JP2007087780A - パック電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パック電池1の内部において、プラスチック樹脂等からなる短冊状体絶縁板70に対し、ニッケルクロム合金等の金属製電熱部材からなる長尺抵抗体71をV字状に折り返してなる抵抗帯7をフレキシブル基板19にスポット溶接により接続して用いる。
【選択図】図2
Description
パック電池は、例えば前記素電池を複数にわたり直列に接続して出力を確保することで構成されるが、素電池の種類や使用条件等によっては充放電時の特性に鑑みて素電池を管理する必要がある。このためパック電池は、一般には前記素電池を保護回路に接続し、これをパックして構成される。
温度ヒューズや温度センサは、素電池の温度管理を行うためのものであって、異常温度上昇時における安全機構動作を目的として、パック電池の充放電電流経路となるメイン回路を遮断するように配設される。これは例えば特許文献1にあるように、複数の二次電池を薄板テープ状の熱伝導体で共通に熱結合させ、当該熱伝導体の一部領域に温度センサとしてサーミスタ素子を設け、電池の温度管理を行うものである。
さらに、パック電池によっては特許文献3のように、前記保護素子として抵抗帯が使用されることもある。抵抗帯とは一定の電気抵抗を持つ長尺状抵抗体が絶縁部材でコーティングされたものであって、前記メイン回路中に配され、短絡時等に流れる異常電流をジュール熱として消費することで、パック電池内部の熱損傷を防止するものである。前記PTC素子は高温発生時に抵抗値がトリップすることで正特性変化し、通電を遮断する機能を有するが、その機能がなされるまでに若干のタイムラグ(数十m秒〜数十分の一秒程度)がある。一方、抵抗帯の機能時にはこのようなタイムラグは存在しない。この理由から、抵抗帯はPTC素子の機能を補完すべく用いることに意義がある。
すなわち抵抗帯の構成は、例えば米国防爆基準(FM(Factory Mutual)防爆基準)等の工業規格で定められた絶縁距離の数値範囲を満たす必要があるため、抵抗帯には構成上一定のサイズ・形状が必要であるが、これによってパック電池にも一定の内部スペースを確保しなければならなくなり、パック電池のエネルギー密度を低下させる原因となる。
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであって、良好に空間距離及び沿面距離を確保できる抵抗帯を用いることで、エネルギー密度を維持しつつ優れた性能を発揮することが可能なパック電池を提供することを目的とする。
前記長尺抵抗体としては帯状体とすることができ、さらに当該帯状体をニッケルクロム合金で構成することもできる。また前記抵抗帯は、耐熱材により被覆する構成とすることも可能である。
このため本発明では、パック電池に抵抗帯を配設する際に、絶縁板の両主面にわたり長尺抵抗体を配設しているので、当該長尺抵抗体を必要十分な長さで確保できる。このため、従来の帯状体のようにこれを折り曲げて配設しなくても済む。
[パック電池の全体構成]
以下、本発明の一適用例であるパック電池1について説明する。図1はパック電池の外観を表す斜視図である。図1(a)はパック電池1の上面側の構成、図1(b)はパック電池1の下面側の構成をそれぞれ示す。
その外形は図1(a)のように丸みを帯びた略直方体状であり、xy平面に沿った一方の主面側(以下、「上面側」と称する。)には板状充電端子4a、4c〜4f(この機種のパック電池では4bの箇所に端子は無いが、外装ケース2Aが他の機種と共用できるように、端子窓が設けられている)を備える充電端子ユニット4が形成され、x方向手前の側面にはトランシーバ本体(不図示)と嵌合するための可動部5を備えたラッチ部3が構成されている。
また図4は、フレキシブル基板19周辺の全体構成を示す図であり、図5は当該パック電池内部の回路図である。
素電池6a〜6fは、公称電圧1.2V及び公称容量2700mAhの円筒型ニッケル水素二次電池であり、所定の電力を得るために以下に示す回路構成において直列に接続されている。当該素電池のサイズ一例は直径略17mm、長さ50mmとしているが、パック電池のサイズ・形状或いは出力等の要請に合わせ、これ以外のサイズ規格及び種類(角形、ピン型、ボタン型等)、個数であっても構わない。また、ニッケルカドミウム二次電池、リチウムイオン二次電池等、他の二次電池も利用可能である。なお保護回路20は、特に素電池にリチウムイオン二次電池を用いる場合において、その特性上必要とされる。
