JP2007078506A - 二次電池の寿命判定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】二次電池の劣化を判定する装置において、二次電池内部の電荷の偏りによる電圧変動が発生している状態であっても二次電池内部の電荷の偏りを含めた内部抵抗の関数として表される測定値に基づいて寿命判定を行うことにより誤りのない寿命判定を行うことができる二次電池の寿命判定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】定電流充電・定電圧充電を行う充電手段1を用いて二次電池の充電を行う装置において、定電圧充電が開始された時間と充電終了した時間を時間計測手段5により計測することにより、定電圧充電に要した時間を情報処理手段4により算出し、その時間が寿命判定基準より大であるか否かを以って寿命判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、二次電池の寿命を判定する装置であって、劣化の度合いを正確に計測できるようにした寿命判定装置に関するものである。
近年、二次電池は携帯電子機器の普及に伴いその用途の広がりを見せてきており、長時間使用の要求からその容量は大容量化の検討がなされており、例えばノートパソコンでは一回の充電で10時間以上の使用時間を実現しているものも開発されている。
一方、二次電池の寿命判定は実際に満充電状態から放電させた時の放電容量を計測して判断されている場合が一般的であるが、上記に示したような大容量化、即ち長時間化が進む状況にあっては実際の放電容量の測定に要する時間も長時間化せざるを得ず、例えば上記に例示したノートパソコンでは測定のための放電のあと再び使用するためには再充電が必要であるので、実際に寿命を判定して使用できるようになるまでに要する時間は一晩かけても終わらないような状況になってきており、正確かつ短時間での寿命判定方法が求められている。
以下に従来の二次電池の寿命判定方法について説明する。
従来、二次電池の寿命判定方法は特許文献1や特許文献2に記載されたものが知られている。これらの判定方法によれば、無負荷の状態の電圧を開回路電圧と定義して、短時間の放電を実施した時の電圧の降下量と電流値から内部抵抗を計算し、その値を寿命の判定に使用するというものであった。
特開2000−338201号公報 特開2001−228226号公報
しかしながら上記の従来の構成では、一時的に放電をさせた時の電圧差を基にして内部抵抗値の計算を実施することにしているが、その方法では正しく内部抵抗を測定することができないという問題があった。
図9は一例としてリチウム電池を2本直列につないで使用している二次電池での放電時の電圧と電流の変化を表したグラフである。○印でプロットされている測定データが電流の変化を示しており、△でプロットされている測定データが電圧の変化を示している。A期間は無負荷状態から10分間の放電を実施した後、放電を停止させて10分間放置した時の電圧と電流の変化の様子を表している。またB期間はA期間に続いて10秒間の放電を実施したあと同じく放電を停止させて10分間放置した時の電圧と電流の変化の様子を表している。このグラフのデータは1秒ごとに電圧を読み取りしたものである。
まず放電開始時の電圧変化について考えてみると、A期間においてもB期間においても同じであるが放電を始めると1秒以内に一旦電圧降下した後(図中「A」および「C」の箇所)、放電により序々に電圧が下がっていく。このため何時の電圧を以って電圧降下量とするかにより内部抵抗値に誤差を生じさせることになる。また放電終了時の電圧変化を測定する場合について考えてみると、A期間においてもB期間においても1秒以内に電圧が急速に復帰した後(図中「B」および「D」の箇所)、序々に電圧上昇しているが放電終了後の電圧復帰の時間にA期間とB期間の間に大きな差異が認められており、A期間のような長い時間の放電の後では電圧復帰の時間はTaで示された長い時間を要しており、一方B期間のような短い時間の放電の後の電圧復帰の時間はTbで示すように短くなっている。このような挙動を示す電圧波形を測定した場合どの時点の電圧を以って内部抵抗値を計算するデータとして採用するのかにより内部抵抗値に誤差を生じさせることになる。
上記のような現象を説明するために電池の等価回路として図4に示すような回路を考えることにする。また一般に電池を表す等価回路を図6に示す。図6に示す回路は理想電池、即ち内部抵抗0の電池に対して内部抵抗に相当する抵抗R0が内在していることを示したものであるが、このような等価回路では前述した放電終了後に観察される急激に電圧復帰したあと序々に電圧復帰する現象を説明することが出来ない。そこで図4に示す回路について考察を加えることにする。この回路では時定数の小さな系R1、C1と時定数の大きなR2、C2がつながって電池を形成していると仮定している。また、単純化して考えるために電池をコンデンサに見立ててCの記号を用いて表しているが、実際には電池とコンデンサの挙動には差異があるので正確には等価回路とは言えないが、本発明での考察においてはコンデンサに単純化しても説明に矛盾を生じさせることはないので図4に示す等価回路を使って説明をすることにする。
