JP2007085071A - 建築構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 都市環境問題および居住環境問題を解決した都市域における新しい魅力を有する高層マンション等の建築構造物を提供する。
【解決手段】 地盤に掘り込んだ周囲構造体内に、浮力構造体およびその上部の上部構造体より構成される本体構造物を構築し、周囲構造体内に液体を貯留して浮力構造体を浮上せしめると共に、本体構造物と周囲構造体もしくは地盤との間に回転駆動機構を設置して、本体構造物を回転可能とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、主として都市部において建設される比較的高層の建築構造物とその構築方法に関するものである。
尚、本発明の構造物は、建築基準法(第2条)における「土地に定着する工作物のうち、・・・」という「建築物」の定義・基本概念を超えるものであるが、それを充分に認識した上で、本発明を適用する構造物の主たる用途に基づいて、敢えて「建築構造物」という表現を用いている。
わが国の人口は西暦2006年にピークを迎え、その後21世紀前半は人口が減少していくと予測されている。
現時点において住宅数は既に充足されており、20世紀後半における住宅不足問題は最早過去の問題となっている。
更に人口構成においては高齢化現象が急速に進行しており、わが国における住宅供給は量から質への転換、即ちより質の高い豊かな住生活の提供が求められている。
具体的には、かつての通勤地獄からの開放、より高い利便性と経済的・文化的により豊かな生活への要求から、東京圏を筆頭として大都市圏における住民の「都心回帰現象」が進行している。
その象徴的現象として、都心部における高層マンション・超高層マンションの建設ラッシュが顕在化しており、現在、東京を中心をとして都市景観が急速に変貌しつつある。しかし、限られた都市域に大規模構造物を密集して建設することはヒートアイランド現象をはじめてとして新たな都市問題・都市環境問題を生み出す恐れが高い。
このような都心部における高層・超高層マンションを実現を可能としたこれまでの技術的背景としては、先ず第一条件として高軸力を負担できる柱の開発が不可欠であり、そのための技術が種々提案されている(特許文献1〜3参照)。また耐震性能を改善する技術としては既に免震構造が実用化されているが、本願発明に関係が近い新しい免震方法として、液体の浮力を利用する方法が提案されているが、未解決の問題が多く、現実には未だ実現されていない(特許文献4〜6参照)。また回転可能な免震構造物に関する提案もされている(特許文献7参照)。
特開2001−323556号公報 特開平07−207751号公報 特開平07−090982号公報 特開2005−061598号公報 特開2004−353257号公報 特開2004−27732号公報 特開2002−256729号公報
大都市において大規模な高層マンションを多数建設するためには、かなり広大なエリアを必要とするため、既成市街地の再開発では対応が困難であり、その結果これまで建築物の建設が見送られていた臨海部に多数の高層マンションが建設されている。
大都市の臨海部に高層マンションを建設する場合、以下のような問題点がある。
第一に地盤条件が悪いことである。臨海地域では一般に軟弱な沖積層が深く堆積しており、大地震時の地震動が強く増幅されるために、(1)「耐震安全性」が問題となる。また、構造物を支持するには杭基礎が必要であるが、支持層が深いために、(2)「杭・基礎工事費が膨大になる」こと。また埋め立て地において地盤沈下が発生すると、ネガティブフリクションによる(3)「杭の安全性」が問題になると共に、建物1階が地面から浮き上がるなど(4)「建物の使用性」にも問題が生じる。
また、高層建物を密集して建設することは、海上から陸域への風の流れを遮断することになり、ヒートアイランド現象を助長し、(5)都市の「気象条件や都市環境」に重大な変化を引き起こすことが現実に発生している。この観点からは、住居への日当たりを重視した南面住宅、即ち「東西に長い屏風型の高層マンション」を建設することは好ましくなく、その結果、高層マンションの平面形状としては正方形あるいは円形平面に近い所謂「タワー型マンション」(塔状建物)が建設されることになる。タワー型マンションでは、日が当たらない北側には住居が配置できないので敷地の土地利用効率が悪くなる。住宅環境としては、西日の射す(6)「西面住宅」も好ましくないが、最近では日の射さない(7)「北面住宅」さえ建設される状況が生まれている。
即ち、本来は、利便性が高く、より快適な都市生活の提供を目的としていた筈の都市域の高層マンションの建設において、現実には、「立地条件=建設位置の利便性」だけを売り物として、住環境は建物の内部空間や空調などの人工的手段で対処するという、かなり「不健康な都市生活空間」が提供されている現実がある。
本発明は、以上のような市街地における高層マンションの抱える諸問題を解決するためになされたもので、大都市都心部や臨海部において、利便性・安全性と同時に快適性と楽しさと更には驚きサプライズまでを兼備した従来にない優れた高層マンション等の建築構造物を提供することを目的とする。
その解決手段の基本戦略は、従来、建築物は建築基準法第2条の定義にもあるとおり「土地に定着」していることが大前提であったが、まずこの基本条件を覆すことにある。即ち、液体の浮力を利用して建築物を浮上させ、且つその「建築物を鉛直軸廻りに回転させる」ことによる。
