JP2007094425A - 吸音材および耐水吸音材 - Google Patents
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Abstract
【課題】150Hz以下の低周波領域のみならず150Hzを超える高周波領域の広帯域の騒音を効果的に吸収し、製品形態の自由度を向上させる。
【解決手段】
本発明の吸音材は、音源側に配置される発泡体層1と、発泡体層1の剛壁3側に積層される4と、発泡体層1の音源側面に形成される被膜面5とを備えている。
発泡体層1は、分子量500〜5000の第1のジオール、分子量500以下の第2のジオール、無機充填材、発泡剤としての水、およびイソシアネートの各成分を原料成分とする発泡体で形成されている。
また、被膜面5の音源側には、針状部材で被膜面5と直交する方向に多数個の孔が設けられている。
【選択図】図3
【解決手段】
本発明の吸音材は、音源側に配置される発泡体層1と、発泡体層1の剛壁3側に積層される4と、発泡体層1の音源側面に形成される被膜面5とを備えている。
発泡体層1は、分子量500〜5000の第1のジオール、分子量500以下の第2のジオール、無機充填材、発泡剤としての水、およびイソシアネートの各成分を原料成分とする発泡体で形成されている。
また、被膜面5の音源側には、針状部材で被膜面5と直交する方向に多数個の孔が設けられている。
【選択図】図3
Description
本発明は、吸音材および耐水吸音材に係り、特に、150Hz以下の低周波領域のみならず150Hzを超える高周波領域の広帯域の騒音を効果的に吸収し、製品形態の自由度を向上させることができる吸音材および耐水吸音材に関する。
従来から、この種の吸音材として、(a)グラスウールやロックウール等から成る多孔質体層を使用するもの、(b)音源側に空気層を設けたもの、(c)吸音材の音源側に空気層を設けて成るもの、(d)通気度が5〜100倍異なる高密度と低密度の繊維集合体を少なくとも2層以上積層して成るものなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、(a)および(b)の吸音材においては、周波数帯域が500Hzを超えるような騒音や500Hz以下の騒音に対して、所要の吸音効果を発揮させるためには、多孔質体層の肉厚を厚くしなければならず、ひいては、全体的に吸音材の重量が重くなるという難点があった。また、(c)の吸音材においては、吸音材の音源側に空気層が存在するため、吸音材の重量が重くなり、また、スペースを広くとらなければならないという難点があった。一方、(d)の吸音材は、空気の粘性抵抗を利用し、音波のエネルギーを熱エネルギーに変換して吸音する多孔質吸音構造体に、さらに密度が異なる繊維集合体を積層することで、高密度部分が付加質量、低密度部分がバネの役割を担う、いわゆる動吸振機を構成させて特に低周波数帯域の吸音率を向上させるものであるが、このような構成の吸音材においては、特に100Hz以下のいわゆる低周波帯域においては、十分な吸音効果が得られないという難点があった。また、低周波帯域の音や振動は空気伝搬音だけではなく、建物や窓のがたつきなども発生するため、固体伝搬音および振動防止に対する対策を同時に行う必要があり、従来の吸音材ではその対策が困難であった。
このため、本出願人は、先に、空気の粘性抵抗を利用し、音波のエネルギーを熱エネルギーに変換して吸音する多孔質吸音構造体に、さらに密度が異なる繊維集合体を積層した吸音材を開発し、出願している(特開2003−316364号公報)。
この吸音材は、音源側に配置される発泡体層と、この発泡体層の剛壁側に積層される多孔質体層とを備えている。ここで、発泡体層は、分子量500〜5000の第1のジオール、分子量500以下の第2のジオール、無機充填材、発泡剤としての水、およびイソシアネートの各成分を含有する発泡体で形成され、また、多孔質体層は、汎用のグラスウールで形成されている。
このような構成の吸音材によれば、高密度部分が付加質量、低密度部分がバネの役割を担う、いわゆる動吸振機を構成させて、特に低周波数帯域の吸音率を向上させることができる。
しかしながら、このような構成の吸音材においては、次のような難点があった。
第1に、多孔質体層を構成するグラスウールは、150Hz以上の高周波領域、若しくは150Hz以下の低周波領域では吸音効果が弱くなるという難点があった。
第2に、発泡体層と多孔質体層とが一体成型され、この一体成型に際して発泡体層の音源側に表面皮膜が形成されるため、製品の自由度を向上させることができないという難点があった。すなわち、発泡体層と多孔質体層との一体成形の際に表面皮膜が同時に形成されるため、所要の吸音特性を発揮させるためには、発泡体層の音源側や多孔質体層の剛壁側を変更しなければならないという難点があった。
