JP2007089547A - 脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカーおよびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカーおよびその用途を提供する。
【解決手段】特定の塩基配列を有する配列群のいずれか1記載の塩基配列を有する脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカー遺伝子、及び/又は、特定のアミノ酸配列を有する配列群のいずれか1記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドを有する脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を測定することにより、脳腫瘍患者の予後を予測する方法を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】特定の塩基配列を有する配列群のいずれか1記載の塩基配列を有する脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカー遺伝子、及び/又は、特定のアミノ酸配列を有する配列群のいずれか1記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドを有する脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を測定することにより、脳腫瘍患者の予後を予測する方法を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカーおよびその用途に関する。
腫瘍細胞は自己の遺伝子異常により厳密なプログラムが破綻し、秩序を失って増殖するものであり、本来これらの細胞の分子生物学的特性に基づいて治療法が選択されるのが理想である。しかし、従来から脳腫瘍の予後を予測する因子の一つとして例えば組織学的グレード(細胞分裂の数や腫瘍細胞の形態によって決められる悪性度の指標)が用いられているが、腫瘍細胞の病理学的な特徴が同じでも、患者によってその進展形態、治療に関する感受性、予後などが大きく異なることから病理学的分類で脳腫瘍の予後を予測することは困難であった。一方、腫瘍細胞の遺伝子異常は複数の遺伝子の異常が関与していることは言うまでもなく、それぞれの腫瘍細胞の分子生物学的特長を把握するには、多くの遺伝子の変化を同時に観察することが不可欠である。
これまで、さまざまなヒト癌種において、治療の選択を行うのに有用な分子マーカーを得るため、マイクロアレイを用いた分子発現プロファイルが用いられてきた。マイクロアレイ技術は腫瘍細胞の転写レベルでの変化を同時にかつ大量にとらえるアプローチであり、腫瘍細胞の個性診断、治療に対する感受性、薬剤に対する耐性、副作用予測、新規標的分子同定などに応用可能な技術である。このマイクロアレイ技術を用いて遺伝子発現プロファイルを調べることにより、多くの遺伝子が腫瘍の組織学的な型およびグレードにおいて、異なって発現されていることが確認されている。
脳腫瘍についてもある遺伝子の発現情報をもとにしたマーカー遺伝子などが報告されているが(例えば、非特許文献1〜6)、悪性脳腫瘍の発現に強く関連し、且つ悪性脳腫瘍の予後の予測に使用することができるマーカー遺伝子はほとんど知られていなかった。
Freije WA, Castro-Vargas FE, Fang Z, Horvath S, Cloughesy T, Liau LM, Mischel PS, Nelson SF. Cancer Res. 2004 Sep 15;64(18):6503-10. Rickman DS, Bobek MP, Misek DE, Kuick R, Blaivas M, Kurnit DM, Taylor J, Hanash SM. Cancer Res. 2001 Sep 15;61(18):6885-91. Sallinen SL, Sallinen PK, Haapasalo HK, Helin HJ, Helen PT, Schraml P, Kallioniemi OP, Kononen J. Cancer Res. 2000 Dec 1;60(23):6617-22. Kim S, Dougherty ER, Shmulevich I, Hess KR, Hamilton SR, Trent JM, Fuller GN, Zhang W. Mol Cancer Ther. 2002 Nov;1(13):1229-36. van den Boom J, Wolter M, Kuick R, Misek DE, Youkilis AS, Wechsler DS, Sommer C, Reifenberger G, Hanash SM. Am J Pathol. 2003 Sep;163(3):1033-43. Weiner, H.L., Huang H. et al., Neurosurgery. 2000 Dec. 47(6):1400-1409.
Freije WA, Castro-Vargas FE, Fang Z, Horvath S, Cloughesy T, Liau LM, Mischel PS, Nelson SF. Cancer Res. 2004 Sep 15;64(18):6503-10. Rickman DS, Bobek MP, Misek DE, Kuick R, Blaivas M, Kurnit DM, Taylor J, Hanash SM. Cancer Res. 2001 Sep 15;61(18):6885-91. Sallinen SL, Sallinen PK, Haapasalo HK, Helin HJ, Helen PT, Schraml P, Kallioniemi OP, Kononen J. Cancer Res. 2000 Dec 1;60(23):6617-22. Kim S, Dougherty ER, Shmulevich I, Hess KR, Hamilton SR, Trent JM, Fuller GN, Zhang W. Mol Cancer Ther. 2002 Nov;1(13):1229-36. van den Boom J, Wolter M, Kuick R, Misek DE, Youkilis AS, Wechsler DS, Sommer C, Reifenberger G, Hanash SM. Am J Pathol. 2003 Sep;163(3):1033-43. Weiner, H.L., Huang H. et al., Neurosurgery. 2000 Dec. 47(6):1400-1409.
