JP2007095176A - 浮上ヘッドの離脱特性の評価方法および離脱特性評価装置 - Google Patents

浮上ヘッドの離脱特性の評価方法および離脱特性評価装置 Download PDF

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Takeshi Sato
毅志 佐藤
Shinji Furuichi
眞治 古市
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Abstract

【課題】 磁気ディスクと浮上ヘッドの吸着のし易さやし難さを定量化し、磁気ディスク
と浮上ヘッドの開発時間と費用を低減する。
【解決手段】 磁気ディスクの回転数を下げて行き浮上ヘッドが磁気ディスクの潤滑剤と
摺動を開始する速度(TDV)と、磁気ディスクの回転数を上げて行き浮上ヘッドが磁気
ディスクから再浮上して摺動が終了する速度(TOV)の差から、浮上ヘッドの磁気ディ
スク面からの離脱特性を求める。TDVとTOVを用いることで離脱特性を定量化でき、
磁気ディスクと浮上ヘッドの開発時間と費用を低減することができる。

【選択図】 図1

Description

本発明は、コンピューターの外部記憶装置等として使用される磁気記憶装置に搭載され
る、高密度磁気記録用磁気ディスクと浮上ヘッドの、離脱特性の評価方法および評価装置
に関する。
高密度磁気記録を達成するため、線記録密度とトラック密度を上げる方法が従来から取
られてきた。線記録密度及びトラック密度を上げるに従い、記録再生する磁気ヘッドと磁
気ディスクの磁性層表面間との距離である磁気的間隔量を低減することが必要である。磁
気的間隔量は、磁気ディスク表面の保護膜厚と潤滑膜厚、記録再生ヘッドの浮上量、記録
再生ヘッドの磁極保護膜厚の総和である。そのため、各々の膜厚や浮上量を小さくするこ
とが検討されている。
磁気的間隔量を低減すると、一般にヘッドクラッシュと言われる磁気記憶装置にとって
致命的な事故が起こる危険性が増大するものである。ヘッドクラッシュを引起す原因は種
々あるが、その内の一つとして磁気ディスク表面の突起が挙げられる。記録再生磁気ヘッ
ドが磁気ディスクの比較的大きな突起に何度も衝突し、その突起部分から磁気ディスク表
面の損傷が広範囲に拡大して、記録や再生ができなくなるヘッドクラッシュが発生する。
また、磁気ディスク表面の損傷で発生した粉塵により、磁気ディスク表面や記録再生磁気
ヘッドに機械的な傷を与え、記録や再生ができなくなる。この様なヘッドクラッシュを引
起す原因の一つである磁気ディスク表面の突起は、磁気ディスクの製造工程で主に発生し
ている。磁気ディスクはアルミニウム合金やガラスなどの非磁性基板に下地膜、磁性膜、
保護膜、潤滑膜を順次積層した構造となっている。下地膜や磁性膜、保護膜はスパッター
装置を用いて形成される。スパッター装置内で付着した異物、スパッター装置外の工程で
付着した異物が、突起になると考えられている。
磁気ディスクの突起は、バーニシュヘッドと呼ばれる摺動型ヘッドで除去した後、グラ
イドヘッドと呼ばれる検査ヘッドを用い突起の高さが所定内で有るか否かを検査している
。突起に対しては、グライドヘッドで突起高さや数を定量的に測定することができる。グ
ライドヘッドを用いて突起を検出する方法に付いては、特許文献1から3に開示されてい
るので、詳細の説明については省略する。グライドヘッドには、突起との衝突力を電気信
号に変換する方式で、圧電式やAE(Acoustic Emission)式がある。
特開平07−326149号 特開平11−16163号 特開2000−97682号
