周波数に関係なく位相反転を検出することができ、周波数が特定されない及び又は周波数誤差が大きい位相反転信号であっても、位相反転を検出することができるようになる。
例えば、第1の実施形態は、従来技術でも簡単に説明したが、ITU−T勧告G.165におけるエコーキャンセラのディセーブリング信号の検出に有効である。なお、G.165におけるエコーキャンセラのディセーブリング信号は、周波数が2100±21Hz、振幅が−31dB以上−6dB以下であり、450±25ms周期に180±25°の範囲で位相反転する信号である。
また、第1の実施形態によれば、振幅・位相反転検出部11を有するので、検出した位相反転信号が、仕様通りであるか否かを検出することができるようになる。さらにここで、振幅・位相反転検出部11が連続検出保護シーケンスの機能を有していれば、ノイズ等による入力信号振幅検出部3の誤検出のために、出力信号12の論理値が誤ることを少なくすることができる。
(B)第2の実施形態
以下、本発明による位相反転検出装置の第2の実施形態について、図面を参照しながら詳述する。
以下、本発明による位相反転検出装置の第2の実施形態について、図面を参照しながら詳述する。
第2の実施形態の位相反転検出装置も、第1の実施形態と同様の構成を有し、図1を用いて説明すると、離散フーリエ変換部(図中「DFT」)2と、絶対値検出部(図中「ABS」)4及び振幅検出部5を有する入力信号振幅検出部3と、位相推定部8及び位相反転検出部9を有する入力信号位相反転検出部7と、振幅・位相反転検出部11とを有する。
まず、各構成要素の接続対応関係について説明する。入力信号1は離散フーリエ変換部2に与えられ、離散フーリエ変換部2は入力信号振幅検出部3と入力信号位相反転検出部7に接続される。また、入力信号振幅検出部3から出力される振幅検出信号6は、入力信号位相反転検出部7と振幅・位相反転検出部11とに与えられ、一方、入力信号位相反転検出部7から出力される位相反転検出信号10は、振幅・位相反転検出部11に与えられる。さらに、振幅・位相反転検出部11は出力信号12を出力する。
ここで、第1の実施形態と異なる点は、位相推定部8と位相反転検出部9とにおいて、位相推定に必要なパラメータを算出する方法と、そのパラメータを用いて位相を推定する方法と、推定した位相と実際の位相とから位相の反転を検出する方法とが異なる。
そのため、以下、これらの異なる点について中心に説明し、同様な点については説明を省略する。なお、第2の実施形態においても、第1の実施形態の動作説明で使用した図2及び図3を参照して説明する。
まず、位相推定に必要なパラメータの算出方法について、図2を参照しながら説明する。位相推定部8では、離散フーリエ変換部2において所定区間毎に変換された複素数値が連続して3区間分保持され、これら3区間における最初の区間と最後の区間の位相差の余弦値cosΔθ及び正弦値sinΔθが算出され、第2の実施形態においては、この算出された位相差の余弦値cosΔθ及び正弦値sinΔθが位相推定に必要なパラメータとなる。
例えば、図2において、連続した3区間を、区間A、区間B、及び区間Cとし、それぞれの区間の離散フーリエ変換を行った複素数値を、xA+iyA、xB+iyB、xC+iyCとする。なお、それぞれの区間の複素数値の振幅は互いに等しいものとする。ここで、区間A及び区間Cの位相θA及びθCの位相差の余弦値cosΔθ及び正弦値sinΔθはそれぞれ、下記式1及び式2から算出することができる。
式1:cosΔθ=cos(θC−θA)
=cosθC*cosθA+sinθC*sinθA
=(xC*xA+yC*yA)/r2
式2:sinΔθ=sin(θC−θA)
=sinθC*cosθA−cosθC*sinθA
=(yC*xA−xC*yA)/r2
から算出することができる。
=cosθC*cosθA+sinθC*sinθA
=(xC*xA+yC*yA)/r2
式2:sinΔθ=sin(θC−θA)
=sinθC*cosθA−cosθC*sinθA
=(yC*xA−xC*yA)/r2
から算出することができる。
次に、この算出されたパラメータcosΔθ及びsinΔθを用いて、位相を推定する方法について図3を参照しながら説明する。
図3は、2つ前の区間Dから現在の区間Fの位相を推定する場合の説明図である。ここで、区間Fの複素数値の実数部をr'cosθ'、虚数部をr'sinθ'、2つ前の区間Dの複素数値の位相をθ、算出されたパラメータをcosΔθ及びsinΔθとすると、r'cosθ'及びr'sinθ'はそれぞれ、下記式3及び式4から算出することができる。