このとき、A:建築物の水平位置は原則として移動させない、B:回転可能とする建物支持方法には、液体による浮上方法を採用する、C:液体による浮上システムは微小振動の遮断には利用するが、大地震を対象とした免震構造には利用しない、D:浮上のための浮力を大きくするために、浮力構造体の平面を上部構造体の平面よりも大きくする、等を基本条件としている。
上記Aの制限により、本発明は、適用対象を船舶から区別して建築物とし、市街地における高層マンションに幅広く適用可能としている。
回転可能とする構造物全体の重量支持は、上記Bのとおり液体による浮上システムを原則としており、上記特許文献7の主張する転動体=転がり支承は採用しない。その理由は構造物を回転させる場合、構造物の使用期間中における転動体(=ボールベアリング等)の回転移動距離は非常に大きな累積距離となるので、転動体およびその上下の受け材(特許文献7では凹面軌道)が支圧および摩耗損傷に耐えられないこと、さらに回転時に発生する固体音が上部構造体に伝播し、居住性能を悪化させるためである。本発明では浮力構造体を液体により浮上させて、回転時の摩擦抵抗とノイズ発生を完全に排除し、また車輪機構を補助的に採用する場合でも液体の浮力により構造物重量の大半を支持し、接触部の支持荷重を軽減して固体音発生を抑制している。
また建築物の浮上システムを採用する場合、大地震に対する免震効果をも取り込みたいという誘惑にかられるが、浮上システムによる大地震に対する免震構造化は多くの技術的困難を抱え込むことになる。本発明では上記Cの制限を導入することにより、浮上システムは微振動排除のみに利用し、大地震に対しては基本的に免震効果を期待せず、別途本体構造物内において免震構造化を図っている。この割り切りにより、本発明は未解決の技術的困難から解放され、明確な大地震対策を採用可能にしている。
また本建物の計画地としては大都市の臨海部である可能性が高く、軟弱地盤が深く杭・基礎工事費が大きくなる可能性が高い。高層ビルをできるだけ経済的に浮上させる基礎構造を実現するために、本発明は、基礎・土工事の掘削深さを浅くし、且つ杭を省略可能とする。そのために浮力構造体の平面積を上部構造体よりも大きくすることを標準とし、浮力を大きくすると同時に上部構造体の転倒モーメントに対する復元力を高め、安定性を確保している。
これにより周囲構造体の掘削深さを浅くすると共に、周囲構造体の傾斜に対する安定性も向上させている。尚、内陸部における池や湖を利用して本発明の構造物を建設する場合には、周囲構造物を連続した閉鎖型構造物とする必要はないので、本体構造物の安定と回転駆動に必要な不連続の独立した周囲構造体を複数個構築すればよい。またこの場合、浮力に得るための液体は自然に確保されているので、周囲構造体の底盤を省略することも可能となる。
以上のような基本方針に基づき、本発明は以下の構成を採用している。
〈構成1〉
地盤の凹部内に設けられた底盤及びこの底盤周縁に立設された側壁を有する周囲構造体と、前記周囲構造体の内側に貯留された液体と、平面形状が円形もしくは六角形以上の多角形を呈し、その上部は前記液体上面より上に出た浮力構造体と、前記浮力構造体の上部に構築された上部構造体(以後、当該上部構造体と前記浮力構造体とを合わせて「本体構造物」と呼ぶ)と、前記浮力構造体もしくは前記上部構造体と前記周囲構造体もしくは前記地盤との間に設けられ、前記本体構造物を鉛直軸廻りに回転させる回転駆動機構とを備え、前記浮力構造体に作用する前記液体による浮力が前記本体構造物の総重量と等しくなる深さ以上に前記液体が前記周囲構造体内に貯留され、前記本体構造物が前記液体中に浮上し、かつ鉛直軸廻りに回転可能であることを特徴とする建築構造物。
〈構成2〉
地盤の凹部内に設けられた底盤及びこの底盤周縁に立設された側壁を有する周囲構造体と、前記周囲構造体の内側に貯留された液体と、平面形状が円形もしくは六角形以上の多角形を呈し、その上部は前記液体上面より上に出た浮力構造体と、前記浮力構造体の上部に構築された上部構造体と、前記浮力構造体の底面ないし側面に、前記本体構造物の総重量から前記液体による浮力を差し引いた残りの鉛直荷重を支え、且つ水平並進移動を拘束しながら前記本体構造物の鉛直軸周りに回転運動できる円周状のガイドレールと、前記ガイドレールに対応する車輪機能を有する転動体と、前記浮力構造体もしくは前記上部構造体と前記周囲構造体もしくは前記地盤との間に設けられ、前記本体構造物を鉛直軸廻りに回転させる回転駆動機構とを備え、前記本体構造物が鉛直軸廻りに回転可能であることを特徴とする建築構造物。
〈構成3〉
請求項1又は請求項2に記載の建築構造物において、前記上部構造体は、平面中央部に階段、エレベータシャフト、設備用パイプシャフトを含むコア部を配し、かつ、平面の全外周面に居室を配置した、複数階を有する高層建築物であることを特徴とする建築構造物。
〈構成4〉
構成1乃至構成3のいずれかに記載の建築構造物において、前記周囲構造体および前記浮力構造体の完成後、もしくは前記本体構造物の施工中ないし完成後に前記液体を注入・貯留した場合でも、前記液体が前記浮力構造体の底面全体に流入し浮力が確実に作用するように、前記周囲構造体の内側底盤の上面全体、もしくは前記浮力構造体の底面全体に渡って多数の溝形状が設けられていることを特徴とする建築構造物。
〈構成5〉
構成1乃至構成4のいずれかに記載の建築構造物において、建設地の地盤条件が軟弱地盤であっても前記周囲構造体もしくは前記本体構造物を支持する杭を備えていないことを特徴とする建築構造物。
〈構成6〉
構成1乃至構成4のいずれかに記載の建築構造物において、前記周囲構造体の側壁の外側、もしくは直下、あるいは内側に、前記周囲構造体の地盤沈下等に伴う傾き、地下水による浮力あるいは地震時の地盤の液状化に伴う浮力による浮き上がり等を防止するためのアースアンカーもしくは杭、あるいは前記周囲構造体の荷重を支持するための杭を備えていることを特徴とする建築構造物。
