JP2007065207A - 光学補償シート、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は粘着剤に対する光学補償シートの投錨性及びリワーク性に優れ、かつ良好な光学補償能を有する光学補償フィルムを提供することである。さらには光学補償フィルムとの接着が良好で、リワーク性に優れた偏光板および液晶表示装置を提供することである。
【解決手段】少なくとも一方の表面の10点平均粗さ(Rz)が2〜10nmであることを特徴とする光学補償シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学補償シート(光学補償フィルムとも言う)並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶ディスプレイは、その画像形成方式から液晶パネルの最表面を形成するガラス基板の両側に偏光素子を配置することが必要不可欠であり、一般的には偏光フィルムが液晶パネルの最表面に貼着されている。また液晶パネルの最表面には偏光フィルムの他に、ディスプレイの表示品位を向上させるために様々な光学素子が用いられるようになってきている。例えば、着色防止としての位相差フィルム、液晶ディスプレイの視野角を改善するための視野角拡大(光学補償)フィルム、さらにはディスプレイのコントラストを高めるための輝度向上フィルム等が用いられる。これらのフィルムは総称して光学フィルムと呼ばれる。
前記光学フィルムを液晶パネルの最表面に貼着する際には、通常、粘着剤が使用される。また、光学フィルムを液晶パネルの最表面に瞬時に固定できること、光学フィルムを固着させるのに乾燥工程を必要としないこと等のメリットを有することから、粘着剤は、光学フィルムの片面に予め粘着層として設けられている。すなわち、液晶パネルの最表面への光学フィルムの貼着には粘着型光学フィルムが一般的に用いられる。
前記粘着型光学フィルムは液晶パネルの最表面に密着して貼り合わせる。この際に、前記粘着型光学フィルムの液晶パネル最表面へ貼り合わせ位置を誤ったり、貼合せ面に異物が噛み込むような場合には、光学フィルムを液晶パネル最表面から剥離し再利用する。しかし、粘着剤層と光学フィルム基材との投錨性(密着性)が低い場合には、液晶パネルから粘着型光学フィルムを剥離する際に、液晶パネル表面に粘着型光学フィルムの粘着剤が一部残ってしまう糊残りが生じる場合がある。糊残りが生じると著しく作業性を損なうため、投錨性を上げることが要求されている。(例えば、特許文献1参照。)
一方、光学補償フィルムは液晶表示装置の薄膜化を妨げ、携帯型の液晶表示装置では、薄膜化も同時に重要な課題となっており、セルロースエステルフィルムへの位相差機能付与、薄膜化を同時に達成することが重要な課題である。
例えば、現在使用されている視野角補償偏光板保護フィルム用のセルローストリアセテートフィルムは、膜厚が80μm程度のものであるが、従来の技術では、膜厚を薄くすればするほど、液晶セルへ貼合失敗時の再使用性、いわゆるリワーク性が劣化する。薄膜化に伴うリワーク性の劣化は、膜厚が薄くなると特に顕著になるため、改善が必要であった。(例えば、特許文献2参照。)
特開2003−73639号公報 特開2004−206038号公報
本発明の課題は粘着剤に対する光学補償シートの投錨性及びリワーク性に優れ、かつ良好な光学補償能を有する光学補償シートを提供することである。さらには光学補償シートとの接着が良好で、リワーク性に優れた偏光板および液晶表示装置を提供することである。
本発明は以下のとおりである。
(1) 少なくとも一方の表面の10点平均粗さ(Rz)が2〜10nmであることを特徴とする光学補償シート。
(2) 少なくとも一方の表面の10点平均粗さ(Rz)が3〜8nmであることを特徴とする光学補償シート。
(3) 前記少なくとも一方の表面が、粘着剤層と接する面であることを特徴とする(1)または(2)に記載の光学補償シート。
(4) 前記少なくとも一方の表面が光学異方性層の表面であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の光学補償シート。
(5) 前記光学異方性層が少なくとも1種の液晶性化合物を含有することを特徴とする(4)に記載の光学補償シート。
(6) 前記液晶性化合物が、ディスコティック液晶性化合物を含有することを特徴とする(5)に記載の光学補償シート。
(7) 前記光学異方性層が含フッ素ポリマー及びセルロースエステルを含むことを特徴とする(4)〜(6)のいずれかに記載の光学補償シート。
(8) (1)〜(7)のいずれか1項に記載の光学補償シートを有することを特徴とする偏光板。
(9) (1)〜(7)のいずれか1項に記載の光学補償シート及び(8)に記載の偏光板のうち少なくとも一方を有することを特徴とする液晶表示装置。
(10) 少なくとも、液晶セルと、該液晶セルの両側にそれぞれ配置された偏光板とからなり、前記偏光板の少なくとも一方が、偏光膜と該偏光膜の一方の表面であって液晶セルに近い側の表面に設けられた透明保護膜とを少なくとも有し、且つ該透明保護膜が(1)〜(7)のいずれか1項に記載の光学補償シートであることを特徴とする液晶表示装置。
本発明により、パネルに張り合わせる際に使用する粘着剤に対し良好な投錨性及びリワーク性を有し、かつ良好な光学補償能を有する光学補償シートを提供することができる。
また、本発明によれば、上記光学補償シートを配置した偏光板が提供されると共に、この光学補償シートや偏光板を備えた表示品位の高い液晶表示装置が提供される。
[光学特性の定義]
本発明において、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。
ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を
入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。
ポリマーフィルムのレターデーション値は光学補償シートが用いられる液晶表示装置やその使用の方法に応じて好ましい範囲が異なり、通常、Reレターデーション値は0〜200nmであり、かつRthレターデーション値は0〜400nm範囲に調節することが好ましい。
[表面粗さ]
本発明における光学補償シートの表面の粗さはJIS B−0601−1994に基づく10点平均粗さ(Rz)を用いて示す。
〔光学補償シート〕
以下に、本発明の光学補償シートについて説明する。本発明の光学補償シートは、好ましくは、透明支持体、配向膜、及び光学異方性層を含んで構成される。
[表面粗さ]
本発明における光学補償シートの少なくとも一方の表面、好ましくは粘着剤層に接する面の表面の10点平均粗さ[Rz]は2〜10nmであり、好ましくは3〜8nmである。当該表面が光学異方性層またはその凹凸の影響を受ける面である場合、後述の光学異方性層中の液晶の配向性が良好である点で10nm以下であり、また、粘着剤に対する光学補償シートの投錨性及びリワーク性の改良の効果の点で2nm以上である。当該表面が光学異方性層またはその凹凸の影響を受ける面である場合、例えば、後述の含フッ素ポリマーとセルロースエステルの添加量等によりこの粗さを制御できる。
[光学異方性層]
本発明においては、光学異方性層は光学補償シートの、粘着剤層に接する面に配置されることが好ましい。
本発明の光学異方性層は、通常液晶性分子等から形成される。
液晶性分子としては、棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子が好ましい。
棒状液晶性分子としては、例えばアゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。これらの化合物は、例えば日本化学会編季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994年)第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章等の文献記載の化合物等が挙げられる。これら低分子液晶化合物は重合性基を分子内に有することが好ましい(例えば、特開2000−304932号公報の明細書段落番号[0016]、特開2002−6138号公報の明細書段落番号[0055]等記載)。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。高分子液晶性分子は、以上のような低分子液晶性分子に相当する側鎖を有するポリマーである。高分子液晶性分子を用いた光学補償シートについては、特開平5−53016号公報に記載の化合物が挙げられる。
ディスコティック液晶性分子としては、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page2655(1994))に記載されている化合物が挙げられる。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284号公報の記載が挙げられる。
ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、一般にディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる。円盤状コアと重合性基は、連結基を介して結合する化合物が好ましく、これにより重合反応においても配向状態を保つことが出来る。例えば、特開2000−155216号公報の明細書段落番号[0151]〜[0168]記載の化合物等が挙げられる。
なお、STNモードのような棒状液晶性分子がねじれ配向している液晶セルを、光学的に補償するためには、ディスコティック液晶性分子もねじれ配向させることが好ましい。上記連結基に、不斉炭素原子を導入すると、ディスコティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させることができる。また、不斉炭素原子を含む光学活性を示す化合物(カイラル剤)を光学的異方性層に添加しても、ディスコティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させることができる。
ディスコティック液晶性分子のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
二種類以上のディスコティック液晶性分子を併用してもよい。例えば、以上述べたような重合性ディスコティック液晶性分子と非重合性ディスコティック液晶性分子とを併用することができる。
非重合性ディスコティック液晶性分子は、前述した重合性ディスコティック液晶性分子の重合性基を、水素原子またはアルキル基に変更した化合物であることが好ましい。すなわち、非重合性ディスコティック液晶性分子は、例えば特許第2640083号公報記載の化合物等が挙げられる。
[光学異方性層の他の成分]
上記の液晶性分子と共に、可塑剤、含フッ素ポリマー、重合性モノマー、ポリマー、配向剤、傾斜角制御剤等の成分を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することが出来る。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性若しくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報の明細書段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、ディスコティック液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
含フッ素ポリマーとしては、従来公知の化合物が挙げられるが、具体的には、例えば特開2001−330725号公報の明細書段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。
ディスコティック液晶性分子とともに使用するポリマーは、ディスコティック液晶性分子に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。具体的には、例えば特開2004−139015号公報の明細書段落番号[0036]〜[0094]、特開2004−101820号公報の明細書段落番号[0029]〜[0058]記載の化合物が挙げられる。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報の明細書段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性分子の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
ポリマーは、1種でも、2種以上併用してもよい。
[セルロースエステル]
前記光学異方性層中に、ポリマー、好ましくはセルロースエステルを含有させると、上記フッ素ポリマーと相分離をすることで光学異方性層の表面に凹凸を形成することができる。セルロースエステルは、組成物を支持体面上等に塗布した際のハジキの発生を軽減することにも寄与する。本発明に使用可能なセルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースが含まれる。中でも、セルロースアセテートブチレートが好ましい。前記セルロースエステルの添加量は、液晶性化合物の総量に対して質量百分率で、好ましくは0.01〜8%、より好ましくは0.01〜4%、さらに好ましくは0.01〜2%である。
上記化合物を用い、例えば特開2004−139015号公報記載のような光学異方性層を用いることも好ましい。
