JP2007086008A - 分岐を有する光ファイバの試験方法及び装置 - Google Patents

分岐を有する光ファイバの試験方法及び装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007086008A
JP2007086008A JP2005277965A JP2005277965A JP2007086008A JP 2007086008 A JP2007086008 A JP 2007086008A JP 2005277965 A JP2005277965 A JP 2005277965A JP 2005277965 A JP2005277965 A JP 2005277965A JP 2007086008 A JP2007086008 A JP 2007086008A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical fiber
branch
data
distance
scattered light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005277965A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4469318B2 (ja
Inventor
Fumihiko Ito
文彦 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2005277965A priority Critical patent/JP4469318B2/ja
Publication of JP2007086008A publication Critical patent/JP2007086008A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4469318B2 publication Critical patent/JP4469318B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Testing Of Optical Devices Or Fibers (AREA)
  • Optical Communication System (AREA)

Abstract

【課題】本発明の課題は、簡単なプロセスにより、N分岐光ファイバネットワークの損失増加等のモニタリングを、分岐部以下の光ファイバにおいて可能とする分岐を有する光ファイバの試験方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、N分岐されたN本の光ファイバからのトータルのレイリー散乱光の複素振幅をzの関数として測定して参照振幅データとして保管し、特定の光ファイバに損失変動が生じたと考えられる故障時に、N本の光ファイバからのトータルのレイリー散乱光の複素振幅s(z)を、zの関数として測定した故障時のデータと前記参照振幅データとを演算することにより所定の光ファイバに生じた損失変動を算出することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光アクセスネットワークなどで頻繁に用いられるPON(passive optical network)など、区間途中に分岐部を有する光ファイバネットワークにおいて、光ファイバの破断や損失増加などの有無を特定することができる、分岐を有する光ファイバの試験方法及び装置に関するものである。
光ファイバの破断や損失増加を測定するための装置として、OTDR(Optical Time Domain Reflectometry)やOFDR(Optical Frequency Domain Reflectometry)がよく知られている。これらはいずれも試験光を光ファイバの一端より入力し、光ファイバ内で生じるレイリー後方散乱光強度を距離の関数として観測することによって、光ファイバ内の損失の分布を測定するものである。
図3は従来の分岐を有する光ファイバの試験装置を示す構成説明図であり、図4は従来の分岐を有する光ファイバの測定方法を示す説明図である。図3において、11は光ファイバ、12は分岐部、13はレイリー散乱光複素振幅測定器である。
上記のようなOTDRやOFDRを用いた方法は、単一の光ファイバの状態を観測することは可能であるが、図3に示すように、途中で分岐を有する構成をとった場合は、そのまま適用することは出来ない。分岐を有する場合には、複数の分岐部からのレイリー後方散乱光が加算され、単一の光ファイバで生じた損失変動信号を覆い隠してしまい測定感度が劣化すると同時に、その損失変動がどの光ファイバで生じたかは全く判別できなくなってしまうからである。