〈構成7〉
構成1乃至構成6のいずれかに記載の建築構造物において、前記浮力構造体もしくは前記本体構造物と前記周囲構造体もしくは地盤との間の2箇所以上に、前記本体構造物に作用する風・地震・その他の外力・振動による水平および鉛直方向の移動や振動を防止するための固定装置・ストッパー・復元ばね装置・緩衝装置・ダンパーのいずれかを接触もしくは若干の隙間を確保して配置していることを特徴とする建築構造物。
〈構成8〉
構成1乃至構成7のいずれかに記載の建築構造物において、前記浮力構造体と前記上部構造体との間、もしくは前記浮力構造体内部、あるいは前記上部構造体の途中階において、積層ゴム、すべり支承、転がり支承、あるいは各種の復元装置や減衰装置やダンパー(以後「免震装置」と呼ぶ)を配置して、該免震装置を配置している層(以後、「免震層」と呼ぶ)より上部の構造体を免震構造物としていることを特徴とする建築構造物。
〈構成9〉
構成1乃至構成8のいずれかに記載の建築構造物において、容器形状の前記周囲構造体内に貯留されている液体が、淡水、海水、泥水、その他の水溶液、揮発性のない油類、粘性流体、その他の比重が1を超える混合液体のいずれかであることを特徴とする建築構造物。
〈構成10〉
構成1乃至構成9のいずれかに記載の建築構造物において、前記回転駆動機構が、前記浮力構造体の外周部に歯車状突起もしくはチェーン・ベルト等の紐状連結帯もしくは摩擦係数の高い摩擦面が円周状に配置されており、該歯車状突起や紐状連結帯にかみ合う回転駆動力を有する歯車もしくは摩擦力の高い回転体が少なくとも1箇所以上、前記周囲構造体もしくは地盤側に取り付けられている構成となっていることを特徴とする建築構造物。
〈構成11〉
構成1乃至構成9のいずれかに記載の建築構造物において、前記回転駆動機構が、回転駆動力を有する歯車もしくは摩擦力の高い回転体が少なくとも1箇所以上前記本体構造物側に取り付けられており、前記歯車もしくは前記紐状連結帯もしくは前記回転体にかみ合う歯車状突起もしくは摩擦面が、前記周囲構造体もしくは地盤側に円周形状もしくは円周位置上に不連続に複数箇所配置されている構成となっていることを特徴とする建築構造物。
〈構成12〉
構成1乃至構成9のいずれかに記載の建築構造物において、前記周囲構造物の周囲側壁に前記液体の吸い込み口および吐出口を設け、前記周囲構造物内もしくはその外側に設けられたポンプ室内のポンプもしくはウォータジェットにより前記液体を前記吐出口より噴出・噴流させることにより前記液体を前記周囲構造物内で回転流動させることにより前記本体構造物を回転させる構成としたことを特徴とする建築構造物。
〈構成13〉
構成1乃至構成9のいずれかに記載の建築構造物において、前記浮力構造体の周囲側壁に前記液体の吸い込み口および吐出口を設け、前記浮力構造体の内部に設けられたポンプ室内のポンプもしくはウォータジェットにより前記液体を前記吐出口より噴出・噴流させることにより前記本体構造物を回転させる構成としたことを特徴とする建築構造物。
〈構成14〉
構成1乃至構成13のいずれかに記載の建築構造物において、前記上部構造体の外周面に、鉛直軸回りに角度調整可能であり、上部構造体に作用する風荷重を本体構造物の回転力に変換できる風受け板(風力ウィング)を全円周に対して少なくとも2カ所以上取付けていることを特徴とする建築構造物。
〈構成15〉
構成1乃至構成14のいずれかに記載の建築構造物において、前記上部構造体の外周面に、鉛直軸回りに角度調整可能である風受け板(風力ウィング)をほぼ全円周に渡って取り付けており、暴風雨に対して各居室のシェルターとなるように前記風力ウィングを閉鎖することができる構成としたことを特徴とする建築構造物。
〈構成16〉
構成1乃至構成15のいずれかに記載の建築構造物において、前記本体構造物に必要となるエネルギー供給および給排水等のための設備配管・配線類が、容器形状の前記周囲構造体の底盤位置において前記地盤側より前記浮力構造体の平面中央位置まで水平に引き込まれ、前記浮力構造体の平面中央部に設けられた鉛直孔の内部に立ち上がり、その途中において、複数の配管・配線類が前記本体構造物の回転によっても支障なく内部液体等を流通させることができる鉛直軸周りに回転できる回転型接続部を介して上部構造体側に接続されていることを特徴とする建築構造物。
〈構成17〉
所定の建設地に設けられた請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の建築構造物において、前記周囲構造体の側壁外側に、杭もしくはアースアンカーを最初に施工し、次に、前記建設地の地上部において前記周囲構造体の側壁を構築し、当該側壁の直下および内側を掘削しながら前記周囲構造体の側壁を所定の位置まで地盤中へ沈設させ、その後で、前記周囲構造体の側壁内側の底盤を構築することにより前記周囲構造体を構築し、その後に前記浮力構造体および上部構造体を構築したことを特徴とする建築構造物。
本発明は、基本的には円形もしくは正多角形平面を有する高層ビル・マンションを建設し、その建物全体を鉛直軸廻りに回転可能としたものである。
このような建物はこれまで実現されておらず、そのような発想さえ殆どなかったと言えるが、本発明により、これまでの建築物では解決できなかった種々の課題が解決され、また新たな効果・魅力が誕生することになる。その代表的なメリット・効果には以下のようなものがある。
[本発明の回転式高層ビル・マンションのメリット]
(1)建物の全周に居室を配置することができ、且つ階段やエレベータ・設備配管類は建物中央のコア部に配置できるので、建築計画・平面計画の自由度が高まり、床面積の利用効率が高まる。
