JP2007077722A - 作業機械用ブレード装置と同ブレード装置を搭載した建設・土木車両 - Google Patents

作業機械用ブレード装置と同ブレード装置を搭載した建設・土木車両 Download PDF

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Abstract

【課題】牽引力あたりの土量の大幅な増大、掘削・運土中の抵抗力の軽減、消費馬力の大幅な低減、短時間に最少のエネルギー量で最大の掘削・運土量が得られることに加えて、従来のセミU型ブレードを確実に越える掘削効率を得ることができる作業機械用ブレード装置を提供する。
【解決手段】中央前面部12は、下端が掘削方向に直交して左右に延びるブレード幅W1を有し、その下端に第1切刃15を有し、連結前面部13及び端部前面部14も、その下端に刃幅がW2,W3の第2及び第3の切刃16,17を有し、前記連結前面部13及び端部前面部14の交差線は、前記ブレード装置上面視の左右方向において作業機械と接続するためのリフトフレーム3のブレード装置背面に設けられた左右一対のブラケット25aの内側の位置にあり、前記第2切刃16の刃幅W2に対する第3切刃17の刃幅W3の比の値W3/W2が、0.5よりも大きく、2よりも小さく設定する。
【選択図】図5

Description

本発明は、ブルドーザやホイールローダなどの各種の作業用車両に装備されるブレードに関し、特に、掘削、運土、整地などの作業に好適であって、作業能率に優れ、燃費効率や経済性などの向上を実現する作業機械用のブレード装置と同ブレード装置を備えた建設・土木機械に関する。
建設工事や土木工事等の各種の作業現場では、例えばブルドーザやホイールローダなどの各種の作業機械が多用されている。この種の作業機械には作業用アタッチメントであるブレード装置が装備されている。このブレード装置は掘削、運土、盛土、締固め、整地などのドーザ作業に広く使用されている。
この作業機械において最大の作業能率を発揮させるためには、1サイクル当たりの運土量をできるだけ増大させること、掘削・運土中の抵抗をできるだけ小さくすること、各種の異なった土質に適合できることなどの様々な条件を満足することが要求される。また、同時に盛土、締固め、整地をも同時になし得ることは、更に作業効率の著しい向上につながるため好ましい。これらの条件を満足する最適なブレードの構造、形状、幅、高さ、切刃(カッティングエッジ)の位置や掘削角度などを見い出すことが、作業機械の作業能率を向上させ、燃料消費量を減少させ、全体工期を短縮させることなどの利点につながる。
ところで、ブルドーザにおいて掘削・運土作業を行うに際して必要とするエンジン出力の大部分は、車両の駆動力や掘削・運土時の牽引力などにより消費される。従って、動力伝達中のエネルギー量の損失を低減させ、燃費効率を向上させることが重要である。また、掘削・運土中の抵抗を低減することなども強く要求される。一般に、中型や小型ブルドーザは、大型ブルドーザと比較すると運土距離が短い。前述の要求に応えられれば、従来と同様の容量を有するブレードや牽引力であっても、掘削・運土中のエンジン出力を有効に使うことができるようになる。
従来からよく知られたブレード装置として、例えば実開平4−92064号公報(特許文献1)には、土木車両の機体の下端前部に第1ブレード部材が取り付けられ、同第1ブレード部材の左右両端部に第2ブレード部材を前方に折り曲げて張り出したブレード構造が開示されている。この文献1に開示されたブレードはUドーザなどと呼称されて使用され、ブレード面は一定曲率の円弧面や上下に異なる曲率を有する湾曲面などの様々な形態に製作されるが、掘削・運土作業における牽引力あたりの消費馬力を減らし、燃費効率を高めることができたかを具体的に示されていない。このように、従来の技術においては、掘削・運土中のエネルギー量の有効使用と低燃費とを同時に実現するものではなかった。
そこで出願人は、こうした課題を解消すべく、先にWO 2004/044337 A1(特許文献2)により、従来にない全く新しいブレード構造を提案した。
この特許文献2に開示されたブレードは、中央前面部と、その左右端部から後方に屈曲して拡開しながら延びる連結前面部と、連結前面部から屈曲して前方に拡開しながら延びる端部前面部とを有し、前記中央前面部は、下端が掘削方向に直交して左右に延びる所要のブレード幅を有するとともに、その下端に第1切刃を有し、前記連結前面部及び端部前面部も、その下端に第2及び第3切刃を有しており、前記連結前面部及び端部前面部の交差線と、前記第2切刃と第3切刃との刃先同士の交点とが、上面視で前記第1切刃の刃先よりも後退位置にあり、前記中央前面部、前記連結前面部及び前記端部前面部の各前面が上端から下端にかけて連続する凹み状の湾曲面に形成されるとともに、その中央前面部は下端のブレード幅が小さく上端に行くほどブレード幅を漸増させた特殊な形状をしている。
この特許文献2のブレードが適用される作業機械としては、例えば建設・土木機械が含まれ、その代表的な建設・土木機械として、ブルドーザ、ホイールドーザ、モータグレーダなどの建設・土木車両などが挙げられる。なお、本明細書において使用される本発明に係るブレード装置の「正面視」及び「上面視」とは、ブレードを掘削効率の高い刃先角にて地表に接地したときの正面視及び上面視を指し、「前方」及び「後方」とは、ブレード装置の接土面側を前方、その反対側を後方という。また、ブレード装置の「左右方向」とは、上面視で前後方向と直交する方向をいう。
前記ブレード装置のブレードは、ブレード前面の一部を構成する中央前面部を有するとともに、ブレードの左右両側端部において前方に拡開するように張り出す左右の端部前面部を有する点では従来のセミU型ブレードと同様であるが、前記中央前面部と左右の端部前面部との間にそれぞれ連結前面部が配されており、前記左右の連結前面部が中央前面部の左右端部にて後方に拡開するように屈曲して延設され、左右の前記端部前面部が同連結前面部の後端縁から中央前面部下端の延長線と平行か、又は前方へと更に拡開しながら延設されている点で、従来のブレードとは大きく異なっている。
ところで、このように掘削、運土、整地など各種作業に適用されるブレードとは異なるものの、本発明のブレード形状によく似た形状を備えたブレードがWO 93/22512号公開公報(特許文献3)に開示されている。この特許文献3に記載されたブレードは、ゴミ廃棄場などにおいてゴミを広げながら圧縮する埋立て用の圧縮作業車両に適用される。そのブレードの形状は、従来のブレードと同様に左右端部に車両の走行方向に両翼状に拡開して突出する端部ブレード部と、左右の端部ブレード部間を連結する一枚の平板状の中央ブレード部と、その中央ブレード部の上下方向の途中から下傾斜させて車両走行方向に突設された矩形箱状の突設部とを備えている。また、前記圧縮作業車両の走行装置には鋼鉄製の車輪が採用されており、この車輪にてごみなどを圧縮処理する。この特許文献3により開示されたブレードは、ごみなどを拡散させる機能と、ごみなどを圧縮する処理量を制御すると同時に、圧縮部材である左右の車輪間に形成されている空間部に過大な量のゴミなどが入り込んで、車体の下面に損傷を与えることのないように、前記空間部に送り込むゴミの量を制限するための機能とを重視して開発されたものである。そのため、そもそもが機能的に異なる本発明のブレード形状とはその機能も大きく異なっている。
実開平4−92064号公報 WO 2004/044337 A1号公開公報 WO 93/22512号公開公報
