JP2007060460A - 遠隔会議システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 ユーザの操作負担を招くことなく、会議端末において行われる音響処理を最適化することができる遠隔会議システムを提供する。
【解決手段】 管理サーバ3は、複数の会議室に設置された各会議端末1の環境となる各要素を示す環境データを記憶する環境データベース31を有しており、ある会議室に設置された会議端末1から情報提供要求を受信したとき、その会議室において会議端末の環境となる要素を示す環境データを環境データベース31から読み出し、会議端末に送信する。会議端末は、管理サーバ3からの受信される環境データを用いて音響処理の制御を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】 管理サーバ3は、複数の会議室に設置された各会議端末1の環境となる各要素を示す環境データを記憶する環境データベース31を有しており、ある会議室に設置された会議端末1から情報提供要求を受信したとき、その会議室において会議端末の環境となる要素を示す環境データを環境データベース31から読み出し、会議端末に送信する。会議端末は、管理サーバ3からの受信される環境データを用いて音響処理の制御を行う。
【選択図】 図1
Description
この発明は、遠隔地に設置された複数の会議端末をネットワークにより接続し、遠隔会議を行わせる遠隔会議システムに関する。
現在、音声会議、テレビ電話会議などの遠隔会議システムが普及し、多くの企業において、この種のシステムを利用した遠隔会議が行われている。この遠隔会議は、開始するに当たり、関係する会議端末間の接続を行い、各会議端末の動作条件の設定を行う等の事前準備が必要であるが、そのための操作は慣れていない者にとっては容易ではない。このため、事前準備のための操作に手間取り、遠隔会議の開始が遅れる、といった不都合が生じることがある。このような不都合を回避すべく、遠隔会議を行うに当たって、そのための事前準備を自動化または補助する技術が各種提案されている。例えば特許文献1は、クライアント装置を介してユーザにGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)を提供して、自動接続の指定を含む遠隔会議の予約を受け付け、自動接続を要求する予約が行われた場合には会議の予定時刻において自動的に必要な会議端末間の接続を行うことを提案している。また、特許文献2は、テレビ会議システムを利用した遠隔教育システムに関するものであるが、この文献も、予定時刻になったら生徒の会議端末を自動的に会議セッションに接続する技術を提案している。また、特許文献3は、予め定められた会議シナリオに従って遠隔会議が進行するように、会議端末の自動接続等の必要な処理を行う技術を提案している。
特開2005−109710号公報
特開2004−80525号公報
特開2003−67316号公報
ところで、遠隔会議を快適に行うためには、会議端末において行われる音響処理のための各種のパラメータを会議室の音響特性に合わせて適切に補正する必要がある。上述した従来の技術では、遠隔会議のための接続処理が自動的に行われるため、この点においてユーザの操作負担は軽減される。しかし、会議端末の音響処理を最適化するための作業は依然としてユーザが行わなければならず、その作業が煩雑であるという問題があった。
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの操作負担を招くことなく、会議端末において行われる音響処理を最適化することができる遠隔会議システムを提供することを目的としている。
この発明は、ネットワークを介して他の会議端末と遠隔会議のための通信を行う会議端末と、管理サーバとを具備し、前記管理サーバは、複数の会議室のいずれかにおいて遠隔会議のための処理を行う会議端末の環境となる要素を示す環境データを記憶する記憶手段と、ある会議室に設置された会議端末から情報提供要求を受信したとき、その会議室において会議端末の環境となる要素を示す環境データを前記記憶手段から読み出し、前記情報提供要求の送信元である会議端末に送信する情報提供手段とを具備し、前記会議端末は、前記情報提供要求を送信して前記情報提供手段から環境データを受信し、この環境データを用いて前記遠隔会議のための音響処理の制御を行う音響処理制御手段を具備することを特徴とする遠隔会議システムを提供する。
かかる遠隔会議システムによれば、会議端末の環境となる要素を示す環境データが管理サーバの情報提供手段から会議端末に送られ、会議端末ではその環境データに基づき音響処理の制御が行われる。従って、ユーザの操作負担を招くことなく、会議端末における音響処理をその環境に応じた最適なものにすることができる。