悪性脳腫瘍は有効な治療スケジュールが確立しておらず、非常に予後不良でありその病態の解析と新たな治療法の開発が望まれていた。特に、脳腫瘍患者の治療の個別化などを可能とするためには、脳腫瘍患者の予後予測に有効な新規マーカーの開発が望まれていた。また、脳腫瘍患者の予後予測の精度を向上させるためには、脳腫瘍の生物学的特性等に対応する複数のマーカーを組み合わせて使用することが必要であった。
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであって、脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカーおよびその用途を提供することを目的とする。
上記課題を鑑みて鋭意検討した結果、脳腫瘍組織と正常脳組織の遺伝子発現プロファイルを比較することにより、脳腫瘍組織に高発現する遺伝子を抽出し、さらに脳腫瘍組織である神経膠芽腫組織と退形成性神経膠腫組織の間で生存解析を行い、脳腫瘍組織に高発現する遺伝子から生存期間を分ける遺伝子として以下の表1に示す9遺伝子を同定して、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の通りである。
本発明の請求項1は、配列番号1〜9のいずれか1記載の塩基配列を有することを特徴とする脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカー遺伝子である。
本発明の請求項2は、請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子のいずれか1とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有することを特徴とする脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プローブである。
本発明の請求項3は、請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子のいずれか1を特異的に増幅するのに利用されることを特徴とする脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プライマーである。
本発明の請求項4は、請求項2記載の脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プローブの少なくとも1を基板上に固定化させたことを特徴とするDNAチップである。
本発明の請求項5は、下記の工程(a)及び(b)を含むことを特徴とする脳腫瘍患者の予後を予測するための方法である:(a)被験者の生体試料から調製されたRNAまたは該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドにおける、請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子の全部又は一部の脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量を測定する工程、(b)前記発現量が健常者のそれと比較して多い被験者を予後不良として予測する工程。
本発明の請求項6は、以下の(a)〜(c)からなる群から選ばれる少なくとも1以上を含むことを特徴とする脳腫瘍患者の予後予測用キットである:(a)請求項2記載の脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プローブ、(b)請求項3記載の脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プライマー、(c)請求項4記載のDNAチップ。
本発明の請求項7は、下記の工程(a)、(b)及び(c)を含むことを特徴とする請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子の発現を抑制する物質のスクリーニング方法である:(a)被験物質と、請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子の少なくとも1を発現している細胞とを接触させる工程、(b)被験物質を接触させた細胞における前記脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量を測定し、被験物質を接触させない対照細胞における上記に対応する脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量と比較する工程、(c)上記(b)の比較結果に基づいて、脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量を減少させる被験物質を選択する工程。
本発明の請求項8は、配列番号10〜18のいずれか1記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドを有することを特徴とする脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカータンパク質である。
本発明の請求項9は、請求項8記載の脳腫瘍マーカータンパク質を特異的に認識することを特徴とする脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体である。
本発明の請求項10は、請求項9記載の脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体から選択された少なくとも1の脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体を基板上に固定化させたことを特徴とするプロテインチップである。
本発明の請求項11は、下記の工程(a)及び(b)を含むことを特徴とする脳腫瘍患者の予後を予測するための方法である:(a)被験者の生体試料から調製されるタンパク質における、請求項8記載の脳腫瘍マーカータンパク質の全部又は一部の脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を測定する工程、(b)前記発現量が健常者のそれと比較して多い被験者を予後不良として予測する工程。
本発明の請求項12は、以下の(a)〜(b)からなる群から選ばれる少なくとも1以上を含むことを特徴とする脳腫瘍患者の予後予測用キットである:(a)請求項9記載の脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体の少なくとも1、(b)請求項10記載のプロテインチップ。
