JP2007078538A - モータ、回転制御装置、及び回転検出回路 - Google Patents
モータ、回転制御装置、及び回転検出回路 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 被検出部材が取り付けられる検出対象の回転速度または回転角を高精度で検出する。
【解決手段】 モータの出力軸26に取り付けられた円板状のコードホイール36の周方向に90°間隔で配置された2つの回転センサ40は、それぞれコードホイール36の回転速度に応じた信号を出力する。コードホイール36は、出力軸26に対し偏心すると1回転で1周期の誤差成分(1周期成分)が生じ、楕円状に変形すると1回転で2周期の誤差成分(2周期成分)が生じる。制御手段は、コードホイール36の1回転分の各回転センサ40の出力信号の差を2で除した演算信号のうち1周期成分を、回転センサ40からの出力信号のうち1周期成分の振幅及び位相に一致させて誤差補正量を算出し、コードホイール36の回転時に回転センサ40から得られる出力信号から誤差補正量を減算することで回転検出信号を算出する。
【選択図】 図2
【解決手段】 モータの出力軸26に取り付けられた円板状のコードホイール36の周方向に90°間隔で配置された2つの回転センサ40は、それぞれコードホイール36の回転速度に応じた信号を出力する。コードホイール36は、出力軸26に対し偏心すると1回転で1周期の誤差成分(1周期成分)が生じ、楕円状に変形すると1回転で2周期の誤差成分(2周期成分)が生じる。制御手段は、コードホイール36の1回転分の各回転センサ40の出力信号の差を2で除した演算信号のうち1周期成分を、回転センサ40からの出力信号のうち1周期成分の振幅及び位相に一致させて誤差補正量を算出し、コードホイール36の回転時に回転センサ40から得られる出力信号から誤差補正量を減算することで回転検出信号を算出する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、回転軸または回転軸に連結される被回転体の回転速度または回転角を制御可能なモータに関する。また、本発明は、回転体の回転速度または回転角を制御するための回転制御装置に関する。さらに、本発明は、回転体の回転速度または回転角を検出するための回転検出回路に関する。
例えば、カラー複写機やカラープリンタ等の画像処理装置(画像形成装置)は、4色(黒、黄、青、赤)の感光ドラムをそれぞれ備えており、これらの各感光ドラムは、モータによって低速(40rpm乃至100rpm)で回転される。感光ドラムを回転駆動するモータには、上記の如き低回転速度において、画像悪化の原因となる回転むらを生じないことが望まれている。
このため、モータの回転軸、または該回転軸に連結される感光ドラムの連結軸の回転速度を検出するエンコーダを設け、該エンコーダの出力信号に基づいて感光ドラム(直接的にはモータ回転軸または連結軸)の回転速度を制御することが行なわれている。エンコーダとしては、例えば、周方向に等間隔で配置された多数のスリットから成る光学パターンが形成されたエンコーダプレートを上記回転軸等に同軸的に取り付けると共に、該光学パターンを挟んで発光素子と受光素子(以下、まとめて回転検出器という)とを配置し、回転検出器がエンコーダプレートの回転に伴う受光の有無に応じたパルス信号(ON/OFF信号)を出力する光学式のエンコーダが採用されている。
そして、エンコーダによる回転検出精度を向上するために、1つのエンコーダプレートに対し2つの回転検出器を備えた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、図9(A)及び図9(B)に示される如く、エンコーダ200は、回転軸202に同軸的に取り付けられ該回転軸202と一体に回転するエンコーダプレート204と、エンコーダプレート204の外周近傍に周方向に等間隔で多数形成されたスリット(光学パターン)204Aと、回転軸202の軸心に対し対称となる2箇所に配置された回転検出器206、208とを備えて構成されている。
また、エンコーダ200に電気的に接続された制御装置は、回転検出器206、208の出力信号がそれぞれ入力されるようになっており、これらの出力信号を平均化することで、エンコーダプレート204の回転軸202に対する取付誤差(偏心)等の影響を除去するようになっている。すなわち、上記取付誤差に基づく回転検出誤差は、回転軸202の1回転に1回の周期を有する正弦波状に生じるため、180°対極した位置に配置された2つの回転検出器206、208の出力信号を平均化することで除去される。これにより、該エンコーダ200及び制御装置を備えた構成(回転検出方法)では、上記取付誤差に起因する誤差成分を除去した真の回転速度(角速度)が得られるとされている。
ところで、例えばエンコーダプレート204を安価なPET(ポリエチレンテレフラレート)にて構成すると、このエンコーダプレート204は、縦方向と横方向との膨張率の相違によって歪みが生じ略楕円状に変形する。このPET製エンコーダプレート204の変形は、70℃程度の高温環境下で顕著となる。このようなエンコーダプレート204の変形に基づく回転検出誤差は、回転軸202の1回転に2回の周期を有する正弦波状に生じるため、上記の如き従来の技術では除去することが不可能であった。このため、高温環境下で使用されるエンコーダ200には、従来、高価なガラス製のエンコーダプレート204を用いる等の対策が必要であった。
この事実を考慮して、本発明者らは被検出部材の1回転で1周期の誤差成分と1回転で2周期の誤差成分とを共に除去して、被検出部材が取り付けられる検出対象の回転速度または回転角を高精度で検出することができるモータ、回転制御装置、及び回転検出回路を提案している(特許文献2参照)。
この特許文献2に記載の例では、モータの出力軸に取り付けられた円板状のコードホイールの周方向に90°間隔で3つの回転センサが配置されている。そして、制御手段は、第1回転センサと第2回転センサの出力信号とを平均化して2周期成分を除去した第1補正信号と、第1回転センサと第3回転センサの出力信号との差分により2周期成分を除去した第2補正信号とを、残留する1周期成分の位相及び振幅を合わせて減算または加算することで誤差成分を除去し回転検出信号を算出している。
特開平7−140844号公報
特開2005−168280号公報
しかしながら、特許文献2に記載の例では、上述の如く、回転検出信号を算出するためには、3つの回転センサが必要であった。
本発明は、上記事実を考慮して、従来よりも少ない回転センサで被検出部材が取り付けられる検出対象の回転速度または回転角を高精度で検出することができるモータ、回転制御装置、及び回転検出回路を得ることが目的である。
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係るモータは、被回転体に連結される回転軸と、円板状に形成され、前記回転軸または被回転体に同軸的に取り付けられる被検出部材と、前記被検出部材の周方向に90°間隔で配置され、それぞれ該被検出部材の回転速度または回転角に応じた出力信号を出力する第一回転検出器及び第二回転検出器と、前記第一回転検出器及び前記第二回転検出器の出力信号をそれぞれ入力可能に設けられ、前記第一回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号と、前記第二回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号との差を2で除した演算信号のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分を、前記第一回転検出器からの出力信号のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅及び位相に一致させて誤差補正量を算出し、前記被検出部材の回転時に前記第一回転検出器から得られる出力信号から前記誤差補正量を減算することで回転検出信号を算出し、該回転検出信号を用いて前記回転軸の回転速度または回転角を制御する制御手段と、を備えている。
請求項1記載モータでは、回転軸が回転することで該回転軸に連結された被回転体を回転駆動する。このとき、回転軸または被回転体に同軸的に取り付けられた円板状の被検出部材が該回転軸及び被回転体と一体に回転し、2つの回転検出器、すなわち、第一回転検出器及び前記第二回転検出器がそれぞれ被検出部材の回転速度または回転角に応じた信号を制御手段に出力する。
各回転検出器の出力信号が入力された制御手段は、第一回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号と、第二回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号との差を2で除した演算信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分を、第一回転検出器からの出力信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅及び位相に一致させて誤差補正量を算出し、被検出部材の回転時に第一回転検出器から得られる出力信号から誤差補正量を減算することで回転検出信号を算出し、該回転検出信号を用いて(回転検出信号に基づいて)回転軸すなわち被回転体の回転速度または回転角を制御する。
