図1は、本発明の一実施例における携帯端末としての折畳型の携帯電話機を側面から見たものである。この携帯電話機100は、折り畳んだ状態で通常の場合に上側に位置する第1の筐体101と、下側に位置する第2の筐体102およびこれらの筐体101、102を開閉自在に連結するヒンジ機構103から構成されている。第1の筐体101の折り畳まれる側の面と反対側、すなわちこの図で上側には着せ替えパネル104Aが着脱自在に配置されている。着せ替えパネルとは、予め用意した互いに同一形状でそれぞれデザインあるいは機能の異なった外装パネルであって、そのうちの1つを第1の筐体101の嵌合部105に着脱自在に嵌合させることで、携帯電話機100のユーザが所望のデザインあるいは機能を選択できるようにしたものである。
第1の筐体101に取り付けられる着せ替えパネル104Aには、携帯電話機100の回路の一部が追加回路として組み込まれており、その中には第2の筐体102と通信をするための第1のブルーツース(Bluetooth)モジュール107が含まれている。第2の筐体102の内部には、第1のブルーツースモジュール107と通信を行う第2のブルーツースモジュール108が配置されている。ここで第1および第2のブルーツースモジュール107、108は、たとえば2.45GHz帯の電波を利用して数メガビットの伝送速度で互いに通信を行うようになっている。ブルーツースによる通信は、赤外線通信と比較すると、消費電力が小さく、障害物に強いという特徴がある。そこで、本実施例では第2の筐体102と着せ替えパネル104Aとの通信にブルーツースを使用することにしている。
嵌合部105は、着せ替えパネル104A側の凸部部材111の先端部分と、第1の筐体101側の凹部112を着脱自在に取り付ける部分である。凸部部材111には、その外周部分に1対の電極113、114が配置されており、凹部112のそれぞれ対応する箇所にも電極115、116がこれらと摺接自在に配置されている。電極113〜116によって第2の筐体102側に配置された電池117から着せ替えパネル104A側に電源が供給されるようになっている。
このように本実施例の携帯電話機100は、着せ替えパネル104Aへの電源の供給に嵌合部105の電極113〜116の接触を利用している。また、携帯電話機100の本体側と着せ替えパネル104Aの間のデータ通信は、第1および第2のブルーツースモジュール107、108を用いて行うようにしている。データ通信を無線で行うようにしたのは、比較的小型の嵌合部105に電源供給用の電極113〜116の他に、更に複数系統のデータ通信用の電極あるいは端子を配置することが物理的に困難な場合が多いことに基づく。すなわち、嵌合部105に配置する電極や端子の数が多くなると、電極あるいは端子同士の接触面積が小さくなって、接触不良によってデータ通信や電源の供給にエラーが発生する可能性が高くなるからである。
図2は、着信機能を重視する着せ替えパネルを装着した第1の筐体を上から見たものである。第1の筐体101の表面部分に重なるように取り付けられた着せ替えパネル104Aは、その中央部に背面液晶ディスプレイ121を組み込んでいる。また、この背面液晶ディスプレイ121よりもヒンジ機構103から遠ざかった箇所には、着信をユーザに視覚的に知らせるための着信LED(発光ダイオード)122〜125が一列に取り付けられている。着せ替えパネル104Aにおける背面液晶ディスプレイ121から見て着信LED122〜125が取り付けられた側と反対側の内部には、第1のブルーツースモジュール107が配置されている。第1のブルーツースモジュール107のすぐ傍には、不揮発性メモリ(NVM)126Aが配置されている。不揮発性メモリ126Aには、着せ替えパネル104Aに対応したパネルID(Identification)が格納されている。セキュリティ上で問題がなければ、不揮発性メモリ126Aの代わりにディップスイッチが使用されていてもよい。このように本実施例の着せ替えパネル104Aは、着信を表示したり、背面液晶ディスプレイ121に所定の情報を表示するための機能を備えている。なお、この不揮発性メモリ126Aには、パネルIDの他に、待ち受け画面あるいは着信画面として背面液晶ディスプレイ121に表示する画像がある場合には、これらの画像データも格納するようになっている。