放電を開始すると一旦電圧が急激に下降する現象が認められているが、これは図4中のR1,C1の時定数が小さいために急速にC1の電荷が放電され電圧降下を起こし、図5に示すC1を削除した回路のV1の電圧と同じ電圧に達した時にC1からの放電が停止するものと推察できる。以降はC2からの電荷の供給により放電が継続されるがR2、C2の系は時定数が大きいと仮定していることから、また実際に電池の放電時間が数時間に及ぶことからもわかるようにC2の容量は非常に大きいので電圧の変化はC1からの放電が止まった時点で緩やかな変化に移行することになる。
続いて放電終了時の現象について考察を加えることにする。放電終了時にはC1の容量が小さいためにV1とV2の電位差が存在しているのでR2を通してC2からの電荷の補充を受けて一旦C1の電圧は急速に回復する。
図9のA期間とB期間の放電終了後に見られる電圧が序々に増加する時間TaとTbの時間の差については図4の等価回路では説明することが出来ないので、これについては等価回路をさらに発展させて時定数の大きな系を例えば2段階に増やして図7のような等価回路に置き換えることで説明をすることが出来る。ここではR1,C1は時定数の小さな系で今までR2、C2で表していた系を2つの大きな時定数の系R21、C21とR22,C22に分割している。時定数の小さな系のC1の容量は当然小さいためR21からの電荷の供給を受けて急速にV21まで電圧復帰することが出来るが系R21,C21とR22,C22の時定数がそれぞれ大きいためV22の電圧に達するためには時間を要することになり、その時間はR21とR22を流れる電流値の大きさによって決まることになる。V21とV22の間に差が生じることこそが電池内部の電荷の偏りを表していると言うことができて、結局R21とR22の抵抗値がこの序々に復帰していく時間を決定する要因であることに他ならず、電池内部の電荷の偏りによる電圧変化の現象を説明する回路になっている。実際の電池は陰極と陽極の間に電荷を蓄える層が形成されてその中で電荷の移動が生じているのであるからこのCRの段数が何段にも形成された回路であるといってもよいと推察される。このような回路においては電池の劣化即ち内部抵抗の増加を考える場合R21、R22という大きな抵抗値を測定することが欠かすことができない。なぜならこの大きな時定数を形成する大きな抵抗値こそが電池の内部で生じている電荷の移動のしにくさ、言い換えれば内部抵抗の大きさ、さらに言うならば劣化の進行度合いを表しており、従来の方法による測定で得られるR1に誤差を含んだ値を基にして判定する方法には問題があることを指し示している。
上記のように従来の発明では、電池の内部で発生している電荷の偏りに起因する電圧差に関しての考察がなされていないため、放電前の電池内部の状態が一定ではない場合や放電終了後の状態についての考察がなされていないために内部抵抗値を正しく計算することが出来ず、結果として寿命の判断に誤りを発生させてしまう危険があるという問題点を有していた。
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、二次電池内部の電荷の偏りを含めた内部抵抗の関数として表される測定値に基づいて寿命判断を行うことにより誤りのない二次電池の寿命判定装置を提供することを目的とする。
また、本発明の説明においては図4に示す時定数の小さな系R1C1と字定数の大きな系R2C2のみの仮定で説明できるので以降は単純化された図4を使って説明をすることにする。
本発明の請求項1に記載の発明は、[請求項1]
としたものであり、前記情報処理手段が二次電池の寿命をより正確に判断するという作用を有する。
本発明の請求項2に記載の発明は、[請求項2]
としたものであり、前記情報処理手段が二次電池の周囲温度による寿命判定誤差を補正し電池寿命をより正確に判断するという作用を有する。
以上のように本発明は、二次電池内部の電荷の偏りによる電圧変動が発生している状態であっても二次電池内部の電荷の偏りを含めた内部抵抗の関数として表される測定値に基づいて寿命判断を行うことにより誤りのない二次電池の寿命判定を行えるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について、図1から図5を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態を示す二次電池の寿命判定装置の図であります。