特許文献2により提案された上記ブレードは、中央前面部の第1切刃先端の延長線と前記端部前面部の第3切刃の先端とをほぼ一致させるか、第3切刃が僅かに後退する位置にあるようにしている。その結果、前記第1切刃が端部前面部の下端に配される第3切刃に先行して土砂を掘削するため、連結前面部及び端部前面部による掘削力が低減され掘削を容易にする。しかし実施に当たっては、前記第3切刃の先端を第1切刃の前方に僅かに突出する場合もある。この場合、第3切刃の先端が第1切刃に先行して掘削することになるが、その突出量は極めて少なく、前記端部前面部の第3切刃全体としての実質的な掘削力は前記第1切刃の掘削力と比較すると極めて小さいため、その突出による影響はない。
従って、上記特許文献2に記載されたブレード装置によれば、従来と比較して前記第3切刃に作用する牽引力が大きく緩和され、掘削抵抗や運土抵抗などの抵抗力が前記第1切刃と前記第3切刃とにわたりほぼ均一に作用するとともに、前記第1切刃と前記第3切刃との双方に牽引力が有効に作用することとなり、前記第3切刃により掘削された土と前記第1切刃により掘削された土とが第2切刃を介して円滑に合流する。また、連結前面部と端部前面部との交差部の前面領域が土溜部となるため、効率的で且つ大量の運土を抱え込むようになる。
これらの相乗的な作用効果によって、前記抵抗力が軽減され、牽引力あたりの土量を大幅に増大することができるようになる。しかも、掘削・運土中の消費馬力を大幅に低減することができ、短時間に最少のエネルギー量で最大の掘削・運土量を得ることができるようになり、前記作業機械の燃費効率が著しく向上して土工量当りのコストの低減を実現することができる。
こうして上記特許文献2に記載されたブレード装置は、その特殊な構造によって従来のブレードには到底期待することができない極めて優れた作用効果を奏するものの、その中央前面部、連結前面部及び端部前面部の設計如何によっては、同じブレード幅をもつ従来のセミU型ブレードと比較して、数は少ないが掘削効率の点で下回ることもある。
本発明は、こうしたブレード自体の設計上の課題を解決することが主な目的であり、具体的には上記特許文献2がもつ前記抵抗力の軽減、牽引力あたりの土量の大幅な増大、掘削・運土中の消費馬力の大幅な低減、及び短時間に最少のエネルギー量で最大の掘削・運土量が得られるという利点を踏まえ、従来のセミU型ブレードを確実に越える掘削効率を得ることができる作業機械用のブレード装置を提供することにある。その他の目的は、以降に述べる発明の最良の実施形態により明らかにされる。
上記課題は、本発明の基本構成である、各種の作業用機械に装着されるブレード装置であって、ブレードは、中央前面部と、その左右端部から掘削方向後方に屈曲して連設された連結前面部と、前記中央前面部下端の上面視における延長線に対して平行又は前方に突き出すように同連結前面部に更に連設された左右の端部前面部を有し、前記中央前面部は、下端が掘削方向に直交して左右に延びるブレード幅W1を有するとともに、更にその下端に第1切刃を有するとともに、前記連結前面部及び前記端部前面部も、その下端に刃幅がW2,W3の第2及び第3の切刃を有してなり、前記連結前面部及び端部前面部の交差線が、作業機械と接続するためのリフトフレームの取付部としてのブレード装置の背面に設けられた左右一対のブラケット位置の内側にあり、前記第2切刃の刃幅に対する第3切刃の刃幅W3の比の値(W3/W2)が、0.5よりも大きく、2.0よりも小さく設定されていることを特徴とする作業機械用ブレード装置によって効果的に解消される。更に好ましくは、前記比の値(W3/W2)が0.7以上、1.3以下であるとよい。
また、前記中央前面部の下端のブレード幅W1は、前記左右一対のブラケット装置間の長さの0.4〜0.9倍の寸法とし、前記中央前面部と前記連結前面部の各切刃の後方屈曲角δを、14度より大きく30度より小さく設定することが好ましい。
勿論、本発明のブレード装置のブレード全体を板金により構成してもよいし、一部を鋳造体から構成してもよい。一部を鋳造体から構成する場合は、前記鋳造体と板金との端面同士の連結線が正面視で水平直線又は垂直線上にあるようにするとよい。
また、これらのブレード装置は各種の作業機械に装備させることができるが、特に建設・土木車両に好適に装備することができる。
作用効果
本発明におけるブレード上の運土の外観形状は、特許文献2に開示されたブレードと同様、前記中央前面部の上端から下端にかけて、その中央部にて安息角を越えて前方へと大きく盛り上がった形状となる。一方、上述のような従来のブレードでは運土の外観形状は、ブレードの上端から下端にかけて略安息角に等しい傾斜角をもつ直線的な平面形状となる。すなわち、本発明もまた前記特許文献2と同様に、短時間に最少のエネルギー量で最大の掘削・運土量を得ることができ、作業機械の燃費効率が著しく向上して土工量当りのコストの低減が実現される。
ところで、特許文献2に開示されたブレードの提案を行ったのち、引き続き多様な試験を重ねているうちに、既述したような課題のあることが分かった。そこで、様々な試験と設計を繰り返し行ったところ、上述のような掘削効率のばらつきの原因が、ブレード容量に応じた中央前面部、連結前面部及び端部前面部の最適な形状や各前面部のブレード幅の相対的な割合などを客観的に決定するための指標が確立されていないことに依ることを知った。試験の結果によれば、上述のような全体構造を有する本発明に係るブレード装置の掘削効率は、ブレード装置の全体のブレード幅が全体のブレード容量で決まり、中央前面部の下端ブレード幅W1が左右走行装置の中心線間の寸法でほぼ決まるため、残る連結前面部の第2切刃と端部前面部の第3切刃の各刃幅を如何に決めるかが重要である。
中央前面部の左右端から後方に延在する連結前面部と、左右の連結前面部の各後端から中央前面部の下端延長線に平行に、或いは掘削方向前方に向けて延出する端部前面部とは、連結前面部及び端部前面部にて掘削した土を抱え込み、上方へと運び上げるとともに、連結前面部の中央前面部との屈曲面を経て中央前面部へと流動堆積する機能を有している。また、端部前面部が中央前面部の下端延長線に平行な場合は、特殊な機能であり整地などに好適であるが、主な機能はサイド掘削にあり、更には連結前面部との間で抱え込んだ土を脇から溢れ落ちないようにする機能を有している。
これらの機能のいずれに重点を置くかによって、連結前端部の第2切刃と端部前面部の第3切刃との相対的な切刃の刃幅寸法が決められる。このとき、前記相対的な刃幅寸法は連結前面部と端部前面部の後端交差角にも影響を与える。そのため、第2切刃と第3切刃の各刃幅を一律に決めることができない。そのような事情の下で、発明者等は掘削効率の安定化と所要の抱え込み量の確保に最も貢献できる第2切刃と第3切刃の相対的な寸法について数々の試験を重ねた。その結果、第2切刃の刃幅W2に対する第3切刃の刃幅W3の比の値(W3/W2)が0.5から2まであるときが、掘削効率の安定化と所要の抱え込み量の確保に好適であることを知った。この比の値が0.5以下であるときは土が脇から溢れ落ちる量が増え、結果的に抱え込み量が低下する。その値が2以上であると掘削量は増えるが、抱え込んだ土を円滑に中央前面部へと運ぶことができなくなり、結果的に中央前面部の堆積土量が低下する。より効果的な比の値(W3/W2)は0.7以上、1.3以下である。
更に、前記中央前面部の下端のブレード幅W1を、ブレード装置の背面に作業機械と接続するためのリフトフレームの取付部としての前記左右一対のブラケット装置間の長さの0.4〜0.9倍の寸法とし、前記中央前面部と前記連結前面部の各切刃の後方屈曲角δを、14度より大きく30度より小さく設定すれば好適である。ブレード幅W1を上記のように設定すると、ブラケット装置に接続されたリフトフレームを介して効率よく、掘削・運土の力を作業機械に伝達することができる。また、中央前面部と連結前面部との各切刃の後方屈曲角δの設定により、中央前面部の掘削力の効率化と相まって、より多くの土量を抱え込むことが出来る。
