以下、本発明に係る環境影響評価システムおよび環境影響方法について添付の図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
本発明に係る環境影響評価システムは、機器や設備または提供するサービス等の評価対象について、ライフサイクルアセスメント(LCA:Life Cycle Assessment)を行い、評価対象が地球環境に及ぼす影響がどの程度であるかを評価するシステムである。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る環境影響評価システムの一実施例である環境影響評価システム1の構成を概略的に表した概略図である。
図1に示す環境影響評価システム1は、入力手段2、表示手段3、データ記録手段4、通信手段6、地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8、資源生産性影響度算出手段9、指標統合化手段10、タイムスタンプ記録手段11および制御手段12を具備する。
環境影響評価システム1における各処理手段2,3,4,6,7,8,9,10,11,12は、LCAを行って環境影響を評価するプログラム(以下、環境影響評価PGとし、図は省略する)を予めインストールしたコンピュータを機能させることで実現される。すなわち、ハードウェアであるコンピュータ(図を省略)とソフトウェアである環境影響評価PGとが協働することにより実現される。
尚、環境影響評価PGは、コンピュータを入力手段2、表示手段3、データ記録手段4、通信手段6、地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8、資源生産性影響度算出手段9、指標統合化手段10、タイムスタンプ記録手段11および制御手段12として機能させるとしたが、通信手段6およびタイムスタンプ記録手段11については、機能させる対象から除外していても良い。すなわち、環境影響評価システム1が通信手段6およびタイムスタンプ記録手段11を具備していなくても構わない。
環境影響評価システム1が通信手段6を具備していなくても、他の機器とのオンラインで通信を行わない場合には、環境影響評価システム1の作用、効果に影響を及ぼさないためである。また、タイムスタンプ記録手段11は、評価結果の信頼性を担保するために根拠資料を認証することを目的としており、環境影響評価を行う上で補助的な処理手段にすぎないからである。
環境影響評価システム1が具備する各処理手段2,3,4,6,7,8,9,10,11,12について説明する。
入力手段2は、ユーザからの入力操作を受け付ける機能を有する。入力手段2は、ユーザが入力操作を行った内容を受け付け、受け付けた操作内容を入力操作情報として制御手段12へ送る。
表示手段3は、制御手段12から表示情報を受け取り、受け取った表示情報に基づく表示を行う機能を有する。従って、表示手段3は、表示情報を受け取ると、受け取った表示情報に基づく表示を行うことができる。
データ記録手段4には、任意の情報を有する電子ファイルやデータベース等の電子データを記録して保存することができる。また、地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8、資源生産性影響度算出手段9、指標統合化手段10およびタイムスタンプ記録手段11からアクセス可能に構成されており、データ記録手段4に保存される情報を読み出す(参照する)ことができる。
尚、本実施形態ではデータ記録手段4に幾つかの電子データが保存されているが、データ記録手段4に保存される電子データの詳細については、図3、図4および図5において後述する。
通信手段6は、他の機器とのオンラインで通信する機能を有する。環境影響評価システム1では、例えば、図1に示すように、タイムスタンプとして記録する日付および時刻を認証する外部の認証局16と通信を実現し、認証局16が認証した日付および時刻の情報(以下、タイムスタンプ情報とする)を取得することができる。通信手段6が取得したタイムスタンプ情報は、通信手段6から制御手段12へ送られる。
環境影響評価システム1の地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8および資源生産性影響度算出手段9は、環境影響に関する指標を評価する環境影響評価手段の一例である。
地球温暖化影響度算出手段7は、環境影響を評価する一指標として地球温暖化に影響する度合(以下、地球温暖化影響度とする)を算出する機能を有し、地球温暖化影響度算出手段7は、地球温暖化に影響する気体、いわゆる温室効果ガスの排出量および温室効果ガスの温暖化係数を考慮して地球温暖化影響度を算出することができる。算出された地球温暖化影響度の情報は、指標統合化手段10へ送られる。尚、地球温暖化影響度算出手段7における構成、作用および効果の詳細については後述する。
有害物質リスク度算出手段8は、環境影響を評価する一指標として有害物質のリスクに関する度合(以下、有害物質リスク度とする)を算出する機能を有し、有害物質リスク度を算出することができる。算出された有害物質リスク度の情報は、指標統合化手段10へ送られる。尚、有害物質リスク度算出手段8における構成、作用および効果の詳細については後述する。
資源生産性影響度算出手段9は、環境影響を評価する一指標として資源生産性に影響する度合(以下、資源生産性影響度とする)を算出する機能を有し、資源生産性影響度を算出することができる。算出された資源生産性影響度の情報は、指標統合化手段10へ送られる。尚、資源生産性影響度算出手段9における構成、作用および効果の詳細については後述する。
指標統合化手段10は、環境影響度を総合的に評価するべく、地球温暖化影響度、有害物質リスク度および資源生産性影響度等の各評価指標を一元化(統合化)する。すなわち、各評価指標(地球温暖化影響度、有害物質リスク度および資源生産性影響度)の評価結果を総合的に判断して一の評価指標(環境影響度)の値で評価する。
指標統合化手段10が、複数の評価指標を一元化して得られた指標を基準とすることにより、地球環境への影響度を総合的かつ客観的に評価することができる。指標統合化手段10が環境影響度を評価した結果は、制御手段12に送られる。
タイムスタンプ記録手段11は、タイムスタンプ取得要求を受け取り、通信手段6を介して接続される認証局16に対して認証する日付および時刻の情報(タイムスタンプ情報)を取得する機能を有する。また、タイムスタンプ記録手段11は、取得したタイムスタンプ情報をタイムスタンプとして電子ファイルおよびデータベース等を含む電子情報に記録する機能を有する。
従って、タイムスタンプ記録手段11は、タイムスタンプ取得要求があると、ユーザが指定した、あるいは、事前に設定した電子情報に対して、認証局16が認証した日付および時刻をタイムスタンプとして付すことができる。
制御手段12は、環境影響評価システム1における各処理手段2,3,4,6,7,8,9,10,11を制御する機能を有する。つまり、制御手段12は、受け取った情報に基づき制御情報を生成して制御対象となる処理手段に送ることで制御対象の制御を行う。
より具体的に説明すれば、制御手段12は、入力手段2から入力操作情報を受け取ると、入力操作情報に対応した処理を実行する処理手段を制御するべく、当該処理手段を制御する制御情報を生成して、生成した制御情報を制御対象となる処理手段に送る。
また、制御手段12は、通信手段6からタイムスタンプ情報を受け取ると、受け取ったタイムスタンプ情報をタイムスタンプ記録手段11に送る。
さらに、制御手段12は、指標統合化手段10から環境影響度を評価した結果の情報を受け取ると、評価結果を表示する画像情報を生成して表示手段3へ送る。
尚、制御手段12は、地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8および資源生産性影響度算出手段9が算出した個々の結果を表示する要求を受け取った場合、地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8および資源生産性影響度算出手段9が算出した個々の結果を表示手段3に表示させるように制御することもできる。
さらにまた、制御手段12は、情報の記録、更新要求を受け取ると、当該情報の記録、更新を行う。
このように構成される環境影響評価システム1では、環境影響評価の評価指標を、例えば、地球温暖化影響度、有害物質リスク度および資源生産性影響度のように、従来の環境影響評価システムと比較してインベントリ(環境指標の分類)を大幅に絞り込んでいるため、LCA用のデータを簡単に揃えることができる。
