JP2007082171A - マグネトロン発振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】周波数安定度がよく、出力電力を変化させても周波数が変動しないマグネトロン発振装置を実現する。
【解決手段】マグネトロン2と、マグネトロン2の出力電力を取り出すランチャ4と、ランチャ4の出力端に一端が接続されたインピーダンス発生器5と、インピーダンス発生器5の他端に接続された基準信号供給部6と、同期制御部11とを備える。基準信号供給部6は、マグネトロン2の出力よりも低電力かつ周波数が安定した基準信号をマグネトロン2に供給する。マグネトロン2は、基準信号の注入により、基準信号の周波数に発振周波数が固定される。同期制御部11は、マグネトロン2の出力電力に連動してインピーダンス発生器5を制御し、マグネトロン2の負荷インピーダンスを調整し、マグネトロン2の発振周波数の変化幅を縮小する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マグネトロンを発振管とするマグネトロン発振装置に関し、特に、マグネトロンよりも出力電力が低くかつ発振周波数が安定した基準信号発振器を設け、この基準信号発振器が発振する基準信号をマグネトロンに注入しマグネトロンの発振周波数を基準信号発振器の発振周波数に固定(同期)することにより、マグネトロンの周波数安定度を向上させるマグネトロン発振装置に関する。
マイクロ波帯の発振装置の一つに、トランジスタを増幅器として使用する半導体発振装置がある。この半導体発振装置は、1000MHz程度までの周波数帯に用いられる。しかし、プラズマ生成に必要な2450MHzの周波数帯においては、使用可能な半導体素子の種類が少なくかつ高価であるので、半導体発振装置は大変高コストとなる。
2450MHz帯の発振器としては、クライストロン発振装置およびマグネトロン発振装置がある。クライストロン発振装置は、周波数安定度および振幅制御性等に優れているが、クライストロンが高価であり、クライストロンの駆動用電源の価格も比較的高いので、これらを含めると装置全体が非常に高コストになる。
これに対し、マグネトロン発振装置は、プラズマ生成に必要な出力電力10kW程度までのマグネトロンが量産されていて、安価で入手できる。また、マグネトロンの駆動用電源は、構成が簡単で、安価で製作できる。したがって、マグネトロン発振装置は、プラズマ生成用のマグネトロン電源等として多用されている。
以下、マグネトロン発振装置に用いられるマグネトロンの特性について説明する。図12は、マグネトロンの負荷特性を示すリーケダイアグラムである。このダイアグラムは、マグネトロンに取り付けられたテスト用ランチャの出力端に負荷を接続し、この負荷のインピーダンスを変化させて得られた出力電力および発振周波数と負荷インピーダンスとの関係を、出力電力一定、周波数一定の条件でスミスチャート上に表示したものである。出力電力一定の場合のグラフが実線で、周波数一定の場合のグラフが点線で示されている。図12から分かるように、マグネトロンは、負荷インピーダンスにより、出力電力および発振周波数が変化する。負荷インピーダンスにより発振周波数が変化する現象を「プリング現象」という。
図13は、マグネトロンの動作特性を示すパフォーマンスチャートである。このチャートは、マグネトロンに取り付けられたテスト用ランチャの出力端に整合負荷を接続した上で、マグネトロンを動作状態とし、アノード電流を変化させたときのアノード電圧、出力電力および発振周波数の変化を示したものである。グラフ201がアノード電圧の変化を、グラフ202が出力電力の変化を、グラフ203が発振周波数の変化をそれぞれ示している。図13のグラフ201〜203から分かるように、アノード電流に対し、アノード電圧はほぼ一定で、出力電力はほぼ比例して変化し、発振周波数は規格値内ではあるが変化する(周波数変化は15MHzであり、その変化率は0.6%である)。
また、マグネトロンは、アノード電流を変化させて出力電力が変化し、ある値以下になると、発振モードがジャンプし、異なった周波数で発振し、発振状態が不安定になる。この現象を「モーディング」という。モーディングが起こると、間歇発振になり、発振周波数も一定しないので、負荷側に接続した整合回路等が正常に動作しなくなるなどの不具合が生じる(例えば、非特許文献1参照)
国際公開第2004/068917号パンフレット 特開平2−249301号公報 電気学会マイクロ波プラズマ調査専門委員会編、「マイクロ波プラズマの技術」、オーム社、平成15年9月25日、p.240−243
このように、マグネトロンは、プリング現象により負荷インピーダンスに応じて発振周波数が変化する上に、出力電力(アノード電流)によっても発振周波数が変化する。さらに、モーディングにより、出力電力が小さい領域で発振周波数および発振状態が不安定になる。
したがって、マグネトロンを用いたマグネトロン発振装置は、発振周波数の固定および周波数の安定化が困難であり、この問題は、マグネトロン発振装置をプラズマ生成用のマイクロ波電源等に用いるために解決しなければならない課題である。