図3は、図2に示した着せ替えパネルを装着した携帯電話機とネットワークの接続の様子を表わしたものである。携帯電話機100は、図1および図2で説明した着せ替えパネル104Aの回路部分と、携帯電話機本体131の回路部分に分かれる。ここで携帯電話機本体131の回路部分とは、第2の筐体102に配置された回路部分と、第1の筐体101における着せ替えパネル104A以外の部分における回路部分を加えたものである。携帯電話機本体131の回路部分で第1の筐体101と第2の筐体102にまたがる配線部分は、ヒンジ機構103を介して、有線で接続されている。
携帯電話機本体131は、各種制御を行うための制御部141を備えている。制御部141は、図示しないCPU(中央処理装置)を備えている。制御部141は、各種の制御プログラムや作業用の一時的なデータを格納するメモリ142と接続される他、インターネットや携帯電話網といったネットワーク143とアンテナ144を介して接続するための無線部145とも接続されている。また制御部141は、第2のブルーツースモジュール108やメインディスプレイ146および音源回路147とも接続されている。更に、図示しない音入出力回路を経て、マイクロフォン151やレシーバ152とも接続されている。音源回路147は、スピーカ153を接続しており、ここから着信メロディを出力するようになっている。この他に音声出力用の回路を備えて、定型的な文章を用いたアナウンスを出力するようにしてもよい。
ここで、メインディスプレイ146は第1の筐体101における着せ替えパネル104Aの装着される側と反対の面を構成する比較的大きなディスプレイであり、液晶あるいは有機LED(Light Emitting Diode)によって構成されている。メインディスプレイ146には、電話番号の他に、メールや電話帳の内容が表示されることになる。これに対して背面液晶ディスプレイ121には、装着した着せ替えパネル104Aの特徴に合った情報が表示されることになる。図2に示した着せ替えパネル104Aの例では着信時の機能の充実が図られている。したがって、たとえば背面液晶ディスプレイ121には、ユーザの設定によって発信者の氏名や電話番号あるいは着信したメールの発信者の氏名やタイトルが表示されるだけでなく、たとえば電話帳に予め登録されている発信者の顔写真や発信者を表わした動画の再生も可能になっている。
第2のブルーツースモジュール108に接続されたアンテナ155は、着せ替えパネル104A内の第1のブルーツースモジュール107に接続されたアンテナ156との間で電波の送受信を行うようになっている。着せ替えパネル104A内の背面液晶ディスプレイ121および着信LED122〜125は、携帯電話機本体131に格納された電池117から嵌合部105を介して電源の供給を受けるようになっている。この電池117は、携帯電話機本体131内の各部にも電源を供給していることはもちろんである。第1のブルーツースモジュール107には不揮発性メモリ(NVM)126Aが接続されている。
図4は、メモリの配置構造を表わしたものである。メモリ142は、基本制御プログラム格納領域161と、付加制御プログラム格納領域162および作業領域163によって構成されている。ここで基本制御プログラム格納領域161は、この携帯電話機100の制御に最低限必要な基本制御プログラムを格納する領域である。工場の出荷時に基本制御プログラムが格納されるようになっている。ユーザは必要に応じて基本制御プログラムの最新版をネットワーク143(図3)から取得することができる。ただし、本実施例の場合、着せ替えパネル104A側にユーザの必要とする各種の付加機能を追加できるので、基本制御プログラムは携帯電話機としての基本的な機能を実現する制御プログラムに限定されている。具体的には、通話と電子メールやアドレス帳の作成・編集や、電子メールの送受信に関連する制御プログラムが基本制御プログラムとして格納されている。
付加制御プログラム格納領域162は、図1および図2に示した着せ替えパネル104Aに対応する付加制御プログラムが格納される領域である。工場の出荷時には、出荷時に第1の筐体101に装着された着せ替えパネル104Aに対応する付加制御プログラムが格納されている。着せ替えパネル104Aを新たに交換する場合、これに対応する付加制御プログラムはネットワーク143からダウンロードして付加制御プログラム格納領域162に格納するようになっている。
付加制御プログラム格納領域162は、複数の着せ替えパネル104に対応させて付加制御プログラムを複数通り格納することができるようにその容量に若干の余裕が設けてある。また、メモリ142の一部を構成する交換可能な半導体メモリの容量をユーザ側が増大させることで付加制御プログラム格納領域162の容量を更に増加させることができる。これは、ユーザが幾つかの着せ替えパネル104を交換しながら使用する場合を想定したもので、そのたびにネットワーク143から付加制御プログラムをダウンロードする手間を省くためである。もちろん、容量を超える付加制御プログラムを格納することはできず、その際には使用頻度の低い、あるいは使用予定のない付加制御プログラムを消去して、新たな付加制御プログラムのダウンロードを行うことになる。作業領域163は、図3に示した制御部141が各種の制御を行う際に必要とする一時的なデータを格納する領域である。