尚、環境影響評価システム1は、必要に応じて、他の機器とのインターフェイスとしての役割を担うインターフェイス手段を具備していても良い。
また、環境影響評価システム1では、情報の取得時に必要となる電子ファイルやデータベース等の電子データが一例としてデータ記録手段4に格納されると説明したが、読み出し可能であれば、必ずしも、データ記録手段4に格納されている必要はない。すなわち、図外の外部機器に電子データが格納されていても、通信手段6や図外のインターフェイス手段を介して必要な電子情報を取得可能であればどこに電子データが格納されていても良い。
次に、環境影響評価システム1における環境負荷の評価範囲(バウンダリ)について説明する。
図2は、環境影響評価システム1における環境負荷の評価範囲を説明する説明図である。
例えば、評価対象が設備の場合には、図2に示すように、素材採掘および輸送に始まり部品等の再生に至るまでの段階が最大範囲である。従来の環境影響評価システムが行うLCAなどの環境影響評価では、評価を不確かなものにするという理由から異なったバウンダリの評価を混在させることは推奨されていない。しかし、環境影響評価システム1では、地球温暖化影響度、有害物質リスク度および資源生産性影響度における環境負荷のバウンダリが各々で異なっていても良い。
図2に示すように、バウンダリを統一していない理由は、従来のように、バウンダリを広くしてしまうと、情報収集の負荷が増え評価方法が普及しないことが懸念されるためである。そこで、環境影響評価システム1では、製造メーカが製造者責任(EPR)の観点から考慮すべきプロセスに合わせてバウンダリについて焦点を絞ることを許容している。また、バウンダリを変更することも許容している。尚、環境影響評価システム1は、バウンダリの統一を否定するものではなく、状況によっては同一となる場合もある。
環境影響評価システム1では、図2に示すように、地球温暖化影響度算出手段7が地球温暖化影響度を算出する際のバウンダリ、すなわち、温暖化影響評価範囲Rwは、製造者が部品や材料を購入する際の輸送から製品が撤去され中間処理を経て廃棄または資源として販売されるまでの段階を含む範囲である。温暖化影響評価範囲Rwは、EPRの観点から製造時負荷の他に効率やロスなど設計に起因する運転時負荷、さらには、材料設計に起因する廃棄時負荷、と広くバウンダリを設定している。
また、有害物質リスク度算出手段8が有害物質リスク度を算出する際のバウンダリである有害物質リスク評価範囲Rtは、図2に示すように、製造から廃棄・販売までの段階を含む範囲である。工場での使用薬品などによる負荷から廃棄時の溶断時に発生する有害ガスなどの負荷までを想定して設定している。尚、輸送および使用の段階をバウンダリから除外する場合もある。例えば、有害物質が密閉され使用時には触れることがない様な場合が該当する。
さらに、資源生産性影響度算出手段9が資源生産性影響度を算出する際のバウンダリである資源生産性影響評価範囲Rrは、図2に示すように、撤去から廃棄・販売までの段階を含む範囲としている。しかし、再生部材を使う場合などは、製造時が含まれることも有り得る。
次に、環境影響評価システム1の地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8、資源生産性影響度算出手段9および指標統合化手段10について、より詳細に説明する。
図3から図5は、地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8および資源生産性影響度算出手段9の構成を説明する説明図である。より具体的には、図3が地球温暖化影響度算出手段7の構成を表す概略図、図4が有害物質リスク度算出手段8の構成を表す概略図、図5が資源生産性影響度算出手段9の構成を概略的に表す概略図である。
図3に示す地球温暖化影響度算出手段7は、排出量算出の基準となる温室効果ガスを二酸化炭素(以下、CO2とする)として地球温暖化影響度を算出する場合の例を表している。以下の地球温暖化影響度算出手段7の説明では、排出量算出の基準となる温室効果ガスをCO2とした例について説明する。
図3によれば、地球温暖化影響度算出手段7は、エネルギー使用に起因するCO2の排出量を算出するエネルギー由来CO2排出量算出部21と、エネルギー使用以外の要素に起因する温室効果ガスの排出量をCO2の排出量に換算する温室効果ガス由来CO2排出量算出部22と、エネルギー由来CO2排出量算出部21および温室効果ガス由来CO2排出量算出部22がそれぞれ算出したCO2排出量の合計をCO2排出権の取引価格に換算するCO2排出量−取引価格換算部23とを備える。
ここで、エネルギー由来CO2排出量算出部21は、評価対象となる設備等の稼動やサービスの提供に必要となるエネルギーに起因する温室効果ガスの排出量を任意の温室効果ガスを基準とした排出量に換算する処理部(以下、エネルギー由来温室効果ガス排出量算出処理部とする)の一例である。
また、温室効果ガス由来CO2排出量算出部22は、設備の非稼動時またはサービスを提供しない際においても排出される温室効果ガスの排出量を基準とした温室効果ガスの排出量に換算する処理部(以下、非エネルギー由来温室効果ガス排出量算出部とする)の一例であり、CO2排出量−取引価格換算部23は、温室効果ガスの排出量を費用(コスト)に換算する処理部(以下、排出量−価格変換部とする)の一例である。
地球温暖化影響度算出手段7のエネルギー由来CO2排出量算出部21は、CO2排出量を算出する式情報を有しており、CO2排出量の算出式を計算することによりCO2排出量を算出する。算出されたCO2排出量の値は、CO2排出量−取引価格換算部23へ送られる。
エネルギー由来CO2排出量算出部21は、エネルギー使用量および当該エネルギー原単位を乗算することで、エネルギー使用に由来するCO2排出量を算出する。エネルギー使用に由来するCO2排出量は、例えば、電力等のエネルギー単位量あたりの環境負荷(ここでは、CO2排出量)、すなわち、エネルギー原単位と、当該エネルギーについての使用量とを乗算することによって算出することができるからである。
エネルギー原単位の情報は、エネルギー由来CO2排出量算出部21がエネルギー原単位データベース(以下、データベースをDBと省略する)25を参照することで取得される。エネルギー原単位DB25は、エネルギー原単位の情報を有しており、例えば、データ記録手段4等のエネルギー由来CO2排出量算出部21が参照可能なデータ記録手段に予め格納される。
また、エネルギー原単位の情報は、例えば、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)などの国際機関が発行するデータを利用することができる。国際機関が発行するデータを利用することで、容易かつ信頼性の高いエネルギー原単位の情報を有するエネルギー原単位DB25を構築することができる。
一方、エネルギー使用量の情報は、評価対象となる設備やサービスのエネルギー使用量を工場データや現地データ、設計値などから求めた製造時、運転時などの使用エネルギー算出結果を事前に入手しておく必要がある。そして、予め、使用エネルギー算出結果に基づくエネルギー使用量の情報を記録した使用エネルギー算出結果ファイル26をエネルギー由来CO2排出量算出部21が読み出し可能に格納な状態に準備しておく。
使用エネルギー算出結果ファイル26を予め準備しておくことで、エネルギー由来CO2排出量算出部21が使用エネルギー算出結果ファイル26の読み込み要求を受け取った際、使用エネルギー算出結果ファイル26に記録されるエネルギー使用量の情報を取得することができる。尚、エネルギー使用量の情報は、ユーザがエネルギー使用量を直接入力することによって、エネルギー由来CO2排出量算出部21に情報を与えても良い。
温室効果ガス由来CO2排出量算出部22は、評価対象となる設備の非稼動時またはサービスを提供しない際において排出される温室効果ガスの排出量をCO2の排出量に換算する式情報を有し、温室効果ガスの排出量についての情報(以下、温室効果ガス排出量情報とする)および温室効果ガスそれぞれの温暖化係数についての情報(以下、温暖化係数情報とする)を取得して、排出される温室効果ガスの排出量をCO2の排出量へ換算する。
温室効果ガス由来CO2排出量算出部22は、評価対象から排出される温室効果ガスの排出量をCO2の排出量に換算した値を算出することで、エネルギー使用に由来しないCO2の排出量を算出することができる。エネルギー使用に由来しないCO2排出量の値は、CO2排出量−取引価格換算部23へ送られる。
尚、設備の非稼動時またはサービスを提供しない際においても温室効果ガスが排出される例としては、評価対象が六ふっ化硫黄(以下、SF6とする)ガスなどの温室効果ガスを使用する設備であってガス回収時に配管に残留するガスなどが設備から漏洩する場合がある。