更に言うと、前記中央前面部と前記端部前面部との各切刃の延長線同士が交差する交差角θを、0°より大きく30°より小さく設定するとよい。例えば、現場の土質が柔らかく整地機能だけの機能でよいという場合には、θを限りなく0°に近づける。一方、土質が硬く、サイドカット機能が必要なときは、θの値をある程度大きくする必要がある。従って、このθの値を、その端部前面部に要求される機能に応じて決めればよく、その範囲を0°より大きく30°より小さな角度の範囲内で設定すればよい。この交差角θが30°を越えると、端部前面部の第3切刃の刃先に負荷が集中して、掘削時に過大な負荷がかかり過ぎ、切刃全体に均等に負荷がかからず刃先の折損などを伴うことにもなりかねない。一方、既述したとおり、本発明のブレード装置は整地機能も兼ね備えている場合が多い。そこで前記交差角を限りなく0°に近づける場合もある。ところで、これらの各切刃の長さ、後方屈曲角δ,交差角θの決め方によっては、前記端部前面部の端部位置が、前記中央前面部の延長線より前方に位置することがあるが、前述の通り、これがわずかであれば、実質的な掘削力に影響はない。
本発明のブレード装置におけるブレードを全て板金にて構成し、これを溶接により組み立てることができる。また、溶接の容易性を考慮したとき、例えば中央前面部の一部と連結前面部及び端部前面部を背面支持部とともに一体鋳造して必要最小限の奥行きで所要の剛性と強度を確保するとともに、一方の板金部には主に板金からなる背面支持部材を配し、必要ならばその一部に補強リブを一体に鋳造した背面支持部材を配するようにする。かかる構成を採用することにより、湾曲部や屈曲部においても滑らかな面が得られると同時に、所要な剛性と強度を確保するとともに、必要最小限の容積と重量をもつブレード装置が得られる。しかも、中央前面部部と連結前面部との端面同士を溶接する溶接部位を正面視で直線的に形成すと、ロボット溶接も容易に採用することができるようになり、同時に製作費の低減や製作時間の大幅な短縮が実現できる。
本発明のブレードは、既述したとおり左右方向の屈曲面と上下方向の湾曲面とをもつ特殊な形状を有している。このうち、その屈曲領域の全てを含んで一体鋳造体とすることができ、中央前面部の主要領域だけに所要の湾曲面をもつ板金から構成する。また、前記湾曲面とともに中央前面部の下端から上端にかけて左右両端部が上方に拡幅する形状を有する場合には、その背面支持部を含めた左右端と連結前面部との境界線は必然的に上下方向に湾曲し、同時に左右の屈曲も上下方向で大きくかつ複雑であるため、この境界線領域にて溶接することは可能な限り回避することが得策である。そこで、本発明のように複雑な形状と構造を備えたブレードの場合には、板金部分と鋳造体部分との連結境界線を正面視で垂直線にする。
更に、前記一体鋳造部の背面支持部に、作業機械の本体に一端部を枢支した左右のリフトフレームの各他端部を枢着するブラケットを一体に鋳造することにより、従来のごとく背面支持部材へのブラケットの溶接が不要となるばかりでなく、必要なブラケット強度も得やすくなる。このとき、前記ブラケットを設ける背面支持部とブラケットとの間を連続する中実構造にて鋳造するとともに、他の背面支持部を中空構造とすれば、必要な剛性と強度が容易に確保されるようになると同時に、軽量化をも達成できる。また本発明にあって、上面視で、前記中央前面部、連結前面部及び端部前面部の下端のブレード全幅Wを作業機本体の内側幅W0の2.3〜3.0倍の寸法に設定すると、掘削・運土時の作業機全体の前後・左右のバランスがよくなり、作業機全体の操作性が向上し、赤化的に掘削性能を十分に発揮させるとともに、燃費などの浪費が防げる。
前記連結前面部及び端部前面部の占める幅を狭くし、且つ掘削抵抗や運土抵抗などの抵抗力を小さくして運土量を大幅に増大させようとするには、中央前面部のブレード幅を広くするとともに、連結前面部及び端部前面部の下端に沿った長さを所要長確保するには、上面視で連結前面部と端部前面部との交差する角度を小さくしなければならなくなる。その結果、必然的に中央前面部の切刃位置とブレードを支持するリフトフレームの支持点との間の距離を広げなければならなくなる。
このように中央前面部の切刃位置とブレードを支持するリフトフレームの支持点との間の距離が増大すると、掘削時における地表の凹凸面の影響を大きく受けるようになり、車両が前後でピッチング動作を起こしやすく、結果的にブレードが上下に大きく揺動し、中央前面部による安定した掘削ができなくなり、掘削面が凹凸面となりやすく、均整に均すことができなくなる。これらを考慮するとき、上述のように上面視で前記中央前面部のブレード幅は連結前面部及び端部前面部のブレード幅を考慮して決める必要がでてくる。本発明では、前記中央前面部のブレード幅を左右の走行装置の中心間の距離であるゲージ幅に略等しく設定することが好適であり、この様なW1の値は、リフトフレームの取付部としての左右一対のブラケット間の長さの0.6〜0.7である。前記中央前面部の第1切刃の刃幅あたりの実効掘削力が増大して効率的な掘削と運土を可能にすると同時に均整な地均しを可能にする。
特に、前記連結前面部は、掘削・運土時に前記端部前面部及び前記中央前面部の双方から移動してくる土を円滑に合流させ、その土を前記連結前面部と前記端部前面部の各ブレード前面に沿って盛り上げて抱え込む。このため、土量の損失を減らすと同時に、前記端部前面部から前記中央前面部に向けて流れ込もうとする土の抵抗を小さくして前記中央前面部のブレード前面に堆積される土量を既述したように大幅に増大することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。本発明のブレード装置は、各種の作業機械に装備される作業用アタッチメントとして使用できる。本発明に適用される作業機械としては、例えば建設・土木機械が挙げられる。本実施形態では、建設・土木機械として図示せぬブルドーザを例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばホイールドーザ、モータグレーダなどの建設・土木車両などが含まれる。
本発明の代表的な構造例によるブレード装置10は、図1〜図5に示すように、上下に凹み状に湾曲する湾曲形状とされたブレード11を備えている。本実施形態では、好ましい態様の一つである、一部に一体鋳造構造を備え、他の部分に板金構造を採用している。なお本発明は、上記特許文献6により提案されたブレード全体が板金製の場合をも当然に含むものである。
本発明のブレード装置10の前面部は、上記特許文献2に開示されたブレード装置前面部の基本形状に基づいているため、その基本形状に基づく具体的な作用効果は、既述したとおり、同文献2に記載された作用効果と同等である。従って、それらの作用効果についての説明は簡単な説明に止め、本発明が備える特有な構造とそれに対応する特有の作用効果を中心に詳しく説明する。本発明に係るブレード装置10のブレード11は、図1に示す基本構造を備えている。すなわち、同ブレード11は、前面が上下に凹状に湾曲する湾曲面とされている。同ブレード11は、下端に直線状の第1切刃15を有する中央前面部12と、同第1切刃15に連続して後方に所定の屈曲角δをもって拡開して延びる第2切刃16を有する左右一対の連結前面部13と、同第2切刃16の外側端に連続して結合され、第1切刃15の延長線と所定の交差角θをもって拡開しながら前方向に延びる直線状の第3切刃17を有する左右一対の端部前面部14とにより構成されている。
本発明のブレード装置10にあって、図5に示すように、上面視で前記端部前面部14の第3刃先17の先端を中央前面部12の側縁及び第1切刃15のほぼ延長線上に配しているが、同延長線より後退させても、或いは前記延長線より前方に僅かに張り出させるようにしてもよい。要は、中央前面部12の左右側縁に連続して連結前面部13を後方に拡開しながら屈曲して延設するとともに、左右の連結前面部13の各外側の側縁部から前方に拡開しながら屈曲して連設されていればよい。ただし、前記連結前面部13及び端部前面部14の交差線と第2切刃16及び第3切刃17の交点Cとが、中央前面部12の左右側縁及び第1切刃15よりも後方位置になければならない。本発明にあっては、端部前面部14は中央前面部12の下端の延長線に平行に延設されている場合をも含んでいる。