かかる遠隔会議システムによれば、会議端末の環境となる要素を示す環境データが管理サーバの情報提供手段から会議端末に送られ、会議端末ではその環境データに基づき音響処理の制御が行われる。従って、ユーザの操作負担を招くことなく、会議端末における音響処理をその環境に応じた最適なものにすることができる。
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。
図1はこの発明の一実施形態である遠隔会議システムの構成を示すブロック図である。この遠隔会議システムは、ある企業において複数の会議室間で行う遠隔会議に用いられるシステムである。この遠隔会議システムにおいて、企業は、離れた地点に会議室A、B、C等の複数の会議室を有している。各会議室には会議端末が設置されており、それらは同企業内のLAN(Local
Area Network)2に接続されている。ユーザは、所望の会議室の会議端末を使用し、LAN2を介して接続された他の会議室の会議端末のユーザと遠隔会議を行うことができる。図1には、会議端末1A、1Bおよび1Cが会議室A、BおよびCに設置された状態が例示されている。なお、以下では各会議端末を区別する必要がない場合に会議端末1という総称を用いる。各会議端末1は、遠隔会議において会議室内の参加者の音声を適切に収音して他の会議端末に送信し、他の会議端末から受信される音声を会議室内の参加者に適切に提供するための音響処理を行う。本実施形態の特徴は、この各会議端末1において行われる音響処理をユーザの手を煩わせることなく最適なものにすることにある。
図1はこの発明の一実施形態である遠隔会議システムの構成を示すブロック図である。この遠隔会議システムは、ある企業において複数の会議室間で行う遠隔会議に用いられるシステムである。この遠隔会議システムにおいて、企業は、離れた地点に会議室A、B、C等の複数の会議室を有している。各会議室には会議端末が設置されており、それらは同企業内のLAN(Local
Area Network)2に接続されている。ユーザは、所望の会議室の会議端末を使用し、LAN2を介して接続された他の会議室の会議端末のユーザと遠隔会議を行うことができる。図1には、会議端末1A、1Bおよび1Cが会議室A、BおよびCに設置された状態が例示されている。なお、以下では各会議端末を区別する必要がない場合に会議端末1という総称を用いる。各会議端末1は、遠隔会議において会議室内の参加者の音声を適切に収音して他の会議端末に送信し、他の会議端末から受信される音声を会議室内の参加者に適切に提供するための音響処理を行う。本実施形態の特徴は、この各会議端末1において行われる音響処理をユーザの手を煩わせることなく最適なものにすることにある。
LAN2には、管理サーバ3が接続されている。この管理サーバ3は、この遠隔会議システムの運用管理を行うサーバである。この管理サーバ3は、環境データベース31を保有している。この環境データベース31は、遠隔会議の際に会議端末1の環境となる各要素を示す環境データの集合体である。本実施形態では、下記の3種類の環境データが環境データベース31に記憶されている。
a.各会議室において予め採取した反射音データ
会議室内において音を発したときの反射音の発生状況を示すデータである。このデータに基づき、会議室が反響し易い部屋であるか、反響し難い部屋であるかを判断することができる。
b.各会議室において予め採取した暗騒音データ
会議室において全ての機器を非稼動状態にしたときに収音される暗騒音がどのような周波数帯域のスペクトルを含み、各帯域のスペクトルの強度がどの程度のものであるかを示すデータである。
c.会議室において使用される各種の機器(会議室に固定されたものの他、会議室に持ち運ばれて使用されるものを含む)から採取した雑音データ
各機器の発生する雑音がどのような周波数帯域のスペクトルを含み、各帯域のスペクトルの強度がどの程度のものであるかを示すデータである。
a.各会議室において予め採取した反射音データ
会議室内において音を発したときの反射音の発生状況を示すデータである。このデータに基づき、会議室が反響し易い部屋であるか、反響し難い部屋であるかを判断することができる。
b.各会議室において予め採取した暗騒音データ
会議室において全ての機器を非稼動状態にしたときに収音される暗騒音がどのような周波数帯域のスペクトルを含み、各帯域のスペクトルの強度がどの程度のものであるかを示すデータである。
c.会議室において使用される各種の機器(会議室に固定されたものの他、会議室に持ち運ばれて使用されるものを含む)から採取した雑音データ
各機器の発生する雑音がどのような周波数帯域のスペクトルを含み、各帯域のスペクトルの強度がどの程度のものであるかを示すデータである。
