JP2007099826A - 導電性グリース組成物 - Google Patents

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    • C10N2020/00Specified physical or chemical properties or characteristics, i.e. function, of component of lubricating compositions
    • C10N2020/01Physico-chemical properties
    • C10N2020/077Ionic Liquids

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Abstract

【課題】高温下においても良好な潤滑性を有すとともに、優れた導電性を示し、また転がり軸受等の転動装置に使用した場合に経時での導電性の低下が小さく、軸受を構成する金属の耐摩耗性を向上させるグリース組成物を提供する。
【解決手段】イオン液体と、0.001〜10μmの体積平均粒子径を有する炭素数12〜24の高級脂肪酸アルカリ土類金属塩と、分散剤からなる導電性グリース組成物を用いる。イオン液体の25℃における粘度は20〜1000mPa・秒であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は導電性グリース組成物に関する。
デジタル複写機やカラー複写機などの静電転写複写機、レーザープリンタといった電子写真プロセス機器において、その可動部分に多くの転がり軸受が使用されている。このような転がり軸受の内外輪の軌道面と転動体との間には回転中は油膜が形成されており、軌道面と転動体とは非接触となっている。このような転がり軸受においては回転に伴って静電気が発生し、その静電気によるノイズで複写機、レーザープリンター等の複写画像に歪み等の悪影響を及ぼす不都合が生じる場合がある。
このような静電気を除電する方法として、従来の転がり軸端をアーシングする方法に比べ、導電性グリースを封入した通電軸受は、特殊な構成部品や材料を使用する必要がなく、コスト的にも有利であることから、静電気の除電が求められる軸受個所に多用されている。このような導電性グリースとしては、これまではカーボンブラック等を増ちょう剤及び導電性付与添加剤として添加したものが主流であった。
しかし、このような導電性グリースを封入した転がり軸受は、初期においては優れた導電性を示すものの、導電性が複写機、レーザープリンター等を使用するにつれ、経時的に低下して転がり軸受の内外輪間の電気抵抗値が増加していくという問題点があった。このような現象の要因としては、以下のようなことが考えられた。
すなわち、導電性グリースは初期は転がり軸受の軌道輪の軌道面と転動体との接触面に最適な状態、最適な量存在している。つまり導電性グリース中のカーボンブラックにより、軌道輪と転動体との間の導電性が確保されるが、軌道輪と転動体との相対運動により、使用時間の経過につれ導電性グリースが前記接触面から排除されたり、また、カーボンブラック粒子のチェーンストラクチャーが破壊されたりするため、導電性が低下して軸受の電気抵抗値が経時的に大きくなるという現象が生じるのである。
さらに、複写機,レーザープリンタ等のヒートローラ支持部や定着部などは、約200℃の高温となる場合があり、該部分に使用される転がり軸受に用いる導電性グリースは、通常の潤滑油をベース油として用いたものでは耐熱性が不十分であり、長期にわたって十分な導電性、潤滑性を確保することは困難であった。また、通常、導電性グリースのベース油として用いられる、鉱油,ポリα−オレフィン,エーテル油,エステル油などの使用限界温度はせいぜい150℃である。そのため、約200℃の高温となる部分に用いられる転がり軸受においては、導電ブラシ等のアーシング機構を用いて静電気を除電するという従来の方法が依然として用いられている。
また、特許文献1及び2には、高温耐久性を考慮してフッ素油中にカーボンブラックを分散させた導電性グリースが記載されているが、離油度や転がり軸受に封入して使用した場合、潤滑性が比較的悪いフッ素油をベース油として用いていることから生じる金属摩耗など、まだ改善の余地がある。
特開2001−304276号公報 特開2002−250353号公報
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高温下においても優れた導電性を示すとともに経時での導電性低下が小さく、また、転がり軸受等の転動装置に使用した場合に十分な潤滑性能を有し、軸受を構成する金属の摩耗を抑止することができる導電性グリース組成物を提供することを課題とする。
本発明者は上記のような導電性グリース組成物を得るべく鋭意検討した結果、イオン液体に、高級脂肪酸アルカリ土類金属塩、分散剤を添加し分散させることにより、上記問題点が解決できることを見出し、本発明に到達した。 。