図5は、図2に示した着せ替えパネルの断面構造を表わしたものである。ここでは、図2に示した着せ替えパネル104Aの着信LED123の存在する箇所をA−A方向に切断した状態を表わしている。着せ替えパネル104Aは、フレキシブル基板170の裏面に凸部部材111を形成している。凸部部材111の周囲の2箇所には1対の電極113、114が形成されており、フレキシブル基板170の図示しない電源ラインにそれぞれ半田付けされている。フレキシブル基板170の表側には、着信LED123、背面液晶ディスプレイ121、その駆動を行うための液晶ドライバ172、第1のブルーツースモジュール107およびそのアンテナ156が配置されている。
フレキシブル基板170に取り付けられたこれらの部品123、121、172、107、156(この図に示していない不揮発性メモリ126Aを含む)は、樹脂174内に埋設されるように一体的にモールドされている。ただし、着信LED123(この図に示していない他の着信LED122、124、125を含む)および背面液晶ディスプレイ121の上面はモールドされた面から突出している。
着せ替えパネル104Aはモールドされた側の面を表面として図1に示した第1の筐体101の一部として携帯電話機100に取り付けられることになる。なお、本実施例でフレキシブル基板170を使用したのは着せ替えパネル104Aの厚さを薄くするためであり、通常のプリント基板を使用してもよいことはもちろんである。
本実施例の携帯電話機100は、ユーザが用途やデザインの好みに応じて着せ替えパネル104Aを他の着せ替えパネルに交換することができる。
図6は、図2に対応するもので、着信機能を重視する他の着せ替えパネルを装着した第1の筐体を示したものである。この図6で図2と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。図6に示した着せ替えパネル104Bは、着せ替えパネル104Aと比較すると、背面液晶ディスプレイ121の位置がヒンジ機構103側に多少寄っており、着信LED122〜125が背面液晶ディスプレイ121の上下に2個ずつ分散して配置されている。第1のブルーツースモジュール107は、着せ替えパネル104Aにおける着信LED122〜125が配置されていた箇所に移動している。第1のブルーツースモジュール107の傍には、着せ替えパネル104BのパネルIDを格納した不揮発性メモリ126Bが配置されている。
このように着せ替えパネル104Bは、そのデザインが着せ替えパネル104Aと異なっても、不揮発性メモリ126Bを除いて部品の構成は着せ替えパネル104Aと同一である。そこで、その携帯電話機100としての回路構成は図3に示した着せ替えパネル104Aを携帯電話機本体131に使用した場合と同一である。そこで、着せ替えパネル104Bを装着した場合の携帯電話機100の図示およびその説明は省略する。
図7は、同じく図2に対応するもので、セキュリティ機能および電子マネーの活用を重視した着せ替えパネルを装着した第1の筐体を示したものである。この図7で図2と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。図7に示した着せ替えパネル104Cは、モジュール化された指紋認証部181と、カメラ部182、撮影範囲確認ミラー183、リセット・スタートキー184およびRFID(Radio Frequency IDentification)部185を新たに備えている。第1のブルーツースモジュール107の傍には、着せ替えパネル104CのパネルIDを格納した不揮発性メモリ126Cが配置されている。着信LED122、123は着信時の表示だけでなく、指紋認証の可否をそれぞれ表示する緑色および赤色の発光ダイオードとなっている。背面液晶ディスプレイ121には、通常の背面液晶ディスプレイで表示される内容だけでなく、認証手順の案内や認証結果が表示されるようになっている。
