一般に、無線タグ回路素子に情報を記憶させて上記物品管理等を行う場合、無線タグ回路素子のIC回路部の記憶容量にはある程度の制限があることから、管理対称の物品に関わる物品情報(例えば物品の名称、配置箇所、購入月日、管理者等)そのものを無線タグ回路素子には記憶させない。すなわち、物品情報はサーバのデータベースに記憶させ、無線タグ回路素子には識別情報(タグID)を記憶させ、この識別情報と上記データベースの物品情報を例えば一対一に対応づける(=いわゆるひも付けを行う)ようにする場合が多い。
この場合、読み取り装置では無線タグ回路素子の識別情報を読み取った後、その識別情報に基づき上記サーバのデータベースにアクセスして、対応する物品情報を取得することとなる。また、当該無線タグを作成する場合も、サーバのデータベースにアクセスして物品情報と所定の識別情報との相関情報(=ひも付け情報)を生成した後に、その識別情報を無線タグ回路素子に書き込む。すなわち、無線タグ回路素子の情報読み取り及び情報書き込みのいずれの場合も、サーバのデータベースへのアクセスが行われることとなる。
ここで、上記従来技術のように非対称暗号を用いる場合には公開鍵及び秘密鍵(非公開鍵)のいずれか一方で暗号化を行い、他方で復号化を行うのが通常である。このため、公開鍵とこれに対応する秘密鍵とは一対一に対応付けられる。この対応付けにあたって、上記のように無線タグ回路素子への情報読み取り・書き込みの便宜のために読み取り装置や書き込み装置(タグ作成装置)に一般的に接続されているサーバを利用すれば、その公開鍵と秘密鍵との対応付けを容易に行えるはずである。
しかしながら、上記従来技術では、そのような公開鍵と秘密鍵との対応付けを容易にし、多種多様な存在する既存の公開鍵に対応した秘密鍵を用いて多種多様な暗号化情報入り無線タグ回路素子を容易かつ手軽に作成することまでは特に配慮されていなかった。また、暗号化情報を公開鍵で復号化する際に、公開鍵に容易にアクセスできるようにして復号化を容易かつ手軽に行えるようにすることにも特に配慮されていなかった。
本発明の目的は、多種多様な公開鍵に応じた多種多様な暗号化情報入り無線タグ回路素子を容易かつ手軽に作成することができ、また復号化を容易かつ手軽に行える無線タグ回路素子、タグラベル作成装置、及び無線タグ情報読み取り装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶するIC回路部と、このIC回路部に接続されるタグ側アンテナとを有する無線タグ回路素子であって、前記IC回路部は、所定の第1秘密鍵で暗号化された第1暗号化情報と、この第1暗号化情報を復号化するための前記第1秘密鍵に対応する第1公開鍵の格納先にアクセスするためのアクセスポインタ情報とを記憶保持することを特徴とする。
本願第1発明の無線タグ回路素子のIC回路部には、第1秘密鍵で暗号化された第1暗号化情報と、この第1暗号化情報を復号化するための第1秘密鍵に対応した第1公開鍵のアクセスポインタ情報とが記憶保持されている。これにより、例えばこの無線タグ回路素子を備えたタグラベルを入手したユーザー側において、無線タグ情報読み取り装置を用いて当該第1暗号化情報及びアクセスポインタ情報を読み取り、アクセスポインタ情報を元に例えばサーバ等の格納先にアクセスして第1公開鍵を取得し、その取得した第1公開鍵で上記第1暗号化情報を復号化し、本来伝達したい情報を得ることができる。
このように、暗号化に用いた秘密鍵に対応した公開鍵をサーバ等に格納し、無線タグ回路素子への情報読み取り後のサーバへのアクセスで公開鍵を取得し復号化する構成とすることにより、サーバ等に格納した多種多様な公開鍵に応じた多種多様な暗号化情報入り無線タグ回路素子を、容易かつ手軽に作成することができるとともに、復号化も容易かつ手軽に行うことができる。特に、秘密鍵で暗号化し公開鍵で復号化することにより、例えばメーカ側で暗号化情報を備えたタグラベルを作成しユーザ側で暗号化情報を復号化すれば、その復号化した情報に応じてメーカによる真正品かどうかを確認することが可能となるので、真正品保証に用いる証明用として当該タグラベルを用いることができる。
第2発明は、上記第1発明において、前記IC回路部は、前記タグ側アンテナを介し受信した前記第1公開鍵を用いて前記第1暗号化情報を復号化するタグ側復号化手段を備えることを特徴とする。
本願第2発明の無線タグ回路素子のIC回路部には、タグ側復号化手段が備えられている。これにより、例えばこの無線タグ回路素子を備えたタグラベルを入手したユーザー側において、無線タグ情報読み取り装置を用いてアクセスポインタ情報を読み取り、アクセスポインタ情報を元に例えばサーバ等の格納先にアクセスして第1公開鍵を取得し、その取得した第1公開鍵をIC回路部に送信することで、無線タグ回路素子のタグ側復号化手段がIC回路部に記憶保持された第1暗号化情報を復号化する。そして、無線タグ情報読み取り装置側から再度アクセスを行うことで当該復号化された情報(本来伝達したい情報)を得ることができる。
このように、暗号化情報の復号化機能まで無線タグ情報読み取り装置側でなく無線タグ回路素子側に付与することにより、無線タグ回路素子から出力されるデータ自体がすべて読み取られたとしてもデッドコピーされた別の無線タグ回路素子をユーザー側で複製することはできず、本来伝達したい情報が取得されることはない。この結果、さらに高いセキュリティーで真正品証明機能を果たすことができる。
第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記IC回路部は、前記第1暗号化情報及び前記アクセスポインタ情報を記憶している旨を表す識別子を記憶することを特徴とする。
これにより、無線タグ回路素子のIC回路部に備えられた識別子が例えば無線タグ情報読み取り装置で取得された場合、その識別子に応じ当該無線タグ回路素子が証明用タグラベルに対応するものであることが無線タグ情報読み取り装置側で認識される。この結果、自動的に、サーバ等の格納先から取得した第1公開鍵を用いて第1暗号化情報を復号化し、最終的に本来伝達したい情報を得ることができる。このように、当該証明用タグラベル機能に対応して自動的に読み取り及び情報取得処理を行うことができるので、操作者の利便性を確保することができる。
上記目的を達成するために、第4発明は、情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナとを備えた無線タグ回路素子が配置され、連続的に供給可能に収納されたタグ媒体を有する無線タグ回路素子収納体を着脱可能に設置する収納体設置部と、前記無線タグ回路素子の前記IC回路部との間で無線通信により情報の送受信を行う装置側アンテナと、この装置側アンテナを介し前記無線タグ回路素子へアクセスし、その前記IC回路部に、所定の第1秘密鍵で暗号化された第1暗号化情報、及び、この第1暗号化情報を復号化するための前記第1秘密鍵に対応する第1公開鍵の格納先にアクセスするためのアクセスポインタ情報の書き込みを行う第1情報書き込み手段と、前記無線タグ回路素子収納体から搬送される前記タグ媒体に印字を行う印字手段とを有することを特徴とする。
本願第4発明のタグラベル作成装置においては、収納体設置部に無線タグ回路素子収納体が装着されタグ媒体が連続的に供給されると、タグ媒体に備えられる無線タグ回路素子のIC回路部と装置側アンテナを介し情報送受信が行われ、また印字手段で搬送されるタグ媒体に印字が行われて、タグラベルが作成される。このとき、第1情報書き込み手段によって、タグラベルのIC回路部には、第1秘密鍵で暗号化された第1暗号化情報と、この第1暗号化情報を復号化するための第1秘密鍵に対応した第1公開鍵のアクセスポインタ情報とが書き込まれている。これにより、このタグラベルを入手したユーザー側において、無線タグ情報読み取り装置を用いて当該第1暗号化情報及びアクセスポインタ情報を読み取り、アクセスポインタ情報を元に例えばサーバ等の格納先にアクセスして第1公開鍵を取得し、その取得した第1公開鍵で上記第1暗号化情報を復号化し、本来伝達したい情報を得ることができる。
このように、暗号化に用いた秘密鍵に対応した公開鍵をサーバ等に格納し、無線タグ回路素子への情報読み取り後のサーバへのアクセスで公開鍵を取得し復号化する構成とすることにより、サーバ等に格納した多種多様な公開鍵に応じた多種多様な暗号化情報入り無線タグ回路素子を、容易かつ手軽に作成することができるとともに、復号化も容易かつ手軽に行うことができる。特に、秘密鍵で暗号化し公開鍵で復号化することにより、メーカ側で暗号化情報を備えたタグラベルを作成しユーザ側で暗号化情報を復号化すれば、その復号化した情報に応じてメーカによる真正品かどうかを確認することが可能となるので、真正品保証に用いる証明用として当該タグラベルを用いることができる。
第5発明は、上記第4発明において、前記第1公開鍵とこれに対応する前記第1秘密鍵を生成可能な第1鍵生成手段を有することを特徴とする。
第1鍵生成手段で第1公開鍵に対応づけて生成した第1秘密鍵を用いて、第1暗号化情報を生成することができる。
第6発明は、上記第4又は第5発明において、前記装置側アンテナを介し前記無線タグ回路素子へアクセスし、その前記IC回路部に、通信相手先の所定の第2秘密鍵に対応し公開されている第2公開鍵で暗号化された第2暗号化情報の書き込みを行う第2情報書き込み手段を有することを特徴とする。
本願第6発明においては、第2情報書き込み手段によって、タグラベルのIC回路部には、通信相手先の第2秘密鍵に対応し公開されている第2公開鍵で暗号化された第2暗号化情報が書き込まれている。これにより、このタグラベルを入手した通信相手先において、無線タグ情報読み取り装置を用いて当該第2暗号化情報を読み取り、上記第2秘密鍵で上記第2暗号化情報を復号化し、本来伝達したい情報を得ることができる。
