JP2007098209A - バラスト水殺菌装置および同殺菌方法 - Google Patents

バラスト水殺菌装置および同殺菌方法 Download PDF

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孝 大河原
Yoji Inoue
洋治 井上
Yoichi Kobayashi
洋一 小林
Yuko Onishi
優子 大西
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Abstract

【課題】バラスト水の全量に対して漏れなく高密度のキャビテーション作用を及ぼすことができ、バラスト水の全量を完全に処理し、バラスト水中の有機微生物・細菌等の有害生物の細胞を破砕して完全に死滅させる。
【解決手段】船体2のバラストタンク3に接続され、バラストタンクからバラスト水4を連続して導入するバラスト水導入装置5と、導入されるバラスト水にキャビテーション泡を発生させてキャビテーション泡の崩壊時に発生する衝撃波によりバラスト水中の有機微生物・細菌等の有害生物を破砕して死滅させる高周波振動装置6とを備え、高周波振動装置は、高周波振動を発生する高周波振動発生装置13と、この高周波振動発生装置に接続された高周波振動用のホーン14と、このホーンの先端面に狭隘空間を保持して対面する対向部15とを有し、対向部にはホーンの先端面の径よりも口径が小さいバラスト水噴出用ノズル16をホーン14の先端面に向けて開口させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、船体から排出されるバラスト水に含まれる有機微生物・細菌等の有害生物を死滅させるバラスト水殺菌装置および同殺菌方法に係り、特に高周波振動によるキャビテーション作用を利用して有害生物を破砕する技術において殺菌処理能率・確実性を極めて高いものとすることができるバラスト水殺菌装置および同殺菌方法に関する。
従来、船体から排出されるバラスト水に含まれる有機微生物・細菌等の有害生物を死滅させるバラスト水殺菌技術として、バラスト水に薬品等を注入して死滅させる処理が一般的であった。
しかし、使用する薬品の種類や投与量等によっては処理後のバラスト水の海洋廃棄により海水が汚染されたり、逆に殺菌効果が必ずしも完全に行われない等の問題があった。
これに対して近年、バラスト水に超音波を照射してバラスト水にキャビテーションを発生させ、その衝撃エネルギによりバラスト水に含まれる有機微生物・細菌等の有害生物を破砕して死滅に至らせる殺菌技術が開発されている。
具体的には、船体のバラストタンクからバラスト水を狭い流路に連続して流通させるようにし、流路の途中に多数の超音波振動装置を配置して、通過するバラスト水に長音波振動を照射することによりキャビテーションを発生させ、これによりバラスト水中の有害生物を死滅させて排出する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−21814号公報
キャビテーションを利用する上述の従来技術においては、バラスト水を狭い流路に流通させながら、その流通方向と直交する方向から超音波を照射してバラスト水にキャビテーションを発生させるようにしている。
しかし、この方式によると、各振動装置間の配置間隔の隙間領域を流通するバラスト水がキャビテーションに晒されず、殺菌作用が及ばない個所が発生する可能性がある。
このため、キャビテーションに晒されない場所ではバラスト水中に含まれる有機微生物や細菌などが生き残ることとなり、再び増殖する可能性があり、殺菌処理能率・確実性の点から課題が残っていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、供給するバラスト水の全量に対して漏れなく高密度のキャビテーション作用を及ぼすことができ、これによりバラスト水の全量を完全に処理することができ、バラスト水中の有機微生物・細菌等の有害生物の細胞を破砕し、完全に死滅させることができるバラスト水殺菌装置および同殺菌方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明に係るバラスト水殺菌装置は、船体のバラストタンクに接続され、前記バラストタンクからバラスト水を連続して導入するバラスト水導入装置と、導入されるバラスト水にキャビテーション泡を発生させて当該キャビテーション泡の崩壊時に発生する衝撃波により前記バラスト水中の有機微生物・細菌等の有害生物を破砕して死滅させる高周波振動装置とを備えたバラスト水殺菌装置であって、前記高周波振動装置は、高周波振動を発生する高周波振動発生装置と、この高周波振動発生装置に接続された高周波振動用のホーンと、このホーンの先端面に狭隘空間を保持して対面する対向部とを有し、前記対向部には前記ホーンの先端面の径よりも口径が小さいバラスト水噴出用ノズルを前記ホーンの先端面に向けて開口させたことを特徴とする。
この構成とすることにより、バラストタンクから供給されるバラスト水は対向部のノズルに導かれ、高周波振動するホーンの先端面に向って連続して噴出するので、常にホーンと対向部との間の空間、即ち高周波振動によるキャビテーション発生領域を通過する。したがって、供給されるバラスト水の全量がキャビテーション作用を受け、キャビテーション泡の崩壊時における衝撃波によってバラスト水中の有機微生物・細菌等の有害生物を全て破砕し、死滅させることが可能となる。
本発明に係るバラスト水殺菌装置おいて、前記バラスト水噴出用ノズルは前記ホーンの先端面の中心位置に対面していることが望ましい。
この構成において、前記ホーンの先端面の径bに対する前記バラスト水噴出用ノズルの口径aの比a/bを、0.01〜0.8に設定することが望ましい。
すなわち、a/b値を小さくする程、バラスト水をキャビテーション発生領域に導く確実性が高まるが、この値を0.01未満とした場合には装置構成に対して処理能率が極端に低下する。逆に、a/bの値を大きくする程、処理能率が高まるが、バラスト水をキャビテーション発生領域に導く確実性が低下し、殺菌効果が減少する。そして、a/b値を0.8超とした場合には、殺菌効果(バラスト水(原液)に含まれる菌数に対する処理後の水(処理液)に含まれる菌数の割合)が極めて少なくなる(例えば、1割以下となる)。そこで、本発明では、上記のように、a/bについての望ましい範囲は、0.1〜0.8である。
なお、a/bについて、より望ましい範囲は、0.1〜0.8である。さらに、a/bについて、最も望ましい範囲は、0.1〜0.2である。
また、本発明において、前記ホーンの先端面と前記対向部との間のギャップ値を、0.1〜10mmに設定することが望ましい。このギャップ値が0.1mm未満では、ホーンの高周波振動によるキャビテーション泡の発生および崩壊作用が十分に行われず、またギャップ値が10mmを超えると、衝撃波による殺菌効果が減少し、単なる攪拌作用となる場合があるからである。なお、ギャップ値について、より望ましい範囲は、0.1〜5mmであり、最も望ましい範囲は、0.5〜2mmである。
また、本発明において、前記ホーンの振動周波数を500Hz以上に設定することが望ましい。ホーンの振動周波数が500Hz未満の場合には十分なキャビテーションが発生しないためである。なお、ホーンの振動周波数が80KHzを超えても、キャビテーションによる衝撃波の効果は殆ど変化が見られない。したがって、実用的検知から、望ましいホーン振動周波数の上限は、80KHzである。
また、本発明に係るバラスト水殺菌方法では、高周波振動するホーンとこのホーンの先端面に狭隘空間を保持して対面する対向部との間にバラスト水を導入し、前記狭隘空間内で前記ホーンの高周波振動によるキャビテーション泡を発生させて当該キャビテーション泡の崩壊時に発生する衝撃波により前記バラスト水中の有機微生物・細菌等の有害生物を破砕して死滅させる高周波振動バラスト水殺菌方法であって、前記対向部に開口するバラスト水噴出用ノズルから前記バラスト水を連続して前記ホーンの先端面に向けて噴射させ、当該バラスト水の全量を前記ホーンと前記対向部との間のキャビテーション領域に供給することを特徴とする。