式3:r'cosθ'=rcos(θ+Δθ)
=rcosθcosΔθ−rsinθsinΔθ
=xcosΔθ−ysinΔθ
式4:r'sinθ'=rsin(θ+Δθ)
=rsinθcosΔθ+rcosθsinΔθ
=ycosΔθ+xsinΔθ
から算出することができる。但し、x及びyは、区間Dの離散フーリエ変換の複素数値x+iyの実数部及び虚数部の値である。
=rcosθcosΔθ−rsinθsinΔθ
=xcosΔθ−ysinΔθ
式4:r'sinθ'=rsin(θ+Δθ)
=rsinθcosΔθ+rcosθsinΔθ
=ycosΔθ+xsinΔθ
から算出することができる。但し、x及びyは、区間Dの離散フーリエ変換の複素数値x+iyの実数部及び虚数部の値である。
このようにして、位相推定部8では、位相推定に必要なパラメータが算出されると共に位相が推定されて、その推定された位相が位相反転検出部9に与えられることになる。
さらに、位相反転検出部9において、位相の反転を検出する方法について具体的に説明する。離散フーリエ変換部2からの複素数値をreiθ、位相推定部8で推定された複素数値をr'eiθ'とし、新たに複素数値fを導入する。ここで、それぞれの振幅は等しい(r=r')ことに注意するして、fは下記式5となり、
式5: f=reiθ +r'eiθ'
=r{(cosθ+cosθ')+i(sinθ+sinθ')}
さらに、reiθとr'eiθ'の位相差を求めるために、|f|2を算出すると、下記式6となる。
式5: f=reiθ +r'eiθ'
=r{(cosθ+cosθ')+i(sinθ+sinθ')}
さらに、reiθとr'eiθ'の位相差を求めるために、|f|2を算出すると、下記式6となる。
式6:|f|2=r2{(cosθ+cosθ')2+(sinθ+sinθ')2}
=r2{2+2(cosθcosθ'+sinθsinθ')}
=2r2{1+cos(θ−θ')}
ここで、θ−θ’は予想された位相と実際の位相との差分となる。すなわち、位相の反転が起きていなければ|θ−θ’|≒0となり、cos(θ−θ')≒1となる。一方、反転が起きていれば、変換した区間における反転が起きた時点にもよるが、|θ−θ’|はπに近い値をとるようになり、cos(θ−θ')は−1に近い値となる。
=r2{2+2(cosθcosθ'+sinθsinθ')}
=2r2{1+cos(θ−θ')}
ここで、θ−θ’は予想された位相と実際の位相との差分となる。すなわち、位相の反転が起きていなければ|θ−θ’|≒0となり、cos(θ−θ')≒1となる。一方、反転が起きていれば、変換した区間における反転が起きた時点にもよるが、|θ−θ’|はπに近い値をとるようになり、cos(θ−θ')は−1に近い値となる。
そのため、位相反転の検出方法は、ある閾値th4(−1<th4<1)を定め、|f|2<2r2{1+th4}であれば位相の反転を検出し、逆に、|f|2>2r2{1+th4}であれば位相の反転を検出しないものである。ここで、この閾値th4が1に近いほど、その反転した区間で検出できる確率は高くなるが、ノイズや検出精度等によって誤検出する確率も高くなり、反対に、この閾値th4が−1に近くなると、その反転した区間ではなく次の区間で反転を検出してしまったり、又は、反転を検出できなくなる。従って、この閾値th4は適用するシステムに応じて適切な値にする必要がある。
このようにして、入力信号位相反転検出部7では、振幅検出信号6の値が偽の論理値のときは、常に偽の論理値が出力され、一方、振幅検出信号6の値が真の論理値のときは、検出動作が行われて、入力信号1の位相反転が生じた場合に真の論理値が、位相反転が生じない場合に偽の論理値が出力されることになる。なお、その出力が位相反転検出信号10である。
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
また、第2の実施形態によれば、位相反転の検出において四則演算のみで処理を行うことができるので、第1の実施形態で用いたアークタンジェントの計算よりも演算量が少なくなり、第1の実施形態よりも演算処理量を少なくすることができる。
特に、エコーキャンセラのディセーブリング信号の検出のように、リアルタイムに処理する必要がある場合には、演算の処理量が大きな問題となるため、第2の実施形態の構成を用いることは好ましい。