ここで、本実施形態にあって上記特許文献2と異なる1点は、本実施形態が前記中央前面部12の左右両端領域B、前記連結前面部13及び前記端部前面部14が各背面部をも含めて鋳造一体化されている点であり、また前記中央前面部12の中央主要領域Aは前面板106と後述する背面支持部材107とが別個に形成され、これを溶接により一体化して構成している点である。ここで、本実施形態による中央前面部12の前記前面板106の少なくとも中央主要領域Aは圧延鋼からなる板金製であり、この前面板106に対応する背面支持部材107には、一部に板金を使い、強度が必要な部分には他の一体鋳造された部分とは別に鋳造される背面支持部材専用の鋳造品が使われている。また、本実施形態では、鋳造部分をも含めて前記中央前面部12の上端縁に沿って台形状の板金材18が溶接等により延在している。この板金材18の左右三角部分は複数本の格子18aをもつ格子部とされている。この格子部は、作業時にオペレータがブレード装置両端部前方に在る土量を視認するために設けられている。板金材18の中央矩形部は運土時に中央前面部に堆積した土が後方にこぼれ落ちないようにするスピル・ガードの機能を有する。
ところで、本発明のブレード装置を全て板金材により形成しようとすると、部品点数が極めて多くなるだけでなく、既述したとおり、その特異な形状により極めて高精度の位置合わせと高い溶接技術とが要求される。更には、連結前面部と端部前面部との屈曲境界部に格別に補強リブなどを設けなければならず、同時に支持部材自体の剛性と強度を高めるため板金の肉厚を厚くしなければならず、そのため重量が大きくなってしまう。しかし、小容量のブレードであったり、汎用性のあるブレード容量ではなく、特注品であるような場合には、トータルコストが相対的に高くできるため、必ずしも本実施形態のように鋳造品を併用する必要はない。
本実施形態では、正面視で略逆台形の全体形状をもつ中央前面部12を、図1及び図2に示すように、中央主要領域Aの矩形分割中央部12aと、その左右両端領域Bである略逆三角形の分割端部12bとに3分割している。この分割端部12bには後方に後述するような所要の後方屈曲角δをもって後方にV字状又はU字状に拡開させて連結前面部13が連結され、更に同連結前面部13には中央前面部12の下端刃先の延長線と所要の交差角θをもって前方にV字状又はU字状に拡開させて端部前面部14が連結されている。このとき、前記中央前面部12、連結前面部13及び端部前面部14の前面は、その全面又は一部全面が上下方向に同じ曲率をもって凹み状に湾曲している。
本実施形態では、既述したとおり、前面に左右の屈曲面と上下の湾曲面とを有する中央前面部12の前記分割端部12b、連結前面部13、端部前面部14を、背面支持部107をも含めて一体鋳造して一体鋳造部101を構成している。一方、上記中央前面部12の矩形分割中央部12aは、その主要構成部材である前面板106を板金からなる板金部105によって構成する。
前記矩形分割中央部12aは、前記前面板106と後述する背面支持部材107とを備えている。前面板106は、図2に示す正面視において、横長の矩形状を呈しており、上述のように略逆台形の形状を有する中央前面部12の上底部の両端部から下底部に向けて垂直に切断したときの中央矩形部分、すなわち矩形分割中央部12aの前面を構成する板材である。その切断された残りの部分である両端逆三角形部分が上記連結前面部13及び端部前面部14とともに、それらの背面支持部をも含めて一体に鋳造されて分割端部12bを構成する。本明細書では、板金で構成される前記中央前面部12における前記前面板106、その上端縁に延設された上記板金材18及びその背面支持部材107を含む領域を板金部105と呼び、同板金部105を除く他のブレード部の後述する背面支持部103をも含めた一体鋳造される領域を一体鋳造部101と呼んでいる。前述のように中央前面部12を矩形分割中央部12aと三角形分割端部12bとに垂直線を介して三分割すると、矩形分割中央部12aと三角形分割端部12bとの前面は滑らかに連続する湾曲面に形成されることとなり、同時にその結合線は正面視で湾曲面に沿った直線状となるため、組立工程における溶接を、人手に頼らない溶接ロボットを使った自動溶接が可能となる。
図4及び図5は、本実施形態による前記ブレード装置10をブルドーザ1に装備したときの概略構成を示している。ブレード装置10はブルドーザ1の前部に配され、基端が履帯式走行装置2の中央部に枢支され前方に延出する一対のリフトフレーム3、基端が同リフトフレーム3の中央部に枢支され前方に延出する(油圧)チルトシリンダー4、運転室前部に配されるエンジンルーム5の側壁部にシリンダー本体の一端が枢支された(油圧)リフトシリンダー6、及び前記リフトフレーム3に基端が枢支され上面視で前記ブレード11の背面中央部へと斜めに延びるストラットアーム7の各前端部が枢着される。そのため、通常はブレードの背面支持部材にはリフトフレーム等を支承するためのブラケットが溶接により後方に突設されている。本実施形態にあっては、図11及び図12に示すように前記ブレード11の左右一対の一体鋳造部101にあって、その背面部103の外側下端隅部から後方に前記リフトフレーム3の前端部を支承する左右の第1ブラケット25aがそれぞれ一体に鋳造されて突出しており、また前記背面部103の前記ブラケット25aの上方部位には上記(油圧)チルトシリンダー4の前端部を支承する第2のブラケット25bが一体に鋳造されて後方に突出している。
本実施形態における前記連結前面部13の前面は、中央前面部12とは逆に上端から下方向に向けて漸次幅広に形成された略三角形状又は縦長の台形形状を呈しており、前述のごとく図2に示す正面視において、その一側縁が前記中央前面部12の連結側端縁と同一方向に湾曲して延びている。また、前記端部前面部14の前面は、正面視で上端から下方に向けてほぼ同一幅であり、中央前面部12及び連結前面部13と同じ曲率をもつ凹み状に湾曲した縦長の略矩形状に形成されている。ここで本実施形態にあっては、前記中央前面部12の下端の延長線は、端部前面部14の先端位置とほぼ一致している。ブレード11の全体形状は、正面視で左右に長い矩形状を呈する。これらの前面部12,13,14の前面同士は、図1に示すように、それぞれが左右の水平方向に大きく広がるV字状に結合されている。図示例ではV字状を示しているが、この形状に必ずしも限定されるものではなく、例えば開口端が大きく開いたU字状としてもよい。ここで正面視とは、図4に示すような地面に対する刃先角α(本実施形態では掘削角βに等しい。)を掘削効率の高い角度にて切刃を接地させたときの正面視をいう。
前記掘削効率は、前述のごとく刃先角αによっても変わってくるが、本発明者の試験によると、他の要因も関連してくるが、連結前面部13の第2切刃16と端部前面部14の第3切刃17とが大きく影響することが分かっている。その影響とは、第2切刃16の刃幅と第3切刃17の刃幅との相対的な寸法の決め方による。
一方、本発明に係るブレード装置10にあって、全体ブレード幅W及び中央前面部12のブレード幅W1はブレード容量と車両の大きさにより決まるため、交差して後退位置にある上記連結前面部13の前端と端部前面部14の前端とを結ぶ直線距離も必然的に決まってくる。しかるに、上記連結前面部13の前端と端部前面部14の前端とを結ぶ直線距離は決まるものの、前記連結前面部13及び端部前面部14の下端の各ブレード幅W2,W3のいずれを長くするかを一律に決めることはできない。何故ならば、図6(a)〜(c)に示すように、例えば中央前面部12の刃先の延長線と、連結前面部13及び端部前面部14の刃先同士の交点Cとの間隔、即ち後退量Wtと、連結前面部13の前端と端部前面部14の前端とを結ぶ直線距離W4とを一定としたとき、掘削効率が高く且つ旋回押し回し時の落土量を少なくできる上記後方屈曲角δ及び交差角θを変更したときの連結前面部13及び端部前面部14の下端における各ブレード幅W2及びW3の長さ割合の変化を示している。
