JP2007059363A - 除電方式及び除電器 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のコロナ放電を用いた除電方法による問題を解消した新規な粉体の除電方式及び除電器を提供する。
【解決手段】
粉体の帯電電圧より高い交流電圧を発生する交流電圧源と、交流電圧源から発生する交流電圧により発生する電場を送る風力を発生する送風手段と、交流電圧源が発生する交流電圧により発生する電場を、粉体を貯蔵する貯蔵タンク、及び/又は、粉体を輸送する輸送パイプに導入する導入手段を有する。交流電圧源が発生する交流電圧により発生する電場を、送風手段が発生する風力により、粉体を貯蔵する貯蔵タンク、及び/又は、粉体を輸送する輸送パイプに導入することにより、粉体の帯電を除去する。
【選択図】図1

Description

本発明は、粉体の帯電を除去する除電方式及び除電器に関する。
従来、作業所等で静電気に帯電した被除電物の帯電を除去するには、放電電極と接地電極間に高電圧を印加してコロナ放電させて、空気をイオン化し、これを風力等で被除電物に吹き付けて除電することが行われていた。
しかしながら、放電電極と接地電極間に高電圧を印加してコロナ放電させるとオゾンが大量に発生する。オゾンは人体に対して毒性があり、作業環境として望ましくない(非特許文献1参照)。
また、コロナ放電により電磁波が発生し、被除電物がIC等の電子部品の場合は、電磁波により誤動作したり、電磁波が強力な場合にはIC等が破壊されたりすることがある。
また、被除電物の帯電を除去するためには風力等により強力にイオン化した空気を吹き付ける必要があり、作業員の呼吸を害したり、軽量な被除電物を飛散させたりする。
また、コロナ放電による除電方法は、コロナ放電時に発生する波形が非常に悪く、これにつれてイオンバランスが悪く、被除電物に逆極性の帯電が発生することがあり、十分な除電効果を得ることができない。
「オゾンの生体への影響」山口裕
このように従来のコロナ放電を用いた除電方法には様々な問題があった。
本発明の目的は、従来のコロナ放電を用いた除電方法による問題を解消した新規な粉体の除電方式及び除電器を提供することにある。
本発明の一態様による除電方式は、粉体の帯電電圧より高い交流電圧により発生する電場を、風力により、粉体を貯蔵する貯蔵タンク、及び/又は、粉体を輸送する輸送パイプに導入し、前記粉体の帯電を除去することを特徴とする。
上述した除電方式において、交流電圧により発生する前記電場を、接地した網部材を通過させて前記粉体に送るようにしてもよい。
本発明の一態様による除電器は、粉体の帯電電圧より高い交流電圧を発生する交流電圧源と、前記交流電圧源から発生する交流電圧により発生する電場を送る風力を発生する送風手段と、前記交流電圧源が発生する交流電圧により発生する電場を、粉体を貯蔵する貯蔵タンク、及び/又は、粉体を輸送する輸送パイプに導入する導入手段を有し、前記交流電圧源が発生する交流電圧により発生する電場を、前記送風手段が発生する風力により、粉体を貯蔵する貯蔵タンク、及び/又は、粉体を輸送する輸送パイプに導入することにより、前記粉体の帯電を除去することを特徴とする。
上述した除電器において、導電性部材により形成された網部材を更に有し、交流電圧により発生する前記電場を、接地した前記網部材を通過させて前記粉体に送るようにしてもよい。
上述した除電器において、導電性部材により形成された前記網部材は線材を編んで形成したものであってもよい。
上述した除電器において、導電性部材により形成された前記網部材に更に他の網部材を重ねてもよい。
上述した除電器において、前記交流電圧は、波形がほぼ正確な正弦波である商用交流電圧を昇圧したものであってもよい。
以上の通り、本発明によれば、粉体の帯電電圧より高い交流電圧により発生する電場を、風力により被除電物へと送り、粉体を貯蔵する貯蔵タンク、及び/又は、粉体を輸送する輸送パイプに導入するようにしたので、オゾンや電磁波を発生させることなく、弱い風力で粉体の帯電を十分に除去することができる。
[一実施形態]
本発明の一実施形態による除電器について図面を用いて説明する。図1は本実施形態の除電器の構成を示す図である。
除電器の本体ケース1は、耐電性が高く、絶縁良好で、耐重量性に優れた材質、例えば、ポリカーボネートにより形成されている。本体ケース1内部は仕切板19により上下の空間に分割されている。