(C)第3の実施形態
以下、本発明による位相反転検出装置の第3の実施形態について、図面を参照しながら詳述する。
以下、本発明による位相反転検出装置の第3の実施形態について、図面を参照しながら詳述する。
ここで、第3の実施形態では、入力信号としてディセーブリング信号が与えられたとき、すなわち、入力が8KHzでサンプリングされている特定周波数約2100Hz帯(2100Hz±21Hz)の正弦波で、450±25ms周期にて位相反転している信号が与えられたとき、第1及び第2の実施形態とは異なった方法で、このディセーブリング信号を検出する方法を示す。
なお、ディセーブリング信号は、この信号をr(t)とすると、下記式8で与えられるものである。
式8:r(t)=a(t)sin(ωCt+θ)
a(t):周期900±50msの方形波
ωC:2079Hz*2π≦ωC≦2121Hz*2π
θ:任意rad
(C−1)構成の説明
図5は、第1の実施形態の位相反転検出装置の構成を示すブロック図である。図5において、この位相反転検出装置は、バンドパスフィルタ部(図中「BPF」)51と、離散フーリエ変換部(図中「DFT」)52と、絶対値検出部(図中「ABS」)54及び振幅検出部55を有する入力信号振幅検出部53と、乗積部(図中「Multiply」)57とローパスフィルタ部(図中「LPF」)58と波形変換部(図中 「Threshold」)59と位相反転検出部60とを有する入力信号位相反転検出部56と、振幅・位相反転検出部61とを有する。
a(t):周期900±50msの方形波
ωC:2079Hz*2π≦ωC≦2121Hz*2π
θ:任意rad
(C−1)構成の説明
図5は、第1の実施形態の位相反転検出装置の構成を示すブロック図である。図5において、この位相反転検出装置は、バンドパスフィルタ部(図中「BPF」)51と、離散フーリエ変換部(図中「DFT」)52と、絶対値検出部(図中「ABS」)54及び振幅検出部55を有する入力信号振幅検出部53と、乗積部(図中「Multiply」)57とローパスフィルタ部(図中「LPF」)58と波形変換部(図中 「Threshold」)59と位相反転検出部60とを有する入力信号位相反転検出部56と、振幅・位相反転検出部61とを有する。
まず、各構成要素の接続対応関係について説明する。入力信号50はバンドパスフィルタ部51に与えられ、バンドパスフィルタ部51は、入力信号振幅検出部53に接続された離散フーリエ変換部52と、入力信号位相反転検出部56とに接続される。また、入力信号振幅検出部53は入力信号位相反転検出部56と振幅・位相反転検出部61とに接続され、一方、入力信号位相反転検出部56は振幅・位相反転検出部61に接続される。さらに、振幅・位相反転検出部11は出力信号62を出力する。
ここで、第3の実施形態が、第1及び第2の実施形態と構成上異なる点は、バンドパスフィルタ部51を離散フーリエ変換部52の前段に挿入していること、バンドパスフィルタ部51の後段に入力信号位相反転検出部56が接続されて、入力信号位相反転検出部56の内部構成が異なることが挙げられる。
次に、このような第1及び第2の実施形態とは異なる点を有する、第3の実施形態の各構成要素について説明する。なお、第1及び第2の実施形態と同様の構成部分は、極簡単に説明する。
バンドパスフィルタ部51は、入力信号50におけるディセーブリング信号の周波数帯域2100±21Hzのみを通過させるものである。
離散フーリエ変換部52は、第1及び第2の実施形態の離散フーリエ変換部2と同様のものであり、この第3の実施形態では、バンドパスフィルタ部51を通過した信号の振幅レベルを、入力信号振幅検出部53で検出できるように、入力信号振幅検出部53の前段に設けたものである。
入力信号振幅検出部53は、内部に絶対値計算部54及び振幅検出部55を有し、内部に絶対値計算部4及び振幅検出部5を有する第1及び第2の実施形態の入力信号振幅検出部3と同様のものである。
入力信号位相反転検出部56は、内部に乗積部57とローパスフィルタ部58と波形変換部59と位相反転検出部60とを有し、入力信号振幅検出部53からの振幅検出信号の論理値に基づき、バンドパスフィルタ部51を通過した所定帯域信号から、ディセーブリング信号を検出するものである。ここで、入力信号位相反転検出部56は、振幅検出信号の論理値が真の場合、すなわち振幅rが所定範囲内である場合のみ、検出動作を行う。その出力である位相反転検出信号は真偽の論理値をとり、ここで、ディセーブリング信号を検出すれば真となり、検出しなければ偽となる。