このように、通信相手先の秘密鍵に対応した公開鍵で暗号化して送り、当該通信相手先が自身の秘密鍵で復号化することにより、その通信相手先への秘密通信用として当該タグラベルを用いることができる。
第7発明は、上記第6発明において、前記第1情報書き込み手段による書き込み動作を行う第1モードと、前記第2情報書き込み手段による書き込み動作を行う第2モードとを、選択的に切り換えるための操作入力を行う操作手段を有することを特徴とする。
これにより、第1モードで真正証明用タグラベルを作成するのか、第2モードで秘密通信用タグラベルを作成するのかを、操作手段を介して自在に選択可能となるので、操作者の利便性を向上することができる。
第8発明は、上記第7発明において、前記操作手段は、前記第1情報書き込み手段による書き込み動作と、前記第2情報書き込み手段による書き込み動作との両方を行うための第3モードを、操作入力可能であることを特徴とする。
これにより、操作手段で第3モードを選択することで、証明用と秘密通信用の両方の機能を備えたタグラベルを作成することができるので、さらに操作者の利便性を向上することができる。
第9発明は、上記第7又は第8発明において、前記第1モード、又は前記第2モード、若しくは前記第3モードに対応するモード識別子を書き込む識別子書き込み手段を有することを特徴とする。
識別子書き込み手段でモード識別子を書き込むことにより、無線タグ情報読み取り装置での情報読み取りの際、当該無線タグ回路素子がどのモードで情報書き込みが行われたか(言い換えれば証明用タグか秘密通信用タグか)がすぐ分かるので、そのいずれかに応じた情報読み取り及びその後の復号化処理等を円滑に行うことができる。
第10発明は、上記第4又は第5発明において、前記第1秘密鍵を用いて、被暗号化情報を暗号化する第1暗号化手段を備えることを特徴とする。
第1暗号化手段で第1秘密鍵を用い被暗号化情報を暗号化して第1暗号化情報を生成し、これを第1情報書き込み手段で無線タグ回路素子のIC回路部に書き込んで証明用タグラベルを作成することができる。
第11発明は、上記第10発明において、前記印字手段は、前記被暗号化情報の少なくとも一部を前記タグ媒体に印字することを特徴とする。
これにより、ユーザ側で暗号化情報を復号化したとき、当該タグ媒体に印字された印字内容(被暗号化情報)と照合して、メーカによる真正品であるかどうかを確認することができる。
第12発明は、上記第6発明において、前記第2公開鍵を用いて、被暗号化情報を暗号化する第2暗号化手段を備えることを特徴とする。
第2暗号化手段で第2公開鍵を用い被暗号化情報を暗号化して第2暗号化情報を生成し、これを第2情報書き込み手段で無線タグ回路素子のIC回路部に書き込んで秘密通信用タグラベルを作成することができる。
第13発明は、上記第10乃至第12発明のいずれかにおいて、前記被暗号化情報を生成する被暗号化情報生成手段を有することを特徴とする。
被暗号化情報生成手段で生成した被暗号化情報を、第1秘密鍵又は第2公開鍵で暗号化して第1又は第2暗号化情報を生成し、これを第1又は第2情報書き込み手段で無線タグ回路素子のIC回路部に書き込んで証明用又は秘密通信用タグラベルを作成することができる。
第14発明は、上記第10乃至第13発明のいずれかにおいて、前記第1又は第2暗号化手段は、前記被暗号化情報として、当該無線タグ回路素子の識別情報を暗号化することを特徴とする。
第1又は第2暗号化手段で第1秘密鍵又は第2公開鍵を用い無線タグ回路素子の識別情報を暗号化して第1又は第2暗号化情報を生成し、これを第1又は第2情報書き込み手段で無線タグ回路素子のIC回路部に書き込んで証明用又は秘密通信用タグラベルを作成することができる。
第15発明は、上記第4乃至第14発明のいずれかにおいて、前記第1公開鍵とこれに対応する前記第1秘密鍵とを関連づけて記憶保持する記憶手段を有することを特徴とする。
公開鍵と秘密鍵とを対として関連づけて記憶手段に記憶することにより、証明用タグラベルを作成するために公開鍵で復号化することを前提に対応する秘密鍵で暗号化を行う際の公開鍵と秘密鍵との対応付けを明確にして処理の円滑性迅速性を向上することができる。
第16発明は、上記第15発明において、前記記憶手段は、前記第1公開鍵、あるいは、前記第1秘密鍵を、当該鍵の使用者情報とさらに関連づけて記憶保持することを特徴とする。
公開鍵と秘密鍵との対応付けにさらにそれら鍵の使用者情報を関連づけることで、複数の使用者による利用においても処理の円滑性迅速性を向上することができる。
第17発明は、上記第16発明において、前記記憶手段は、前記使用者情報に対応する前記第1公開鍵と対となる前記第1秘密鍵を変更可能に記憶していることを特徴とする。
これにより、互いに関連づけられている公開鍵と秘密鍵を適宜(例えば定期的に)変更することで、セキュリティーを向上することができる。
第18発明は、上記第16発明において、前記記憶手段は、前記使用者情報、この使用者情報に対応する前記第1公開鍵、前記使用者情報に対応する前記第1秘密鍵のうち、少なくとも1つを削除可能に記憶していることを特徴とする。
互いに関連づけられている公開鍵、秘密鍵、使用者情報のうち、少なくとも1つを必要に応じて削除可能とすることで、さらに操作者の利便性を向上することができる。
第19発明は、上記第4乃至第18発明のいずれかにおいて、他のタグラベル作成装置の前記第1公開鍵を格納保持する公開鍵格納手段と、当該他のタグラベル作成装置よりアクセスがあった場合には対応する前記公開鍵格納手段より前記第1公開鍵を検索して出力する公開鍵出力手段を備えることを特徴とする。
これにより、他のタグラベル作成装置において第1暗号化情報を復号化するためにアクセスがあった場合は、公開鍵出力手段が公開鍵格納手段を検索して対応する第1公開鍵を出力し、これによって当該他のタグラベル作成装置でその取得した第1公開鍵で上記第1暗号化情報を復号化することができる。
第20発明は、上記第4乃至第19発明のいずれかにおいて、前記収納体設置部は、前記タグ媒体として長手方向に複数の前記無線タグ回路素子を連続的に配置したタグテープを巻回したタグテープロールを収納した無線タグカートリッジを着脱可能なカートリッジホルダであることを特徴とする。
カートリッジホルダに無線タグカートリッジが装着されタグテープロールからタグテープが連続的に供給されると、タグテープに備えられる無線タグ回路素子のIC回路部と装置側アンテナを介し情報送受信が行われ、また印字手段で搬送されるタグテープに印字が行われ、タグラベルを作成することができる。
第21発明は、上記第4乃至19発明において、無線タグカートリッジに設けられた無線タグ回路素子のIC回路部に関する情報を記憶した情報記憶部から情報を読み出して暗号鍵の強度または暗号鍵の方式を選択する暗号選択部を設けたことを特徴とする。
これにより、種々の無線タグカートリッジが交換されて使用される場合も、各カートリッジのタグ媒体に備えられた無線タグ回路素子に最も適合した暗号方式や最適な強度が自動的に選択されて用いられるので、操作者の利便性がさらに向上する。
上記目的を達成するために、第22発明は、IC回路部及びこのIC回路部に接続されたタグ側アンテナを備えた無線タグ回路素子と無線通信により情報の送受信を行う読み取り装置側アンテナと、この読み取り装置側アンテナを介した無線通信に応じて、前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶保持された、所定の第1秘密鍵で暗号化された第1暗号化情報とこの第1暗号化情報を復号化するための前記第1秘密鍵に対応する第1公開鍵の格納先にアクセスするためのアクセスポインタ情報とを取得する第1情報取得手段と、この第1情報取得手段で取得された前記アクセスポインタ情報に基づき、前記第1公開鍵の格納先にアクセスして当該第1公開鍵を取得する公開鍵取得手段と、この公開鍵取得手段で取得した前記第1公開鍵を用いて、前記情報取得手段で取得された前記第1暗号化情報を復号化する第1復号化手段とを有することを特徴とする。
本願第22発明の読み取り対象とする無線タグ回路素子には、そのIC回路部に、第1秘密鍵で暗号化された第1暗号化情報と、この第1暗号化情報を復号化するための第1秘密鍵に対応した第1公開鍵のアクセスポインタ情報とが書き込まれ記憶保持されている。本願第22発明の無線タグ情報読み取り装置においては、第1情報取得手段で第1暗号化情報及びアクセスポインタ情報を読み取り、アクセスポインタ情報を元に公開鍵取得手段で例えばサーバ等の格納先にアクセスして第1公開鍵を取得し、その取得した第1公開鍵を用いて第1復号化手段で上記第1暗号化情報を復号化し、本来伝達したい情報を得ることができる。
このように、暗号化に用いた秘密鍵に対応した公開鍵をサーバ等に格納し、無線タグ回路素子への情報読み取り後のサーバへのアクセスで公開鍵を取得し復号化する構成とすることにより、サーバ等に格納した多種多様な公開鍵に応じた多種多様な暗号化情報入り無線タグ回路素子を、容易かつ手軽に作成することができるとともに、復号化も容易かつ手軽に行うことができる。特に、秘密鍵で暗号化し公開鍵で復号化することにより、メーカ側で暗号化情報を備えたタグラベルを作成しユーザ側で暗号化情報を復号化すれば、その復号化した情報に応じてメーカによる真正品かどうかを確認することが可能となるので、真正品保証に用いる証明用として当該タグラベルを用いることができる。
第23発明は、上記第22発明において、前記読み取り装置側アンテナを介した無線通信に応じて、前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶保持された、所定の第2公開鍵で暗号化された第2暗号化情報を取得する第2情報取得手段と、この第2情報取得手段で取得された前記第2暗号化情報を、前記第2公開鍵に対応する第2秘密鍵を用いて復号化する第2復号化手段とを有することを特徴とする。