この着せ替えパネル104Cは、指紋認証部181に指先を安定して保持させる必要からパネルの厚さが図2および図6に示した着せ替えパネル104A、104Bよりも若干厚くなっている。このため、第1のブルーツースモジュール107は、着信LED122、123およびリセット・スタートキー184と同一領域にパネルの厚さ方向の位置を変えて配置されている。カメラ部182はユーザ側の設定によって認証を行っている時点の操作者を撮影できるようになっており、その画像および撮影の日時ならびに携帯電話機100の操作情報の一部を図3に示したネットワーク143上の所定のサーバに格納できるようになっている。これにより、携帯電話機100が盗難あるいは第三者の不正使用にあったような場合に犯人の手がかりをつかむことができ、結果的に携帯電話機のこれらの被害を防止することができる。これについては後に説明する。
RFID部185は、図示しないがデータ格納用の不揮発性メモリと受信した電波によって電力を発生させてその電波の受信先と無線通信を行うIC(Integrated Circuit)回路によって構成されている。そして、不揮発性メモリに事前に電子的に入金処理を行っておくことで、現金を使用することなく各種の支払いを行うことができる。たとえば特定の自動販売機に着せ替えパネル104Cを装着した携帯電話機100を近づけるだけで、事前に不揮発性メモリに入金した範囲内で商品を受け取ることができる。したがって、携帯電話機100を財布代わりに使用することができる。
このため、ユーザに成りすまして第三者が他人の携帯電話機100を商品やサービスの対価として支払いに使用する危険性がある。そこで、着せ替えパネル104Cが装着された携帯電話機100を第三者が勝手に使用できないように前記したセキュリティ機能が備えられている。本実施例の携帯電話機100は携帯電話機本体131内の電池117から着せ替えパネル104C内の回路部分の給電が行われるようになっている。このため、たとえば第三者が着せ替えパネル104Cを携帯電話機本体131から外して単独で使用しようとしてもセキュリティ機能が非動作状態でロックされた状態にある。このセキュリティ機能が非動作状態のとき、RFID部185は安全性をチェックできない状況なので非作動状態となるようにシステムが組まれている。したがって、着せ替えパネル104Cの単独使用による第三者の不正使用の防止が図られている。もちろん、着せ替えパネル104Cを携帯電話機本体131に取り付けた状態では、電池117から着せ替えパネル104Cに電源の供給は行われるが、セキュリティのチェックによって第三者の不正使用の防止が図られることになる。
なお、生体認証は、指紋認証部181による指紋認証に限られるものではなく、カメラ部182を使用した顔認証あるいは目の虹彩による認証、手の甲の静脈パターンによる認証、マイクロフォンを使用した声紋の認証等各種のものが可能である。着せ替えパネル104をこれら認証技術のそれぞれに特化させることで、用途にあったセキュリティを確保することができる。また、生体認証に従来から使用されている暗証番号を組み合わせてセキュリティを更に高めることも可能である。
図8は、図3に対応するもので、図7に示した着せ替えパネルを装着した携帯電話機とネットワークの接続の様子を表わしたものである。携帯電話機100は、着せ替えパネル104Cの回路部分と、携帯電話機本体131の回路部分に分かれる。携帯電話機本体131の回路部分は、図3と同一であり、その説明を省略する。
着せ替えパネル104Cの回路部分については、第1のブルーツースモジュール107が不揮発性メモリ126C、アンテナ156、指紋認証部181、カメラ部182、リセット・スタートキー184およびRFID部185を接続した構成となっている。電池117から嵌合部105を経て第1のブルーツースモジュール107に電源が供給され、ここから指紋認証部181、カメラ部182およびRFID部185に電源が供給されることになる。
図9は、テレビジョン機能を重視した着せ替えパネルを装着した第1の筐体を示したものである。この着せ替えパネル104Dには、比較的大型の液晶ディスプレイ191が付属しており、その近傍にチャネルや音量を変更するための操作ボタン192が配置されている。音は、液晶ディスプレイ191自体を振動させることで出力されるようになっている。液晶ディスプレイ191は、ユーザの設定によって着信時に起動され、着信に関する情報を表示できるようになっている。第1のブルーツースモジュール107および着せ替えパネル104DのパネルIDを格納した不揮発性メモリ126Dは、液晶ディスプレイ191の裏側の面と図示しないフレキシブル基板(図5におけるフレキシブル基板170参照)の間に挟持されるように配置されている。