本発明によれば、高周波振動するホーンの先端面に対向する対向部のバラスト水噴出用ノズルから、バラスト水を連続してホーンの先端面に向けて噴射させ、バラスト水の全量をホーンと対向部との間のキャビテーション領域に供給することにより、供給するバラスト水の全量に対して漏れなく高密度のキャビテーション作用を及ぼすことができ、これによりバラスト水の全量を完全に処理することができ、バラスト水中の有機微生物・細菌等の有害生物の細胞を破砕し、完全に死滅させることができる。したがって、殺菌処理能率・確実性を極めて高いものとすることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、バラスト水殺菌装置の全体構成を示す概略図である。
図1に示すように、バラスト水殺菌装置1は大別して、船体2のバラストタンク3に接続され、バラストタンク3からバラスト水4を連続して導入するバラスト水導入装置5と、導入されるバラスト水4にキャビテーション泡を発生させてキャビテーション泡の崩壊時に発生する衝撃波によりバラスト水4中の有機微生物・細菌等の有害生物を破砕して死滅させる高周波振動装置6とを備えている。
なお、バラストタンク3は船体2の側部に配置されており、このバラストタンク3にバラスト水4が収容されている。バラストタンク3の底部には、バラスト水排出口7が設けられている。このバラスト水排出口7に、バラスト水4を高周波振動装置6に導くバラスト水導入装置5の流路構成部材として、バラスト水供給配管8が接続されている。バラスト水供給配管8には、バラスト水排出口7側から先端側に順次に、開閉弁9、流量調整弁10、ゴミ取り用フィルタ11および給水ポンプ12が設けられている。
一方、高周波振動装置6は、高周波振動を発生する高周波振動発生装置13と、この高周波振動発生装置13に接続された高周波振動用のホーン14と、このホーン14の先端面に狭隘空間を保持して対面する対向部15とを有している。対向部15には後に詳述するように、ホーン14の先端面の径よりも口径が小さいバラスト水噴出用ノズル16がホーン14の先端面に向けて開口している。この対向部15のノズル16に、上述したバラスト水供給配管8の先端が接続されている。
高周波振動装置8は、バラスト水殺菌処理用の処理タンク17を備えている。この処理タンク17は、縦長筒状の密閉タンクとして構成され、船体2の所定の位置に配設されている。この処理タンク17の底壁17aは水平とされており、この底壁17aの中央部に上述した対向部15が一体に組み込まれ、対向部15のノズル16から処理タンク17内にバラスト水4が導入されるようになっている。処理タンク17内に導入されたバラスト水4は、ホーン14の高周波振動により殺菌処理を施された後、配水管18に排出されるようになっている。排出管18には、排水ポンプ19および排水弁20が設けられ、配水管18の先端は船底に開口した船底の処理水排出口21に接続されている。
高周波振動発生装置13は、超磁歪材料または圧電型セラミックス材料によって構成された振動子22を有し、静止部23にアーム24を介して支持されている。そして、高周波電源装置25に電源ケーブル26を介して接続された高周波コイル27に高周波電流が供給され、振動子22は例えば上下方向(矢印z方向)に高周波振動をする構成となっている。
次に、図2も参照して、高周波振動装置8の構成をさらに詳細に説明する。図2はホーン14および対向部15を示す拡大断面図である。ホーン14は、振動子22に上端が連結されて振動子22とともに高周波振動する垂直な軸14aと、この軸14aの下端に一体に設けられた所定径aの水平円板状のコマ14bとにより構成されている。コマ14bは軸14aを介して振動子22から高周波振動を受けて高周波振動する。コマ14bの下端面は、処理タンク17の内底面に対向しており、処理タンク17の内底面14aには、コマ14bの下端面に対向する配置で上述の円板状の対向部15が設けられている。これらコマ14bと対向部15とは互いに軸心を垂直方向で対面した状態にあり、これらの対向面間には0.1mm〜10mmの微小空間としての上下方向に沿うギャップgが保持されている。対向部15の中央部には小口径のバラスト水噴出口(ノズル)16が開口しており、バラスト水供給配管8を介してバラストタンク3から送給されるバラスト水4を、ノズル16からギャップg部分に噴出するようになっている。