以上のデータのうち反射音データおよび暗騒音データが会議室に固有の環境要素を示す環境データであるといえる。これらのデータは、会議室を特定する会議室IDをキーとして検索可能である。一方、雑音データは、会議室に固有の環境要素というよりは会議室において使用されることにより環境要素となるものを示すデータである。この雑音データは、機器を特定する機器IDをキーとして検索可能である。なお、本実施形態では、環境データベース31に記憶されたものの他、他の記憶手段に記憶されたデータ、具体的には、後述する会議予約システムが管理する会議室における遠隔会議の参加人数に関するデータも環境データとして取り扱う。
図2は管理サーバ3の構成を示すブロック図である。図2に示すように、管理サーバ3は、会議予約システム32と情報提供部33を有している。会議予約システム32は、LAN2に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)などのクライアント装置からの要求があったとき、会議予約を受け付けるためのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)をそのクライアント装置に提供し、クライアント装置との間の情報の授受を行うことにより次の情報を取得する。
a.遠隔会議の開催予定日時
b.遠隔会議に使用する複数の会議室の会議室ID
c.各会議室における遠隔会議の参加人数
d.各会議室における使用機器を指定する機器ID
a.遠隔会議の開催予定日時
b.遠隔会議に使用する複数の会議室の会議室ID
c.各会議室における遠隔会議の参加人数
d.各会議室における使用機器を指定する機器ID
そして、会議予約システム32は、この取得した情報を会議予約データ34として、管理サーバ3内の所定の記憶エリアに保存する。LAN2に接続されたクライアント装置は、会議予約システム32を介して、この保存された会議予約データ34を閲覧することができる。情報提供部33は、LAN2に接続された会議端末1からの情報提供要求に応じて、その会議端末1の環境となる要素を示す環境データを送信する装置である。さらに詳述すると、情報提供部33は、会議端末1の端末IDとその会議端末1が設置された会議室の会議室IDとの対応関係を記憶している。情報提供部33は、ある会議端末1からその端末IDを伴う情報提供要求を受信したとき、その端末IDに対応付けられた会議室IDをキーとして環境データベース31の検索を行い、会議端末1が設置された会議室の反射音データと暗騒音データを環境データベース31から読み出してその会議端末1に送信する。また、情報提供部33は、会議端末1からの情報提供要求の受信時付近の時間帯に開催され、かつ、会議端末1の設置された会議室を使用して行われる遠隔会議の会議予約データ34を参照する。そして、会議予約データ34に基づき、会議端末1の設置された会議室における使用機器および遠隔会議の参加人数に関する情報を求める。そして、使用機器に対応した雑音データを環境データベース31から読み出し、参加人数を示す情報とともに会議端末1に送信する。
以上が管理サーバ3の詳細である。
以上が管理サーバ3の詳細である。
次に本実施形態における会議端末1について説明する。図3は会議端末1の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、会議端末1は、大別して端末本体100と、音声入出力ユニット200とにより構成されている。ここで、音声入出力ユニット200は、複数のスピーカ201を水平方向に並べたスピーカアレイと、複数のマイク202を水平方向に並べたマイクアレイとを備えている。図3では、図面が煩雑になるのを防止するため、音声入出力ユニット200の前面のスピーカアレイおよびマイクアレイのみが図示されているが、同ユニットの背面にも、同様なスピーカアレイおよびマイクアレイが設けられている。ここで、スピーカアレイは、事前に設定された複数の仮想的な焦点に向けて、音響ビームを出力する装置であり、端末本体100から供給される音声データを音声として会議の各参加者に伝える役割を果たす。また、マイクアレイは、事前に設定された複数の仮想的な収音位置において会議の各参加者の音声を収音する装置であり、会議の各参加者の音声データを高感度で取得し、端末本体100に供給する役割を果たす。本実施形態における音声入出力ユニット200は、以上述べたスピーカアレイによる音声出力機能およびマイクアレイによる収音機能の他、エコーの低減、雑音除去といった音響補正のための機能を有している。なお、音声入出力ユニット200の詳細については後述する。