(2)建物中央の設備コアから各住戸への設備配管ルートは、最も効率的な最短距離の計画となり、従って故障も少なく経済的な計画となる。
(3)建物全周に日当たりを確保できるので、従来建物での北側や西側など、日射・日影等で不利になる部位や住戸が存在しない。
(4)高層ビル・マンションの魅力は眺望の良さである。従来建物では一方向のみの眺望しか楽しめなかったのに対して、360°全周方向の眺望を楽しめるので、高層ビルの魅力が何倍にもアップする。
尚、回転速度・回転モードとしては、A:平常は停止+週毎に角度変更 程度から B:1回転/1日程度、 また花火大会時などは C:1回転/30分 等と、季節やイベント等の状況に合わせて種々の回転モードを設定することで一層の魅力アップとなる。
(5)建物の方角が変わることにより、建築物として無数の表情を持つことになり、建物購入者は1住戸の購入により多数の建物を購入したような変化・多様性を楽しむことができる。
その結果、本建物の資産価値が非常に高く評価されることになる。
(6)計画地は臨海部等で地盤条件が悪い場合が少なくないと予想されるが、地盤条件が悪くても杭基礎を省略可能であるため、杭・基礎工事費を大幅削減することができる。
しかも地盤沈下が発生した場合でも、構造物全体が地盤沈下に追随できるので、支持杭を採用すると地盤沈下により建物の浮き上がり等が発生するが、本発明ではそのような建築計画上の不具合も生じない。
以上のとおり本発明は、建築計画上従来建物では実現不可能であった新しい魅力を持つ建物を生み出すものであり、しかも構造的にも合理的で、経済的にも有利な条件で実現することができる。
以下、本発明を、実施例を示す図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の構成1、即ち建築構造物の全体構成を示すものであり、図1(1)が断面構成、図1(2)が平面構成を示している。
この構成1の建築構造物は、地盤1の凹部内に設けられた底盤22及びこの底盤22の周縁に立設された側壁21を有する周囲構造体2と、この周囲構造体2の内側に貯留された液体3と、平面形状が円形もしくは六角形以上の多角形を呈し、その上部は前記液体3の上面より上に出た浮力構造体4と、この浮力構造体4の上部に構築された上部構造体5と、4浮力構造体もしくは上部構造体5と周囲構造体2もしくは地盤1との間に設けられ、浮力構造体4と上部構造体5とを合わせた本体構造物を、鉛直軸廻りに回転させる回転駆動機構7とを備えている。そして、浮力構造体4に作用する液体3による浮力が本体構造物の総重量と等しくなる深さ以上に液体3が周囲構造体2内に貯留され、本体構造物が液体中に浮上し、かつ鉛直軸廻りに回転可能であるように構成されている。即ち、地盤1内にプール状の周囲構造物2が構築されており、その中に液体3が貯留され、浮力構造体4の上部が浮上している。その上に上部構造体5が構築されており、浮力構造体4の上部側面に設けられた帯状歯車73に駆動回転体71が噛み合って、本体構造物を回転させる構成となっている。周囲構造物2は、地盤1に設けられた凹部の底面にほぼ水平に広がる底盤22と、この底盤22の周縁部に立設されてなる側壁21とから液密に構成されている。
図1(2)の平面図に示すように、この例では上部構造体5は、正8角形、浮力構造体および周囲構造体は円形の平面形状をしている。浮力構造体4およびその周囲の周囲構造体2は、浮力構造体4が鉛直軸回りに回転するので、その平面形状は円形に近いことが好ましく、浮力構造体は少なくとも6角形以上の多角形もしくは円形平面を有するものとしている。
上部構造体5は、例えば、平面中央部に階段、エレベータシャフト、設備用パイプシャフトを含むコア部を配し、かつ、平面の全外周面に居室を配置した、複数階を有する高層建築物である。
図2は、本発明の構成2を説明しており、図2(1)は断面構成、図2(2)は周囲構造体底盤上面の平面構成である。
この構成2の建築構造物は、地盤1の凹部内に設けられた底盤及びこの底盤周縁に立設された側壁を有する周囲構造体2と、この周囲構造体の内側に貯留された液体3と、その上部は前記液体3の上面より上に出た浮力構造体4と、この浮力構造体4の上部に構築された上部構造体5と、浮力構造体の底面ないし側面に、浮力構造体4と上部構造体5とを合わせた本体構造物の総重量から液体による浮力を差し引いた残りの鉛直荷重を支え、且つ水平並進移動を拘束しながら本体構造物の鉛直軸周りに回転運動できる円周状のガイドレール及びこのガイドレールに対応する車輪機能を有する転動体24と、浮力構造体4もしくは上部構造体5と周囲構造体2もしくは地盤1との間に設けられ、本体構造物を鉛直軸廻りに回転させる回転駆動機構71とを備えている。
すなわち、構成2は、液体の浮力のみで完全には浮上せず、「本体構造物の全重量−浮力」の残存重量を周囲構造物底盤で支える方式である。浮力構造体を回転させるために、周囲構造体の底盤上に円周状のレール24を配置し、この上に浮力構造体の車輪機構24を載せて回転可能にしている。「パーシャル浮力+底盤支持」の混合方式であるが、これにより、周囲構造体の深さを軽減することが可能となり、また本体構造物の転倒モーメントに対する安定性も向上することになる。
なお、上部構造体5は、例えば、平面中央部に階段、エレベータシャフト、設備用パイプシャフトを含むコア部を配し、かつ、平面の全外周面に居室を配置した、複数階を有する高層建築物である。