この課題を解決するものとして、マグネトロンよりも発振周波数が安定した基準信号発振器を設け、この基準信号発振器が発振する基準信号をマグネトロンに注入してマグネトロンの発振周波数を基準信号発振器の発振周波数(基準周波数)に固定し、かつ、マグネトロンの周波数安定度を基準信号発振器の安定度に等しくする技術が提案されている。基準信号の注入により発振器の発振周波数を固定することを「インジェクションロッキング」という(例えば、特許文献1参照)。
次の関係式が成り立つときに、インジェクションロッキングが可能となる。
BW=2F0 /(Qe・G1/2) ・・・(1)
G=Po/Pi ・・・(2)
ここで、
BW:インジェクションロッキング動作時と非動作時との発振周波数の差
0 :基準信号の周波数(基準周波数)
e :マグネトロンの負荷Q
o :マグネトロンの出力電力
i :マグネトロンに注入される基準信号の電力(注入電力)
しかし、マグネトロンの出力電力(アノード電流)を大きくすると、式(2)よりGの値が大きく、式(1)よりBWの値が小さくなるため、インジェクションロッキングが外れやすくなり、マグネトロンの発振周波数が不安定になるという問題があった。
本発明は、これらの課題を解決するためになされたものであり、その目的は、周波数安定度がよく、出力電力を変化させても周波数が変動しないマグネトロン発振装置を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明に係るマグネトロン発振装置は、マグネトロンのアノード電流を変化させ、出力電力を可変とするマグネトロン発振装置であって、マグネトロンの出力電力を取り出すランチャと、このランチャの出力端に一端が接続され、マグネトロンの負荷インピーダンスを調整するインピーダンス発生器と、このインピーダンス発生器の他端に接続され、マグネトロンの出力よりも低電力かつ周波数が安定した基準信号をマグネトロンに供給する基準信号供給部とを備え、マグネトロンの負荷インピーダンスは、マグネトロンの出力電力に連動して可変されることを特徴とする。
本発明では、マグネトロンの負荷インピーダンスをマグネトロンの出力電力に連動して可変するが、このマグネトロンの負荷インピーダンスはインピーダンス発生器により調整可能である。この場合、同期制御部を設け、マグネトロンのアノード電流および出力電力の少なくとも一方に基づきインピーダンス発生器を制御するようにするとよい。また、同期制御部は、マグネトロンのアノード電流および出力電力の少なくとも一方を検出する検出部と、マグネトロンの特性データを記憶するデータ記憶部と、検出部の検出結果に基づきデータ記憶部に記憶されている特性データを参照してインピーダンス発生器を制御する制御部とによって構成することができる。
また、基準信号供給部は、基準信号を発振する基準信号発振器と、基準信号発振器からの基準信号をインピーダンス発生器へ導くとともに、インピーダンス発生器からのマグネトロンの出力電力を負荷の方向へ導く非可逆部材とを備えるものであってもよい。ここで、非可逆部材は、サーキュレータ、方向性結合器、分岐および結合器の何れかで実現することができる。
また、基準信号供給部は、基準信号発振器からの基準信号を増幅する増幅器を更に備えるものであってもよい。増幅器を複数備える場合には、これらの増幅器は、直列および並列の何れの接続であってもよい。
また、上述したマグネトロン発振装置は、基準信号供給部と負荷との間に接続され、負荷からの反射電力を吸収するとともに、基準信号供給部からのマグネトロンの出力電力を負荷の方向へ導くアイソレータを更に備えていてもよい。ここで、アイソレータは、電力を吸収するダミーロードと、反射電力をダミーロードへ導くとともに、基準信号供給部からのマグネトロンの出力電力を負荷の方向へ導くサーキュレータとを備えるものであってもよい。
一方、マグネトロンは、加熱により電子を放出するカソードと、印加される電圧に応じてカソードを加熱するヒータと、カソードとの間に電界が形成されるアノードとを備えており、上述したマグネトロン発振装置は、アノードに流れる電流が大きくなるにしたがってヒータに印加する電圧を小さくするヒータ電源を更に備えていてもよい。
また、上述したマグネトロン発振装置において、基準信号の電力は、マグネトロンの出力電力に連動して可変されるようにしてもよい。
また、上述したマグネトロン発振装置は、マイクロ波により生成されたプラズマを用いて被処理体に対し所定の処理を行うプラズマ処理装置のマイクロ波電源として用いられるものであってもよい。
本発明では、基準信号をマグネトロンに注入することにより、マグネトロンの発振周波数が基準信号の周波数に固定される。基準信号の周波数はマグネトロンの発振周波数よりも安定しているので、マグネトロン発振装置の周波数安定度を向上させることができる。モーディングも起きないので、負荷側に接続される整合回路等を正常に動作させることが可能となる。
また、本発明において、マグネトロンの負荷インピーダンスは、マグネトロンの出力電力に連動して可変される。マグネトロンの負荷インピーダンスを変化させると、プリング現象に基づいてマグネトロンの発振周波数が変化する。したがって、マグネトロンの出力電力に連動してマグネトロンの負荷インピーダンスを調整することより、マグネトロンの発振周波数の変化幅を縮小させ、周波数安定度を高め、出力電力を変化させても周波数が変動しないようにすることが可能となる。