光学異方性層の塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド等)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、テトラヒドロフラン、トリオキサン、1,3−ジオキソラン等)、炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン等)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル(例、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン等)、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロパングリコール等)が挙げられる。このうち、アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、ロッドコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法(押し出しコーティング法、エクストリュージョン法、スライドコーティング法、スリットコーティング法)により実施できる。
[透明支持体]
本発明に係る透明支持体(透明フィルムとも呼ぶ)は、ガラス、もしくは透明なポリマーフィルムであることが好ましい。透明支持体は、光透過率が80%以上であることが好ましい。ポリマーフィルムを構成するポリマーの例としては、セルロースエステル(例、セルロースのモノ乃至トリアシレート体)、ノルボルネン系ポリマーでは、アートン及びゼオネックス(いずれも商品名))が挙げられる。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても、国際公開第00/26705号パンフレットに記載のように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御すれば、本発明の光学補償シートに用いることができる。
本発明に係るポリマーフィルムとしては、セルロースエステルフィルムが好ましく、さらにはセルロースアセテートフィルムが好ましい。
本発明に係る透明支持体の厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、40乃至200μmであることがさらに好ましく、30乃至80μmが最も好ましい。
液晶表示装置に二枚の光学的異方性層を使用する場合、ポリマーフィルムのRthレターデーション値は30乃至250nmの範囲にあることが好ましい。液晶表示装置に一枚の光学的異方性層を使用する場合、ポリマーフィルムのRthレターデーション値は0乃至400nmの範囲にあることが好ましい。
尚、ポリマーフィルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0乃至0.020の範囲にあることが好ましい。また、ポリマーフィルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0乃至0.04の範囲にあることが好ましい。
ポリマーフィルムのレターデーション値を調整するためには延伸のような外力を与える方法が一般的であり、他の方法として、光学異方性を調節するためのレターデーション上昇剤が、場合により添加される。
本発明に用いられるセルロースアシレートは、その原料としては、綿花リンター、ケナフ、木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。
本発明においてはセルロースからエステル化してセルロースアシレートを作製するが、特に好ましい前述のセルロースがそのまま利用できる訳ではなく、リンター、ケナフ、パルプを精製して用いられる。
本発明において、セルロースアシレートとは、セルロースのカルボン酸エステルのことである。該カルボン酸の総炭素数は2〜22が好ましい。
本発明のセルロースアシレートは、セルロースの水酸基への置換度が下記数式(1)及び(2)を満足するものが好ましい。
数式(1) : 2.3≦SA’+SB’≦3.0
数式(2) : 0≦SA’≦3.0
ここで、SA’はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、又SB’はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。なお、SAはセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基を表し、SBはセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基を表す。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(各位それぞれ100%のエステル化は置換度1)を意味する。
本発明では、SAとSBの置換度の総和(SA’+SB’)は、より好ましくは2.6〜3.0であり、特に好ましくは2.80〜3.00である。
また、SBの置換度(SB’)はより好ましくは0〜1.2であり、特には0〜0.8である。
本発明に用いられるセルロースアシレートの炭素数3〜22のアシル基(SB)としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、シクロアルカンカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいSBとしては、プロピオニル、ブタノイル、ケプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、(メタ)アクリロイル、フェニルアセチル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、好ましいSBは、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサンカルボニル、ドデカノイル、オクタデカノイル、オレオイル、(メタ)アクリロイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどである。
セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。
低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロ
ースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースエステルとしてはセルロースアセテートが好ましく、その例としては、ジアセチルセルロースおよびトリアセチルセルロースなどが挙げられる。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いることも好ましい。
これらの具体的なアシル基、及びセルロースアシレートの合成方法は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行 発明協会)p.9に詳細に記載されている。
セルロースアセテートでは、セルロースの2位、3位、6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。本発明に用いるセルロースアセテートでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度または多い方が好ましい。
2位、3位、6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30乃至40%であることが好ましく、31乃至40%であることがさらに好ましく、32乃至40%であることが最も好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。
セルロースアシレートフィルムは、フィルムを構成するポリマー成分が実質的に前記の定義を有するセルロースアシレートからなることが好ましい。「実質的に」とは、全ポリマー成分(後述する粒子以外のポリマー成分)の55質量%以上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上)を意味する。
前記セルロースアシレートの重合度は、好ましくは粘度平均重合度200〜700、より好ましくは230〜550、更に好ましくは230〜350であり、特に好ましくは粘度平均重合度240〜320である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、2.0〜4.0であることが好ましく、2.0〜3.5であることがさらに好ましく、2.3〜3.3であることが最も好ましい。
前記セルロースアシレートは、その原料綿や合成方法が前記公技番号2001−1745号p.7−12に詳細に記載されている。
前記したようにレターデーション上昇剤を用いて、透明支持体の厚み方向のレターデーションを高い値とすることもできる。レターデーション上昇剤としては、芳香族環を少なくとも二つ有し、二つの芳香族環の立体配座を立体障害しない分子構造を有する化合物を使用できる。芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01乃至20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.05乃至15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1乃至10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
レターデーション上昇剤としては例えば、欧州特許0911656A2号明細書、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報等記載の化合物等が挙げられる。
本発明に係るセルロースアシレートフィルムには、耐傷性やフィルムの搬送性を良好に保持するために微粒子を添加するのが好ましい。
それらは、マット剤、ブロッキング防止剤あるいはキシミ防止剤と称されて従来から利
用されている。それらは、前述の機能を呈する素材であれば特に限定されないが、これらのマット剤の好ましい具体例は、無機化合物としては、ケイ素を含む化合物、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロンチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースアシレートフィルムの濁度を低減できるので、二酸化ケイ素が特に好ましい。
また、表面処理された無機微粒子もセルロースアシレート中への分散性が良好となり好ましい。処理法としては、例えば、特開昭54−57562号公報に記載の方法が挙げられる。粒子としては、例えば、特開2001−151936号公報に記載のものが挙げられる。
有機化合物としては、例えば、架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、なかでも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂のなかでも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましい。
本発明に係るセルロースアシレートフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。具体的には、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行 発明協会)の16頁に詳細に記載されている内容のものが好ましく用いられる。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25質量%であることが好ましく、1乃至20質量%であることがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが最も好ましい。
本発明に係るセルロースアシレートフィルムには、更に、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載されている化合物が挙げられる。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ましく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11055号公報及び同平7−11056号公報に記載されている化合物が挙げられる。
更に、これらの詳細は、上記の公技番号2001−1745の17頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
作製したセルロースアシレートフィルムの吸湿による寸度変化を小さくするには、疎水基を有する化合物或は微粒子等を添加することが好ましい。疎水基を有する化合物としては、分子中に脂肪族基や芳香族基のような疎水基を有する可塑剤や劣化防止剤の中で該当する素材が特に好ましく用いられる。これらの化合物の添加量は、調整する溶液(ドープ)に対して0.01乃至10質量%の範囲にあることが好ましい。また、セルロースアシレートフィルム中の自由体積を小さくすればよく、具体的には、後述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少ない方が自由堆積が小さくなる。セルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01乃至1.00質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。
[透明支持体の製造方法]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、その場合、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。