図4は、端末本体100の構成を示すブロック図である。この端末本体100において、制御部101は、会議端末1の各部を制御する装置であり、CPUとこのCPUにより実行されるプログラム等を記憶したROMなどにより構成されている。操作部102は、この端末本体100の筐体に配備された押しボタンなどの操作子の集合体である。制御部101は、この操作部102の操作を検知することにより、ユーザによって入力された各種のコマンドや情報を検知する。LCD(Liquid Crystal Display;液晶表示装置)103は、端末本体100の状態の表示やユーザに対する案内メッセージの表示を行う。
通信I/F(インタフェース)104は、制御部101による制御の下、他の会議端末1への接続要求の送信、あるいは他の会議端末1からの接続要求への応答を行うことにより、1または複数の他の会議端末との間にLAN2を介してコネクションを確立し、そのコネクションを介した通信の制御を行う装置である。
音声入出力I/F105は、制御部101による制御の下、図3における音声入出力ユニット200との間で音声データおよび制御データの授受を行う装置である。音声送信処理部106は、遠隔会議の開催中、音声入出力ユニット200から音声入出力I/F105を介して出力される音声データに対し、圧縮符号化、暗号化などの送信に必要な処理を施した後、パケット化し、通信I/F104に出力する装置である。通信I/F104は、遠隔会議の開催中、この音声送信処理部106から与えられる音声データのパケットを、遠隔会議の参加端末である1または複数の会議端末に送信する。音声受信処理部107は、遠隔会議の開催中、通信I/F104を介して他の会議端末からのパケットを受け取り、このパケットから音声データを取り出し、暗号解読処理、復号化処理などの処理を実行する装置である。音声入出力I/F105は、この音声受信処理部107による処理を経た音声データを音声入出力ユニット200に出力する。
時計回路111は、内蔵の発振器から発生されるクロックのカウントを行い、現在の日時時刻を示す現在時刻データを出力する回路である。不揮発性メモリ112は、操作部102の操作により入力された各種の制御データ、通信I/F104を介して外部のサーバ装置等から取得された各種の制御データ、過去行われた通信の日時、通信相手などに関する通信ログ等を記憶する手段として用いられる。
制御部101は、遠隔会議の事前準備および進行のための各種の制御を行う。この制御部101によって行われる制御のうち本実施形態に特有のものとして音響処理の最適化制御がある。この音響処理の最適化制御は、会議端末1の電源が投入されたときに制御部101により実行される処理である。なお、この制御の詳細については、説明の重複を避けるため、本実施形態の動作説明において明らかにする。
次に音声入出力ユニット200について説明する。図5は音声入出力ユニット200におけるスピーカアレイに関連する部分の構成を示すブロック図、図6は音声入出力ユニット200におけるマイクアレイに関連する部分の構成を示すブロック図である。スピーカアレイは、図5に示すように、複数のスピーカ201の駆動制御を行うための手段として、音声出力制御部211と、m個の信号処理部212−k(k=1〜m)とを有している。遠隔会議において、会議端末1の設置された会議室の参加者は、音声入出力ユニット200が配置された机の周りに着席する。音声出力制御部211は、会議開催中、信号処理部212−k(k=1〜m)のうちそれらの参加者の人数分の信号処理部を選択し、端末本体100の音声入出力I/F105から供給される音声データをこの選択した各信号処理部に供給する。これらの信号処理部は、音声出力制御部211による制御の下、会議の各参加者の着席位置の手前の焦点位置に収束する音響ビームをスピーカアレイから出力させるための信号処理を行う。さらに詳述すると、個々の信号処理部212−kは、音声出力制御部211から供給される音声データに遅延処理および振幅調整処理を施し、スピーカアレイを構成する複数のスピーカ201に供給する複数の遅延音声データを生成する。その際、信号処理部212−kは、音声出力制御部211から与えられる指向性制御のためのデータに従い、各スピーカ201から出力された音波が焦点位置Fkに同位相で到達し、焦点位置Fkにおいて音圧が局所的に高くなるように、複数の遅延音声データを生成する遅延処理を実行するのである。なお、振幅調整処理は、サイドローブを抑圧するために実行される処理である。