図1において、1は二次電池の充電を行う充電回路で情報処理手段から充電パラメーターを受け取り二次電池に対して充電電流および充電電圧の供給を行う。2は電流検出手段で、情報処理手段4に対して充電電流値を伝えている。3は電圧検出手段で、情報処理手段4に対して充電電圧値を伝えている。5は情報処理手段4に対して時間情報を伝える時間計測手段であり、6は情報処理手段4に対して温度情報を伝える温度検出手段であり、7は情報処理手段4により寿命と判定された場合寿命表示を行う寿命表示手段である。そして8は二次電池である。
図2は本発明における寿命判定装置において実行されるプログラムの流れの一例を示したフローチャートである。
図3は二次電池を定電流充電・定電圧充電により充電した場合の定電流充電から定電圧充電に移行し充電終了するまでの電圧変化について、劣化した二次電池と新品の二次電池についての関係をそれぞれ示した図であり、劣化が進行するにつれて定電圧充電時間が延びていくことが知られている。
以上のように構成された二次電池の寿命判定装置について、その動作を説明する。
まず、定電流充電領域においては図4の時定数の小さな系のC1に急速に充電されてC1を省略した図5に示す電圧V1までC1が充電されると以降はC1への電荷の流入は無視してもよいほど小さくなり等価回路としては図5に示される状態になっていると推察できる。この後はR1+R2(その大きさから主にはR2)の抵抗を介してC2に電荷の供給が行われC2の電圧の上昇に伴い電圧V0も上昇していくことになる。やがてV0が目標の電圧(リチウム電池の場合は電池セル当り4.2V)に達すると低電圧充電に移行して電圧V0を維持しながら、充電終止電流に達するまで序々に電流を絞りながら充電を続けることになる。このときには2つの意味で内部抵抗R1+R2は定電圧充電の時間に影響を与えることになる。
第一点目には定電流充電から定電圧充電に移行するときのV2の値についてであるが、リチウム電池を例にとれば移行時のV0は4.2Vであるのでその時のV2の値は
V2=4.2−(R1+R2)*I[CC]――――(式1)
(ここでI[CC]は定電流充電電流値)
の式で表すことができて、その大きさは電池が劣化すればするほど(R1+R2)が大きくなるためV2の値は低くなる。即ち満充電からは遠い状態で定電圧充電に移行することになる。
第二点目には定電圧充電状態に移行したあとに流れる充電電流は
I0=(V2−V0)/(R1+R2)――――(式2)
で表すことができる。
前述したように新品の電池と劣化した電池では定電流充電から定電圧充電に移行するときのV2の値に差が出てくるのでこれをそれぞれV2new、V2oldと表記し、さらに新品の電池と劣化した電池の内部抵抗(R1+R2)をそれぞれRnew、Roldと表記すると、C2の電圧がV2oldからV2newに達するまでの時間T1はV2old,V2newの差分とRoldの関数になることから、
T1(V2old,V2new,Rold)――――(式3)
で表すことができて新品電池比べて余分にかかることになる。
そして充電はさらに継続されるが、前述したように新品の電池と劣化した電池では定電流充電から定電圧充電に移行するときのV2の値に差が出てくるのでこれをそれぞれV2new、V2oldと表記したが、仮にV2=V2new=V2oldであったとしても新品電池と劣化電池では(R1+R2)の値が異なるために充電時間は(R1+R2)の値が大きい劣化電池の内部抵抗Roldの方が新品電池の内部抵抗Rnewの充電時間に対してさらに余分にかかることになるので、それぞれにかかる充電時間T2(Rold)、T2(Rnew)とその充電時間差を表すと
T2(Rold)−T2(Rnew)――――(式4)
となりこの時間差の分だけ定電圧充電時間が延びることになる。
この二つの時間を足した値が新品電池から余分に定電圧充電時間がかかることになるのでその和は
T1(V2old,V2new,Rold)+(T2(Rold)−T2(Rnew))――――(式5)
で表される。
ここではRnewの初期ばらつきはないと仮定すればV2new,Rnewは定数であり、V2oldは(式1)に示すとおりRoldの関数なので上記の(式5)の時間は単純に劣化電池の内部抵抗値Roldの関数になることが分かる。即ち定電圧充電時間を測定することにより二次電池内部の電荷の偏りを含めた電池の内部抵抗値を時間の形で測定できることになる。よって、予め劣化させた電池の定電圧充電時間を測っておけばその時間と比較することにより寿命に達したかどうかを判断できることになる。
上記実施の形態では説明を省略したが、内部抵抗値(R1+R2)は温度により変化するので上記の実施の形態により寿命判断する場合は温度をある定められた範囲に限定することで温度要因を排除して判断することができる。