すなわち本発明は、イオン液体(A)と、0.001〜10μmの体積平均粒子径を有する炭素数12〜24の高級脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)と、分散剤(C)からなる導電性グリース組成物である。
本発明の導電性グリース組成物は、高温下においても優れた導電性を示すとともに、経時での導電性低下が起こらず、転がり軸受等の転動装置に使用した場合に、装置を構成する金属の耐摩耗性を向上させることができる。
本発明の導電性グリース組成物中に必須成分として含有するイオン液体(A)としては、従来より知られた各種のイオン液体を使用することができる。好適なイオン液体(A)としては、下記の一般式(I)〜(V)で表わされるカチオン(p)と、アニオン(q)により構成されるものを例示することができる。(A)としては単独でも2種類以上の混合物であってもよい。
Figure 2007099826
Figure 2007099826
Figure 2007099826
Figure 2007099826
Figure 2007099826
上記の式(I)〜(V)において、Rは炭素数1〜15のアルキル基またはエーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が15以下のアルキル基を表わし、式(I)においてQは炭素数1〜4のアルキル基または水素原子を表わす。式(III)および(IV)において、Xは1〜4の整数であり、式(V)において、Xは1〜3の整数である。式(III)〜(V)でXが2以上の場合、それぞれのRは同一であっても異なっていてもよい。
上記Rの炭素数1〜15のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。Qの炭素数1〜4のアルキル基としては、これらのうち、炭素数が4以下のものが挙げられる。
Qとしては、メチル基が好ましい。また式(I)において、RとQは同一ではないことが好ましい。式(III)〜(V)でXが2以上の場合、それぞれのRは異なる組成であることが望ましい。
アニオン(q)としては、公知のアニオンが使用でき、下記に例示するような酸から水素原子を除いたアニオンが挙げられる。
HClO4、HBF4、HPF6、HAsF6、HSbF6等の無機強酸;トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、ペンタクロロプロパンスルホン酸、ヘプタクロロブタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ペンタフルオロブタン酸、トリクロロ酢酸、ペンタクロロプロピオン酸、ヘプタクロロブタン酸等の炭素数1〜30のハロゲン含有スルホン酸;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等の炭素数1〜30のハロゲン含有スルホニルイミド;トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド等の炭素数1〜30のハロゲン含有スルホニルメチド;等。
これらのカチオン(p)と、アニオン(q)で構成されるイオン液体(A)は、常温(室温)を含め、広い温度範囲で液体であるものが多い。特に一般式(I)、(II)で表わされるような芳香族系の化合物をカチオンに使用したものは、一般的に融点が低く、グリースとして好ましい。また一般式(I)〜(V)のカチオン(p)とアニオン(q)の塩であるイオン液体は、一般的に沸点が250℃以上であり、蒸気圧も低く揮発性がないため、250℃を超える高温での使用する場合でも、液が揮散せず、好ましい。
イオン液体(A)としては、JIS K6862に記載の方法で測定した25℃における粘度が、20〜1000mPa・秒であるものが好ましく、30〜500mPa・秒であるものがさらに好ましい。(A)の粘度が20mPa・秒以上であると、高級脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)および分散剤(C)を加えてグリース組成物とした際に、潤滑性良好であって、液ダレが起こりにくくなり、1000mPa・秒以下であると、軸受などの動作時のモーターへの負荷を小さくすることができる。
本発明の導電性グリース組成物に含有される高級脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)の高級脂肪酸の炭素数は12〜24である。高級脂肪酸としては、直鎖および分岐、飽和および不飽和のいずれでもよいが、直鎖の飽和脂肪酸が好ましい。
高級脂肪酸の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、およびベヘン酸等が挙げられる。これらのうち、好ましいのは炭素数16〜22の直鎖の飽和脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸、およびベヘン酸等)であり、特に好ましいのはステアリン酸である。
(B)を構成するアルカリ土類金属塩としてはバリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、好ましいのはマグネシウム塩である。