しかも、本発明では、発振管としてマグネトロンを用いているので、半導体発振装置やクライストロン発振装置と比較して、はるかに安価で製造することができる。本発明でも、周波数安定度が高い基準信号発振器を用いているが、この基準信号発振器は低出力で安価であるから、装置全体の製造コストはさほど高くはならない。
また、本発明では、カソードに流れる電流が大きくなるにしたがってヒータに印加する電圧を小さくすることにより、カソードからアノードに向かって放出された電子のうち、カソードに戻ってきた電子の衝突によって生ずるカソードの異常な加熱を抑制することができる。本発明では、アイソレータを設けることにより、負荷からの反射電力が基準信号発振器へ送られて基準信号発振器が誤動作することを防止できる。
また、本発明では、上述したマグネトロン発振装置をプラズマ処理装置に用い、安定した周波数のマイクロ波を供給することにより、周波数依存性のある要素を多く含むプラズマ処理装置の動作を安定化し、かつ、一定化することができる。また、帯域特性を考慮しなくてもよいので、プラズマ処理装置の放電電極等の設計が容易になる。
以下、図面を参照し、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るマグネトロン発振装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るマグネトロン発振装置1は、マグネトロン2と、マグネトロン電源3と、ランチャ4と、インピーダンス発生器5と、基準信号供給部6と、アイソレータ7と、同期制御部11とから構成される。
マグネトロン2は、マグネトロン発振装置1の発振管であり、マイクロ波Mを発振する。マグネトロン発振装置1がプラズマ生成用のマイクロ波電源として用いられる場合には、例えば発振周波数が2450MHz、出力電力が数kW〜10kWのマグネトロン2を用いることができる。
マグネトロン電源3は、マグネトロン2のヒータおよびカソードに電圧および電流を供給する電源である。マグネトロン電源3としては、安定度のよいスイッチングレギュレータ方式を用いた電源を使用し、電源変動による周波数変動を極力抑制することも必要である。
ランチャ4は、発振したマグネトロン2から効率よく出力電力を取り出す高周波結合器であり、一端がショートされた矩形導波管からなる。マグネトロン2はランチャ4の上に配設され、ランチャ4の内部に突出したマグネトロン2のアンテナ21からマイクロ波Mが放射される。
インピーダンス発生器5は、インピーダンスを任意の値に設定する機能を有するものであり、定在波発生器としても作用する。インピーダンスを変化させる方式は、後述するように多種類ある。また、使用される伝送線路により、導波管系、同軸系等に分類される。インピーダンス発生器5は、その一端がランチャ4の出力端に接続され、マグネトロン2の負荷インピーダンスの調整に用いられる。
基準信号供給部6は、基準信号Sをマグネトロン2に供給するものであり、少なくとも基準信号発振器61と3端子サーキュレータ62とを有する。
ここで、基準信号発振器61は、基準信号Sを発振する発振器であり、マグネトロン2よりも出力電力が低くかつ発振周波数が安定した発振器が用いられる。例えば、水晶発振器または誘電体共振器を使用したDRO等を原振とし、後述するように増幅、逓倍を行い、数W〜数10Wの出力電力を得る。基準信号発振器61の発振周波数、すなわち基準信号Sの周波数は、マグネトロン2の発振周波数を固定する所望の周波数に設定される。例えば、マグネトロン2の発振周波数を2450MHzに固定する場合には、その2450MHzの基準信号Sが用いられる。
3端子サーキュレータ62は、第1端子からの入力電力を第2端子へ、第2端子からの入力電力を第3端子へ、第3端子からの入力電力を第1端子へそれぞれ低損失で伝送し、その逆方向へは伝送しない非可逆部材である。ここでは、第1端子はインピーダンス発生器5の他端に接続され、第2端子はアイソレータ7に接続され、第3端子は基準信号発振器61に接続される。したがって、基準信号発振器61からの基準信号Sは、インピーダンス発生器5のみに送られ、マグネトロン2からのマイクロ波Mはインピーダンス発生器5からアイソレータ7のみに送られる。なお、サーキュレータ62の代わりに、方向性結合器や単なる分岐、または結合器を使用してもよい。しかし、この場合は、結合度や負荷インピーダンス等の制限が生ずる。
アイソレータ7は、負荷で反射されたマイクロ波(反射電力)Rを吸収するものであり、3端子サーキュレータ71とダミーロード72とを有する。
3端子サーキュレータ71は、上述した3端子サーキュレータ62と同様の非可逆部材であり、第1端子はサーキュレータ62の第2端子に接続され、第2端子は負荷に接続され、第3端子はダミーロード72に接続される。したがって、負荷で反射されたマイクロ波Rはダミーロード72のみに送られ、マグネトロン2からのマイクロ波Mは基準信号供給部6から負荷の方向のみに送られる。
ダミーロード72は、電力を効率よく吸収する機能をもつ。負荷からの反射が全反射の場合でも耐えられるように、マグネトロン2の最大出力値でも耐えられる吸収能力を有するものが用いられる。