第3に、多孔質体層を構成するグラスウールが露出しているため、かかるグラスウールが水に濡れると吸音特性、特に低周波領域における吸音特性が低下するという難点があった。
本発明は、150Hz以下の低周波領域のみならず150Hzを超える高周波領域の広帯域の騒音を効果的に吸収し、製品形態の自由度を向上させることができる吸音材および耐水吸音材を提供することを目的としている。
本発明の第1の態様である吸音材は、音源側に配置される発泡体層と、発泡体層の剛壁側に積層されると、発泡体層の音源側面に形成され、それ自身の音源側に多数個の孔が設けられている被膜面とを備え、発泡体層は、分子量500〜5000の第1のジオール、分子量500以下の第2のジオール、無機充填材、発泡剤としての水、およびイソシアネートの各成分を原料成分とするものである。
本発明の第2の態様は、第1の態様である吸音材において、発泡体の密度は、50〜500kg/m3とされているものである。
本発明の第3の態様は、第1の態様または第の2態様である吸音材において、第1のジオールに含まれる水酸基含量と、第2のジオールに含まれる水酸基含量の比は、1:0.3〜2.5とされているものである。
本発明の第4の態様は、第1の態様乃至第の3態様のいずれかの吸音材において、無機充填材の含量は、第1のジオール100重量部に対して10〜200重量部とされているものである。
本発明の第5の態様は、第1の態様乃至第の4態様のいずれかの吸音材において、発泡剤としての水の含量は、第1のジオール100重量部に対して2〜5重量部とされているものである。
本発明の第6の態様は、第1の態様乃至第の5態様のいずれかの吸音材において、第1、第2のジオール、および発泡剤としての水の水酸基含量の合計と、イソシアネートのイソシアネート含量との比であるイソシアネートインデックス(NCO/OH)は、0.5〜1.0の範囲にあるものである。
本発明の第7の態様は、第1の態様乃至第の6態様のいずれかの吸音材において、イソシアネートインデックスは、0.6〜0.9の範囲にあるものである。
本発明の第8の態様は、第1の態様乃至第の7態様のいずれかの吸音材において、第1のジオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリアクリル酸エステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオールのうちから選択されたいずれかのジオールとされているものである。
本発明の第9の態様は、第1の態様乃至第の8態様のいずれかの吸音材において、第2のジオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール等の脂肪族系若しくはN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン等の芳香族系のうちから選択されたいずれかのジオールとされているものである。
本発明の第10の態様は、第1の態様乃至第の9態様のいずれかの吸音材において、無機充填材は、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのうちから選択されたいずれかの無機充填とされているものである。
本発明の第11の態様は、第1の態様乃至第の10態様のいずれかの吸音材において、イソシアネートは、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、粗製トリレンジイソシアネート、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネートのうちから選択されたいずれかのイソシアネートとされているものである。
本発明の第12の態様は、第1の態様乃至第の11態様のいずれかの吸音材において、多孔質体層は、粗毛フェルト、植物繊維系フェルト、動物繊維系フェルト、合成繊維系フェルトのいずれか、またはこれらの混合物からなるものである。
本発明の第13の態様である耐水吸音材は、第1の態様乃至第の12態様のいずれかの態様の吸音材と、吸音材の外面に設けられる耐水層とを備えるものである。
本発明の第14の態様は、第13の態様である耐水吸音材音材において、耐水層は、厚さ100μm程度の樹脂フイルムから成るものである。
本発明の第15の態様は、第13の態様である耐水吸音材音材において、耐水層は、撥水性の布から成るものである。
本発明の第1の態様乃至第15の態様の吸音材および耐水吸音材によれば、次のような効果がある。
第1に、発泡体層の両面に多孔質体層を備えることにより、150Hz以上の高周波領域における吸音特性が向上し、ひいては広帯域の周波数領域においても対応可能な吸音材を提供することができる。