ヘッドクラッシュを引起す他の原因として、磁気ディスクと磁気ヘッドの吸着が挙げら
れる。吸着を起こす原因としては、磁気ヘッドと磁気ディスクの平坦度や面粗さ、磁気デ
ィスクに塗布される潤滑剤、湿度等々が挙げられる。磁気ディスクの磁性層の上には、1
0〜100(nm)厚に炭素質保護層をスパッター等で形成する。更に、保護層の上に1
〜3(nm)厚にパーフルオロポリエーテル等のフルオロカーボン系の液体潤滑剤が塗布
されている。この潤滑剤が影響し、磁気ディスクに磁気ヘッドが吸着して、磁気ディスク
のスムーズな回転が妨げられ、磁気ディスクや磁気ヘッドに損傷が発生することがある。
磁気ディスクと浮上ヘッドの吸着のし易さ、もしくはし難さを定量的に評価する方法が
なかったため、数多くの磁気ディスクと浮上ヘッドを用い実装試験を行い、磁気ディスク
や浮上ヘッドに発生する損傷を調べていた。これらの結果から、吸着し難い磁気ディスク
や浮上ヘッドにするために、ディスク面粗さやスライダーの平坦度を最適化することが行
われてきたが、結果を得るまでに多大の時間と費用が掛かっていた。
本発明の目的は、磁気ディスクと浮上ヘッドの吸着のし易さやし難さを定量化し、磁気
ディスクと浮上ヘッドの開発時間と費用を低減することにある。
本発明の浮上ヘッドの離脱特性の評価方法は、磁気ディスクから所定量浮上し、磁気デ
ィスクの突起や異物、潤滑剤との衝突を圧電素子やAEセンサーで検出する浮上ヘッドで
、磁気ディスクの回転数を下げて行き浮上ヘッドが磁気ディスクの液体潤滑剤と摺動を開
始する速度や更にディスクと衝突する速度と、磁気ディスクの回転数を上げて行き浮上ヘ
ッドが磁気ディスクから再浮上して摺動や衝突が終了する速度の差から、浮上ヘッドの磁
気ディスク面からの離脱特性を求めることが好ましい。
磁気ディスクの回転数を下げて速度を下げて行き、浮上ヘッドが磁気ディスクの液体潤
滑剤と摺動を開始する速度を、TDV(Touch Down Velocity)とす
る。TDVは、浮上ヘッドの圧電素子の出力が不安定になり始めた後、出力値が急激に増
加する時の速度である。突起との衝突によるパルス的に出る圧電素子の出力は除外してい
る。速度を下げると浮上ヘッドの浮上量が低下し、浮上ヘッドの流出端が液体潤滑剤と接
触したり離れたりして、圧電素子の出力が不安定になり始める。更に、速度を下げて行く
と浮上量の低下だけでなく、浮上ヘッドの浮上ピッチ角も低下し浮上ヘッドの流入端が液
体潤滑剤と接触することで、出力値が急激に増加すると考えられる。この状態で、磁気デ
ィスクの回転を止めると、磁気ディスクと浮上ヘッドは吸着してしまい、再起動したとき
浮上ヘッドが壊れてしまうことが多々ある。つまり、出力値が急激に増加した時点で、磁
気ディスクと浮上ヘッドが実質的に吸着したと言える。また、出力値が急激に増加した時
点では、浮上スライダーの一部が磁気ディスク上の液体潤滑剤を押し退ける形で、炭素質
保護層と直接接触している可能性もある。この様な現象も本願では、摺動と称している。
実質的な浮上ヘッドと磁気ディスクの吸着と磁気ディスクの回転による離脱の繰返しが起
こっており、浮上ヘッドは振動を起こし、この振動によってよりヘッドクラッシュの危険
性が上がる。
TDVからは更に大きく速度を下げることは、磁気ディスクや浮上ヘッドに傷等が入る
危険性が高まるので好ましくはない。TDVが判った時点で磁気ディスクの回転数を上げ
て、TOVを測定することが好ましい。TOV(Take Off Velocity)
は、浮上ヘッドの圧電素子の出力の不安定な状態が収束し始め、出力値が急激に低下する