同期制御部11は、マグネトロン2のアノード電流および出力電力を検出し、その検出結果に基づきインピーダンス発生器5および基準信号供給部6を制御するものである。同期制御部11としては、マイクロコンピュータ、シーケンサ等が用いられる。この同期制御部11については、後で詳しく説明する。
このような構成のマグネトロン発振装置1では、マグネトロン2のアンテナ21からランチャ4の内部に放射されたマイクロ波Mは、インピーダンス発生器5を経由して、サーキュレータ62および71を通過し負荷へ送られる。
また、負荷で反射されたマイクロ波Rは、サーキュレータ71によりダミーロード72へ送られて吸収される。したがって、負荷で反射されたマイクロ波Rがサーキュレータ62により基準信号発振器61へ送られて基準信号発振器61が誤動作することを防止できる。
一方、基準信号発振器61からの基準信号Sは、サーキュレータ62によりインピーダンス発生器5を経由してランチャ4に送られ、アンテナ21からマグネトロン2に注入される。基準信号Sがマグネトロン2に注入されると、マグネトロン2の発振周波数が基準信号Sの周波数F0 に近く、式(1)および式(2)が成り立つ場合には、マグネトロン2の発振周波数が基準信号Sの周波数F0 に引き寄せられて固定される(インジェクションロッキング)。基準信号Sは周波数安定度がよいので、その基準信号Sの周波数F0 にマグネトロン2の発振周波数を固定し、マグネトロン2の発振周波数を安定化させることができる。
また、本実施の形態では、インピーダンス発生器5を用いて、マグネトロン2の負荷インピーダンスを変化させることができる。負荷インピーダンスが変化すると、プリング現象により、インジェクションロッキング非動作時のマグネトロン2の発振周波数が変化する。したがって、インピーダンス発生器5を用いて負荷インピーダンスを調整することにより、インジェクションロッキング非動作時のマグネトロン2の発振周波数を制御することが可能となる。
この原理を用いて、本実施の形態では、インジェクションロッキング非動作時のマグネトロン2の発振周波数を基準信号Sの周波数F0 とほぼ等しくする。すなわち、式(1)のBWの値を小さくする。これにより、式(1)の関係から、Gの値を大きくすることができる。この結果、式(2)から次のような効果が導かれる。
(イ)マグネトロン2の出力電力Po が一定ならば、基準信号Sの電力、すなわち注入電力Pi を小さくすることができる。すなわち、マグネトロン2の出力電力Po よりも十分に小さい注入電力Pi 、例えば1/100以下の注入電力Pi でインジェクションロッキングを容易に行うことができる。
(ロ)注入電力Pi が一定ならば、マグネトロン2の出力電力Po を大きくすることができる。すなわち、インジェクションロッキングが外れないマグネトロン2の出力電力Po の範囲を広くすることができる。
インピーダンス発生器5を用いて発振周波数を制御することにより、発振周波数の変化幅を縮小させることができる。その結果、BWの値が小さくなり、マグネトロン2の出力電力Po を変化させるなどしても、マグネトロン2の発振周波数を基準信号Sの周波数F0 に固定し、発振周波数が安定した出力電力Po の範囲を広くすることができる。
図2は、インピーダンス発生器5により、マグネトロン2の負荷VSWR(電圧定在波比)を一定にして、負荷位相を変化させたときのマグネトロン2の発振状態を表すグラフであり、マグネトロン2の出力電力Po を一定にしたときの発振周波数範囲の変化を示している。
このグラフからも分かるように、マグネトロン2の出力電力Po を変えても、インピーダンス発生器5を用いて負荷インピーダンスを調整することにより、マグネトロン2の発振周波数を基準信号Sの周波数F0 に合わせることができ、その結果、インジェクションロッキングが可能な出力電力Po の範囲を広くすることができる。
次に、本実施の形態に係るマグネトロン発振装置1の各部の構成について、さらに説明する。
[マグネトロン2およびマグネトロン電源3]
図3は、マグネトロン2およびマグネトロン電源3の構成を示すブロック図である。
マグネトロン2は、カソードとヒータとが一体となったヒータ/カソードH/Kと、アノードAとを有している。図示しないが、アノードAは複数に分割され、これらが振動回路(共振回路)により接続されている。また、アノードAと同心的にヒータ/カソードH/Kが設けられている。
ヒータ/カソードH/Kの両端には、マグネトロン電源3のヒータ電源31が接続されている。ヒータ電源31でヒータ/カソードH/Kにヒータ電圧を印加することにより、ヒータ/カソードH/Kが加熱され、ヒータ/カソードH/Kから電子が放出される。
ヒータ/カソードH/Kの一端にはさらに、マグネトロン電源3のアノード電源32が接続されている。アースに接続されたアノードAに対し、負の電圧をアノード電源32からヒータ/カソードH/Kに印加することにより、ヒータ/カソードH/KとアノードAとの間に電界が形成され、ヒータ/カソードH/KからアノードAに向けて電子が放出される。
この状態で、ヒータ/カソードH/Kと平行(電界と直角方向)に磁界を印加すると、マイクロ波Mが発振する。