第2に、吸音材の表面皮膜に針状部材で孔等を設けることにより、発泡体層の通気性が向上し、ひいては、低周波領域の吸音特性を向上させることができる。
第3に、発泡体層の音源側に、別体で形成された被膜層を接着・当接させることにより、製品形態の自由度を向上させることができる。
第4に、積層体で構成される吸音材の外面に耐水層を設けることにより、低周波領域における吸音特性を維持することができる。
以下、本発明の吸音材を適用した実施の形態例について、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明における吸音材の第1の実施の形態を示す断面図である。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明における吸音材の第1の実施の形態を示す断面図である。
同図において、吸音材1は、音源側に配置される発泡体層1と、発泡体層1の音源側に積層される第1の多孔質体層2と、発泡体層1の剛壁3側に積層される第2の多孔質体層4とを備えている。ここで、発泡体層1としては、連続気泡発泡を有する発泡体が用いられる。これは音波が発泡体層1に入射した場合、間隙部分の空気が振動し、この空気の粘性抵抗によって音波のエネルギーが熱エネルギーに変換されて吸音が行われるとともに、制振性も有しているために発泡体層1自身が振動し、この時の粘性抵抗によって音波のエネルギーが熱エネルギーに変換され吸音が行われるためである。また、発泡体層1の両面に、第1、第2の多孔質体層2、4を積層するのは、発泡体層1部分が付加質量、すなわち錘の役割として作用し、多孔質体層部分がバネ、すなわち空気バネの役割として作用し、膜振動による吸音を行わせるためである。
本発明における発泡体層1は、次のような発泡体で形成されている。
第1に、発泡体は、分子量500〜5000の第1のジオール、分子量500以下の第2のジオール、無機充填材、発泡剤としての水、およびイソシアネートの各成分を含有するものから成り、特に主ポリマーである第1のジオールを分子量500〜5000、好ましくは分子量1000〜2000のジオールとすることにより制振性を付加した発泡体を得ることができる。ここで、この主ポリマーを分子量500未満のジオールで構成すると、硬い発泡体となり、制振性が得られず、また、分子量が5000を超えるジオールで構成すると、初期粘度が高くなり、所要の発泡体が得られなくなる。なお、主ポリマーとして、トリオールや本発明に用いるジオール以外のポリオールを使用した場合には、制振性を得ることが困難になる。
第2に、発泡体の密度は、50〜500kg/m3の範囲にあることが好ましい。密度が50kg/m3未満では通気性が良くなり過ぎて、低周波数領域の吸音効率が悪くなり、500kg/m3を超えると反対に通気性が悪くなり過ぎて、音が反射し吸音が困難になるからである。
第3に、発泡体を構成する第1のジオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリアクリル酸エステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオールなどが好適する。
第4に、発泡体を構成する第2のジオールは、本発明の発泡体層1の鎖延長剤として使用され、補強の役割を果たす。ここで、分子量が500以下としたのは、分子量が500を超えると補強効果が得られなくなるからである。また、この成分をトリオールや本発明に用いるジオール以外のポリオールにした場合は補強効果が大きくなり過ぎ、制振性を損なってしまう。
第5に、発泡体を構成する第2のジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール等の脂肪族系若しくはN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン等の芳香族系のジオールなどが好適する。
ここで、発泡体に用いられる第1のジオールに含まれる水酸基含量と第2のジオールに含まれる水酸基含量との比は1:0.3〜2.5が好ましい。第2のジオールの水酸基含量の比が0.3未満になると補強効果が不十分になり、水酸基含量の比が2.5を超えても効果に差異が見られないからである。
第6に、発泡体を構成する無機充填剤は、発泡体層を補強し、制振性を付加する目的で使用される。この無機充填剤は、分子量500〜5000の第1のジオール100重量部に対して10〜200重量部配合することが好ましい。10重量部未満では充分な補強や制振性の付加を行うには効果が小さく、200重量部を超えると成型前の組成物の粘度が高くなり成型が困難になるからである。