時の速度である。つまり、TOVは浮上ヘッドが磁気ディスク表面から完全に浮き上がっ
た瞬間の速度である。速度を上げることで、浮上ヘッドのピッチ角も上がり始め、液体潤
滑剤と接触していた流入端が液体潤滑剤のから離脱することで、圧電素子の出力の変動も
少ななる。更に、速度を上げると浮上量も上がり浮上ヘッドは完全に液体潤滑剤から離れ
浮上する。浮上した瞬間に圧電素子の出力は急激に低下し出力の安定性も上がる。その時
点の速度をTOVと言う。
磁気ディスクの突起高さを検査するグライドハイトテストでは、磁気ディスクの周速は
一定としているが、何らかの原因で浮上ヘッドが磁気ディスク上の液体潤滑剤との接触や
突起との衝突などを起こして、浮上姿勢が崩れ、潤滑剤と摺動状態になったり、磁気ディ
スクと衝突し跳ね返ったりを繰返すなど、不安定な浮上状態となることがある。この様な
状態では、グライドハイトテストの継続は困難で、良品のディスクを不良品として判断す
る事態が発生する。しかし、浮上ヘッドが不安定な浮上状態から安定な浮上状態に短時間
で復帰できれば、グライドハイトテストの継続と良不良の誤判定を無くすことができる。
この復帰のし易さやし難さを浮上ヘッドの離脱特性と呼び、復帰のし易い浮上ヘッドもし
くは磁気ディスクを離脱特性が良いとした。離脱特性が悪い場合は、磁気ディスクと浮上
ヘッドの相性が悪いと言うことになり、浮上ヘッドか磁気ディスクもしくは何れにも改善
が必要であると判断される。以上説明したように、離脱特性の良い浮上ヘッドもしくは磁
気ディスクを得ることで、磁気ディスクの検査時の精度向上だけでなく、実際の磁気ディ
スクドライブの性能や信頼性向上にも役立つものである。
磁気ディスクの回転数を下げTDVになった浮上ヘッドは、磁気ディスクとの吸着や衝
突を繰返すため振動状態にあると言える。浮上ヘッド自身に取り付けられた圧電素子の出
力、もしくは測定機側に取り付けられたAEセンサーはその振動出力を、大きな値で観察
し続ける。この大きな値とは、浮上ヘッドが突起にも衝突せず浮上しているときの圧電素
子の出力の約100倍にも達するので、容易にTDVを判別できる。また、逆にTOVも
容易に判別できるものである。磁気ディスクの回転数を上げて速度を上げても、一度振動
を始めてしまい浮上が不安定になってしまった浮上ヘッドは、TDVの速度になっても振
動状態にあるためディスクから正常に離脱できない。更に速度を上げて行くと浮上ヘッド
は正常な浮上状態に戻り、圧電素子の出力も約1/100に低下する。この正常な浮上状
態に戻る速度がTOVである。TDVとTOVには差が生じ、この差が大きいほど離脱特
性が悪い浮上ヘッドもしくは磁気ディスクとなる。勿論、TDVとTOVの差だけではな
く、T0Vの絶対値が小さいほど離脱特性が良いものである。
磁気ディスクと浮上ヘッドの離脱特性は、磁気ヘッドの平坦度(クラウンハイト)や面
粗さ、空気導入部の長さや角度、材質等々、磁気ディスクのうねりや面粗さ、塗布される
液体潤滑剤の種類、厚み等々多数の要因がありこれらの組み合わせは膨大な数となる。従
来はこれらの条件を組み合せて実験し、定性的な離脱特性の結果を得てきた。しかし、T
DVとTOVを測定することで、定量的な離脱特性結果を得ることができる。磁気ディス
クを一定条件とした場合には浮上ヘッドの性状と離脱特性を、浮上ヘッドを一定条件とし
た場合には、磁気ディスクの性状と離脱特性の関係を調べることができる。実際の磁気デ
ィスクドライブに用いられる記録再生磁気ヘッドの離脱特性を調べる場合は、出力の検知
はテスター本体側にセンサーを設けたAEセンサー方式が便利である。記録再生磁気ヘッ