また、浮力構造体の側面下方には本体構造物の平面位置を制御する回転ガイド兼緩衝装置が配置されている。これにより、周囲構造体と浮力構造体の間には、若干の水平クリアランスが確保されているので、有る程度までの水平方向振動は遮断することが可能で、微小振動から交通振動に対する遮断性能と弱い地震動に対する免震性能を発揮することができる。
図3は、構成3の本体構造物の平面構成を示している。図3(1)は、平面の中心に配管シャフト55があり、その周囲の平面中央部がエレベータや階段室等のサービスコア部54となっている。そのコア部の外側が内部廊下53となっており、ここから各居室52にアクセスする。この居室52が上部構造体の全周に配置可能であり、しかも日照条件や眺望条件が全室平等であることが本発明の大きな特長の一つである。また平面中央の配管シャフト55から各居室ユニット52への配管ルート56が示されているが、この配管ルートが最短距離で配置可能であることもメリットの一つである。
各居室ユニット52の外側に円形平面のバルコニー51が配置されており、その下部に、正8角形の浮力構造体4が、その周囲に円形の周囲構造体2が示されている。
図3(2)は、全体構成は図3(1)と同様であるが、上部構造体の居室52の外壁面もバルコニー51の外周面も共に円形平面であり、その下の浮力構造体4およびその外側の周囲構造体2も共に平面形状が円形の場合の実施例を示したものである。
図4は、構成4の実施例を示している。本発明の構造物の建設手順は、いずれにしても(1)周囲構造体2、(2)浮力構造体4、(3)上部構造体5の順序で建設されることになる。浮力構造体4は周囲構造体2の底盤22の上に建設されるので、浮力構造体を支持する補助レール24を配置する場合を除き、通常は周囲構造体の底盤22と浮力構造体底盤42が接触して建設されることになる。ここに、後から浮力のための液体3を注入した場合、もし両者が密着していると液体が浮力構造体の下面に潜り込めず、浮力が有効に作用しない恐れがある。構成4は、この危険を避けるために、浮力構造体の底盤42の下面もしくは周囲構造体2の底盤22の上面に液体が回り込むための溝25、26をそれぞれ配置するものである。
図4(1)は、その溝の平面配置パターンを示し、図4(2)は浮力構造体の底盤42の下面に溝25を設けた場合、図4(3)は周囲構造体の底盤22の上面に溝26を設けた場合の断面図を示している。尚、図4(1)には、周囲構造体の外側地盤1から浮力構造体4の中心位置まで、周囲構造体の底盤22位置で配管を引き込むルート27が示されている。
図5は、構成5および構成8を示す実施例である。本発明では、地盤内を掘削して周囲構造体2を構築する。地盤に作用する構造物の全重量は周囲構造体2の内部に貯留された液体3の重量と周囲構造体2の自重の合計であり、内部液体の比重が概ね1.0程度、周囲構造体の鉄筋コンクリート比重が約2.4であり、地盤の土の比重が通常1.6〜2.0程度であることを考慮すると、構造物全体重量は掘削による排土重量とほぼ同等ないしそれ以下となり、地盤中に浮かぶことが可能となる。即ち、本発明では、軟弱地盤11における支持杭15が不要となり、杭・基礎工事費を大幅に削減することができる。即ち、図5は、土の排土重量による浮力13により構造物全体を支持可能であり、杭形状を破線として支持杭15が不要であることを示している。
また図5は、構成8を示している。即ち、浮力構造体4と上部構造体5の間に、免震装置を配置している層、すなわち、免震層6を構成しており、ここに免震装置61を配置することにより、上部構造体5を免震構造化している。免震装置には、積層ゴム系支承を始めとして、各種のすべり支承、転がり支承、あるいは各種の復元装置や減衰装置やダンパー等、これまでに開発・実用化されている各種の免震装置を採用することができる。
図6は、構成6および構成8を示す実施例である。本発明では、上記実施例6で説明したとおり、軟弱地盤11における支持杭15を省略可能であるが、軟弱地盤の地層構成が成層構造でない場合、地盤沈下が不均一となり、その影響により周囲構造体が傾斜する恐れがある場合が考えられる。本発明の本体構造物は、液体3中に浮上しているので、万一、周囲構造体が傾斜した場合でも本体構造物は水平を保持することができるが、駆動機構等の健全性を考慮すると周囲構造体の傾斜を避けることが望ましい。
構成6は、そのために、周囲構造体の外側に傾斜を避け、また補正可能とするための補助的なガイド杭15を設けたものである。また、周囲構造体の底盤下に液状化層があり、地盤の液状化が発生した場合、条件しよっては浮力構造体全体が地上に浮かび上がる可能性もある、このような現象に対する安定性を確保するために、周囲構造体底盤22に下方にアースアンカー16を打設して浮き上がり防止対策としている。
また図6は、図5と同様に構成8の免震構造化の実施例も示している。図5では浮力構造体4の上面に免震層6を構成していたが、この実施例では、免震層6を浮力構造体4の内部に設ける場合を示している。また、免震層6は、上部構造体5の中間層に配置して、中間層免震とすることも可能である。
図7は、構成12・構成13の液体3を本体構造物の回転駆動システムに利用する実施例である。図7(1)は、周囲構造体の側壁21に設けた液体の吸い込み口28からポンプ室29に液体を吸い込み、吐出口28から液体3を噴流して液体を回転流動させることにより、浮力構造体を回転させる方式である。この吸い込み口と吐出口を逆転させることにより、液体の流動方向(=本体構造物の回転方向)を容易に反転させることができる。