用いる有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒が挙げられ、例えば溶解度パラメーターで17〜22の範囲のものが好ましい。溶解度パラメーターは、例えばJ. Brandrup、E. H等の「PolymerHandbook(4th. edition)」、VII/671〜VII/714に記載の内容のものを表す。低級脂肪族炭化水素の塩化物、低級脂肪族アルコール、炭素原子数3から12のケトン、炭素原子数3〜12のエステル、炭素原子数3〜12のエーテル、炭素原子数5〜8の脂肪族炭化水素類、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
具体的には、例えば前記の公技番号2001−1745の12頁〜16頁に詳細の化合物が挙げられる。
特に、本発明では、溶媒は2種類以上の有機溶媒を混合して用いることが好ましく、特に好ましい有機溶媒は、互いに異なる3種類以上の混合溶媒であって、第1の溶媒が炭素原子数が3〜4のケトンおよび炭素原子数が3〜4のエステル或いはその混合液であり、第2の溶媒が炭素原子数が5〜7のケトン類またはアセト酢酸エステルから選ばれ、第3の溶媒として沸点が30〜170℃のアルコールまたは沸点が30〜170℃の炭化水素から選ばれることが好ましい。
とくに、酢酸エステルを20〜90質量%、ケトン類を5〜60質量%、アルコール類を5〜30質量%の混合比で用いることがセルロースアセテートの溶解性の点から好ましい。
また、本発明に用いるドープには、上記の有機溶媒以外にフルオロアルコール類を上記の全有機溶媒量の好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下含有させることもフィルムの透明性を向上させたり、溶解性を早めたりする上で好ましい。フルオロアルコール類としては沸点が165℃以下のものがよく、好ましくは111℃以下がよく、更に80℃以下が好ましい。フルオロアルコール類は炭素原子数が2から10程度、好ましくは2から8程度のものがよい。また、フルオロアルコール類はフッ素原子含有脂肪族アルコールで、置換基があってもなくてもよい。置換基としてはフッ素原子含有或いはなしの脂肪族置換基、芳香族置換基などがよい。
該フルオロアルコール類としては例えば、特開平8−143709号公報明細書中の段落番号〔0020〕、同11−60807号公報明細書中の段落番号[0037]等に記載の化合物が挙げられる。これらのフルオロアルコールは一種または二種以上使用してもよい。
また、ハロゲン化炭化水素を含まない非ハロゲン系有機溶媒系が特に好ましい。
技術的には、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素は問題なく使用できるが、地球環境や作業環境の観点では、有機溶媒はハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。また、製造したセルロースアセテートフィルムから、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素が全く検出されないことが好ましい。
本発明に使用する有機溶媒は具体的には、例えば特開2002−146043号明細書の段落番号[0021]〜[0025]、特開2002−146045号明細書の段落番
号[0016]〜[0021]等に記載の溶媒系の例が挙げられる。
本発明のセルロースアシレート溶液を調製する際に、容器内に窒素ガスなどの不活性ガスを充満させてもよい。セルローストリアセテート溶液の製膜直前の粘度は、製膜の際、流延可能な範囲であればよく、通常10〜2000Pa・sの範囲に調製されることが好ましく、特に30〜400Pa・sが好ましい。
本発明に係るセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製については、その溶解方法は特に限定されず、室温溶解法でもよく、冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号、特開昭61−106628号、特開昭58−127737号、特開平9−95544号、特開平10−95854号、特開平10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、さらに特開平11−322947号、特開平2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、特開平04−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、特開平11−302388号などの各公報に記載のセルロースアシレート溶液の調製法が挙げられる。以上記載したこれらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明においても、適宜これらの技術を適用できるものである。さらにセルロースアシレートのドープ溶液は、溶液の濃縮とろ過が通常実施され、同様に前記の公技番号2001−1745の25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
次に、本発明において、セルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。セルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、セルローストリアセテートフィルム製造に供するドラム方法若しくはバンド方法と称される、従来公知の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が好ましく用いられる。バンド法を例として製膜の工程を説明すると、溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜に一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。調製したドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延し、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。これらの各製造工程(流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類)については、前記の公技番号 2001−1745の25頁〜30頁に詳細に記載された内容が挙げられる。流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及びまたは逐次共流延しても良い。
さらに本発明に係るセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
従来の単層液では、必要なフィルムの厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。この解決として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いる
ことで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
[セルロースアシレートフィルムの特性]
本発明に係るフィルムは、下記のような物理的な特性を有することが好ましい。
(膜厚)
本発明に係る透明支持体の厚さは、前述のように、20乃至500μmであることが好ましく、40乃至200μmであることがさらに好ましく、30乃至80μmが最も好ましい。
(フィルム表面の性状)
本発明に係るセルロースアシレートフィルムの表面は、JIS B0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が 0.5μm以下であることが好ましい。より好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.2μm以下である。
膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。
本発明に係る透明支持体の機械的特性を下記の範囲内に保持するための主要組成物として通常前記微粒子が含有されている。前記微粒子を含有する等の手段で本発明に係る透明支持体の表面状態を上記の凹凸の大きさ内とすることは、光学補償シート表面への投錨性付与において好ましく、また、後述の配向膜の塗設において、フィルム全面が安定して均一に処理され、処理ムラや塗布ムラ等による光学的な欠陥が解消されるために好ましい。
また、本発明に用いる透明支持体の動摩擦係数は0.4以下であることが好ましく、0.3以下であることが特に好ましい。動摩擦係数が大きいと搬送ロールとの間で強く擦られる結果支持体から発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、光学補償シートの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えてしまう。動摩擦係数は5mmφの鋼球を用いる鋼球法により測定することができる。
(フィルムのヘイズ)
本発明に係るセルロースアシレートフィルムのヘイズは0.01〜2.0%が好ましい。より好ましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%である。この範囲において、光学フィルムとして重要なフィルムの透明性が充分に確保できる。ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃60%RHで、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定出来る。
(カール)
本発明に用いる透明支持体の幅方向のカール値は、−7/m〜+7/mであることが好ましい。本発明に用いる透明支持体には後述する表面処理、ラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の設置などを長尺で広幅の透明支持体に対し行う際に、透明支持体の幅方向のカール値が前述の範囲外では、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きることがある。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触するために発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、光学補償シートの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることが明らかとなった。
本発明に係るセルロースアシレートフィルムには後述する表面処理、ラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の設置などを長尺で広幅の透明フィルムに対し行う際に、透明フィルムの幅方向のカール値が前述の範囲内であると、フィルムのハンドリングが良好になり、フィルムの切断が起きなくなる。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触して発塵したり、フィルム上への異物付着が生じなくなり、光学補償シートの点欠陥や塗布スジの頻度を許容値の範囲内とすることができる。また、カールを上述の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
(フィルムの吸湿膨張係数)
本発明に係るセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数を30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。
この吸湿膨張係数を調節することで、光学補償シートの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。作製したセルロースアシレートフィルムから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(R0)の雰囲気下にぶら下げた。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し長さ(L0)を測定した。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(R1)にして、長さ(L1)を測定した。吸湿膨張係数は下式により算出した。測定は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用した。
吸湿膨張係数[/%RH]={(L1−L0)/L0}/(R1−R0)
(フィルムの透湿度)
本発明に係るセルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JIS Z0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m・24hであることが好ましい。500〜1800g/m・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m・24hであることが特に好ましい。