このテレビジョン機能と併せて、あるいは独立してラジオ受信機としての機能を着せ替えパネル104によって実現できることは当然である。この他、大画面の液晶ディスプレイ191を利用してGPS(Global Positioning System)によるナビゲーション機能を持った着せ替えパネル104を実現させたり、電子手帳や、手書き文字の認識機能を備えた着せ替えパネル104を実現させることも可能である。このように着せ替えパネル104を各種備えると共に規格化を行えば、各社の携帯電話機にユーザの必要な機能を追加的に実現させることができる。
図10は、本実施例の携帯電話機の着せ替えパネルの装着に対する制御の様子を表わしたものである。図3に示した制御部141内のCPUは、メモリ142内の図4に示した基本制御プログラム格納領域161に格納された基本制御プログラムを起動しており、ユーザがたとえば図3に示した着せ替えパネル104Aを図1に示す第1の筐体101の嵌合部105に装着したとする。すると、第1のブルーツースモジュール107に電池117による電源が供給されて不揮発性メモリ126Aに格納されたパネルIDが着せ替えパネル104A(図2参照)内のアンテナ156から発信される。このパネルIDは携帯電話機本体131内のアンテナ155で受信され、第2のブルーツースモジュール108から制御部141に渡される。このようにして携帯電話機100は、その電源が投入されたとき、あるいはいずれかの着せ替えパネルを新たに装着したとき、その着せ替えパネルのパネルIDを制御部が判別することになる(ステップS201)。
制御部141はパネルIDを判別すると(ステップS201:Y)、このパネルIDに対応するジャバ(JAVA(登録商標))アプリケーション(以下、付加制御プログラムという。)がメモリ142内の図4に示した付加制御プログラム格納領域162に格納されているかどうかをチェックする(ステップS202)。そして、格納されていると判別された場合には(Y)、その付加制御プログラムを起動する(ステップS203)。これにより、携帯電話機本体131とこれに装着した着せ替えパネル104に対する各種の処理が実行される状態となる(ステップS204)。前記した例では基本制御プログラム格納領域161に格納された基本制御プログラムと共に、着せ替えパネル104A用の付加制御プログラムが動作することで、一般的な制御と共に、着信制御に特化した制御が可能な状態になる。
一方、ステップS202で、図4の付加制御プログラム格納領域162に対応する制御プログラムが格納されていないことが判別された場合には(N)、ネットワーク143のたとえば各種の着せ替えパネルについての付加制御プログラムの配布を担当しているサーバ(図示せず)から該当するパネルIDに対応する付加制御プログラムを取得して作業領域163に格納する(ステップS205)。そして、その付加制御プログラムを付加制御プログラム格納領域162に格納が可能であるかどうかをチェックする(ステップS206)。付加制御プログラム格納領域162が未使用であったり、今回ダウンロードしたその付加制御プログラムを格納する空き容量がある場合には(Y)、これを付加制御プログラム格納領域162に移動させる(ステップS207)。そして、ステップS203以降の処理に進むことになる。
これに対して、ダウンロードしたその付加制御プログラムを格納する空き容量が付加制御プログラム格納領域162に存在しなかった場合には(ステップS206:N)、付加制御プログラム格納領域162にすでに格納されている付加制御プログラムの整理を行う処理が実行される(ステップS208)。この処理は、たとえば付加制御プログラム格納領域162にすでに格納されている幾つかの着せ替えパネル104をメインディスプレイ146にこれらの容量と共に示して、いずれを消去してよいかをユーザに選択させることによって行われる。すでに説明したように、ユーザは外部メモリを増設することで付加制御プログラム格納領域162を拡張することができ、これによってすでにダウンロードした付加制御プログラムを並存させることができる。付加制御プログラム格納領域162に幾つもの付加制御プログラムを格納しておくことで、ユーザは着せ替えパネルの交換のたびに付加制御プログラムをダウンロードする手間と時間を省くことができる。