温室効果ガス由来CO2排出量算出部22が温室効果ガスの排出量をCO2の排出量に換算した値を算出する際には、温室効果ガス排出量情報および温暖化係数情報が必要となる。
温室効果ガス排出量情報は、温室効果ガス由来CO2排出量算出部22が、直接入力された温室効果ガス排出量情報を受け取るか、または、温室効果ガス排出量情報が記録された温室効果ガス排出量算出結果ファイル27を参照することで、温室効果ガス排出量情報を取得することができる。
温室効果ガス排出量情報の直接入力を受け付けることによる温室効果ガス排出量情報の取得は、ユーザが入力手段2から温室効果ガスの排出量の値を直接入力することでなされる。また、温室効果ガス排出量算出結果ファイル27を参照することによる温室効果ガス排出量情報の取得は、ユーザから温室効果ガス排出量情報取得の要求を受け付けた温室効果ガス由来CO2排出量算出部22が温室効果ガス排出量算出結果ファイル27を参照することでなされる。温室効果ガス排出量算出結果ファイル27は、データ記録手段4等の参照可能なデータ記録手段に予め格納しておく。
一方、温暖化係数情報は、予め構築され、読み出し可能に格納された温室効果ガス温暖化係数DB28を参照することで取得される。温室効果ガス温暖化係数DB28は、温暖化係数情報を有するデータベースであり、例えば、データ記録手段4等の温室効果ガス由来CO2排出量算出部22が参照可能なデータ記録手段に予め格納しておく必要がある。
尚、温暖化係数情報は、例えば、IPCCなどで決められた国際的に通用する原単位とすることが望ましい。また、対象となる温室効果ガスは京都議定書で指定されたガスとすることが望ましい。
CO2排出量−取引価格換算部23は、エネルギー由来CO2排出量算出部21が算出したCO2排出量、温室効果ガス由来CO2排出量算出部22が算出したCO2排出量およびCO2排出権取引価格の情報を取得し、CO2の合計排出量にCO2排出権の取引価格(単位排出量当たり)を乗算することで、排出するCO2量を金額(コスト)換算することができる。CO2排出量−取引価格換算部23が換算して得たCO2量の金額(コスト)換算結果は、指標統合化手段10へ送られる。
CO2排出権取引価格の情報は、CO2排出権取引価格DB29を参照することで取得される。CO2排出権取引価格DB29は、CO2排出権取引価格の情報を有するデータベースであり、例えば、データ記録手段4等のCO2排出量−取引価格換算部23が参照可能なデータ記録手段に予め格納しておく必要がある。
尚、CO2排出権取引価格は、必ずしも現在の価格でなくても良い。例えば、過去の一定期間(例えば、1年等)における平均価格、最低価格または最高価格であっても良い。また、価格に一定の幅を持たせても構わない。
このように構成される地球温暖化影響度算出手段7は、評価対象が排出する温室効果ガスの排出量を温室効果ガスとして代表的なCO2ベースの排出量を求め、得られた排出量に単位排出量当たりのCO2排出権価格を乗算した結果(コスト)を地球温暖化影響度として算出することができる。
尚、排出量を求める基準とする温室効果ガスは、図2に示す例ではCO2としたが、排出権の価格が設定されるガスであれば任意で良い。また、温暖化係数は、相対値であっても絶対値であっても構わないが、いずれを採用するかによって算出式が異なる点に留意する必要がある。
さらに、エネルギー原単位DB25、温室効果ガス温暖化係数DB28およびCO2排出権取引価格DB29が有する情報は、各々のデータベースを参照し取得されると説明したが、エネルギー由来CO2排出量算出部21、温室効果ガス由来CO2排出量算出部22およびCO2排出量−取引価格換算部23が算出する際に、通信手段6を介して所定のURL(Uniform Resource Locator)からオンラインで取得されても構わない。
環境影響評価システム1の有害物質リスク度算出手段8は、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質のリスク度を、製造現場、使用現場、撤去・廃棄現場での作業員の安全対策費と大気や水域など環境への排出を抑えるための無害化処理対策費とを算出することで行う。すなわち、安全対策費と無害化処理対策費とを合算した費用を有害物質リスク度として算出する。
図4に示すように、有害物質リスク度算出手段8は、適用法令分類部31、度数決定部32、項目別安全対策費算出部33、安全対策費算出部34、排出対策コスト集計部35および有害物質リスクコスト算定部36を備える。このうち、適用法令分類部31、度数決定部32、項目別安全対策費算出部33および安全対策費算出部34は、安全対策費を算出するための処理部(以下、安全対策費算出処理部とする)であり、排出対策コスト集計部35は、無害化処理対策費を算出するための処理部(以下、無害化対策費算出処理部とする)である。
安全対策費算出処理部としての適用法令分類部31は、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質毎に適用される法令(法律、政令、省令、その他の法をいい、以下同様とする。)の情報を取得して、適用される法令を、予め設定したリスクを判定する項目(以下、リスク判定項目)に分類する。
適用法令分類部31が取得する適用法令の情報としては、例えば、MSDS(Material Safety Data Sheet)に記載される情報を用いることができる。MSDSには、対象化学物質や対象材料などが該当する化学物質法令の記載項目があること、そして、MSDSを開示する要求があった場合、開示することが法律で決められていることから、物質のリスクを判定する際に有効な化学物質等の情報が比較的容易に入手できる。
また、MSDSを電子化したMSDSファイル39を予め読み出し可能に格納しておけば、適用法令分類部31は、MSDSファイル39を読み込むことで、評価対象となる化学物質や対象材料などが適用される法令からの情報を取得することができる。尚、適用法令分類部31は、MSDSの情報をユーザからの入力を受け付けることで取得しても構わない。
適用法令分類部31は、評価対象となる化学物質や対象材料などが適用される法令の情報を取得すると、適用法令を評価対象が関連する化学物質法令に基づき予め定めた複数のリスク判定項目に分類する。ここで、適用法令分類部31は、予め定めたリスク判定項目に分類するため、予め定めたリスク判定項目とMSDSファイル39に記載され得る法令とを対応付けた情報を保有している。従って、適用法令分類部31は、評価対象となる化学物質や対象材料などに適用される法令の情報を取得することで、リスク判定項目を決定することができる。
例えば、リスク判定項目の設定を、危険性、有害性および耐環境性の三つのリスク判定項目に予め定めて分類しておけば、図4に示すように、適用法令分類部31は、評価対象となる製品やサービスについて適用される法令を危険性、有害性および耐環境性のリスク判定項目に分類することができる。リスク判定項目の分類結果の情報は、適用法令分類部31から度数決定部32へ送られる。
度数決定部32は、化学物質法令に基づき予め定めたリスク判定項目および各項目における適用法令の度合を数値化した度数とを関連付けた情報を有する項目−度数マッチングDB40を参照して、適用法令分類部31が分類した各リスク判定項目について適用法令の度数がそれぞれ幾つとなるのかを取得して決定する。項目−度数マッチングDB40は、例えば、データ記録手段4等の度数決定部32が読み出し可能なデータ記録手段に予め格納される。
図4に示すように、適用法令分類部31が危険性、有害性および耐環境性の三つのリスク判定項目に分類する場合、度数決定部32は、取得した適用法令の情報に基づき、危険性、有害性および耐環境性の各項目について、適用される法令毎の度数を決定する。すなわち、危険度、有害度および耐環境度を決定する。そして、適用される法令毎に度数が決定すると、全ての適用法令について得られた度数の結果をリスク判定項目単位に合算して集計する。危険度、有害度および耐環境度の集計結果の情報は、度数決定部32から項目別安全対策費算出部33へ送られる。
項目別安全対策費算出部33は、予め定められた危険度、有害度および耐環境度等のリスク判定項目の情報、度数決定部32が決定した度数の情報、実施する安全対策の情報および安全対策に対する費用の情報に基づいて、各リスク判定項目についての安全対策費を算出する。算出されたリスク判定項目毎の安全対策費の情報は、項目別安全対策費算出部33から安全対策費算出部34へ送られる。
ここで、実施する安全対策の情報は、現有設備や道具により対応可能な安全対策および無害化処理対策と、リスク判定項目と、対応するリスク判定項目の度数とが対応付けて記録される現有対策設備情報ファイル41を読み出すことで、各リスク判定項目の度数に対応する安全対策の情報を取得することができる。