ここで、被検出部材に偏芯があると各回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号に被検出部材の1回転で1周期の誤差成分が生じ、被検出部材が楕円化すると各回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号に被検出部材の1回転で2周期の誤差成分が生じる。このとき、第一回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号と、第二回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号との差を2で除した演算信号の演算を行うと、この演算信号には、被検出部材の1回転で1周期の誤差成分と被検出部材の1回転で2周期の誤差成分が含まれる。
ところが、この演算信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分は、第一回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅及び位相をずらしたものに相当する。また、この演算信号のうち被検出部材の1回転で2周期の誤差成分は、第一回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号のうち被検出部材の1回転で2周期の誤差成分に相当する。
従って、演算信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分を、第一回転検出器からの出力信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅及び位相に一致させる演算を行えば、この演算によって求められた誤差補正量は、第一回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号に生じた誤差成分と一致する。これにより、被検出部材の回転時に第一回転検出器から得られる出力信号から誤差補正量を減算すれば、この演算結果は、誤差成分が除去された回転軸の回転むら波形そのものとなる。すなわち、この演算結果を回転検出信号として用いれば、この回転検出信号には、制御目標に対する誤差としては、上記検出すべき回転軸の真の回転誤差のみが含まれ得ることとなり、回転軸または被回転体の現実の回転速度または回転角を精度良く検出することができる。
このように、請求項1記載のモータでは、被検出部材の1回転で1周期の誤差成分と1回転で2周期の誤差成分とを共に除去して、被検出部材が取り付けられる検出対象である回転軸または被回転体の回転速度または回転角を高精度で検出することができる。そして、例えば、制御手段が回転検出信号を0とするように回転軸の回転を制御することで、該回転軸すなわち被回転体の回転むらの発生が防止されるかまたは著しく抑制される。また、回転検出信号を算出するためには、2つの回転検出器を用いるだけで良く、従来よりも少ない回転検出器で被検出部材が取り付けられる検出対象の回転速度または回転角を高精度で検出することができるので、システム全体のコストも低く抑えることができる。
このとき、請求項2記載のように、より具体的には、以下のようにして回転検出信号が算出される。すなわち、前記第一回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号をE1old(θ)、前記第一回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号をE2old(θ)、前記演算信号をe(θ)、前記演算信号e(θ)のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅を√2倍すると共に位相を−π/4シフトさせた誤差補正量をh(θ)、前記被検出部材の回転時に前記第一回転検出器から得られる出力信号をE1new(θ)、前記回転検出信号をE(θ)としたときに、
ただし、
前記制御手段は、上記式(1)〜(5)に基づいて前記回転検出信号E(θ)を算出する。これにより、1周期成分及び2周期成分が共に除去された回転検出信号E(θ)が得られる。
ただし、
前記制御手段は、上記式(1)〜(5)に基づいて前記回転検出信号E(θ)を算出する。これにより、1周期成分及び2周期成分が共に除去された回転検出信号E(θ)が得られる。
請求項3記載の発明に係るモータは、請求項1または請求項2記載のモータにおいて、前記各回転検出器は、それぞれ照射部が照射した光の受光部による受光有無に応じた信号を出力する光学式回転センサであり、前記被検出部材は、前記光学式回転センサが照射した光を前記受光部に導く導光部と、前記光学式回転センサが照射した光を前記受光部に導かない非導光部とを周方向に沿って全周に亘り交互にかつ等間隔に設けて構成された光学パターンを有する、樹脂製のコードホイールである、ことを特徴としている。
請求項3記載のモータでは、被検出部材が円板状に形成された樹脂製のコードホイールとされており、コードホイールには、所定数の導光部と非導光部とが周方向に沿って交互にかつ等間隔に設けられて構成されている。回転検出器である各光学式回転センサは、照射部がコードホイールの光学パターンに光を照射し、受光部による受光有無に応じた信号、すなわちパルス信号を出力する。制御手段は、各光学式回転センサからのパルス信号のパルス数やパルス周期等を入力信号として上記演算に用いる。例えば、光学式回転センサが透過型センサである場合、導光部は透明または半透明の光透過部(スリットなど)とされると共、非導光部は不透明の光不透過部とされる。また例えば、光学式回転センサが反射型センサである場合、導光部は光を反射する反射部とされると共に、非導光部は光を吸収または拡散する部分とされる。
請求項4記載の発明に係るモータは、請求項3記載のモータにおいて、前記コードホイールの光学パターンは、それぞれ一周あたり1000個以上の前記導光部と前記非導光部とを交互に配置して構成されている、ことを特徴としている。
請求項4記載のモータでは、それぞれコードホイール一周あたり1000個以上の導光部と非導光部とが交互に配置されて上記光学パターンが構成されている。すなわち、各回転検出器は、回転軸の1回転当たり1000以上のパルスを発生し、感度(分解能)が高い。このため、各回転検出器は、例えばコードホイールの回動軸に対する偏心や、コードホイール自体のひずみの影響を受けて1周期成分、2周期成分の誤差を生じやすいが、上記制御手段の演算によって1周期成分、2周期成分が除去されるので、精度の高い回転検出、及びこれに基づく回転制御を行うことができる。
なお、光学パターンは、コードホイール一周あたり1200個以上の導光部と非導光部とを交互に配置して構成することが好ましく、コードホイール一周あたり1500個以上導光部と非導光部とを交互に配置して構成することが一層好ましい。すなわち、各回転検出器の感度が高いほど、本発明が好適に適用される。
請求項5記載の発明に係るモータは、請求項3または請求項4記載のモータにおいて、前記コードホイールの光学パターンは、前記コードホイールにおける光学パターン形成部位の周長25.4mmあたり、それぞれ150個以上の前記導光部と前記非導光部とを交互に配置して構成されている、ことを特徴としている。
請求項5記載のモータでは、コードホイールにおける単位周長25.4mm(1インチ)あたりに、それぞれ150個以上の導光部と非導光部とが交互に配置されて上記光学パターンが構成されている。すなわち、光学パターンは、150個/インチ以上の導光部を有して構成されており、各回転検出器は、上記単位周長に対応する回転軸の回転角ごとに150以上のパルスを発生する。なお、光学パターンは、180個/インチ以上の導光部を有して構成されることが好ましく、300個/インチ以上の導光部を有して構成されることが一層好ましい。
請求項6記載の発明に係るモータは、請求項3乃至請求項5の何れか1項記載のモータにおいて、前記コードホイールを構成する樹脂材は、ポリエチレンテレフタレートである、ことを特徴としている。
請求項6記載のモータでは、ポリエチレンテレフタレート(PET)にて構成されたコードホイールは、縦方向と横方向との膨張率の相違によって高温環境下で楕円状に歪みが生じ易く、この楕円状の歪みは2周期成分の誤差を各回転検出器に生じさせる原因となるが、上記制御手段の演算によって1周期成分と共に2周期成分が除去されるので、精度の高い回転検出、及びこれに基づく回転制御を行うことができる。これにより安価なPETによってコードホイールを構成することができる。特に、PETは透明にすることができるため、透過型の光学式回転センサを用いる構成においては、例えば、コードホイールに、非導光部である光不透過部を周方向に等間隔に全周に亘り印刷等により設けることで、これら光不透過部の間が光透過部として形成されるので、容易に光学パターンを得ることができる。
上記目的を達成するために請求項7記載の発明に係る回転制御装置は、円板状に形成され、回転体に同軸的に取り付けられる被検出部材と、前記被検出部材の周方向に90°間隔で配置され、それぞれ該被検出部材の回転速度または回転角に応じた出力信号を出力する第一回転検出器及び第二回転検出器と、前記第一回転検出器及び前記第二回転検出器の出力信号をそれぞれ入力可能に設けられ、前記第一回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号と、前記第二回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号との差を2で除した演算信号のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分を、前記第一回転検出器からの出力信号のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅及び位相に一致させて誤差補正量を算出し、前記被検出部材の回転時に前記第一回転検出器から得られる出力信号から前記誤差補正量を減算することで回転検出信号を算出する回転補正部と、前記回転体の駆動装置に電気的に接続され、前記回転検出信号を用いて前記回転体の回転速度または回転角を制御するための制御信号を出力する制御部と、を備えている。