本願の実施の形態で使用している二次電池の場合、温度上昇に対して内部抵抗値(R1+R2)は下がる。図8に二次電池の周囲温度−内部抵抗の関係を示した一例のグラフを示す。
このため情報処理手段4には温度検出手段6により温度情報を与えることで適切な寿命判断することが出来る構成としている。これは二次電池の現実の劣化が急速に進行するものではなく、かつ劣化基準を超えたからといってすぐに使用できなくなるものではないため、このような実施形態をとったとしても、寿命判断する二次電池の周囲温度範囲を適切に設定しておけば問題になることはない。
本発明における寿命判定の手順を表した一例が図2である。
まず、情報処理手段4は充電電圧情報を電圧検出手段3から読み取り、定電圧充電状態になったと判断すると(S1)、その時の時間情報を時間計測手段5から読み取る(S2)。やがて充電終了を迎えた時(S3)、その時の時間情報を時間計測手段5から読み取る(S4)。S2ステップとS4ステップで読み取った時間情報の差を計算することにより定電圧充電時間を計算する(S5)。その時の二次電池の温度が寿命判定範囲内でなければ寿命判定せずに終了するが(S6)、二次電池の温度が寿命判定温度範囲内であれば予め求めておいた寿命判定基準と比較する(S7)。求められた定電圧充電時間が寿命判定基準より大であれば寿命表示をして(S8)終了する。
以上のように本実施の形態によれば、二次電池の定充電時間を検出する手段を設けることにより二次電池内部の電荷の偏りを含めた内部抵抗の関数として表される測定値に基づいて寿命判断を行うので誤りのない二次電池の寿命判定装置を提供することができる。
なお、以上の説明では寿命判定温度範囲を規定することで実現したが、内部抵抗R1とR2の温度の影響に関して、二次電池の劣化度合いと周囲温度で決まる内部抵抗値(R1+R2)と定電圧充電時間の関係を表すデータを予め用意しておけば温度が変化しても得られた温度情報に対応する劣化判定時間から劣化判断をすることが出来るとしてもよい。
また、本実施の形態において、定電圧充電時間を計測する手段として時間計測手段5を設けたが、ソフトウェアによるカウンタで時間計測するとしても良い。また、充電電圧・充電電流を監視しながら予め設定された充電電圧・充電電流行通りに充電動作を実行し、その状態を通知してくる機能を備えているIC化された充電回路を持つような装置においては電圧を測定するのではなく充電回路からの状態情報を基に定電圧充電時間を測定しても良い。
本発明にかかる二次電池の寿命判定装置は、二次電池内部の電荷の偏りによる電圧変動が発生している状態であっても二次電池内部の電荷の偏りを含めた内部抵抗の関数として表される測定値に基づいて寿命判断を行うことにより誤りのない二次電池の寿命判定を行えるという優れた効果を有し、携帯電子機器等の二次電池を使用した機器において有用である。
本発明の実施の形態である二次電池の寿命判定装置の概略を示す構成図 実施の形態の情報処理手段4により実行されるフローチャート 定電流充電・定電圧充電を行ったときの劣化時の電圧特性変化を示した図 本発明を説明するための等価回路図 図4の等価回路でC1への電荷移動を無視できる状態での等価回路図 従来の電池の等価回路図 電荷偏りまで説明するための等価回路図 二次電池の周囲温度−内部抵抗の関係を示した一例のグラフ 実際の二次電池の電圧・電流の変化の一例を示した特性図
符号の説明
1 充電手段
2 電流検出手段
3 電圧検出手段
4 情報処理手段
5 時間計測手段
6 温度検出手段
7 寿命表示手段
8 二次電池

Claims (2)

  1. 前記二次電池に対して定電流充電および定電圧充電を行う充電手段と、
    前記二次電池への充電電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記二次電池への充電電流を検出する電流検出手段と、
    充電時間を計測するための時間計測手段と、
    前記充電時間に基づいて前記二次電池の劣化度を判断する情報処理手段と、
    前記情報処理手段が二次電池の寿命の判断をした時にその結果を表示する寿命表示手段と、
    を備え、
    検出された充電電圧から定電流充電より定電圧充電状態になった時間および検出された充電電流から定電圧充電終了した時間に基づいて得られる定電圧充電時間を予め求めておいた寿命判定基準時間と比較することにより前記情報処理手段が二次電池の寿命を判断することを特徴とする二次電池の寿命判定装置。
  2. 前記二次電池の周囲温度を検出する温度検出手段をさらに備え、
    前記周囲温度に基づいて寿命判定基準時間を補正することを特徴とする請求項1に記載の二次電池の寿命判定装置。

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