このような問題を解決するため、図3、図4に示す方法が提案されている。この従来の技術は、非特許文献1に記載されている。従来の技術においては、個々の光ファイバにおけるレイリー後方散乱光特性をあらかじめ測定して参照データとして保管し、N分岐状態で測定されたレイリー後方散乱光(N本の光ファイバからのレイリー後方散乱光の加算)と参照データとの適切な演算処理により、個々の光ファイバにおける損失分布を個々に導くことを可能とするものである。以下に手法の概要を説明する。
従来の技術では、図4に示すように、事前のステップとして、N分岐下部の光ファイバのレイリー散乱光の複素振幅を、個々の光ファイバについて独立に、分岐部からの距離zの関数として測定し、これらを参照振幅データとして保存する。当然ながら、これらの測定は、個々の光ファイバが図3のように接続される以前に行う必要がある。以後の説明のため、光ファイバ♯nに対するこれらの参照振幅データをそれぞれ、f(z)、f(z)、…、f(z)と表すことにする。これらはそれぞれ、区間0<z<L、0<z<L、…、0<z<Lで定義されることになる。
故障発生時のステップでは、故障発生時には、N分岐状態で、参照振幅データを取得した際と同一の試験光を入力し、N本の光ファイバからのトータルのレイリー散乱光強度の複素振幅を、zの関数として測定する。このデータを、s(z)とする。s(z)は区間0<z<Lmaxで定義される。ここで、
max=max(L,L,L,…,L
である。
分岐下部の光ファイバ♯nにおけるレイリー散乱光強度を知りたい場合、従来の技術によれば、以上の測定をもとに、参照振幅データ取得時と比較して、k番目の光ファイバでの故障発生時に生じた過剰な損失増加分を、以下の計算式によって算出することが出来ることが知られている。
<s(z)f (z)>z=Z (1)
を計算する。ここで、<>z=Zは、Z近傍における空間的な平均操作を現し、空間的な相関を求めることに相当する。また*は位相共役を意味する。<>z=Zの平均操作は、測定器の空間分解能に対して十分に長い範囲にわたって行う。
以上の測定並びに計算過程を経てk番目の光ファイバにおけるレイリー散乱光強度を正しく導くことが出来ることを理解するには、以下の知見を必要とする。
レイリー散乱光強度f(z)は、光ファイバの損失αの寄与分を分離して、以下のように記述できる。
(z)=σ(z)exp[−α(z)/2] (2)
ここで、α(z)は、光ファイバ♯nのzにおける損失係数である。k番目の光ファイバに故障が発生し、その損失がΔα(z)だけ変動(増加)したと想定する。このような状況では、s(z)(N本の光ファイバからのトータルの散乱強度)は以下のようになる。
Figure 2007086008
式(1)に式(2),(3)を代入すると、
Figure 2007086008
レイリー散乱光は、光ファイバを構成するガラス自体の屈折率の揺らぎに起因して生じ、個々の光ファイバによって固有の散乱パターンを生じ、これらの散乱現象には相関がない。従って、上記で取得した参照振幅データσ(z)、σ(z)、…、σ(z)の間には以下のような直交関係が成立する。
<σ(z)σ (z)>z=Z=δij (5)
ここでδijはクロネッカーのデルタであり、i=jの時に1でそれ以外は0である。
従って、式(4)から、
<s(z)f (z)>z=Z=exp[−Δα(z)/2] (6)
を得ることが出来、k番目の光ファイバに生じた損失変動分を抽出できることがわかる。
M.Froggatt,et al.,"Correlation and keying of Rayleigh Scatter for loss and temperature sensing in parallel optical networks",Technical digest of Optical Fiber Conference 2005(Post deadline paper),PDP17 R.Passy et al.,"High−sensitivity coherent optical frequency domain reflectometry for characterization of fiber-optic network components",IEEE Photonics Technology Letters,vol.18,No.12,p.2127(1995)
しかしながら、上述した従来の技術においては、事前のステップとして、N分岐下部の光ファイバのレイリー散乱光の複素振幅を、個々の光ファイバについて独立に、分岐部からの距離zの関数として測定し、これらを参照振幅データとして保存する必要があった。
このような事前のデータ収集は手間がかかるばかりでなく、実際の光ファイバネットワークの運用においては、図3のような分岐構成を構築したあとで、分岐以下の一部の光ファイバを交換することも考えられ、このような場合には、分岐部以下の光ファイバの個々の参照振幅データを個別に取得することは困難になる。