本発明の請求項13は、下記の工程(a)、(b)及び(c)を含むことを特徴とする請求項7記載の脳腫瘍マーカータンパク質の発現を抑制する物質のスクリーニング方法である:(a)被験物質と、請求項8記載の脳腫瘍マーカータンパク質の少なくとも1を発現している細胞とを接触させる工程、(b)被験物質を接触させた細胞における前記脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を測定し、被験物質を接触させない対照細胞における上記に対応する脳腫瘍マーカータンパク質の発現量と比較する工程、(c)上記(b)の比較結果に基づいて、脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を減少させる被験物質を選択する工程。
本発明によれば、脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカーが提供される。また、この脳腫瘍マーカー遺伝子に関わる各種の分子生物学的材料が提供され、これらを使用することによって、脳腫瘍患者の予後を予測することが可能である。また、予後予測の判定結果に基づいて、生存期間や再発や死亡など疾病の経過を予測することが可能であり、且つ、治療方針決定において有用である。さらに、脳腫瘍患者の予後を予測する他に、腫瘍マーカーとしての診断応用や、新規抗癌剤など創薬への応用が可能となる。また、脳腫瘍を抑制する物質のスクリーニングを行い、新規抗癌剤の開発を進展させることができる。
本発明の「脳腫瘍」は、頭蓋内に発生するすべての腫瘍をいう。このような脳腫瘍の中でも、発生頻度の高い代表的なものが神経膠腫であり、これはさらに、星細胞腫、神経膠芽腫等を含む。脳腫瘍には、この他、下垂体腺腫、神経鞘腫などがある。
本発明における「遺伝子」は、DNAおよびRNAが含まれる。DNAには、例えば、クローニング、化学合成技術またはそれらの組み合わせで得られるようなcDNAやゲノムDNAなどが含まれる。DNAは二本鎖でも一本鎖でもよく、一本鎖DNAは、センス鎖となるコードDNAであっても、アンチセンス鎖となるアンチコード鎖であってもよい。
本明細書における「ポリヌクレオチド」は、RNAおよびDNAのいずれをも包含する趣旨で用いられる。なお、上記DNAには、cDNA、ゲノムDNA、および合成DNAのいずれもが含まれる。また上記RNAには、トータルRNA、mRNA、rRNAおよび合成のRNAのいずれもが含まれる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明者らは、脳腫瘍組織と正常脳組織の遺伝子発現プロファイルを比較することにより、脳腫瘍組織に高発現する遺伝子を抽出し、さらに脳腫瘍組織である神経膠芽腫組織と退形成性神経膠腫組織の間で生存解析を行い、脳腫瘍組織に高発現する遺伝子から生存期間を分ける遺伝子として上記の表1に示す9の脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカーを同定した。
本発明の脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカー遺伝子とは、良性脳腫瘍若しくは正常脳組織ではほとんど又は全く発現せず、悪性脳腫瘍のみに高発現する遺伝子であって、前記悪性脳腫瘍に高発現する遺伝子が脳腫瘍患者の生存予後と相関する遺伝子を言う。従って、本発明の脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量を測定することにより、脳腫瘍患者の予後を予測することが可能である。本発明の脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカー遺伝子は、配列番号1〜9のいずれか1記載の塩基配列を有することを特徴とする。また、NCBIの遺伝子データーベースにおいて、表1のGene Accession numberによりアプローチすることができる。本発明の脳腫瘍マーカー遺伝子は、公知の遺伝子操作の手法により、取得することができる。
本発明の脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プローブは、請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子のいずれか1とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有することを特徴とする。これらの脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プローブは、脳腫瘍マーカー遺伝子の塩基配列の全体又は部分配列を選択することによって、公知の方法を用いて適宜作製することができる。選択される部分配列はどの部分であってもよいが、脳腫瘍マーカー遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列であることを特徴とする。また、脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プローブは、放射標識、蛍光標識等で標識してもよい。上記脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プローブは、選択された部分配列に基づいて、その配列に相補的なDNA又はRNAとすることができる。例えば、本発明の脳腫瘍マーカー遺伝子の塩基配列から適宜の長さのDNAプローブを作成し、適宜蛍光標識等の標識を付与しておき、これを被検体とハイブリダイズすることにより、脳腫瘍マーカー遺伝子の発現の多寡を検出し、脳腫瘍患者の予後を予測する。さらに、脳腫瘍マーカー遺伝子の発現の多寡を検出し、脳腫瘍の検出も行ってもよい。
なお、上記脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プローブの作製に際して、本発明の塩基配列において、「脳腫瘍マーカー遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」条件としては、例えば、42℃でのハイブリダイゼーション、及び1×SSC(0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム)、0.1%のSDSを含む緩衝液による42℃での洗浄処理を挙げることができ、65℃でのハイブリダイゼーション、及び0.1×SSC、0.1%のSDSを含む緩衝液による65℃での洗浄処理をより好ましく挙げることができる。
本発明の脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プライマーは、請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子のいずれか1を特異的に増幅するのに利用されることを特徴とする。脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プライマーを用いることにより、PCR等の公知の方法に基づいて目的の脳腫瘍マーカー遺伝子を増幅できる。プライマーは、本発明の脳腫瘍マーカー遺伝子の塩基配列(配列番号1〜9)に基づき、市販のプライマー設計ソフトを用いる等、常法により容易に設計し、増幅することができる。また、プライマーは、適当な標識によりラベル(例えば、酵素標識、放射性標識、蛍光標識等)されていてもよく、また、ビオチン、リン酸、アミン等により修飾されていてもよい。