本願第23発明の読み取り対象とする無線タグ回路素子には、そのIC回路部に、通信相手先の第2秘密鍵に対応した第2公開鍵で暗号化された第2暗号化情報が書き込まれ記憶保持されている。これにより、本願第22発明の無線タグ情報読み取り装置においては、第2情報取得手段で第2暗号化情報を読み取り、第2復号化手段で上記第2秘密鍵を用いて上記第2暗号化情報を復号化し、本来伝達したい情報を得ることができる。
このように、通信相手先の秘密鍵に対応した公開鍵で暗号化して送り、当該通信相手先が自身の秘密鍵で復号化することにより、その通信相手先への秘密通信用として当該タグラベルを用いることができる。
第24発明は、上記第23発明において、前記読み取り装置側アンテナを介した無線通信に応じて、前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶保持されたモード識別子を取得する識別子取得手段と、この識別子取得手段で取得した前記モード識別子に応じて、前記第1情報取得手段、前記公開鍵取得手段、前記第1復号化手段、又は、前記第2情報取得手段、前記第2復号化手段を制御する制御手段を有することを特徴とする。
これにより、読み取り対象の無線タグ回路素子のIC回路部に備えられたモード識別子を識別子取得手段で取得し、その識別子が証明用タグラベルのモードに対応するものである場合には、第1情報取得手段、公開鍵取得手段、第1復号化手段によってサーバ等の格納先から取得した第1公開鍵を用いて第1暗号化情報を復号化し、また識別子が秘密通信用タグラベルのモードに対応するものである場合には、第2情報取得手段、第2復号化手段によって第2秘密鍵を用いて第2暗号化情報を復号化し、最終的に本来伝達したい情報を得ることができる。このように、いずれのモードでタグラベルが作成されていた場合であっても、当該モードに対応して自動的に読み取り及び情報取得処理を行うことができるので、2つの用途のいずれにも対応可能としつつ、操作者の利便性を確保することができる。
本発明によれば、多種多様な公開鍵に応じた多種多様な暗号化情報入り無線タグ回路素子を容易かつ手軽に作成することができ、また復号化を容易かつ手軽に行うことができる。
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、ブランド品(この例ではバッグ)の真正品証明に本発明を適用した場合の実施形態であり、正当な真正品を購入した場合にのみ、そのことが証明されるようにしたものである。
図1は、本実施形態によるタグラベル作成装置や無線タグ情報読み取り装置を含むシステム全体を表す概念的なシステム構成図である。
図1において、消費者(ユーザ)が購入した上記ブランド品であるバッグBGに例えば無線タグラベルT1が添付されている。この無線タグラベルT1には情報を記憶可能な無線タグ回路素子To(後述の図2参照)が備えられている。そして、ユーザが自宅に備える(あるいは当該ブランド品の小売店等でもよい)無線タグ情報読み取り装置としてのリーダ200が、上記無線タグラベルT1に備えられた無線タグ回路素子Toにアクセスして記憶された所定の情報を読み取るとともにこの読み取った情報に基づく照合(詳細は後述)を行う。
なお、このリーダ200は、有線あるいは無線による通信回線3を介して、当該バッグBGのメーカに配置され上記無線タグラベルT1を作成したタグラベル作成装置2(詳細は後述)、サーバ7(詳細は後述)、端末6等に接続されている。
図2は、上記無線タグラベルT1の全体概略構造の一例を表す図であり、図2(a)及び(b)がそれぞれ無線タグラベルT1の上面図及び下面図である。
これら図2(a)及び(b)において、無線タグラベルT1は、例えば略シート形状の基材Rと、この基材Rに配置された、情報を記憶するIC回路部150とこのIC回路部150に接続されるアンテナ151とを備えた無線タグ回路素子Toとを備えている。
また、図2(a)に示すように、無線タグラベルT1の基材Rの表側(上面)には、対応するブランドに関わる印字情報(この例では「ブランドABC」)を表記した領域Sを備えている。なお、この領域Sは、文字でなく図形や符号、あるいは単なる色塗りや模様等であってもよい。無線タグ回路素子Toは、この例では、基材Rの面方向中心部(この例では図2(a)の上下方向中心部)に配置されている。
図3は、上記無線タグラベルT1に備えられた上記無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
図3において、無線タグ回路素子Toは、後述するリーダ200側のアンテナ210(読み取り装置側アンテナ)と短波帯(例えば13.56MHz)、UHF帯、マイクロ波帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ151(タグ側アンテナ)と、このアンテナ151に接続された上記IC回路部150とを有している。
IC回路部150は、アンテナ151により受信された搬送波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された搬送波のエネルギを蓄積しIC回路部150の駆動電源とするための電源部153と、上記アンテナ151により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部(後述)157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部155と、上記アンテナ151に接続された変復調部156と、上記整流部152、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための制御部157とを備えている。
変復調部156は、アンテナ151により受信された上記リーダ200(質問器)のアンテナ210からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部157からの返信信号に基づき、上記アンテナ151が受信した搬送波を変調し、アンテナ151より反射波として再送信する。
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部156により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部157にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の速度に対応したクロックを制御部157に供給する。
図4は、上記無線タグラベルT1に備えられた上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の上記メモリ部155に記憶されたデータ内容を概念的に表す図である。
図4において、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子Toは、タグ識別情報としてのタグIDと、真正品証明用のタグであることを表す証明タグフラグと、上記タグIDを所定の暗号鍵(第1秘密鍵、詳細は後述)で暗号化した第1暗号化情報としての暗号化IDと、前述のサーバ7の所定のアドレスに格納された、上記暗号鍵に対応する(言い換えれば暗号化IDを復号化するための)公開鍵(第1公開鍵)の当該サーバアドレス(アクセスポインタ情報)とを、メモリ部155に記憶保持している。すなわち、この実施形態では、メーカ側にてタグラベル作成装置2を用いて無線タグラベルT1を作成する時に上記秘密鍵(第1秘密鍵)を使用して暗号化を行うとともに、その秘密鍵に対応した公開鍵をサーバ7に格納し、ユーザ側にてリーダ200を用いて無線タグ回路素子Tへの情報読み取り後にサーバ7へアクセスして当該公開鍵を取得し、復号化するようにしたものである(詳細は後述)。
図5は、上記リーダ200の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図5において、リーダ200は、無線タグ回路素子Toの上記アンテナ151との間で無線通信により信号の授受を行うアンテナ210と、このアンテナ210を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスする(この例では読み取りを行う)とともに、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理する高周波回路201と、高周波回路201を介し無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするためのアクセス情報を生成する機能を含み、リーダ200全体の動作を制御する制御回路202と、上記読み取り結果に応じて所定の表示を行うための表示部203とを有する。なお制御回路202は上記通信回線3に接続され、サーバ7や端末6等と情報の送受が可能となっている。
図6は、上記高周波回路201の詳細機能構成を表す機能ブロック図である。
図6において、高周波回路201は、アンテナ210を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部212と、アンテナ210により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部213と、送受分離器214とから構成される。