また、安全対策に対する費用の情報は、安全対策と安全対策実施時の費用とが対応付けられて記録された安全対策費DB42を参照することにより取得される。項目別安全対策費算出部33は、安全対策費DB42を参照することで、各リスク判定項目の度数に対応する安全対策を実施した場合の費用をリスク判定項目毎に取得することができる。
項目別安全対策費算出部33が参照する現有対策設備情報ファイル41および安全対策費DB42は、例えば、データ記録手段4等の項目別安全対策費算出部33が予め読み出し可能なデータ記録手段に格納しておく。
尚、実施する安全対策の情報は、項目別安全対策費算出部33が現有対策設備情報ファイル41を読み出すことで取得されるとしたが、ユーザからの入力を受け付けることで取得されても構わない。
安全対策費算出部34は、各リスク判定項目の安全対策費をそれぞれ加算することで、安全対策費を算出する。安全対策費の算出結果の情報は、安全対策費算出部34から有害物質リスクコスト算定部36へ送られる。
一方、無害化対策費算出処理部としての排出対策コスト集計部35は、無害化処理が必要となる物質の情報、現有設備で無害化処理可能な物質の情報および無害化処理の実施に要する費用の情報を取得して、無害化処理を実施する際に要する費用(無害化対策費)を算出し集計する。無害化処理対策費の集計結果は、排出対策コスト集計部35から有害物質リスクコスト算定部36へ送られる。
また、排出対策コスト集計部35は、例えば、データ記録手段4等の読み出し可能なデータ記録手段に格納される電子ファイルまたはデータベースを読み出して情報を取得することができる。つまり、データ記録手段4に、予め、無害化処理が必要となる物質の情報、現有設備において無害化処理可能な物質の情報および無害化処理の実施に要する費用の情報を有する電子ファイルまたはデータベースを格納しておき、排出対策コスト集計部35が読み出し可能な状態にしておくことで、排出対策コスト集計部35は、無害化処理が必要となる物質の情報、現有設備において無害化処理可能な物質の情報および無害化処理の実施に要する費用の情報を取得することができる。
より具体的には、排出対策コスト集計部35が取得する情報のうち、無害化処理が必要な物質の情報は、MSDSファイル39を読み込むことで取得される。また、現有設備において無害化処理可能な物質の情報は、現有対策設備情報ファイル41を読み込むことで取得される。さらに、無害化処理の実施に要する費用の情報は、無害化処理費用DB43を読み込むことで取得される。
有害物質リスクコスト算定部36は、安全対策費算出部34から安全対策費の算出結果を、排出対策コスト集計部35から無害化処理対策費の算出結果を受け取り、安全対策費と無害化処理対策費とを合算する。そして、得られた結果を有害物質リスクコストとして算定する。有害物質リスクコスト算定部36が算定した有害物質リスクコストの結果は、指標統合化手段10へ送られる。
このように構成される有害物質リスク度算出手段8によれば、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質のリスク度を、作業員の安全対策費と排出時の無害化処理対策費とを加算して得られる費用を有害物質リスク度として算出することができる。
また、資源生産性影響度算出手段9は、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質について、廃棄時に必要となる実質的な費用を資源生産性影響度として算出する。ここで、廃棄時に必要となる実質的な費用とは、廃棄時に必要となる費用から再生可能な材料について回収できた費用を差し引いた額である。
図5に示すように、資源生産性影響度算出手段9は、材料回収率選択部46と、材料回収量算出部47と、回収量−買取価格変換部48と、非回収量算出部49と、非回収量−廃棄処理価格変換部50と、実質廃棄処理価格算定部51とを備える。
材料回収率選択部46は、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料がどの程度回収できるかの割合(以下、回収率とする)を選択する機能を有する。
材料回収率選択部46は、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料の一覧が記録された構成部品一覧ファイル53を参照することで、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料についての情報を取得する。ここで、構成部品一覧ファイル53に記録される物質や材料の一覧情報には、使用材料のみならず、重量、複合材の場合の分離可能性情報が含まれる。これは、同じ材料でも、塗装の有無や分離可能性に依って回収率が異なるためである。
また、物質や材料の一覧情報と回収率の情報について記録した材料回収率DB54を参照し一覧情報に記録される各々の物質や材料について回収率が幾つであるかを取得する。回収率の情報は、例えば、材料が単一で100%分離可能であれば回収率は100%、複数の材料からなるがボルト固定で分離できるが塗料などが塗布されている場合は95%、一体成型の場合は70%といった情報である。
構成部品一覧ファイル53および材料回収率DB54は、例えば、データ記録手段4等の材料回収率選択部46が読み出し可能なデータ記録手段に格納される。
材料回収率選択部46が、構成部品一覧ファイル53および材料回収率DB54を参照することで、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料を特定し各々の物質等についての回収率を選択することができる。
尚、材料回収率選択部46は、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料の一覧についての情報を、入力手段2から入力される情報を受け取ることで取得しても構わない。
材料回収量算出部47は、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料の量のうち、回収できる分の量(以下、回収量とする)を算出する機能を有する。従って、材料回収量算出部47は、材料回収率選択部46が選択した回収率の情報および評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料の量に関する情報に基づいて、材料回収量を算出することができる。
材料回収量算出部47が材料回収量算出の際に用いる情報のうち、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料についての情報は、材料回収量算出部47が構成部品一覧ファイル53を参照することで取得することができる。また、材料回収率選択部46が選択した回収率の情報は、材料回収率選択部46から受け取ることで取得することができる。
回収量−買取価格変換部48は、材料回収量算出部47が算出した回収量の情報および単位回収量当たりの買取価格情報に基づき、回収可能な物質または材料を売却して得られる費用(以下、売却利益とする)を算出する機能を有する。回収量−買取価格変換部48は、材料回収量算出部47が算出した回収量の情報および材料買取価格DB55から単位回収量当たりの買取価格情報を取得して、売却利益を算出することができる。
非回収量算出部49は、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料のうち回収できない分の量(以下、非回収量とする)を算出する機能を有する。非回収量算出部49は、構成部品一覧ファイル53を参照するとともに材料回収量算出部47から回収量の情報を受け取る。そして、構成部品一覧ファイル53を参照して得られた評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料の総量から材料回収量算出部47が算出した回収量を差し引くことで非回収量を算出する。算出した非回収量の情報は非回収量算出部49から非回収量−廃棄処理価格変換部50へ送られる。
尚、非回収量算出部49は、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料の総量から回収量を差し引くことで非回収量を算出するとしたが、回収率から逆算して得られる非回収率に基づいて非回収量を算出しても良い。
非回収量−廃棄処理価格変換部50は、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料の非回収量の情報と廃棄処理に要する費用の情報を有する廃棄処理価格DB56に基づいて廃棄時に必要となる費用(以下、廃棄処理価格とする)を算出する機能を有する。