本発明のDNAチップは、請求項2記載の脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プローブの少なくとも1を例えばガラス板等の基板上に固定化させたことを特徴とする。DNAチップの作製は、当業者に既知の作製方法などに準じて行うことができる。DNAチップを用いることにより、本発明の脳腫瘍マーカー遺伝子の発現レベルを検出、測定することができる。
本発明の脳腫瘍患者の予後を予測するための方法は、下記の工程(a)及び(b)を含むことを特徴とする:(a)被験者の生体試料から調製されたRNAまたは該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドにおける、請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子の全部又は一部の脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量を測定する工程、(b)前記発現量が健常者のそれと比較して多い被験者を予後不良として予測する工程。
本発明の脳腫瘍患者の予後を予測するための方法において、「被験者」は、例えばMRI検査等によって脳腫瘍を有すると診断された患者であり、その「生体試料」とは患者脳からの切除組織あるいは血液等である。評価対象の生体試料は、マーカー遺伝子を含む任意の試料であり得る。患者脳からの切除組織あるいは血液等から常法に従って、生体試料からRNAを調製することができる。また、患者脳からの切除組織あるいは血液等から常法に従って、該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドを調製することができる。例えば、被験者の細胞から単離したmRNAを鋳型として、cDNAを合成し、PCR増幅する。その際に、標識dNTPを取り込ませて標識cDNAとすることができる。
本発明の脳腫瘍患者の予後を予測するための方法は、前記生体試料における本発明の脳腫瘍マーカー遺伝子のいずれかの発現レベルを検出し、測定することによって実施される。健常者の生体試料における請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量を基準とし、被験者の生体試料における請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量が前記基準より高いと予後不良として予測する。具体的には、本発明の検出方法は、RT−PCR法、ノーザンブロット法、DNAマイクロアレイ解析法、in situ ハイブリダイゼーション解析法などの公知の方法により前記脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量を測定する。このとき、本発明の脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プローブや脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プライマーを適宜用いることができる。また、本発明のDNAチップを用いてもよい。
本発明の脳腫瘍患者の予後予測用キットは、以下の(a)〜(c)からなる群から選ばれる少なくとも1以上を含むことを特徴とする:(a)請求項2記載の脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プローブ、(b)請求項3記載の脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プライマー、(c)請求項4記載のDNAチップ。脳腫瘍患者の予後予測用キットを構成する(a)〜(c)を上記のように用いることにより、脳腫瘍患者の予後予測が可能となる。
本発明の請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子の発現を抑制する物質のスクリーニング方法は、下記の工程(a)、(b)及び(c)を含むことを特徴とする:(a)被験物質と、請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子の少なくとも1を発現している細胞とを接触させる工程、(b)被験物質を接触させた細胞における前記脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量を測定し、被験物質を接触させない対照細胞における上記に対応する脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量と比較する工程、(c)上記(b)の比較結果に基づいて、脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量を減少させる被験物質を選択する工程。
本発明の脳腫瘍マーカー遺伝子の発現を抑制する物質のスクリーニング方法は、脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量を低下させる物質を探索することによって、悪性脳腫瘍を抑制する候補物質を提供するものである。
本発明のスクリーニングに用いられる細胞としては、請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子を発現する培養細胞全般を挙げることができる。培養細胞においてこれら脳腫瘍マーカー遺伝子が発現しているか否かは、公知のウェスタンブロット法などにて検出することにより、容易に確認することができる。培養細胞としては、具体的には、例えば癌患者より単離、調製した生体組織や血球由来の細胞、または本発明の脳腫瘍マーカー遺伝子のいずれかを導入した細胞等を挙げることができる。
また、本発明のスクリーニング方法に際して、被験物質と細胞とを接触させる条件は、特に制限されないが、該細胞が死滅せず且つ本発明の脳腫瘍マーカー遺伝子を発現できる培養条件(温度、pH、培地組成など)を選択するのが好ましい。
脳腫瘍マーカー遺伝子の少なくとも1を発現している細胞からRNAを調製して、脳腫瘍マーカー遺伝子を測定する。また、該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドを調製して、脳腫瘍マーカー遺伝子を測定してもよい。具体的には、RT−PCR法、ノーザンブロット法、DNAマイクロアレイ解析法、in situ ハイブリダイゼーション解析法などの公知の方法により前記脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量を測定する。このとき、本発明の脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プローブや脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プライマーを適宜用いることができる。また、本発明のDNAチップを用いてもよい。