送信部212は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報(図4参照)にアクセスする(読み取り/書き込みを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子215A、PLL(Phase Locked Loop)215B、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)215Cと、上記制御回路202から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では制御回路202からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216(但し「TX_ASK信号」の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例では制御回路202からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する増幅率可変送信アンプ217とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、例えば短波帯(13.56MHz等)、UHF帯、マイクロ波帯等の高周波を用いており、上記送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介しアンテナ210に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、送受される無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
受信部213は、アンテナ210で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを乗算して復調する受信第1乗算回路218と、その受信第1乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219と、この第1バンドパスフィルタ219の出力を増幅する受信第1アンプ221と、この受信第1アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220と、上記アンテナ210で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器227により位相を90°遅らせた搬送波とを乗算する受信第2乗算回路222と、その受信第2乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223と、この第2バンドパスフィルタ223の出力を増幅する受信第2アンプ225と、この受信第2アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224とを備えている。そして、上記第1リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記制御回路202に入力されて処理される。
また、受信第1アンプ221及び受信第2アンプ225の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が制御回路202に入力されるようになっている。このように、リーダ200では、この例ではI−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
制御回路202は、上記高周波回路送信部212への増幅制御信号及び変調制御信号を出力するとともに、上記高周波回路受信部213からの受信信号を入力した後無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための所定の演算処理を行う。
図7は、この制御回路202の詳細機能を表す機能ブロック図である。
図7において、制御回路202は、いわゆるマイクロコンピュータであり、中央演算処理装置であるCPU202A、ROM202B、RAM202C、高周波回路201との信号送受を行う回路制御部202D、上記通信回線3との信号送受を行う入出力制御部202E等から構成され、RAM202Cの一時記憶機能を利用しつつROM202Bに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。
図8は、上記リーダ200に備えられた制御回路202の実行する制御手順を表すフローチャートである。
まずステップS505において、高周波回路201及びアンテナ210を介し、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された情報を読み取るための信号を送信する。詳細には、例えば無線タグ回路素子Toに記憶された情報を読み出す「Scroll All ID」信号を生成して高周波回路201を介して通信範囲内に存在するタグラベルT1に係る無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
その後、ステップS510に移り、上記「Scroll All ID」信号等に対応し無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ信号(応答信号)がアンテナ210を介し受信され、高周波回路201を介し制御回路202へ取り込まれたかどうかを判定する。
リプライ信号が受信されていなければ判定が満たされず、ステップS505に戻って同様の手順を繰り返す。リプライ信号が受信されたらステップS510の判定が満たされ、ステップS515へ移る。
ステップS515では上記無線タグ回路素子Toから受信されたリプライ信号の中から識別情報(タグID)を取得し、その後ステップS520では種別フラグ(証明タグであるか後述する変形例のように秘密タグであるか、等)を取得し、さらにステップS525では上述した暗号化IDと、上記公開鍵が格納されているサーバ7での格納先アドレスとを取得する(図4参照)。
次に、ステップS530に移り、ステップS520で取得した種別フラグが真正品証明用の証明タグであったかどうかを判定する。証明タグではなかった場合には判定が満たされず、ステップS555に移って表示部203に表示制御信号を出力し、所定のエラー表示を行わせてこのフローを終了する。証明タグであった場合には判定が満たされ、ステップS535に移る。
ステップS535では、上記ステップS525で取得したサーバアドレスに基づき通信回線3を介しサーバ7へアクセスし、上記暗号化IDがメーカ側のタグラベル作成装置2で暗号化されたときの秘密鍵(第1秘密鍵)に対応した公開鍵(第1公開鍵)を取得する。
そして、ステップS540において、上記ステップS535で取得した公開鍵を用いて、ステップS525で取得した暗号化IDを復号化し、復号化IDを生成する。
その後、ステップS545において、上記ステップS515で取得したタグID(無線タグ回路素子Toから直接読み取ったタグID)と、上記ステップS540で生成した復号化IDとの照合を行い、両者が一致(実質的一致)しているかどうかを判定する。なお一致には限られず、予め定められた所定の関係となっているかを判定してもよい。この所定の関係とは例えば両者の連番、補数関係等でもよいし、相互に演算(加算、減算、割り算等)を行った結果が所定値となることでもよいし、あるいは例えばROM202B内に格納保持されたテーブルにおいて適正として規定された組み合わせであることでもよい。所定の関係となっていなければ判定が満たされず上記ステップS555に移り前述のエラー表示を行ってこのフローを終了し、所定の関係となっていれば判定が満たされ、ステップS550へ移る。
ステップS550では、照合結果が適正であり真正品であったことを証明するために表示部203に表示制御信号を出力し、所定の真正品証明表示(この例ではブランド名「ブランドABC」の表示)を行わせてこのフローを終了する。
上記のように構成され使用される無線タグラベルT1であるが、この無線タグラベルT1を製造するタグラベル作成装置2としては、例えば図9に示す装置が用いられる。
図9において、このタグラベル作成装置2(無線タグ情報書き込み装置)は、操作者(メーカ側の製造従事者等)が操作を行うための操作部302と、タグテープロール304に巻回されたタグテープ303(タグ媒体、所定間隔で無線タグ回路素子Toが備えられている)を連続的に供給するカートリッジ300(無線タグ回路素子収納体)を着脱可能なカートリッジホルダ308(収納体設置部)と、このタグテープロール304から繰り出されたタグテープ303のうち各無線タグ回路素子Toに対応した上記領域Sに所定の印字を行う印字ヘッド305(印字手段)と、無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行うアンテナ306(装置側アンテナ)と、高周波回路301及び制御回路302と、タグテープ303への印字及び無線タグ回路素子Toへの上記情報書き込みが終了したタグテープ303を所定の長さに切断して上記無線タグラベルT1とするカッタ307と印字ヘッドに対向して設けられ、制御回路302により制御されてタグテープロール304を搬送する搬送装置309とを有する。
高周波回路301及び制御回路302は、詳細な説明を省略するが、上記リーダ200の高周波回路201及び制御回路202とほぼ同等の機能を備えるものであり、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へのアクセス情報(前述したようなID、証明タグフラグ、サーバアドレス、暗号化ID等を含む)を生成し、装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へ情報書き込みを行う。また制御回路302は有線又は無線の上記通信回線3を介してサーバ7等と接続されており、それらと情報の送受が可能となっている。
図10は、タグラベル作成装置2で上記無線タグ回路素子を備えた無線タグラベルT1を作成するときに上記制御回路302によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