本体ケース1下部の空間には、高電圧発生ためのトランス5が設けられている。トランス5の低電圧側には、本体ケース1壁部に設けられた交流電源入力9から交流電源が入力される。本実施形態では、商用の交流電圧、例えば、50Hz又は60Hzの100Vの交流電圧が入力される。交流電源入力9とトランス5の間には電源開閉器7が設けられている。
本体ケース1上部の空間は、左右両側に空気の吸入口15及び放出口16が形成されている。図1の左側の吸入口15には、吸入する空気から塵埃等を除去するためのフィルタ4が設けられている。フィルタ4は例えばポリウレタンフォームにより形成されている。
本体ケース1の上部空間の中央には、交流電圧を印加するための放射電極14が設けられている。放射電極14はトランス5の高電圧側に接続されている。放射電極14はグラファイト繊維により形成されている。
本体ケース1の上部空間における放射電極14の右側には、風を発生する送風手段としてファンモータ13が設けられている。ファンモータ13により、本体ケース1の上部空間に、図1の左側から右側に流れる風が発生する。
本体ケース1の上部空間におけるファンモータ13の右側の放出口16近傍には、金網フィルタ3が設けられている。金網フィルタ3は1枚又は複数枚の網部材により構成されている。金網フィルタ3は、例えばステンレスのような導電性材料により形成された網部材を少なくとも1枚有している。その網部材は、アース電極6に接続されて接地されている。
コントロールケース2は、除電器を操作するために本体ケース1とは別体に形成されている。コントロールケース2も、耐電性が高く、絶縁良好で、耐重量性に優れた材質、例えば、ポリカーボネートにより形成されている。
コントロールケース2には、トランス5をオンオフするためのトランス開閉器8と、ファンモータ13の強さを調整するための電圧調整器10とが設けられている。
除電器の本体ケース1にはトランス5の低電圧側に電圧が入力されていることを示す青色ネオンランプ12が設けられている。また、除電器の本体ケース1とコントロールケース2には、トランス5の高電圧側から高電圧が出力されていることを示す赤色ネオンランプ11がそれぞれ設けられている。
次に、本実施形態による除電器の動作について説明する。
静電気を除電する対象である被除電物(図示せず)に、放出口16が向くように本体ケース1を設置する。そして、本体ケース1の交流電源入力9に商用交流電源を接続する。
除電をする場合には、まず、本体ケース1の電源開閉器7をオンする。青色ネオンランプ12の点灯により交流電源が入力されたことを確認する。また、ファンモータ13が回転して、本体ケース1の上部空間において左側の吸入口15から空気を吸入して、右側の放出口16に空気が放出される空気の流れが形成される。
次に、コントロールケース2のトランス開閉器8をオンする。本体ケース1とコントロールケース2の赤色ネオンランプ11の点灯により高電圧が印加されたことを確認する。
次に、被除電物に適した高電圧を放射電極14に印加する。被除電物が帯電したときの耐電電圧を前もって測定又は予測しておき、その耐電電圧よりも高い高電圧を印加する。
高電圧が放射電極14に印加されると、放射電極14近傍に高電圧により電荷、ひいては電荷の周りの空間である電場が発生する。本体ケース1の上部空間には左側の吸入口15から右側の放出口16への空気の流れが形成されているので、放射電極14の左側の空間17の空気が放射電極14に流れ、そこで発生した電荷が、放射電極14の右側の空間18に流れて、そこで電荷と空気の混合気体、すなわち、電場が空気中に浮遊している混合気体が形成される。その混合気体はファンモータ13により更に右側に流れて、金網フィルタ3を通過して、放出口16から放出されて、本体ケース1の右側にある被除電物(図示せず)に照射される。
電荷と空気の混合気体には、電荷により空気中に電場が形成されており、それが被除電物に接近又は接触すると、被除電物の静電気を除去して被除電物の帯電を除去する。
次に、本実施形態の除電器における金網フィルタ3について図2及び図3を用いて説明する。
本実施形態の金網フィルタ3は、放出口15近傍の風圧を抑えて軽量な被除電物が飛散することを防止すると共に、放出口15から離れた被除電物も確実に除電するために設けている。
金網フィルタ3として、図2に示すように、網目が10mmのステンレス製の網部材3aと、網目が2mmのプラスチック製の網部材3bと、網目が2mmのプラスチック製の網部材3cとを用意し、これら網部材3a〜3cを様々に組み合わせた場合の風圧について測定した。(a)金網フィルタ3を設けない場合、(b)網部材3aのみ設けた場合、(c)網部材3aと網部材3bを設けた場合、(d)網部材3aと網部材3bと網部材3cを設けた場合について測定した。