透湿度が上記範囲であると、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RH以下と低く、また、セルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償シートとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RH以下と低いので、この光学補償シートやそれを用いた偏光板を液晶表示装置に組み込んだ場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こすことがなく、好ましい。また、光学補償シートを偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられて接着不良が生じる心配もない。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求める。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m)し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で求める。
(フィルムの保留性)
本発明に係るセルロースアシレートフィルムを、「80±5℃、90±10%RH」の条件下に48時間静置した場合のフィルムの質量変化が0〜2%であることが好ましい。<保留性の評価方法>
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80±5℃、90±10%RHの条件下で48時間放置した
。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を算出する。
保留性(質量%)={(放置前の質量-放置後の質量)/放置前の質量}×100
(フィルムの寸度変化)
本発明に係るセルロースアシレートフィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率および90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0.5%以下であることが好ましい。より好ましくは0.3%以下であり、さらに望ましくは0.15%以下である。
<寸度変化率の測定方法>
セルロースアシレートフィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株))にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100、として寸度変化率を求めた。
(引裂き強度)
上記透明支持体は、前記のとおり膜厚が20〜80μmであり、そのJIS K7128−2:1998の引裂き試験方法(エルメンドルフ引裂き法)に基づく引裂き強度が2g以上であるのが、前記の膜厚においても膜の強度が充分に保持できる点で好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更に好ましくは6〜25gである。また60μm換算では、8g以上が好ましく、より好ましく8〜15gである。
具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
特に、上記カール及び上記引き裂き強度は、所定の製造工程を終了して得られる上記透明支持体が長さ100〜5000mで幅0.7以上の長尺品である場合に、上述の範囲内とするのが好ましい。
(引掻き強度)
また、引掻き強度は1g以上であることが好ましく、5g以上であることがより好ましく、10g以上であることが特に好ましい。この範囲とすることにより、フィルム表面の耐傷性、ハンドリング性が問題なく保持される。
引掻き強度は、円錐頂角が90度で先端の半径が0.25mのサファイヤ針を用いて支持体表面を引掻き、引掻き跡が目視にて確認できる荷重(g)をもって評価することができる。
[透明支持体の密着性付与の方法]
本発明に係る透明支持体は、配向膜を塗布方式で設ける場合には、該透明支持体表面に密着性を付与し、配向膜用塗布液が均一に塗工されるように表面処理を施すことが好ましい。
表面処理の方法としては、配向膜の下塗り層を設ける方法が挙げられる。特開平7−333433号公報記載の下塗り層、或いは疎水性基と親水性基との両方を含有するゼラチン等の樹脂層を一層のみ塗布する単層法第1層として高分子フィルムによく密着する層(以下、下塗第1層と略す)を設け、その上に第2層として配向膜とよく密着するゼラチン等の親水性の樹脂層(以下、下塗第2層と略す)を塗布する所謂重層法(例えば、特開平11−248940号公報記載)の内容が挙げられる。
他の表面処理として、コロナ放電処理、グロー放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ処理等で該フィルム表面を改質する方法が挙げられる。これらについては、詳細が前記の公技番号2001−1745号公報の30頁〜32頁に詳細に記載されている。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
[アルカリ鹸化処理]
アルカリ鹸化処理は、アルカリ溶液を透明支持体に浸漬、噴射若しくは塗布することで行う。好ましくは、後述の塗布で鹸化処理することが好ましい。
[アルカリ溶液]
アルカリ溶液はpH11以上のアルカリ溶液が好ましい。より好ましくはpH12〜14である。
アルカリ溶液に用いられるアルカリ剤の例として、水酸化ナトリウム、同カリウム、同リチウム等の無機アルカリ剤、また、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルブチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて併用することもでき、一部を例えばハロゲン化したような塩の形で添加してもよい。
これらのアルカリ剤の中でも、水酸化ナトリウム或は水酸化カリウムが、これらの量を調整することにより広いpH領域でのpH調整が可能となるため好ましい。
アルカリ溶液の濃度は、使用するアルカリ剤の種類、反応温度および反応時間に応じて決定されるが、アルカリ剤の含有量は、アルカリ溶液中の0.1〜5mol/Kgが好ましく、0.5〜3mol/Kgがより好ましい。
本発明におけるアルカリ溶液の溶媒は、水及び水溶性有機溶媒の混合溶液からなることが好ましい。有機溶媒としては、水と混和可能な有機溶媒であればいずれも用いることができるが、沸点120℃以下、より好ましくは100℃以下のものが好ましい。
その中でも好ましい有機溶媒は、無機性/有機性値(I/O値)が0.5以上、且つ溶解度パラメーターが16〜40[mJ/m1/2の範囲のものが好ましい。より好ましくはI/O値が0.6〜10、且つ溶解度パラメーターが18〜31[mJ/m1/2である。I/O値や溶解度パラメーターがこの範囲であると、アルカリ鹸化速度が適度であり、鹸化度の全面均一性も十分であり、ヘイズも生じない。
また、有機溶媒、とりわけ上記有機性と溶解性の各範囲の有機溶媒を後述する界面活性剤、相溶化剤等と組み合わせて用いると高い鹸化速度が維持されて、かつ全面に亘る鹸化度の均一性が向上する。
好ましい特性値を有する有機溶媒は、例えば、有機合成化学協会編、「新版溶剤ポケットブック」((株)オーム社、1994年刊)等に記載のものが挙げられている。(また、有機溶媒の無機性/有機性値(I/O値)については、例えば、田中善生著有機概念図)三共出版社1983年刊、1〜31頁に解説されている)。
具体的には、一価脂肪族アルコール類(例、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等)、脂環式アルカノール(例、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、メトキシシクロヘキサノール、シクロヘキシルメタノール、シクロヘキシルエタノール、シクロヘキシルプロパノール等)、フェニルアルカノール(例、べンジルアルコール、フェニルエタノール、フェニルプロパノール、フェノ
キシエタノール、メトキシベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等)、複素環式アルカノール類(フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等)、グリコール化合物のモノエーテル類(メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、プロピルセルソルブ、メトキシメトキシエタノール、ブチルセルソルブ、ヘキシルセルソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトール、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等)ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、アミド類(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3ジメチルイミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例、ジメチルスルホキシド)およびエーテル類(例、テトラヒドロフラン、ピラン、ジオキサン、トリオキサン、ジメチルセルソルブ、ジエチルセルソルブ、ジプロピルセルソルブ、メチルエチルセルソルブ、ジメチルカルビトール、ジメチルカルビトール、メチルエチルカルビトール等)等が挙げられる。用いる有機溶媒は、単独若しくは2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶媒を単独使用或いは2種以上を混合する場合の少なくとも一種の有機溶媒は、水への溶解性が大きなものが好ましい。有機溶媒の水の溶解度は、50質量%以上が好ましく、水と自由に混合するものがより好ましい。これによりアルカリ剤、鹸化処理で副生する脂肪酸の塩、空気中の二酸化炭素を吸収して生じた炭酸の塩等への溶解性が充分なアルカリ溶液を調製できる。
有機溶媒の溶媒中の使用割合は、溶媒の種類、水との混和性(溶解性)、反応温度および反応時間に応じて決定する。
水と有機溶媒の混合比は、3/97〜85/15質量比が好ましい。より好ましくは5/95〜60/40質量比であり、更に好ましくは15/85〜40/60質量比である。この範囲において、セルロースアシレートフィルムの光学特性を損なうことなく容易にフィルム全面が均一に鹸化処理される。
本発明に用いるアルカリ溶液が含有する有機溶媒として、上記した好ましいI/O値を有する有機溶媒とは異なる有機溶媒(例えばフッ化アルコール等)を、後述の界面活性剤、相溶化剤の溶解助剤として併用してもよい。その含有量は使用液の総質量に対して0.1〜5%が好ましい。
本発明に用いるアルカリ溶液は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を添加することによって表面張力を下げて塗布を容易にしたり、塗膜の均一性を上げてハジキ故障を防止し、かつ有機溶媒が存在すると起こり易いヘイズを抑止し、さらに鹸化反応が均一に進行する。その効果は、後述する相溶化剤の共存によって特に顕著となる。用いられる界面活性剤には特に制限はなく、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等のいずれであってもよい。
具体的には、例えば、吉田時行著「界面活性剤ハンドブック(新版)」(工学図書、1987年刊行)、「界面活性剤の機能創製・素材開発・応用技術」第1編(技術教育出版、2000年刊行)等記載の公知の化合物が挙げられる。
これらの界面活性剤の中でも、カチオン性界面活性剤としての4級アンモニウム塩類、ノニオン性界面活性剤としての各種のポリアルキレンレングリコール誘導体類、各種のポリエチレンオキサイド付加物類等のポリエチレンオキサイド誘導体類、両性界面活性剤としてのベタイン型化合物類が好ましい。
アルカリ溶液には、ノニオン活性剤とアニオン活性剤またはノニオン活性剤とカチオン活性剤を共存させて用いることも好ましい。
これらの界面活性剤のアルカリ溶液に対する添加量は、好ましくは、0.001〜10質量%であり、より好ましくは、0.01〜5質量%である。
本発明に用いられるアルカリ溶液は、相溶化剤を含有させることも好ましい。本発明において、「相溶化剤」とは、温度25℃において、相溶化剤100gに対して水の溶解度が50g以上となる親水性化合物をいう。相溶化剤の水の溶解度は、相溶化剤100gに対して、80g以上であるのが好ましく、100g以上であるのがより好ましい。また、相溶化剤が液状化合物である場合は、沸点が100℃以上であるのが好ましく、120℃以上であるのがより好ましい。
相溶化剤は、アルカリ溶液を貯留する浴等の壁面に付着したアルカリ溶液の乾燥を防止し、固着を抑制し、アルカリ溶液を安定に保持させる作用を有する。また、透明支持体の表面にアルカリ溶液を塗布して一定時間保持した後、鹸化処理を停止するまでの間に、塗布されたアルカリ溶液の薄膜が乾燥し、固形物の析出を生じ、水洗工程での固形物の洗い出しを困難にすることを防止する作用を有する。さらには、溶媒となる水と有機溶剤との相分離を防止する。特に、界面活性剤と有機溶剤と上述した相溶化剤との共存によって、処理された透明支持体は、ヘイズが少なく、かつ、長尺の連続鹸化処理の場合であっても安定して全面均一な鹸化度となる。
相溶化剤は、上記の条件を満たす材料であれば、特に限定されないが、例えば、ポリオール化合物、糖類等のヒドロキシル基および/またはアミド基を有する繰り返し単位を含む水溶性重合体が好適に挙げられる。
ポリオール化合物は、低分子化合物、オリゴマー化合物および高分子化合物のいずれも用いることができる。
脂肪族ポリオール類としては、例えば、炭素数2〜8のアルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリンモノメチルエーテル、グリセリンモノエチルエーテル、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)、ヒドロキシル基を3個以上含有する炭素数3〜18のアルカン類(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、イノシットール等)が挙げられる。