乗積部57は、バンドパスフィルタ部51を通過した2100±21Hzの信号に、2000Hzの正弦波信号を乗積することによって、下記式9に示すように、この2100±21Hzの信号を、100±21Hzの周波数帯域(第1項)と4100±21Hzの周波数帯域(第2項)とに帯域分離するものである。
式9:r(t)*sin(ωt)
=a(t)sin(ωCt+θ)*sin(ωt)
=a(t){cos((ωC−ω)t+θ)−cos((ωC+ω)t+θ)}/2
ローパスフィルタ部58は、乗積部57で帯域分離された信号のうち、4100±21Hzの周波数帯域を有する部分を遮断し、100±21Hzの周波数帯域を有する部分のみを通過させるものである。その結果、その出力v(t)は、下記式10に示すように、10msの正弦波と、(もしディセーブリング信号が与えられていれば)周期900msの方形波a(t)とを乗積したものとなる。
=a(t)sin(ωCt+θ)*sin(ωt)
=a(t){cos((ωC−ω)t+θ)−cos((ωC+ω)t+θ)}/2
ローパスフィルタ部58は、乗積部57で帯域分離された信号のうち、4100±21Hzの周波数帯域を有する部分を遮断し、100±21Hzの周波数帯域を有する部分のみを通過させるものである。その結果、その出力v(t)は、下記式10に示すように、10msの正弦波と、(もしディセーブリング信号が与えられていれば)周期900msの方形波a(t)とを乗積したものとなる。
式10:v(t)={a(t)cos((ωC−ω)t+θ)}/2
波形変換部59は、ローパスフィルタ部58からの信号v(t)に対して、あるしきい値(+th5、−th5)を設け、v(t)≧+th5であればs(t)=1、v(t)≦−th5であればs(t)=−1、−th5<v(t)<+th5であればs(t)は無変化、という方形波s(t)に波形を変換するものである。
波形変換部59は、ローパスフィルタ部58からの信号v(t)に対して、あるしきい値(+th5、−th5)を設け、v(t)≧+th5であればs(t)=1、v(t)≦−th5であればs(t)=−1、−th5<v(t)<+th5であればs(t)は無変化、という方形波s(t)に波形を変換するものである。
位相反転検出部60は、波形変換部59から与えられる方形波の立ち上がり周期の間隔を監視し、間隔に変化を生じ、さらにその間隔の変化が450ms後に再び検出された場合に、ディセーブリング信号を検出するものである。ここで、ディセーブリング信号を検出すれば真の論理値を、検出しなければ偽の論理値を出力し、この出力が入力信号位相反転検出部56の動作時の出力となる。
振幅・位相反転検出部61は、第1及び第2の実施形態の振幅・位相反転検出部11と同様のものであり、継続的にある範囲内の振幅を有し、かつ、450ms周期で継続的に位相の反転が起きるか否か、すなわち、位相反転が正常に検出されているか否かを判定するものである。その出力である出力信号62は真偽の論理値となり、ここで、このような条件が満たされていれば真となり、満たされていなければ偽となる。
(C−2)動作の説明
さらに、このような構成を有する位相反転検出装置の動作について、第1及び第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
さらに、このような構成を有する位相反転検出装置の動作について、第1及び第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
バンドパスフィルタ部51で、入力信号50から周波数帯2100±21Hzのみが取り出された信号は、離散フーリエ変換部52で、そのレベル変化が検出され、さらに、そのレベル変化のある一定の区間毎の振幅及び位相を示す複素数値x+iyが出力され、入力信号振幅検出部53で、その複素数値の振幅rが、所定範囲内であれば真の論理値が、その範囲外であれば偽の論理値が出力される。
一方、バンドパスフィルタ部51で、入力信号50から周波数帯2100±21Hzのみが取り出された信号は、入力信号位相変転検出部56に与えられ、さらに、入力信号位相変転検出部56には、入力信号振幅検出部53からの振幅検出信号の論理値が与えられる。