本発明の脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカータンパク質とは、良性脳腫瘍若しくは正常脳組織ではほとんど又は全く発現せず、悪性脳腫瘍のみに高発現するタンパク質であって、前記悪性脳腫瘍に高発現するタンパク質が脳腫瘍患者の生存予後と相関するタンパク質を言う。本発明の脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカータンパク質は、配列番号10〜18のいずれか1記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドを有することを特徴とする。また、NCBIの遺伝子データーベースにおいて、表1のGene Accession Numberによりアプローチすることができる。
本発明の脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体は、請求項8記載の脳腫瘍マーカータンパク質を特異的に認識することを特徴とする。本発明の脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体は前記脳腫瘍マーカータンパク質に特異的に結合する性質を有することから、前記脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体を利用することによって、被験者の組織内に発現した上記脳腫瘍マーカータンパク質を特異的に検出することができる。
抗体の製造方法は公知であり、本発明の脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体も常法に従って製造することができる。具体的には、本発明の脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体がポリクローナル抗体の場合には、常法に従って大腸菌等で発現し精製した本発明の脳腫瘍マーカータンパク質を用いて、あるいは常法に従ってこれら本発明の脳腫瘍マーカータンパク質の部分アミノ酸配列を有するオリゴペプチドを合成して、家兎等の非ヒト動物に免疫し、該免疫動物の血清から常法に従って得ることが可能である。一方、モノクローナル抗体の場合には、常法に従って大腸菌等で発現し精製した本発明の脳腫瘍マーカータンパク質またはこれらタンパク質の部分アミノ酸配列を有するオリゴペプチドをマウス等の非ヒト動物に免疫し、得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを細胞融合させて調製したハイブリドーマ細胞の中から得ることができる。該抗体は、適当な標識によりラベル(例えば、酵素標識、放射性標識、蛍光標識等)されていてもよいし、ビオチン等により適当に修飾されていてもよい。
脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体の作製に免疫抗原として使用される脳腫瘍マーカータンパク質は、本発明により提供される遺伝子の配列情報(配列番号1〜9)に基づいて、DNAクローニング、各プラスミドの構築、宿主へのトランスフェクション、形質転換体の培養および培養物からのタンパク質の回収の操作により得ることができる。これらの操作は、当業者に既知の方法に準じて行うことができる。
本発明のプロテインチップは、請求項9記載の脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体の少なくとも1を基板上に固定化させたことを特徴とする。プロテインチップの作製は、当業者に既知の作製方法などに準じて行うことができる。
本発明の脳腫瘍患者の予後を予測するための方法は、下記の工程(a)及び(b)を含むことを特徴とする:(a)被験者の生体試料から調製されるタンパク質における、請求項8記載の脳腫瘍マーカータンパク質の全部又は一部の脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を測定する工程、(b)前記発現量が健常者のそれと比較して多い被験者を予後不良として予測する工程。
本発明の脳腫瘍患者の予後を予測するための方法において、「被験者」は、例えばMRI検査等によって脳腫瘍を有すると診断された患者であり、その「生体試料」とは患者脳からの切除組織あるいは血液等である。患者脳からの切除組織あるいは血液等から常法に従って、生体試料からタンパク質を調製することができる。
本発明の脳腫瘍患者の予後を予測するための方法は、前記生体試料における脳腫瘍マーカータンパク質のいずれかの発現レベルを検出し、測定することによって実施される。健常者の生体試料における請求項8記載の脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を基準とし、被験者の生体試料における請求項8記載の脳腫瘍マーカータンパク質の発現量が前記基準より高いと悪性脳腫瘍とする。具体的には、公知の方法に基づいて、患者の組織の一部を採取し、そこから常法に従ってタンパク質を調製する。その後、例えば、ウェスタンブロット法、ELISA法、蛍光抗体法など公知の検出方法に基づいて、脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を検出することができる。このとき、上記脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体を適宜用いることができる。また、上記プロテインチップを用いることにより、脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を検出してもよい。
脳腫瘍マーカータンパク質の少なくとも1を発現している細胞からタンパク質を調製して、脳腫瘍マーカー遺伝子を測定する。具体的には、ウェスタンブロット法、ELISA法、タンパク質マイクロアレイ解析法などの公知の方法により前記脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量を測定する。このとき、上記脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体を適宜用いることができる。また、上記プロテインチップを用いることにより、脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を検出してもよい。
本発明の脳腫瘍患者の予後予測用キットは、以下の(a)〜(b)からなる群から選ばれる少なくとも1以上を含むことを特徴とする:(a)請求項9記載の脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体の少なくとも1、(b)請求項10記載のプロテインチップ。脳腫瘍患者の予後予測用キットを構成する(a)〜(b)を上記のように用いることにより、脳腫瘍患者の予後予測が可能となる。