ポリアルキレンオキシポリオール類としては、上記のような同じアルキレンジオール同士が結合していてもよく、異なるアルキレンジオールが互いに結合していてもよいが、同じアルキレンジオール同士が結合したポリアルキレンポリオールがより好ましい。いずれの場合もの結合数は3〜100であるのが好ましく、3〜50であるのがより好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)が挙げられる。
糖類としては、例えば、高分子学会高分子実験学編集委員会編「天然高分子」第二章(共立出版(株)、1984年刊)、小田良平等編「近代工業化学22、天然物工業化学II」((株)朝倉書店、1967年刊)等に記載されている水溶性化合物が挙げられる。中でも、遊離のアルデヒド基およびケトン基を持たない、還元性を示さない糖類が好ましい。
糖類は、一般に、グルコース、スクロース、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体および糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類されるが、いずれも本発明に好適に用いられる。
例えば、サッカロース、トレハロース、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マ
ンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシット、アロズルシット、還元水あめが挙げられる。これらの糖類は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒドロキシル基および/またはアミド基を有する繰り返し単位を有する水溶性重合体としては、例えば、天然ガム類(例えば、アラビアガム、グアーガム、トラガンドガム等)、ポリビニルピロリドン、ジヒドキシプロピルアクリレート重合体、セルロース類またはキトサン類とエポキシ化合物(エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド)との付加反応体が挙げられる。
中でも、アルキレンポリオール、ポリアルキレンオキシポリオール、糖アルコール等のポリオール化合物が好ましい。
相溶化剤の含有量は、アルカリ溶液に対して、0.5〜25質量%であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましい。
本発明に用いられるアルカリ溶液は、その他の添加剤を含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、消泡剤、アルカリ溶液安定化剤、pH緩衝剤、防腐剤、防菌剤等の公知のものが挙げられる
[アルカリ鹸化方法]
上記のアルカリ溶液を用いたセルロースアシレートフィルムの表面処理方法は従来公知のいずれの方法でもよいが、特に、フィルムの片面のみをムラ無く均一に鹸化処理する場合は、塗布方式が好ましい。塗布の方法としては、従来公知の塗布方法{ロッドコーティング法(細い金属線を巻いたロッド)、ロールコーティング法(順転ロールコーター、逆転ロールコーター、グラビアコーター)、カーテンコーティング法、ダイコーティング法(エクストルージョンコーター(スロットコーター)、スライドコーター、スリットダイコーター)等の塗布法}を挙げることができる。塗布方式に関しては、各種文献(例えば、Modern Coating and Drying Technology,Edward Cohen and Edgar B. Gutoff, Edits., VCH Publishers, Inc, 1992)に記載されている。アルカリ溶液の塗布量は、その後、水洗除去するため廃液処理を考慮して、極力抑制することが望ましく、1〜100cc/mが好ましく、1〜50cc/mがより好ましい。少ない塗布量域でも安定に操作できるロッドコーター、グラビアコーター、ブレードコーター、ダイコーターが好ましい。特に、少ない塗布量域で塗布スジのムラを発生することなく高速で塗布できる、塗布装置部と塗布支持体面が非接触の方法であるダイコーターが好ましい。
鹸化処理は、処理するフィルムの変形、処理液の変質等が生じない温度120℃を越えない範囲の処理温度で行うことが好ましい。更に温度10℃以上であり100℃以下の範囲が好ましい。特に、温度20〜80度が好ましい。
また、鹸化処理の時間は、アルカリ溶液、処理温度により適宜調整して決定するが、1秒から60秒の範囲で行われるのが好ましい。
更に、セルロースアシレートフィルムをその表面が少なくとも10℃以上の温度でアルカリ溶液で鹸化処理する工程、セルロースアシレートフィルムの温度を少なくとも10℃以上に維持する工程、そして、アルカリ溶液をセルロースアシレートフィルムから洗い落とす工程によりアルカリ鹸化処理を実施することが好ましい。
セルロースアシレートフィルムをその表面を所定の温度でアルカリ溶液で鹸化処理するには、塗布する前に予め所定の温度に調整する工程、アルカリ液を予め所定の温度に調整しておく工程、或いはこれらを組み合わせた工程等が挙げられる。塗布する前に予め所定の温度に調整する工程と組み合わせることが好ましい。
鹸化反応後は、水洗、中和し水洗等でフィルム表面からアルカリ溶液及び鹸化処理反応物とを洗浄し除去することが好ましい。
具体的には、例えば国際公開第02/46809号パンフレット、特開2003−313326号公報等に記載の内容が挙げられる。
アルカリ鹸化処理等によりフィルムの親水化処理が施された側の表面は、フィルム表面における水との接触角は20〜55゜の範囲にあることが好ましい。水との接触角は、25〜50゜の範囲にあることがより好ましく、30〜45゜の範囲にあることが特に好ましい。又、フィルム表面における表面エネルギーは55〜75mN/mの範囲にあることが好ましい。表面特性の表面エネルギー[評価項目2]]の評価方法は、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社、1989年刊行)に記載の接触角法、湿潤熱法、及び吸着法により求めることができる。
このような表面特性を満足することで配向膜、並びに偏光膜との密着性が充分となり、且つ本発明の光学補償シートを画像表示装置に用いた際の、輝点故障や雲状故障等の光学的な欠陥のない優れた特性を発現する。
[配向膜]
本発明における配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)塗布液を塗布して形成される配向膜が好ましい。配向膜の膜自身の強度、下層或は上層となる光学異方性層との密着性の観点から硬化されたポリマー膜であることが好ましい。配向膜は、その上に設けられる液晶性化合物の配向方向を規定するために設けられる。配向膜に配向規定の機能を付与する方法としては、従来公知のラビング、磁場或は電場の付与、光照射等が挙げられる。
本発明に供される配向膜は、液晶セルの表示モードの種類に応じることが出来る。
液晶セル内の棒状液晶性分子の多くが実質的に垂直に配向している表示モード(例、VA、OCB、HAN)では、通常、光学的異方性層の液晶性分子を実質的に水平に配向させる機能を有する。液晶セル内の棒状液晶性分子の多くが実質的に水平に配向している表示モード(例、STN)では、通常、光学的異方性層の液晶性分子を実質的に垂直に配向させる機能を有する。液晶セル内の棒状液晶性分子の多くが実質的に斜めに配向している表示モード(例、TN)では、通常、光学的異方性層の液晶性分子を実質的に斜めに配向させる機能を有する。
本発明の配向膜に使用される具体的なポリマーの種類については、前述した様々な表示モードに対応するディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートについての文献に記載がある。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例として、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載の化合物が挙げられる。好ましくは水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が挙げられ、この中でもゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70乃至100%が好ましく、80乃至100%がさらに好ましく、85乃至95%が最も好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100乃至3000であることが好ましい。
変性ポリビニルアルコールの変性基は、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホス
ホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば、特開2000−56310号公報明細書中の段落番号[0074]、同2000−155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[022]に記載のもの等が挙げられる。
[硬化用化合物]
本発明の配向膜形成用組成物は、前記配向膜に使用するポリマー(好ましくは水溶性ポリマー、さらに好ましくはポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコール)を硬化するために硬化用化合物として、二つ以上のアルデヒド基を含有するアルデヒド化合物を含有する。具体的な化合物として、例えばグリオキサール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、ピメロアルデヒド、スベロアルデヒド、アゼラアルデヒド、セバコアルデヒド、アスパルアルデヒド、1,2,4−ブタントリカルバルデヒド、3−ホルミルヘキサンジアール、シクロヘキサンジカルバルデヒド、シクロヘキサンジアセトアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、ベンゼントリアルデヒド、1,4,5,8−ナフタレンテトラアセトアルデヒド、両末端アルデヒド化ポバール、ジアルデヒドでんぷん等が挙げられる。本発明に供されるアルデヒド化合物はこれらに限定されるものではない。
これらの中で、特に、反応性の高い2官能性(アルデヒド基が2つ)脂肪族アルデヒド化合物が好ましい。
又、供される硬化性化合物として、更に従来公知の架橋剤を併用してもよい。例えばN−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール等が挙げられる。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。
これらの架橋剤を併用する場合は、全硬化性化合物中の30質量%以下、好ましくは10質量%以下である。
硬化性化合物の添加量は、ポリマーに対して0.1乃至20質量%が好ましく、0.5乃至15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の硬化性化合物の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。配向膜中に1.0質量%を超える量で硬化性化合物剤が残存していると、充分な耐久性が得られない。そのような配向膜を液晶表示装置に使用すると、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合にレチキュレーションが発生することがある。
配向膜の塗布液の調製法としては、例えば、(a)配向膜の素材を溶解した溶液の中に架橋剤、求核剤を別々に添加する方法、(b)高濃度の架橋剤の溶液を作製してその中に求核剤を添加してその混合溶液を配向膜の素材を溶解した溶液に添加する方法、(c)配向膜の素材を溶解した溶液に高濃度の架橋剤と求核剤を溶解させた混合溶液を添加した溶液を添加する方法が挙げられる。高濃度の架橋剤の溶液は10〜50wt%溶液が好ましい。本発明においては(b)乃至(c)の方法が好ましい。
配向膜は、好ましくは前記ポリマー、アルデヒド化合物(硬化性化合物)、及び求核剤を少なくとも含有する配向膜形成用組成物の塗布液を透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥し(架橋し)、配向処理することにより形成することができる硬化膜である。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なって良い。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成用組成物として用いる場合には、塗布液
は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
[配向膜の形成方法]
本発明の配向膜は、上記のような配向膜組成物の塗布液をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法、ダイコート法(エクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)、スライドコート法、押し出しコート法)等の方法を用いて塗布することができる。塗布方式に関しては、各種文献(例えば、Modern Coating and Drying Technology,Edward Cohen and Edgar B. Gutoff, Edits., VCH Publishers, Inc, 1992)に記載されている。少ない塗布量域でも安定に操作できるロッドコーター法、グラビアコーター法、ブレードコーター法、ダイコーター法が好ましい。