図10において、まずステップS115において、例えば搬送装置309に制御信号を出力し、カートリッジ用モータ(図示せず)の駆動力によってタグテープロール304からタグテープ303を繰り出させる。
その後、ステップS120に移り、タグテープ303が所定値C(例えば、先行する無線タグ回路素子Toに対する無線タグ情報書き込みが終了し、次の無線タグ回路素子Toがアンテナ306にほぼ対向する位置に到達するだけの搬送距離)だけ搬送されたかどうかを判定する。この搬送距離判定は、例えばタグテープ303に設けたマーキングを公知のテープセンサ(不図示)で検出することにより行えば足りる。判定が満たされたら、ステップS200に移る。
ステップS200ではタグ情報書き込み・印字処理を行い、無線タグ情報を含む送信信号をタグテープ303上の無線タグ回路素子Toに送信して書き込みを行うとともに、印字ヘッド305によりタグテープ303の対応する上記領域Sに印字を行う(詳細手順は後述)。このステップS200が終了したらステップS135に移る。
ステップS135では、タグテープ303のうちこの時点で処理対象としている無線タグ回路素子Toに対応する領域Sへの印字がすべて完了しているかどうかを確認した後、ステップS140へ移る。
ステップS140では、タグテープ303がさらに所定量(例えば、対象とする無線タグ回路素子To及び領域Sのすべてがカッタ307を所定の長さ(余白量)分越えるだけの搬送距離)だけ搬送されたかどうかを判断する。このときの搬送距離判定も例えば前述のステップS120と同様にすれば足りる。判定が満たされたら、ステップS145に移る。
ステップS145では、上記搬送手段309に制御信号を出力して上記カートリッジ用モータの駆動を停止して、タグテープロール304からのタグテープ303の繰り出し及び搬送を停止させる。
その後、ステップS150で、例えば図示しないソレノイド駆動回路に制御信号を出力してカッター用ソレノイド(図示せず)を駆動し、カッタ307によってタグテープ303の切断を行う。前述したように、この時点で、例えば処理対象の無線タグ回路素子To及び領域Sを含むタグテープ303のすべてがカッタ307を十分に越えており、このカッタ307の切断によって、無線タグ回路素子Toに無線タグ情報が書き込まれかつこれに対応する所定の印字が行われたラベル状の無線タグラベルT1が生成される。
その後、ステップS155に移り、上記ステップS150でラベル状に生成された無線タグラベルT1が装置2外へと排出される(別途設けた排出用ローラを駆動制御してもよいし、操作者が手で抜き取るようにしてもよい)。
図11は、上述のステップS200の詳細手順を表すフローチャートである。
この図11において、まず、ステップS305において、公知の適宜の手法で書き込み対象の無線タグ回路素子Toに割り当てる識別番号ID(書き込みID)を設定する。例えば、上記通信回線3に別途接続した割り当てサーバ(図示せず)にアクセスして書き込みIDを取得するようにしてもよい。
その後、ステップS310において、印字ヘッド305で印字する印字内容(この例では前述のようにブランド名である「ブランドABC」)を設定する。例えば予め定められた複数種類の印字内容の中から操作部302を介し選択されたものを設定するようにしてもよい。
そして、ステップS315に移り、通信回線3を介しサーバ7へアクセスし、真正品証明のために選択した印字内容に対応して使用可能な所定の秘密鍵(第1秘密鍵)をサーバ7より取得する。このとき併せてその公開鍵が格納されたサーバアドレス情報も取得する。なお、タグラベル作成装置2側で別途鍵生成手段(第1鍵生成手段に相当)を設けて適当な公開鍵と秘密鍵の対を作成できるようにしてもい。あるいは入手した公開鍵をこのS手順でサーバ7の所定のアドレスに格納するようにしてもよい。
その後、上記ステップS315で取得した秘密鍵(第1秘密鍵)をステップS325で、この秘密鍵と上記公開鍵とを対応付けて、例えば制御回路302内に設けた適宜の記憶手段(メモリ)に記憶する。図12はこのときの記憶態様の一例を表す図で、図示のように、対応するユーザごとに(すなわちバッグBGの固体識別番号ごとに)上記秘密鍵と公開鍵とを記憶する。
そして、ステップS330において、上記ステップS315で取得した秘密鍵を用いてステップS305で設定された書き込みIDを暗号化する。
その後、ステップS335に移り、例えば図示しない印刷駆動回路に制御信号を出力し、上記印字ヘッド335を通電して、タグテープ303のうち処理対象となる無線タグ回路素子Toに対応する上記領域Sに、前述のステップS310で設定した印字内容(例えば文字、記号、バーコード等)の印刷を開始させる。
そして、ステップS340に移り、所望のデータを無線タグ回路素子Toのメモリ部155に書き込む「Program」信号を生成して高周波回路301を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信し、そのメモリ部155に情報が書き込まれる。なおこのとき上記「Program」信号には、上記書き込みID、公開鍵の格納先サーバアドレス、暗号化IDに関する情報が含まれ、さらに当該タグラベルT1が真正品証明用であることを表す証明タグフラグも含まれている。
その後、ステップS345において、通信結果の可否確認のための「Verify」信号を生成して高周波回路301を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
その後ステップS350において、上記「Verify」信号に対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号をアンテナ306を介して受信し、高周波回路301を介し取り込む。
次に、ステップS355において、リプライ信号に基づき、当該無線タグ回路素子Toのメモリ部155内に記憶された情報を確認し、前述の送信した所定の情報がメモリ部155に正常に記憶されたか否かを判定する。判定が満たされた場合にはこのフローを終了する。これにより、書き込み対象とする無線タグ回路素子Toへの情報書き込みが完了し、このフローを終了する。判定が満たされない場合はステップS340に戻って同様の手順を繰り返す。
以上のルーチンにより、タグテープ303上の書き込み対象の無線タグ回路素子Toに対して対応する情報を書き込むとともに、タグテープ303上の対応する領域Sに対し上記所定の印字を印刷することができる。
上記において、書き込みIDが、各請求項記載の被暗号化情報に相当し、暗号化IDが、第1暗号化情報に相当し、証明タグフラグが第1暗号化情報及びアクセスポインタ情報を記憶している旨を表す識別子に相当するとともにモード識別子にも相当する。
また、タグラベル作成装置2の制御回路302が実行する図11に示すステップS340が、装置側アンテナを介し無線タグ回路素子へアクセスし、そのIC回路部に、所定の第1秘密鍵で暗号化された第1暗号化情報、及び、この第1暗号化情報を復号化するための第1秘密鍵に対応する第1公開鍵の格納先にアクセスするためのアクセスポインタ情報の書き込みを行う第1情報書き込み手段を構成する。ステップS330が、第1秘密鍵を用いて、被暗号化情報を暗号化する第1暗号化手段を構成し、ステップS305が、被暗号化情報を生成する被暗号化情報生成手段を構成する。
また、リーダ200の制御回路202が実行する図8に示すステップS525が、読み取り装置側アンテナを介した無線通信に応じて、無線タグ回路素子のIC回路部に記憶保持された、所定の第1秘密鍵で暗号化された第1暗号化情報とこの第1暗号化情報を復号化するための第1秘密鍵に対応する第1公開鍵の格納先にアクセスするためのアクセスポインタ情報とを取得する第1情報取得手段を構成する。
また、ステップS535が、第1情報取得手段で取得されたアクセスポインタ情報に基づき、第1公開鍵の格納先にアクセスして当該第1公開鍵を取得する公開鍵取得手段を構成し、ステップS540が、この公開鍵取得手段で取得した第1公開鍵を用いて、情報取得手段で取得された第1暗号化情報を復号化する第1復号化手段を構成する。
また、ステップS520が、読み取り装置側アンテナを介した無線通信に応じて、無線タグ回路素子のIC回路部に記憶保持されたモード識別子を取得する識別子取得手段を構成する。
以上のように構成した本実施形態においては、ブランド品であるバッグBGを製造販売するメーカは、タグラベル作成装置2を用いてタグラベルT1を作成するとき、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に、第1秘密鍵で暗号化された第1暗号化情報としての暗号化IDと、この暗号化IDを復号化するための第1公開鍵のサーバアドレスを書き込む(図11のステップS340)。これにより、このタグラベルT1を入手した消費者(ユーザー)は、リーダ200を用いて暗号化ID及びサーバアドレスを読み取り、そのアドレスを元にサーバ7にアクセスして上記第1公開鍵を取得し(図8のステップS535)、その取得した第1公開鍵で上記第1暗号化情報を復号化し、本来伝達したい情報(この例では照合用に送るタグID)を得ることができる(ステップS540)。そして、その復号化したタグIDに応じてメーカによる真正品かどうかが照合され(ステップS545)、これに応じた表示が行われる(ステップS550)ことで、ユーザ側で真正品であることの証明を確認することができる。
このように、暗号化に用いた秘密鍵に対応した公開鍵をサーバ7に格納し、無線タグ回路素子Toへの情報読み取り後のサーバ7へのアクセスで公開鍵を取得し復号化する構成とすることにより、サーバ7に格納した多種多様な公開鍵に応じた多種多様な暗号化情報入り無線タグ回路素子Toを、容易かつ手軽に作成することができるとともに、復号化も容易かつ手軽に行うことができる。