非回収量−廃棄処理価格変換部50は、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料の非回収量の情報を非回収量算出部49から受け取る一方、廃棄処理価格の情報を、例えば、データ記録手段4等の非回収量−廃棄処理価格変換部50が読み出し可能なデータ記録手段に格納される廃棄処理価格DB56から取得する。そして、取得した非回収量を廃棄処理価格に換算する。
実質廃棄処理価格算定部51は、実質的な廃棄処理価格を算出する機能を有する。従って、実質廃棄処理価格算定部51は、非回収量−廃棄処理価格変換部50が算出した廃棄処理価格(支出分)の情報および回収量−買取価格変換部48が算出した売却利益(収入分)の情報に基づいて、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料を廃棄する際の実質的な支出、すなわち、廃棄処理価格と売却利益との差額を算出することができる。
このように構成される資源生産性影響度算出手段9によれば、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質について、廃棄時に必要となる費用から再生可能な材料について回収できた費用を差し引いた額、すなわち、廃棄時に必要となる実質的な費用を資源生産性影響度として算出することができる。
指標統合化手段10は、地球温暖化影響度、有害物質リスク度および資源生産性影響度を一の指標に統合する。上述したように、地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8および資源生産性影響度算出手段9が算出した影響度またはリスク度は、それぞれ費用(コスト)で表されるため、コストという共通の指標を用いて一元化することができる。すなわち、地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8および資源生産性影響度算出手段9が算出した影響度またはリスク度の各々を合算して得られるコストの大小を判断することによって環境影響度の大小を評価することができる。
尚、指標統合化手段10は、地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8および資源生産性影響度算出手段9が算出した影響度またはリスク度(コスト換算値)の各々にユーザが指定した重み付けを行って得られた新たな影響度またはリスク度をそれぞれ加算することもできる。
指標統合化手段10が合算して得た環境影響度の情報は、制御手段12へ送られる。制御手段12は、環境影響度の情報を受け取ると、環境影響度の情報に基づく画像情報を生成し表示手段3へ送る。そして、表示手段3には、指標統合化手段10が合算して得た環境影響度が、環境影響評価の結果として表示される。
また、指標統合化手段10は、必要に応じて、環境影響評価結果の情報を環境影響評価結果ファイル58等の電子情報として所定のデータ記録手段および記録媒体に記録して保存することができる。
表示手段3に環境影響度が表示されることによって、設計者・企業経営者は、表示される環境影響度を視認することができ、例えば、温暖化、有害物質、資源生産性といった多方面から環境負荷を捉えて一つのコストリスクとして把握することができる。
尚、制御手段12は、指標統合化手段10から環境影響度の情報を受け取り、この環境影響度の情報に基づく画像情報を生成し表示手段3へ送り、表示手段3では、指標統合化手段10が算出した環境影響度を環境影響評価の結果として表示するようにしているが、これに限らず、例えば、制御手段12が、地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8および資源生産性影響度算出手段9にて算出された影響度またはリスク度の情報をそれぞれ受け取り、この受け取った情報に基づく画像情報をそれぞれ生成し表示手段3へ送り、送られたそれぞれの画像情報に基づいて表示状態3において地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8および資源生産性影響度算出手段9の影響度またはリスク度に関する情報をそれぞれ表示するようにして、3つのリスクを別々に把握できるようにしても良い。この場合、表示状態3で表示する情報は、地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8および資源生産性影響度算出手段9が算出したそれぞれの影響度またはリスク度のうちの1つでも良いし、2つでも良いし、また3つ全てでも良く、制御手段12は、3つの情報を選択的に表示手段3に表示し得るよう制御する。
次に、本発明に係る環境影響評価方法について説明する。
本発明に係る環境影響評価方法は、予め定められた評価指標について、それぞれ度数を算出し、各評価指標を一元化して得られる一の指標の大小により表すものである。環境影響評価システム1では、第1の環境影響評価手順を実行することで、本発明に係る環境影響評価方法を行うことができる。
図6に、第1の環境影響評価手順について、処理行程の順番を追って説明する処理フロー図を示す。
図6に示すように、第1の環境影響評価手順は、予め定められる複数の評価指標の各々に対して評価を行う個別指標評価行程(ステップS1〜ステップS4)と、この個別指標評価行程において得られた各評価指標に対する評価結果を一の評価指標に対する評価として集計する統合指標評価行程(ステップS5)とを具備する。
第1の環境影響評価手順の個別指標評価行程(ステップS1〜ステップS3)は、例えば、図1に示す環境影響評価システム1の場合、地球温暖化影響度を算出し評価する地球温暖化影響度評価ステップ(ステップS1)と、有害物質のリスク度を算出し評価する有害物質リスク度評価ステップ(ステップS2)と、資源生産性影響度を算出し評価する資源生産性影響度評価ステップ(ステップS3)と、全処理ステップの処理が完了したかを確認する全処理ステップ完了確認ステップ(ステップS4)とを備える。
第1の環境影響評価手順が開始されると(START)、まず、個別指標評価行程がなされる。図6によれば、個別指標評価行程では、地球温暖化影響度評価ステップ、有害物質リスク度評価ステップおよび資源生産性影響度評価ステップがマルチタスク的に実行される。
地球温暖化影響度評価ステップ(ステップS1)では、地球温暖化影響度算出手段7が地球温暖化影響度を算出し評価する。地球温暖化影響度算出手段7が地球温暖化影響度を算出し評価すると、地球温暖化影響度評価ステップを完了し、続いて、ステップS4に進む。
有害物質リスク度評価ステップ(ステップS2)では、有害物質リスク度算出手段8がリスク度を算出し評価する。有害物質リスク度算出手段8がリスク度を算出し評価すると、有害物質リスク度評価ステップを完了し、続いて、ステップS4に進む。
資源生産性影響度評価ステップ(ステップS3)では、資源生産性影響度算出手段9が算出した資源生産性影響度を算出し評価する。資源生産性影響度算出手段9が資源生産性影響度を算出し評価すると、資源生産性影響度評価ステップを完了し、続いて、ステップS4に進む。
そして、ステップS1〜ステップS3の各処理ステップが全て完了している場合(ステップS4でYESの場合)には、個別指標評価行程を完了し、続いて、統合指標評価行程(ステップS5)がなされる。そして、統合指標評価行程が完了すると、第1の環境影響評価手順は終了する(END)。
尚、図6によれば、個別指標評価行程の各処理ステップは、マルチタスク的に処理が実行されることを前提としているが、必ずしも、マルチタスク的に処理がなされることを要しない。個別指標評価行程の各処理ステップは、それぞれが独立した処理ステップであり、処理される順番を任意としても個別指標評価行程の処理ステップを実行する上では問題とならないからである。
次に、個別指標評価行程における地球温暖化影響度評価ステップ(ステップS1)、有害物質リスク度評価ステップ(ステップS2)および資源生産性影響度評価ステップ(ステップS3)についてより具体的に説明する。
図7は、地球温暖化影響度評価ステップのより詳細な処理ステップについて順を追って説明した処理フロー図である。同様に、図8は、有害物質リスク度評価ステップについての処理フロー図であり、図9は、資源生産性影響度評価ステップの処理フロー図である。