特に、ロッドコーター法或はダイコーター法が好ましい。更には、少ない塗布量域で塗布スジのムラを発生することなく高速で塗布できる、塗布装置部と塗布支持体面が非接触の方法である下記に記載の新規なダイコーター法が好ましい。
(ダイコーターの構成)
本発明を実施することのできるスロットダイを用いたコーターの断面図の例を図1に示す。コーター10はバックアップロール11に支持されて連続走行するウェブWに対して、スロットダイ13から塗布液14をビード14aにして塗布することにより、ウェブW上に塗膜14bを形成する。
スロットダイ13の内部にはポケット15、スロット16が形成されている。ポケット15は、その断面が曲線及び直線で構成されており、例えば図1に示すような略円形でもよいし、あるいは半円形でもよい。ポケット15は、スロットダイ13の幅方向にその断面形状をもって延長された塗布液の液溜め空間で、その有効延長の長さは、塗布幅と同等か若干長めにするのが一般的である。ポケット15への塗布液14の供給は、スロットダイ13の側面から、あるいはスロット開口部16aとは反対側の面中央から行う。また、ポケット15には塗布液14が漏れ出ることを防止する栓が設けられている。
スロット16は、ポケット15からウェブWへの塗布液14の流路であり、ポケット15と同様にスロットダイ13の幅方向にその断面形状をもち、ウェブ側に位置する開口部16aは、一般に、図示しない幅規制板のようなものを用いて、概ね塗布幅と同じ長さの幅になるように調整する。このスロット16のスロット先端における、バックアップロール11のウェブ走行方向の接線とのなす角は、30°以上90°以下が好ましい。
スロット16の開口部16aが位置するスロットダイ13の先端リップ17は先細り状に形成されており、その先端はランドと呼ばれる平坦部18とされている。このランド18であって、スロット16に対してウェブWの進行方向の上流側を上流側リップランド18a、下流側を下流側リップランド18bと称する。
図2は、スロットダイ13の断面形状がより改良されたものを示すもので、(A)は改良されたスロットダイ13を示し、(B)は従来のスロットダイ30を示している。従来のスロットダイ30では、上流側リップランド31aと下流側リップランド31bのウェブとの距離は等しい。なお、符号32はポケット、33はスロットを示している。これに対して、改良されたスロットダイ13では、下流側リップランド長さILOが短くされてお
り、これによって、湿潤膜厚が20μm以下の塗布を精度良くおこなうことができる。
尚本発明においては、(A)、(B)いずれのスロットダイも使用することができる。
上流側リップランド18aのランド長さIUPは特に限定はされないが、500μm〜1mmの範囲で好ましく用いられる。下流側リップランド18bのランド長さILOは30μm以上100μm以下であり、好ましくは30μm以上80μm以下、さらに好ましくは30μm以上60μm以下である。先端リップのエッジあるいはランドが欠けにくく、塗膜にスジが発生しにくく、塗布が可能である点で、下流側リップのランド長さILOは30μm以上が好ましい。30μm以上では、下流側の濡れ線位置の設定が容易で、塗布液が下流側で広がりにくくなるという利点もある。この下流側での塗布液の濡れ広がりがないと、濡れ線が均一となり、塗布面上にスジなどの不良形状を生じないことが従来より知られている。一方、ビード形成ができ、薄層塗布を行うことが可能である点で、下流側リップのランド長さILOは100μm以下が好ましい。
さらに、下流側リップランド18bは、上流側リップランド18aよりもウェブWに近接したオーバーバイト形状であり、このため減圧度を下げることができて薄膜塗布に適したビード形成が可能となる。下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差(以下、オーバーバイト長さLOと称する)は30μm以上120μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以上100μm以下、もっとも好ましくは30μm以上80μm以下である。スロットダイ13がオーバーバイト形状のとき、先端リップ17とウェブWの隙間GLとは、下流側リップランド18bとウェブWの隙間を示す。
図3は、本発明を実施することのできる塗布工程のスロットダイ及びその周辺を示す斜視図の例である。ウェブWの進行方向側とは反対側に、ビード14aに対して十分な減圧調整を行えるよう、接触しない位置に減圧チャンバー40を設置する。減圧チャンバー40は、その作動効率を保持するためのバックプレート40aとサイドプレート40bを備えており、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間にはそれぞれ隙間GB、GSが存在する。図4及び図5は、近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図である。サイドプレートとバックプレートは図4のようにチャンバー本体と一体のものであってもよいし、図5のように適宜隙間を変えられるようにチャンバーにネジ40cなどで留められている構造でもよい。いかなる構造でも、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間に実際にあいている部分を、それぞれ隙間GB、GSと定義する。減圧チャンバー40のバックプレート40aとウェブWとの隙間GBとは、減圧チャンバー40を図3のようにウェブW及びスロットダイ13の下方に設置した場合、バックプレート40aの最上端からウェブWまでの隙間を示す。
バックプレート40aとウェブWとの隙間GBをスロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間GLよりも大きくして設置するのが好ましく、これによりバックアップロール11の偏心に起因するビード近傍の減圧度変化を抑制することができる。例えば、スロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間GLが30μm以上100μm以下のとき、バックプレート40aとウェブ12の間の隙間GBは100μm以上500μm以下が好ましい。
(材質、精度)
前記ウェブの進行方向側の先端リップのウェブ走行方向における長さは、長いほどビード形成に不利であり、この長さがスロットダイ幅方向における任意の個所間でばらつくと、かすかな外乱によりビードが不安定になる。したがって、この長さをスロットダイ幅方向における変動幅が20μm以内とすることが好ましい。
また、スロットダイの先端リップの材質については、ステンレス鋼などのような材質を用いるとダイ加工の段階でだれてしまい、前記のようにスロットダイ先端リップのウェブ走行方向における長さを30μm〜100μmの範囲にしても、先端リップの精度を満足できない。したがって、高い加工精度を維持するためには、特許第2817053号公報に記載されているような超硬材質のものを用いることが重要である。具体的には、スロットダイの少なくとも先端リップを、平均粒径5μm以下の炭化物結晶を結合してなる超硬合金にすることが好ましい。超硬合金としては、タングステンカーバイド(以下、WCと称す)などの炭化物結晶粒子をコバルトなどの結合金属によって結合したものなどがあり、結合金属としては他にチタン、タンタル、ニオブ及びこれらの混合金属を用いることも出来る。WC結晶の平均粒径としては、粒径3μm以下がさらに好ましい。
高精度な塗布を実現するためには、先端リップのウェブ進行方向側のランドの前記長さ及びウェブとの隙間のスロットダイ幅方向のばらつきも重要な因子となる。この二つの因子の組み合わせ、つまり隙間の変動幅をある程度抑えられる範囲内の真直度を達成することが望ましい。好ましくは、前記隙間のスロットダイ幅方向における変動幅が5μm以下になるように先端リップとバックアップロールの真直度を出す。
塗布に際しては2層以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許第2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載の方法が挙げられる。
また、乾燥後の膜厚は0.1乃至10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。
更に、本発明の配向膜形成用組成物の塗布液を支持体に塗布、乾燥し、配向手段で配向させたのちに光学異方性層用塗布液が塗布されるときに、該配向膜の表面がpH4.0〜10.0の範囲に保持されることが好ましい。更にはpH4.5〜8.0がより好ましい。
また、該光学異方性層用塗布液を塗布する際に、塗布の幅方向での配向膜表面のpHの変動幅△pHが±0.30の範囲で行われることが好ましい。より好ましくは、△pHが±0.15の範囲である。
pHの変動幅が上記範囲であると、光学異方性層を塗設された光学補償シートは光学的欠陥がより軽減され、好ましい。
配向膜表面のpH値の測定方法は、配向膜を塗設した試料を(温度25℃/湿度65%RH)の環境下に1日静置した後、窒素雰囲気下で純水を10ml乗せて速やかにpHメーターでpH値を読み取る。
本発明の配向膜表面のpH値を特定とし、且つ塗布幅方向での△pHを制御するには、上記のロッドコーター法或はダイーコーター法による塗布により達成することができる。更には、膜表面の乾燥温度、乾燥風を用いる場合のその風量、風向等を調節することも有効である。
配向膜は、透明支持体上または上記下塗層上に設けられる。また、配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより形成することができる。
ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用
いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
また、光照射で光配向する場合には、光照射装置としての光源は、超高圧水銀灯、キセノン灯、蛍光灯、レーザ等を用いることが出来、光二量化化合物を光配向をするには上記光源と偏光膜を組み合わせて(偏光膜を通して)紫外線を直線偏光とし、光配向膜に照射する。偏光膜としては、主に使用されているものとして延伸染色PVAがある。この直線偏光紫外線照射装置としては、例えば、特開平10−90684号公報に開示されているものを用いることが出来る。
配向膜の厚さは、0.01乃至5μmであることが好ましく、0.05乃至1μmであることがさらに好ましい。
〔粘着剤層〕
以下に、光学補償シートと接する粘着剤層について述べる。
本発明に用いる粘着剤層は、特開2000−109771号公報に記載のように、質量平均分子量60万〜200万の高分子量ポリマーと、質量平均分子量50万以下の低分子量ポリマーとを含む粘着剤組成物を用いて形成されることが好ましい。
高分子量ポリマーとしては、ゴム系、アクリル系、シリコーン系等いずれであってもよいが、アクリル系ポリマーからなるものが好ましい。アクリル系ポリマーを用いることにより、耐候性、凝集性の良好な粘着剤層を形成することができる。また、無色透明の粘着剤層を容易に形成することができる。
例えば、アクリル系ポリマーからなる高分子量ポリマーの場合、粘着性を与える主モノマー成分、接着性や凝集力を与えるコモノマー成分、架橋点や接着性改良のための官能基含有モノマー成分を主とする重合体または共重合体から構成することができる。
上記の各成分を用いることにより、粘着剤組成物の粘着力、凝集力が向上する。また、このようなアクリル系ポリマーは、分子中に不飽和結合を有しないため、光や酸素に対する安定性の向上を図ることができる。さらに、モノマーの種類や分子量の選択により、用途に応じた品質、特性を備える粘着剤組成物を得ることができる。
低分子量ポリマーとしては、高分子量ポリマーに挙げられるポリマーと同様のものを使用することができる。低分子量ポリマーの質量平均分子量は50万以下が好ましいが、1万〜50万であることがより好ましく、3万〜40万がさらに好ましい。高分子量ポリマーの3次元構造の間に入り込み易くなり、可塑化作用が十分に発揮され、光漏れの防止を図ることができる点で、低分子量ポリマーの質量平均分子量は50万以下が好ましい。
低分子量ポリマーの添加量は、高分子量ポリマーに対し、0.001〜20質量%が好ましく、0.001〜5質量%がより好ましい。
ブリードアウトが少なく、凝集破壊を招くおそれがない点で、1質量%以下が好ましい。
低分子量ポリマーは、該低分子量ポリマーを構成するモノマーの少なくとも一種が高分子量ポリマーを構成するモノマーであるものが好ましい。すなわち、高分子量ポリマーがモノマーAおよびモノマーBからなる共重合体である場合、低分子量ポリマーは、モノマーAおよびモノマーBのうち少なくともいずれかを共重合成分として含むものであることが好ましい。これにより低分子量ポリマーと高分子量ポリマーとの相溶性の向上を図ることができる。なお、低分子量ポリマーを構成するモノマーの少なくとも一種が高分子量ポリマーを構成するモノマーであれば、ホモポリマーであっても他のモノマー成分を含むコポリマーであってもよい。
また、本発明に用いられる粘着剤組成物は、特開2000−109771号公報に記載
のように、架橋処理を施す架橋型および架橋処理を施さない非架橋型のいずれのものも用いることができるが、架橋型のものがより好ましい。架橋型のものを用いる場合、凝集力のより優れた粘着剤層を形成することができる。
粘着剤組成物に放射線を照射して硬化させて粘着剤層を形成する場合、放射線硬化性化合物を含むことが好ましい。これにより粘着剤層を容易かつ迅速に形成することができる。放射線硬化性化合物の添加量は、粘着剤成分100質量部に対し0.05〜50質量部程度とすることが好ましい。