サーミスタ(接触型温度センサ)17は公知構成の温度の上昇に伴って抵抗値が線形に上昇する正特性サーミスタであって、パック電池1内部において素電池6d、6fの間に挿入される。その配線は駆動時に当該パック電池1の充電器側で素電池の温度管理がなされ、サーミスタ17を密着して配置している素電池の電池温度を検出して、電池温度が所定値に達したときに充電回路を遮断して過充電を防止するようになっている。図2(b)中、17aはサーミスタ17の感温部分を素電池側面に被着するための樹脂部分である。
これによりパック電池1の上面側には、図3(a)、図3(b)のように、素電池6b、6dの間には短冊状スペーサ8a、8bを介し、PTC素子10aが接続され、素電池6d及び6fの間には公知構成のPTC素子10b、ブレーカ11、コンデンサ12等が(ブレーカ11とコンデンサ12は並列に)リード線16a〜16c及びハンダ溶接14a、14bにより接続して構成される。図3(a)中、15a、15bは前記リード線16a〜16cに挿通された絶縁チューブである。
以上の構成によって、パック電池では図5に示す回路が形成されている。
このような充放電処理に係るパック電池1の駆動時において、素電池6a〜6fに内部ショート等何らかの異常が発生し、保護回路20中に異常電流が発生した場合には、上記各保護素子7、10a、10b、11、12が幾重にも機能する。
ここにおいて実施の形態1におけるパック電池では、図4に示す構成の抵抗帯7を用いている点に主たる特徴を有する。当該抵抗帯7は、従来構成の抵抗帯に比べて飛躍的に沿面距離及び空間距離の短縮及び正確な設定が図られており、且つ、優れた省スペース性を有している。これにより本発明によれば、パック電池間の性能のバラツキを抑えるとともに、そのパック電池のエネルギー密度を下げることなく良好な安全対策が実現されることとなる。
図6は、抵抗帯7の構成を示す図である。
まず図6(a)に示すように、抵抗帯7は、絶縁板70及び長尺抵抗体71からなり、絶縁板70を挟むように、長尺抵抗体71を配設することにより構成されている。
絶縁板70は、例えば絶縁紙等からなる短冊状体(厚み0.5mm、幅9.0mm、長さ65.7mm程度)であり、その長手方向一端側には凹部700(幅3.4mm、深さ1.0mm)、他端側には凸部701(幅1.8mm、長さ2.5mm)がそれぞれ設けられている。
なお、延出部71a、71b周辺に位置する絶縁板70表面には、長尺抵抗体71を位置ずれ防止して固定するための両面粘着テープ702が貼着される。抵抗帯7は、パック電池1内部では図6(b)のように、絶縁性の耐熱材(耐熱テープ72)によって被覆され、駆動時に発生するジュール熱がパック電池1内の他の構成要素に悪影響を与えないように保護される。
ます第一に、抵抗帯7は短冊状の絶縁板70の両主面に対し、その長手方向端部(凹部700付近)で長尺抵抗体71を折り返して配設された構成を有するため、長尺抵抗体71の沿面距離は絶縁板の厚みのみによって規定される。従って、製造工程においてこれを別途規定する必要が無い。このため、製造工程がその分簡単化される。また、絶縁板70の両主面における両面粘着テープ702と凸部701によって、長尺抵抗体71の両端部付近が一定間隔をおいて確実に固定されるので、空間距離も容易且つ一義的に定まる。
また第二に、抵抗帯7は絶縁板70を介して折り曲げられているので、当該折り曲げ後の弾性変形による復元や、折り曲げによって発生する帯状体の被覆材の膨張による空間距離及び沿面距離の変化を受けることがない。つまり抵抗帯7を用いれば、沿面距離及び空間距離が経時的又はパック電池毎にバラツキを生じて変化することがないので、優れた製造効率の元に均一な安全対策を講じることができる。さらに、絶縁板70を用いることで空間距離が小さくできるため、パック電池1内における抵抗帯7のためのスペースも最小限になり、エネルギー密度低下を防止する効果も奏される。
具体的には、まず絶縁板70を用意し、凸部701側端部付近の主面に両面粘着テープ702を配設する。