ドをそのまま供試することができるためである。磁気ディスクの離脱特性を調べる場合に
は、浮上ヘッド側に圧電素子を取り付けたグライドヘッドを用いることが便利である。勿
論、グライドヘッド自身の離脱特性を向上させるため、磁気ディスクを一定にして、TD
VとTOVの値を取得することが有用であることは言うまでも無い。
本発明の浮上ヘッドの離脱特性評価装置は、浮上ヘッドからの出力を測定しながら、磁
気ディスクの回転数を下げて行き、磁気ディスクと浮上ヘッドの摺動開始速度(TDV)
を測定した後、磁気ディスクの回転数を上げて行き、浮上ヘッドが磁気ディスクから浮上
する摺動終了速度(TOV)を測定し、摺動開始速度と摺動終了速度の差から、磁気ディ
スクからの浮上ヘッド離脱特性を求めることが好ましい。
浮上ヘッドの離脱特性評価装置は、磁気ディスクを保持し回転させるスピンドルと、浮
上ヘッドを所定の高さで磁気ディスク表面上に保持し、ディスク上の所定半径位置に移動
できる駆動機構と、ヘッド自身に圧電素子を搭載している場合には、その出力を増幅器で
増幅し、必要な信号帯域を取り出すバンドパスフィルターを、またヘッド保持機構側にA
Eセンサーを搭載している場合には、更にプリアンプを増幅器の前段に配置し、その出力
を磁気ディスクの速度と共にモニターする装置からなる。簡便な方法として、磁気ディス
クの回転数を手動で変えながら、圧電素子の出力をオシロスコープで読み取ることもでき
る。しかし、スピンドルの回転制御や浮上ヘッドの半径位置、出力信号を速度に同期させ
たデータの取得など、自動的にデータ採取するほうが、データの信頼性や測定時間の観点
から望ましい。
一部のグライドハイトテスターに搭載されているアバランチ(avalanche)測
定機能を使って、TDVを測定することができる。しかし、アバランチ測定機能はディス
クの回転数を下げて行き、磁気ディスク上の突起との衝突回数を取得するものであり、再
度速度を上げてTOVを測定することはできない。
しかし、グライドハイトテスターは、本発明の離脱特性評価に必要な機械的構成や電気
的構成を有しているので、制御プログラムを改造するだけで、TDVとTOVが得られる
浮上ヘッドの離脱特性評価装置として用いることができる。
離脱特性評価は多量の磁気ディスクを用いて実装試験を行い、評価に多大の時間と費用
が掛かっていた。しかも、得られる結果は定性的なものであった。本発明の浮上ヘッド離
脱特性の評価方法を用いることで、TDVとTOVと言う定量化された値で離脱特性が得
られる。この離脱特性から磁気ディスクと浮上ヘッドの相性や、グライドヘッドの改善点
を短時間かつ低コストで評価、判断することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。説明を判り易くするため、
同じ部品、部位には同一の符号を用いている。
浮上ヘッドに圧電素子を搭載しているグライドヘッドを用いた離脱特性測定装置の構成
を図1に示す。離脱特性評価装置1は、磁気ディスク8を保持し回転させるスピンドル1
0と浮上ヘッド2を所定の高さで磁気ディスク表面上に保持し磁気ディスク上の所定半径
位置に移動できる駆動機構3、圧電素子の出力を増幅する増幅器4、必要な信号帯域を取
り出すバンドパスフィルター5、スピンドルの回転制御やヘッドの半径位置を制御しなが
ら速度に同期した出力信号の取得を行うパソコン6、データを表示するモニター7から構
成されている。本実施例では、直径65mmの磁気ディスクを用いている。本離脱特性評
価装置1は、グライドハイトテスターの制御プログラムを改造して用いた。