第7に、発泡体を構成する無機充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが好適である。
第8に、発泡体を構成する水は、発泡剤として用いられる。発泡剤の添加量は、発泡体が得られる量であればよいが、分子量500〜5000の第1のジオール100重量部に対して2〜5重量部が好適である。2重量部未満では充分な発泡が行われず、5重量部を超えても効果に大きな差異が見られないからである。
第9に、発泡体を構成するイソシアネートは、基本的にはウレタン発泡体の製造に使用されるものを用いることができるが、特に2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、粗製トリレンジイソシアネート、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネートなどが好適し、これらのイソシアネートを単独若しくは混合して使用することができる。
第10に、発泡体に適度な剛性と制振性を付与するためには、第1のジオール、第2のジオール、および発泡剤としての水の水酸基含量の合計と、イソシアネートのイソシアネート含量の比であるイソシアネートインデックス(NCO/OH)が、0.5〜1.0、好ましくは0.6〜0.9の範囲にあることが望ましい。イソシアネートインデックスが0.5未満では架橋度が少なくなって剛性が低下し、1.0を超えると適度な剛性は得られるものの制振性が低下するからである。
第11に、上記の発泡体には、通常のウレタン発泡体層の製造に使用される触媒、製泡剤、難燃剤、可塑剤、着色剤等を目的に応じて適宜添加してもよい。
次に、本発明における第1、第2の多孔質体層2、4は、それぞれ同様の構成とされ、それぞれ次のようなもの形成されている。
第1に、第1、第2の多孔質体層2、4は、グラスウール若しくはロックウールのどちらか一方若しくはこれらの組み合わせたもので形成されている。具体的には、グラスウール若しくはロックウールを同種同士若しくは異種同士を積層したもので形成されている。
第2に、第1、第2の多孔質体層2、4は、損失係数ηが0.05以上、通気量が0.1dm3/s以上、厚さが1〜50mm、望ましくは10〜25mmのもので形成されている。このような構成の第1、第2の多孔質体層2、4においては、低周波数領域から高周波数領域までの広範囲に亘って吸音特性が優れており、また固体伝搬音や振動の低減にも効果的な制振性を発揮する。
第3に、第1、第2の多孔質体層2、4は、熱伝導率が0.1〜0.5W/mKのもので形成されている。また、第1、第2の多孔質体層2、4は、基材がウレタンフォーム若しくはウレタンフォーム基材に熱伝導性付与材を配合したもので形成されている。ここで、熱伝導性付与材としては、セラミックス若しくは金属材料からなるものを配合したもの、炭化珪素粉、アルミナ粉、アルミ粉、黒鉛、銅粉、ステンレス粉から選ばれた1種若しくはこれらを2種以上混合したもの、または黒鉛(黒鉛の添加量はウレタンフォームを形成するポリオール100重量部に対して10〜150重量部である)が用いられる。
このような構成の第1、第2の多孔質体層2、4は、エンジン類等の音源に取り付けられ、エンジン類から発生する空気伝搬音、固体伝搬音、振動の低減に効果的な吸音性能を有し、またエンジン類の運転により室内や防音ボックス内の温度が上昇しても多孔質体の温度上昇が抑制でき、劣化が促進されず寿命が長くなる。
図2は、第1の実施の形態における吸音材の吸音特性を示している。ここで、図中、太線L1は、多孔質体層の厚さを100mmとした従来の吸音材の吸音特性、細線L2は、第1の多孔質体層2の厚さを25mm、第2の多孔質体層4の厚さを75mmとした本発明の吸音材の吸音特性、点線L3は多孔質体層をグラスウールで構成し、その厚さを100mmとした従来の吸音材の吸音特性を示している。同図より、本発明の吸音材(細線L2)が150Hz以下の低周波領域のみならず、150Hz以上の高周波領域にわたって、優れた吸音特性を示していることが分かる。従って、第1の実施の形態における吸音材を使用すれば、広帯域の周波数領域に対応可能な吸音材を提供することができる。
[第2の実施の形態]
図3は、本発明における吸音材の第2の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
[第2の実施の形態]
図3は、本発明における吸音材の第2の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図2において、吸音材1は、音源側に配置される発泡体層1と、発泡体層1の剛壁3側に積層される第2の多孔質体層4と、発泡体層1の音源側面に形成される被膜面5とを備えている。