図11は、図2に示した着信機能を重視する着せ替えパネルを携帯電話機に装着した場合の初期設定の様子を表わしたものである。図3に示した制御部141は、メインディスプレイ146を使用して、着信LED122〜125の点灯制御の態様と、背面液晶ディスプレイ121に待ち受け時および着信時に表示するそれぞれの画像A、Bをユーザに選択させて初期設定を行う(ステップS221)。ユーザが選択を行わないときには、予め用意したデフォルト値が設定される。ここで、たとえば着信LED122〜125の点灯制御の態様とは、全部の着信LED122〜125を順次、サイクリックに点滅させるとか、着信の相手に応じて着信LED122〜125の中で点灯させるものを指定するような各種キー点灯の態様をいう。設定が終了したら、第2のブルーツースモジュール108から第1のブルーツースモジュール107にその内容が送信される(ステップS222)。
図12は、図2に示した着信機能を重視する着せ替えパネル側の制御の様子を表わしたものである。着せ替えパネル104A内の第1のブルーツースモジュール107は、第2のブルーツースモジュール108から設定内容が送られてくるか(ステップS241)、着信状態になったか(ステップS242)あるいは待ち受け状態になったか(ステップS243)をチェックしている。設定内容の受信があった場合には(ステップS241:Y)、不揮発性メモリ126Aに第2のブルーツースモジュール108から送られてきた点灯データと画像Aおよび画像Bを受信して、これらを不揮発性メモリ126Aに格納する(ステップS244)。
次に、第1のブルーツースモジュール107はその携帯電話機100が通信(通話あるいは電子メール等の受信処理)の待ち受け状態であるかどうかをチェックする(ステップS243)。現在が待ち受け状態であれば(Y)、不揮発性メモリ126Aに格納された待ち受け用の画像Aを背面液晶ディスプレイ121に送ってその表示を行わせる(ステップS245)。この後は、ステップS241〜ステップS243の監視が行われる。この状態である時点で着信が発生すると(ステップS242:Y)、第1のブルーツースモジュール107は不揮発性メモリ126Aから着信用の画像Bを読み出して背面液晶ディスプレイ121に送り、画像Aに代わって画像Bを表示させる(ステップS246)。そして続いて不揮発性メモリ126Aに格納された点灯データを読み出して、その内容に従って着信LED122〜125の点灯制御を開始させる(ステップS247)。背面液晶ディスプレイ121の着信表示(ステップS246)および着信LED122〜125の点灯制御(ステップS247)は、着信による通信が終了するまで行われる(ステップS248:N)。この通信が終了すると(ステップS248:Y)、再びステップS241〜ステップS243の監視が行われることになる(リターン)。したがって、たとえばユーザがある時点で画像Aあるいは画像Bを新しい内容に変更したとすると、その時点で着せ替えパネル104A側に設定内容が送信され、不揮発性メモリ126Aの内容が更新されることになる。
図13は、図7に示したセキュリティ機能および電子マネーの活用を重視した着せ替えパネルを携帯電話機に装着した場合の初期設定の様子を表わしたものである。なお、図6に示した着信機能を重視する他の着せ替えパネル104Bについては、本実施例で着せ替えパネル104AとパネルIDは異なるものの、これらの制御はまったく同一としている。そこで、着せ替えパネル104Bを携帯電話機100に装着した場合の初期設定の様子および着せ替えパネル104B側の制御の様子の説明は行わない。
図7に示した着せ替えパネル104Cの場合にも、ユーザの指示によって図8に示した制御部141が初期設定の処理を行う(ステップS261)。具体的には、指紋認証部181は指紋の認証を可能にするために図7に示した指紋認証部181にユーザの指をセットさせて指紋のパターンの読み取りを行う。読み取られた指紋のパターンは、メモリ142に照合用のデータとして格納される。また、RFID部185については、第三者の不正使用の機会を軽減するために1つの決済に使用する金額の上限を予め設定したり、用途(たとえば缶ジュースの自動販売機や交通機関の乗車料金に限定)や利用時間(たとえば朝8時から夜10時までに限定)等の設定を行うことができる。セキュリティを図るために決済時にカメラ部182を同時に作動させるかどうかの設定も行われる。このようにして初期設定が行われたら、第2のブルーツースモジュール108がそれらの内容を第1のブルーツースモジュール107に送信する(ステップS262)。なお、このような処理を行う制御プログラムあるいは付加制御プログラムは、着せ替えパネル104Cを携帯電話機本体131と接続した時点でネットワーク143側から送られてきて、図4に示す付加制御プログラム格納領域162に格納される。