請求項7記載の回転制御装置では、円板状の被検出部材が同軸的に取り付けられた回転体が該被検出部材と共に回転すると、2つの回転検出器、すなわち、第一回転検出器及び前記第二回転検出器がそれぞれ被検出部材の回転速度または回転角に応じた信号を回転補正部に出力する。
各回転検出器の出力信号が入力された回転補正部は、第一回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号と、第二回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号との差を2で除した演算信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分を、第一回転検出器からの出力信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅及び位相に一致させて誤差補正量を算出し、被検出部材の回転時に第一回転検出器から得られる出力信号から誤差補正量を減算することで回転検出信号を算出する。回転補正部から回転検出信号が入力された制御部は、この回転検出信号を用いて(回転検出信号に基づいて)、回転体の回転速度または回転角を制御するための信号を出力する。
ここで、被検出部材に偏芯があると各回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号に被検出部材の1回転で1周期の誤差成分が生じ、被検出部材が楕円化すると各回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号に被検出部材の1回転で2周期の誤差成分が生じる。このとき、第一回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号と、第二回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号との差を2で除した演算信号の演算を行うと、この演算信号には、被検出部材の1回転で1周期の誤差成分と被検出部材の1回転で2周期の誤差成分が含まれる。
ところが、この演算信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分は、第一回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅及び位相をずらしたものに相当する。また、この演算信号のうち被検出部材の1回転で2周期の誤差成分は、第一回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号のうち被検出部材の1回転で2周期の誤差成分に相当する。
従って、演算信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分を、第一回転検出器からの出力信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅及び位相に一致させる演算を行えば、この演算によって求められた誤差補正量は、第一回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号に生じた誤差成分と一致する。これにより、被検出部材の回転時に第一回転検出器から得られる出力信号から誤差補正量を減算すれば、この演算結果は、誤差成分が除去された回転体の回転むら波形そのものとなる。すなわち、この演算結果を回転検出信号として用いれば、この回転検出信号には、制御目標に対する誤差としては、上記検出すべき回転体の真の回転誤差のみが含まれ得ることとなり、回転体の現実の回転速度または回転角を精度良く検出することができる。
このように、請求項7記載の回転制御装置では、被検出部材の1回転で1周期の誤差成分と1回転で2周期の誤差成分とを共に除去して、被検出部材が取り付けられる検出対象である回転体の回転速度または回転角を高精度で検出することができる。そして、例えば制御部が回転検出信号を0とするように回転体の回転を制御する信号を出力することで、該回転体の回転むらの発生が防止されるかまたは著しく抑制される。また、回転検出信号を算出するためには、2つの回転検出器を用いるだけで良く、従来よりも少ない回転検出器で被検出部材が取り付けられる検出対象の回転速度または回転角を高精度で検出することができるので、システム全体のコストも低く抑えることができる。
このとき、請求項8記載のように、より具体的には、以下のようにして回転検出信号が算出される。すなわち、前記第一回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号をE1old(θ)、前記第一回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号をE2old(θ)、前記演算信号をe(θ)、前記演算信号e(θ)のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅を√2倍すると共に位相を−π/4シフトさせた誤差補正量をh(θ)、前記被検出部材の回転時に前記第一回転検出器から得られる出力信号をE1new(θ)、前記回転検出信号をE(θ)としたときに、
ただし、
前記回転補正部は、上記式(1)〜(5)に基づいて前記回転検出信号E(θ)を算出する。これにより、1周期成分及び2周期成分が共に除去された回転検出信号E(θ)が得られる。
ただし、
前記回転補正部は、上記式(1)〜(5)に基づいて前記回転検出信号E(θ)を算出する。これにより、1周期成分及び2周期成分が共に除去された回転検出信号E(θ)が得られる。
請求項9記載の発明に係る回転制御装置は、請求項7または請求項8記載の回転制御装置において、前記各回転検出器は、それぞれ照射部が照射した光の受光部による受光有無に応じた信号を出力する光学式回転センサであり、前記被検出部材は、前記光学式回転センサが照射した光を前記受光部に導く導光部と、前記光学式回転センサが照射した光を前記受光部に導かない非導光部とを周方向に沿って全周に亘り交互にかつ等間隔に設けて構成された光学パターンを有する、樹脂製のコードホイールである、ことを特徴としている。
請求項9記載の回転制御装置では、被検出部材が円板状に形成された樹脂製のコードホイールとされており、コードホイールには、所定数の導光部と非導光部とが周方向に沿って交互にかつ等間隔に設けられて構成されている。回転検出器である各光学式回転センサは、照射部がコードホイールの光学パターンに光を照射し、受光部による受光有無に応じた信号、すなわちパルス信号を出力する。回転補正部は、各光学式回転センサからのパルス信号のパルス数やパルス周期等を入力信号として上記演算に用いる。例えば、光学式回転センサが透過型センサである場合、導光部は透明または半透明の光透過部(スリットなど)とされると共、非導光部は不透明の光不透過部とされる。また例えば、光学式回転センサが反射型センサである場合、導光部は光を反射する反射部とされると共に、非導光部は光を吸収または拡散する部分とされる。
請求項10記載の発明に係る回転制御装置は、請求項9記載の回転制御装置において、前記コードホイールの光学パターンは、それぞれ一周あたり1000個以上の前記導光部と前記非導光部とを交互に配置して構成されている、ことを特徴としている。
請求項10記載の回転制御装置では、それぞれコードホイール一周あたり1000個以上の導光部と非導光部とが交互に配置されて上記光学パターンが構成されている。すなわち、各回転検出器は、回転体の1回転当たり1000以上のパルスを発生し、感度(分解能)が高い。このため、各回転検出器は、例えばコードホイールの回動軸に対する偏心や、コードホイール自体のひずみの影響を受けて1周期成分、2周期成分の誤差を生じやすいが、上記回転補正部の演算によって1周期成分、2周期成分が除去されるので、精度の高い回転検出、及びこれに基づく回転制御を行うことができる。
なお、光学パターンは、コードホイール一周あたり1200個以上の導光部と非導光部とを交互に配置して構成することが好ましく、コードホイール一周あたり1500個以上導光部と非導光部とを交互に配置して構成することが一層好ましい。すなわち、各回転検出器の感度が高いほど、本発明が好適に適用される。
請求項11記載の発明に係る回転制御装置は、請求項9または請求項10記載の回転制御装置において、前記コードホイールの光学パターンは、前記コードホイールにおける光学パターン形成部位の周長25.4mmあたり、それぞれ150個以上の前記導光部と前記非導光部とを交互に配置して構成されている、ことを特徴としている。
請求項11記載の回転制御装置では、コードホイールにおける単位周長25.4mm(1インチ)あたりに、それぞれ150個以上の導光部と非導光部とが交互に配置されて上記光学パターンが構成されている。すなわち、光学パターンは、150個/インチ以上の導光部を有して構成されており、各回転検出器は、上記単位周長に対応する回転体の回転角ごとに150以上のパルスを発生する。なお、光学パターンは、180個/インチ以上の導光部を有して構成されることが好ましく、300個/インチ以上の導光部を有して構成されることが一層好ましい。
請求項12記載の発明に係る回転制御装置は、請求項9乃至請求項11の何れか1項記載の回転制御装置において、前記コードホイールを構成する樹脂材は、ポリエチレンテレフタレートである、ことを特徴としている。