ここで、振幅検出信号の論理値が偽である場合には、入力信号位相反転検出部7から偽の論理値が出力される。一方、振幅検出信号の論理値が真である場合には、乗積部57、ローパスフィルタ部58、波形変換部59、及び位相反転検出部60でそれぞれ、以下に説明するディセーブリング信号の検出動作が行われ、ディセーブリング信号が検出されれば真、検出されなければ偽の論理値を示す位相反転検出信号が出力されることになる。
乗積部57では、2000Hzの正弦波信号を、バンドパスフィルタ部51からの信号に乗積し、その結果、上記式9に示したように、このバンドパスフィルタ部51からの信号が、100±21Hzの周波数帯域(第1項)と4100±21Hzの周波数帯域(第2項)とに帯域分離される。
ローパスフィルタ部58では、乗積部57で帯域分離された信号のうち、4100±21Hzの周波数帯域を有する部分が遮断され、100±21Hzの周波数帯域を有する部分のみが通過する。その結果、その出力v(t)は、上記式10に示したように、10msの正弦波と、周期900msの方形波a(t)とを乗積したものとなる。
ここでもし、入力信号がディセーブリング信号でなければ、この出力v(t)には、周期900ms程度の信号成分は含まれず、周期は10ms程度で連続した位相をもつ信号が検出されることになる。しかしながら、ディセーブリング信号であれば、周期900ms程度の信号成分が含まれることになり、その結果、ディセーブリング信号の半周期である450msごとに、位相がπ程度のずれることになる。
そこで、位相のずれが生じているか否かを検出するために、波形変換部59では、ローパスフィルタ部58からの信号v(t)に対して、あるしきい値(+th5、−th5)を設け、v(t)≧+th5であればs(t)=1、v(t)≦−th5であればs(t)=−、−th5<v(t)<+th5であればs(t)は無変化、という方形波s(t)に波形が変換される。
ここで、位相反転が行われていなければ(ディセーブリング信号でなければ)、方形波の立ち上がり周期は常に一定となる。逆に、位相反転が行われていれば(ディセーブリング信号であれば)、方形波の立ち上がり周期にズレを生じることになる。
従って、位相反転検出部60では、この方形波の立ち上がり周期の間隔が監視され、間隔に変化が生じ、さらにその間隔の変化が450ms後に再び検出された場合に、ディセーブリング信号が検出されることになる。なお、位相反転検出部60において、この方形波の立ち下がり周期の間隔を監視するものであっても、同様な検出をすることができることは勿論である。
このようにして、入力信号位相反転検出部56では、振幅検出信号の値が偽の論理値のときは、常に偽の論理値が出力され、一方、振幅検出信号の値が真の論理値のときは、ディセーブリング信号の検出動作が行われて、ディセーブリング信号が検出されれば真、検出されなければ偽の論理値を示す位相反転検出信号が出力されることになる。
振幅・位相反転検出部61では、入力信号振幅検出部53からの振幅検出信号と入力信号位相反転検出部56からの位相反転検出信号とが与えられ、振幅検出信号がある一定の期間真の値が継続している場合、かつ、位相反転検出信号が900msの周期で真の値をとっている場合に真の論理値、それ以外の場合に偽の論理値を示す出力信号62が出力されることになる。
なお、振幅・位相反転検出部61も、第1及び第2の実施形態の振幅・位相反転検出部11と同様に、連続検出保護シーケンスの機能を有していれば、ノイズ等による入力信号振幅検出部53の誤検出のために、出力信号12の論理値が誤ることが少なくなり好ましい。
(C−3)効果の説明
以上のように、第3の実施形態によれば、(1)入力信号50から、ディセーブリング信号の周波数帯2100±21Hzのみを通過させるバンドパスフィルタ部51と、(2)バンドパスフィルタ部51を通過した2100±21Hzの信号に、2000Hzの正弦波信号を乗積し、その結果、下記式9に示すように、第1項の100Hz程度の周波数を有する部分と第2項の4100Hz程度の周波数を有する部分とからなる信号を生成する乗積部57と、(3)乗積部57から与えられる信号から、上記第2項の4100Hz程度の周波数を有する部分を遮断し、第1項の100Hz程度の周波数を有する部分のみを通過させるローパスフィルタ部58と、(4)ローパスフィルタ部58からの信号に対してあるしきい値を設け、この与えられた信号を方形波に整形する波形変換部59と、(5)波形変換部59から与えられる方形波の立ち上がり周期の間隔を監視し、間隔に変化を生じ、さらにその間隔の変化が450ms程度後に再び検出された場合に、ディセーブリング信号を検出する位相反転検出部60を有するので、ディセーブリング信号の周波数誤差が大きい場合でも、方形波の立ち上がり周期間隔の変化を検出する450ms程度の幅を適当に設定することにより、位相反転を検出することができるようになる。