図2の速度とヘッド出力電圧の関係と、図3の浮上ヘッドと液体潤滑剤との接触(摺動
)状態を説明する図を用いて、評価方法を具体的な数値を挙げて説明する。勿論、これら
の数値に限定されるものではないものである。磁気ディスク8を保持したスピンドル10
はパソコン6の制御により7200(rpm)の高速で回転させる。浮上ヘッド2はパソ
コン6の制御によりヘッドを保持し移動する駆動機構3によって、磁気ディスク8上の半
径30mmの位置に所定高さ(Zハイト)0.737(mm)でロードした。ロードされ
た浮上ヘッド2は、駆動機構2とパソコン6の制御で半径24(mm)の位置まで移動さ
せた。この時、ヘッドと磁気ディスクの相対速度は約18(m/s)となっている。次に
パソコン6の制御でスピンドル10の回転数を7200(rpm)から1990(rpm
)まで、即ち速度を18(m/s)から4(m/s)まで0.5(m/s)刻みに下げて
行った(図2矢印a)の状態)。一つの速度において0.5秒間その速度を維持し、その
間にパソコン6は増幅器4とバンドパスフィルター5を通過してきた浮上ヘッド(グライ
ドヘッド)2の出力電気信号を取り込み、モニター7上に速度に対する出力の数値データ
とグラフを描画させた。増幅器4の増幅倍率は500倍としている。浮上ヘッドが安定に
飛行している間は、圧電素子の出力は10(mV)程度あったが(図2矢印a)の状態)
、速度が6.4(m/s)おいて急激に圧電素子の出力が5(V)を超え(図2矢印b)
の状態)吸着現象が発生し、その後5(V)前後の出力を維持した(図2矢印c)の状態
)。圧電素子の出力が急激に上昇する速度6.4(m/s)をTDVとした。
速度を4(m/s)まで下げた後、パソコン6からの信号でスピンドル10の回転数を
1990(rpm)から7200(rpm)まで上げて行った。速度を下げるときと同様
に0.5(m/s)刻みに上げながら、グライドヘッド2の出力電気信号をパソコン6に
取り込み、モニター7上回転数を下げた時に描画したデータ、グラフに続けて描画した。
速度に対するヘッドの出力は6.4(m/s)を超えても5(V)前後であり出力値も不
安定(図2矢印d)の状態)、12.3(m/s)の速度で急激にヘッド出力が低下(図
2矢印e)の状態)し、出力電圧も10(mV)程度と小さくなると共に出力値の変動も
無くなり(図2矢印f)の状態)、浮上ヘッド2は安定な飛行に戻った。この出力が急激
に低下し出力値の変動もなくなった速度12.3(m/s)をTOVとした。この測定結
果から、浮上ヘッドの離脱特性はTDVの6.4(m/s)とTOVの12.3(m/s
)の差5.9(m/s)と定量化することができた。ディスク回転数が7200(rpm
)に達したのち、浮上ヘッド2を半径30mmまで移動し、磁気ディスクからアンロード
した。この一連の動作により、モニター7の画面上には図2で示した速度とヘッド出力電
圧のカーブと数値データが表示され、これらのデータはパソコン6の記憶装置に格納し、
何時でも取り出して使用することができるようにした。また、図1には図示していないが
、パソコンに格納されたデータは通信回線を使って、遠隔地の人間も使用することができ
るようにした。
図3を使って、浮上ヘッドと液体潤滑剤との接触(摺動)状態を再度説明する。図3で
は、スライダー9を保持するサスペンション19の図示は省略した。TDVより速い速度
では図3a)に示す様に、スライダー9は浮上量hgで浮上している。これは図2のa)
の状態である。スライダー9の流出端15と流入端16の浮上量の差と流出端15と流入
端16の間隔から浮上角fpが求められる。速度が速くなると浮上角fpは大きくなるこ