請求項12記載の回転制御装置では、ポリエチレンテレフタレート(PET)にて構成されたコードホイールは、縦方向と横方向との膨張率の相違によって高温環境下で楕円状に歪みが生じ易く、この楕円状の歪みは2周期成分の誤差を各回転検出器に生じさせる原因となるが、上記回転補正部の演算によって1周期成分と共に2周期成分が除去されるので、精度の高い回転検出、及びこれに基づく回転制御を行うことができる。これにより安価なPETによってコードホイールを構成することができる。特に、PETは透明にすることができるため、透過型の光学式回転センサを用いる構成においては、例えば、コードホイールに、非導光部である光不透過部を周方向に等間隔に全周に亘り印刷等により設けることで、これら光不透過部の間が光透過部として形成されるので、容易に光学パターンを得ることができる。
上記目的を達成するために請求項13記載の発明に係る回転検出回路は、回転体に対し同軸的に一体回転する円板状の被検出部材の周方向に90°間隔で配置された第一回転検出器及び第二回転検出器がそれぞれ出力する、それぞれ前記被検出部材の回転速度または回転角に対応する各出力信号を入力し、前記第一回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号と、前記第二回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号との差を2で除した演算信号のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分を、前記第一回転検出器からの出力信号のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅及び位相に一致させて誤差補正量を算出し、前記被検出部材の回転時に前記第一回転検出器から得られる出力信号から前記誤差補正量を減算することで回転検出信号を算出する、ことを特徴としている。
請求項13記載の回転検出回路では、円板状の被検出部材が同軸的に取り付けられた回転体が該被検出部材と共に回転すると、2つの回転検出器、すなわち、第一回転検出器及び前記第二回転検出器から、それぞれ被回転体の回転速度または回転角に応じた信号が入力される。各回転検出器の出力信号が入力された回転検出回路は、第一回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号と、第二回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号との差を2で除した演算信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分を、第一回転検出器からの出力信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅及び位相に一致させて誤差補正量を算出し、被検出部材の回転時に第一回転検出器から得られる出力信号から誤差補正量を減算することで回転検出信号を算出する。
ここで、被検出部材に偏芯があると各回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号に被検出部材の1回転で1周期の誤差成分が生じ、被検出部材が楕円化すると各回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号に被検出部材の1回転で2周期の誤差成分が生じる。このとき、第一回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号と、第二回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号との差を2で除した演算信号の演算を行うと、この演算信号には、被検出部材の1回転で1周期の誤差成分と被検出部材の1回転で2周期の誤差成分が含まれる。
ところが、この演算信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分は、第一回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅及び位相をずらしたものに相当する。また、この演算信号のうち被検出部材の1回転で2周期の誤差成分は、第一回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号のうち被検出部材の1回転で2周期の誤差成分に相当する。
従って、演算信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分を、第一回転検出器からの出力信号のうち被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅及び位相に一致させる演算を行えば、この演算によって求められた誤差補正量は、第一回転検出器から得られる被検出部材の1回転分の出力信号に生じた誤差成分と一致する。これにより、被検出部材の回転時に第一回転検出器から得られる出力信号から誤差補正量を減算すれば、この演算結果は、誤差成分が除去された回転体の回転むら波形そのものとなる。すなわち、この演算結果を回転検出信号として用いれば、この回転検出信号には、制御目標に対する誤差としては、上記検出すべき回転体の真の回転誤差のみが含まれ得ることとなり、回転体の現実の回転速度または回転角を精度良く検出することができる。
このように、請求項13記載の回転検出回路では、被検出部材の1回転で1周期の誤差成分と1回転で2周期の誤差成分とを共に除去して、被検出部材が取り付けられる検出対象である回転体の回転速度または回転角を高精度で検出することができる。また、回転検出信号を算出するためには、2つの回転検出器を用いるだけで良く、従来よりも少ない回転検出器で被検出部材が取り付けられる検出対象の回転速度または回転角を高精度で検出することができるので、システム全体のコストも低く抑えることができる。
このとき、請求項14記載のように、より具体的には、以下のようにして回転検出信号が算出される。すなわち、前記第一回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号をE1old(θ)、前記第一回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号をE2old(θ)、前記演算信号をe(θ)、前記演算信号e(θ)のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅を√2倍すると共に位相を−π/4シフトさせた誤差補正量をh(θ)、前記被検出部材の回転時に前記第一回転検出器から得られる出力信号をE1new(θ)、前記回転検出信号をE(θ)としたときに、
ただし、
上記式(1)〜(5)に基づいて前記回転検出信号E(θ)を算出する。これにより、1周期成分及び2周期成分が共に除去された回転検出信号E(θ)が得られる。
ただし、
上記式(1)〜(5)に基づいて前記回転検出信号E(θ)を算出する。これにより、1周期成分及び2周期成分が共に除去された回転検出信号E(θ)が得られる。
本発明の実施の形態に係るモータであるアウタロータ型モータ10について、図1乃至図8に基づいて説明する。先ず、アウタロータ型モータ10のモータ部10Aの概略全体構成を説明し、次いで本発明の要部である回転制御装置としての回転制御部10Bについて説明する。
(アウタロータ型モータの概略全体構成)
図1には、アウタロータ型モータ10が側断面にて示されている。この図に示される如く、アウタロータ型モータ10は、モータ部10Aと、後述する回転制御部10Bとで構成されている。モータ部10Aは、ステータ12を備えており、ステータ12はステータベース14を備えている。ステータベース14は、略円筒状に形成されたセンタ筒部16と、センタ筒部16の一端部における外周部から軸直角方向に張り出した平板状のステータハウジング18とで構成されている。
図1には、アウタロータ型モータ10が側断面にて示されている。この図に示される如く、アウタロータ型モータ10は、モータ部10Aと、後述する回転制御部10Bとで構成されている。モータ部10Aは、ステータ12を備えており、ステータ12はステータベース14を備えている。ステータベース14は、略円筒状に形成されたセンタ筒部16と、センタ筒部16の一端部における外周部から軸直角方向に張り出した平板状のステータハウジング18とで構成されている。
センタ筒部16の外周部には、ステータコア20が圧入、接着、またはねじ止め等によって固着されている。このステータコア20には、コイル22が巻装されている。また、センタ筒部16の内部は、該センタ筒部16を軸方向に貫通する軸孔16Aとされている。一方、ステータハウジング18は、センタ筒部16側と反対側に突出した複数の取付部18Aを有しており、各取付部18Aは装置への固定用とされている。また、ステータハウジング18には、センタ筒部16の径方向外側で板厚方向に貫通する複数(本実施の形態では3つ)のセンサ孔18Bが設けられている。
また、アウタロータ型モータ10は、ロータ24と該ロータ24と一体に回転する出力軸26とを備えている。出力軸26は、センタ筒部16の軸孔16A内に配置された2つの軸受28を介して該センタ筒部16に対し同軸的かつ回転自在に支持されている。出力軸26は、その両端部がそれぞれ軸孔16A(ステータ12)から突出している。この出力軸26は、回転制御部10Bによる回転速度の制御対象であり、本発明における回転軸または回転体に相当する。