高級脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)の具体例としては、ジラウリン酸マグネシウム塩、ジラウリン酸カルシウム塩、ジラウリン酸バリウム塩;ジミリスチン酸マグネシウム塩、ジミリスチン酸カルシウム塩、ジミリスチン酸バリウム塩;ジパルミチン酸マグネシウム塩、ジパルミチン酸カルシウム塩、ジパルミチン酸バリウム塩;ジステアリン酸マグネシウム塩、ジステアリン酸カルシウム塩、ジステアリン酸バリウム塩;ジイソステアリン酸マグネシウム塩、ジイソステアリン酸カルシウム塩、ジイソステアリン酸バリウム塩;ジベヘン酸マグネシウム塩、ジベヘン酸カルシウム塩、ジベヘン酸バリウム塩;パルミチン酸ステアリン酸マグネシウム塩、パルミチン酸ステアリン酸カルシウム塩、パルミチン酸ステアリン酸バリウム塩等が挙げられる。
このうち好ましいものはステアリン酸のアルカリ土類金属塩であり、特に好ましいのはジステアリン酸マグネシウム塩である。なお、市販のジステアリン酸マグネシウムなどは、一部未反応の水酸化ステアリン酸マグネシウムが不純物として混じっているが、差し支えない。
これら(B)は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明のグリース組成物中に分散している高級脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)の体積平均粒子径は、油剤安定性の観点から、通常0.001〜10μmである。好ましくは下限が0.01μm、上限が1μmである。
0.001μmを下回ると金属摩耗が発生し、10μmを超えると高級脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)の凝集が起こる等の不具合の発生が見られる。
本発明で用いる分散剤(C)としては、高級脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)を凝集させずに分散できるものであれば特に限定されないが、分子内に少なくとも1個(好ましくは1〜4個)のカルボンキシル基またはカルボン酸エステル基を有するものが好ましい。カルボキシル基またはカルボン酸エステル基を有するものの例としては、以下の(a)〜(f)が挙げられるが、カルボキシル基を有する場合、JIS K0070で規定される酸価が80〜600のものが好ましく、120〜500のものがさらに好ましい。
(a)炭素数1〜30の脂肪族モノカルボン酸
飽和モノカルボン酸(酢酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、およびベヘン酸等)、不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸等)、および脂肪族オキシカルボン酸(グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、オキシカプロン酸、リシノール酸、オキシステアリン酸、グルコン酸等);
(b)炭素数7〜30の芳香族または複素環モノカルボン酸
芳香族モノカルボン酸(安息香酸、ナフトエ酸、ケイ皮酸等)、芳香族オキシカルボン酸(サリチル酸、p−オキシ安息香酸、マンデル酸等)、および複素環モノカルボン酸(ピロリドンカルボン酸等);
(c)2〜4価のポリカルボン酸
炭素数2〜30の直鎖状または分岐状の脂肪族ポリカルボン酸[飽和ポリカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ドデカン酸等)、炭素数4〜30の不飽和ポリカルボン酸(マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等)];炭素数4〜20の脂肪族オキシポリカルボン酸(リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等);炭素数8〜30の芳香族ポリカルボン酸[ジカルボン酸〔フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびビフェニルジカルボン酸(2,2’−、3,3’−および/または2,7−体)等、トリもしくはテトラカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)];硫黄を含有する炭素数4〜30のポリカルボン酸(チオジプロピオン酸等);
(d)炭素数2〜30のアミノ酸
アスパラギン酸、グルタミン酸、システィン酸等のアミノ酸;
(e)上記カルボン酸の少なくとも一部を中和したもの
モノもしくはポリカルボン酸のカルボキシル基の、好ましくは1〜100%、さらに好ましくは10〜99%、とくに好ましくは20〜80%を中和したもの。具体的にはカルボキシル基の水素を、前述の一般式(I)〜(V)のようなカチオンで置き換えた構造の分散剤が挙げられる。
(f)上記カルボン酸の少なくとも一部をアルキレンオキサイド(以下AOと記載)変性したもの