図3に測定結果を示す。図3の横軸は放出口15からの距離(mm)を示し、縦軸は風速(m/s)を示している。いずれの場合も放出口16近傍の風速は強く、遠くなるほど減少する。しかし、組合せにより減少の程度が異なることがわかった。
図3に示すように、(a)金網フィルタ3を設けない場合や、(b)網部材3aのみ設けた場合には、放出口16近傍の風速が強く、遠くなると急激に風速が弱くなる。これに対し、(c)網部材3aと網部材3bを設けた場合や、(d)網部材3aと網部材3bと網部材3cを設けた場合には、放出口16近傍の風速が弱くなるものの、放出口16から遠くなってもそれほど減少しない。
したがって、本実施形態では、金網フィルタ3として、図2に示すように、網目が10mmのステンレス製の網部材3aと、網目が2mmのプラスチック製の網部材3bと、網目が2mmのプラスチック製の網部材3cとを重ねて用いるようにした。
本実施形態の金網フィルタ3は、電荷と共に発生する電磁波を吸収するために設けている。放射電極14への高電圧の印加により電荷すなわち電場が発生したとき、同時にコロナ放電のときと同様に電磁波が発生する。金網フィルタ3の導電性の網部材3aを設け、それを接地することにより、発生した電磁波を捕捉する。これにより、放出口16からは電荷と空気の混合気体だけが放出され、被除電物に悪影響を及ぼす電磁波の放出が抑制される。
導電性の網部材3aは、打ち抜きによる一体の金網ではなく、線材を縦横に編み込んだ金網であることが望ましい。線材を縦横に編み込んだ金網では、線材の交差部に接触抵抗Rがあるため、電磁波エネルギーが導電性の網部材3aである金網を通過するとき、この金網に電流Iが発生し、I2Rのジュール熱のエネルギーに変換されて、これが金網を伝わり消滅する。これにより、電荷すなわち電場が被除電物に達するときには、電磁波エネルギーが完全になくなり、電磁波によるIC等の誤動作を発生させない。
次に、本実施形態の除電器において風力が除電効果に与える影響について実験した。図4に実験結果を示す。
除電器の放出口16から600mm離れた位置に被除電物を載置し、高電圧として7kV(50Hz)を印加し、風量を変化させた場合についての除電効果を測定した。図4の横軸は時間(秒)を示し、縦軸は被除電物の帯電電圧(V)を示す。
風力が0の場合(A)、風力の強さが50の場合(B)、風力の強さが55の場合(C)、風力の強さが60の場合(D)、風力の強さが70の場合(E)、風力の強さが100の場合(F)について測定した。
風力が0の場合(A)には除電効果はほとんどないが、風力がある場合(B、C、D、E、F)には10秒で完全に除電される除電効果があることがわかった。そして、風力が強いほど除電効果があることがわかった。
なお、風力が0の場合(A)であっても、放出口16から被除電物の距離が短い場合、例えば200mm程度であれば、十分な除電効果がある。
[他の実施形態]
本発明の他の実施形態による除電器について図5を用いて説明する。図5は本実施形態の除電器の使用状態の構成を示す図である。
本実施形態の除電器は粉体工業で使用される。粉体工業は、小麦粉、てんぷら粉、カレー粉、ココア粉末等の食品用粉体、ふすま、配合飼料、モミガラ飼料、乾燥酵母等の飼料・肥料用粉体、アクリル樹脂粗砕品、ABS樹脂、高分子凝集剤、アルミ粉末等の化学製品粉体、炭酸カルシウム、消石灰、珪砂、セメント等の鉱物・廃棄物性粉体等を取り扱う工業である。
粉体工業では、粉体を扱うが故に、各所において静電気が多量に発生し、その静電気により粉体が帯電し、粉体同士が吸着したり、粉体が他の場所に吸着したりする問題がある。
従来は、静電気による粉体の帯電を除去するために、放電電極と接地電極間に高電圧を印加してコロナ放電させて、空気をイオン化し、これを風力等で粉体に吹き付けて除電することが行われていた。しかしながら、従来の除電方法では、コロナ放電させるために粉体爆発の危険がある。
本実施形態では、図5に示すように、粉体の貯蔵タンク20が設けられている。貯蔵タンク20上部には、粉体を導入するためのホッパー22が設けられている。貯蔵タンク20内部には、粉体に含まれる異物を除去するためのフィルタ24が設けられている。貯蔵タンク20の下部には、粉体を取出すための粉体出口26が設けられている。
除電器30は、例えば、図1に示されたような除電器である。除電器30からは、上述したように、電荷すなわち電場と空気の混合気体が排出される。除電器30にはパイプ32が設けられ、このパイプ32は貯蔵タンク32内に挿入されている。除電器30から排出される電荷すなわち電場と空気の混合気体は、パイプ32により、貯蔵タンク20内に導かれる。パイプ32の先端は、貯蔵タンク20内で下側に向くように曲げられている。