同図(c)において、端部前面部14の第3切刃17のブレード幅方向の長さが、連結前面部13の第2刃先16のそれよりも長い場合はサイドカット量が大きく、且つ端部前面部14から側方へと流れ出る土量も少なくなる。また、反対に連結前面部13の第2刃先16のブレード幅方向の長さが、端部前面部14の第3刃先17のそれよりも短い場合(同図(a))はサイドカット量が少なくなり、端部前面部14から側方へと排出される土量も大きくなる。
最も理想的な態様は、連結前面部及び端部前面部での掘削が、中央前面部での掘削と調和してブレード装置全体として最大の掘削力を示す状態だが、その一例は、同図(b)に示すように、連結前面部13及び端部前面部14の下端ブレード幅W2,W3の値が等しいときであるが、第2切刃16の刃幅W2に対する第3切刃の刃幅W3の比の値(W3/W2)が0.5〜2の範囲であれば、掘削効率のバラツキをなくし、しかも従来の掘削効率を上回って安定化させることができる。更に好ましい比の値(W3/W2)は0.7以上、1.3以下である。
また掘削効率は、作業用機械の大きさに関連づけられる中央前面部12の下端ブレード幅W1、上記第1切刃15に対する第2切刃16の後方屈曲角δ、及び第1切刃15の延長線と連結前面部13及び端部前面部14の各刃先の交点Cとの間の間隔(以下、後退量という。)Wtも大きく影響することが他の試験により分かっている。W1は、左右一対のブラケット装置25aの間隔の0.4〜0.9倍の寸法を取りうるが、掘削・運土、更には、サイドカットを行う際の効率等を考慮し、本実施形態では、前記中央前面部12の下端ブレード幅W1は左右の走行装置(履帯)の幅中央間の間隔WG(ゲージ幅)とほぼ等しく設定している。
図7は、その試験による結果を示しており、前記中央前面部12の下端のブレード幅W1の変化に対応する掘削効率は、前記第1切刃15に対する前記第2切刃16の後方に屈曲する後方屈曲角δと、前記第1切刃15の延長線と前記第2及び第3切刃の刃先(16,17) 同士の前記交点Cとの間の後退量Wtとの相関で決まってくることを示している。ただし、この図7は、本発明のブレード装置に最も近い形状をもつセミU型ブレードを基準としているが、他の機種についても実効上は同様の相関があるといえる。
同図の横軸は、前記ブレード幅W1の最も標準的な長さ(ブレード装置が装着される車両走行装置のゲージ幅)を10(無単位)とし、これを基準として、その長さの変化を示している。すなわち、例えばブレード幅W1の実際の標準長さがM(mm)であれば、Mを10として、これより小型のブレード幅がL(mm)であれば、10×L/Mで得られるLが横軸上に示す値に対応し、また標準長さより大型のブレード幅がN(mm)であれば、横軸上では10×N/Mが横軸上の値に対応する。また、同図の縦軸は掘削効率の変化を示しており、その基準値にはセミU型ブレードの掘削効率を100%として、同じブレード全幅をもつ本発明のブレードによる掘削効率(%)の変化を示している。同図において、一点鎖線で示す曲線群は、上記後方屈曲角δを変更させたときのブレード幅W1の変化に応じた掘削効率の変化を示している。一方、破線で示す直線群は、上記上記第1切刃15の延長線と前記第2及び第3切刃の刃先16,17同士の前記交点Cとの間の後退量Wtを変更したときのブレード幅W1の変化に応じた掘削効率の変化を示している。ここで、Wtは無単位の係数であり、これに基準値(M/10)を掛けた値が実値となる。
従って、装着される車両の走行装置の幅により決まる中央前面部12のブレード幅W1をもつ本発明のブレード装置10を設計するにあたって、ブレード幅W1を通る縦軸線上において一点鎖線の直線群と破線の直線群とが交わるときの各直線に対応する後方屈曲角δ及び後退量Wtを採用すれば、所望の掘削効率が得られることになる。これを同図に基づいて、中央前面部12のブレード幅W1を10(横軸の中央部)としたときの、例えば同一の中央ブレード幅をもつセミU型ブレードを越える掘削効率が実現されるためには、上記後方屈曲角δをほぼ16.2°とし、上記後退量Wtを0.63とすると、セミU型ブレードと同等の掘削効率が得られる。
すなわち、中央前面部12のブレード幅W1が10であるときには、後方屈曲角δを16°、後退量Wtを0.65とすれば、同一ブレード容量のセミU型ブレードと同等の掘削効率が確保され、この後方屈曲角δを16°より大きく、後退量Wtを0.65よりも大きく設定するとともに、この後方屈曲角δが16°以上の各一点鎖線と、後退量Wtが0.65以上の各破線とが、ブレード幅W1を通る縦軸線上で交差する点の後方屈曲角δ及び後退量Wtとして設定すれば、前記一点鎖線と破線との交点Cに見合ったセミU型ブレードを越える掘削効率が実現できるようになる。因みに、図示例にあってはブレード幅W1を基準値の10としたとき、後方屈曲角δを20°、後退量Wtを0.8に設定すると、掘削効率は122%となり大幅に増加する(図7)。
ところで、他の試験によると、旋回走行による押し回しを行うと旋回半径にもよるが数十秒のうちにブレード1の前面に積載された運土が連結前面部13を介して端部前面部14から流れ落ち、瞬時にして積土が零になる。その原因を追求したところ、上記後方屈曲角δが大きな原因の一つであることが判明した。すなわち、この後方屈曲角δを30°以上に設定すると運土の滑落が発生する。
一方、図7の相関図によれば前述の後方屈曲角δの範囲において、後退量Wtが大きければ、ブレード装置の掘削効率は大きくなることが分かる。しかしながら、後退量を大きくするために、中央前面部から後方屈曲角δにて連結前面部の下端の刃幅W2を延設した場合、その連結前面部と端部前面部の交点Cは、ブレード装置の背面に設けられたリフトフレームの取付け部であるブラケット装置に接近することになる。このブラケット装置は、前述したとおりブレード装置の掘削・運土の力を作業機械に伝達する必要があり、その力を受け止める強度が必要であると同時に、ブレード装置の前面との距離が大きくなると整地性が悪くなるとの弊害が生じる。つまり、連結前面部と端部前面部の交点Cは、前述のブラケット装置の内側の位置にあるのが好適である。したがって、後退量Wtの上限は、連結前面部と端部前面部の交点Cがブレード装置を前面視又は後面視したときにブラケット装置の内側の位置にあるときの後退量である。
また、連結前面部の刃幅W2がブレード幅W1と後方屈曲角δ、後退量Wtから決まると、端部前面部の刃幅W3は、連結前面部の刃幅W2の0.5〜2倍、より好適には0.7以上1.3以下とすると良いことがわかった。前述したとおり、中央前面部と前記端部前面部との各切刃の延長線同士が交差する交差角θは、土質の硬さやブレード装置の運土機能とサイドカット機能のどちらに重点を置くかにより0°より大きく30°より小さく設定される。特に、このサイドカット機能をもたせるときには、交差角θの設定と共に、端部前面部の切刃W3も、サイドカットするに必要な長さを持つ必要である。ブレード装置に要求される機能を満たす長さの比(W3/W2)が0.5から2の範囲であり、相反する機能をバランス良く両立できる好適な比が0.7以上1.3である。
図8〜図10は、上記ブレード11の図1におけるIIX-IIX 線〜X-X 線に沿った矢視断面図である。これらの図からも理解できるとおり、本実施形態によるブレード11の前面は、全体が中央前面部12の下端縁を中心線として後傾した上下の間で後方に凹む湾曲面に形成され、同時にその中央前面部12の前面のブレード幅は、W1−1,W1−2,W1−3の順に下端縁から上端縁にかけて徐々に拡幅されている。このように中央前面部12を上方に向けてブレード幅を漸次増大させると、中央前面部12、左右の連結前面部13及び左右の端部前面部14の第1〜第3切刃15〜17により掘削された土は、各湾曲面及び屈曲線を通って中央前面部12を上方へと順次押し上げる。このとき、中央前面部12は上方に行くに従い、その懐ろが徐々に広くなっているため、運土を多く受け入れることが可能となり、単なる矩形状の前面部と比較すると湾曲面であることも手伝って大量の運土を保持できるようになる。