図7によれば、地球温暖化影響度評価ステップは、エネルギー使用に由来するCO2排出量を算出するエネルギー由来CO2排出算出ステップ(ステップS11)と、エネルギー使用の如何を問わず定常的に排出される温室効果ガスの排出量をCO2の排出量へ換算する温室効果ガス由来CO2排出量算出ステップ(ステップS12)と、エネルギー由来CO2排出算出ステップおよび温室効果ガス由来CO2排出量算出ステップで算出されたCO2排出量の合計量を算出するCO2合計排出量算出ステップ(ステップS14)と、CO2排出権の取引価格の情報に基づきCO2排出量の合計量を金額換算するCO2排出量−取引価格換算ステップ(ステップS15)とを備える。
図7に示すように、地球温暖化影響度評価ステップでは、処理ステップが開始されると(START)、まず、ステップS11とステップS12に進み、エネルギー由来CO2排出算出ステップ(ステップS11)および温室効果ガス由来CO2排出量算出ステップ(ステップS12)の処理ステップが並列的(マルチタスク的)に実行される。
ステップS11のエネルギー由来CO2排出算出ステップでは、エネルギー由来CO2排出量算出部21が、エネルギー原単位の情報を有するエネルギー原単位DB25およびエネルギー使用量の情報を記録した使用エネルギー算出結果ファイル26を参照してエネルギー使用に由来するCO2排出量を算出する。そして、エネルギー使用に由来するCO2排出量が算出されると、エネルギー由来CO2排出算出ステップは完了し、続いて、ステップS13に進む。
ステップS12の温室効果ガス由来CO2排出量算出ステップでは、温室効果ガス由来CO2排出量算出部22が、例えば、温室効果ガス排出量算出結果ファイル27が有する温室効果ガス排出量情報と温室効果ガス温暖化係数DB28が有する温暖化係数情報に基づいて得られる温室効果ガスの量をCO2排出量に換算する。
温室効果ガス由来CO2排出量算出ステップで算出されるCO2排出量(換算値)は、エネルギー使用に由来することなく排出されるCO2の量に相当する。温室効果ガス由来CO2排出量算出部22が、エネルギー使用に由来しないCO2排出量を算出すると、温室効果ガス由来CO2排出量算出ステップは完了し、続いて、ステップS13に進む。
ステップS13において、エネルギー由来CO2排出算出ステップおよび温室効果ガス由来CO2排出量算出ステップが共に完了している場合(ステップS13でYESの場合)、ステップS14に進む。
ステップS14のCO2合計排出量算出ステップでは、CO2排出量−取引価格換算部23が、ステップS11で算出されたエネルギー使用に由来するCO2排出量の情報とステップS12で算出されたエネルギー使用に由来しないCO2排出量の情報とを受け取り、合計のCO2排出量を算出する。合計のCO2排出量が算出されると、CO2合計排出量算出ステップは完了し、続いて、ステップS15に進む。
ステップS15のCO2排出量−取引価格換算ステップでは、CO2排出量−取引価格換算部23が、CO2排出権の取引価格の情報を有するCO2排出権取引価格DB29を参照し取得した単位量当たりのCO2排出権の取引価格に基づきCO2排出量の合計量を金額換算する。CO2排出量の合計量が金額換算されると、CO2排出量−取引価格換算ステップは完了する。そして、CO2排出量−取引価格換算ステップが完了すると、地球温暖化影響度評価ステップは完了する(END)。
一方、ステップS13において、エネルギー由来CO2排出算出ステップおよび温室効果ガス由来CO2排出量算出ステップが共に完了していない場合(ステップS13でNOの場合)、ステップS13に進み、エネルギー由来CO2排出算出ステップおよび温室効果ガス由来CO2排出量算出ステップが共に完了するのを待機する。
尚、図7では、エネルギー由来CO2排出算出ステップおよび温室効果ガス由来CO2排出量算出ステップがマルチタスク処理される場合の例を説明しているが、必ずしもエネルギー由来CO2排出算出ステップおよび温室効果ガス由来CO2排出量算出ステップはマルチタスク処理されなくても良い。少なくとも、CO2合計排出量算出ステップの実行前までに完了してさえいれば、どのような順番で処理がなされても構わない。
図8によれば、有害物質リスク度評価ステップは、大別すると、安全対策費を算出する安全対策費算出処理ステップ(ステップS21〜ステップS24)と、無害化処理対策費を算出する無害化対策費算出処理ステップ(ステップS25)と、安全対策費および無害化処理対策費を集計して得られる費用に基づき有害物質リスクコストを算定する有害物質リスクコスト算定ステップ(ステップS27)とを備える。
安全対策費算出処理ステップは、評価対象となる製品やサービスについて使用される物質について適用される法令をリスク判定項目単位に分類する適用法令分類ステップ(ステップS21)と、適用法令分類ステップで分類したリスク判定項目毎に適用法令の度数を決定する度数決定ステップ(ステップS22)と、適用法令分類ステップで分類したリスク判定項目毎に安全対策費を算出する項目別安全対策費算出ステップ(ステップS23)と、全判定項目で必要となる安全対策費を算出する安全対策費算出ステップ(ステップS24)とを有する。
また、図8に示すように、有害物質リスク度評価ステップでは、処理ステップが開始されると(START)、まず、ステップS21とステップS25に進み、適用法令分類ステップ(ステップS21)および無害化対策費算出処理ステップ(ステップS25)の処理ステップがマルチタスク的に実行される。
適用法令分類ステップでは、適用法令分類部31が、MSDSファイル39から評価対象となる製品やサービスについて使用される物質に対して適用される法令の情報を取得し、各リスク判定項目に分類する。尚、分類するリスク判定項目は、図4に示すように、危険性、有害性および耐環境性とする。
適用法令分類部31が、MSDSファイル39から評価対象が適用される法令について危険性、有害性および耐環境性のリスク判定項目に分類し終えると、適用法令分類ステップは完了し、続いて、ステップS22で度数決定ステップがなされる。
度数決定ステップでは、度数決定部32が、項目−度数マッチングDB40を参照して、評価対象に適用される法令毎に危険度、有害度および耐環境度を決定し、評価対象全体としての危険度、有害度および耐環境度を決定する。そして、評価対象全体としての危険度は、法令毎に得られた危険度を合算して決定する。残りの有害度および耐環境度についても危険度の場合と同様にして有害度および耐環境度をそれぞれ決定する。度数決定部32が、評価対象全体の危険度、有害度および耐環境度を決定すると、度数決定ステップは完了し、続いて、ステップS23で項目別安全対策費算出ステップがなされる。
項目別安全対策費算出ステップでは、項目別安全対策費算出部33が、リスク判定項目の情報、当該リスク判定項目に係る度数の情報、実施する安全対策の情報および安全対策に対する費用の情報を有する現有対策設備情報ファイル41を参照し項目別に安全対策費の算出を行う。項目別安全対策費算出部33が項目別に安全対策費を算出すると、項目別安全対策費算出ステップを完了し、続いて、ステップS24で安全対策費算出ステップがなされる。
安全対策費算出ステップでは、安全対策費算出部34が、項目別安全対策費算出ステップで算出された項目別の安全対策費を合算し全判定項目で必要となる安全対策費を算出する。安全対策費算出部34が全判定項目で必要となる安全対策費を算出すると、安全対策費算出ステップは完了し、続いて、ステップS26に進む。そして、ステップS26で安全対策費算出処理ステップおよび無害化対策費算出処理ステップが共に完了しているか否かの確認がなされる。
一方、無害化対策費算出処理ステップ(ステップS25)では、無害化対策費算出処理部としての排出対策コスト集計部35が、MSDSファイル39、現有対策設備情報ファイル41および無害化処理費用DB43を参照し、無害化処理が必要な物質の情報、現有設備で無害化処理可能な物質の情報および無害化処理の実施に要する費用の情報を取得する。そして、取得した無害化処理が必要な物質の情報、現有設備で無害化処理可能な物質の情報および無害化処理の実施に要する費用の情報に基づき、無害化対策費を算出し集計する。
排出対策コスト集計部35が、無害化対策費を算出し集計すると、無害化対策費算出処理ステップを完了し、続いて、ステップS26に進む。そして、ステップS26で安全対策費算出処理ステップおよび無害化対策費算出処理ステップが共に完了しているか否かの確認がなされる。
ステップS26において、安全対策費算出処理ステップおよび無害化対策費算出処理ステップが共に完了している場合(ステップS26でYESの場合)、ステップS27に進み、ステップS27で有害物質リスクコスト算定ステップがなされる。
有害物質リスクコスト算定ステップでは、有害物質リスクコスト算定部36が安全対策費算出処理ステップ(ステップS21〜ステップS24)で算出された安全対策費と無害化対策費算出処理ステップ(ステップS25)で算出された無害化対策費とを合算して有害物質リスクコストを算定する。有害物質リスクコスト算定部36が有害物質リスクコストを算定すると、有害物質リスクコスト算定ステップは完了し、有害物質リスク度評価ステップは完了する(END)。