そして、対向部15のノズル16から処理タンク17内にバラスト水4を供給し、コマ14bと対向部15との間にバラスト水4を充填した状態で、コマ14bを高周波で振動させると、コマ14bの下端面と対向部15の対向部表面(上面)との間の空間部のバラスト水4に微細なキャビテーション泡が高密度に発生する(以下、この空間部を「キャビテーション発生部28」という。)。このキャビテーション発生部28では、高密度に発生したキャビテーション泡が崩壊するときに発生する衝撃波と、コマ14bと対向部15との間にて発生する衝撃波の反射波とが被処理水であるバラスト水4に作用する。
なお、本実施形態では、ホーン14の振動周波数を500Hz以上に設定することが望ましい。ホーン14の振動周波数が500Hz未満の場合には十分なキャビテーションが発生しないためである。なお、ホーン14の振動周波数が80KHzを超えても、キャビテーションによる衝撃波の効果は殆ど変化が見られない。したがって、実用的検知から、望ましいホーン振動周波数の上限は、80KHzである。
コマ14bおよび対向部15は、その全体または少なくとも相対する面を構成する部分が硬度の高い材料、例えばセラミックスまたは超硬合金などの硬質材料などによって構成されている。これにより、コマ14bと対向部15とはキャビテーション泡の崩壊時に発生する衝撃波にて十分に耐え、壊食されない高強度をもつ構成とされている。なお、コマ14bと対向部15との対向部分のみを高硬度とする場合には、各種金属等の母材の表面にセラミックスもしくは超高合金の硬質メッキによる表面処理を施すことなどにより構成することができる。
セラミックスとしては、例えばアルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)およびジルコニア(ZyO)等が適用される。また、超硬合金としては、例えばタングステンカーバイド(WC)、タングステンカーバイド・コバルト合金(WC−Co,WC−TiC−Co,WC−TiC−TaC−Co等)およびステライト(Stellite)等が適用される。
次に作用を説明する。本実施形態では、バラスト水タンク3から給水ポンプ12によりバラスト水送給管8を介して送給されるバラスト水4が、バラスト水噴出口としてのノズル16から処理タンク17のキャビテーション発生部28に連続して噴出する。噴出したバラスト水4は、キャビテーション発生部28内でコマ14bおよび対向部15の中心側から周縁側に向って流動する。バラスト水4が対向部15の外周に到達するまでの間に、全てのバラスト水4はコマ14bの振動によって発生するキャビテーション泡の衝撃波を受ける。これにより、下記の図3に示す如くバラスト水4に含まれる有害生物の細胞膜が破壊し、有害生物が死滅する。
図3は図2におけるキャビテーション発生部28の衝撃波の作用をさらに詳細に示している。図3に示すように、キャビテーション発生部28にバラスト水4が噴出し、バラスト水4中にてコマ14bが振動方向aに沿って上向きに動作すると、コマ14bと対向部15との問に瞬間的に負圧になる場が形成され、その負圧によりバラスト水4中に気泡、すなわちキャビテーション泡29が発生する。このキャビテーション泡29はバラスト水4中に多数発生する。そして、コマ14bが高周波振動により次の瞬間に下向きに動作すると、上記と逆に高圧の圧力場が形成され、キャビテーション泡29は高圧により崩壊される。
このキャビテーション泡29の崩壊時には、高圧の衝撃波(泡崩壊時発生衝撃波:矢印w)が発生する。この衝撃波wは、バラスト水4内に含まれている有害生物の有機微生物30と細菌31の細胞膜の破壊エネルギとして作用するとともに、これらの有害生物を死滅させる。特にキャビテーション泡29の崩壊時には、外向きの破壊エネルギが発生する。また、衝撃波wはコマ14bと対向部15との間で反射し、衝撃反射波(以下、単に「反射波」という:矢印x)となって、再びバラスト水4内の有機微生物30・細菌31の有害生物に衝撃波として繰り返し作用することになる。
すなわち、コマ14bがバラスト水4中で高周波振動すると、コマ14bの超高速往復動作によって微細なキャビテーション泡29の形成・崩壊が繰り返される。そして、このキャビテーション泡29の崩壊時に大きな衝撃圧力が生じ、条件によっては、発生する衝撃圧力が数百MPaに達する。この衝撃圧力が数百MPaに達することは、高周波振動を超音波領域に設定した本実施形態において明確に観測することができた。