以上のように、第3の実施形態によれば、(1)入力信号50から、ディセーブリング信号の周波数帯2100±21Hzのみを通過させるバンドパスフィルタ部51と、(2)バンドパスフィルタ部51を通過した2100±21Hzの信号に、2000Hzの正弦波信号を乗積し、その結果、下記式9に示すように、第1項の100Hz程度の周波数を有する部分と第2項の4100Hz程度の周波数を有する部分とからなる信号を生成する乗積部57と、(3)乗積部57から与えられる信号から、上記第2項の4100Hz程度の周波数を有する部分を遮断し、第1項の100Hz程度の周波数を有する部分のみを通過させるローパスフィルタ部58と、(4)ローパスフィルタ部58からの信号に対してあるしきい値を設け、この与えられた信号を方形波に整形する波形変換部59と、(5)波形変換部59から与えられる方形波の立ち上がり周期の間隔を監視し、間隔に変化を生じ、さらにその間隔の変化が450ms程度後に再び検出された場合に、ディセーブリング信号を検出する位相反転検出部60を有するので、ディセーブリング信号の周波数誤差が大きい場合でも、方形波の立ち上がり周期間隔の変化を検出する450ms程度の幅を適当に設定することにより、位相反転を検出することができるようになる。
また、第3の実施形態によれば、振幅・位相反転検出部61を有するので、検出したディセーブリング信号が、仕様通りであるか否かを検出することができるようになる。さらにここで、振幅・位相反転検出部61が連続検出保護シーケンスの機能を有していれば、ノイズ等による入力信号振幅検出部3の誤検出のために、出力信号12の論理値が誤ることを少なくすることができる。
さらに、第3の実施形態によれば、位相反転の検出において加算及び乗算の演算のみで処理を行うことができるので、第1の実施形態で用いたアークタンジェントの計算よりも演算量が少なくなり、第2の実施形態と同様に、第1の実施形態よりも演算処理量を少なくすることができる。
特に、8KHzでサンプリングされた入力信号のとき、2000Hzの周波数を持った信号を入力信号と乗算するならば、−1、0、1の単純な定数値を乗算するだけで、周波数分解を行うことができるようになる。
(D)他の実施形態
なお、第3の実施形態では、本発明を、ディセーブリング信号を検出するものに適用した場合を示したが、ディセーブリング信号に限ることなく、ITU−T勧告V.25で示されるアンサトーンを検出するもの、音声とファックス/モデムの制御信号との識別信号を検出するもの、又は、n相のPSK(Phase Shift Keying:位相変調)を検出するものにも同様に適用でき、さらに、一般的に不定期的に位相が反転する位相反転信号を検出するものにも同様に適用できることは勿論である。
なお、第3の実施形態では、本発明を、ディセーブリング信号を検出するものに適用した場合を示したが、ディセーブリング信号に限ることなく、ITU−T勧告V.25で示されるアンサトーンを検出するもの、音声とファックス/モデムの制御信号との識別信号を検出するもの、又は、n相のPSK(Phase Shift Keying:位相変調)を検出するものにも同様に適用でき、さらに、一般的に不定期的に位相が反転する位相反転信号を検出するものにも同様に適用できることは勿論である。
また、上記各実施形態では、入力信号振幅検出部から真の論理値が与えられている場合のみ、入力信号位相反転検出部において位相反転を検出するものを示したが、入力信号位相振幅検出部からの論理値に関係なく(すなわち入力信号位相振幅検出部を設けることなく)、入力信号位相反転検出部において位相反転を検出するものであっても良い。なお、この場合には、振幅・位相反転検出部も構成要素から除かれることになる。
さらに、第1及び第2の実施形態では、位相判定部8において、位相推定するパラメータを算出後は、このパラメータを用いて常に位相推定するものを示したが、位相推定するパラメータを算出後において、入力信号の位相が反転しない所定期間内に、位相推定するパラメータを再算出して、この再算出したパラメータに更新するものであっても良い。