モノもしくはポリカルボン酸のカルボキシル基の、好ましくは1〜100%、さらに好ましくは10〜99%、とくに好ましくは20〜80%をAOで変性したもの、およびさらにそのAOの末端をアルキル(炭素数1〜30)エーテル化したもの。AOとしては、炭素数2〜4のものが好ましく、エチレンオキサイド(以下EOと記載)、プロピレンオキサイド(以下POと記載)があげられる。AOは2種以上を併用してもよい。AOの付加形式は、単付加、ブロック付加、ランダム付加のいずれでも構わないが、付加モル数は変性される1カルボキシル基当たり1〜6モルが好ましい。これら分散剤(C)は単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の導電性グリース組成物は、攪拌等、通常の方法で、(A)、(B)、および(C)を混合することにより得ることができるが、組成物中のイオン液体(A)の含有量は、(A)と(B)と(C)の合計質量に基づいて、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは82〜99質量%、特に好ましくは85〜98質量%である。
組成物中の高級脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)の含有量は、(A)と(B)と(C)の合計質量に基づいて、好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。0.01〜10質量%であると、金属摩耗防止性が良好であり、グリース中の(B)の分散安定性が特に優れる。
また、組成物中の分散剤(C)の含有量は、(A)と(B)と(C)の合計質量に基づいて、好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.1%〜5質量%である。(C)を0.01〜10質量%の範囲内で使用することにより、(B)の良好な分散状態を長期間に渡り維持させることができる。
また、高級脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)と分散剤(C)の配合質量比は、油剤安定性の観点から、99/1〜10/90が好ましく、さらに好ましくは90/10〜15/85である。
本発明の導電性グリース組成物中には、必要に応じて、酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤、極圧剤、油性剤、固体潤滑剤など、従来のグリースに使用されている公知の添加剤を用途に応じて配合することができる。これら添加剤は、導電性グリースの潤滑性、導電性、稠度等が極端に悪化しない量まで任意に添加することができるが、これら添加剤の合計使用量が、(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ第3ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤や、アルキルジフェニルアミン(アルキル基は炭素数4〜20のもの)、トリフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェノチアジン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン、フェニチアジン、アルキル化フェノチアジンなどのアミン系酸化防止剤などが挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
防錆剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどを挙げることができる。
腐食防止剤としては、例えばベンゾトリアゾールやベンゾイミダゾール、チアジアゾールなどを挙げることができる。
極圧剤としては、例えばリン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩などのリン系化合物;スルフィド類、ジスルフィド類などの硫黄系化合物;塩素化パラフィン、塩素化ジフェニルなどの塩素系化合物;ジアルキルジチオリン酸亜鉛;およびジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンなどの有機金属化合物などを挙げることができる。
油性剤としては、例えば高級アルコール、多価アルコール、多価アルコールエステル、脂肪族エステル、脂肪族アミン、脂肪酸モノグリセライドなどを挙げることができる。
また、固体潤滑剤としては、例えば二硫化モリブデン、窒化ホウ素、窒化シランなどを挙げることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本趣旨の主旨を逸脱しないかぎり、本発明は実施例に限定されるものではない。
〔使用原料〕
(1)イオン液体(A)
・ブチルメチルイミダゾリウムと4フッ化ホウ素との塩(BMI・BF4)〔25℃における粘度:118mPa・秒〕