マイクアレイは、図6に示すように、複数のマイクの出力信号の処理を行うための手段として、音声入力制御部221と、m個の信号処理部222−k(k=1〜m)とを有している。音声入力制御部221は、会議開催中、音声出力制御部211と同様、各信号処理部222−k(k=1〜m)の中から会議の参加者の人数分の信号処理部を選択する。この選択された各信号処理部は、音声入力制御部221による制御の下、会議の各参加者の着席位置の手前の収音位置における音声を収音し、その音声データを生成する信号処理を行う。さらに詳述すると、個々の信号処理部222−kは、マイクアレイを構成する複数のマイク202の出力信号に遅延処理および振幅調整処理を施して加算し、音声データを生成する。その際、個々の信号処理部222−kは、各々が受け持っている収音位置Skにおいて発生した音波が各マイク202に到達した場合に各マイク202の出力信号を遅延させた各信号が同相で加算されるように、各マイク202の出力信号に対する遅延処理を行うのである。なお、振幅調整処理は、収音位置Skとは異なる位置の音を誤って収音するのを防止するために実行される処理である。選択された信号処理部により得られた各参加者の音声データは、音声入力制御部221を介して端末本体100に供給される。スピーカアレイの焦点位置Fkおよびマイクアレイの収音位置Skは、制御部101が実行する音響処理の最適化制御の過程において決定されるが、その詳細については後述する。
本実施形態において音声入力制御部221には、エコー処理機能および雑音処理機能が設けられている。図7は音声入力制御部221の構成を示すブロック図である。加算器231は、信号処理部222−k(k=1〜m)のうち会議の参加者の音声データの処理に関わっているものの出力データを加算して出力する。エコー処理部232は、加算器231から出力される音声データに対し、エコーを削減する処理またはエコーを抑圧する処理を施して出力する。エコー処理部232は、例えばエコーキャンセラである。この態様において、エコー処理部232たるエコーキャンセラは、スピーカアレイからマイクアレイに回り込むエコー成分を加算器231の出力データから差し引く処理を行う。エコー処理部232として、エコーキャンセラの代わりに、エコーサプレッサを用いてもよい。この態様において、エコー処理部232たるエコーサプレッサは、音声出力制御部211に送られる音声データを監視し、スピーカアレイから大きな音圧で音が出力されることが予想される場合に、その反射音が収音されるタイミングにおいて加算器231の出力データのレベルを抑圧して出力する。本実施形態では、会議室におけるエコーの発生し易さの度合いを示すデータとして上述した反射音データが制御部101から音声入出力I/F105を介して供給され、エコー処理部232はこの反射音データに従ってエコー成分の削減または抑圧の程度の調整を行う。
エコー処理部232の後段には、周波数特性の制御が可能な複数の雑音除去フィルタ233が設けられている。これらの雑音除去フィルタ233は、エコー処理部232の処理を経た音声データから除去すべき雑音成分の種類数に応じた個数だけ直列接続されて用いられる。フィルタ特性制御部234は、会議室において動作する機器の雑音データおよび会議室の暗騒音データを制御部101から音声入出力I/F105を介して受け取る。なお、会議室において動作する機器が複数ある場合、フィルタ特性制御部234には、それらの各機器に対応した複数の雑音データが制御部101から与えられる。そして、フィルタ特性制御部234は、例えば暗騒音データと1つの機器に対応した雑音データが与えられた場合、2つの雑音除去フィルタ233をエコー処理部232と音声入出力I/F105との間に直列に介挿し、初段の雑音除去フィルタ233に雑音データが示す雑音成分を除去させ、その次の段の雑音除去フィルタ233に暗騒音データが示す暗騒音成分を除去させるよう各雑音除去フィルタ233の周波数特性の制御を行うのである。
以上が会議端末1の構成の詳細である。
以上が会議端末1の構成の詳細である。
次に本実施形態の動作を説明する。例えば図1における会議室AおよびBを用いて行う遠隔会議が会議予約システム32を用いて予約され、その会議予約データが管理サーバ3に保存されたとする。遠隔会議の予定時刻が近づき、遠隔会議の参加者が会議室AおよびBに入室し、各会議室に設置された会議端末1Aおよび1Bの電源を投入すると、各会議端末の制御部101は、以下説明するように、音響処理の最適化のための制御を実行する。
例えば会議室Aに設置された会議端末1Aの制御部101は、通信I/F104によりLAN2を介して管理サーバ3の情報提供部33に情報提供要求を送る。この情報提供要求は、送信元である会議端末1Aの端末IDを含んでいる。情報提供部33は、この端末IDを手掛かりに会議端末1Aの設置された会議室Aの会議室IDを求め、この会議室IDをキーとして環境データベース31の検索を行い、会議室Aの反射音データおよび暗騒音データを取得する。また、情報提供部33は、現時点付近に予約された遠隔会議のうち会議室Aを用いて行うことになっている遠隔会議の会議予約データ34を求め、この会議予約データ34の中の会議室Aに関連したデータ、具体的には会議室Aにおける参加人数と会議室Aにおける使用機器の機器IDを取得する。そして、取得した機器IDをキーとして環境データベース31の検索を行い、会議室Aにおける使用機器の雑音データを取得する。情報提供部33は、以上のようにして取得した会議室Aの反射音データ、暗騒音データ、会議室Aにおける遠隔会議の参加人数、使用機器に対応した雑音データを会議端末1Aに送信する。