図11及び図12は、左右一対の前記一体鋳造部101の全体形状を示している。同図からも理解できるように、前記一体鋳造部101は左右が面対称となる形状に形成されている。本実施形態による一体鋳造部101は、前面側に上記前面板部102を有するとともに、その背面側に背面部103と上記第1及び第2のブラケット25a,25bとを有している。前記前面板部102は全体にわたって同一の板厚に形成されている。ただし、この前面板部102にあって、中央前面部12の端部三角形部分12bと、連結前面部13と、端部前面部14との各屈曲結合部分の上端縁部だけは他の部分よりも板厚を厚くして剛性と強度を増している(図11〜図15参照)。
一方、前記一体鋳造部101の前記背面支持部105には、図11及び図12に示すように、上部の中央寄りと下端部に、背面視でそれぞれ左右に長い矩形筒状の第1及び第2の背面支持部103a,103bを後方に向けて突出させている。これらの背面支持部103a,103bの間は補強柱などにより補強され、その内部は軽量化のため左右に連通する空洞部とされている。その空洞部の縦断面形状は前記前面板部102の屈曲結合部に合わせて変化させており、特に上記第1ブラケット25aの鋳造位置では剛性と強度を確保するため同空洞部断面を最も小さくしている。
すなわち、図13は図2のXIII-XIII 線に沿った矢視断面図であるが、この断面図は上記連結前面部13及び端部前面部14の各前面板部102における屈曲線に沿った空洞部断面を示している。また、図14は図3のXIV-XIV 線に沿った矢視断面図であって、正面視で右側端部に形成された左右一対の第1ブラケット25aの中間部を通る垂直線に沿った断面を示している。図15は、同じく図3のXV-XV 線に沿った矢視断面図であり、一体鋳造部101と板金部105との境界線に近い鋳造部断面を示している。
これらの図からも理解できるように、前記空洞部は、連結前面部13と端部前面部14との境界部分で、前面板部102と背面支持部103a,103bとの下端部間の間隔が最も狭くなり、前記前面板部102の下端部が最も前方へと張り出している中央前面部12の左右分割端部12b,12bの各前面板部102と背面支持部103a,103bとの下端部間の間隔が最も広くなっている。また、左右の前記一体鋳造部101の各外側端面は、筒状の背面支持部103a,103bの端部の剛性と強度を確保するため、図16に示すように、外側に配される第1ブラケット25aの軸孔25a’と、“へ”字状の開口103b’と、その上方に矩形状の開口103a’を形成して、他の部分を全て所要の肉厚をもって閉塞させている。
一方、上記板金部105は中央前面部12の矩形分割中央部12aからなり、図2及び図3、並びに図17〜図20に示すとおり、一枚の板金から得られる前面板106と、同前面板106の背面に溶接により一体化される板金及び鋳造品からなる背面支持部材107とを備えている。この背面支持部材107は、図3に示すブレード装置10の背面視において、同ブレード装置10の上端縁から上記一体鋳造部101の上部に形成された筒状の第1背面支持部103aの上端縁まで、傾斜して溶接される偏平な台形状の板金からなる第1板金部107aと、左右一対の前記一体鋳造部101の筒状の各上部背面支持部103aの間を前記中央前面部12の中央矩形部分を挟んで溶接により連結する第2背面支持部材107bと、前記第1背面支持部103aと同第1背面支持部103aの下方に配される第2背面支持部103bとの間の空間部をブレード11の左右端にわたって溶接により閉塞する板金からなる第3背面支持部材107cと、左右の前記筒状の各第2背面支持部103bとの間を溶接により連結する第4背面支持部材107dとから構成される。
ここで、前記第1及び第3の背面支持部材107a,107cが板金製であり、第1及び第3背面支持部材107a,107cと前面板106との間には、図示せぬ複数の補強リブが介装されている。前記第2背面支持部材107bは左右に細長い断面がコ字状の単一の鋳造品からなり、前記第4背面支持部材107dは、図17〜図20に示すように、左側分割部材107d−2、中央分割部材107d−1、右側分割部材107d−3に三分割された鋳造品からなる。前記中央分割部材107d−1は断面コ字状のブロック体からなり、図17及び図18に示すとおり、中央部に上記ストラットアーム7の一端を支承する第4のブラケット25dを後方に突出させて一体に鋳造しており、その内壁面間には複数個の補強リブ107d−1’が同時に鋳造されている。前記左右に配される端部分割部材107d−2,107d−3も、前記中央分割部材107d−1と同様に内壁面間に複数の補強リブ107d−2’,107d−3’を有する断面コ字状のブロック体からなる。
また本発明では、上面視でブレード装置10の中央前面部12、左右の連結前面部13及び左右の端部前面部14を含む全体のブレード幅Wを、左右の走行装置の内側に配される作業機本体の内側幅W0の2.3〜3.0倍の寸法に設定している。全体のブレード幅Wと作業機本体の内側幅W0とを、このように設定すると、掘削・運土時の作業機全体の前後・左右のバランスが安定化し、作業機全体の操作性が向上し、結果的に掘削性能が十分に発揮されるとともに、燃費などの浪費も防げる。
さて、以上の構成部材からなる本実施形態のブレード装置10は、次のようにして組み立てられる。
先ず、上記左右一対の一体鋳造部101,101の前面板部の内側端面と、中央前面部12の矩形状前面板106の左右両端面とを突き合わせて、溶接により三者を一体化する。このときの溶接線は正面視で垂直線上にあるため、各部材の位置決めがなされると、溶接ロボットにより容易に溶接が可能である。この溶接の前に、前記一体鋳造部101の外側端面には、同外側端面の湾曲する前端縁よりも前方に延在する前後幅をもつ側板108がそれぞれ添着一体化されている。この側板108は、運土を抱え込んでブレード側部からの落下を防ぐとともに、端部前面部14を補強する機能をも有している。
こうして製作されたブレード11の背面に各種の上記背面支持部材107が順次溶接により一体に組み立てられる。この組立が終了したのち、上記第3背面支持部材107cと第4背面支持部材107dの上記左右の分割部材107d−1,107d−3とに跨がって、図3及び図4に示す左右一対二組の(油圧)リフトシリンダー6のピストンロッド端を支承するための三日月状の第3ブラケット25cが溶接により固設される。こうして組み立てられた本実施形態によるブレード11の中央前面部12,連結前面部13及び端部前面部14の各下端に沿って、第1〜第3切刃15〜17が従来と同様に固設されて、本発明のブレード装置10が完成する。前記第1切刃15は中央前面部12の下端に沿って平らな直線形状をなしている。そのため、掘削、運土及び整地の各作業ごとにブレード11を交換することなく掘削・運土作業・地均し作業に効果的に使用することができるようになり、各作業を円滑に且つ能率的に行うことができる。
こうして完成したブレード装置10は、中央前面部12の三角形分割端部12b、連結前面部13及び端部前面部14を一体に鋳造した一体鋳造部101を、中央前面部12の矩形分割中央部12aでもある板金部105の前面板106の左右端部に溶接によって一体化するだけで、中央前面部12の前面板106と、同中央前面部12の端部三角形部分、連結前面部13及び端部前面部14とが一気に組み立てられる。このとき、前記三角形分割端部12b、連結前面部13及び端部前面部14は筒状の第1及び第2背面支持部103a,103bと第1及び第2のブラケット25a,25bとが一体に鋳造されているため、他の格別な加工や組立が不要となり、溶接ロボットの採用と相まってブレード全体の組立性が向上し、その組立時間も大幅に短縮される。