ここで、被膜面5の音源側には、針状部材で被膜面5と直交する方向に多数個の孔(不図示)が設けられている。
このような被膜面5への孔の形成により、被膜面5の通気性が向上し、ひいては、吸音率のピーク周波数を低周波数側へ移動させることができる。
図4は、第2実施の形態における吸音材の吸音特性を示している。ここで、図中、細線L4は、被膜面5に孔を有しない従来の吸音材の吸音特性、点線L5は、被膜面5の音源側に、針状部材によって1cm2当たり50個の孔を形成した本発明の第1の吸音材の吸音特性、太線L6は、被膜面5の音源側に、針状部材によって1cm2当たり200個の孔を形成した本発明の第2の吸音材の吸音特性を示している。同図より、本発明の第1、第2の吸音材における吸音率のピーク周波数が低周波数側へ移動していることが分かる。従って、第2の実施の形態における吸音材を使用すれば、150Hz以下の低周波数領域に対応可能な吸音材を提供することができる。なお、このような針状部材による孔の形成に代えて、グラインダーにより被膜面5に摩擦加工を施して、当該表面を粗面化しても、前述の吸音材と同様の効果を奏する。
[第3の実施の形態]
図5は、本発明における吸音材の第3の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
[第3の実施の形態]
図5は、本発明における吸音材の第3の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図5において、吸音材1は、音源側に配置される発泡体層1と、発泡体層1の剛壁側に積層される第2の多孔質体層4と、発泡体層1の音源側に接着される被膜層6とを備えている。
ここで、被膜層6は、発泡体層1と第2の多孔質体層4との一体成形とは、別体で形成される。これは、製品形態の自由度を向上させるためである。
図6は、第3実施の形態における吸音材の吸音特性を示している。ここで、図中、太線L7は、ガラスウールから成る多孔質体層4の厚さを50mmとし、発泡体層1の音源側に被膜層を一体で成形した従来の第1の吸音材の吸音特性、一点鎖線L8は、ガラスウールから成る多孔質体層4の厚さを100mmとし、発泡体層1の音源側に被膜層を一体で成形した従来の第2の吸音材の吸音特性、点線L9は、ガラスウールから成る多孔質体層4の厚さを50mmとし、発泡体層1の音源側に別体の被膜層6を接着させた本発明の第1の吸音材の吸音特性、細線L10は、ガラスウールから成る多孔質体層4の厚さを50mmとし、発泡体層1の音源側に別体の被膜層6を接着させた本発明の第2の吸音材の吸音特性を示している。同図より、本発明の第1、第2の吸音材は、従来の第1、第2の吸音材と同様の吸音特性を示していることがわかる。従って、第3の実施の形態における吸音材を使用すれば、要求される吸音特性や施工方法に応じて、発泡体層1の音源側若しくは剛壁側に別体の被膜層6を接着・当接(接触)させることで対処することができ、ひいては製品形態の自由度を向上させることができる。なお、被膜層6は発泡体層1に接着させたものに限定されず、被膜層6を発泡体層1に当接(接触)させてもよい。
[第4の実施の形態]
図7は、本発明における吸音材の第4の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
[第4の実施の形態]
図7は、本発明における吸音材の第4の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図7において、吸音材1は、音源側に配置される発泡体層1と、発泡体層1の音源側に積層される第1の多孔質体層2と、発泡体層1の剛壁4側に積層される第2の多孔質体層4と、第2の多孔質体層4の剛壁側に配置される制振材層7とを備えている。
本発明における制振材層7は、その目的が達成できるものであれば特に限定はされないが、例えば、内部に連続気泡を有する粘弾性体からなる発泡体であって、粘弾性発泡体は音源側に近づくほど発泡密度が増加しもしくは減少するように発泡密度分布が調整されているものが使用される。ここで、粘弾性発泡体としては、それぞれ発泡密度が異なる複数の粘弾性発泡体を、音源側に近づくほど発泡密度が大きいもの、若しくは小さいものが配置されるように積層されたもの、第2に、粘弾性発泡体の発泡密度としては、音源側で高密度、若しくは低密度としたもの、第3に、粘弾性発泡体の音源側に粘弾性体からなる制振シートを積層したもの、第4に、粘弾性発泡体の音源側に粘弾性体からなる独立気泡発泡体を積層したもの、第5に、粘弾性発泡体の音源側に金属薄膜層を積層したもの、第6に、粘弾性発泡体の剛壁側に粘弾性体からなる制振シートを積層したものなどが使用される。
このような構成の制振材層7を配置すると、さらに振動や固体伝搬音を低減する効果が大きくなる。
[第5の実施の形態]