ロータ24は、ロータハウジング30と、該ロータハウジング30に固着されたマグネット32とを備えている。ロータハウジング30は、全体として略有底円筒状に形成されており、底部30Aと、該底部30Aの外周に沿って立設された円筒部30Bと、底部30Aの軸心部に設けられた円筒状のボス部30Cとを有して構成されている。このロータハウジング30は、ボス部30Cに出力軸26を挿入させた状態で、該出力軸26に同軸的に固定されている。また、円筒部30Bは、ステータ12のコイル22を径方向外側から覆っており、その内面にマグネット32を固着させてコイル22に対向させている。
以上により、本実施の形態におけるアウタロータ型モータ10は、マグネットロータを有するブラシレスモータとされており、コイル22に電流が供給されると、該コイル22及びマグネット32の磁力によって、装置に固定されるステータ12に対しロータ24及び出力軸26が回転する構成である。
(回転制御部の構成)
このアウタロータ型モータ10は、出力軸26の回転速度を制御するための回転制御装置としての回転制御部10Bを備えている。回転制御部10Bは、出力軸26の回転速度を検出するためのエンコーダ34と、エンコーダ34の出力に基づいて出力軸26の回転速度を制御するためのコントローラ50(図4参照)とを主要構成要素として構成されている。
このアウタロータ型モータ10は、出力軸26の回転速度を制御するための回転制御装置としての回転制御部10Bを備えている。回転制御部10Bは、出力軸26の回転速度を検出するためのエンコーダ34と、エンコーダ34の出力に基づいて出力軸26の回転速度を制御するためのコントローラ50(図4参照)とを主要構成要素として構成されている。
(エンコーダの構成)
エンコーダ34は被検出部材としてのコードホイール36を備えている。コードホイール36は、出力軸26に同軸的に固定されて該出力軸26における回転速度の被検出部を構成する。具体的には、コードホイール36は、円環板状(円板状)に形成されており、その軸心部にはボス部材38が固着されている。そして、このボス部材38が出力軸26に嵌着されることで、コードホイール36が出力軸26に同軸的かつ一体回転可能に取り付けられている。この状態で、コードホイール36は、ステータハウジング18に対しセンタ筒部16と反対側に位置している。
エンコーダ34は被検出部材としてのコードホイール36を備えている。コードホイール36は、出力軸26に同軸的に固定されて該出力軸26における回転速度の被検出部を構成する。具体的には、コードホイール36は、円環板状(円板状)に形成されており、その軸心部にはボス部材38が固着されている。そして、このボス部材38が出力軸26に嵌着されることで、コードホイール36が出力軸26に同軸的かつ一体回転可能に取り付けられている。この状態で、コードホイール36は、ステータハウジング18に対しセンタ筒部16と反対側に位置している。
このコードホイール36の外周近傍には、図2(A)及び図3(A)に示される如く、所定数のスリット36Aが周方向に等間隔で全周に亘り形成されており、被検出パターンである光学パターン37を構成している。各スリット36Aは、コードホイール36の板厚方向に光を透過可能に設けられており、本実施の形態ではスリット36Aのスリット数は1500とされている。
より具体的に説明すると、コードホイール36は、透明な樹脂材であるポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)にて構成されており、その外周近傍に所定数(1500本)の非導光部としての光不透過部36Bが全周に亘り周方向に等間隔に設けられることで、各光不透過部36B間にそれぞれ光透過部である導光部としてのスリット36Aが形成されている。本実施の形態では、各光不透過部36Bは、コードホイール36の表面に不透明なインク等にて印刷されることで不透明に設けられている。図3(B)に示される如く、各光不透過部36Bは、コードホイール36の径方向の外縁が該コードホイール36の外周縁にて規定されると共に、径方向の内縁がコードホイール36と同軸的な仮想円Cに沿う円弧状とされている。また、光不透過部36Bにおけるヘッドランプクリーナ36の周方向の両縁は、該コードホイール36の半径方向(放射方向)に沿う直線形状とされている。以上により、各光不透過部36Bの形状は、扇型の径方向内側を相似形状の扇型にて切り取った如き形状に形成されている。そして、互いに同形状の光不透過部36Bが周方向の幅の2倍のピッチで該周方向に等間隔に配置されることで、各光不透過部36B間には、各光不透過部36Bと略同形状のスリット36Aが形成されている。
本実施形態では、コードホイール36の外径Doが44.5mm、各光不透過部36Bの径方向内縁を結ぶ上記仮想円Cの直径Diが36.5mmとされている。また、コードホイール36の周方向に沿う各スリット36Aの幅W、ピッチP(=2W)は、コードホイール36の径方向各部において、以下のように設定されている。各スリット36A(光不透過部36B)の径方向中央部を結ぶコードホイール36と同軸的なピッチ円Cp(直径Dsc=40.425mm)が横切る部分では、それぞれ各スリット36Aの幅W=42.3μm、ピッチP=84.7μmとされている。また、各スリット36Aの径方向内縁近傍を通るコードホイール36と同軸的な仮想円Ci(直径Dsi=直径37mm)が横切る部分では、それぞれ各スリット36Aの幅W=38.7μm、ピッチP=77.5μmとされている。さらに、各スリット36Aの径方向外縁近傍を通るコードホイール36と同軸的な仮想円Co(直径Dso=直径44mm)が横切る部分では、それぞれ各スリット36Aの幅W=46.1μm、ピッチP=92.2μmとされている。したがって、上記の如くそれぞれ扇型の径方向内側を扇型にて切り取った如き形状の各スリット36A(光不透過部36B)は、実質的には略矩形(長方形)としても評価できる形状に形成されている。
そして、上記寸法のスリット36Aと光不透過部36Bとをコードホイール36の周方向に交互に配置することで、スリット36Aがコードホイール36の全周に亘り等間隔で1周あたり1500本設けられて、上記光学パターン37を構成している。また、上記ピッチ円Cpの周長25.4mm(1インチ)あたりのスリット36Aの数は、300本とされている。換言すれば、ピッチ円Cpの1周長は5インチである。以上により、この実施形態では、スリット36Aの数が1000本以上である1500本とされ、単位周長あたりのスリット36Aの数が150ライン/インチ(150本/25.4mm)以上である300ライン/インチとされている。したがって、スリット36Aを形成する光不透過部36Bも、300ライン/インチの密度で、一周あたり1500本だけ設けられている。なお、図3(A)に示すコードホイール36の軸心部を貫通する貫通孔36Cは、ボス部材38の嵌合用である。
また、エンコーダ34は、それぞれコードホイール36の回転速度に応じた信号を出力する回転検出器としての2つの回転センサ40を備えている。図2(B)に示される如く、各回転センサ40は、それぞれ一対のアーム42、44を有する断面視で略「コ」字状に形成された透過型フォトインタラプタ(フォトIC)であり、該アーム42、44間にコードホイール36におけるスリット36A形成部位を非接触状態で位置させている。
そして、各回転センサ40は、それぞれ一方のアーム42に発光素子が設けられると共に、他方のアーム44に受光素子(何れも図示省略)が設けられている。これにより、各回転センサ40は、それぞれ発光素子が発した光がスリット36Aを通過して受光素子で受光されるか否かに応じてパルス(ON/OFF)信号を出力する構成である。したがって、各回転センサ40は、それぞれ出力軸26の1回転(360°)当り1500パルスを発生するようになっており、このパルス数がコードホイール36の回転角に対応し、パルス幅(ON/OFFの切り換り時間)または単位時間当りのパルス数がコードホイール36の回転速度に対応する。
これらの回転センサ40はそれぞれ基板46に実装されており、基板46はステータハウジング18におけるセンタ筒部16側の面に固定されている。これにより、各回転センサ40は、ステータ12に対し不動とされている。また、各回転センサ40は、ステータハウジング18のセンサ孔18Bを挿通しており、それぞれのアーム42、44間にコードホイール36のスリット36A形成部位を入り込ませている。これにより、各回転センサ40は、出力軸26の回転に伴いアーム42、44間を相対移動するコードホイール36の回転速度に応じたパルス信号を出力するようになっている。
そして、図2(A)に示される如く、各回転センサ40は、それぞれ出力軸26の軸心を向いた状態で、コードホイール36の周方向に沿って90°間隔で配置されている。以下、各回転センサ40を区別して説明する場合には、図2(A)に示す相対角0°に配置された回転センサ40を第1回転センサ40A、相対角90°に配置された回転センサ40を第2回転センサ40Bと言うこととする。
また、アウタロータ型モータ10は、エンコーダ34を覆うカバー部材45を備えている。カバー部材45は、軸心部に設けられた透孔46Aから出力軸26を突出させた状態で、ステータハウジング18におけるセンサ孔18Bの内縁に嵌合してステータ12に固定されている。これにより、エンコーダ34(各回転センサ40によるコードホイール36の回転速度検出部位)は、カバー部材45によって外部からの光や異物の侵入が防止されている。
なお、各回転センサ40を実装した基板46には、ステータ12のセンタ筒部16が軸直角方向に移動することを許容する切欠きまたは長孔が設けられており、ステータハウジング18のセンサ孔18Bは上記センタ筒部16の移動方向に沿って回転センサ40の移動を許容する長孔とされている。これにより、各回転センサ40がコードホイール36に干渉しないように、各回転センサ40を実装した基板46の切欠きまたは長孔にセンタ筒部16を挿入し、その後基板46をステータ12に対し出力軸26の軸直角方向(図2に示す矢印A方向)に移動することで、各回転センサ40のアーム42、44間にコードホイール36を入り込ませることができる構成とされている。なお、この構成に代えて、基板46を複数に分割した構成を採用することも可能である。