図7(2)は、図7(1)と同様に液体を利用して本体構造物の回転させる駆動システムの実施例であるが、ポンプ室44および液体の吸い込み口と吐出口43を浮力構造体側に設けている。実施例8では回転流動する液体によって浮力構造体が回転したが、本実施例では、船舶のように浮力構造体自らが液体3を噴出することによって回転する。このシステムでは、液体の噴出スピードによって回転速度を変えたり、噴出方向を逆転させることにより回転速度にブレーキをかけるなど、回転運動を自由にコントロールできるので、より積極的、自立的な回転システムということができる。
図8は、構成14の回転許容設備配管ジョイントの実施例である。本体構造物を鉛直軸回りに回転させると、その中心に配置されている配管類も鉛直軸回りに回転する。配管が本体構造物の中心に1本のみの場合は既存のボールジョイント等を使用できるが、構造物全体の回転に対して2本以上の配管類を支障なく接続することは容易でない。構成14はこの回転を許容できる複数本の配管継手8の構成方法を示している。即ち、この継ぎ手部は浮力構造体の平面中央で高さレベルは通常、浮力構造体の上部付近に設けるのがよい。周囲構造体の底盤22に固定されている地盤側の各配管81の上端にそれぞれ円環状の配管(リング管)を取付ける。このリング管の上部1/3程度が蓋状に区分(上面回転蓋部)されており、この上面回転蓋部84がリング管上面を自由に回転できる構成になっている。上部構造体側へ伸びる配管82は、この上面回転蓋部に接続されているので、本体構造物の回転と共に支障なく自由に回転することができるのである。この上面回転蓋部とリング管の接続部は内部液体が漏れないようにシールされていることは言うまでもない。
図9および図10に、本発明の全体的実施例として、「回転高層マンション」の設計例を示す。図9は構造物全体の断面構成を示している。上部構造体5は25階建ての高層マンションであり、これを3層構造の浮力構造体4により浮上させている。液体3には、建設位置により淡水もしくは海水を利用する。また、軟弱地盤に対しても杭を省略することにより基礎工事費の低減を図っている。本システムでは、軟弱地盤において地盤沈下が生じても、周囲構造体2が地盤と共に沈下移動するので構造物と地盤との位置関係にも異常が生じず、本体構造物は液体に浮上しているので、構造物の傾斜も生じない。
図10は、構造物全体の平面構成を示している。上部構造体5は、円形平面をしており、各階が8住戸から構成されている。本発明の回転システムにより、全ての住戸の日射条件・眺望条件は全て平等であり、全方位360°方向の眺望を満喫できる。浮力構造体4の平面形状も円形であり、その半径は上部構造体の約2倍、従って階面積は約4倍であるので、3層構造の浮力構造体内部には広い面積が確保されているので、駐車場スペース・スポーツジム、機械室等に有効利用できる。
上記した建築構造物は、次の方法により構築できる。すなわち、所定の建設地に設けられた上記周囲構造体の側壁外側に、杭もしくはアースアンカーを最初に施工し、次に、建設地の地上部において周囲構造体の側壁を構築し、当該側壁の直下および内側を掘削しながら周囲構造体の側壁を所定の位置まで地盤中へ沈設させ、その後で、周囲構造体の側壁内側の底盤を構築する。
本発明は、都市部における高層建物が鉛直軸まわりに回転できるというこれまでにない新しい建築構造物である。建築基準法では建築物を「土地に定着する構造物」と定義しており、本発明は建築基準法における建築物の概念を超えるものであるが、本発明は、その想定する主たる適用対象用途に基づいてあえて「建築構造物」と呼んでいる。
本発明の魅力は、高層建物の最大の売り物である眺望の良さを、その何倍にも増幅するところにある。適用対象として最初に想定されるのは、住宅、即ち高層マンションであるが、大都市における「オフィスビル」や「ホテル」においてもその魅力は変わらず、また風光明媚な観光地における「観光ホテル」に適用しても従来にない魅力が発揮でき、集客力の大きな武器になることが期待できる。例えば、内陸部の湖畔に浮かぶ回転浮上ホテルは、周辺の景観のみでなくホテルそのものが大きな話題性と強力な集客力を持つことになろう。
以上のとおり、本発明は、これまでの建築物の概念を超える新しい建築物を提供するものであり、大都市の生活者や観光地など日本全国に喜びと活力を提供するものである。
本発明の完全浮上タイプの建築構造物の基本構成を示す図で、 (1)は同建築構造物の断面図、 (2)は同建築構造物の平面図である。 本発明の部分浮上タイプの建築構造物の基本構成を示す図で、 (1)は同建築構造物の断面図、 (2)は同建築構造物の平面図である。 本発明の建築構造物の平面構成の例を示す図で、 (1)は平面形状が共に正8角形の上部構造体および浮力構造体の平面図、 (2)は平面形状が共に円形の上部構造体および浮力構造体の平面図である。 構成4の液体の浮力を確実に作用させるための液体誘導溝の説明図で、 (1)は浮力構造体の底面もしくは周囲構造体底盤上面に設ける液体誘導溝の平面配置図、 (2)は浮力構造体の底面に設ける液体誘導溝の断面図、 (3)は周囲構造体底盤の上面に設ける液体誘導溝の断面図である。 構成5の地盤からの浮力により支持杭を省略できる原理説明図および構成8の免震構造導入位置(免震層)の説明図。 構成6の周囲構造体の傾斜調整用ガイド杭およびアースアンカー配置を示す断面図および構成8の免震構造導入位置(免震層)の説明図。 水流方式による回転駆動システムの原理説明図で、 (1)は周囲構造体の側面に設けた液体吸入口・吐出口およびポンプ室の平面図、 (2)は浮力構造体の側面に設けた液体吸入口・吐出口および、その内側に設けたポンプ室の平面図である。 本体構造物の平面中央に配置する配管類の回転許容継手(ジョイント)の構成図で、 (1)は同回転許容継手の平面図、 (2)は(1)のA−A線に沿う断面図である。 本発明の建築構造物全体の実施設計例の断面図。 本発明の建築構造物全体の実施設計例の平面図。
符号の説明