会議端末1Aの制御部101は、通信I/F104を介してこれらの情報を受信すると、音声入出力ユニット200に対し、音声入出力I/F105を介して次のデータおよび指令を送る。
a.会議室Aにおける遠隔会議の参加人数分のスピーカアレイの焦点位置、マイクアレイの収音位置の設定指令
b.会議室Aにおける遠隔会議の参加人に応じた出力音量設定指令
c.会議室Aの反射音データおよびエコー処理の最適化指令
d.会議室Aにおける使用機器に対応した雑音データおよび雑音除去処理の実行指令
e.会議室Aの暗騒音データおよび暗騒音除去処理の実行指令
a.会議室Aにおける遠隔会議の参加人数分のスピーカアレイの焦点位置、マイクアレイの収音位置の設定指令
b.会議室Aにおける遠隔会議の参加人に応じた出力音量設定指令
c.会議室Aの反射音データおよびエコー処理の最適化指令
d.会議室Aにおける使用機器に対応した雑音データおよび雑音除去処理の実行指令
e.会議室Aの暗騒音データおよび暗騒音除去処理の実行指令
音声入出力ユニット200では、以上のデータおよび指令が受信されると、次の動作が行われる。まず、音声出力制御部211および音声入力制御部221は、会議室Aにおいて参加人数分のスピーカアレイの焦点位置、マイクアレイの収音位置を設定するための処理を行う。さらに詳述すると、音声出力制御部211は、適当な信号処理部212−kを選択し、予め設定された複数の焦点を順次選択し、各焦点に収束する音響ビームをスピーカアレイに順次出力させる信号処理を行わせる。この間、音声入力制御部221は、この各音響ビームに対する反射音をマイクアレイの各マイク202により収音する。そして、音声入力制御部221は、この各音響ビームに対する反射音の収音結果から音響ビームの伝播経路上の障害物となっている参加者の位置を会議室Aの参加人数分だけ推定し、推定結果に基づいて各参加者に対応した焦点位置Fkおよび収音位置Skを決定するのである。
また、音声入出力ユニット200の音声入力制御部221では、次の処理が行われる。まず、会議室Aの反射音データは、エコー処理部232に与えられる。エコー処理部232では、この反射音データに基づいて会議室Aのエコーの発生し易さが判定され、エコーの発生し易さの程度に合わせて、エコー成分の削減または抑圧の程度の調整が行われる。すなわち、会議室Aがエコーの発生し易い部屋(ライブな部屋)である場合には、エコー成分の削減または抑圧の程度が高くされ、エコーの発生し難い部屋(デッドな部屋)である場合には、エコー成分の削減または抑圧の程度が低く設定されるのである。また、フィルタ特性制御部234は、2つの雑音除去フィルタ233がエコー処理部232と音声入出力I/F105との間に直列に介挿された状態とし、制御部101から与えられた雑音データが示す雑音成分の除去が初段の雑音除去フィルタ233によって行われ、暗騒音データが示す暗騒音成分の除去が2段目の雑音除去フィルタ233によって行われるように、各雑音除去フィルタ233の周波数特性の制御を行う。さらに音声入出力ユニット200の音声出力制御部211では、遠隔会議の参加人数に応じたスピーカアレイの各スピーカ201の出力音量の設定が行われ、参加人数が多い場合には大きな出力音量とされ、少ない場合には小さな出力音量とされる。
以上のようにして、会議端末1Aの音声入出力ユニット200により行われる音響処理は、その環境となる各要素を示すデータ、すなわち、会議室1Aの反射音データ、暗騒音データ、会議室Aにおける参加人数、使用機器の雑音データに応じた最適な状態とされる。会議室Bの会議端末1Bにおいても同様の動作が行われる。従って、各会議室の遠隔会議の参加者は、音響処理の最適化のための操作をすることなく、遠隔会議を開始することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明にはこれ以外にも他の実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)上記実施形態では、会議室における遠隔会議の参加人数に基づいて、その会議室における会議端末の出力音量の制御を行ったが、会議室の大きさに基づいて出力音量の制御を行うようにしてもよい。例えば管理サーバ3が会議室IDに対応付けて会議室の大きさを示す情報を記憶し、情報提供部33は、会議端末1から情報提供要求を受信したとき、他の情報とともにその会議端末が設置された会議室の大きさを示す情報を会議端末1に送信する。そして、会議端末1では、そのときの受信情報に基づき、会議室が大きければ出力音量を大きくし、会議室が小さければ出力音量を小さくするのである。