なお、発生する衝撃波wは距離が大きくなるに従って拡散、減衰されるため、数十ミリと離れた相手材に対しては、殆ど衝撃波としての作用を及ぼさない。ギャップgを十ミリメートルから数百ミクロンの値にするとキャビテーション泡29の崩壊によって生じた衝撃波wは他のキャビテーション泡29と相互に作用しながら反射波xを発生する。
以上のように、キャビテーション発生領域28にて発生するキャビテーション泡29の崩壊によって生じる衝撃波wと、衝撃波wの反射によって生じる反射波xの相互作用により、バラスト水4中の有機微生物30・細菌31の有害生物の細胞膜は破砕され、死滅する(破砕された有機微生物および細菌32)。このように、コマ14bの高周波振動と対向部15との間で有害生物の全量について細胞膜の破壊、死滅が可能となる。
供給されたバラスト水4は、処理タンク17の底部に発生しているキャビテーション発生部28にてキャビテーション泡29が崩壊するときの衝撃波の作用により、バラスト水4に含まれる有機微生物30・細菌31は、衝撃波wの作用により、細かく粉砕され、破砕された有機微生物30・細菌31は処理水として排出口21から排水ポンプ19によって船外に排出される。この際、有機微生物30・細菌31の破砕・殺菌には衝撃波のみを使用しているため、薬剤投与による海洋汚染などの2次災害なども確実に防ぐことができる。
以上のように、本実施形態によれば、キャビテーション泡29にて生じた衝撃波wをバラスト水4に作用させることにより、バラスト水4中に含まれる有機微生物・細菌等を衝撃波wにより破砕することができる。
図4、図5および図6は、本実施形態による有機微生物・細菌等の有害生物に関する効果をあらわす試験データを示しており、バラスト水中の有機微生物30・細菌31の有害生物と同一もしくは、類似な特性を持つ青枯れ病菌、動物プランクトンの一種ブラウンシュリンプ、単細胞藻類の一種クロレラである。
図4(a)において、T1は、トマトなどの植物の病原菌である青枯れ病菌34を2日間寒天地培養した結果の写真である。この場合、青枯れ病菌34の生菌数は8.9×10cfu/mlである。
次に、図4(b)において、T2は青枯れ病菌34の溶液を本実施形態に従って、全量キャビテーションの衝撃波に晒した処理を行い、その溶液をT1と同様に2日間寒天地培養した結果の写真である。この場合、青枯れ病菌34の生菌数は5.7×10cfu/mlであり、生菌数の割合が約1万分の1に減少している。
これに対し、図4(c)のT3は全量を強制的にキャビテーション領域に送給する方法ではなく、超音波振動子にてビーカー中にてキャビテーションによる噴流を生じせしめ、その旋回噴流内の条件にてT2と同様に培養した試験結果である。青枯れ病菌34の生菌数は9.1×10cfu/mlであり、未処理の場合と大差がない結果となっている。この原因は、溶液全体がキャビテーションの衝撃波に晒されないために、一部の菌が生き残り、培養時に再び増殖したためである。
図4(d)のT4は本発明にて処理する前の青枯れ病菌34を電子顕微鏡で撮影したものである。
T4では青枯れ病菌34はまゆ状の形をなしていることがわかる。図4(e)のT5は本発明にて処理した直後の顕微鏡写真である。青枯れ病菌34はまゆ状の形を留めない程に潰されて破砕されていることがわかる。キャビテーションの衝撃波が有効に作用していることがわかる。
図5は、本実施形態による動物プランクトンの一種ブラウンシュリンプ33に関する効果を示す試験データを示している。図5(a)において、T6は、キャビテーション処理を行なう前の生きた状態のブラウンシュリンプ33の顕微鏡写真である。このブラウンシュリンプ33は1対の羽を有した形状をなしており、体長l1は43.7μm、体幅l2は18.3μm、羽長l3は61.8μmである。図5(b)におけるT7は、T6のブラウンシュリンプ33に本実施形態のキャビテーション処理を施した場合の顕微鏡写真である。ブラウンシュリンプ33は原形を留めない形に破砕されていることがわかる。