このような事情から、従来の技術で必要であった、N分岐下部の光ファイバのレイリー散乱光の複素振幅を、個々の光ファイバについて独立に、分岐部からの距離zの関数として測定し、これらを参照振幅データとして保存するプロセスを必要とせず、かつN分岐光ファイバネットワークの損失増加等のモニタリングを、分岐部以下の光ファイバにおいて可能とする手法が求められていた。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、簡単なプロセスにより、N分岐光ファイバネットワークの損失増加等のモニタリングを、分岐部以下の光ファイバにおいて可能とする分岐を有する光ファイバの試験方法及び装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、試験の対象となるN分岐部を有する光ファイバの遠端に、試験光を全反射する全反射フィルタを備え、前記光ファイバの分岐点から個々の光ファイバの遠端に備えられた全反射フィルタまでの距離が各々異なる分岐を有する光ファイバの試験方法であって、N分岐されたN本の光ファイバからのトータルのレイリー散乱光の複素振幅をzの関数として測定する第1の測定ステップと、前記第1の測定ステップで測定された測定結果を参照振幅データとして保管するデータ保管ステップと、特定の光ファイバに損失変動が生じたと考えられる故障時に、N本の光ファイバからのトータルのレイリー散乱光の複素振幅s(z)を、zの関数として測定する第2の測定ステップと、前記第2の測定ステップで測定された故障時のデータと前記参照振幅データとを演算することにより所定の光ファイバに生じた損失変動を算出する測定データ演算ステップとを有することを特徴とする。
また本発明は、前記分岐を有する光ファイバの試験方法において、試験光を全反射フィルタによって反射することにより折り返されたレイリー散乱光を観測し、分岐部から光ファイバの遠端までの距離の最大値をLmaxとした時に、見かけ上、分岐部から2Lmaxまでの距離にわたる参照振幅データを収集することを特徴とする。
また本発明は、前記分岐を有する光ファイバの試験方法において、故障時のデータと参照振幅データとを演算する測定データ演算ステップは、k番目の光ファイバの全反射フィルタまでの距離をLとした時に、参照振幅データを距離Lの位置の点に対して空間的に反転させた波形と、故障時のデータとの空間的な相関を計算することを特徴とする。
本発明は、従来の技術で必要であった、N分岐下部の光ファイバのレイリー散乱光の複素振幅を、個々の光ファイバについて独立に、分岐部からの距離zの関数として測定し、これらを参照振幅データとして保存するプロセスを必要とせず、かつN分岐光ファイバネットワークの損失増加等のモニタリングを、分岐部以下の光ファイバにおいて可能とする手法を提供することが出来る。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る分岐を有する光ファイバの試験装置を示す構成説明図である。図1において、1−1〜1−Nは光ファイバであり、2はN分岐部で、例えば光スプリッタによってN分岐された構成となっている。3は光ファイバ1−1〜1−Nの遠端に取り付けられた、試験光を全反射する全反射フィルタである。通常、光ファイバネットワークでは、通信光とは異なる波長の試験光が用いられ、入射された試験光が通信信号に影響を及ぼさぬよう、試験光のみを全反射する全反射フィルタが挿入されることが多い。4は光ファイバの近端より試験光を入力し、レイリー散乱光の複素振幅を距離zの関数として観測するレイリー散乱光複素振幅測定手段であり、例えばOFDR装置である。5は測定データ保管手段であり、6は測定データ演算手段である。
レイリー散乱光複素振幅測定手段4のOFDR装置によって、光ファイバのレイリー散乱光の複素振幅強度を距離zの関数として測定できることは公知の技術であり、例えば非特許文献2に詳細に説明されている。それらによれば、OFDR装置は、光ファイバ等からの散乱光の複素振幅を測定できることが知られている。通常、この測定の空間分解能は数十ミクロン程度を達成することが出来、優れた空間分解能で測定可能な点がOFDRの特徴となっている。
本発明の実施形態では、図1に示すように、試験の対象となるN分岐部2を有する光ファイバ1−1〜1−Nの遠端に、試験光を全反射する全反射フィルタ3を備える。このとき光ファイバ1−1〜1−NのN分岐部2から個々の光ファイバ1−1〜1−Nの遠端に備えられた全反射フィルタ3までの距離は、各々異なるように設置する必要がある。後に説明するように、分岐点から各光ファイバ1−1〜1−Nの遠端までの距離の差は、任意の2つの光ファイバの組み合わせに対して、レイリー散乱光複素振幅測定手段4であるOFDR装置の測定空間分解能よりも大きくしておく必要がある。OFDR装置の場合には上述のように数十ミクロン程度の空間分解能が実現できるので、通常はこの条件は満足される。
図2は本発明の実施形態に係る分岐を有する光ファイバの測定方法を示す説明図である。図2において、事前のステップとして、N分岐された光ファイバの近端よりレイリー散乱光複素振幅測定手段4であるOFDR装置による測定を行い、N分岐状態で試験光を入力し、N本の光ファイバ1−1〜1−Nからのトータルのレイリー散乱光の複素振幅(強度)を、zの関数として測定し、測定結果を参照振幅データ(参照強度データ)として測定データ保管手段5に保管する。このとき試験光は全反射フィルタ3によって反射され逆進し、折り返されたレイリー散乱光も観測される。