このようにしてマグネトロン2を動作させると、ヒータ/カソードH/KからアノードAに向けて放出された電子のうち、ヒータ/カソードH/Kに戻ってきた電子が衝突することにより、ヒータ/カソードH/Kが異常に加熱される現象が起きる。この現象を「バックヒーティング」という。発振を強くするほど、すなわち出力電力Po を大きくするほど、バックヒーティングが激しく起こり、ヒータ/カソードH/Kの温度が必要以上に高くなる。
マグネトロン2の出力電力Po に応じてアノード電流が大きくなるので、本実施の形態では、ヒータ電源31を用いてアノード電流に逆比例してヒータ電圧を下げ、ヒータ/カソードH/Kへの加熱を抑制する。
図4は、アノード電流とヒータ電圧との関係を示すグラフである。「Max」はアノード電流に対するヒータ電圧の上限、「Min」は下限をそれぞれ表している。このグラフにしたがい、ヒータ電源31を用いてヒータ電圧を制御することにより、バックヒーティングを防止することができる。
[インピーダンス発生器5]
導波管系のインピーダンス発生器5の構成例について説明する。
図5(a)は、リアクタンススタブ方式のインピーダンス発生器の一構成例を示す断面図である。このインピーダンス発生器5aは、矩形導波管50の管壁から管内へ3本のスタブ51a,51b,51cが突出する構造を有する。これらのスタブ51a〜51cは、矩形導波管50の軸線Z方向にλg/8,λg/4等の間隔で配設される。「λg 」は矩形導波管50の管内波長である。スタブ51a〜51cは断面が円形の金属棒からなり、矩形導波管50の管内に突出する長さによりスタブ51a〜51cのリアクタンスが変化し、それに応じて矩形導波管50内のインピーダンスが変化する。なお、スタブの数は、1本以上であればよいが、3本の場合が主である。また、スタブは通常、矩形導波管50のH面に配設されるが、E面に配設されるEスタブ方式であってもよい。
図5(b)は、導波管分岐形のインピーダンス発生器の一構成例を示す断面図である。このインピーダンス発生器5bは、矩形導波管50の管壁に対して垂直に3本の分岐導波管52a,52b,52cが接続された構造を有する。これらの分岐導波管52a〜52cは、矩形導波管50の軸線Z方向にλg/8,λg/4等の間隔で配設される。分岐導波管52a〜52cのそれぞれは、一端が矩形導波管50内に開口し、他端がショート板53a〜53cにより電気機能的にショートされている。分岐導波管52a〜52cのそれぞれの一端から他端までの長さを変化させることにより、直列リアクタンスが変化し、矩形導波管50内のインピーダンスが変化する。
この他に、移相器とスタブチューナとを組み合わせたもの、3dB結合器と可変短絡器との組み合わせによるインピーダンス発生器、導波管4分岐形チューナ(例えば、特許文献2参照)、スラグチューナ等をインピーダンス発生器5として用いることができる。
また、同軸系のインピーダンス発生器5は、上述した導波管系の矩形導波管を同軸管に置き換えたものである。
[基準信号供給部6]
基準信号供給部6における基準信号の増幅方法について説明する。基準信号の増幅方法には、増幅器を用いる方法と、インジェクションロッキングを用いる方法とがある。
図6(a)および図6(b)は、増幅器を用いて基準信号を増幅する方法を説明するための図である。
複数の増幅器を用いる場合には、図6(a)に示す基準信号供給部6aのように、複数の増幅器63a,63b,63cを直列に接続して、基準信号発振器61の出力電力を増幅器63a〜63cで順次増幅することにより、所望の電力の基準信号Sを得ることができる。
また、図6(b)に示す基準信号供給部6bのように、分配器65と合成器66との間に複数の増幅器64a,64b,64cを並列に接続して、基準信号発振器61の出力を分配器65により増幅器64a〜64cに電力分配し、増幅器64a〜64cの出力を合成器66により電力合成することによっても、所望の電力の基準信号Sを得ることができる。この場合、増幅器64a,64b,64cは各々複数個直列に接続してもよい。
図7は、インジェクションロッキングを用いて基準信号を増幅する方法を説明するための図である。この図に示す基準信号供給部6cは、基準信号発振器61および3端子サーキュレータ62の他に、マグネトロン発振装置1のマグネトロン2、マグネトロン電源3、ランチャ4、インピーダンス発生器5、3端子サーキュレータ62にそれぞれ対応するマグネトロン102、マグネトロン電源103、ランチャ104、インピーダンス発生器105、3端子サーキュレータ162を有している。
マグネトロン102には、基準信号発振器61よりも高出力で、マグネトロン2よりも低出力のものが用いられる。基準信号発振器61からの基準信号S1をマグネトロン102に注入し、マグネトロン102の発振周波数を基準信号S1の周波数に固定する。これにより、基準信号S1と同様に周波数安定度がよく、しかも基準信号S1よりも電力が高いマイクロ波S2をマグネトロン102より得ることができる。このマイクロ波S2を基準信号としてマグネトロン2に注入する。なお、インピーダンス発生器105は用いなくてもよい。
また、図8に示す基準信号供給部6dのように、図7におけるマグネトロン102とマグネトロン電源103とランチャ104とインピーダンス発生器105と3端子サーキュレータ162とからなる構成体を複数設け、これらを分配器67と合成器68との間に並列接続して、並列にインジェクションロッキングを行うようにしてもよい。