また、本実施形態では特に、無線タグ回路素子ToのIC回路部150が識別子としての種別フラグを記憶しているので、リーダ200で読み取りを行った際、このタグラベルT1が証明用タグラベルであることがリーダ200側で認識される(図8のステップS530)。この結果、自動的に、サーバ7から取得した第1公開鍵を用いて暗号化IDを復号化し、最終的に復号化IDを得ることができる。このように、当該証明用タグラベル機能に対応して自動的に読み取り及び情報取得処理を行うことができるので、ユーザの利便性を確保することができる。
また、本実施形態では特に、タグラベル作成装置2において、公開鍵と秘密鍵とを対応づけて記憶手段に記憶させる(図11のステップS325及び図12参照)ことにより、証明用のタグラベルT1を作成するために公開鍵で復号化することを前提に対応する秘密鍵で暗号化を行う際の、公開鍵と秘密鍵との対応付けを明確にして処理の円滑性迅速性を向上することができる。さらに、当該鍵の使用者情報とさらに関連づけて記憶保持することで、複数の使用者による利用においても処理の円滑性迅速性を向上することができる。なお、上記制御回路302の記憶手段に記憶される公開鍵と秘密鍵との対応付けに関し、上述した鍵生成手段を有している場合、適宜例えば操作部302から操作入力により変更できるようにしてもよく、この場合公開鍵と秘密鍵を例えば定期的に変更することで、セキュリティーを向上することができる。また、公開鍵、秘密鍵、ユーザ情報のうち少なくとも1つを削除可能とすれば、さらに操作者の利便性を向上することができる。
なお、本実施形態は、種々の変形が可能である。以下その変形例を説明する。
(1)被暗号化情報を印字してユーザが復号化情報と照合する場合
すなわち、上記実施形態のように、被暗号化情報として書き込みIDそのものを用いリーダ200で読み取り復号化後にIDどうしで自動照合するのではなく、IDとは別の情報を被暗号化情報とし、また当該被暗号化情報をタグラベル作成装置2でタグラベルT1の領域Sに印字することで、復号化後にその印字と合致しているかどうかをユーザが視認して照合する場合である。
図13は、本変形例においてメーカ側のタグラベル作成装置2の制御回路302が実行する制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図11に相当する図である。図11と同等の手順には同一の符号を付し、適宜説明を簡略化又は省略する。
図13において、本変形例のタグラベル作成装置2では、図11のステップS310に代えて設けたステップS310′において、印字内容及びこれと同一の書き込み情報の内容(例えば「ブランドABC」)を設定する。これに対応して、ステップS330に代えて設けたステップS330′では、当該書き込み情報「ブランドABC」をステップS315で取得した秘密鍵を用いて暗号化し、ステップS335では当該印字情報「ブランドABC」をタグテープ303の領域Sに印字する。その他の手順は図11と同様である。
図14は、本変形例においてユーザ側のリーダ200の制御回路202が実行する制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図8に相当する図である。図8と同等の手順には同一の符号を付し、適宜説明を簡略化又は省略する。
図14において、ステップS505、ステップS510、ステップS515、及びステップS520は、図8と同様である。すなわち、ステップS505において「Scroll All ID」信号等を生成出力してそのリプライ信号を受信したらステップS510を経てその応答信号からステップS515でタグIDをステップS520で種別フラグを取得する。
その後、ステップS525に代えて設けたステップS525′に移り、上記ステップS330′で暗号化された後にステップS340でタグラベルT1の無線タグ回路素子Toに書き込まれた暗号化情報(前述の例では「ブランドABC」を暗号化したもの)とサーバ7での格納先アドレスとを取得する。
そして、ステップS530を経てステップS535でサーバ7へアクセスして公開鍵を取得した後、ステップS540に代えて設けたステップS540′で、ステップS535で取得した公開鍵を用いて、ステップS525′で取得した暗号化情報を復号化する。
その後、ステップS550に代えて設けたステップS550′において、上記ステップS540′で復号化した情報を表示する。上記の例では、上記ステップS525′での復号化により情報「ブランドABC」が得られるので、この内容をリーダ200の表示部203に出力し、このフローを終了する。なおステップS555については図8と同様であるので説明を省略する。
上記において、書き込み情報(ブランド「ABCD」)が、各請求項記載の被暗号化情報に相当し、この書き込み情報を暗号化したものが第1暗号化情報に相当する。また図13のステップS330′が、第1秘密鍵を用いて、被暗号化情報を暗号化する第1暗号化手段を構成する。
また、図14に示すステップS525′が、第1暗号化情報とアクセスポインタ情報とを取得する第1情報取得手段を構成し、ステップS540′が、公開鍵取得手段で取得した第1公開鍵を用いて、情報取得手段で取得された第1暗号化情報を復号化する第1復号化手段を構成する。
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。すなわち、本変形例においては、メーカがタグラベル作成装置2を用いてタグラベルT1を作成するとき、IC回路部150に、第1秘密鍵で暗号化された第1暗号化情報(「ブランドABC」を暗号化したもの)と、この暗号化情報を復号化するための第1公開鍵のサーバアドレスを書き込む(図13のステップS340)。これにより、このタグラベルT1を入手した消費者(ユーザー)は、リーダ200を用いて第1暗号化情報及びサーバアドレスを読み取り、そのアドレスを元にサーバ7にアクセスして上記第1公開鍵を取得し(図14のステップS535)、その取得した第1公開鍵で上記第1暗号化情報を復号化し、本来伝達したい情報(「ブランドABC」を取得して表示させることができる(ステップS540′及びステップS550′)。これにより、その復号化され表示されたものが「ブランドABC」であればメーカによる真正品、そうでなければ模倣品であると、ユーザが真正品の確認を行うことができる。なお、印字は(真贋が判断できるかぎりにおいて)被暗号化情報の一部であってもよい。あるいは「ブランドABC」のような意味のある文字でなく、例えば書き込みIDそのものを印字し、その数字の並びをユーザが確認するようにしてもよい。この場合も同様の効果を得る。
すなわち、上記実施形態と同様、暗号化に用いた秘密鍵に対応した公開鍵をサーバ7に格納し、無線タグ回路素子Toへの情報読み取り後のサーバ7へのアクセスで公開鍵を取得し復号化する構成とすることにより、サーバ7に格納した多種多様な公開鍵に応じた多種多様な暗号化情報入り無線タグ回路素子Toを、容易かつ手軽に作成することができるとともに、復号化も容易かつ手軽に行うことができる。
(2)暗号化情報の復号化機能をタグ側に持たせる場合
すなわち、上記実施形態において公開鍵をサーバ7より取得してリーダ200で暗号化IDの復号化を行うのに代えて、当該復号化をタグラベルT1側で行うようにした場合である。
図15は、本変形例においてユーザ側のリーダ200の制御回路202が実行する制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図8に相当する図である。図8と同等の手順には同一の符号を付し、適宜説明を簡略化又は省略する。
図15において、本変形例のタグラベル作成装置2では、図11のステップS525に代えてステップS525″を設け、またステップS540に代えて、ステップS535とステップS545との間に、新たにステップS560及びステップS565を設けている。
すなわち、ステップS525″では、ステップS510で受信したリプライ信号の中からサーバアドレス情報のみを取得する。このアドレスに基づきステップS535でサーバ7へアクセスして公開鍵を取得した後、ステップS560に移り、上記ステップS535で取得した公開鍵を、高周波回路201及びアンテナ210を介し、無線タグラベルT1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に送信する。ここで、この変形例における無線タグ回路素子Toの上記制御部157は、前述のように暗号化情報の復号化機能を備えており、上記リーダ200側から送信されてきた公開鍵を受け取り、これに基づいて、メモリ部155に記憶している暗号化ID(図4参照)を自ら復号化した後、この復号化したタグIDを制御部157及びアンテナ151を介しリーダ200側へ送信(返信)する。
図15のステップS565では、こうして返信されたリプライ信号(応答信号)がアンテナ210を介し受信され高周波回路201を介し制御回路202へ取り込まれたかどうかを判定する。
リプライ信号が受信されていなければ判定が満たされず、受信されるまでステップS565を繰り返す。リプライ信号が受信されたらステップS565の判定が満たされ、ステップS545へ移る。ステップS545以降は図8と同様であるため、説明を省略する。
上記において、無線タグ回路素子Toに備えられた制御部157が、タグ側アンテナを介し受信した第1公開鍵を用いて第1暗号化情報を復号化するタグ側復号化手段を構成する。