本発明の請求項8記載の脳腫瘍マーカータンパク質の発現を抑制する物質のスクリーニング方法は、下記の工程(a)、(b)及び(c)を含むことを特徴とする:(a)被験物質と、請求項8記載の脳腫瘍マーカータンパク質の少なくとも1を発現している細胞とを接触させる工程、(b)被験物質を接触させた細胞における前記脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を測定し、被験物質を接触させない対照細胞における上記に対応する脳腫瘍マーカータンパク質の発現量と比較する工程、(c)上記(b)の比較結果に基づいて、脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を減少させる被験物質を選択する工程。
本発明の脳腫瘍マーカータンパク質の発現を抑制する物質のスクリーニング方法は、脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を低下させる物質を探索することによって、悪性脳腫瘍を抑制する候補物質を提供するものである。
本発明のスクリーニングに用いられる細胞としては、請求項8記載の脳腫瘍マーカータンパク質を発現する培養細胞全般を挙げることができる。培養細胞においてこれら脳腫瘍マーカータンパク質が発現しているか否かは、公知のウェスタンブロット法などにて検出することにより、容易に確認することができる。培養細胞としては、具体的には、例えば癌患者より単離、調製した生体組織や血球由来の細胞、または本発明の脳腫瘍マーカー遺伝子のいずれかを導入した細胞等を挙げることができる。
また、本発明のスクリーニング方法に際して、被験物質と細胞とを接触させる条件は、特に制限されないが、該細胞が死滅せず且つ本発明の脳腫瘍マーカータンパク質を発現できる培養条件(温度、pH、培地組成など)を選択するのが好ましい。
以下、具体的な実施例について説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
1. 対象症例
新潟大学脳研究所脳神経外科にて手術摘出された神経膠腫31例 (WHO gradeIII:10例、IV:21例)を対象とした。表2に、対象症例の病理組織学的診断名(Histological diagnosis)、WHO grade、生存期間(Survival Time)、転帰(Outcome)を示す。これらの症例は術後、放射線治療(腫瘍局所40Gy、全脳照射20Gy)ならびにニトロソウレアを中心とした化学療法を施行した。生存期間は診断確定日より患者の死亡日、もしくは最終受診日とした。組織診断はWHO脳腫瘍組織分類に基づいて行った。なお、本明細書に記載の実験は、新潟大学倫理委員会の規定に則り、全ての対象患者からインフォームドコンセントを得ている。
新潟大学脳研究所脳神経外科にて手術摘出された神経膠腫31例 (WHO gradeIII:10例、IV:21例)を対象とした。表2に、対象症例の病理組織学的診断名(Histological diagnosis)、WHO grade、生存期間(Survival Time)、転帰(Outcome)を示す。これらの症例は術後、放射線治療(腫瘍局所40Gy、全脳照射20Gy)ならびにニトロソウレアを中心とした化学療法を施行した。生存期間は診断確定日より患者の死亡日、もしくは最終受診日とした。組織診断はWHO脳腫瘍組織分類に基づいて行った。なお、本明細書に記載の実験は、新潟大学倫理委員会の規定に則り、全ての対象患者からインフォームドコンセントを得ている。
2. RNAの抽出
凍結組織片はISOGEN(ニッポンジーン)中でポリトロンにより破砕された(最高速度で5秒間×2回)。クロロホルムを添加後、15,000×gで10分間遠心し、RNAを含んだ水層を採取した。イソプロピルアルコールを用いトータルRNAを沈殿させ、70%エタノールで1度洗浄し、それをDEPC処理H2Oに溶解した。トータルRNAは1.5ユニットのDNase Iで処理し、再度、クロロホルム抽出を行った後に、エタノール沈殿し、DEPC処理H2Oに懸濁した。その後、Rneasy Mini Kitを使い、低分子の核酸を除去した。トータルRNAの質はBioanalyzer2100(Agilent)にてrRNA比率[28s/18s]を計測した。精製したトータルRNAは70%エタノール中で−80℃に使用まで保存した。
3. Cy3−、Cy5−標識化cDNAの合成
cDNAの合成はagilent fluorescent direct label kitを用いて行った。10μgの精製したトータルRNAとT7プロモーター配列を有するオリゴdTプライマーを用いて、1.25μlの1mMのFluoroLink dCTP(Cy3−dCTP又はCy5−dCTP)、200ユニットのSuperScriptII逆転写酵素で42℃1時間反応させ、第一鎖cDNAを合成した後に第二鎖cDNAを合成し、フェノール/クロロホルムで抽出し、Phase Lock Gelにて精製した。なお、腫瘍のRNAはCy5、正常脳組織のRNAはCy3を用いて標識した。得られたcDNAはエタノール沈殿により回収し、使用まで70%エタノール中で、−80℃で保存した。正常脳組織のRNAはClontech社より購入したものを用いた。
4. agilentマイクロアレイ解析
脳腫瘍患者の原発癌の遺伝子発現はagilent社製のマイクロアレイを用いて試験した。ハイブリダイゼーションは、2×デポジションコントロールバッファー 12.5μl、Cot−1DNA 2.5μl、ヌクレアーゼフリーの水 7.5μl、cDNA 2.5μlを含む25μlの溶液中で65℃、17時間行った。チップを0.5%SSC/0.1%SDS溶液で洗浄後、各ピクセルの蛍光強度はHP社製レーザースキャナーにて測定し、画像化、さらに各遺伝子の正常脳組織に対する腫瘍組織での発現比に関して数値化を行った。この実験により、ヒト脳腫瘍患者の約12729遺伝子の発現を測定した。
・ 統計解析