また、ステップS26において、安全対策費算出処理ステップおよび無害化対策費算出処理ステップが共に完了していない場合(ステップS26でNOの場合)、ステップS26に進み、安全対策費算出処理ステップおよび無害化対策費算出処理ステップが共に完了するまでの間ステップS26の処理ステップを繰り返す。
さらに、図9によれば、資源生産性影響度評価ステップでは、材料回収率選択ステップ(ステップS31)と、材料回収量算出ステップ(ステップS32)と、回収量−買取価格変換ステップ(ステップS33)と、非回収量算出ステップ(ステップS34)と、非回収量−廃棄処理価格変換ステップ(ステップS35)と、実質廃棄処理価格算定ステップ(ステップS37)とを備える。
図9に示すように、資源生産性影響度評価ステップでは、処理ステップが開始されると(START)、まず、ステップS31で材料回収率選択ステップがなされる。材料回収率選択ステップでは、材料回収率選択部46が評価対象となる製品やサービスについて使用される物質(材料)の回収率を選択する。
材料回収率選択部46は、材料回収率選択ステップにおいて、対象設備の製品構成情報から構成部品の材料情報(使用材料、重量、複合材の場合の分離可能性情報など)を有する構成部品一覧ファイル53から分解可能性と材料固定方法情報に基づき材料回収率DB54から使用材料毎の回収率を選択する。
材料回収率選択部46が評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料の回収率を選択すると、材料回収率選択ステップは完了し、ステップS32およびステップS34に進む。そして、ステップS32で材料回収量算出ステップが、ステップS34で非回収量算出ステップがマルチタスク的になされる。
材料回収量算出ステップでは、材料回収量算出部47が評価対象となる製品等に使用される物質や材料の総量および回収率に基づいて回収量を算出する。材料回収量算出部47が回収量を算出すると、材料回収量算出ステップは完了し、続いて、ステップS33で回収量−買取価格変換ステップがなされる。
回収量−買取価格変換ステップでは、回収量−買取価格変換部48が、材料買取価格DB55から材料毎の買取価格の単価を取得し回収量を乗算して買取価格を算出する。算出する買取価格とは、廃棄時に回収した材料がいくらで売れるかを表す価格であり、環境負荷コストとしてはマイナス分のコストとなる。回収量−買取価格変換部48が買取価格を算出すると、回収量−買取価格変換ステップは完了し、続いて、ステップS36に進む。
一方、ステップS34の非回収量算出ステップでは、非回収量算出部49が、構成部品一覧ファイル53に基づいて得られた評価対象となる物質や材料の総量および材料回収率選択ステップで選択された回収率から算出される非回収率に基づき、非回収量、すなわち、材料回収に回らない分量を算出する。ここで、非回収率(%)とは、総量に対して材料回収されない分量の割合であり、100から回収率(%)を減算することで求めることができる。
尚、ステップS34の非回収量算出ステップでは、非回収量算出部49が、構成部品一覧ファイル53に基づいて得られた評価対象となる物質や材料の総量および非回収率に基づいて非回収量を算出しているが、評価対象となる物質や材料の総量および材料回収量算出ステップ(ステップS32)で算出された回収量に基づいて算出しても構わない。
非回収量算出部49が非回収量を算出すると、非回収量算出ステップは完了し、続いて、ステップS35で非回収量−廃棄処理価格変換ステップがなされる。
非回収量−廃棄処理価格変換ステップでは、非回収量−廃棄処理価格変換部50が、廃棄処理価格DB56を参照して評価対象となる製品やサービスについて使用される物質や材料の非回収量の情報を換算し廃棄処理価格の情報を算出する。非回収量−廃棄処理価格変換部50が廃棄処理価格を算出すると、非回収量−廃棄処理価格変換ステップは完了し、続いて、ステップS36に進む。
ステップS36では、材料回収量算出ステップおよび非回収量算出ステップの両処理ステップが完了しているか否かの確認がなされる。つまり、ステップS36では、後述する実質廃棄処理価格算定ステップを実行するのに必要となる情報、すなわち、廃棄処理価格(支出分)の情報および売却利益(収入分)の情報を取得したかについて確認される。そして、廃棄処理価格の情報および売却利益の情報を取得すると(ステップS36でYESの場合)、ステップS37に進み、ステップS37で実質廃棄処理価格算定ステップがなされる。
実質廃棄処理価格算定ステップでは、実質廃棄処理価格算定部51が、取得した廃棄処理価格の情報および売却利益の情報に基づき、実質的な廃棄処理価格を算出する。実質廃棄処理価格算定部51が、実質的な廃棄処理価格を算出すると、実質廃棄処理価格算定ステップは完了し、実質廃棄処理価格算定ステップは完了をもって資源生産性影響度評価ステップは完了する(END)。
また、ステップS36で廃棄処理価格の情報および売却利益の情報のうち少なくとも一方を取得していない場合(ステップS36でNOの場合)、ステップS36に進み、ステップS36以降の処理ステップを繰り返す。
本実施形態に係る環境影響評価システムおよび環境影響評価方法では、環境影響評価の評価指標を、例えば、温暖化影響度、有害物質リスク度、資源生産性影響度等の少数個に絞り込み、従来の環境影響評価システムと比較してインベントリを大幅に削減しているので、LCA用のデータを簡単に揃えることができる。
また、製品の使用エネルギー情報や材料情報などに基づいて得られるLCA結果を、例えば、温暖化、有害物質、資源生産性といった多方面から捉えつつ、環境影響評価の結果をコストリスクという一元的な指標として把握することができるので、企業や設計者が環境影響評価の結果を企業リスクとして直接的に把握することができる。
[第2の実施形態]
図10に、本発明の第2の実施形態に係る環境影響評価システムの一実施例である環境影響評価システム1Aの概略図を示す。
環境影響評価システム1Aは、例えば、新たな有害物質の発生、CO2排出量算定方法の見直し、材料買取コストの高騰など新たな知見が得られ、それまでの環境負荷リスクコストの修正(再計算)が必要となる場合に対応できるように構成された環境影響評価システムである。
図10に示すように、環境影響評価システム1Aは、環境影響評価システム1に対して、最新情報登録手段61と、整合性確認手段62と、再計算箇所提示手段63とをさらに具備する点以外は環境影響評価システム1と本質的に異ならない。そこで、環境影響評価システム1と実質的に同じ構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
図10によれば、環境影響評価システム1Aは、入力手段2、表示手段3、データ記録手段4、通信手段6、地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8、資源生産性影響度算出手段9、指標統合化手段10、タイムスタンプ記録手段11、制御手段12、最新情報登録手段61、整合性確認手段62および再計算箇所提示手段63を具備する。
最新情報登録手段61、整合性確認手段62および再計算箇所提示手段63についても、入力手段2、表示手段3、データ記録手段4、通信手段6、地球温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8、資源生産性影響度算出手段9、指標統合化手段10、タイムスタンプ記録手段11、制御手段12と同様に、環境影響評価PGを予めインストールしたコンピュータを機能させることで実現される。
環境影響評価システム1Aの最新情報登録手段61は、例えば、エネルギー原単位DB25等のデータベース、または、使用エネルギー算出結果ファイル26等の電子ファイルが持つ情報の一部または全部を更新する要求があった場合において、更新要求があった情報について更新する機能を有する。
また、最新情報登録手段61は、データベースまたは電子ファイルの更新を行った後、更新したデータベースまたは電子ファイルにタイムスタンプを付与する要求を制御手段12へ送る機能を有する。
すなわち、最新情報登録手段61は、データベースまたは電子ファイルの更新要求があった場合、更新要求があったデータベースまたは電子ファイルを更新するとともに、更新したデータベースまたは電子ファイルにタイムスタンプを付与する要求をすることができる。最新情報登録手段61が要求したタイムスタンプの付与は、タイムスタンプ記録手段11が行う。