図8は、本発明における吸音材の第5の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図1および図7と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
[第5の実施の形態]
図8は、本発明における吸音材の第5の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図1および図7と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図8において、吸音材1は、音源側に配置される発泡体層1と、発泡体層1の音源側に積層される第1の多孔質体層2と、発泡体層1の剛壁3側に積層される第2の多孔質体層4と、第2の多孔質体層4の剛壁4側に配置される制振材層7と、第2の多孔質体層4と制振材層7間に配置される拘束材層8とを備えている。
本発明における拘束材層8は、次のようなもので構成されている。
第1に、先ず、拘束材層8としては、制振材層7よりヤング率が大きい材質のものを使用することが好ましい。
第2に、発泡体層1の吸音効果を有効にしてかつ拘束材層8としての目的に適した材質のものとしては、金属製材質のもの、具体的には、アルミニウムやステンレス製のパンチングメタル、若しくはアルミニウム繊維からなる不織布などが好適する。
第3に、拘束材層の厚さは、0.1〜2mmが好ましい。0.1mm未満では目的とする効果が得られず、2mmを超えても効果に差異が見られないからである。なお、本実施の形態においても音源側の発泡体層2は被膜面6を有している。
このような構成の吸音材を使用すれば、制振効果をより一層向上させることができる。
[第6の実施の形態]
図9は、本発明における耐水吸音材の第6の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図1、図7、図8と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
[第6の実施の形態]
図9は、本発明における耐水吸音材の第6の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図1、図7、図8と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図9において、耐水吸音材1は、前述のいずれかの吸音材、例えば、図1に示す吸音材と、この吸音材の外面に設けられた耐水層9とを備えている。
ここで、耐水層9としては、厚さが100μm程度の樹脂フイルムが使用される。
このような樹脂フイルム若しくは撥水性の布で吸音材を包皮すれば、第1、第2の多孔質体2、4を構成するグラスウールが水などに濡れる虞がなくなることから、吸音材の吸音特性を維持することができる。なお、樹脂フイルムの包皮に代えて、撥水性の布で包皮しても同様の効果を奏する。
なお、前述の第1〜第6の実施の形態においては、発泡体層1として、発泡密度が均一な単一の発泡体層について述べているが、次のような構成のもの、例えば、第1に、内部に連続気泡を有する発泡体であって、音源側の表面に薄膜層を発泡体と一体成型して配置されているもの、第2に、例えば厚さ1mm以下の薄膜層が音源側および剛壁側双方の発泡体と一体成型して配置されているもの、第3に、連続気泡発泡体の発泡密度が厚さ方向に傾斜的に異なっているもの、第4に、異なる複数の連続気泡発泡体を発泡密度が傾斜的に配置されるように積層されたもの、第5に、連続気泡発泡体の発泡密度が音源側で高密度となるようにしたもの、第6に、連続気泡発泡体として粘弾性体からなるものを用いてもよい。
また、前述の制振材層に代えて、次のような構成のもの、例えば、各繊維の表面に粘弾性体を塗布して粘弾性体塗布繊維とし、各粘弾性体塗布繊維を集合して吸音制振効果を有する繊維状集合体としたものを用いてもよい。ここで、繊維状集合体は、弟1に、音源側に近づくほど繊維密度が増加しもしくは減少するように繊維密度分布が調整されているもの、第2に、それぞれ繊維密度が異なる複数の繊維状集合体を、音源側に近づくほど繊維密度が大きいもの若しくは小さいものが配置されるように積層されたもの、第3に、繊維状集合体の繊維密度が音源側で高密度、若しくは低密度としたもの、第4に、繊維状集合体の音源側に、粘弾性体からなる制振シートを積層したもの、第5に、繊維状集合体の音源側に粘弾性体からなる独立気泡発泡体を積層したもの、第6に、繊維状集合体の音源側に金属薄膜層を積層したもの、第7に、繊維状集合体の剛壁側に粘弾性体からなる制振シートを積層したものを使用してもよい。
1・・・吸音材
1・・・発泡体層
2・・・第1の多孔質体層
3・・・剛壁