図5は本発明の実施形態で観測されるレイリー散乱光を摸式的に示す説明図である。図5に示すように、個々の光ファイバ1−1〜1−Nからのレイリー散乱光は、N分岐部2からk番目の光ファイバ1−Kの全反射フィルタ3までの距離をL(L,L,L)とした時に、距離L(L,L,L)の位置を対称点として鏡対称である。本発明の実施形態で観測されるレイリー散乱光は個々の光ファイバ1−1〜1−Nからのレイリー散乱光の和である。
従って、試験光を全反射フィルタ3によって反射することにより折り返されたレイリー散乱光を観測し、N分岐部2から光ファイバ1−1〜1−Nの遠端までの距離zの最大値をLmaxとすると、見かけ上、N分岐部2から2Lmaxまでの距離にわたる参照振幅データが収集されることになる。以後、この参照振幅データを、従来の技術で用いた光ファイバの参照振幅データと区別するため、「N分岐ファイバの参照振幅データ」と呼び、これをftotal(z) for0<z<2Lmaxで表わすことにする。
「N分岐ファイバの参照振幅データ」ftotal(z)は、次のような性質を持つ。
〔1〕 ftotal(z)はN本の光ファイバ1−1〜1−Nからのレイリー散乱光の和である。従って、個々の光ファイバ1−1〜1−Nからのレイリー散乱光の複素振幅をf(z)とすると、
Figure 2007086008
〔2〕 個々の光ファイバ1−1〜1−Nのレイリー散乱光の複素振幅f(z)については、全反射フィルタ3により試験光が反射される以前に生じたレイリー散乱光の複素振幅を
(z)=σ(z)exp[−αz/2] for0<z<L (9)
とした時、全反射フィルタでの反射以後に生じた散乱光は同一区間を反対向きに進行する試験光によって生じたものであるため、全反射以前に生じたレイリー散乱光の鏡像対象となり、見かけ上全反射フィルタの更に遠方側に存在するように見えるため、以下であらわされる。
(z)=σ(2L−z)exp[−{α(L)+α(z)}/2]
forL<z<2L (10)
また本発明の実施形態では、図2に示すように、故障発生時すなわち、ある特定の光ファイバに損失増加等が生じたと考えられる場合には、N分岐状態のまま試験光を入力し、N分岐された光ファイバ1−1〜1−Nの近端よりレイリー散乱光複素振幅測定手段4であるOFDR装置によって、N本の光ファイバ1−1〜1−Nからのトータルのレイリー散乱光の複素振幅(強度)s(z)を、zの関数として故障時のデータを測定する。これをs(z) for0<z<2Lmaxで表す。k番目の光ファイバに故障が発生し、その損失がΔα(z)だけ変動(増加)したと想定する。このような状況では、s(z)(N本の光ファイバ1−1〜1−Nからのトータルの散乱強度)は、従来の技術と同様に式(3)で表され以下のようになる。
Figure 2007086008
また本発明の実施形態において、レイリー散乱光複素振幅測定手段4であるOFDR装置で測定された故障時のデータと、前記測定データ保管手段5に保管されたN分岐ファイバの参照振幅データとを測定データ演算手段6で演算することにより、所定の光ファイバに生じた損失変動を算出する。すなわち、前記測定データ演算手段6は、k番目の光ファイバの全反射フィルタ3までの距離をLとした時に、参照振幅データを距離Lの位置の点に対して空間的に反転させた波形と、故障時のデータとの空間的な相関を計算する。図2に示すように、分岐下部のk番目の光ファイバ♯kにおける損失増加(レイリー散乱光強度)を知りたい場合は、
<s(z)f total(2L−z)>z=Z (7)
を計算することによってこれを求める。ここで、Lは分岐部からk番目の光ファイバの遠端までの距離である。<>z=Zは、Z近傍における空間的な平均操作を現し、*は複素共役を意味する。これによって分岐下部のk番目の光ファイバにおける損失増加が正しく求められることについて以下に説明する。
図6は本発明の実施形態の計算過程で用いるf total(2L−z)の波形を摸式的に示す説明図である。
まず区間0<z<Lにおいてftotal(2L−z)を計算する。ftotal(2L−z)は図6に示すように、ftotal(z)がLの位置を対称点として左右に反転させた波形であり、以下のように表される。
Figure 2007086008
この第1項はk番目の光ファイバからのレイリー散乱光であり、光ファイバの損失項を除いて、f(z)に等しいことを意味している。第2項は、k番目の光ファイバ以外からの寄与であり、これらはf(z)の関数であるが、単にγ(z)と置いた。
式(3)と式(11)を式(7)に代入すると、
Figure 2007086008
式(14)の第2項と第3項は、レイリー散乱光の直交性から、
<σ(z)γ (z)>z=Z=0(∵n≠k)
<σ(z)σ (z)>z=Z=0(∵n≠k)
であるから零である。更に第4項は、
Figure 2007086008