なお、図8において、102a,102bはマグネトロン、103a,103bはマグネトロン電源、104a,104bはランチャ、105a,105bはインピーダンス発生器、162a,162bは3端子サーキュレータ、S1a,S1bは分配器67によりマグネトロン102a,102bのそれぞれに分配される基準信号、S2a,S2bはマグネトロン102a,102bのそれぞれから出力されるマイクロ波、S3はマイクロ波S2a,S2bが合成器68により合成されたマイクロ波である。なお、インピーダンス発生器105a,105bは用いなくてもよい。
以上のようにして基準信号を増幅することにより、基準信号発振器61として低出力の発振器を用いることができる。周波数安定度がよい発振器であっても低出力のものは安価で入手できるので、周波数安定度がよい高出力のマグネトロン発振装置1の製造コストを抑制することができる。
[同期制御部11]
図9は、同期制御部11の構成を示すブロック図である。同期制御部11は、検出部111と、データ記憶部112と、制御部113とを有している。検出部111は、マグネトロン電源3からマグネトロン2に供給されるアノード電流と、マグネトロン電源3の出力電力を検出する回路部である。検出部111がアノード電流および出力電力を同時に検出するようにしてもよいし、それぞれ異なるタイミングで検出するようにしてもよい。なお、図1には、マグネトロン2の出力電力をランチャ4において検出する例が示されているが、基準信号供給部6またはアイソレータ7の負荷側に方向性結合器、プローブ等を配置し、マグネトロン2の出力電力を検出することもできる。
データ記憶部112は、マグネトロン2の負荷特性や動作特性などの諸特性から得られる特性データを記憶する回路部である。データ記憶部112に記憶される特性データとしては、図13のパフォーマンスチャートによって表されるアノード電流と出力電力との関係、アノード電流と発振周波数との関係、図12のリーケダイアグラムによって表される負荷インピーダンスと出力電力との関係、負荷インピーダンスと発振周波数との関係を示すデータなど挙げられる。データ記憶部112は更に、インジェクションロッキングの条件式(1),(2)も記憶している。
制御部113は、検出部111の検出結果に基づき、データ記憶部112の記憶内容を参照して、インピーダンス発生器5および基準信号供給部6を制御する回路部である。
通常、マグネトロン2のアノード電流を大きくして出力電力Po を大きくすると、式(2)よって表されるGの値が大きくなり、式(1)によって表されるBWの値が小さくなるため、インジェクションロッキングが外れやすくなる。
このような場合に、同期制御部11は、マグネトロン2のアノード電流および出力電力の検出値に対し、マグネトロン2の発振周波数を基準信号Sの周波数に固定可能にする負荷インピーダンスおよび注入電力Pi の値を算出し、負荷インピーダンスおよび注入電力Pi がその値となるようにインピーダンス発生器5および基準信号発振器61のそれぞれに制御信号を出力する。負荷インピーダンスおよび注入電力Pi の算出を行わず、予め用意されているマグネトロン2のアノード電流および出力電力と制御信号との対応表にしたがって制御信号を出力するようにしてもよい。
インピーダンス発生器5および基準信号発振器61が制御信号にしたがって動作することにより、マグネトロン2の出力電力Po に連動して、マグネトロン2の負荷インピーダンスおよび基準信号発振器61の出力電力が自動的に調整される。すなわち、図12に示したリーケダイアグラムの周波数一定の線(点線)に沿う形で、マグネトロン2の負荷インピーダンスおよび基準信号発振器61の出力電力が自動的に調整される。その結果、インジェクションロッキング非動作時のマグネトロン2の発振周波数が基準信号Sの周波数に近づき、また注入電力Pi が大きくなってGの値が小さくなるので、インジェクションロッキングが維持される。このため、マグネトロン2の出力電力Po を大きくしてもインジェクションロッキングが外れなくなり、発振周波数が安定した出力電力Po の範囲を広くすることができる。
ここでは同期制御部11がインピーダンス発生器5および基準信号供給部6の両方を同時に制御する例を説明したが、インピーダンス発生器5のみを制御するようにしてもよい。
また、同期制御部11がマグネトロン2のアノード電流および出力電力を検出し、これらの検出結果に基づき制御を行なう例を説明したが、同期制御部11がマグネトロン2のアノード電流および出力電力のいずれか一方のみを検出し、その検出結果に基づき制御を行なうようにしてもよい。この場合には、同期制御部11の検出部111は、マグネトロン2のアノード電流および出力電力のいずれかを検出する機能さえ備えていればよい。また、制御信号を出力する際に用いられる上記対応表は、アノード電流と制御信号、または、出力電力と制御信号、のいずれかの対応表でよい。
[マグネトロン発振装置の変形例]
図10は、図1に示したマグネトロン発振装置の変形例を示すブロック図である。この図では、図1における構成部材と同一または相当する部材に同一符号が付してある。なお、この図には、同期制御部11の図示が省略されている。
図10に示すマグネトロン発振装置1aは、アイソレータ7の位置が図1に示したマグネトロン発振装置1と異なる。すなわち、図10に示すマグネトロン発振装置1aでは、3端子サーキュレータ71とダミーロード72とからなるアイソレータ7が基準信号供給部6e内に設けられている。