また、各回転センサ40を実装した基板46には、コネクタ付配線を介して外部電源(何れも図示省略)に電気的に接続されるコネクタ48が設けられている。そして、この基板46には、ロータ24の磁極位置を検出するホール素子(図示省略)、コイル22への通電制御用のコントローラ50等、アウタロータ型モータ10(モータ部10A)の駆動・制御に要する全ての電気部品を実装している。なお、基板46に実装される電気部品のうち、モータ部10Aの駆動に供する部品はモータ部10Aに属すると把握することも可能である。
(コントローラの構成)
図4に示される如く、コントローラ50は、演算装置であるCPU52とドライバ54とから構成されている。ドライバ54は、モータ部10Aのコイル22及び外部電源(コネクタ48)とそれぞれ電気的に接続されており、コイル22に電流を供給するようになっている。CPU52は、各回転センサ40の出力信号及び外部からの回転数指令信号がそれぞれ入力されるようになっており、これらの情報に基づいてドライバ54を介したコイル22への給電の有無、供給電流の大きさを制御するようになっている。
図4に示される如く、コントローラ50は、演算装置であるCPU52とドライバ54とから構成されている。ドライバ54は、モータ部10Aのコイル22及び外部電源(コネクタ48)とそれぞれ電気的に接続されており、コイル22に電流を供給するようになっている。CPU52は、各回転センサ40の出力信号及び外部からの回転数指令信号がそれぞれ入力されるようになっており、これらの情報に基づいてドライバ54を介したコイル22への給電の有無、供給電流の大きさを制御するようになっている。
すなわち、CPU52は、各回転センサ40の出力信号に基づいて出力軸26の回転速度を検出し、該検出結果を回転数指令信号と比較してこれらの差がなくなるように、ドライバ54がコイル22へ供給する電流を制御(フィードバック制御)する構成とされている。以下、CPU52による出力軸26の回転速度の検出について詳細に説明する。なお、以下の説明では、第1回転センサ40Aの出力信号をE1、第2回転センサ40Bの出力信号をE2と言うこととする。
ここで、コードホイール36の回転中心と出力軸26の回転中心とが完全に一致しており、かつスリット36Aが該一致した回転中心を中心とする真円に沿って形成されていれば、各回転センサ40の出力信号E1、E2は、それぞれ出力軸26の真の回転速度に正確に対応する。
ところが、図5(A)に示される如くコードホイール36と出力軸26との間に心ずれがあると、図5(C)に実線にて示される如く、コードホイール36の1回転(1500パルス)で1周期の正弦波状の誤差成分(以下、1周期成分という)が生じる。また、例えばコードホイール36(スリット36A)が歪みよって図5(B)に示される如く楕円化すると、図5(C)に二点鎖線にて示される如く、コードホイール36の1回転で2周期の正弦波状の誤差成分(以下、2周期成分という)が生じる。したがって、コードホイール36の回転角をθとすると、1周期成分はAsinθとして表わすことができ、2周期成分は、1周期成分との位相差をαとするとBsin2(θ+α)として表わすことができる。
そして、コードホイール36と出力軸26との間に心ずれは、例えばコードホイール36の出力軸26への取付誤差等に起因して生じ、コードホイール36の楕円化(歪み)は、例えば縦横で膨張率の異なる材料にてコードホイール36を構成した場合に、高温環境下で顕著となる。そして、本実施の形態に係るコードホイール36は、PETにて構成されているため、縦横の熱膨張率が異なり、70℃以上の環境下で楕円化が生じやすい構成とされている。
なお、図5(C)は、基準のパルス幅(例えば、回転軸が一定速度で回転している場合の誤差のないパルス信号1周期の時間)を1としたときの誤差量を縦軸に、回転センサ40が検出する累積パルス数を横軸にとり、1周期成分の誤差ピークが基準パルス幅の0.35%(最大振幅A=0.0035)、2周期成分の誤差ピークが基準パルス幅の0.15%(最大振幅B=0.0015)である場合の、単一の回転センサ40の出力信号(生波形)に含まれる1周期成分及び2周期成分を示している。
以上により、図6(A)に示される如く、コードホイール36が出力軸26に対し偏心しかつ楕円化している場合には、例えば回転センサ40Aの出力信号E1には、図6(B)に示される如く、1周期成分1Fと2周期成分2Fとが重ね合わされた誤差波形Eeが生じる。また、各回転センサ40A,40Bから得られるコードホイール36の1回転分の出力信号E1,E2と、回転軸26の回転むら(モータ実回転速度)Meとの関係は、図6(C)に示される。
このとき、回転センサ40Aから得られるコードホイール36の1回転分の出力信号E1old(θ)と、回転センサ40Bから得られるコードホイール36の1回転分の出力信号E2old(θ)との差を2で除した演算信号e(θ)の演算を行うと、この演算信号e(θ)には、図7(A)に示される如く、1周期成分1Fと2周期成分2Fが含まれる。
ところが、この演算信号e(θ)のうち1周期成分1Fは、回転センサ40Aから得られるコードホイール36の1回転分の出力信号E1old(θ)のうち1周期成分1Fの振幅及び位相をずらしたもの、つまり、振幅を1/√2倍して位相をπ/4シフトさせたものに相当する。また、この演算信号e(θ)のうち2周期成分2Fは、回転センサ40Aから得られるコードホイール36の1回転分の出力信号E1old(θ)のうち2周期成分2Fに相当する。
従って、演算信号e(θ)のうち1周期成分1Fを、回転センサ40Aからの出力信号E1のうち1周期成分1Fの振幅及び位相に一致させる演算、すなわち、該1周期成分1Fの振幅を√2倍し位相を−π/4シフトさせる演算を行えば、この演算によって求められた誤差補正量h(θ)は、図7(B)に示されるように、回転センサ40Aから得られるコードホイール36の1回転分の出力信号E1に生じた誤差成分Ee(図6(B)参照)と一致する。
これにより、コードホイール36の回転時に回転センサ40Aから得られる出力信号E1new(θ)から誤差補正量h(θ)を減算すれば、この演算結果は、図7(C)に示されるように、誤差成分Eeが除去された回転軸の回転むらMe(θ)の波形(図6(C)参照)そのものとなる。すなわち、この演算結果を回転検出信号E(θ)として用いれば、この回転検出信号E(θ)には、制御目標に対する誤差としては、上記検出すべき出力軸26の真の回転誤差のみが含まれ得ることとなり、出力軸の現実の回転速度または回転角を精度良く検出することができる。
そして、CPU52は、以下に示す式(1)〜(5)を実行可能に記憶しており、各回転センサ40から入力する信号E1、E2を用いて式(1)〜(5)の演算を実行することで、1周期成分及び2周期成分を除去した回転検出信号E(θ)を算出するようになっている。
すなわち、回転検出器40Aから得られるコードホイール36の1回転分の出力信号をE1old(θ)、回転検出器40Bから得られるコードホイール36の1回転分の出力信号をE2old(θ)、演算信号をe(θ)、演算信号e(θ)のうちコードホイール36の1回転で1周期の誤差成分の振幅を√2倍すると共に位相を−π/4シフトさせた誤差補正量をh(θ)、コードホイール36の回転時に回転検出器40Aから得られる出力信号をE1new(θ)、回転検出信号をE(θ)としたときに、CPU52は、式(1)〜(5)の演算を行なうことにより、回転検出信号E(θ)を算出する構成とされている。
ただし、
ただし、
以上により、CPU52は、式(1)〜(5)の演算を行なうことにより、モータ実回転速度Me(θ)(θ)のみが含まれる回転検出信号E(θ)が得られる構成とされている。なお、CPU52は、回転検出器40Aから得られるコードホイール36の1回転分の出力信号E1old(θ)、及び回転検出器40Bから得られるコードホイール36の1回転分の出力信号E2old(θ)を、コードホイール36の1回転毎に記憶領域にメモリし、次の回転時には、このメモリから出力信号E1old(θ)及び出力信号E2old(θ)を読み出して、上記式(1)に代入する。
そして、このCPU52は、式(3)による演算結果である回転検出信号E(θ)すなわち、モータ実回転速度Me(θ)に基づいて、該モータ実回転速度Me(θ)が0となるように(基準パルス幅と一致するように)ドライバ54に制御信号を出力する構成とされている。このCPU52が本発明における制御手段、回転補正部及び制御部、または回転検出回路に相当する。
以上説明したアウタロータ型モータ10は、例えばカラー複写機やカラープリンタ等の画像処理装置(画像形成装置)に、該画像処理装置を構成する4色(黒、黄、青、赤)の感光ドラムに各1つ取り付けられて適用される。そして、アウタロータ型モータ10は、減速機等を介することなく、感光ドラムを直接的かつ一定の回転速度(40rpm乃至100rpm)で回転駆動するようになっている。
なお、アウタロータ型モータ10では、感光ドラムにおける出力軸26との連結部である連結軸を、ステータハウジング18のカバー部材45内で出力軸26に連結し、該連結軸にコードホイール36を同軸的に取り付ける構成とすることも可能である。
次に、以下、上記式(1)〜(5)の処理を数学的に検証する。
回転軸26の回転むら(モータ実回転速度)をMe(θ)、
コードホイール36の1回転で1周期の誤差成分のうち正弦成分をes1、
コードホイール36の1回転で1周期の誤差成分のうち余弦成分をec1、
コードホイール36の1回転で2周期の誤差成分のうち正弦成分をes2、