となるが、この第2項は<σ(z)γ (z)>z=Z=0であるから零である。第1項の<σ(z)γ (z)>z=Z(n≠k)は、分岐点から各光ファイバの全反射フィルタまでの距離がOFDRの分解能よりも大きく異なっている場合には、σ(z)とγ (z)の相関はなくなり零になる。分岐点から各光ファイバの遠端までの距離の差は、任意の2つの光ファイバの組み合わせに対して、レイリー散乱光複素振幅測定手段4であるOFDR装置の測定空間分解能よりも大きくしておく必要がある理由は、そうでない場合はこの第1項が零にならない場合にはk番目の光ファイバの正確な損失変動の検出が出来ないからである。
従って、式(14)は結局第1項のみが残る。また式(14)第1項において、exp[−α(L)/2]は定数であり、
exp[−{α(z)+α(2L−z)}/2]も損失の対称性から定数となるので、結局式(14)は、Aを定数として、
<s(z)f total(2L−z)>z=Z=Aexp[−Δα(z)/2]
(15)
となる。式(15)は、得られた波形がk番目の光ファイバにおける損失変動をあらわすことを示している。
なお、式(7)における空間平均操作は、OFDR装置の空間分解能に対して十分に長い範囲にわたって行う必要がある。これは、上記の過程で用いた異なる光ファイバの間のレイリー散乱パターンの直交性が成立するために必要であるからで、測定器の空間分解能をLresol.、空間平均距離をLave.とすると、近似的にはLresol./Lave.の雑音が測定結果に付加されることになるからである。ただし、Lave.を極端に大きくした場合には最終的な測定結果の空間分解能を劣化させるため、通常はLresol./Lave.≒100〜1000程度とするのが普通である。
本発明の実施形態では、光ファイバのレイリー散乱光の複素振幅の測定にOFDR装置を用いたが、同様なことはその他にもコヒーレントOTDRなどの測定器でも可能であり、本発明の実施形態はこれらの測定手段を限定するものではない。ただし、コヒーレントOTDRの場合には、測定の空間分解能が通常は1m程度、若しくは数十cm程度であり、OFDRに比べて大きく劣る。分岐点から各光ファイバの遠端までの距離の差を、任意の2つの光ファイバの組み合わせに対して、測定装置の測定空間分解能よりも大きくしておく必要がある事情は変わらないため、空間分解能が劣るコヒーレントOTDRを用いる際には注意が必要である。
以上のように本発明の実施形態は、分岐を有する光ファイバの試験方法であって、試験の対象となるN分岐部を有する光ファイバの遠端に、試験光を全反射する全反射フィルタを備えることを特徴とする。このとき個々の光ファイバの遠端までの距離は、おのおの異なることを特徴とする。
また本発明の実施形態は、分岐を有する光ファイバの試験方法であって、事前ステップとして、N分岐された光ファイバの近端より試験光を入力し、N本の光ファイバからのトータルのレイリー散乱光の複素振幅を、zの関数として測定し、参照振幅データとして保管する。このとき試験光は全反射フィルタによって反射され逆進し、折り返されたレイリー散乱光も観測される。従って、分岐部から光ファイバの遠端までの距離の最大値をLmaxとすると、見かけ上、分岐部から2Lmaxまでの距離にわたる参照振幅データが収集されることになる。この参照振幅データを、「N分岐ファイバの参照振幅データ」と呼び、これをftotal(z)で表わすことにする。
また本発明の実施形態は、分岐を有する光ファイバの試験方法であって、故障時すなわちある特定の光ファイバに損失増加等が生じたと考えられる場合に、N分岐された光ファイバの近端より試験光を入力し、N本の光ファイバからのトータルのレイリー散乱光の複素振幅s(z)を、zの関数として測定することを特徴とする。
本発明の実施形態は、分岐を有する光ファイバの試験方法であって、分岐下部のk番目の光ファイバにおける損失増加を知りたい場合は、
<s(z)f total(2L−z)>z=Z (7)
を計算することによって求められる。ここで、ftotal(2L−z)は図6に示すように、ftotal(z)をLの位置を対称点として左右に反転させた波形である。<>z=Zの平均操作は、測定器の空間分解能に対して十分に長い範囲にわたって行う。
なお、本発明は、上記実施形態例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態例に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
本発明の実施形態に係る分岐を有する光ファイバの試験装置を示す構成説明図である。 本発明の実施形態に係る分岐を有する光ファイバの測定方法を示す説明図である。 従来の分岐を有する光ファイバの試験装置を示す構成説明図である。 従来の分岐を有する光ファイバの測定方法を示す説明図である。 本発明の実施形態で観測されるレイリー散乱光を摸式的に示す説明図である。 本発明の実施形態の計算過程で用いるf total(2L−z)の波形を摸式的に示す説明図である。
符号の説明
1−1〜1−N…光ファイバ、2…N分岐部、3…全反射フィルタ、4…レイリー散乱光複素振幅測定手段、5…測定データ保管手段、6…測定データ演算手段。