さらにまた、第1及び第2の実施形態では、離散フーリエ変換部2が、ある一定の区間で入力信号1をフーリエ変換するために、ある一定の区間で振幅及び位相を示す複素数値を出力するものであったが、この離散フーリエ変換部2が瞬時に処理して出力するものであれば、ある一定区間内のある時点において周期的に複素数値を出力するものとなる。
また、第1及び第2の実施形態では、位相推定部8において、連続した3区間の複素数値を格納し、これら3区間の最初の区間と最後の区間から位相差を算出し、この算出した位相差を推定する区間の2つ前の区間の位相に加えることによって位相を推定するものを示したが、上述したように、離散フーリエ変換部2の処理区間を前提としなければ、過去に検出した入力信号の2つの時点の位相間の位相差を算出し、現時点からこれら2つの時点間分前の時点の位相に、この算出した位相差を加えることによって、現時点の位相を推定するものとなる。
さらに、第3の実施形態では、波形変換部59において、ローパスフィルタ部58からの信号に対し、あるしきい値(+th5、−th5)を設け、v(t)≧+th5であればs(t)=1、v(t)≦−th5であればs(t)=−1、−th5<v(t)<+th5であればs(t)は無変化、という方形波s(t)に波形変換するものを示したが、しきい値を正負同値に限定することなく、又は、しきい値を2つ設けることなく、入力信号のレベルが、所定値を上回った又は下回った時点を検出し、この検出した各時点の前後で異なる論理値をとるパルス信号を出力するものであっても良い。
2…離散フーリエ変換部、8…位相推定部、9…位相反転検出部。
Claims (8)
- 位相が反転する信号における位相反転を検出する位相反転検出装置において、
入力信号のレベルが、第1の所定値を上回った時点、及び又は、第1の所定値よりも小さい第2の所定値を下回った時点を検出し、この検出した各時点の間隔が所定範囲外である場合に、位相反転を検出する位相反転検出手段を有することを特徴とする位相反転検出装置。 - 入力信号の振幅が所定範囲内であるか否かを検出する振幅検出手段を有し、
上記位相反転検出手段は、上記振幅検出手段が所定範囲外の振幅を検出した場合に、位相反転の検出動作を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載の位相反転検出装置。 - 上記振幅検出手段が所定範囲内の振幅を継続して検出し、さらに、上記位相反転検出手段が位相反転を所定規則で検出した場合に、位相反転が正常に検出されたことを判定する振幅・位相反転検出手段を有することを特徴とする請求項1に記載の位相反転検出装置。
- 上記振幅・位相反転検出手段は、上記振幅検出手段が、第1の所定時間以上の所定範囲内の振幅を検出し、その後、第2の所定時間以内の所定範囲外の振幅を検出して、再び所定範囲内の振幅を検出した場合には、その所定範囲外の振幅を検出したことを無視して、所定範囲内の振幅を継続して検出したことにすることを特徴とする請求項1に記載の位相反転検出装置。
- 入力信号の所定周波数帯域のみを通過させる上記位相反転検出手段に与えるバンドパスフィルタ手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の位相反転検出装置。
- 上記位相反転検出手段は、
入力信号のレベルが、第1の所定値を上回った時点、及び又は、第1の所定値よりも小さい第2の所定値を下回った時点を検出し、この検出した各時点の前後で異なる論理値をとるパルス信号を出力するパルス信号出力部と、
上記パルス信号出力部が出力するパルス信号の同一の論理値の間隔が、所定範囲外の間隔である場合に、位相反転を検出する位相反転検出部と
を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の位相反転検出装置。 - 上記位相反転検出手段は、入力信号の周波数帯域を、この周波数帯域よりも低い周波数帯域に変換して上記パルス信号出力部に与える帯域変換部を有することを特徴とする請求項6に記載の位相反転検出装置。
- 上記帯域変換部は、
入力信号に所定周波数を有する波を乗積することによって、入力信号の周波数帯域を、上記所定周波数帯域よりも低い周波数帯域と、上記所定周波数帯域よりも高い周波数帯域とに分離する帯域分離部と、
上記帯域分離部が分離した高い周波数帯域部分を取り除くローパスフィルタ部と
を有することを特徴とする請求項7に記載の位相反転検出装置。
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