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。すなわち、ブランド品であるバッグBGを製造販売するメーカは、タグラベル作成装置2を用いてタグラベルT1を作成するとき、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に、第1秘密鍵で暗号化された第1暗号化情報としての暗号化IDと、この暗号化IDを復号化するための第1公開鍵のサーバアドレスを書き込む(図11のステップS340)。これにより、このタグラベルT1を入手した消費者(ユーザー)は、リーダ200を用いてサーバアドレスを読み取り、そのアドレスを元にサーバ7にアクセスして上記第1公開鍵を取得し(図15のステップS535)、その取得した第1公開鍵を無線タグ回路素子To側に送信する(ステップS560)。すると、無線タグ回路素子Toにおいてこの第1公開鍵を用いて自ら上記暗号化IDを復号化し、その復号化したタグIDを返信してくる(ステップS565)ので、これを受信することでリーダ200では、本来メーカ側からユーザ側に伝達したい情報(この例ではタグID)を得ることができる(ステップS540)。そして、その復号化したタグIDに応じてメーカによる真正品かどうかが照合され(ステップS545)、これに応じた表示が行われる(ステップS550)ことで、ユーザ側で真正品であることの証明を確認することができる。
また、本変形例では特に、上記したように、暗号化情報の復号化機能までリーダ200側でなく無線タグ回路素子To側に付与することにより、無線タグ回路素子Toから出力されるデータ自体がすべて読み取られたとしてもデッドコピーされた別の無線タグ回路素子をユーザーが複製することはできず、リーダ200で読み取って無線タグ回路素子に公開鍵を送信しても、正しい復号化を行うことはできず、本来伝達したい情報が取得されることはない(正しい復号化IDは取得されない)。したがってこの場合模倣品であることが明らかとなるので、さらに高いセキュリティーで真正品証明機能を果たすことができる。
(3)秘密通信用にも用いる場合
本変形例は、上記の証明用の無線タグラベルT1を作成する機能に加え、特定の通信相手先のみが解読できる秘密通信用のタグラベルT2も作成可能とした場合である。上記実施形態と同等の部分及び手順には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
図16は、本変形例によるタグラベル作成装置や無線タグ情報読み取り装置を含むシステム全体を表す概念的なシステム構成図であり、上記実施形態の図1に相当する図である。
図16においては、図1に示した構成に加え、ルートサーバ4及び情報サーバ5が設けられている。情報サーバ5は無線タグ回路素子Toに一対一に関連づけたい物品情報等を格納したデータベースを備えており、ルートサーバ4は、上記関連づけを形成するにあたり、どのタグIDとどの物品情報等が関連付けられるかの相関情報(いわゆるひも付け情報)を格納したデータベースを備えているものである。また、タグラベル作成装置2は、ユーザの指定により上記真正品証明用のタグラベルT1と秘密通信用のタグラベルT2とを選択的に作成可能である。
図17は、本変形例のタグラベル作成装置2により作成可能な上記無線タグラベルT2に備えられた上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の上記メモリ部155に記憶されたデータ内容を概念的に表す図であり、上記図4に相当する図である。
図17において、無線タグラベルT2の無線タグ回路素子Toは、タグ識別情報としてのタグIDと、秘密通信用のタグであることを表す秘密タグフラグと、上記タグIDを所定の暗号鍵(第2公開鍵、詳細は後述)で暗号化した第2暗号化情報としての暗号化IDとを、上記メモリ部155に記憶保持している。すなわち、この変形例では、タグラベル作成装置2を用いて無線タグラベルT2を作成する時に、リーダ200が備えられた通信相手先の秘密鍵(第2秘密鍵)に対応した公開鍵(第2公開鍵)を使用して暗号化を行い、通信相手先がリーダ200を用いて無線タグ回路素子Tへの情報読み取る際に自身が保有する上記第2秘密鍵で復号化するようにしたものである(詳細は後述)。
図18は、本変形例のリーダ200に備えられた制御回路202の実行する制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図8に相当する図である。図18において、図8におけるステップS530とステップS525の順番が入れ替わるとともに、ステップS530での判定が満たされなかった場合(すなわちステップS520で取得された種別フラグが証明用のタグラベルでなく秘密通信用のタグラベルであった場合)には、新たに設けたステップS600に移り、このフラグに対応した秘密通信用タグの読み取り処理を行う。
図19は、このステップS600の詳細手順を表すフローチャートである。図19において、前述した図18におけるステップS530の判定が満たされない場合(秘密通信用タグであった場合)、ステップS605に移り、上記ステップS510で受信したリプライ信号の中から、暗号化IDを取得する。
その後、ステップS610において、上記ステップS605で取得した暗号化IDを、自己の保有する秘密鍵(第2秘密鍵)を用いて復号化し、復号化IDを生成する。
そして、ステップS615において、上記ステップS610で取得した復号化IDを用いてルートサーバ4へアクセスして当該タグIDに対応する物品情報(例えば当該物品の価格等の各種情報)の情報サーバ5での格納先を取得し、情報サーバ5へのその格納先にアクセスして対応する当該物品情報を取得する。
その後、ステップS620において、表示部203に表示制御信号を出力し、上記ステップS615で取得した物品情報を表示させ、このルーチンを終了する。
前述したように、本変形例のタグラベル作成装置2は、真正品証明用のタグラベルT1と、秘密通信用のタグラベルT2との両方を選択的に作成可能であり、それぞれに対応する作成モードが用意されている。タグラベルT1を作成する証明タグ作成モード(第1モード)と、タグラベルT2を作成する秘密タグ作成モード(第2モード)とのいずれを選択するかは、タグラベル作成装置2の操作部302(操作手段)において、操作者が操作入力するようになっている。
図20は、本変形例のタグラベル作成装置2に備えられた制御回路302の実行する図10に示した制御手順のうちステップS200の詳細手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図11に相当する図である。
図20では、ステップS305の前に新たにステップS301が設けられ、上記操作部302においていずれのモードが選択されたかを判定する。証明タグ作成モードが選択されていた場合は判定が満たされ、ステップS305に移り、以降の手順は図11と同様であるので説明を省略する。秘密タグ作成モードが選択されていた場合は判定が満たされず、新たに設けたステップS700に移って秘密通信用タグラベルT2の作成処理を行う。
図21は、このステップS700の詳細手順を表すフローチャートである。図21において、前述した図20におけるステップS301の判定が満たされない場合(秘密タグ作成モードが選択されていた場合)、ステップS705に移り、公知の適宜の手法で書き込み対象の無線タグ回路素子Toに割り当てる識別番号ID(書き込みID)を設定する。例えば、上記通信回線3に別途接続した割り当てサーバ(図示せず)にアクセスして書き込みIDを取得するようにしてもよい。
その後、ステップS710において、例えば通信回線3を介し、作成するタグラベルT2の送り先のリーダ200にアクセスし、当該リーダ200が保有する秘密鍵(第2秘密鍵)に対応した公開鍵(第2公開鍵)を取得する。
そして、ステップS715において、ステップS710で取得した公開鍵を、例えば制御回路302内に設けた適宜の記憶手段(メモリ)に記憶する。図22はこのときの記憶態様の一例を表す図で、図示のように、対応する送り先(ユーザ9ごとに(例えば氏名ごとに)上記公開鍵を記憶する。
そして、ステップS720において、上記ステップS710で取得した公開鍵を用いて、ステップS705で設定された書き込みIDを暗号化する。
その後、ステップS725に移り、上記ステップS340と同様、「Program」信号を生成して高周波回路301を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信し、そのメモリ部155に情報が書き込まれる。なおこのとき上記「Program」信号には、上記書き込みID、暗号化ID、さらに当該タグラベルT1が秘密通信用であることを表す秘密タグフラグも含まれている。
その後、ステップS730に移り、上記ステップS345と同様、「Verify」信号を生成して高周波回路301を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信され、返信を促す。
その後ステップS735において、上記ステップS350と同様、上記「Verify」信号に対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号をアンテナ306を介して受信し、高周波回路301を介し取り込む。
次に、ステップS740に移り、上記ステップS355と同様、リプライ信号に基づき、当該無線タグ回路素子Toのメモリ部155内に記憶された情報を確認し、前述の送信した所定の情報がメモリ部155に正常に記憶されたか否かを判定する。判定が満たされた場合にはこのフローを終了する。これにより、書き込み対象とする無線タグ回路素子Toへの情報書き込みが完了し、このフローを終了する。判定が満たされない場合はステップS725に戻って同様の手順を繰り返す。
以上のルーチンにより、タグテープ303上の書き込み対象の無線タグ回路素子Toに対して対応する情報を書き込むことができる。
上記において、書き込みIDが、各請求項記載の被暗号化情報に相当し、暗号化IDが、第2暗号化情報に相当し、秘密タグフラグがモード識別子に相当する。