コードホイール36の1回転で2周期の誤差成分のうち余弦成分をec2、とすると、
各回転センサ40A,40Bの出力信号E1(θ)、E2(θ)は、
ここで、E1(θ)とE2(θ)との差を2で除したものをe(θ)とすると、
さらに、e(θ)に含まれる1周期の誤差成分についてのみ、振幅を√2倍、位相を−π/4シフトする操作を行ったものをh(θ)とすると、
つまり、式(4)は、(1)式に示されるE1(θ)に含まれるコードホイール36の1回転での誤差成分そのものである。
従って、(1)式と(4)式の差を求めれば、回転軸26の回転むら(モータ実回転速度)Me(θ)を得ることができる。
コードホイール36の1回転で1周期の誤差成分のうち正弦成分をes1、
コードホイール36の1回転で1周期の誤差成分のうち余弦成分をec1、
コードホイール36の1回転で2周期の誤差成分のうち正弦成分をes2、
コードホイール36の1回転で2周期の誤差成分のうち余弦成分をec2、とすると、
各回転センサ40A,40Bの出力信号E1(θ)、E2(θ)は、
ここで、E1(θ)とE2(θ)との差を2で除したものをe(θ)とすると、
さらに、e(θ)に含まれる1周期の誤差成分についてのみ、振幅を√2倍、位相を−π/4シフトする操作を行ったものをh(θ)とすると、
つまり、式(4)は、(1)式に示されるE1(θ)に含まれるコードホイール36の1回転での誤差成分そのものである。
従って、(1)式と(4)式の差を求めれば、回転軸26の回転むら(モータ実回転速度)Me(θ)を得ることができる。
なお、上記e(θ)からh(θ)への変換操作(1周期成分のみの振幅を√2倍、位相を−π/4シフト)は、以下の演算にて可能となる。
つまり、一般に、歪を有する周期的波形y(x)は、以下のようにフーリエ級数に展開できる。
ここで、e(θ)に含まれる誤差成分は、1周期成分と2周期成分であるので、上記式(a)において、n=1、n=2とすると、以下のようになる。
従って、h(θ)はe(θ)を用いると次のようにして示される。
ところで、e(θ)からh(θ)への変換操作(1周期成分のみの振幅を√2倍、位相を−π/4シフト)にフーリエ変換を用いたが、離散コサイン変換、アダマール変換など、いわゆる直交変換を用いても良い。
つまり、一般に、歪を有する周期的波形y(x)は、以下のようにフーリエ級数に展開できる。
ここで、e(θ)に含まれる誤差成分は、1周期成分と2周期成分であるので、上記式(a)において、n=1、n=2とすると、以下のようになる。
従って、h(θ)はe(θ)を用いると次のようにして示される。
ところで、e(θ)からh(θ)への変換操作(1周期成分のみの振幅を√2倍、位相を−π/4シフト)にフーリエ変換を用いたが、離散コサイン変換、アダマール変換など、いわゆる直交変換を用いても良い。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
上記構成のアウタロータ型モータ10では、コントローラ50が作動してドライバ54からコイル22に通電されると、ロータ24、出力軸26、コードホイール36が共に回転する。このとき、各回転センサ40は、それぞれコードホイール36の回転速度に応じたパルス信号(ON/OFF信号)を、基板46に実装されたコントローラ50のCPU52に出力する。
CPU52は、各回転センサ40から入力した信号E1、E2を用いて上記式(1)〜(5)の演算を行ない、モータ実回転速度Me(θ)のみを含み得る回転検出信号E(θ)を得る。そして、CPU52は、この回転検出信号E(θ)を現実の出力軸26の回転速度として回転数指令信号(に対応する制御目標である回転速度)と比較し、モータ実回転速度Me(θ)を0とするようにドライバ54に制御信号を出力する。ドライバ54は、この制御信号に応じてコイル22に電流を供給する。すなわち、コントローラ50によって、モータ部10Aの出力軸26の回転速度に対するフィードバック制御が為される。
これにより、出力軸26、すなわち出力軸26に連結される被回転体(例えば、感光ドラム)が回転数指令信号に基づく設定速度に精度良く保持される。
ここで、アウタロータ型モータ10、アウタロータ型モータ10を構成する回転制御部10B、回転制御部10Bを構成するCPU52では、それぞれコードホイール36の周方向(回転方向)に90°間隔で配置された2つの回転センサ40からの信号E1、E2を用いて式(1)〜(5)の演算を実行することによって、出力軸26の回転速度を精度良く検出することができる。すなわち、出力軸26に取り付けられ各回転センサ40による直接的な回転速度の検出対象であるコードホイール36が出力軸26に対し偏心(心ずれ)したり、歪みによって楕円化したりしても、偏心に基づく検出誤差である1周期成分と、楕円化に基づく検出誤差である2周期成分とが、式(1)〜(5)の演算によって共に除去されるため、出力軸26の回転速度を精度良く検出することができる。
このように、本実施の形態に係るアウタロータ型モータ10アウタロータ型モータ10を構成する回転制御部10B、回転制御部10Bを構成するCPU52(回転速度の検出方法)では、コードホイール36の1回転で1周期の誤差成分と1回転で2周期の誤差成分とを共に(同時に)除去して、コードホイール36が取り付けられる検出対象である出力軸26の回転速度を高精度で検出することができる。
そして、制御手段がモータ実回転速度Me(θ)を0とするように出力軸26の回転を制御することで、該出力軸26(が連結される感光ドラム等の被回転体)の回転むらの発生が防止されるかまたは著しく抑制される。また、上記の如くして周期成分を除去することができるため、70℃程度を超える高温環境下で使用されるコードホイール36を安価なPETにて構成することが可能である。
また、さらに、本実施の形態では、回転検出信号E(θ)を算出するためには、2つの回転センサ40を用いるだけで良く、従来よりも少ない回転センサでコードホイール36が取り付けられる検出対象である出力軸26の回転速度を高精度で検出することができるので、システム全体のコストも低く抑えることができる。
また、コードホイール36の光学パターン37は、スリット36Aの数が150ライン/インチ以上とされているため、実用的な全ての種類のエンコーダ34(各回転センサ40とコードホイールとの組み合わせであって、特に、透過型フォトインタラプタ)に本発明を適用して、コードホイール36の1周期成分と2周期成分とを共に除去して、コードホイール36が取り付けられる検出対象である出力軸26の回転速度を高精度で検出することができる。
さらに、1周期成分と2周期成分とを除去する本発明では、上記の通り安価なPETにてコードホイール36を構成することができる。そして、PETは透明樹脂であるため、上記の通り光不透過部36Bをコードホイール36の周方向に等間隔で全周に亘り印刷することで、光学パターン37を容易に得ることができる。このため、コードホイール36は、材料だけではなく、製造コストも安価になる。
(アウタロータ型モータの適用例)
次に、上記実施の形態または変形例に係るアウタロータ型モータ10がカラープリンタやカラーコピー機等の画像処理装置(画像形成装置)に適用された例を示す。
次に、上記実施の形態または変形例に係るアウタロータ型モータ10がカラープリンタやカラーコピー機等の画像処理装置(画像形成装置)に適用された例を示す。
図8に示される如く、画像処理装置は、それぞれ赤、青、黄、黒に対応した4つの感光ドラム70、72、74、76を備えている。各感光ドラム70、72、74、76は、軸心廻りに回転することで、それぞれ形成された各色に対応したトナー像を転写体に転写するようになっている。各感光ドラム70、72、74、76には、それぞれ回転駆動手段としてのアウタロータ型モータ10が接続されている。具体的には、アウタロータ型モータ10の出力軸26が各感光ドラム70、72、74、76に一体回転可能に直結されている。各アウタロータ型モータ10は、それぞれステータ12(ステータハウジング18)が画像処理装置の筐体78に固定されており、コイル22に通電することで、ロータ24が所定方向に回転して各感光ドラム70、72、74、76を回転駆動する構成である。
ここで、アウタロータ型モータ10は、小型で低回転速度域において高トルクを発生する特性を有するため、画像処理装置の感光ドラム70等に直結されても、該感光ドラム70等を十分なトルクで回転駆動でき、画像処理装置を大型化させることもない。特に、アウタロータ型モータ10では、薄型(扁平)構造であるため、各感光ドラム70等の背面(軸方向端部)における狭いスペースに好適に配置される。また、アウタロータ型モータ10は、上記の通りマグネットロータを有するブラシレスモータであるため、低コストで製造することができ画像処理装置を高コスト化することもない。
そして、このように小型で高トルクのアウタロータ型モータ10を感光ドラム70等に直結すると、ギヤやベルト等を介して感光ドラム70等を回転駆動する必要がないため、感光ドラム70等の回転むらが抑止され、画質が向上する。すなわち、画像処理装置の高精度化が図られる。特に、アウタロータ型モータ10は、2つの回転センサ40(上記実施の形態)または4つの回転センサ40(上記変形例)を備え、上記の通り高精度で出力軸26すなわち感光ドラム70等の回転速度制御行なうため、感光ドラム70等の回転むらが一層抑止される。
このように、画像処理装置の感光ドラム70等に直結され、該感光ドラム70等を回転駆動するアウタロータ型モータ10では、画像処理装置を大型化及び高コスト化することなく、感光ドラム70等の回転むらを抑止できる。