4・・・第2の多孔質体層
5・・・被膜面
6・・・被膜層
7・・・制振材層
8・・・拘束材層
1・・・発泡体層
2・・・第1の多孔質体層
3・・・剛壁
4・・・第2の多孔質体層
5・・・被膜面
6・・・被膜層
7・・・制振材層
8・・・拘束材層
Claims (15)
- 音源側に配置される発泡体層と、前記発泡体層の剛壁側に積層されると、前記発泡体層の音源側面に形成され、それ自身の音源側に多数個の孔が設けられている被膜面とを備え、
前記発泡体層は、分子量500〜5000の第1のジオール、分子量500以下の第2のジオール、無機充填材、発泡剤としての水、およびイソシアネートの各成分を原料成分とすることを特徴とする吸音材。 - 前記発泡体の密度は、50〜500kg/m3であることを特徴とする請求項1記載の吸音材。
- 前記第1のジオールに含まれる水酸基含量と、前記第2のジオールに含まれる水酸基含量の比は、1:0.3〜2.5であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の吸音材。
- 前記無機充填材の含量は、前記第1のジオール100重量部に対して10〜200重量部であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の吸音材。
- 前記発泡剤としての水の含量は、前記第1のジオール100重量部に対して2〜5重量部であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の吸音材。
- 前記第1、第2のジオール、および発泡剤としての水の水酸基含量の合計と、前記イソシアネートのイソシアネート含量との比であるイソシアネートインデックス(NCO/OH)は、0.5〜1.0の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の吸音材。
- 前記イソシアネートインデックスは、0.6〜0.9の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の吸音材。
- 前記第1のジオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリアクリル酸エステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオールのうちから選択されたいずれかのジオールであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の吸音材。
- 前記第2のジオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール等の脂肪族系若しくはN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン等の芳香族系のうちから選択されたいずれかのジオールであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の吸音材。
- 前記無機充填材は、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのうちから選択されたいずれかの無機充填剤であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の吸音材。
- 前記イソシアネートは、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、粗製トリレンジイソシアネート、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネートのうちから選択されたいずれかのイソシアネートであることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の吸音材。
- 前記多孔質体層は、粗毛フェルト、植物繊維系フェルト、動物繊維系フェルト、合成繊維系フェルトのいずれか、またはこれらの混合物からなることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の吸音材。
- 請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の吸音材と、前記吸音材の外面に設けられる耐水層とを備えることを特徴とする耐水吸音材。
- 前記耐水層は、厚さ100μm程度の樹脂フイルムであることを特徴とする請求項13記載の耐水吸音材。
- 前記耐水層は、撥水性の布であることを特徴とする請求項13記載の耐水吸音材。
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