そして長手方向所定の長さに切断した長尺抵抗体71を用意し、絶縁板70の長手方向に対して、若干斜めに重ねる(図7(a))。このとき、長尺抵抗体71を絶縁板70の凹部701に対応させるとともに、凸部701周辺の絶縁板表面に配した両面粘着テープ702に長尺抵抗体71を押圧してこれを固定する(図7(b))。ここで、図7(b)中の破線で示す拡大図のように、長尺抵抗体71の両端部は、互いに空間距離Xをおいて離間させつつ配設するが、本実施の形態1では凸部701が形成され、且つ両面粘着テープ702が配設されているので、長尺抵抗体71の位置決めを非常に簡単且つ効率よく行えるといった効果が奏される。
[抵抗帯の別の構成例について]
上記実施の形態1では、長尺抵抗体71として帯状体を絶縁板70にV字状に折り曲げて配設する構成としたが、本発明の長尺抵抗体はこの構成に限定せず、絶縁板の長手方向一端で折り返され、他端側において、長尺抵抗体の両端部が分離して延出する構成であればよい。
以下、本発明の実施例と比較例を用いた性能比較実験の結果について記載する。
当該実験では、抵抗帯を用いた構成において、パック電池内部における省スペース効率化の差を知るべく、抵抗帯の厚みを比較した。実施例には、上記実施の形態1の抵抗帯7と同等のものを用意し、比較例としては、71と同等の長尺抵抗体の両主面にコーティング材を被覆してなる構成を用いた。
長尺抵抗体の厚みを0.16mmとした場合の抵抗帯の厚みを測定した結果、比較例は1.32mmであり、実施例(厚み0.5mmの絶縁板)では0.82mmであった。
これにより、実施例の帯状体は比較例の60%ほども薄く仕上がることが確認できた。
<比較例の折り曲げ加工後の寸法比較>
長尺抵抗体の厚みを0.16mmとした場合、折り曲げ加工した後の長尺抵抗体の厚みを測定した結果、比較例は約2.1mmとなった。一方、実施例はパック電池内部にほとんどそのまま収納されるが、製造工程に伴う若干の変形や耐熱テープの厚みを考慮しても約1.1mm以内の厚みに止まった。
[その他の事項]
上記実施の形態1では、長尺抵抗体として帯状の電熱部材を用いる構成について説明したが、本願発明はこれに限定するものではなく、他の構成としてもよい。長尺抵抗体としては、例えば円形断面を有する金属線(ニクロム線等)を用いることも可能である。
2A,2B 外装ケース
3 ラッチ部
4 充電端子部
6a〜6f 素電池(ニッケル水素二次電池)
7、7X 抵抗帯
20 保護回路
21 充電端子ユニット
22 放電端子ユニット
70 絶縁板
71、71X 長尺抵抗体
71a、71b、710a,710b 延出部
72 耐熱テープ
700 凹部
701 突起部
702 両面粘着テープ
710、711 分岐部
712 本体部
Claims (6)
- 素電池と直列に抵抗帯が接続されてなるパック電池であって、
前記抵抗帯は、短冊状の絶縁板と、当該絶縁板を挟むように折り返されて配された長尺抵抗体とで構成され、
前記長尺抵抗体の両端部は、前記絶縁板主面の垂直方向から見た場合に、前記絶縁板の長手方向一端側から延出され、且つ、前記絶縁板の幅方向に互いに一定の空間距離をおいてずれるように配されている
ことを特徴とするパック電池。 - 前記絶縁板の長手方向一端側には、前記空間距離に対応する位置に突起部が配設されている
ことを特徴とする請求項1に記載のパック電池。 - 前記長尺抵抗体は帯状体である
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパック電池。 - 前記帯状体は、ニッケルクロム合金で構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のパック電池。 - 前記抵抗帯は、耐熱材により被覆されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のパック電池。 - 前記素電池として複数の円筒型素電池が並列に並べられ、
前記抵抗帯は、パック電池内部において前記並列に並べられた前記円筒型素電池の隣接間に配設されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のパック電池。
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