図14は、図7に示したセキュリティ機能および電子マネーの活用を重視した着せ替えパネル側の制御の様子を表わしたものである。着せ替えパネル104Cの第1のブルーツースモジュール107は、図3で説明した設定内容が図8の携帯電話機本体131から送られてきたら(ステップS281:Y)、これを不揮発性メモリ126Cに格納して(ステップS282)、以後の指紋認証やRFIDの動作における着せ替えパネル104C側の表示等の処理に備えることになる(リターン)。
また、携帯電話機本体131から指紋認証の要求が送られてきた場合には(ステップS283:Y)、不揮発性メモリ126Cから読み出した指紋認証用の作業の指示を背面液晶ディスプレイ121に表示して(ステップS284)、ユーザが指を図7の指紋認証部181にセットしてリセット・スタートキー184を押すことを指示する。リセット・スタートキー184が押されると(ステップS285:Y)、指紋のパターンの読み取りが行われ(ステップS286)、指紋パターンを第1のブルーツースモジュール107から第2のブルーツースモジュール108に送出する(ステップS287)。そして、携帯電話機本体131側に格納されている登録されたユーザの指紋パターンとの照合結果を待機する(ステップS288)。
この結果、認証結果として指紋パターンが一致した場合(OK)には(ステップS289:Y)、背面液晶ディスプレイ121に認証成功を表示する(ステップS290)。指紋パターンが一致しなかった場合には(ステップS289:N)、背面液晶ディスプレイ121に認証の失敗を表示することになる(ステップS291)。認証が失敗した場合、再度の指紋認証要求が携帯電話機本体131から送られてくれば(ステップS283:Y)、前記した処理が再度繰り返されることになる。
着せ替えパネル104CはRFIDの要求が受信されたかについても待機している(ステップS292)。たとえば高額の商品を携帯電話機100で購入するような場合、指紋認証を前提として無線で決済を行う場合が多い。このような場合には、先に説明した指紋認証が成功した次の時点で決済のためのRFIDの要求が受信されることになる。自動販売機で缶ジュースを購入するような比較的低額の決済の場合には、ユーザが携帯電話機本体131を電子決済モードに設定すると、直ちにRFIDの要求が着せ替えパネル104C側で受信され(Y)、通信が開始される旨の表示が背面液晶ディスプレイ121に表示される(ステップS293)。この場合、RFID部185は相手側の機器との通信をこの時点でトライしている。そして、第1のブルーツースモジュール107と第2のブルーツースモジュール108を経由して、RFID部185と制御部141との間で通信が開始されることになる(ステップS294)。この結果、たとえばユーザが電車に乗る場合、携帯電話機本体131を電子決済モードに設定しておけばRFID部185が動作中となって、改札口を通過するときに通信が開始され、所定の乗車料金が引き落とされることになる。
RFID部185を用いて相手側の機器と制御部141が決済のための通信を完了させると(ステップS295:Y)、通信結果が背面液晶ディスプレイ121に表示される(ステップS296)。これにより、ユーザは引き落とされた金額や携帯電話機100で決済できる残りの金額を確認することができる。このような背面液晶ディスプレイ121に表示されるデータは、一連の通信の最後の段階で第2のブルーツースモジュール108から第1のブルーツースモジュール107に送られてくることになる。
図15は、図9に示したテレビジョン機能を重視した着せ替えパネルを携帯電話機に装着した場合の初期設定の様子を表わしたものである。ユーザが携帯電話機100をテレビジョンの初期設定のモードを選択して、メインディスプレイ146(図3参照)に指示された内容に従って、テレビジョンを受信する地区の指定や、主音声を聞くか副音声を聞くか等の各種設定を行うと(ステップS301)、その設定内容が第2のブルーツースモジュール108から第1のブルーツースモジュール107に送信される(ステップS302)。
着せ替えパネル104D側では、この設定内容を不揮発性メモリ126Dに格納し、これを基にしてユーザがテレビジョンを視聴する。操作ボタン192の操作による着せ替えパネル104D側の制御については、市販のテレビジョンと基本的に同一なので、その説明は省略する。
このように本実施例によれば、着せ替えパネル104が嵌合部105の電極113〜116を介してと携帯電話機本体131から電源の供給を受けるようにしているので、着せ替えパネル104を携帯電話機本体131から分離して使用することができない。このため、携帯電話機100で電子的な認証を行ったり決済を行うときのセキュリティを高めることができる。また、実施例で示したようにユーザは携帯電話機の用途に応じて着せ替えパネル104を選択して使用することができるので、それぞれの機能に特化した扱いの容易な携帯電話機を実現することができる。