(1)上記実施形態では、会議室における遠隔会議の参加人数に基づいて、その会議室における会議端末の出力音量の制御を行ったが、会議室の大きさに基づいて出力音量の制御を行うようにしてもよい。例えば管理サーバ3が会議室IDに対応付けて会議室の大きさを示す情報を記憶し、情報提供部33は、会議端末1から情報提供要求を受信したとき、他の情報とともにその会議端末が設置された会議室の大きさを示す情報を会議端末1に送信する。そして、会議端末1では、そのときの受信情報に基づき、会議室が大きければ出力音量を大きくし、会議室が小さければ出力音量を小さくするのである。
(2)上記実施形態では、各会議室とそれらに設置される会議端末との関係が固定されている場合を例に遠隔会議システムの構成および動作を説明した。しかし、各会議室とそれらに設置される会議端末との関係は固定されていなくてもよく、この発明は例えば会議の参加者が会議端末1を任意の会議室に持ち運んで遠隔会議を行うような態様にも適用可能である。この場合、管理サーバ3の情報提供部33は、会議端末1から情報提供要求を受け取ったとき、その送信元である会議端末1までの経路をトレースするなどの方法により会議端末1の設置場所である会議室を求めるようにすればよい。あるいは、管理サーバ3の会議予約システム32が会議予約を受け付けたときに、クライアント装置との間の情報の授受を通じて、使用予定の会議室の会議室IDとともにその会議室に持ち運んで使用する会議端末の端末IDを取得し、これらを対応付ける情報を含む会議予約データ34を保存するようにしてもよい。この場合、情報提供部33は、ある会議端末1から情報提供要求が受信されたときに、現時点付近に予定され、かつ、その端末IDの会議端末1が関連した遠隔会議の会議予約データを求め、この会議予約データにおいてその端末IDに対応付けられた会議室IDを求め、これを会議端末1の設置場所である会議室のものと認識すればよい。
(3)音響処理の最適化制御に加えて、遠隔会議に参加する会議端末1間の自動接続を行うようにしてもよい。そのための態様として例えば次のようなものが考えられる。まず、管理サーバ3の会議予約システム32が会議予約を受け付けるとき、遠隔会議の開始の際に接続要求の送信元となる会議端末1を指定させ、接続要求の送信元となる会議端末1の端末IDと接続要求の送信先の会議端末1の端末IDとを含む会議予約データを保存する。そして、管理サーバ3の情報提供部33は、ある会議端末1から情報提供要求が受信され、その会議端末1がこれから行うであろう遠隔会議の会議予約データを求めたとき、会議予約データに基づいて、その会議端末1が接続要求の送信元であるか否かを判断する。そして、その会議端末1が接続要求の送信元である場合には、接続要求の送信先の会議端末1の端末IDと遠隔会議の開始予定時刻を情報提供要求の送信元の会議端末1に送る。これを受け取った会議端末1は、遠隔会議の開始予定時刻になったとき、情報提供部33から受け取った端末IDを用いて、遠隔会議の相手である会議端末1に接続要求を送り、遠隔会議を開始するのである。この態様によれば、遠隔会議のための会議端末間の接続が自動的に行われるので、ユーザの操作負担がさらに軽減される。
(4)上記実施形態において会議端末1は、電源が投入されたときに管理サーバ3の情報提供部33に情報提供要求を送り、音響処理の最適化のための制御を行ったが、操作部102の特定のボタンが操作されたときに同様な処理を行うように構成してもよい。
1,1A,1B、1C……会議端末、2……LAN、3……管理サーバ、31……環境データベース、32……会議予約システム、33……情報提供部、34……会議予約データ、200……音声入出力ユニット、201……スピーカ、202……マイク、100……端末本体、101……制御部、102……操作部、103……LCD、104……通信I/F、105……音声入出力I/F、106……音声送信処理部、107……音声受信処理部、211……音声出力制御部、212−k(k=1〜m)……信号処理部、221……音声入力制御部、222−k(k=1〜m)……信号処理部、232……エコー処理部、233……雑音除去フィルタ、234……フィルタ特性制御部。
Claims (7)
- ネットワークを介して他の会議端末と遠隔会議のための通信を行う会議端末と、管理サーバとを具備し、
前記管理サーバは、複数の会議室のいずれかにおいて遠隔会議のための処理を行う会議端末の環境となる要素を示す環境データを記憶する記憶手段と、