さらに、本発明に用いる粘着剤は、特開2003−34781号公報に記載のように、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするポリマーと架橋剤からなる粘着剤であって、その粘着剤のゲル分率が30%〜60%であり、その粘着剤中のゾル分のGPCによる質量平均分子量が10万〜50万であり、かつ、分子量分布が40以上であり、分子量5万以下ポリマー成分がゾル分中30質量%〜80質量%であることも好ましい。
架橋剤の例としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤およびアミン系架橋剤などを挙げることができる。特に、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤またはアジリジン系架橋剤が好ましい。これらの架橋剤は単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。架橋剤の配合量としては、前記(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするポリマー100質量部に対して0.001〜5質量部であることが好ましい。
本発明に用いる粘着剤のゲル分率は30〜60%であることが好ましい。このゲル分率は特開2003−34781号公報に記載の方法により求める。
粘着剤の凝集力が十分で、高温雰囲気下での発泡が生じにくい点でゲル分率30%以上が好ましく、応力緩和性が低下しにくい点で、60%以下が好ましい。
また、本発明に用いる粘着剤は、特開2003−34781号公報に記載のように、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)による未架橋ポリマーの質量平均分子量(Mw)が10万〜50万であることが好ましく、さらに好ましくは10万〜30万である。応力緩和性が低下しにくく、粘着剤の凝集力が十分で、高温雰囲気下での発泡が生じにくい点で、Mwが10万〜50万が好ましい。
また、本発明に用いる粘着剤は、GPC法による未架橋ポリマーの分子量分布(質量平均分子量/数平均分子量=Mw/Mn)が40以上であることも好ましく、さらに好ましくは40〜100である。応力緩和性が低下しない点で、分子量分布40以上が好ましい。
さらに、本発明に用いる粘着剤は、GPC法による未架橋ポリマー成分中の分子量5万以下ポリマー分が30〜80質量%であることが好ましく、さらに好ましくは40〜70質量%である。応力緩和性が低下しにくい点で、分子量5万以下のポリマー分が30質量%以上が好ましく、粘着剤の凝集力が十分で、高温雰囲気下での発泡が生じにくい点で、80質量%以下が好ましい。
本発明に用いる粘着剤には、特開2003−34781号公報に記載のように、シランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン,2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物、3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、本発明に用いる粘着剤には、透明性、視認性および本発明の効果を損なわない範囲で有れば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、粘着付与樹脂、可塑剤、消泡剤および濡れ性調製剤等を配合しても良い。
粘着剤層の形成方法としては、例えば、基材に上記の粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて離型シートを被覆して、粘着剤層を形成し粘着シートとする方法、離型シートの離型処理された面に粘着剤組成物を塗工し、粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を基材に転写し、粘着シートとする方法等が挙げられる。
なお、基材または離型シートに粘着剤組成物を塗工する方法については、特に限定されないが、塗工方法としては、例えばロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディッピング等の方法が挙げられる。
粘着剤層の厚さ(乾燥膜厚)は、5〜50μm程度とするのが好ましく、5〜40μm程度がより好ましく、5〜30μm程度がさらに好ましい。粘着剤層が薄いほうがせん断応力に強く、偏光板の寸度変化を抑制しやすいので好ましい。また、液晶表示装置の薄型化の観点からも、粘着剤層は薄いほうが好ましい。
粘着剤層に貼着される離型シートは、いずれのものを使用してもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等の各種樹脂からなるフィルムを基材とし、この基材の粘着剤層との接合面に、離型処理(シリコーン処理等)が施されたものを用いることができる。
また、粘着シートには、基材の表面(粘着剤層が積層する面と反対側の面)に、表面保護用シート(プロテクトフィルム)が貼着されていてもよい。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光膜と前記光学補償シートとを有する。偏光板は一般に、基材フィルムに二色性物質を吸着、配向させて作製された偏光膜と、該偏光膜の少なくとも片面に貼合された保護膜とを有する。偏光膜の基材フィルムに使用されるポリマーとしては、ポリビニルアルコール(以下、PVA)系ポリマーが一般的である。二色性物質としてはヨウ素あるいは、二色性染料が単独、あるいは組み合わせて用いられる。保護膜としては、低複屈折性、透明性、適度な透湿性、寸度安定性等の物性が求められ、従来はセルロースアセテートフィルムが広く用いられ、その作製において塩素系有機溶媒であるメチレンクロライドを使用しており、環境保全の観点でその改良が望まれている。非塩素系有機溶媒を用いて作製されたセルロースアシレートフィルムは、その作製に際して非塩素系溶媒で流延しフィルム化することで、これらの改良したものである。
ここで偏光膜に用いるPVAは、通常、ポリ酢酸ビニルをケン化したものであるが、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のように酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性、偏光性、耐熱、耐湿性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、フィルム強度や耐熱、耐湿性、延伸性などから100
0〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。また、PVAのシンジオタクチシチーについては特に限定されず、目的に応じ任意の値をとることもできる。
偏光膜の一方の表面には、本発明の光学補償シート(支持体表面が偏光膜と接する様に)貼合し、その反対側の表面には、セルロースアシレート等からなるポリマーフィルムを配置する(光学異方性層/偏光膜/ポリマーフィルムの配置とする)ことが好ましい。
[液晶表示装置]
液晶表示装置は、通常、液晶セル、偏光板および光学補償シート(位相差板)からなり、主として透過型液晶表示装置及び反射型液晶表示装置に大別される。
透過型液晶表示装置では、二枚の偏光板を液晶セルの両側に取り付け、一枚または二枚の光学補償シートを液晶セルと偏光板との間に配置する。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚の光学補償シート、そして一枚の偏光板の順に配置する。
液晶セルは、通常、棒状液晶性分子、それを封入するための二枚の基盤および棒状液晶性部分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、棒状液晶性分子の配向状態の違いにより様々な表示モードが提案されており、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)等、反射型については、HAN(Hybrid Aligned Nematic)等が提案されている。
以下に本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
[実施例1]
(透明支持体の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
<セルロースアセテート溶液組成>
置換度2.85(6位置換度0.90)のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 45質量部
染料(住化ファインケム(株)製 360FP) 0.0009質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤15質量部、メチレンクロライド81質量部およびメタノール19質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
Figure 2007065207

上記組成のセルロースアセテート溶液464質量部にレターデーション上昇剤溶液36質量部、およびシリカ微粒子“AEROSIL972”(商品名;日本アエロジル(株)
製)1.1質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。
得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、剥ぎ取った後、乾燥風で、残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアシレートフィルムCA−1(厚さ100μm)を製造した。
作成したセルロースアシレートフィルムCA−1について、レターデーションを測定したところ、厚み方向のレターデーションRthは85nm、面内のレターデーションReは7nmであった。
(鹸化処理)
セルロースアシレートフィルム(CA−1)上に、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度40℃に昇温した後に、下記に示す組成のアルカリ溶液(S−1)をダイコーターを用いて塗布量14cc/m、塗布速度40m/分で塗布し、110℃に加熱した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に10秒滞留させた後に、同じくダイコーターを用いて純水を3cc/m塗布した。この時のフィルム温度は40℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥した。
<アルカリ溶液(S−1)組成>
水酸化カリウム 8.55 質量部
水 23.235質量部
イソプロパノール 54.20 質量部
界面活性剤(K−1:C14H29O(CH2CH2O)2OH) 1.0 質量部
プロピレングリコール 13.0 質量部
消泡剤サーフィノールDF110D(日信化学工業(株)製) 0.015質量部
アルカリ処理後のフィルムの表面の水との接触角は35°であり、且つフィルム全面がムラ無く均一に親水化された。
(配向膜(AL)の形成)
50質量部のグルタルアルデヒドの水溶液を作製し、その水溶液中に亜硫酸ナトリウム0.05質量部を加えて4時間室温で放置した。その液を下記の変性ポリビニルアルコールの溶解した水/メタノール溶液に添加して、下記の組成の配向膜塗布液を作製した。
<配向膜塗布液(ALL−1)組成>
下記の変性ポリビニルアルコール 20 質量部
亜硫酸ナトリウム(A−1)(n=8.53) 0.05質量部
グルタルアルデヒド 0.5 質量部
水 360 質量部
メタノール 120 質量部
Figure 2007065207

上記のアルカリ処理したフィルム表面上に、配向膜塗布液をダイコーターで28ml/mの塗布量で塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥し配向膜(AL−1)を作製した。
尚、乾燥後の塗布面の塗布幅方向での中央と左右両端の位置のpH値は6.0〜6.6の範囲であった。
次に、フィルムの長手方向にラビング処理を実施した。
(光学的異方性層の形成)
下記の組成のディスコティック液晶塗布液(DA−1)を#4のワイヤーバーコーターで塗布し、125℃の高温槽中で90秒加熱し、ディスコティック液晶を配向させた後、高圧水銀灯を用いてUVを500mJ/cm照射し、室温まで放冷して、光学補償シート(3〜7)を作成した。光学的異方性層の厚さは、1.8μmであった。
<ディスコティック液晶塗布液(DA−1)組成>
下記のディスコティック液晶DLC−A 9.1質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)) 0.9質量部
イルガキュアー907(チバガイギー社製) 3.0質量部
カヤキュアーDETX(日本化薬(株)製) 0.1質量部
メチルエチルケトン 25.9質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0.2:イーストマンケミカル社製) 表1に記載の質量部
下記の含フルオロ脂肪族基を含有するポリマー
(FP−1) 表1に記載の質量部
Figure 2007065207

Figure 2007065207

(光学補償シートの評価)
光学補償シート(本発明シートNo.4)のレターデーションは面内レターデーション(Re)は68nm、厚み方向のレターデーションRthは107nm、であった。
また本発明シートNo.4の表面の窪みをAFMを用いて測定したところ、0.01μmであった。
各光学補償シートサンプルの10点平均粗さ(Rz)を、走査型プローブ顕微鏡“SPI3800”{セイコーインスツルメンツ(株)製}で測定した。結果を表1に示す。
[配向性の測定方法]
各シートサンプルを偏光顕微鏡を用いて50倍の倍率で観察を行った。5mm×5mmの面積内に配向欠陥(シュリーレン)が10以上あれば×、9〜4個未満なら○、3個未満なら◎とした。結果を表1に示す。
[粘着剤層の塗工]