図6は、本実施形態による単細胞藻類の一種クロレラ35に関する効果を示す試験データを示している。本実施形態のキャビテーション処理を行なった場合と未処理の場合とを比較すると、処理直後では処理、未処理とも判別は難しいが、クロレラ35を6日間培養すると、本実施形態で処理した場合に黄色に変色し、クロレラ35の増殖は認められないが、未処理の場合には緑色を呈した状態となり、大幅な増殖が認められる。
本実施形態の処理を施すことにより、植物の中では一番硬い殻に覆われているクロレラ35の細胞も破砕ができていることがわかる。図6(a)のT10は処理前のクロレラ35の拡大写真であり、図6(b)のT11は、本実施形態の処理を行なった場合のクロレラ35の細胞の拡大写真である。図6(b)に示すように、本実施形態の処理を行なった場合には、クロレラ35の細胞の中央部に亀裂35aが入っていることがわかる。
図7は、本実施形態によるノズルと径とコマの径の比による殺菌効果の変化を示すグラフである。図7において、縦軸はキャビテーション処理を行なった後の処理液の菌数と処理前の原液の菌数の比である。それぞれの菌数は処理後2日間培養し、生菌数をカウントしたものである。横軸は、図2に示したホーン14のコマ14bの直径寸法aとノズル16の直径寸法bの比である。グラフより、b/aが0.8から1.0の範囲では殺菌効果が少ないが、b/aが0.8以下になるにしたがって、効果が顕著にあらわれてくることが分かる。
すなわち、本実施形態では、バラスト水噴出用ノズルがホーンの先端面の中心位置に対面し、この構成において、ホーンの先端面の径bに対するバラスト水噴出用ノズルの口径aの比a/bが、0.01〜0.8に設定されている。a/b値を小さくする程、バラスト水をキャビテーション発生領域に導く確実性が高まるが、この値を0.01未満とした場合には装置構成に対して処理能率が極端に低下する。逆に、a/bの値を大きくする程、処理能率が高まるが、バラスト水をキャビテーション発生領域に導く確実性が低下し、殺菌効果が減少する。そして、a/b値を0.8超とした場合には、殺菌効果(バラスト水(原液)に含まれる菌数に対する処理後の水(処理液)に含まれる菌数の割合)が極めて少なくなる(例えば、1割以下となる)。本実施形態では、a/bについての望ましい範囲が、0.1〜0.8に設定される。なお、a/bについて、より望ましい範囲は、0.1〜0.8である。さらに、a/bについて、最も望ましい範囲は、0.1〜0.2である。
以上のように、本実施形態のバラスト水殺菌装置は、船体のバラストタンクに接続され、バラストタンクからバラスト水を連続して導入するバラスト水導入装置と、導入されるバラスト水にキャビテーション泡を発生させてキャビテーション泡の崩壊時に発生する衝撃波によりバラスト水中の有機微生物・細菌等の有害生物を破砕して死滅させる高周波振動装置とを備える。そして、高周波振動装置は、高周波振動を発生する高周波振動発生装置と、この高周波振動発生装置に接続された高周波振動用のホーンと、このホーンの先端面に狭隘空間を保持して対面する対向部とを有する。対向部にはホーンの先端面の径よりも口径が小さいバラスト水噴出用ノズルをホーンの先端面に向けて開口させている。
この構成を適用して、高周波振動するホーンとこのホーンの先端面に狭隘空間を保持して対面する対向部との間にバラスト水を導入し、狭隘空間内でホーンの高周波振動によるキャビテーション泡を発生させてキャビテーション泡の崩壊時に発生する衝撃波によりバラスト水中の有機微生物・細菌等の有害生物を破砕して死滅させる。すなわち、対向部に開口するバラスト水噴出用ノズルからバラスト水を連続してホーンの先端面に向けて噴射させ、バラスト水の全量をホーンと対向部との間のキャビテーション領域に供給する。
これにより、バラストタンクから供給されるバラスト水は対向部のノズルに導かれ、高周波振動するホーンの先端面に向って連続して噴出するので、常にホーンと対向部との間の空間、即ち高周波振動によるキャビテーション発生領域を通過する。したがって、供給されるバラスト水の全量がキャビテーション作用を受け、キャビテーション泡の崩壊時における衝撃波によってバラスト水中の有害生物を全て破砕し、死滅させることができる。