ある会議室に設置された会議端末から情報提供要求を受信したとき、その会議室において会議端末における環境となる要素を示す環境データを前記記憶手段から読み出し、前記情報提供要求の送信元である会議端末に送信する情報提供手段とを具備し、
前記会議端末は、前記情報提供要求を送信して前記情報提供手段から環境データを受信し、この環境データを用いて前記遠隔会議のための音響処理の制御を行う音響処理制御手段を具備することを特徴とする遠隔会議システム。 - 前記管理サーバにおける記憶手段は、前記環境データとして、各会議室において所定の音を発したときの反射音の発生状況を示す反射音データを記憶し、
前記管理サーバにおける情報提供手段は、前記情報提供要求の送信元である会議端末の設置された会議室に対応した反射音データを前記記憶手段から読み出して当該会議端末に送信し、
前記会議端末における音響処理制御手段は、前記情報提供手段から受信される反射音データに基づき、通信相手の会議端末に送る音声データのエコー成分を低減するための処理を制御することを特徴とする請求項1に記載の遠隔会議システム。 - 前記管理サーバにおける記憶手段は、前記環境データとして、会議において使用される機器の雑音を示す雑音データを記憶し、
前記管理サーバにおける情報提供手段は、会議予約システムにより保存された会議予約データのうち前記情報提供要求の送信元である会議端末が用いられる遠隔会議の会議予約データから、当該会議端末の設置された会議室において使用される機器を求め、その機器に対応した雑音データを前記記憶手段から読み出して当該会議端末に送信し、
前記会議端末における音響処理制御手段は、前記情報提供手段から受信される雑音データに基づき、通信相手の会議端末に送る音声データから雑音成分を除去する雑音除去処理を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔会議システム。 - 前記管理サーバにおける記憶手段は、前記環境データとして、各会議室における暗騒音を示す暗騒音データを記憶し、
前記管理サーバにおける情報提供手段は、前記情報提供要求の送信元である会議端末の設置された会議室に対応した暗騒音データを前記記憶手段から読み出して当該会議端末に送信し、
前記会議端末における音響処理制御手段は、前記情報提供手段から受信される暗騒音データに基づき、通信相手の会議端末に送る音声データから暗騒音成分を除去する暗騒音除去処理を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の遠隔会議システム。 - 前記管理サーバにおける情報提供手段は、会議予約システムにより保存された会議予約データのうち前記情報提供要求の送信元である会議端末が用いられる遠隔会議の会議予約データから、当該会議端末の設置された会議室の大きさまたはその会議室における遠隔会議の参加人数を示す情報を取得して当該会議端末に送信し、
前記会議端末における音響処理制御手段は、前記情報提供手段から受信される会議室の大きさまたは遠隔会議の参加人数を示す情報に基づき、前記会議端末の出力音量を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1の請求項に記載の遠隔会議システム。 - 前記管理サーバにおける情報提供手段は、会議予約システムにより保存された会議予約データのうち前記情報提供要求の送信元である会議端末が用いられる遠隔会議の会議予約データから、当該会議端末の設置された会議室における遠隔会議の参加人数を示す情報を取得して当該会議端末に送信し、
前記会議端末は、設置場所である会議室内の各参加者と音声の授受を行うための手段として、各参加者に向けて音響ビームを出力するスピーカアレイと、各参加者の音声を収音するマイクアレイとを有し、
前記会議端末における音響処理制御手段は、前記情報提供手段から受信される参加人数を示す情報に基づき、前記スピーカアレイおよびマイクアレイの指向性制御を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1の請求項に記載の遠隔会議システム。 - 複数の会議室のいずれかにおいて遠隔会議のための処理を行う会議端末の環境となる各要素を示す環境データを記憶する記憶手段と、
ある会議室に設置された会議端末から情報提供要求を受信したとき、その会議室において会議端末における環境となる要素を示す環境データを前記記憶手段から読み出し、前記情報提供要求の送信元である会議端末に送信する情報提供手段と
を具備することを特徴とする遠隔会議システムの管理サーバ。
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