1:地盤
11:軟弱地層
12:支持層
13:地盤から周囲構造体に作用する浮力
15:杭・ガイド杭
16:アースアンカー
2:周囲構造体
21:周囲構造体の側壁
22:周囲構造体の底盤
23:浮力構造体の側面の回転ガイド兼緩衝装置
24:浮力構造体の底面の荷重支持兼回転補助レール・車輪機構
25:浮力作用のための浮力構造体底面の溝
26:浮力作用のための周囲構造体底盤上面の溝
27:周囲構造体底盤に設ける配管引き込みルート
28:周囲構造体側に設ける液体の吸い込み口・吐出口
29:周囲構造体側に設けるポンプ室
3:液体
31:液体により浮力構造体に作用する浮力
4:浮力構造体
41:浮力構造体の側壁
42:浮力構造体の底盤
43:浮力構造体側に設ける液体の吸い込み口・吐出口
44:浮力構造体内のポンプ室
45:浮力構造体平面中央部の配管シャフト
5:上部構造体
51:外周バルコニー
52:居室
53:内部廊下
54:平面中央部のエレベータ・階段等のサービスコア
55:平面中央部の配管シャフト
56:配管シャフトから各居室ユニットへの配管ルート
57:耐震壁
6:免震層
61:免震装置
7:回転駆動システム
71:駆動回転体
72:回転用の歯車状突起・紐状連結帯・高摩擦面
8:浮力構造体平面中央に設ける複数配管の回転許容継手
81:地盤・周囲構造体底盤側に固定する配管類
82:本体構造物側に固定する配管類
83:鉛直軸回りの円周状回転許容継ぎ手
84:回転継手円形配管部の上面回転蓋部

Claims (17)

  1. 地盤の凹部内に設けられた底盤及びこの底盤周縁に立設された側壁を有する周囲構造体と、
    前記周囲構造体の内側に貯留された液体と、
    平面形状が円形もしくは六角形以上の多角形を呈し、その上部は前記液体上面より上に出た浮力構造体と、
    前記浮力構造体の上部に構築された上部構造体(以下、当該上部構造体と前記浮力構造体とを合わせて「本体構造物」と呼ぶ)と、
    前記浮力構造体もしくは前記上部構造体と前記周囲構造体もしくは前記地盤との間に設けられ、前記本体構造物を鉛直軸廻りに回転させる回転駆動機構とを備え、
    前記浮力構造体に作用する前記液体による浮力が前記本体構造物の総重量と等しくなる深さ以上に前記液体が前記周囲構造体内に貯留され、
    前記本体構造物が前記液体中に浮上し、かつ鉛直軸廻りに回転可能であることを特徴とする建築構造物。
  2. 地盤の凹部内に設けられた底盤及びこの底盤周縁に立設された側壁を有する周囲構造体と、
    前記周囲構造体の内側に貯留された液体と、
    平面形状が円形もしくは六角形以上の多角形を呈し、その上部は前記液体上面より上に出た浮力構造体と、
    前記浮力構造体の上部に構築された上部構造体と、
    前記浮力構造体の底面ないし側面に、前記本体構造物の総重量から前記液体による浮力を差し引いた残りの鉛直荷重を支え、且つ水平並進移動を拘束しながら前記本体構造物の鉛直軸周りに回転運動できる円周状のガイドレールと、
    前記ガイドレールに対応する車輪機能を有する転動体と、
    前記浮力構造体もしくは前記上部構造体と前記周囲構造体もしくは前記地盤との間に設けられ、前記本体構造物を鉛直軸廻りに回転させる回転駆動機構とを備え、
    前記本体構造物が鉛直軸廻りに回転可能であることを特徴とする建築構造物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の建築構造物において、
    前記上部構造体は、平面中央部に階段、エレベータシャフト、設備用パイプシャフトを含むコア部を配し、かつ、平面の全外周面に居室を配置した、複数階を有する高層建築物であることを特徴とする建築構造物。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の建築構造物において、
    前記周囲構造体および前記浮力構造体の完成後、もしくは前記本体構造物の施工中ないし完成後に前記液体を注入・貯留した場合でも、前記液体が前記浮力構造体の底面全体に流入し浮力が確実に作用するように、
    前記周囲構造体の内側底盤の上面全体、もしくは前記浮力構造体の底面全体に渡って多数の溝が設けられていることを特徴とする建築構造物。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の建築構造物において、
    建設地の地盤条件が軟弱地盤であっても前記周囲構造体もしくは前記本体構造物を支持する杭を備えていないことを特徴とする建築構造物。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の建築構造物において、
    前記周囲構造体の側壁の外側、もしくは直下、あるいは内側に、
    前記周囲構造体の地盤沈下等に伴う傾き、地下水による浮力あるいは地震時の地盤の液状化に伴う浮力による浮き上がり等を防止するためのアースアンカーもしくは杭、あるいは前記周囲構造体の荷重を支持するための杭を備えていることを特徴とする建築構造物。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の建築構造物において、
    前記浮力構造体もしくは前記本体構造物と前記周囲構造体もしくは地盤との間の2箇所以上に、
    前記本体構造物に作用する風・地震・その他の外力・振動による水平および鉛直方向の移動や振動を防止するための固定装置、ストッパー、復元ばね装置、緩衝装置、ダンパーのいずれかを、接触もしくは若干の隙間を確保して配置していることを特徴とする建築構造物。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の建築構造物において、