また、タグラベル作成装置2の制御回路302が実行する図21に示すステップS725が、装置側アンテナを介し無線タグ回路素子へアクセスし、そのIC回路部に、通信相手先の所定の第2秘密鍵に対応した第2公開鍵で暗号化された第2暗号化情報の書き込みを行う第2情報書き込み手段を構成するとともに、第1モード、又は第2モードに対応するモード識別子を書き込む識別子書き込み手段をも構成する。また、ステップS720が、第2公開鍵を用いて、被暗号化情報を暗号化する第2暗号化手段を構成し、ステップS705が、被暗号化情報を生成する被暗号化情報生成手段を構成する。
また、リーダ200の制御回路202が実行する図19に示すステップS605が、読み取り装置側アンテナを介した無線通信に応じて、無線タグ回路素子のIC回路部に記憶保持された、所定の第2公開鍵で暗号化された第2暗号化情報を取得する第2情報取得手段を構成し、ステップS610が、第2情報取得手段で取得された第2暗号化情報を、第2公開鍵に対応する第2秘密鍵を用いて復号化する第2復号化手段を構成する。
また、リーダ200の制御回路202が実行する図18に示すステップS520が、読み取り装置側アンテナを介した無線通信に応じて、前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶保持されたモード識別子を取得する識別子取得手段を構成し、ステップS530が、識別子取得手段で取得したモード識別子に応じて、第1情報取得手段、公開鍵取得手段、第1復号化手段、又は、第2情報取得手段、第2復号化手段を制御する制御手段を構成する。
本変形例においては、上記実施形態と同様の真正品証明用のタグラベルT1を作成できるとともに、秘密通信用のタグラベルT2をも作成できる。このタグラベルT2の作成時には、タグラベルT2のIC回路部150に、通信相手先の第2秘密鍵に対応した第2公開鍵で暗号化された暗号化IDが書き込まれている。これにより、このタグラベルT2を入手した通信相手先において、リーダ200を用いて当該暗号化IDを読み取り、リーダ200側に保有された上記第2秘密鍵で上記暗号化IDを復号化してIDを取得し、このIDを用いてルートサーバ4及び情報サーバ5にアクセスすることで本来取得したい情報を得ることができる。このようにして、通信相手先の秘密鍵に対応した公開鍵で暗号化されたIDを記憶した無線タグラベルを物品に貼付して送り、当該通信相手先が自身の秘密鍵で復号化してIDを取得することで、その通信相手先への秘密通信用のタグラベルT2を作成して用いることができる。
また、本変形例では、タグラベル作成装置2の操作部302において、タグラベルT1を作成する証明タグ作成モードと、タグラベルT2を作成する秘密タグ作成モードとのいずれかを選択可能であることにより、操作者の利便性を向上することができる。
特に、ステップS340やステップS725でこの選択に対応した証明タグフラグ又は秘密タグフラグ(モード識別子)を書き込みことにより、リーダ200での情報読み取りの際、当該無線タグ回路素子Toがどのモードで情報書き込みが行われたか(言い換えれば証明用タグか秘密通信用タグか)がすぐ分かるので、そのいずれかに応じた情報読み取り及びその後の復号化処理等を円滑に行うことができる。
またリーダ200においては、読み取って取得した上記フラグに応じて、ステップS530以降、真正品証明用タグラベルT1の作成か、秘密通信用タグラベルT2の作成かを切り替えて制御することにより、いずれのモードでタグラベルT1,T2が作成されていた場合であっても、当該モードに対応して自動的に読み取り及び情報取得処理を行うことができるので、2つの用途のいずれにも対応可能としつつ、操作者の利便性を確保することができる。
(4)その他
(A)混合モード
すなわち、上記(3)の変形例で説明した、真正品証明用のタグラベルT1を作成する証明タグ作成モード(第1モード)と、秘密通信用のタグラベルT2を作成する秘密タグ作成モード(第2モード)とに加え、それら真正品証明機能及び秘密通信機能の両方を備えたタグラベルT3(図示せず)を作成する混合タグ作成モード(第3モード)を設けてこれをタグラベル作成装置2の操作部302で操作入力可能としてもよい。この場合作成するタグラベルT3は、例えば、1つのタグラベルT3中に、上記タグラベルT1に備えられていた無線タグ回路素子Toに相当するものと、上記タグラベルT2に備えられていた無線タグ回路素子Toに相当するものとの、2つの無線タグ回路素子To,Toを設けるようにすればよい。但し、それぞれの無線タグ回路素子To,Toには、この混合タグ作成モードに対応する混合タグフラグ(第3モードに対応するモード識別子)を書き込むようにする(識別子書き込み手段)。
本変形例においては、操作部302で混合タグ作成モードを選択することで、証明用と秘密通信用の両方の機能を備えたタグラベルT3を作成することができるので、さらに操作者の利便性を向上することができる。
(B)サーバ機能を兼用する場合
上記実施形態及びその他の変形例では、タグラベル作成装置2が、真正品証明用タグラベルT1の作成を行う際に、サーバ7へアクセスして公開鍵(第1公開鍵)を取得した(図11、図13のステップS315)。通信回線3に対し例えば複数の他のタグラベル作成装置2が接続されている場合には、このような態様に限られず、例えば1つのタグラベル作成装置2が上記サーバ7の機能を兼用し、それ以外の他のタグラベル作成装置2に係わる第1公開鍵を格納保持するようにしてもよい(公開鍵格納手段)。この場合、上記サーバ機能付きのタグラベル作成装置2は、他のタグラベル作成装置2よりアクセスがあった場合には、対応する第1公開鍵を検索して出力する(公開鍵出力手段)。
(C)カートリッジ側より暗号化に関する情報を取得する場合
すなわち、タグラベル作成装置2のカートリッジホルダ308に装着するカートリッジ300に情報記憶部(凹凸形状、バーコード等)を設け、タグテープ303に備えられた無線タグ回路素子ToのIC回路部150に関する情報(メモリ容量等)がその情報記憶部に記憶させておく。そして、カートリッジホルダ308にカートリッジ300を装着したとき、当該情報記憶部から公知の機械式(接触式)のセンサや光学的センサによって上記情報記憶部に記憶した情報を読み出し、当該メモリ容量等に基づいて、暗号化を行うとき(図11、図13、図20、図21のステップS330、ステップS330′、ステップS720等参照)の暗号鍵の強度(ビット長、128ビットや1024ビット)や暗号鍵の方式(DES暗号、RSA暗号)を選択するようにしてもよい(暗号鍵選択部)。これにより、種々のカートリッジ300が交換されて使用される場合も、各カートリッジのタグテープ303に備えられた無線タグ回路素子Toに最も適合した暗号方式や最適な強度が自動的に選択されて用いられるので、操作者の利便性がさらに向上する。
(D)紐付け情報を暗号化する場合
上記実施形態においてはタグラベル作成装置2において暗号化する被暗号化情報は無線タグ回路素子Toの識別情報であるタグID(書き込みID)であった。また、上記(1)の変形例では被暗号化情報はタグIDではなくブランド名称であったが、当該情報を直接無線タグ回路素子Toに書き込んでいた。しかしながら、これらに限られず、被暗号化情報を、所定のタグIDと、これに対応づけられる物品情報等とを例えば一対一に対応づける相関情報(いわゆる紐付け情報)としてもよい。
この変形例においても、上記実施形態や(1)の変形例と同様の効果を得る。すなわちこの場合、メーカがタグラベル作成装置2を用いてタグラベルT1を作成するとき、IC回路部150に、第1秘密鍵で暗号化された第1暗号化情報(この場合は当該無線タグ回路素子ToのIDと所定の物品情報等を対応づける相関情報を暗号化した暗号化相関情報)と、この暗号化相関情報を復号化するための第1公開鍵のサーバアドレスを書き込む。これにより、このタグラベルT1を入手した消費者(ユーザー)は、リーダ200を用いて暗号化相関情報及びサーバアドレスを読み取り、そのアドレスを元にサーバ7にアクセスして上記第1公開鍵を取得し、その取得した第1公開鍵で上記暗号化相関情報を復号化し、上記相関情報がリーダ200で取得される。そしてリーダ200はこの相関情報に基づき、当該無線タグ回路素子Toに対応する上記物品情報等の格納先のサーバ(情報サーバ)にアクセスして当該物品情報等(例えば当該商品のブランド名のみならず、型番、希望小売価格、原産国等)を取得し、これを表示させることができる。これにより、そのような情報が正しく表示されていれば真正品、そうでなければ模倣品であると、ユーザが真正品の確認を行うことができる。
(E)タグ媒体及び無線タグ回路素子収納体の他の態様
さらに、以上において、タグラベル作成装置2で、タグ媒体としてのタグテープ303がロール304を構成し、カートリッジ300内にそのロール304が配置されて上記テープ303が繰り出される場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、無線タグ回路素子Toが少なくとも一つ配置されたタグ媒体としての長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシート(ロールに巻回されたテープを繰り出した後に適宜の長さに切断して形成したものを含む)をスタックしてカートリッジ化し、このカートリッジをラベル作成装置2のカートリッジホルダに装着してテープやシートを移送、搬送して印字及び書き込みを行いタグラベルを作成するようにしてもよい。さらにはカートリッジ方式にも限られず、上記カートリッジを省略して例えば上記ロール304等を装置2の筐体にじかに装着する構造としてもよい(ロール304が無線タグ回路素子収納体となる)。この場合も、同様の効果を得ることができる。
なお、以上で用いた「Scroll ID」信号、「Ping」信号、「Erase」信号、「Verify」信号、「Program」信号等は、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。