とが知られている。図3b)に示す様に、更に速度が低下して行くと流入端15が液体潤
滑剤17と接触し始め、スライダー9の振動が始まり圧電素子の出力が不安定になる。こ
れは図2のb)の状態である。更に速度を下げて行くと、図3c)に示す様に流入端16
も液体潤滑剤17と接触し圧電素子の出力は急激に増加する。これは、図2のc)の状態
と言え、TDVを与える。スライダーの浮上面全域が液体潤滑剤17と接触すると、液体
潤滑剤17からスライダー9が引き剥がされるときに益々振動を起こし、スライダー9は
ディスク基板18を叩くようなことも起こしていると考えられる。今度は速度を上げて行
くが、スライダー9は容易に浮上せず図3d)の状態が続く(図2のd)の状態)。更に
速度を上げると、図3e)に示す様に、流入端16が液体潤滑剤17の影響を受けなくな
り振動も減衰して行く(図2のe)の状態)。次に、図3f)に示す様に、流出端15も
液体潤滑剤17から離れ、圧電素子の出力が急激に低下すると共に出力の安定が起こる。
これは図2のf)の状態と言えTOVを与える。
次に、磁気ディスクや浮上ヘッドの性状を変えて、離脱特性を測定実施した例を挙げる
。特に断りのない限り、磁気ディスクは直径65(mm)で磁気ディスクの面粗さRa=
1.3(nm)、液体潤滑剤の厚みは2(nm)である。浮上ヘッドは、アルミナチタン
カーバイト(Al−TiC)製の2レールタイプである。浮上ヘッドの浮上面の面
粗さRa=2(nm)、クラウンハイトCH=0.05(μm)である。浮上ヘッドの流
出端から25μm流入側に入った位置での浮上量hgと、浮上ピッチ角fpは15(m/
s)の速度で、hg=0.020(μm)fp=250(μrad.)、7(m/s)の
速度でhg=0.004(μm)fp=100(μrad.)とした。測定する速度範囲
は4から18(m/s)である。TDV,TOVの測定は3回行い平均値を採用した。面
粗さは非接触型の面粗さ計を用い、JISB0601に従って、中心線平均面粗さRaを
求めた。
図4に、スライダーの面粗さとTDV、TOVの関係を示す。スライダーの面粗さRa
は図4a)の斜線部を変化させた。面粗さRaはラップ加工に使うダイアモンド研磨砥粒
の径を変える事で制御した。面粗さRaは、0.6〜5(nm)まで変化させた。図4b
)に結果を示す。TDVを三角記号,TOVを丸記号で表している。TDVは4.2〜4
.5(m/s)と面粗さと関係ないように見えるが、TOVは6.1〜10.5(m/s
)と面粗さが変わることで大きく変化している。面粗さが粗くなるに従い、TOV値は小
さくなり、またTDVとTOVの差も小さくなっている。面粗さ0.6(nm)では差は
6.3(m/s)、面粗さ5.0(nm)では1.8(m/s)と、浮上ヘッドの離脱特
性が約3.5倍向上したと言える結果を得た。RaはJISB0601で規定される中心
線平均粗さを用いた。
図5に、スライダーのクラウンハイトCHとTDV、TOVの関係を示す。クラウンと
は、図5a)に示す様にスライダーの浮上面を球面状に加工したものである。クラウンの
形状は、流入端16と流出端15を結んだ線からクラウン頂点までの距離で表し、この距
離をクラウンハイトCHとした。CHは僅かな曲率を持たせた研磨定盤を用い加工した。
CHは0.02〜0.16(μm)まで変化させた。図5b)に、結果を示す。TDVは
4.4〜3.6(m/s)まで、CHが大きくなるに従い、TDVも下がっている。同様
にTOVも8.8〜5.0(m/s)まで下がっている。TDVとTOVの差は、CHが
0.02(μm)では4.4(m/s)であるが、0.16(μm)と大きくなると1.