また、この一体鋳造部101にあっては、前面板部102と背面部103とが最も接近する連結ブレード13と端部ブレード14との屈曲境界部を必要最小限まで接近させるとともに、剛性と強度が要求される部位、特にリフトフレーム3を枢支する第1ブラケット25aの鋳造領域では、前面板部102と第2背面支持部103bとを連続する中実構造として鋳造し、他の背面領域の前面板部102と背面部103a,103bとの間を中空構造とするため、ブレード装置10の前後幅を必要最小限に抑えることができるだけでなく、重量の低減も実現できる。特に、第1及び第2ブラケット25a,25bが第1及び第2背面支持部103a,103bに鋳造一体化されることにより、その基端部を背面部103内へと引き込ませるとともに、後方への突出量を少なく設計できるため、ブレード11の前後奥行きの最大寸法を更に小さくできる。一方、中央前面部12の板金部105の背面支持部材107も高い剛性と強度を要求されない領域には板金を使った中空構造を採用するとともに、高い剛性及び強度が要求される領域を鋳造品からなる補強リブ107d−1’,107d−2’,107d−3’を有する中空構造を採用しているため、ブレード全体に要求される剛性と強度を各領域において確保するとともに大幅な小型軽量化が達成できる。以上のとおり、組立性の向上と小型軽量化が達成されるため、経費の増加を回避できる。
更に本発明のブレード装置10によれば、既述したように上記特許文献6と同様のブレード前面形状をもつため、本実施形態にあっても前記連結前面部13の前面は、掘削・運土時に中央前面部12及び端部前面部14の双方の前面から移動してくる土を円滑に合流させる機能を有している。また前記端部前面部14は、掘削・運土中の土壌をブレード側方から外部にこぼれ出ないように確実に保持する機能を有している。前記連結前面部13と端部前面部14は、各ブレード前面に沿って土を盛り上げて抱え込むため、土量の損失を減らすとともに、端部前面部14から中央前面部12に向けて流れ込もうとする土の抵抗を小さくして中央前面部12のブレード前面に堆積される土量を大幅に増大することができる。
第1切刃15、第2切刃16及び第3切刃17は耐磨耗性に優れ、破損しにくい強靱な材料、例えばボロン鋼などから構成されている。上述のような第1切刃15、第2切刃16及び第3切刃17の配置形態は、前記第1切刃15が第2及び第3切刃16,17よりも先行して掘削するようになる。この第1切刃15による掘削はその周辺の地面を先行して崩すため、前記第2及び第3切刃16,17に必要な実質的な掘削力を第1切刃15の掘削力よりも小さくし、同時に第1切刃15よりも少量の掘削となる。ブレード11の下端板部の前記第1〜第3切刃15〜17に対応する部位には、図3に示すように、各切刃15〜17を補強する複数個の垂直板リブ26,…,26が前後方向に延設されており、各垂直板リブ26,…,26の前端と切刃15〜17の後面とは螺着されている。
各前面部12〜14において、少なくとも前記中央前面部12のブレード前面は、第1切刃15の前面よりも後傾斜している。しかし本実施形態にあって、図21に示すように、前記第1切刃15の前面と地面とのなす角度(刃先角)αと前記中央前面部12のブレード下端面と地面とのなす角度(掘削角)βとの差である後退角γを、上記特許文献6と同様に10°に設定すると、ブレード全体の後傾が少なくなり、廃土時にブレードに積載した土が前面にへばりついて滑落しにくくなる。そこで本実施形態では、刃先角αを特許文献6に記載された刃先角α、ブレード高さ及びブレード全面の曲率半径を変更せず、前記後退角γを0°としてみた。その結果、図22に示すようにブレード全体の後傾度が少なくなり、運土量が大幅に減少することが分かった。
図22は、前述のとおり後退角γを0°として、第1切刃15を従来と同じ曲率半径R1をもつ中央前面部12の前面円弧面の下端の接線方向に延設させたときのブレードの後傾姿勢を示している。一方、図23は、本実施形態によるブレード11の姿勢を示しており、図22と同様に第1切刃15の後退角γを0°として中央前面部12の下端に固設しているが、その中央前面部12の前面円弧面の曲率半径R2を、図22に示す円弧面の曲率半径R1よりも大きく設定している。なお、両図において第1切刃15の刃先からブレード上端までの高さHは同一高さとしている。これらの図から理解できるように、刃先角αが同一であっても、図23に示す円弧面の曲率半径R2が大きなブレード11の方が、図22に示す曲率半径の小さいブレード11よりも後傾が大きくなっている。その結果、ブレード上の運土量が大幅に増加するとともに、廃土時にもブレードの全面から土が円滑に落下し、ブレード全面に土がへばりついて残るようなことがなくなる。
一方、運土作業時のブレード前方の地表に堆積される土と地面との間の滑り抵抗を小さくしようとするには、地表に堆積される土の量を少なくすればよい。図24に実線と仮想線で示すように、ブレードで運ばれるときの堆積土の前面の傾斜角(安息角)は一定である。地表に堆積される土の量を少なくするには、刃先と地表に堆積される土の先端部との間の距離をL2からL1となるように、土の先端部を可能な限りブレード装置10の刃先へと近づけ、同図に実線と仮想線で示す左下がりの傾斜線によるハッチ領域をS2からS1へと移行させるようにする。図24は、ブレード姿勢に基づくブレード前方の地表に堆積される土と地面との間の滑り抵抗の変化を模式的に示す説明図である。同図において、実線は本発明によるブレード装置10の運土姿勢を示し、仮想線は通常のブレードの運土姿勢を示している。ここで、両ブレードの前面湾曲面は同一であり、その刃先角α(=β)は一定とする。
しかるに、単に地表に堆積される土の先端部を刃先に近づけさせようとすると、地表に堆積される土の前面が常に同一傾斜角をなすことから、刃先角αと後退角γ(=0°)を一定とすると、ブレード高さは必然的に低くなり、ブレード上に堆積れる土の抱え込み量も少なくなる。この抱え込み量を通常と同じ量にするには、ブレード幅が一定であるため、実線と仮想線による右傾斜ハッチで示す領域S1,S2を同一とする必要がある。
その結果、運土抵抗を少なくするとともに掘削量及び運土量を通常と同量にするには、図23に示すように後退角γを0°とするとともに、ブレード全面の曲率半径を、図22に示す従来の曲率半径R1よりも大きな曲率半径R2とすることにより、ブレード装置10を後傾させる。しかし、掘削角βと刃先角αとの差角である後退角γを通常の後退角γよりも大きい後退角として、ブレード装置10を後傾させることができる。しかしながら、前記後退角γをあまり大きくすると、ブレード後方への土こぼれが増大するだけでなく、排土時に堆積土がブレード装置10から落下しにくくなる。そのため、この後退角γの値は既述したとおり15°以下であることが好ましい。
このときの刃先の前方の地表に堆積される通常の堆積土の接地長さL2に対して、本実施形態におけるブレード装置10の堆積土の接地長さL1は約10%程度減少し、地表の堆積土量が大幅に減少する。一方で、掘削・運土中に前記ブレード部12〜14の前方の堆積土は各ブレード前面上に大量に積載できるようになり、いわゆる抱え込み量は増加する。その結果、運土抵抗などを大幅に低減することができるため、牽引力あたりの消費馬力を大幅に低減することができ、良好な低燃費性能が得られる。
因みに、本実施形態にあっては前記後退角γを最も小さな0°としているため、切刃の取付作業が容易となるが、従来と同様の湾曲面で且つ刃先角αを変更しないときには、ブレード11の立ち上がりが大きくなり過ぎて運土量の滑落が激しくなる。そこで、上述のごとくブレード前面の円弧面の曲率半径を通常のR1から、それよりも大きなR2とすることによりブレードの後傾姿勢を大きくすることができ、運土抵抗を少なくするとともに掘削量及び運土量を通常と同量以上とすることができた。
また、前述のように前記ブレード11の前面上に土を大量に積載することができるため、車体前後における接地圧のバランスが良好に得られ、シュースリップなどのパワーロスが少なくなり、高い牽引力が得られる。また本実施形態にあっては、ブレード11の上端部の円弧面の終端から上方に台形の板金材18を前傾させて付設しており、その両端部に左右方向に並ぶ多数の格子18aを形成している。これにより、ブレード前面上に堆積した土のうち余部の土は前記板金材18の左右に形成された格子18aの間の隙間から左右へとこぼれ落ち、各ブレード部12〜14の上端を越えて後方にこぼれ出ることが防止されると同時にブレード上端部の積土量を適正量に維持するようになる。また、掘削土がブレード前面に圧接されることなく排土時の土離れも良くなり、排土性が向上する。なお、前記各切刃15〜17の刃先が地面上にあるときの前面と地面とがなす刃先角αは40°〜55°程度とすることが好ましい。これにより、最少の掘削・運土エネルギー量や最大の土量が効果的に得られる。
また、本発明のブレードによる牽引力や牽引力あたりの土量は、従来のブレードよりも増加する。本発明のブレードは、掘削抵抗が従来のブレードに対して低減し、運土抵抗も減少する。従って、本発明のブレードにおける掘削・運土時の消費馬力は、従来のブレードにおける掘削・運土時の消費馬力よりも低減する。以上の点から、本発明のブレードは、従来のブレードと比較して、如何に従来の作業時間よりも短い時間で且つ小さな牽引力と掘削力とをもって所望のドーザ作業を効率よく実現させ得る。
以上の説明から明らかなように、特に本発明に係るブレード装置のブレードは、設計上で最も掘削効率が高い形状を容易に確定することができるようになり、同時に旋回押し回しにあたっても、ブレード上から積土が流れ落ちることがなくなる。また鋳造体と板金とを効果的に組み合わせて構成する場合には、ブレード構造の簡略化、組立の容易性及び溶接作業性の向上、軽量小型化が達成される。また、上述のごとく上記特許文献6に記載されているブレード構造を備えるため、当然に同文献6に記載されているブレード装置と同様に、牽引力に対する抵抗力が軽減され、牽引力あたりの土量を大幅に増大することも当然である。また同時に、掘削・運土中の消費馬力を大幅に低減することができるとともに、短時間に最少のエネルギー量で最大の掘削・運土量を得ることができ、前記作業機械の燃費効率が著しく向上して低コスト化が実現できる。
本発明に適用される代表的なブレード装置の全体的な概略構成を示す前方から見た斜視図である。 前記ブレード装置の正面図である。 前記ブレード装置の背面図である。 前記ブレード装置のブレードの昇降動作を説明する作業機械の全体を示す側面図である。 前記作業機械の要部の構成例を示す上面図である。 後方屈曲角と交差角の変動に伴う連結前面部及び端部前面部の各ブレード幅の関係を示す説明図である。 交点の後退量及び後方屈曲角に基づく中央前面部のブレード幅に対する前記ブレードの掘削効率を示す相関図である。 図1におけるIIX-IIX 線に沿った矢視断面図である。 図1におけるIX-IX 線に沿った矢視断面図である。 図1におけるX-X 線に沿った矢視断面図である。 前記ブレード装置における左側の一体鋳造部を背面の左側から見た斜視図である。 前記ブレード装置における右側の一体鋳造部を背面の右側から見た斜視図である。 図2のXIII-XIII 線に沿った矢視断面図である。 図3のXIV-XIV 線に沿った矢視断面図である。 図3のXV-XV 線に沿った矢視断面図である。 右側の一体鋳造部を右斜め前方から見た斜視図である。 前記ブレード装置を背面側の斜め後方から見た全体の斜視図である。 板金部の背面支持部材の一部を左斜め前方から見た斜視図である。 前記板金部の他の背面支持部材の一部を前方から見た斜視図である。 前記板金部の更に他の背面支持部材の一部を前方から見た斜視図である。 ブレード部の前面における湾曲面と切刃との交差角の関係を示す説明図である。 同一高さ同一掘削角(=刃先角)で小径の円弧面を形成したときのブレードの後傾姿勢を示す縦断面図である。 同一高さ同一掘削角(=刃先角)で大径の円弧面を形成したときのブレードの後傾姿勢を示す縦断面図である。 掘削・運土時のブレードの通常姿勢と後傾姿勢とによるブレードの前方に堆積した堆積土の関係を示す説明図である。
符号の説明
1 ブルドーザ
2 履帯式走行装置
3 リフトフレーム
4 (油圧)チルトシリンダー
5 エンジンルーム
6 (油圧)リフトシリンダー
7 ストラットアーム
10 ブレード装置
11 ブレード
12 中央前面部
12a (矩形)分割中央部
12b (三角形)分割端部
13 連結前面部
14 端部前面部
15〜17 第1〜第3切刃
18 上端板金材
18a 格子
25a〜25d 第1〜第4ブラケット
26 垂直板リブ
101 一体鋳造部
102 前面板部
103 背面部
103a,103b 第1及び第2の背面支持部
105 板金部
106 前面板
107 背面支持部材
107a〜107d 第1〜第4の背面支持部材
107d-1〜107d-3 分割部材
107d-1’〜107d-3’ 補強リブ
δ 後方屈曲角
θ 交差角
C 交点
Wt (交点Cの)後退量
W ブレード全幅
W1 中央前面部の下端ブレード幅(=ゲージ幅WG)
H 刃先角αのときのブレード高さ

Claims (7)

  1. 各種の作業用機械に装着される土工のためのブレード装置であって、
    ブレード(11)は、中央前面部(12)と、その左右端部から掘削方向後方に屈曲して連設された連結前面部(13)と、前記中央前面部(12)の延長線に対して平行又は前方に突き出すように同連結前面部に更に連設された左右の端部前面部(14)を有し、
    前記中央前面部(12)は、下端が掘削方向に直交して左右に延びるブレード幅W1を有するとともに、更にその下端に第1切刃(15)を有するとともに、
    前記連結前面部(13)及び前記端部前面部(14)には、その下端に刃幅がW2,W3の第2及び第3の切刃(16,17) を有してなり、
    前記連結前面部(13)及び端部前面部(14)の交差線が、前記ブレード装置上面視の左右方向において作業機械と接続するためのリフトフレーム(3) の取付部としてブレード装置の背面に設けられた左右一対のブラケット(25a) の内側の位置にあり、
    前記第2切刃(16)の刃幅W2に対する第3切刃(17)の刃幅W3の比の値(W3/W2)が、0.5よりも大きく、2よりも小さく設定されてなる、
    ことを特徴とする作業機械用ブレード装置。
  2. 前記比の値(W3/W2)が0.7以上、1.3以下である請求項1に記載のブレード装置。
  3. 前記中央前面部(12)の下端のブレード幅W1は、前記左右一対のブラケット装置(25a) 間の長さの0.4〜0.9倍の寸法を有してなり、
    前記中央前面部(12)と前記連結前面部(13)の各切刃(15 、16) の後方屈曲角δが、14度より大きく30度より小さく設定されてなる請求項1又は請求項2に記載のブレード装置。
  4. 前記ブレード(11)が全て板金により構成されてなる請求項1又は2に記載のブレード装置。
  5. 前記ブレード(11)は、一部に鋳造体が使用されてなる請求項1又は2に記載のブレード装置。
  6. 前記鋳造体と板金との端面同士の連結線が正面視で水平直線又は垂直線上にある請求項5記載のブレード装置。
  7. 請求項1又は2に記載のブレード装置(10)が搭載されてなることを特徴とする建設・土木車両。
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