尚、データベースまたは電子ファイルの更新要求は、入力手段2から入力されたものであっても、通信手段6から送信されるものであっても構わない。
整合性確認手段62は、データベースまたは電子ファイルが保有する情報の一部または全部が更新されたことによって、環境影響評価結果が情報更新前と比較して相違があるか、すなわち、整合性の有無を確認する機能を有する。また、整合性確認手段62は、整合性の確認の結果、整合性がない場合には、環境影響評価結果を算出するのに必要な計算項目のうち、整合しない計算項目の情報を再計算箇所提示手段63へ送る機能を有する。
従って、整合性確認手段62は、データベースまたは電子ファイルが保有する情報の一部または全部が更新され、かつ、環境影響評価結果が情報更新前と整合しない場合、整合しない計算項目の情報を再計算箇所提示手段63へ送ることができる。
再計算箇所提示手段63は、データベースが保有する情報の一部または全部が更新され、かつ、情報更新前と比較し環境影響評価に必要な計算項目の結果が異なる場合において、再度、計算を行う(以下、単に再計算とする)必要がある計算項目、すなわち、再計算箇所の情報を制御手段12に送る機能を有する。
また、再計算箇所提示手段63は、再計算が必要な場合において、再計算を行う処理手段、すなわち、温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8および資源生産性影響度算出手段9の少なくとも何れかに再計算を要求する機能を有する。
従って、再計算箇所提示手段63は、データベースが保有する情報の一部または全部が更新され、かつ、情報更新前と比較してデータが異なる場合において、再計算が必要であれば、再計算の必要箇所についての情報を制御手段12に送り、その結果、制御手段12で生成された再計算必要箇所の情報に基づく画像情報が表示手段3等に出力される。
また、再計算箇所提示手段63は、再計算必要箇所をユーザに提示するとともに、温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8および資源生産性影響度算出手段9の少なくとも何れかに再計算を要求することができる。
環境影響評価システム1Aでは、環境影響評価システム1に対して、最新情報登録手段61、整合性確認手段62および再計算箇所提示手段63をさらに具備することで、環境影響評価システム1の効果に加え、環境影響評価の際に用いるエネルギー原単位DB25等のデータベースまたは使用エネルギー算出結果ファイル26等の電子ファイルの更新を行う場合、データベースまたは電子ファイルの更新によって環境影響評価の結果が情報更新前と比較して相違があるか否かを確認することができる。
そして、環境影響評価の結果が情報更新前と比較して相違点がある(整合性がない)場合には、再度、環境影響評価を実施する。尚、相違点がない(整合性がある)場合には、以前の環境影響評価結果と同じであるから環境影響評価は再実施しない。
また、再計算が必要となる計算項目、すなわち、情報更新前との相違箇所をユーザに提示することができる。従って、ユーザは、情報更新に伴い相違点が生じた箇所を自ら探すことなく認識することができる。
さらに、再計算が必要な場合、温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8および資源生産性影響度算出手段9が再計算を行い、環境影響評価結果ファイル58等の環境影響評価の基礎となる情報を持つ電子ファイルおよびエネルギー原単位DB25等の環境影響評価の基礎となる情報を持つデータベースのタイムスタンプ情報を記録して保存することができる。従って、いつ作成された情報に基づいて環境影響評価を行った結果であるのかを事後であっても容易に把握することができる。
次に、環境影響評価システム1Aにおいてなされる環境影響評価手順(以下、第2の環境影響評価手順とする)について説明する。
図11は、本発明に係る環境影響評価方法としてなされる第2の環境影響評価手順について説明する処理フロー図である。
第2の環境影響評価手順は、上述した第1の環境影響評価手順に対して、環境影響評価を行う際に用いる情報の更新を反映させる情報更新反映行程(ステップS41〜ステップS43)をさらに具備する点で相違するが、その他の点は実質的に同一である。そこで、第2の環境影響評価手順の説明においては、情報更新反映行程についてのみ説明し、第1の環境影響評価手順と実質的に重複する処理行程については同一のステップ番号を付して説明を省略する。
第2の環境影響評価手順では、情報更新の要求があり、情報の更新を完了すると、処理手順の実行を開始する(START)。第2の環境影響評価手順がスタートすると、図11に示すように、まず、情報更新反映行程(ステップS41〜ステップS44)がなされる。
情報更新反映行程のステップS42で再計算が必要な場合(ステップS42でYESの場合)には、個別指標評価行程(ステップS1〜ステップS4)および統合指標評価行程(ステップS5)がなされた後、第2の環境影響評価手順は終了する(END)。尚、図11に示す個別指標評価行程および統合指標評価行程は、図6に示す第1の環境影響評価手順に相当する。
一方、ステップS42で再計算が不要な場合(ステップS42でNOの場合)には、改めて個別指標評価行程および統合指標評価行程を行う必要がないため、個別指標評価行程および統合指標評価行程を行うことなく第2の環境影響評価手順は終了する(END)。
第2の環境影響評価手順における情報更新反映行程の各処理ステップについて処理順番を追って説明する。
まず、情報更新反映行程では、まず、ステップS41で更新した情報を有するデータベースまたは電子ファイル等の電子情報に認証を受けた日付および時刻の情報(タイムスタンプ情報)を記録するタイムスタンプ記録ステップがなされる。タイムスタンプ記録ステップでは、タイムスタンプ記録手段11が情報を更新したデータベースまたは電子ファイルにタイムスタンプ情報を付与する。タイムスタンプ情報が付与されると、タイムスタンプ記録ステップを完了し、続いて、ステップS42に進む。そして、ステップS42で整合性確認ステップがなされる。
整合性確認ステップでは、環境影響評価を行う際に用いる情報の更新に伴い、整合性確認手段62が再計算の必要性を確認する。この整合性確認ステップで再計算の必要があると判断される場合(ステップS42でYESの場合)、ステップS43に進み、ステップS43で再計算箇所表示ステップがなされる。
再計算箇所表示ステップ(ステップS43)では、再計算箇所提示手段63が機能して、再計算箇所が表示手段3に表示される。再計算箇所が表示手段3に表示されると、再計算箇所表示ステップは終了し、続いて、ステップS44で再計算実行要求ステップがなされる。
再計算実行要求ステップでは、再計算箇所提示手段63が再計算箇所について再計算を実行する要求を制御手段12に出力する。再計算の実行要求を受け取った制御手段12は、再計算箇所の再計算を行う処理手段、すなわち、温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8および資源生産性影響度算出手段9を制御する。そして、温暖化影響度算出手段7、有害物質リスク度算出手段8および資源生産性影響度算出手段9が再計算箇所の再計算を行う。再計算箇所提示手段63が再計算の実行要求を出力すると、再計算実行要求ステップは終了し、情報更新反映行程は終了する。
一方、ステップS42の整合性確認ステップにおいて、再計算の必要が無いと判断される場合(ステップS42でNOの場合)、ステップS42からENDに進み第2の環境影響評価手順は終了する(END)。すなわち、ステップS42でNOの場合、情報更新反映行程は終了し、再計算を行うことなく第2の環境影響評価手順が終了する。
第2の環境影響評価手順を実行することにより、新たな知見が得られ、それまでの環境負荷リスクコストの修正(再計算)が必要となる場合においても、容易に再計算箇所を知ることができ、評価者の負担を減らすことが可能となる。
以上、本発明に係る環境影響評価システムおよび環境影響評価方法によれば、環境影響評価の評価指標を、例えば、地球温暖化影響度、有害物質リスク度および資源生産性影響度のように、従来の環境影響評価システムと比較してインベントリを大幅に絞り込んでいるため、LCA用のデータを簡単に揃えることができる。
また、環境影響評価の結果を一元的な指標として把握することができるので、企業や設計者が環境影響評価の結果を企業リスクとして直接的に把握することができる。
さらに、環境影響評価の際に用いる情報を更新する場合、再計算の必要性の有無を確認すると共に再計算が必要な場合には再計算箇所をユーザに提示することができるので、ユーザの負担を軽減することができる。