具体的には、3端子サーキュレータ62の第1端子はインピーダンス発生器5の他端に接続され、第2端子は負荷に接続され、第3端子は3端子サーキュレータ71の第1端子に接続される。また、3端子サーキュレータ71の第2端子はダミーロード72に接続され、第3端子は基準信号発振器61に接続される。
したがって、基準信号発振器61からの基準信号Sは、3端子サーキュレータ71および62を経由してインピーダンス発生器5に送られる。また、マグネトロン2からのマイクロ波Mは、インピーダンス発生器5から3端子サーキュレータ62を経由して、負荷に送られる。さらに、負荷で反射されたマイクロ波Rは、3端子サーキュレータ62および71を経由して、ダミーロード72に送られる。
マグネトロン2で発振したマイクロ波Mの伝播経路に着目すると、図1に示したマグネトロン発振装置1ではマイクロ波Mが負荷に至るまでに2つのサーキュレータ62,71を通過するのに対し、図10に示したマグネトロン発振装置1aでは1つのサーキュレータ62しか通過しない。サーキュレータの挿入損失は一般に0.5dB程度である。したがって、マグネトロン発振装置1aのような構成とすることにより、マグネトロン2の出力電力を効率よく負荷に供給することが可能となる。
次に、本実施の形態に係るマグネトロン発振装置1,1aの適用例について説明する。
[プラズマ処理装置]
マグネトロン発振装置1,1aは、プラズマ処理装置のマイクロ波電源として用いることができる。図11は、マグネトロン発振装置1,1aが用いられたプラズマ処理装置の一構成例を示す図である。
この図に示すプラズマ処理装置は、上部が開口した有底円筒形の処理容器81を有している。処理容器81の底面中央部には、絶縁板82を介して載置台83が固定されている。載置台83の上面に、処理対象の基板84が配置される。
処理容器81の底面周縁部には、真空排気用の排気口85が設けられている。処理容器81の側壁には、処理容器81内にガスを導入するガス導入用ノズル86が設けられている。例えばプラズマ処理装置がエッチング装置として用いられる場合には、ノズル86からAr等のプラズマガスと、CF4等のエッチングガスとが導入される。
処理容器81の上部開口は、誘電体板87で閉塞されている。なお、処理容器81の側壁上面と誘電体板87との間にOリングなどのシール部材88を介在させ、処理容器81内の気密性を確保している。
誘電体板87の上には、処理容器81内にマイクロ波Mを供給するマイクロ波供給装置90のアンテナであるラジアルラインスロットアンテナ(RLSA)99が配設されている。RLSA99および誘電体板87の外周は、処理容器81の側壁上に環状に配置されたシールド材89によって覆われ、RLSA99から処理容器81内に供給されるマイクロ波が外部に漏れない構造になっている。
マイクロ波供給装置90は、マイクロ波電源としてのマグネトロン発振装置1,1aと、伝送モードがTE10の矩形導波管91と、伝送モードをTE10からTE11またはTM01に変換する矩形円筒変換器92と、伝送モードがTE11またはTM01の円筒導波管93と、円筒導波管93に設けられた負荷整合器94と、円筒導波管93に接続されるラジアル導波路95と、ラジアル導波路95の下面に形成されるRLSA99とを有している。
ここで、ラジアル導波路95は、互いに平行な2枚の円形導体板96,97と、これら2枚の導体板96,97の外周部を接続してシールドする導体リング98とを有する。ラジアル導波路95の上面となる導体板96の中心部には、円筒導波管93が接続される。また、ラジアル導波路95の下面となる導体板97には、複数のスロットが形成され、これらのスロットからRLSA99が構成される。
このような構成のプラズマ処理装置において、マグネトロン発振装置1,1aがマイクロ波Mを発振すると、このマイクロ波Mは矩形導波管91、矩形円筒変換器92および円筒導波管93を介して、ラジアル導波路95に導入される。そして、ラジアル導波路95に導入されたマイクロ波Mは、ラジアル導波路95の中心部から周縁部へ向かって放射状に伝搬しつつ、ラジアル導波路95下面のRLSA99から徐々に処理容器81内に供給される。処理容器81内では、供給されたマイクロ波Mにより、ノズル86から導入されたプラズマガスが電離してプラズマPが生成され、基板84に対する処理が行われる。
マグネトロン発振装置1,1aは、マグネトロン2を発振管とするため、半導体発振装置やクライストロン発振装置と比較して、はるかに安価で製造することができる。このため、このマグネトロン発振装置1,1aをプラズマ処理装置のマイクロ波電源として用いることにより、プラズマ処理装置の製造コストを抑制することができる。
しかも、マグネトロン発振装置1,1aは、半導体発振装置やクライストロン発振装置と同じく周波数安定度がよく、モーディングも起きない。このため、周波数依存性のある要素を多く含むプラズマ処理装置の動作を安定化し、かつ、一定化することができる。また、帯域特性を考慮しなくてもよいので、プラズマ処理装置の放電電極(本実施の形態においては、ラジアル導波路95およびRLSA99)等の設計が容易になる。