Claims (6)

  1. 試験の対象となるN分岐部を有する光ファイバの遠端に、試験光を全反射する全反射フィルタを備え、前記光ファイバの分岐点から個々の光ファイバの遠端に備えられた全反射フィルタまでの距離が各々異なる分岐を有する光ファイバの試験方法であって、
    N分岐されたN本の光ファイバからのトータルのレイリー散乱光の複素振幅をzの関数として測定する第1の測定ステップと、
    前記第1の測定ステップで測定された測定結果を参照振幅データとして保管するデータ保管ステップと、
    特定の光ファイバに損失変動が生じたと考えられる故障時に、N本の光ファイバからのトータルのレイリー散乱光の複素振幅s(z)を、zの関数として測定する第2の測定ステップと、
    前記第2の測定ステップで測定された故障時のデータと前記参照振幅データとを演算することにより所定の光ファイバに生じた損失変動を算出する測定データ演算ステップと
    を有することを特徴とする分岐を有する光ファイバの試験方法。
  2. 請求項1に記載の分岐を有する光ファイバの試験方法であって、
    試験光を全反射フィルタによって反射することにより折り返されたレイリー散乱光を観測し、分岐部から光ファイバの遠端までの距離の最大値をLmaxとした時に、見かけ上、分岐部から2Lmaxまでの距離にわたる参照振幅データを収集することを特徴とする分岐を有する光ファイバの試験方法。
  3. 請求項1に記載の分岐を有する光ファイバの試験方法であって、
    故障時のデータと参照振幅データとを演算する測定データ演算ステップは、k番目の光ファイバの全反射フィルタまでの距離をLとした時に、参照振幅データを距離Lの位置の点に対して空間的に反転させた波形と、故障時のデータとの空間的な相関を計算することを特徴とする分岐を有する光ファイバの試験方法。
  4. 試験の対象となるN分岐部を有する光ファイバの遠端に、試験光を全反射する全反射フィルタを備え、前記光ファイバの分岐点から個々の光ファイバの遠端に備えられた全反射フィルタまでの距離が各々異なる分岐を有する光ファイバの試験装置であって、
    N分岐されたN本の光ファイバからのトータルのレイリー散乱光の複素振幅をzの関数として測定する第1の測定手段と、
    前記第1の測定手段で測定された測定結果を参照振幅データとして保管するデータ保管手段と、
    特定の光ファイバに損失変動が生じたと考えられる故障時に、N本の光ファイバからのトータルのレイリー散乱光の複素振幅s(z)を、zの関数として測定する第2の測定手段と、
    前記第2の測定手段で測定された故障時のデータと前記参照振幅データとを演算することにより所定の光ファイバに生じた損失変動を算出する測定データ演算手段と
    を有することを特徴とする分岐を有する光ファイバの試験装置。
  5. 請求項4に記載の分岐を有する光ファイバの試験装置であって、
    試験光を全反射フィルタによって反射することにより折り返されたレイリー散乱光を観測し、分岐部から光ファイバの遠端までの距離の最大値をLmaxとした時に、見かけ上、分岐部から2Lmaxまでの距離にわたる参照振幅データを収集することを特徴とする分岐を有する光ファイバの試験装置。
  6. 請求項4に記載の分岐を有する光ファイバの試験装置であって、
    故障時のデータと参照振幅データとを演算する測定データ演算手段は、k番目の光ファイバの全反射フィルタまでの距離をLとした時に、参照振幅データを距離Lの位置の点に対して空間的に反転させた波形と、故障時のデータとの空間的な相関を計算することを特徴とする分岐を有する光ファイバの試験装置。
JP2005277965A 2005-09-26 2005-09-26 分岐を有する光ファイバの試験方法及び装置 Expired - Fee Related JP4469318B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005277965A JP4469318B2 (ja) 2005-09-26 2005-09-26 分岐を有する光ファイバの試験方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005277965A JP4469318B2 (ja) 2005-09-26 2005-09-26 分岐を有する光ファイバの試験方法及び装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007086008A true JP2007086008A (ja) 2007-04-05
JP4469318B2 JP4469318B2 (ja) 2010-05-26