悪性神経膠腫患者の予後と相関する遺伝子群を同定するため、agilent社製のマイクロアレイを用いて解析を行った。Cox proportional hazards model, Wald statistic multivariate permutations test を用いて予後と相関する遺伝子を9種類抽出した。その結果、表3に示すように、Translocase of outer mitochondrial membrane 40 homology(TOMM40),Sarcolipin(SLN),Ring finger protein 2(RNF2), Latate dehydrogenase C(LDHC), Echinoderm microtubule associated protein like 4(EML4), discoidin domain receptor family member 1(DDR1), Ksp37 protein(Ksp37),Dual-specificity tyrosine-(Y)-phosphorylation regulated kinase 3(DYRK3), Heparan sulfate 6-O-sulfotransferase 1 (HS6ST1)の9個の遺伝子を選び出した。各遺伝子のp値(p-value),ハザード比(Hazard ratio), Log(発現比)の標準偏差(SD) が示されている。さらに、各遺伝子の発現値の中央値で2群間に分け生存期間との相関を検討したところ、TOMM40, SLN, RNF2, LDHC, DDR1, Ksp37,HS6ST1の7種の遺伝子のLogrank検定値が0.05以下であり、発現の多寡と予後が有意に相関した(図1)。更に、各遺伝子について4分位点で層別化し4群間比較を検討したところ、9種類全ての遺伝子のLogrank検定値が0.05以下であり、発現の多寡と予後が有意に相関した(図2)。従って、上記9種の遺伝子の発現レベルを調べることにより脳腫瘍患者の予後を予測することが示唆された。
凍結組織片はISOGEN(ニッポンジーン)中でポリトロンにより破砕された(最高速度で5秒間×2回)。クロロホルムを添加後、15,000×gで10分間遠心し、RNAを含んだ水層を採取した。イソプロピルアルコールを用いトータルRNAを沈殿させ、70%エタノールで1度洗浄し、それをDEPC処理H2Oに溶解した。トータルRNAは1.5ユニットのDNase Iで処理し、再度、クロロホルム抽出を行った後に、エタノール沈殿し、DEPC処理H2Oに懸濁した。その後、Rneasy Mini Kitを使い、低分子の核酸を除去した。トータルRNAの質はBioanalyzer2100(Agilent)にてrRNA比率[28s/18s]を計測した。精製したトータルRNAは70%エタノール中で−80℃に使用まで保存した。
3. Cy3−、Cy5−標識化cDNAの合成
cDNAの合成はagilent fluorescent direct label kitを用いて行った。10μgの精製したトータルRNAとT7プロモーター配列を有するオリゴdTプライマーを用いて、1.25μlの1mMのFluoroLink dCTP(Cy3−dCTP又はCy5−dCTP)、200ユニットのSuperScriptII逆転写酵素で42℃1時間反応させ、第一鎖cDNAを合成した後に第二鎖cDNAを合成し、フェノール/クロロホルムで抽出し、Phase Lock Gelにて精製した。なお、腫瘍のRNAはCy5、正常脳組織のRNAはCy3を用いて標識した。得られたcDNAはエタノール沈殿により回収し、使用まで70%エタノール中で、−80℃で保存した。正常脳組織のRNAはClontech社より購入したものを用いた。
4. agilentマイクロアレイ解析
脳腫瘍患者の原発癌の遺伝子発現はagilent社製のマイクロアレイを用いて試験した。ハイブリダイゼーションは、2×デポジションコントロールバッファー 12.5μl、Cot−1DNA 2.5μl、ヌクレアーゼフリーの水 7.5μl、cDNA 2.5μlを含む25μlの溶液中で65℃、17時間行った。チップを0.5%SSC/0.1%SDS溶液で洗浄後、各ピクセルの蛍光強度はHP社製レーザースキャナーにて測定し、画像化、さらに各遺伝子の正常脳組織に対する腫瘍組織での発現比に関して数値化を行った。この実験により、ヒト脳腫瘍患者の約12729遺伝子の発現を測定した。
・ 統計解析
悪性神経膠腫患者の予後と相関する遺伝子群を同定するため、agilent社製のマイクロアレイを用いて解析を行った。Cox proportional hazards model, Wald statistic multivariate permutations test を用いて予後と相関する遺伝子を9種類抽出した。その結果、表3に示すように、Translocase of outer mitochondrial membrane 40 homology(TOMM40),Sarcolipin(SLN),Ring finger protein 2(RNF2), Latate dehydrogenase C(LDHC), Echinoderm microtubule associated protein like 4(EML4), discoidin domain receptor family member 1(DDR1), Ksp37 protein(Ksp37),Dual-specificity tyrosine-(Y)-phosphorylation regulated kinase 3(DYRK3), Heparan sulfate 6-O-sulfotransferase 1 (HS6ST1)の9個の遺伝子を選び出した。各遺伝子のp値(p-value),ハザード比(Hazard ratio), Log(発現比)の標準偏差(SD) が示されている。さらに、各遺伝子の発現値の中央値で2群間に分け生存期間との相関を検討したところ、TOMM40, SLN, RNF2, LDHC, DDR1, Ksp37,HS6ST1の7種の遺伝子のLogrank検定値が0.05以下であり、発現の多寡と予後が有意に相関した(図1)。更に、各遺伝子について4分位点で層別化し4群間比較を検討したところ、9種類全ての遺伝子のLogrank検定値が0.05以下であり、発現の多寡と予後が有意に相関した(図2)。従って、上記9種の遺伝子の発現レベルを調べることにより脳腫瘍患者の予後を予測することが示唆された。
6. 免疫組織化学的解析
WHO Grade IIIまたはIVの悪性神経膠腫36例症例について、DDR1遺伝子の免疫組織化学的解析を行った。5ミクロン切片を作成し、脱パラフィン化の後に10mM クエン酸ナトリウム(pH 6.0)中にて121℃、10分間加温した。0.3%H2O2にて内因性ペルオキシダーゼ活性の阻害を行った。10%ウサギ血清にてブロッキング後、抗体(DDR1ウサギポリクローナル抗体、1:50希釈)(Santa Cruz Biotechnology社)と4℃12時間反応させた。洗浄後Avidine−biotin−peroxidase system(Vectasin elite ABC kit, Vector Labs, Burlingame, CA)を反応させ、0.01%3,3−ジアミノベンジジン(DAB)(Sigma)とPBS 0.01%過酸化水素にて発色させた。DDR1遺伝子の神経膠腫組織におけるタンパク質レベルでの発現を免疫組織化学的に解析した結果を図3に示す。