なお、マグネトロン発振装置1,1aは、他方式のプラズマ処理装置にも用いることができる。例えば、電子サイクロトロン共鳴(electron-cyclotron-resonance:ECR)プラズマ処理装置にも用いることができる。
[通信等]
今まで、本実施の形態で用いられるマグネトロン2と同じ連続発振のマグネトロンを用いたマグネトロン発振装置は、マグネトロンの特性により通信等には不向きとされてきた。しかし、本実施の形態により周波数安定度を向上できたことから、マグネトロン発振装置を通信、医用加速器等にも利用できる可能性が生じた。
これら通信、医用加速器等では現在、発振管としてクライストロンが用いられている。このクライストロンは非常に高価である。このため、通信、医用加速器等にマグネトロンが利用できると、その波及効果は非常に大きい。
本発明の一実施例に係るマグネトロン発振装置の構成を示すブロック図である。 インピーダンス発生器によりマグネトロンの負荷VSWRを一定にして、負荷位相を変化させたときのマグネトロンの発振状態を表すグラフである。 マグネトロンおよびマグネトロン電源の構成を示すブロック図である。 アノード電流とヒータ電圧との関係を示すグラフである。 導波管系のインピーダンス発生器の一構成例を示す断面図である。 増幅器を用いて基準信号を増幅する方法を説明するための図である。 インジェクションロッキングを用いて基準信号を増幅する方法を説明するための図である。 インジェクションロッキングを並列に行い基準信号を増幅する方法を説明するための図である。 同期制御部の構成を示すブロック図である。 図1に示したマグネトロン発振装置の変形例を示すブロック図である。 本発明の一実施例に係るマグネトロン発振装置が用いられたプラズマ処理装置の一構成例を示す図である。 マグネトロンの負荷特性を示すリーケダイアグラムである。 マグネトロンの動作特性を示すパフォーマンスチャートである。
符号の説明
1…マグネトロン発振装置、2,102…マグネトロン、3,103…マグネトロン電源、4,104…ランチャ、5,5a,5b,105…インピーダンス発生器、6,6a〜6c…基準信号供給部、7…アイソレータ、21,121…アンテナ、31…ヒータ電源、32…アノード電源、50…矩形導波管、51a〜51c…スタブ、52a〜52c…分岐導波管、53a〜53c…ショート板、61…基準信号発振器、62,71,162…3端子サーキュレータ、63a〜63c,64a〜64c…増幅器、65,67…分配器、66,68…合成器、72…ダミーロード、81…処理容器、82…絶縁
板、83…載置台、84…基板、85…排気口、86…ガス導入用ノズル、87…誘電体板、88…シール部材、89…シールド材、90…マイクロ波供給装置、91…矩形導波管、92…矩形円筒変換器、93…円筒導波管、94…負荷整合器、95…ラジアル導波路、96,97…円形導体板、98…リング部材、99…ラジアルラインスロットアンテナ(RLSA)、A…アノード、H/K…ヒータ/カソード、M…マイクロ波、S,S1,S2,S3…基準信号、R…マイクロ波(反射電力)、11…同期制御部、111…検出部、112…データ記憶部、113…制御部。

Claims (4)

  1. マグネトロンのアノード電流を変化させ、出力電力を可変とするマグネトロン発振装置であって、
    前記マグネトロンの出力電力を取り出すランチャと、
    このランチャの出力端に一端が接続され、前記マグネトロンの負荷インピーダンスを調整するインピーダンス発生器と、
    このインピーダンス発生器の他端に接続され、前記マグネトロンの出力よりも低電力かつ周波数が安定した基準信号を前記マグネトロンに供給する基準信号供給部とを備え、
    前記マグネトロンの負荷インピーダンスは、前記マグネトロンの出力電力に連動して可変されることを特徴とするマグネトロン発振装置。
  2. 請求項1に記載のマグネトロン発振装置において、
    前記基準信号供給部は、
    前記基準信号を発振する基準信号発振器と、
    前記基準信号発振器からの前記基準信号を前記インピーダンス発生器へ導くとともに、前記インピーダンス発生器からの前記マグネトロンの出力電力を負荷の方向へ導く非可逆部材と
    を備えることを特徴とするマグネトロン発振装置。
  3. 請求項2に記載のマグネトロン発振装置において、
    前記基準信号供給部と前記負荷との間に接続され、前記負荷からの反射電力を吸収するとともに、前記基準信号供給部からの前記マグネトロンの出力電力を前記負荷の方向へ導くアイソレータを更に備えることを特徴とするマグネトロン発振装置。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のマグネトロン発振装置において、
    前記マグネトロンは、加熱により電子を放出するカソードと、印加される電圧に応じて前記カソードを加熱するヒータと、前記カソードとの間に電界が形成されるアノードとを備え、
    さらに、前記アノードに流れる前記アノード電流が大きくなるにしたがって前記ヒータに印加する前記電圧を小さくするヒータ電源を備えることを特徴とするマグネトロン発振装置。
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