なお、上記実施の形態では、回転制御部10B(エンコーダ34、60、コントローラ50)がアウタロータ型モータ10を構成するようにした例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、回転制御部10B(エンコーダ34、60)を、被回転体である感光ドラム等に取り付け、アウタロータ型モータ10とは独立して構成しても良い。
さらに、上記の実施の形態では、出力軸26の回転速度を所定の速度に保持するためにコードホイール36の回転速度における1周期成分及び2周期成分を除去する例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、出力軸26の回転角に対応したコードホイール36の回転角を精度良く検出するようにしても良い。したがって、本発明におけるアウタロータ型モータ10、コントローラ50、CPU52は、画像処理装置に適用されて回転ドラムの回転数制御を行うことには限定されず、あらゆる用途に適用可能であることはいうまでもない。
さらに、上記の実施の形態では、エンコーダ34、60が、光を透過可能なスリット36Aを有するコードホイール36と、透過型フォトインタラプタ(光学式センサ)である各回転センサ40とで構成された例を示したが、本発明はこれに限定されず、エンコーダとして、例えば、エンコーダとして反射型のフォトインタラプタを備えた構成としても良く、その他電磁式、磁気抵抗式、ホール効果式等の各種エンコーダを採用することができる。
さらにまた、上記の実施の形態では、モータとしてブラシレスのアウタロータ型モータ10を採用した例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、モータとしてインナロータ型モータやブラシを有するモータ、交流モータ等、如何なる形式のモータを採用することも可能である。
10…アウタロータ型モータ(モータ)、10B…回転制御部(回転制御装置)、26…出力軸(回転軸、回転体)、36…コードホイール(被検出部材)、36A…スリット(導光部)、36B…光不透過部(非導光部)、37…光学パターン、40…回転センサ(回転検出器)、50…コントローラ(制御手段)、52…CPU(制御手段、回転補正部、制御部、回転検出回路)、70・72・74・76…感光ドラム(被回転体)
Claims (14)
- 被回転体に連結される回転軸と、
円板状に形成され、前記回転軸または被回転体に同軸的に取り付けられる被検出部材と、
前記被検出部材の周方向に90°間隔で配置され、それぞれ該被検出部材の回転速度または回転角に応じた出力信号を出力する第一回転検出器及び第二回転検出器と、
前記第一回転検出器及び前記第二回転検出器の出力信号をそれぞれ入力可能に設けられ、前記第一回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号と、前記第二回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号との差を2で除した演算信号のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分を、前記第一回転検出器からの出力信号のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅及び位相に一致させて誤差補正量を算出し、前記被検出部材の回転時に前記第一回転検出器から得られる出力信号から前記誤差補正量を減算することで回転検出信号を算出し、該回転検出信号を用いて前記回転軸の回転速度または回転角を制御する制御手段と、
を備えたモータ。 - 前記各回転検出器は、それぞれ照射部が照射した光の受光部による受光有無に応じた信号を出力する光学式回転センサであり、
前記被検出部材は、前記光学式回転センサが照射した光を前記受光部に導く導光部と、前記光学式回転センサが照射した光を前記受光部に導かない非導光部とを周方向に沿って全周に亘り交互にかつ等間隔に設けて構成された光学パターンを有する、樹脂製のコードホイールである、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のモータ。 - 前記コードホイールの光学パターンは、それぞれ一周あたり1000個以上の前記導光部と前記非導光部とを交互に配置して構成されている、請求項3記載のモータ。
- 前記コードホイールの光学パターンは、前記コードホイールにおける光学パターン形成部位の周長25.4mmあたり、それぞれ150個以上の前記導光部と前記非導光部とを交互に配置して構成されている、請求項3または請求項4記載のモータ。
- 前記コードホイールを構成する樹脂材は、ポリエチレンテレフタレートである、請求項3乃至請求項5の何れか1項記載のモータ。
- 円板状に形成され、回転体に同軸的に取り付けられる被検出部材と、
前記被検出部材の周方向に90°間隔で配置され、それぞれ該被検出部材の回転速度または回転角に応じた出力信号を出力する第一回転検出器及び第二回転検出器と、
前記第一回転検出器及び前記第二回転検出器の出力信号をそれぞれ入力可能に設けられ、前記第一回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号と、前記第二回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号との差を2で除した演算信号のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分を、前記第一回転検出器からの出力信号のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅及び位相に一致させて誤差補正量を算出し、前記被検出部材の回転時に前記第一回転検出器から得られる出力信号から前記誤差補正量を減算することで回転検出信号を算出する回転補正部と、
前記回転体の駆動装置に電気的に接続され、前記回転検出信号を用いて前記回転体の回転速度または回転角を制御するための制御信号を出力する制御部と、
を備えた回転制御装置。 - 前記第一回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号をE1old(θ)、
前記第一回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号をE2old(θ)、
前記演算信号をe(θ)、
前記演算信号e(θ)のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅を√2倍すると共に位相を−π/4シフトさせた誤差補正量をh(θ)、
前記被検出部材の回転時に前記第一回転検出器から得られる出力信号をE1new(θ)、
前記回転検出信号をE(θ)としたときに、
ただし、
前記回転補正部は、上記式(1)〜(5)に基づいて前記回転検出信号E(θ)を算出する、ことを特徴とする請求項7記載の回転制御装置。 - 前記各回転検出器は、それぞれ照射部が照射した光の受光部による受光有無に応じた信号を出力する光学式回転センサであり、
前記被検出部材は、前記光学式回転センサが照射した光を前記受光部に導く導光部と、前記光学式回転センサが照射した光を前記受光部に導かない非導光部とを周方向に沿って全周に亘り交互にかつ等間隔に設けて構成された光学パターンを有する、樹脂製のコードホイールである、
ことを特徴とする請求項7または請求項8記載の回転制御装置。 - 前記コードホイールの光学パターンは、それぞれ一周あたり1000個以上の前記導光部と前記非導光部とを交互に配置して構成されている、請求項9記載の回転制御装置。
- 前記コードホイールの光学パターンは、前記コードホイールにおける光学パターン形成部位の周長25.4mmあたり、それぞれ150個以上の前記導光部と前記非導光部とを交互に配置して構成されている、請求項9または請求項10記載の回転制御装置。
- 前記コードホイールを構成する樹脂材は、ポリエチレンテレフタレートである、請求項9乃至請求項11の何れか1項記載の回転制御装置。
- 回転体に対し同軸的に一体回転する円板状の被検出部材の周方向に90°間隔で配置された第一回転検出器及び第二回転検出器がそれぞれ出力する、それぞれ前記被検出部材の回転速度または回転角に対応する各出力信号を入力し、
前記第一回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号と、前記第二回転検出器から得られる前記被検出部材の1回転分の出力信号との差を2で除した演算信号のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分を、前記第一回転検出器からの出力信号のうち前記被検出部材の1回転で1周期の誤差成分の振幅及び位相に一致させて誤差補正量を算出し、前記被検出部材の回転時に前記第一回転検出器から得られる出力信号から前記誤差補正量を減算することで回転検出信号を算出する、
ことを特徴とする回転検出回路。
Priority Applications (1)
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JP2005267463A JP2007078538A (ja) | 2005-09-14 | 2005-09-14 | モータ、回転制御装置、及び回転検出回路 |
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-
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- 2005-09-14 JP JP2005267463A patent/JP2007078538A/ja not_active Abandoned
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