WHO Grade IIIまたはIVの悪性神経膠腫36例症例について、DDR1遺伝子の免疫組織化学的解析を行った。5ミクロン切片を作成し、脱パラフィン化の後に10mM クエン酸ナトリウム(pH 6.0)中にて121℃、10分間加温した。0.3%H2O2にて内因性ペルオキシダーゼ活性の阻害を行った。10%ウサギ血清にてブロッキング後、抗体(DDR1ウサギポリクローナル抗体、1:50希釈)(Santa Cruz Biotechnology社)と4℃12時間反応させた。洗浄後Avidine−biotin−peroxidase system(Vectasin elite ABC kit, Vector Labs, Burlingame, CA)を反応させ、0.01%3,3−ジアミノベンジジン(DAB)(Sigma)とPBS 0.01%過酸化水素にて発色させた。DDR1遺伝子の神経膠腫組織におけるタンパク質レベルでの発現を免疫組織化学的に解析した結果を図3に示す。
図3に示すようにDDR1遺伝子産物は症例によって様々な程度に染色された。任意の3視野でのタンパクの発現強度を0〜3、および発現面積を0,0.25,0.5,0.75,1.0と表示し、それらの積の平均値を求め発現レベルとした。発現レベル値が1以下の低発現症例(A)と1以上の高発現症例(B)との2群に分け(図3に具体例を示す)、各群の生存曲線を描き、Logrank検定にて2群間の有為差を検討した。結果を図4に示す。P値が0.017であり、DDR1のタンパク質が高発現すると予後が悪い結果であつた。
Claims (13)
- 配列番号1〜9のいずれか1記載の塩基配列を有することを特徴とする脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカー遺伝子。
- 請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子のいずれか1とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有することを特徴とする脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プローブ。
- 請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子のいずれか1を特異的に増幅するのに利用されることを特徴とする脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プライマー。
- 請求項2記載の脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プローブの少なくとも1を基板上に固定化させたことを特徴とするDNAチップ。
- 下記の工程(a)及び(b)を含むことを特徴とする脳腫瘍患者の予後を予測するための方法:
(a)被験者の生体試料から調製されたRNAまたは該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドにおける、請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子の全部又は一部の脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量を測定する工程、
(b)前記発現量が健常者のそれと比較して多い被験者を予後不良として予測する工程。 - 以下の(a)〜(c)からなる群から選ばれる少なくとも1以上を含むことを特徴とする脳腫瘍患者の予後予測用キット:
(a)請求項2記載の脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プローブ、
(b)請求項3記載の脳腫瘍マーカー遺伝子検出用プライマー、
(c)請求項4記載のDNAチップ。 - 下記の工程(a)、(b)及び(c)を含むことを特徴とする請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子の発現を抑制する物質のスクリーニング方法:
(a)被験物質と、請求項1記載の脳腫瘍マーカー遺伝子の少なくとも1を発現している細胞とを接触させる工程、
(b)被験物質を接触させた細胞における前記脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量を測定し、被験物質を接触させない対照細胞における上記に対応する脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量と比較する工程、
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、脳腫瘍マーカー遺伝子の発現量を減少させる被験物質を選択する工程。 - 配列番号10〜18のいずれか1記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドを有することを特徴とする脳腫瘍患者の予後を予測するための脳腫瘍マーカータンパク質。
- 請求項8記載の脳腫瘍マーカータンパク質を特異的に認識することを特徴とする脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体。
- 請求項9記載の脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体から選択された少なくとも1の脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体を基板上に固定化させたことを特徴とするプロテインチップ。
- 下記の工程(a)及び(b)を含むことを特徴とする脳腫瘍患者の予後を予測するための方法:
(a)被験者の生体試料から調製されるタンパク質における、請求項8記載の脳腫瘍マーカータンパク質の全部又は一部の脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を測定する工程、
(b)前記発現量が健常者のそれと比較して多い被験者を予後不良として予測する工程。 - 以下の(a)〜(b)からなる群から選ばれる少なくとも1以上を含むことを特徴とする脳腫瘍患者の予後予測用キット:
(a)請求項9記載の脳腫瘍マーカータンパク質検出用抗体の少なくとも1、
(b)請求項10記載のプロテインチップ。 - 下記の工程(a)、(b)及び(c)を含むことを特徴とする請求項7記載の脳腫瘍マーカータンパク質の発現を抑制する物質のスクリーニング方法:
(a)被験物質と、請求項8記載の脳腫瘍マーカータンパク質の少なくとも1を発現している細胞とを接触させる工程、
(b)被験物質を接触させた細胞における前記脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を測定し、被験物質を接触させない対照細胞における上記に対応する脳腫瘍マーカータンパク質の発現量と比較する工程、
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、脳腫瘍マーカータンパク質の発現量を減少させる被験物質を選択する工程。
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