<発明の変形例>
図16は、本発明の変形例としてセキュリティを高めた通信システムを表わしたものである。この通信システム400では、着せ替えパネル104Cを装着した携帯電話機100が携帯電話網401を介してインターネット402と接続するようになっている。インターネット402には、カメラ画像蓄積サーバ403と、このカメラ画像蓄積サーバ403に蓄積された画像を閲覧したり削除等の管理を行うパーソナルコンピュータ404が接続されている。図7に示したように着せ替えパネル104Cには指紋認証部181とRFID部185の他にカメラ部182が配置されている。そこでこの変形例では、必要なタイミングでカメラ部182によって操作者の撮影を行い、これを順次、カメラ画像蓄積サーバ403に蓄積するようにすることで、他人のなりすましによる携帯電話機100の不正使用が発生したり、盗難が発生した場合の対策を採れるようにしている。
図17は、この変形例の携帯電話機で指紋認証部やRFID部が作動した場合の防犯処理の流れを表わしたものである。この場合、図8に示したメモリ142の付加制御プログラム格納領域162には、この防犯処理の制御のためのプログラムも着せ替えパネル104Cの装着の際に格納されることになる。制御部141は指紋認証部181の制御の下でリセット・スタートキー184が押されるのを監視している(ステップS501)。リセット・スタートキー184が押されると(Y)、ユーザが初期設定でこのような場合にカメラ部182による撮影を行うことを指示しているかどうかをチェックする(ステップS502)。そして、ユーザの指示があった場合には(Y)、撮影を行う(ステップS503)。
同様に、制御部141はRFID部185が決済のために作動しているかを監視しており(ステップS504)、その作動が開始すると(Y)、ユーザが初期設定でこのような場合にカメラ部182による撮影を行うことを指示しているかどうかをチェックする(ステップS505)。そして、ユーザの指示があった場合には(Y)、撮影を行う(ステップS503)。ステップS502およびステップS505でカメラ部182による撮影を禁止している場合には(N)、そのまま処理を終了する(エンド)。
一方、ステップS503でカメラ部182が写真を1枚または数枚、あるいは所定の時間だけ動画を撮影したら、その画像(または動画)に撮影日時を添付して、図8に示した無線部145がこれをカメラ画像蓄積サーバ403に送信する(ステップS506)。このようにして、カメラ画像蓄積サーバ403には、各ユーザの携帯電話機単位に画像(または動画)が順次蓄積されていくことになる。
このようにして蓄積された画像(または動画)は、防犯上の問題が発生したときに、ユーザが自身の携帯電話機100を使用して、あるいはパーソナルコンピュータ404等の端末を使用してカメラ画像蓄積サーバ403を閲覧することで、その問題の解決を図ることができる。もちろん、その場合にはユーザがカメラ画像蓄積サーバ403に登録したパスワード等の認証データを使用して正当権利者であることを証明してアクセスを行うことになる。携帯電話機100以外の携帯端末を使用できることにしたのは、携帯電話機100が盗難されたときも蓄積された画像(または動画)にアクセス可能にするためである。カメラ画像蓄積サーバ403に蓄積されたデータは、所定の日数が経過した時点で自動的に消去されてもよいし、ユーザがカメラ画像蓄積サーバ403にアクセスして消去を行うようにしてもよい。
以上説明した変形例では、撮影した画像をその都度、インターネット上の蓄積手段に格納しておける。したがって、携帯電話機自体が大容量のメモリを備える必要がない。また携帯電話機を紛失したような場合でも、撮影した画像自体は紛失しないという利点がある。
なお、実施例および変形例では携帯電話機を例に挙げて説明したが、携帯型の携帯端末としての携帯端末であれば本発明を同様に適用可能である。また、実施例では携帯電話機本体131から着せ替えパネル104への電源の供給を嵌合部105に設けた電極113〜116を利用して行うことにしたが、電源の供給形態はこれに限るものではない。また、電極を使用せず、たとえば携帯電話機本体131から着せ替えパネル104に電磁誘導によって電源を供給することも可能である。
更に実施例では携帯電話機本体131から着せ替えパネル104の通信にブルーツースを使用したが、赤外線通信等の他の無線通信を使用することも可能である。