    前記浮力構造体と前記上部構造体との間、もしくは前記浮力構造体内部、あるいは前記上部構造体の途中階において、
    免震装置を配置して、当該免震装置を配置している免震層より上部の構造体を免震構造物としたことを特徴とする建築構造物。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の建築構造物において、
    容器形状の前記周囲構造体内に貯留されている液体が、淡水、海水、泥水、その他の水溶液、揮発性のない油類、粘性流体、その他の比重が1を超える混合液体のいずれかであることを特徴とする建築構造物。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の建築構造物において、
    前記回転駆動機構が、前記浮力構造体の外周部に歯車状突起もしくは紐状連結帯もしくは摩擦係数の高い摩擦面が円周状に配置されており、
    前記歯車状突起や紐状連結帯にかみ合う回転駆動力を有する歯車もしくは摩擦力の高い回転体が少なくとも1箇所以上、前記周囲構造体もしくは地盤側に取り付けられている構成となっていることを特徴とする建築構造物。
  11. 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の建築構造物において、
    前記回転駆動機構が、回転駆動力を有する歯車もしくは摩擦力の高い回転体が少なくとも1箇所以上前記本体構造物側に取り付けられており、
    前記歯車もしくは前記紐状連結帯もしくは前記回転体にかみ合う歯車状突起もしくは摩擦面が、前記周囲構造体もしくは地盤側に円周形状もしくは円周位置上に不連続に複数箇所配置されている構成となっていることを特徴とする建築構造物。
  12. 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の建築構造物において、
    前記周囲構造物の周囲側壁に前記液体の吸い込み口および吐出口を設け、前記周囲構造物内もしくはその外側に設けられたポンプ室内のポンプもしくはウォータジェットにより前記液体を前記吐出口より噴出・噴流させることにより前記液体を前記周囲構造物内で回転流動させることにより前記本体構造物を回転させる構成としたことを特徴とする建築構造物。
  13. 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の建築構造物において、
    前記浮力構造体の周囲側壁に前記液体の吸い込み口および吐出口を設け、前記浮力構造体の内部に設けられたポンプ室内のポンプもしくはウォータジェットにより前記液体を前記吐出口より噴出・噴流させることにより前記本体構造物を回転させる構成としたことを特徴とする建築構造物。
  14. 請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の建築構造物において、
    前記上部構造体の外周面に、鉛直軸回りに角度調整可能であり、上部構造体に作用する風荷重を本体構造物の回転力に変換できる風受け板(風力ウィング)を全円周に対して少なくとも2カ所以上取付けていることを特徴とする建築構造物。
  15. 請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の建築構造物において、
    前記上部構造体の外周面に、鉛直軸回りに角度調整可能である風受け板(風力ウィング)をほぼ全円周に渡って取り付けており、暴風雨に対して各居室のシェルターとなるように前記風力ウィングを閉鎖することができる構成としたことを特徴とする建築構造物。
  16. 請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の建築構造物において、
    前記本体構造物に必要となるエネルギー供給および給排水等のための設備配管・配線類が、容器形状の前記周囲構造体の底盤位置において前記地盤側より前記浮力構造体の平面中央位置まで水平に引き込まれ、前記浮力構造体の平面中央部に設けられた鉛直孔の内部に立ち上がり、その途中において、複数の配管・配線類が前記本体構造物の回転によっても支障なく内部液体等を流通させることができる鉛直軸周りに回転できる回転型接続部を介して上部構造体側に接続されていることを特徴とする建築構造物。
  17. 所定の建設地に設けられた請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の建築構造物において、前記周囲構造体の側壁外側に、杭もしくはアースアンカーを最初に施工し、次に、前記建設地の地上部において前記周囲構造体の側壁を構築し、当該側壁の直下および内側を掘削しながら前記周囲構造体の側壁を所定の位置まで地盤中へ沈設させ、その後で、前記周囲構造体の側壁内側の底盤を構築することにより前記周囲構造体を構築し、その後に前記浮力構造体および上部構造体を構築したことを特徴とする建築構造物。
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JP2016089505A (ja) * 2014-11-06 2016-05-23 清水建設株式会社 構造物の基礎構造
CN105730642A (zh) * 2016-04-13 2016-07-06 上海法普罗新材料股份有限公司 一种旋转式多功能生态节能房及方法

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