・エチルメチルイミダゾリウムと酢酸との塩(EMI・CH3COO)〔25℃における粘度:162mPa・秒〕
(2)高級脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)
・ジステアリン酸マグネシウム
(3)分散剤(C)
・分散剤−1:ラウリルアルコール(EO)2.5モル付加物酢酸エステル
・分散剤−2:ジカルボン酸であるドデカン酸の一方のカルボン酸をエチルメチルイミダゾリウムで中和した下記の構造式で示される化合物
Figure 2007099826
(実施例1〜5)
表1に示す各成分を用い、常温で、(B)を(C)に溶解させた後、それを(A)と均一混合して導電性グリース組成物を調製した。表1ににおいて、各成分の数値は質量部を示す。
Figure 2007099826
(比較例1〜5)
表2に示す各成分を常温で均一混合して比較の導電性グリース組成物を調製した。表2において、各成分の数値は質量部を示す。
比較例として、実施例1〜3で使用したBMI・BF4塩に(B)だけ添加し、(C)を加えないもの(比較例1)と、(B)、(C)ともに加えないもの(比較例2)を作成した。また従来より用いられている、フッ素油にカーボンブラックと、必要によりフッ素樹脂ビーズを添加したもの(比較例3〜5)を作成した。
Figure 2007099826
1)初期物性
実施例1〜5、および比較例1〜5の各導電性グリース組成物について、JIS K 2234に記載の方法に準じて体積固有抵抗を測定した。潤滑油が導電性を持ちその性能を発揮するためには、体積固有抵抗が500kΩ以下であることが望ましい。
また、JIS Z8826に記載の方法で、分散した(B)の体積平均粒子径の測定を行った。比較例2〜5においては(B)を分散させていないため、粒子径測定は行っていない。
また、JIS K2220.5.3に記載の方法で稠度の測定を行った。本発明の導電性グリース組成物の、予想される用途での最適な稠度は200〜300である。
2)安定性試験
下記条件にて回転装置のついた試験機を用いて安定性試験を行い、体積固有抵抗の変化を最長800時間(hr)確認した。また試験後の装置のグリースによる被潤滑部の金属の表面状態を光学顕微鏡により観察し、金属摩耗の有無を確認した。光学顕微鏡により金属の摩耗が確認されないものを○、確認されたものを×で表す。
[試験条件]
温度 :230℃
荷重(ロード負荷) :Fr=1960N〔200kgf〕
回転数 :100回/分
表3および表4に初期物性と安定性試験の結果を記載する。
Figure 2007099826
Figure 2007099826
表3の結果から、実施例1〜5は、導電性グリースとして望ましいとされる体積固有抵抗500kΩ/cm以下より十分小さく、安定性試験における体積固有抵抗の増加もごく僅かであることがわかる。
表4の結果から、比較例1、2では実施例と同じくベース油としてイオン液体(A)を使用しているため、体積固有抵抗については、初期値、安定性試験後の測定値も目標を満たしているが、稠度が目標の範囲から外れてしまう。比較例1は高級脂肪酸アルカリ土類金属塩が分散せず、均一系とならなかった。またこれらは、安定性試験後の被潤滑部で金属摩耗が観察された。比較例3〜5については、初期の導電性は目標を満たしているものの、安定性試験において体積固有抵抗が急激に増加し、目標の範囲を超えてしまった。
以上の結果から、実施例1〜5の本発明の導電性グリース組成物は、比較例1〜5と比較して、初期導電性に優れ、高温下における経時変化が小さく(導電性が優れている)、耐金属摩耗性に優れていることが分かる。
本発明の導電性グリース組成物は、例えば、デジタル複写機やカラー複写機などの静電転写複写機、レーザープリンタといった電子写真プロセス機器において、高温となるヒートローラ支持部や定着ローラなどの導電性を要する転がり軸受の軸受用グリースとして適用可能である。

Claims (5)

  1. イオン液体(A)と、0.001〜10μmの体積平均粒子径を有する炭素数12〜24の高級脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)と、分散剤(C)からなる導電性グリース組成物。
  2. (A)と(B)と(C)の合計質量に基づいて、(A)の含有量が80質量%以上、(B)の含有量が0.01〜10質量%、(C)の含有量が0.01〜10質量%である請求項1記載の導電性グリース組成物。
  3. イオン液体(A)の25℃における粘度が20〜1000mPa・秒である請求項1または2に記載の導電性グリース組成物。
  4. 高級脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)が、ステアリン酸のアルカリ土類金属塩である請求項1〜3のいずれかに記載の導電性グリース組成物。
  5. 分散剤(C)が、分子内に少なくとも1個のカルボキシル基またはカルボン酸エステル基を有する請求項1〜4のいずれかに記載の導電性グリース組成物。
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