以上の実施形態によれば、高周波振動するホーンの先端面に対向する対向部のバラスト水噴出用ノズルから、バラスト水を連続してホーンの先端面に向けて噴射させ、バラスト水の全量をホーンと対向部との間のキャビテーション領域に供給することにより、供給するバラスト水の全量に対して漏れなく高密度のキャビテーション作用を及ぼすことができる。これにより、バラスト水の全量を完全に処理することができ、バラスト水中の有機微生物・細菌等の有害生物の細胞を破砕し、完全に死滅させることができる。したがって、殺菌処理能率・確実性を極めて高いものとすることができる。
本発明の一実施形態によるバラスト水殺菌装置を示す構成図。 図1に示した装置の要部を示す拡大図。 前記実施形態におけるバラスト水殺菌装置の作用説明図。 (a)〜(e)は本発明の一実施形態による試験データを示す顕微鏡写真。 (a),(b)は本発明の一実施形態による試験データを示す顕微鏡写真。 (a),(b)は本発明の一実施形態による試験データを示す顕微鏡写真。 第1実施形態によるノズル径とコマの径の比による殺菌効果を示すグラフ。
符号の説明
1 バラスト水殺菌装置
2 船体
3 バラストタンク
4 バラスト水
5 バラスト水導入装置
6 高周波振動装置
7 バラスト水排出口
8 バラスト水供給配管
9 開閉弁
10 流量調整弁
11 フィルタ
12 給水ポンプ
13 高周波振動発生装置
14 ホーン
15 対向部
16 バラスト水噴出用ノズル
17 処理タンク
17a 底壁
18 配水管
19 排水ポンプ
20 排水弁
21 処理水排出口
22 振動子
23 静止部
24 アーム
25 高周波電源装置
26 電源ケーブル
27 高周波コイル
28 キャビテーション発生部
29 キャビテーション泡
30 有機微生物
31 細菌
32 破砕された有機微生物および細菌
33 動物プランクトンの一種(ブラウンシュリンプ)
41 青枯れ病菌
35 単細胞藻類の一種(クロレラ)

Claims (6)

  1. 船体のバラストタンクに接続され、前記バラストタンクからバラスト水を連続して導入するバラスト水導入装置と、導入されるバラスト水にキャビテーション泡を発生させて当該キャビテーション泡の崩壊時に発生する衝撃波により前記バラスト水中の有機微生物・細菌等の有害生物を破砕して死滅させる高周波振動装置とを備えたバラスト水殺菌装置であって、前記高周波振動装置は、高周波振動を発生する高周波振動発生装置と、この高周波振動発生装置に接続された高周波振動用のホーンと、このホーンの先端面に狭隘空間を保持して対面する対向部とを有し、前記対向部には前記ホーンの先端面の径よりも口径が小さいバラスト水噴出用ノズルを前記ホーンの先端面に向けて開口させたことを特徴とするバラスト水殺菌装置。
  2. 前記バラスト水噴出用ノズルは前記ホーンの先端面の中心位置に対面している請求項1記載のバラスト水殺菌装置。
  3. 前記ホーンの先端面の径に対する前記バラスト水噴出用ノズルの口径の比を、0.01〜0.8に設定した請求項1または請求項2記載のバラスト水殺菌装置。
  4. 前記ホーンの先端面と前記対向部との間のギャップ値を、0.1〜10mmに設定した請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のバラスト水殺菌装置。
  5. 前記ホーンの振動周波数を500Hz以上に設定した請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のバラスト水殺菌装置。
  6. 高周波振動するホーンとこのホーンの先端面に狭隘空間を保持して対面する対向部との間にバラスト水を導入し、前記狭隘空間内で前記ホーンの高周波振動によるキャビテーション泡を発生させて当該キャビテーション泡の崩壊時に発生する衝撃波により前記バラスト水中の有害生物を破砕して死滅させる高周波振動バラスト水殺菌方法であって、前記対向部に開口するバラスト水噴出用ノズルから前記バラスト水を連続して前記ホーンの先端面に向けて噴射させ、当該バラスト水の全量を前記ホーンと前記対向部との間のキャビテーション領域に供給することを特徴とするバラスト水殺菌方法。
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