粉体28は、ホッパー22上方から導入され、貯蔵タンク20内に落下する。貯蔵タンク20内に落下した粉体は、フィルタ24により大きな固形物が除かれ、貯蔵タンク20内に貯蔵される。この間、粉体と他の部材との摩擦や、粉体同士の摩擦により、静電気が発生する。この静電気の作用により、粉体が他の部材に付着したり、粉体同士が固まったりする。
本実施形態では、除電器30から排出される電荷すなわち電場と空気の混合気体がパイプ32を介して、貯蔵タンク20内に導入される。導入された電荷すなわち電場と空気の混合気体により、貯蔵タンク20内の粉体の静電気が除電される。
これにより、粉体が他の部材に付着したり、粉体同士が固まったりすることなく、粉体出口26から粉体をスムーズに取出すことができる。パイプ32の先端が下方に曲げられているので、固まった粉体がパイプ32出口を塞ぐこともない。また、静電気除電のためにコロナ放電させる必要がないので、粉体爆発の危険もない。
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、本体ケース1と別個にコントロールケース2を設けたが、コントロールケース2内の部品を本体ケース1に収納し、コントロールケース2を設けなくてもよい。
また、上記実施形態では、金網フィルタとして、10mmの網目のステンレス製網部材と、2枚の2mmの網目のプラスチック製網部材とを用いたが、使用する網部材の網目の大きさ、使用する網部材の枚数等は、上記実施形態に限定されない。
また、上記実施形態では、除電器からの電荷すなわち電場と空気の混合気体を、粉体の貯蔵タンクにパイプにより導入したが、粉体を輸送する輸送パイプ内に導入するようにしてもよい。特に、輸送パイプの曲がり部分は、静電気により固着した粉体が溜まりやすいので、この部分に除電器からの電荷すなわち電場と空気の混合気体を導入すれば有効である。
本発明の一実施形態による除電器の構成を示す図である。 本発明の一実施形態による除電器のフィルタを示す図である。 除電器からの距離と風速との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態による除電器により除電効果を示すグラフである。 本発明の他の実施形態による除電器の使用状態の構成を示す図である。
符号の説明
1…本体ケース
2…コントロールケース
3…金網フィルタ
3a、3b、3c…網部材
4…フィルタ
5…トランス
6…アース電極
7…電源開閉器
8…トランス開閉器
9…交流電源入力
10…電圧調整器
11…赤色ネオンランプ
12…青色ネオンランプ
13…ファンモータ
14…放射電極
15…吸入口
16…放出口
17、18…空間
19…仕切板
20…貯蔵タンク
22…ホッパー
24…フィルタ
26…粉体出口
28…粉体
30…除電器
32…パイプ

Claims (4)

  1. 粉体の帯電電圧より高い交流電圧により発生する電場を、風力により、粉体を貯蔵する貯蔵タンク、及び/又は、粉体を輸送する輸送パイプに導入し、前記粉体の帯電を除去することを特徴とする除電方式。
  2. 請求項1記載の除電方式において、
    交流電圧により発生する前記電場を、接地した網部材を通過させて前記粉体に送ることを特徴とする除電方式。
  3. 粉体の帯電電圧より高い交流電圧を発生する交流電圧源と、
    前記交流電圧源から発生する交流電圧により発生する電場を送る風力を発生する送風手段と、
    前記交流電圧源が発生する交流電圧により発生する電場を、粉体を貯蔵する貯蔵タンク、及び/又は、粉体を輸送する輸送パイプに導入する導入手段を有し、
    前記交流電圧源が発生する交流電圧により発生する電場を、前記送風手段が発生する風力により、粉体を貯蔵する貯蔵タンク、及び/又は、粉体を輸送する輸送パイプに導入することにより、前記粉体の帯電を除去することを特徴とする除電器。
  4. 請求項3記載の除電器において、
    導電性部材により形成された網部材を更に有し、
    交流電圧により発生する前記電場を、接地した前記網部材を通過させて前記粉体に送ることを特徴とする除電器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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