4(m/s)と、約3倍離脱特性が向上していることが判った。
図6に、液体潤滑剤の厚みLHとTDV、TOVの関係を示す。図6a)に示す様に、
液体潤滑剤の厚みLHは1.0〜3.6(nm)まで変化させた。液体潤滑剤の厚みが薄
いため、表面張力等で液体潤滑剤は均一の厚みの膜ではなく、斑状に形成されている。液
体潤滑剤の厚みの違いは、ディップ方式で引上げ速度を変えることで得た。図6b)に、
結果を示す。LHが変化してもTDVは4.0〜4.4(m/s)と余り変化しないが、
TOVは大きく変化していることが判る。TOVは5.7〜11.2(m/s)と2倍近
い値を示している。本実施例では、LHが2(nm)でTOVが大きく変化しており、L
Hを2(nm)以下にすることで良い離脱特性が得られることが判る。
図7に、ディスク基板の面粗さRaとTDV、TOVの関係を示す。図6a)に示す様
に、RaはJISB0601で規定される中心線平均粗さを用いた。面粗さはテクスチャ
ー加工に用いる研磨テープの番定を変えた。テクスチャー加工とは、磁気ディスクの基板
に吸着防止や磁性膜の磁気配向性を制御するために、略同心円状に微細な凹凸を設けるも
のである。Raを0.5〜2.5(nm)まで変化させて、TDVとTOVを測定した。
TDVは4.0〜4.6(m/s)と約1.2倍の変化であるが、TOVとTDVの差は
2.3〜4.0(m/s)と約1.7倍以上の差が生じている。
本発明の離脱特性測定装置の構成を示す図である。 速度とヘッド出力電圧の関係を示す図である。 浮上ヘッドと液体潤滑剤との接触(摺動)状態を説明する図である。 スライダーの面粗さとTDV、TOVの関係を示す図である。 スライダーのクラウンハイトCHとTDV、TOVの関係を示す図である。 液体潤滑剤の厚みLHとTDV、TOVの関係を示す図である。 ディスク基板の面粗さRaとTDV、TOVの関係を示す図である。
符号の説明
1 離脱特性評価装置、2 浮上ヘッド、
3 駆動機構、4 増幅器、
5 バンドパスフィルター、6 パソコン、
7 モニター、8 磁気ディスク、
9 スライダー、10 スピンドル、
15 流出端、16 流入端、
17 液体潤滑剤、18 ディスク基板、
19 サスペンション。

Claims (2)

  1. 磁気ディスクから所定量浮上し、磁気ディスクの突起や異物、潤滑剤との衝突を圧電素
    子やAEセンサーで検出する浮上ヘッドで、磁気ディスクの回転数を下げて行き浮上ヘッ
    ドが磁気ディスクの潤滑剤と摺動を開始する速度と、磁気ディスクの回転数を上げて行き
    浮上ヘッドが磁気ディスクから再浮上して摺動が終了する速度の差から、浮上ヘッドの磁
    気ディスク面の潤滑剤からの離脱特性を求めることを特徴する浮上ヘッドの離脱特性の評
    価方法。
  2. 浮上ヘッドからの出力を測定しながら、磁気ディスクの回転数を下げて行き、磁気ディ
    スクと浮上ヘッドの摺動開始速度を測定した後、磁気ディスクの回転数を上げて行き、浮
    上ヘッドが磁気ディスクから浮上する摺動終了速度を測定し、摺動開始速度と摺動終了速
    度の差から、磁気ディスクからの浮上ヘッドの離脱特性を求めることを特徴とする浮上ヘ
    ッド離脱特性評価装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010086591A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Hoya Corp 磁気ディスクの製造方法

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