Family

ID=37973118

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005277965A Expired - Fee Related JP4469318B2 (ja) 2005-09-26 2005-09-26 分岐を有する光ファイバの試験方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4469318B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016142618A (ja) * 2015-02-02 2016-08-08 日本電信電話株式会社 分岐を有する長距離光ファイバの試験方法、及び装置
WO2020194856A1 (ja) * 2019-03-27 2020-10-01 沖電気工業株式会社 光コヒーレントセンサ及び光コヒーレントセンシング方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016142618A (ja) * 2015-02-02 2016-08-08 日本電信電話株式会社 分岐を有する長距離光ファイバの試験方法、及び装置
WO2020194856A1 (ja) * 2019-03-27 2020-10-01 沖電気工業株式会社 光コヒーレントセンサ及び光コヒーレントセンシング方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4469318B2 (ja) 2010-05-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10014935B2 (en) Multiple-acquisition OTDR method and device
US7440087B2 (en) Identifying optical fiber segments and determining characteristics of an optical device under test based on fiber segment scatter pattern data
EP1705471B1 (en) Apparatus for measuring differential mode delay of multimode optical fiber
US7190442B1 (en) Method of evaluating fiber PMD using POTDR trace
JP4008470B2 (ja) 光ファイバの偏波モード分散の測定方法及びその測定装置
BRPI1010668B1 (pt) Aparelho interferômetro e método de monitoramento de perturbações acústicas
US8576387B2 (en) Fiber identification using optical frequency-domain reflectometer
JPH11287739A (ja) 光学素子に関する波長依存情報の測定システム及びその測定方法
CN108155540A (zh) 一种单频激光器跳模的检测系统
EP1324004A2 (en) Phase noise compensation in an interferometric system
JP4469318B2 (ja) 分岐を有する光ファイバの試験方法及び装置
JP4463828B2 (ja) 光導波路の波長分散の測定方法、測定装置及び測定プログラム
Kácik et al. Measurement of PDMS refractive index by low-coherence interferometry
US20220228947A1 (en) Judgment device and judgment method
CN205538708U (zh) 透射型双波长全息术的光学元件高景深表面疵病检测装置
JP6751371B2 (ja) 空間モード分散測定方法及び空間モード分散測定装置
Ohno et al. Nondestructive characterization of differential mode delay in few-mode fiber link using Rayleigh backscattering spectral shifts
US11838049B2 (en) Optical time-domain reflectometer (OTDR) event detection and light power level measurement-based fiber optic link certification
Bogachkov et al. Improvement of devices for early diagnostics of the optical fibers state of telecommunications systems
JP7459966B2 (ja) 周波数変調量測定装置及び方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070807

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091201

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100223

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100226

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4469318

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130305

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees