JP2007075696A - 多孔質光触媒膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた光触媒活性を有し、かつ膜強度を保持し得る多孔質光触媒膜を提供する。
【解決手段】本発明の多孔質光触媒膜は、アナターゼ型二酸化チタンを70〜100重量%含む多孔質光触媒膜の改良であり、その特徴ある構成は、アナターゼ型二酸化チタンが二酸化チタンに3〜7重量%の炭素を含有した炭素ドープ二酸化チタンであり、0.1〜10μmの範囲内の膜厚に形成され、かつ気孔率が50〜80%であるところにある。本発明の多孔質光触媒膜は、大気開放型化学気相析出法によって成膜することが好ましく、比表面積は100〜1000m2/gの範囲内に規定することが好ましい。また、膜表層に連通する開気孔のうち、孔径1〜1000nmの細孔における細孔表面積が全細孔表面積の50%以上を占めることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、抗菌作用、防汚作用、超親水性作用等の優れた特性を有する多孔質光触媒膜に関するものである。
二酸化チタン等に代表される光触媒は、有害化学物質の分解及び除去、超親水性、水素生成等の優れた機能を有し、環境浄化、省エネルギや新エネルギ等への用途が期待され、環境、エネルギー及び経済においてバランスの取れた持続可能な社会構築に貢献する素材であると目されている。二酸化チタン薄膜を形成する方法としては、コーティング法、浸漬法、スパッタリング法や酸素ガス雰囲気内に加熱蒸発させた金属蒸気を導入して反応させる熱CVD法等が知られている。コーティング法では、有機系バインダに二酸化チタン粉末を少量分散してスラリーとし、このスラリーを膜状に塗布して光触媒を形成する。しかしながら、膜中に有機系バインダが存在すると、光触媒活性が損なわれ、十分な光触媒活性が得られないという問題があった。それは、表層に析出した二酸化チタン粒子のみが光触媒活性に関与するに過ぎないためである。
そのため、十分な付着強度を持たせ、かつ、光触媒活性を維持するためには、素材表面に光触媒膜を直接形成する技術が有効である。素材表面に直接光触媒膜を形成する方法として、基材表面に、結晶配向膜が結晶表面と垂直方向に(001)、(100)、(211)、(101)及び(110)からなる結晶面から選択された方向に配向されたものであり、結晶配向膜のX線回折図の回折角(2θ)20〜40°においてベースラインから盛り上がったブロードなピークを有しないアナターゼ型の二酸化チタン結晶配向膜を有する材料が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。上記特許文献1に示される材料は、気化させたチタンアルコキシドを担体となる不活性ガスとともに、大気圧開放下で加熱された基材表面に吹き付けることで、基材表面に二酸化チタンからなる結晶配向膜を形成している。
特許第3455653号公報(請求項1、請求項9)
しかしながら、上記特許文献1に示される二酸化チタン結晶配向膜を有する材料は、基材表面に形成された膜の表層が緻密に形成されているため、十分な光触媒活性を得ることができなかった。
本発明の目的は、優れた光触媒活性を有し、かつ膜強度を保持し得る多孔質光触媒膜を提供することにある。
請求項1に係る発明は、図1に示すように、アナターゼ型二酸化チタンを70〜100重量%含む多孔質光触媒膜において、アナターゼ型二酸化チタンが二酸化チタンに3〜7重量%の炭素を含有した炭素ドープ二酸化チタンであり、0.1〜10μmの範囲内の膜厚に形成され、かつ気孔率が50〜80%であることを特徴とする多孔質光触媒膜である。
請求項1に係る多孔質光触媒膜は、アナターゼ型二酸化チタンとして上記割合の炭素を含有した炭素ドープ二酸化チタンを用いることで、炭素ドープにより光触媒活性に寄与する光吸収帯が紫外領域から可視光領域へと拡がって、光触媒活性の量子効率が増大するものと考えられ、膜厚を0.1〜10μmの範囲内に形成し、かつ気孔率を50〜80%に制御することにより、膜表面に露出する光触媒活性点が多く、十分な光触媒活性が得られる。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、大気開放型化学気相析出法(以下、大気開放型CVD法という。)によって成膜することを特徴とする多孔質光触媒膜である。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、比表面積が100〜1000m2/gの範囲内である多孔質光触媒膜である。
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明であって、膜表層に連通する開気孔のうち、孔径1〜1000nm(10〜10000Å)の細孔における細孔表面積が全細孔表面積の50%以上を占める多孔質光触媒膜である。
本発明の多孔質光触媒膜は、アナターゼ型二酸化チタンとして二酸化チタンに3〜7重量%の炭素を含有した炭素ドープ二酸化チタンを用いることで炭素ドープにより光触媒活性に寄与する光吸収帯が紫外領域から可視光領域へと拡がって、光触媒活性の量子効率が増大するものと考えられ、0.1〜10μmの範囲内の膜厚に形成され、かつ気孔率が50〜80%であるので、優れた光触媒活性を有し、かつ膜強度を保持することができる。
次に本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の多孔質光触媒膜は、アナターゼ型二酸化チタンを70〜100重量%含む多孔質光触媒膜の改良である。その特徴ある構成は、アナターゼ型二酸化チタンが二酸化チタンに3〜7重量%の炭素を含有した炭素ドープ二酸化チタンであり、図1に示すように、多孔質光触媒膜12が0.1〜10μmの範囲内の膜厚に形成され、かつ気孔率が50〜80%であるところにある。上記特徴ある構成とした多孔質光触媒膜は、膜表層に多くの開気孔を有する構造をとり、膜表面に露出する光触媒活性点が多いため、十分な光触媒活性が得られる。多孔質光触媒膜中のアナターゼ型二酸化チタンの含有量を70〜100重量%に規定したのは、下限値未満であると十分な光触媒活性が得られないためである。このうち特に好ましいアナターゼ型二酸化チタンの含有量は90〜100重量%である。アナターゼ型二酸化チタンを3〜7重量%の炭素を含有した炭素ドープ二酸化チタンとしたのは、紫外光下のみならず、可視光下における光触媒活性も十分に発揮されるためである。従って、炭素ドープ二酸化チタンを含む多孔質光触媒膜は、内装建材等の室内用途に適応可能である。炭素ドープ二酸化チタンの炭素ドープ量を3〜7重量%に規定したのは、3重量%未満では炭素ドープ量不足で、二酸化チタンの紫外可視吸収スペクトルにおける可視光吸収帯の広がりが不十分となって、満足する可視光下での光触媒活性が得られないためであり、7重量%を越えると炭素ドープ量が過剰で、可視光下での光触媒活性は得られるものの、過剰な炭素ドープによる二酸化チタンの結晶性の低下が著しく、光触媒活性における全体の量子効率等が却って低減してしまう問題が生じるためである。
本発明の多孔質光触媒膜は、大気開放型CVD法によって成膜することが好ましい。大気開放型CVD法とは、大気開放下にて原料ガスを成膜対象基材表面に吹付けて、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により対象基材表面上に金属酸化物等の薄膜を成膜する方法である。この大気開放型CVD法は、(1)PVD法(Physical Vapor Deposition)に比べて成膜速度が非常に速い、(2)薄膜のみならず1μm以上の厚膜も作製可能である、(3)形態制御膜(ウイスカー)、配向膜、アモルファス膜など色々なセラミックス(酸化物膜)を作ることができる、及び(4)大面積や複雑形状表面への成膜が容易である、装置自体が比較的安価で、保守管理も簡単である等の様々な特徴を有する。
この大気開放型CVD法によって形成する多孔質光触媒膜の膜厚を上記範囲内に規定したのは下限値未満であると、薄すぎて十分な光触媒活性が得られず、上限値を越えると成膜時間がかかりすぎるため実用的ではないためである。このうち特に好ましい膜厚は1〜5μmである。また、気孔率を上記範囲内に規定したのは下限値未満であると、表面に露出する光触媒活性点が少なくなり十分な光触媒活性が得られず、上限値を越えると膜強度が弱くなり耐久性の面で使用に耐えないためである。このうち特に好ましい気孔率は60〜70%である。
本発明の多孔質光触媒膜は、比表面積が100〜1000m2/gの範囲内が好適である。比表面積が下限値未満であると、膜表面に露出する光触媒活性点が少ないため、十分な光触媒活性が得られず、上限値を越える光触媒膜を作製するのは技術的に難しく、歩留まり等の面でコスト的に成り立たないため、実用的ではない。このうち特に好ましい比表面積は、300〜800m2/gの範囲内である。
本発明の多孔質光触媒膜は、膜表層に連通する開気孔のうち、孔径1〜1000nmの細孔における細孔表面積が全細孔表面積の50%以上を占めることが好ましい。孔径1nm未満であると、孔径が小さすぎて有機物質等の吸着に寄与することができない。孔径1〜1000nmの細孔は、分解対象となる有機物質等の分子を吸着取込みしやすいサイズであるため、上記細孔の表面積が全細孔表面積の50%以上を占めることで、十分な光触媒活性が得られる。細孔の表面積が全細孔表面積の50%未満であると、光触媒膜への有機分子等の物質の吸着能が不十分であるため、表面の露出する光触媒活性点が少なくなり、十分な光触媒活性が得られない。
本発明の多孔質光触媒膜は、図2に示す大気開放型CVD装置を用いて作製することができる。
図2に示すように、大気開放型CVD装置20は、内部に原料を載せる試料ボード21aが設置可能な原料気化器21と、原料気化ガスを基材11に向かって噴出する噴出ノズル22と、一方が気化器21の側部に接続され他方が噴出ノズル22頂部に接続された配管23と、気化器21で気化した原料気化ガスを配管23を介して噴出ノズル22へと運ぶキャリアガスの流量調節器24と、基材11を保持し、かつ水平方向に可動可能な基材加熱台26とをそれぞれ備える。また、噴出ノズル22の底部には所定幅のスリット22aが設けられる。基材加熱台26の内部にはヒータ26aが設けられ、基材加熱台26に保持した基材11を加熱する。
本発明の多孔質光触媒膜のアナターゼ型二酸化チタンである炭素ドープ二酸化チタンを構成する原料としては、原料を気化させ大気に放出した際に、大気中の酸素或いは水分等と反応して所定量の炭素が含有したアナターゼ型二酸化チタンを形成するものであれば特に限定されない。具体的には、チタンテトライソプロポキシド(Ti(i-C37O)4;以下、TTIPという。)、チタンテトライソブトキサイド(Ti(i-C49O)4)、チタンテトラエトキサイド(Ti(C25O)4)等が挙げられる。このうちTTIPは炭素ドープ二酸化チタンの炭素ドープ量を制御し易い。炭素ドープ二酸化チタンの炭素ドープ量を制御するために、TTIP等のチタン含有原料が70重量%以上の割合で含むように有機溶媒に溶解して溶液原料を調製し、この溶液原料を用いて成膜しても良い。溶液原料に使用する有機溶媒としてはイソプロピルアルコール、ヘキサン、シクロヘキサンが挙げられる。表面に多孔質光触媒膜を形成する基材11としては、原料気化ガスを吹付ける際における加熱に耐えられる材料であればどのような材料でも使用可能である。具体的には金属、金属酸化物、ガラス、陶磁器、セラミックス、プラスチック等が好ましい。キャリアガスとしては、加熱下で使用する原料と反応しない媒体であれば特に限定されない。具体的には、N2ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガス、乾燥空気等が挙げられる。なお、図2において符号27はキャリアガス供給源、符号28は原料気化器21、噴出ノズル22、基材加熱台26等を覆う防護チャンバ、符号29は開閉可能なチャンバ扉、符号31はチャンバ扉29の開閉を担うインターロックスイッチをそれぞれ示す。
この装置では、先ず、所定量に量り取った光触媒膜原料を載せた試料ボード21aを原料気化器21内に設置し、基材加熱台26上に基材11を保持する。次いで、原料気化器21内部、配管23、噴出ノズル22及び基材加熱台26をそれぞれ所望の温度に加熱し、原料気化器21内部の原料を気化させる。次に、流量調節器24により流量を調節しながらキャリアガス供給源27からキャリアガスを原料気化器21に導入する。原料気化ガスは原料気化器21から配管23を介して噴出ノズル22に搬送される。原料気化ガスは、噴出ノズル22底部に設けられた所定幅のスリット22aから基材11表面に向かって噴出され、基材11表面近傍の大気中に含まれる水分と反応して炭素ドープ二酸化チタンを形成する。形成した炭素ドープ二酸化チタンは基材11表面に成膜する。原料気化ガスの濃度を2×10-6〜1.6×10-5mol/L、供給量を1〜8L/minとすることで炭素ドープ二酸化チタンの炭素ドープ量を所望のドープ量に制御することができる。また、加熱台17の温度を制御することで基材11の表面温度を350〜700℃とすることによっても炭素ドープ二酸化チタンの炭素ドープ量を所望のドープ量に制御することができる。基材11の表面温度が350℃未満では加熱が不十分となって7重量%を越える炭素が含有された炭素ドープ二酸化チタンが形成され、過剰な炭素ドープによって二酸化チタンの結晶性が著しく低下し、実用に耐えられる光触媒活性が得られなくなる。また基材11の表面温度が700℃を越えるとアナターゼ型二酸化チタンの含有量が低下する。基材加熱台26を所定の速度で水平方向に駆動させることにより、噴出ノズル22から噴出された原料気化ガスが反応して形成される炭素ドープ二酸化チタンが基材表面に均一に成膜される。本発明の多孔質光触媒膜は、成膜時のキャリアガス流量や基材温度、基材近傍の湿度、基材移動速度、ノズル−基板間距離を制御することで気孔率を制御することができる。
このように大気開放型CVD装置により、膜厚を0.1〜10μmの範囲内に形成し、かつ気孔率を50〜80%に制御することで、図1に示すように、基材11表面に形成された多孔質光触媒膜12は、膜表層に多くの開気孔を有する構造となる。このような構造を有することで、膜表面に露出する光触媒活性点が多くなるため、十分な光触媒活性が得られる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、原料としてTTIPが85重量%、イソプロピルアルコールが15重量%の割合となるように、TTIPをイソプロピルアルコールに溶解した溶液原料を、基材として30×30×1mmの石英ガラス基板をそれぞれ用意した。次いで、光触媒膜を形成する前の基板重量を、電子天秤(島津製作所社製IBA−200)を用いて測定した。次に、図2に示す大気開放型CVD装置を用いて、基板温度400℃、湿度30%、基板移動速度19mm/分、ノズル−基板距離15mm、キャリアガスとしてN2ガス、キャリアガス流量8L/分の条件で、石英ガラス基板上に炭素を含有した炭素ドープアナターゼ型二酸化チタン多孔質光触媒膜を形成した。
次に、得られた多孔質光触媒膜をX線光電子分光分析装置(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)により組成分析した結果、炭素含有率6.5重量%であることが判明した。また得られた多孔質光触媒膜を表面粗さ計(日本真空技術社製Dekktak3030)を用い、スキャン幅1mm、スキャン速度1/12(mm/秒)の条件で膜厚Tを測定した。得られた膜厚Tは5.6μmであった。次に、多孔質光触媒膜を形成した後の基板重量を電子天秤を用いて測定し、膜形成前の基板重量との差から多孔質光触媒膜の重量Mを求めた。
続いて、得られた多孔質光触媒膜の気孔率を次のように求めた。先ず、膜重量Mと膜厚Tを用いて、次の計算式(1)から嵩密度Dを算出した。
D(g/cm3)=M(mg)/[T(μm)×30×30]×103 ……(1)
次に、二酸化チタンのアナターゼ構造における真密度を3.84g/cm3として、次の計算式(2)から多孔質光触媒膜の気孔率Pを算出した。
P(%)=(1−D(g/cm3)/3.84)×100 ……(2)
上記式(2)より得られた多孔質光触媒膜の気孔率Pは62%であることがわかった。
<実施例2>
キャリアガス流量を4L/分とした以外は実施例1と同様にして炭素ドープアナターゼ型二酸化チタン多孔質光触媒膜を得た。得られた多孔質光触媒膜の膜厚Tは1.5μm、気孔率Pは52%であった。
<実施例3>
キャリアガス流量を2L/分とした以外は実施例1と同様にして炭素ドープアナターゼ型二酸化チタン多孔質光触媒膜を得た。得られた多孔質光触媒膜の膜厚Tは0.9μm、気孔率Pは53%であった。
<実施例4>
キャリアガス流量を1L/分とした以外は実施例1と同様にして炭素ドープアナターゼ型二酸化チタン多孔質光触媒膜を得た。得られた多孔質光触媒膜の膜厚Tは0.23μm、気孔率Pは52%であった。
<比較例1>
A社品の二酸化チタン光触媒膜を用意した。この二酸化チタン光触媒膜は、有機系のバインダに二酸化チタン粉末を少量分散して得られたスラリーを100×100×1mmの石英ガラス基板上に膜厚が10μmとなるように塗布して得られたものである。
<比較例2>
B社品の二酸化チタン光触媒膜を用意した。この二酸化チタン光触媒膜は、有機系のバインダに二酸化チタン粉末を約0.2重量%分散して得られたスラリーを100×100×1mmの石英ガラス基板上に膜厚が10μmとなるように塗布して得られたものである。
<比較試験1>
実施例1〜4で得られた多孔質光触媒膜及び比較例1,2の光触媒膜をそれぞれ用い、光触媒性能評価試験法IIa(2001年度版)ガスバックA法(光触媒製品技術協議会)
に準拠した方法により、アセトアルデヒドの分解活性を指標として、光触媒活性を測定した。先ず、コック付きテドラーバックに光触媒膜を有する石英ガラス基板を封入した。次いで、テドラーバック内にアセトアルデヒド濃度20ppmに調整した空気を1L充填した。次に、充填後のテドラーバックを30分間静置した。テドラーバックに空気を充填した直後、30分間静置後におけるテドラーバック中のアセトアルデヒド濃度をガス検知管(ガステック製;92M)にてそれぞれ測定した。続いて紫外線ランプを用いて30分間静置後のテドラーバックに波長350nm程度のUV光を照射した。実施例1〜4では、UV光照射30分後、1時間後、1時間30分後及び2時間後におけるテドラーバック中のアセトアルデヒド濃度をガス検知管によりそれぞれ測定した。また、比較例1及び2では、UV光照射1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後及び6時間後におけるテドラーバック中のアセトアルデヒド濃度をガス検知管によりそれぞれ測定した。
実施例1〜4の多孔質光触媒膜を用いた試験におけるテドラーバック中のアセトアルデヒド残存率とUV光照射時間との関係を図3に、比較例1及び2の光触媒膜を用いた試験におけるテドラーバック中のアセトアルデヒド残存率とUV光照射時間との関係を図4にそれぞれ示す。
図3及び図4より明らかなように、実施例1〜4では基板上に形成した光触媒膜の面積が9cm3であるのに対し、比較例1及び2では基板上に形成した光触媒膜の面積が100cm3と大きな差違がある。このように、比較例1及び2の光触媒膜は実施例1〜4の多孔質光触媒膜よりも膜を形成した面積が約10倍と大きいにも係わらず、UV光照射を6時間行った時点でもテドラーバック中のアセトアルデヒド残存率が70%程度までしか達していない。一方、実施例1〜4の多孔質光触媒膜では、UV光照射を30分行った時点で既にアセトアルデヒド残存率が30%以下に達し、UV光照射1時間後には、アセトアルデヒド残存率がほぼ0%となる結果が得られた。このことから、本発明の多孔質光触媒膜は、塗布法により形成した従来の光触媒膜に比べて、光触媒活性が非常に優れていることが判る。形成した光触媒膜の単位面積当たりに換算して単純に比較すると、実施例1〜4の多孔質光触媒膜は、比較例1及び2の光触媒膜よりも約420倍もの光触媒活性を有していると言える。このような顕著な効果を有する理由としては、本発明の多孔質光触媒膜である実施例1〜4の多孔質光触媒膜は、膜厚と膜重量から試算した気孔率が52〜62%もある多孔性膜であるために比表面積が大きく、膜表面に露出する光触媒活性点が多い。また、実施例1の結果から明らかなように、UV光を照射する前にアセトアルデヒド残存率が低下しているのは、テドラーバックを静置したことで、多孔質光触媒膜中の開気孔にアセトアルデヒド分子が吸着したと考えられる。このように吸着性にも優れるため、対象分子の吸着取込みから光触媒による分解を効率的に機能させることができる。
本発明の多孔質光触媒膜を示す断面図。 本発明の多孔質光触媒膜を製造するために使用する大気開放型化学気相析出装置を示す図。 実施例1〜4の多孔質光触媒膜を用いたアセトアルデヒド残存率とUV照射時間との関係を示す図。 比較例1及び2の光触媒膜を用いたアセトアルデヒド残存率とUV照射時間との関係を示す図。
符号の説明
11 基材
12 多孔質光触媒膜

Claims (4)

  1. アナターゼ型二酸化チタンを70〜100重量%含む多孔質光触媒膜において、
    前記アナターゼ型二酸化チタンが二酸化チタンに3〜7重量%の炭素を含有した炭素ドープ二酸化チタンであり、
    0.1〜10μmの範囲内の膜厚に形成され、かつ気孔率が50〜80%であることを特徴とする多孔質光触媒膜。
  2. 大気開放型化学気相析出法によって成膜することを特徴とする請求項1記載の多孔質光触媒膜。
  3. 比表面積が100〜1000m2/gの範囲内である請求項1記載の多孔質光触媒膜。
  4. 膜表層に連通する開気孔のうち、孔径1〜1000nmの細孔における細孔表面積が全細孔表面積の50%以上を占める請求項1記載の多孔質光触媒膜。
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