(アクリル系ポリマー溶液の作製)
n−ブチルアクリレート(n−BA)75質量部、メチルアクリレート(MA)20質量部、2−ヒドロキシアクリレート(2−HEA)5質量部、酢酸エチル100質量部およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部を反応容器に入れ、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、撹拌下に窒素雰囲気中で、この反応容器を60℃に昇温させ、4時間反応させた。4時間後、トルエン100質量部、α−メチルスチレンダイマー5質量部およびAIBN2質量部を加え、90℃に昇温し、さらに4時間反応さ
せた。反応後、酢酸エチルで希釈し、固形分20%のアクリルポリマー溶液を得た。ポリマー溶液の固形分100質量部にイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン(株)製)1.0質量部を添加し、よく撹拌して粘着剤組成物を得た。
上記アクリルポリマー溶液を含有する粘着剤組成物を用いて、剥離処理したポリエステルフィルム上に25μmの粘着剤層を形成し、それを上記の各光学補償シートに転写し、温度23℃,湿度65%の条件で7日間熟成した。さらにその粘着剤層の上にセパレートフィルムを貼り付けた。セルと反対側の保護フィルム上にはプロテクトフィルムを貼り付けた。
(投錨性評価)
各サンプルのプロテクトフィルムを剥がし、新車科学株式会社製の表面性測定器機に20gの過重を加え、ゴムで10往復擦り、粘着剤に対する光学異方性層の投錨性を評価した。結果を表1に示す。
投錨性の判断は粘着剤と光学異方性層が目視で5mm以上剥がれたら×、5mm未満剥がれたら○、全く剥がれなかった場合は◎とした。
(リワーク効果評価)
各シートサンプルのプロテクトフィルムを剥がし、平山製作所 PTU−507H オートクレーブで50℃、5気圧、50分の環境下におき、ガラス基板に貼り付けた。各サンプルをガラス基板側から少し剥離し、剥離した偏光板を掴みガラス基板側を押さえながら対角方向に剥離していった。同様の操作を計10枚のサンプルで実施し、以下の基準に従い評価を行った。
◎:10枚とも完全に剥離できた
○:1枚のみ部分的に剥離残りが生じた
△:2〜5枚で剥離のこりが生じた
×:6枚以上剥離のこりが生じた
[実施例2]
DLC−Aの代わりに下記の棒状液晶化合物(LC)を用いる以外はすべて実施例1と同様に光学補償シート(シートNo.11〜20)を作成し、各評価も同様に行った。結果を表1に示す。
Figure 2007065207


Figure 2007065207
以上の様に、本発明の光学補償シートは良好な性能を示した。
[実施例3]
(反射防止膜付き保護フィルム(AF)の作製)
上記のセルロースアシレートフィルム(CA−1)上に、“ペルノックスC−4456−S7”[ATOを分散したハードコート剤(固形分45質量%):日本ペルノックス(株)製]を塗布、乾燥後、紫外線を照射して硬化し、厚み1μmの導電性層(ECL)を形成した。このフィルムの表面抵抗は10Ω/□オーダーの導電性であった。
なお表面抵抗率は、試料を(25℃/65%RH)の条件下に1時間放置した後、同条件下で三菱化学(株)製 抵抗率計“MCP−HT260”を用いて測定した。
このフィルム上に下記のようにしての反射防止膜を作製した。
{防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−1)}
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物“PETA”[日本火薬(株)製]50質量部、硬化開始剤「イルガキュア184」(チバガイギー社製)2質量部、第1の透光性微粒子としてアクリル−スチレンビーズ[総研化学(株)製、粒径3.5μm、屈折率1.55]5質量部、第2の透光性微粒子としてスチレンビーズ[総研化学(株)製、粒径3.5μm、屈折率1.60]5.2質量部、シランカップリング剤“KBM−5103”[信越化学工業(株)製]10質量部、および下記のフッ素系ポリマー(PF−2)0.03質量部をトルエン50質量部と混合して塗布液として調製し、これをロール形態から巻き出された上記の導電層(ECL)付きセルロースアシレートフィルムの上に、乾燥膜厚6.0μmになるように塗布し、溶媒乾燥後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量300mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ防眩性ハードコート層(屈折率1.52)(HC−3)を作製した。
Figure 2007065207

{低屈折率層(LL−1)の形成}
上記の防眩性層上に、後述する低屈折率層用塗布液(LLL−1)を、マイクログラビアコーターを用いて塗布した。80℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm、照射量600mJ/cmの紫外線を照射し、低屈折率層(LL−1)(屈折率1.43、膜厚86nm)を形成した。このようにして、反射防止膜付きの偏光膜用保護フィルム(AF−1)を作製した。
得られた反射防止膜の平均反射率は2.1%、ヘイズは43%であった。
[低屈折率層用塗布液(LLL−1)の調製]
“DPHA”1.4質量部、下記構造のフッ素系ポリマー(PF−1)5.6質量部、中空シリカ(平均粒径40nm、シェル層厚7nm、屈折率1.31、イソプロパノール18質量%)20.0質量部、反応性シリコーン“RMS−033”(Gelest社製)0.7質量部、下記内容のゾル液a 6.2質量部、および「イルガキュア907」0.2質量部をメチルエチルケトン315.9質量部に投入して攪拌した。孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(LLL−1)を調製した。
Figure 2007065207

(偏光膜(HF)の作製)
平均重合度4000、鹸化度99.8mol%のPVAを水に溶解し、4.0%の水溶液を得た。この溶液をテーパーのついたダイを用いてバンド流延して乾燥し、延伸前の幅が110mmで厚みは左端が120μm、右端が135μmになるように製膜した。
このフィルムをバンドから剥ぎ取り、ドライ状態で45度方向に斜め延伸してそのままよう素0.5g/L、よう化カリウム50g/Lの水溶液中に30℃で1分間浸漬し、次いでホウ酸100g/L、よう化カリウム60g/Lの水溶液中に70℃で5分間浸漬し、さらに水洗槽で20度で10秒間水洗したのち80℃で5分間乾燥してよう素系偏光膜(HF−1)を得た。偏光膜は、幅660mm、厚みは左右とも20μmであった。
(視認側偏光板(SHB)の作製)
光学異方性層付き光学補償シート(表1中のNo.4〜6)の光学異方性層と反対側のフィルム面を実施例1のアルカリ鹸化処理と同様にして処理したフィルム表面、及び上記の反射防止膜付き保護フィルム(AF−1)に実施例1のアルカリ鹸化処理と同様にして反射防止膜とは反対側をケン化処理したフィルム面の其々を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製した偏光膜(HF−1)に貼り付けた。
偏光膜の透過軸とセルロースアセテートフィルム(CA−1)の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光膜の透過軸と上記トリアセチルセルロースフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光板を作製した。
(バック側偏光板(BHB)の作製)
光学異方性層付き光学補償シート(表1中のNo.4〜6)の光学異方性層と反対側のフィルム面を実施例1のアルカリ鹸化処理と同様にして処理したフィルム表面、及び上記のセルロースアシレートフィルム(CA−1)の片面を実施例1のアルカリ鹸化処理と同様にして鹸化処理したフィルム面の其々を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製した偏光膜(HF−1)に貼り付けた。
偏光膜の透過軸とセルロースアシレートフィルム(CA−1)の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光膜の透過軸と上記セルロースアシレートフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。このようにしてバック側偏光板を作製した。
[実施例4]
(TN液晶セルでの評価)
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(AQUOS LC20C1S、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに実施例3で作製した偏光板を、光学補償シート(表1中のNo.1〜10)が液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。
下記のリワーク性の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
[実施例5]
(VA及びIPS液晶セルでの評価)
上記TN型液晶セルをVAモードで22インチの液晶表示装置:TH22−LH10型(松下電器(株)製)またはIPSモードで20インチの液晶表示装置:W20−1c3000形(日立製作所(株)製)に変えて実施例4と同様の実験を行った。
結果を表2に示す。
(リワーク性)
液晶表示装置の4角の1カ所から偏光板をガラス基板側から少し剥離し、剥離した偏光板を掴みガラス基板側を押さえながら対角方向に剥離していく。同様の操作を計10枚のサンプルで実施し、以下の基準に従い評価を行った。
◎:10枚とも完全に剥離できた
○:1枚のみ部分的に剥離残りが生じた
△:2〜5枚で剥離のこりが生じた
×:6枚以上剥離のこりが生じた
Figure 2007065207
本発明にかかるフィルムを用いた偏光板および表示装置においてはリワーク性が良好であることが明らかである。
本発明の光学補償シート製造に使用できるスロットダイコーティングの概略を示した断面模式図である。 本発明の光学補償シート製造に使用できるスロットダイの断面形状と、従来のスロットダイの断面形状とを比較した2つの断面図である。 本発明の光学補償シート製造に使用できるスロットダイ及びその周辺を示す斜視図である。 本発明の光学補償シート製造に使用できる減圧チャンバーとウェブとを示す拡大断面図である。 本発明の光学補償シート製造に使用できる減圧チャンバーとウェブとを示す拡大断面図である。
符号の説明
10 コーター
11 バックアップロール
W ウェブ
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード
14b 塗布膜
15 ポケット
16 スロット
16a 開口部
17 先端リップ
18 平坦部
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド
30 スロットダイ
31a 上流側リップランド
31b 下流側リップランド
32 ポケット
33 スロット
40 減圧チャンバー
40a バックプレート
40b サイドプレート
LO 下流側リップランドのランド長さ
UP 上流側リップランドのウェブ進行方向における長さ
LO 下流側リップランドと上流側リップランドのウェブとの距離の差(オーバーバイト長さ)
L 先端リップとウェブとの隙間の長さ(スロットダイがオーバーバイト形状のときは、下流側リップランドとウェブの隙間の長さを示す。)
B バックプレートとウェブとの隙間の長さ
S サイドプレートとウェブとの隙間の長さ

Claims (10)

  1. 少なくとも一方の表面の10点平均粗さ(Rz)が2〜10nmであることを特徴とする光学補償シート。
  2. 少なくとも一方の表面の10点平均粗さ(Rz)が3〜8nmであることを特徴とする光学補償シート。
  3. 前記少なくとも一方の表面が、粘着剤層と接する面であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学補償シート。
  4. 前記少なくとも一方の表面が光学異方性層の表面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学補償シート。
  5. 前記光学異方性層が少なくとも1種の液晶性化合物を含有することを特徴とする請求項4に記載の光学補償シート。
  6. 前記液晶性化合物が、ディスコティック液晶性化合物を含有することを特徴とする請求項5に記載の光学補償シート。
  7. 前記光学異方性層が含フッ素ポリマー及びセルロースエステルを含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の光学補償シート。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学補償シートを有することを特徴とする偏光板。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学補償シート及び請求項8に記載の偏光板のうち少なくとも一方を有することを特徴とする液晶表示装置。
  10. 少なくとも、液晶セルと、該液晶セルの両側にそれぞれ配置された偏光板とからなり、前記偏光板の少なくとも一方が、偏光膜と該偏光膜の一方の表面であって液晶セルに近い側の表面に設けられた保護膜とを少なくとも有し、且つ該保護膜が請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学補償シートであることを特徴とする液晶表示装置。
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