JP2007058283A - 教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラム - Google Patents

教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】座標値を用いた対応付けを行うためには、当該座標値を入力する処理が必要になったり、あるいは、その座標値を自動的に算出する処理が必要になったりする。
【解決手段】採点集計部12での正誤判定の採点集計において、教育用教材20上に数字類で部分点が記入されている場合に、当該数字類を正誤判定図形に対応付けて採点集計を行うことで、正解/不正解を表す正誤判定図形に基づく採点集計のみならず、部分点についても採点集計が行えるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、教育機関で用いられる教材(以下、「教育用教材」と記述する)を取り扱う教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラムに関し、特にその教育用教材についての採点処理を行う教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラムに関する。
一般に、学校や塾等の教育機関では、例えばテストの答案用紙や練習問題用紙のような教育用教材を用いることが多い。そして、問題およびその解答欄を含む教育用教材を用いて、その教育用教材(用紙)上に生徒に解答を記入させ、その記入された解答に対して教師が採点を行う、といったことが広く行われている。
ところで、教育用教材については、その採点処理の省力化が強く求められている。これに応えるべく、採点処理の省力化を実現するものとしては、例えば、パーソナルコンピュータ(以下、単に「PC」と記述する)に採点台および採点ペンを接続し、採点台の所定位置に教育用教材を載置した状態で採点ペンによって○×付けを実施することで、PCに対して教育用教材上に記入された解答の位置情報およびその正否情報を入力し得るようにし、これによりPCにて教育用教材上の解答についての自動採点を実施するように構成されたシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−266278号公報
しかしながら、上記従来技術では、教育用教材についての採点処理にあたって、採点台や採点ペン等といった専用の構成機器を必要とするために、システム全体の構成の複雑化や高コスト化等を招く要因となり、好ましいとは言えない。また、専用の構成機器を必要とすることで、対応可能な教育用教材が限定されてしまい、その教育用教材についての汎用性が制限されてしまうおそれもある。
ところで、教育用教材の自動採点処理にあたっては、教育用教材上における解答欄の位置と当該解答欄に記入された解答に対する正誤判定(正解/不正解の判定)の記入位置との対応を明確にする必要がある。何故ならば、正誤判定の記入は、教師等の採点者によって手書きでされるため、解答欄の各々に対する記入位置が必ずしも一義的に定まっている訳ではない。
これに対して、正誤判定の採点集計は、解答欄の各々に対応する正誤判定の記入結果を明確にした上で、その正誤判定の内容(正解か不正解か)と解答欄の各々についての配点とに基づいて行われるため、解答欄の位置と正誤判定の記入位置との対応関係が明確でないと、各解答に対する正誤や配点などが認識できずに、結果として、採点集計が行えないおそれが生ずるからである。
解答欄の位置と正誤判定の記入位置との対応付けを行う場合、それぞれの位置を教育用教材上における座標値で表し、その座標値を用いて行うことが考えられる。
しかしながら、座標値を用いた対応付けを行うためには、あらかじめ当該座標値を入力する処理が必要になったり、あるいは、その座標値を自動的に算出する処理が必要になったりする。一般に、教育用教材上に複数の問題(設問)およびその解答欄が設けられていることや、教育用教材についても学科別や生徒の学年別などの如く様々な種類が存在すること等を考慮すると、そのための作業が非常に煩雑なものとなってしまい、作業ミス等も生じ得るために、座標値の入力処理は極力回避すべきである。また、座標値の自動算出処理についても、その処理負荷等を考慮すると、必ずしも好ましいとは言えない。
そこで、本発明は、教育機関で用いられる教育用教材について、配点情報の手入力等の手間を省きつつ、正誤判定の記入内容についての自動採点集計を可能とすることで、その採点集計処理の省力化を可能とした教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、複数の問題それぞれについての解答欄を含む教育用教材についての電子データをデータベース手段で保持蓄積する一方、前記解答欄への解答の記入および当該解答に対する正誤判定図形の追記がなされた教育用教材に対する画像読み取りを読み取り手段で行って当該教育用教材から画像データを得て、前記解答欄が未記入の教育用教材についての電子データと追記情報抽出手段で比較して差分を抽出し、その差分抽出結果から前記正誤判定図形を正誤判定認識手段で認識し、追記順番算出手段で正誤判定認識手段による認識結果である正誤判定図形に対する順番付けを行って当該正誤判定図形と前記複数の問題との対応付けを行い、正誤判定認識手段による認識結果および追記順番算出手段による対応付け結果を基に、前記画像読み取り手段が画像読み取りを行った教育用教材について、当該教育用教材に追記された正誤判定の採点集計を採点集計手段で行う教材処理装置、当該一連の処理を行う教材処理方法、または画像読み取り装置と接続するコンピュータを、上記各手段として機能させる教材処理プログラムにおいて、設問の配点の一部の点数を表す部分点が教育用教材上に数字類で記入されている場合に、当該数字類を正誤判定図形に対応付けることによって部分点に基づく採点集計を行う構成を採っている。
上記構成を採る教材処理装置、教材処理方法または教材処理プログラムにおいて、正誤判定の採点集計にあたって、教育用教材上に数字類で部分点が記入されている場合に、当該数字類を正誤判定図形に対応付けて採点集計を行うことで、正解/不正解を表す正誤判定図形に基づく採点集計のみならず、部分点についても採点集計が行えることとなる。
本発明によれば、正解/不正解を表す正誤判定図形に基づく採点集計のみならず、部分点についても採点集計が行えることで、配点情報の手入力等の手間を省きつつ、正誤判定の記入内容についての自動採点集計が可能となるために、その採点集計処理の省力化を図ることが可能になるとともに、信頼性の高い採点処理を行うことができることとなる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る教材処理装置の概略構成例を示すシステム構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る教材処理装置は、データベース部1と、画像読み取り部2と、画像データ解析部3と、教材判別部4と、歪み補正部5と、差分抽出部6と、解答者抽出部7と、正誤判定抽出部8と、途切れ補正部9と、図形形状認識部10と、位置対応付け部11と、採点集計部12と、集計結果出力部13とを有する構成となっている。
かかる教材処理装置において、データベース部1は、本発明におけるデータベース手段に相当し、教育用教材についての電子データを保持蓄積する。
ここで、教育用教材について簡単に説明する。図2は、教育用教材の一具体例を示す説明図である。図2に示すように、教育用教材20は、教育機関で用いられるテストの答案用紙や練習問題用紙等であり、複数の問題(設問)とこれら複数の問題それぞれについての解答欄21が記載されている。ただし、教育用教材20は、少なくとも解答欄21が記載されていればよく、問題文については必ずしも記載されていなくてもよい。
また、教育用教材20には、その教育用教材20を識別特定するための情報が記載された識別情報欄22と、解答欄21への解答記入者に関する情報を記載するための解答者情報欄23とが設けられている。識別情報欄22には、例えば教育用教材20の科目、タイトル、適用学年等の情報が予め記載されるものとする。
なお、識別情報欄22には、科目、タイトル、適用学年等の情報の記載に加えて、またはこれらの記載とは別に、教育用教材20を識別するためのコード情報が埋め込まれていてもよい。コード情報の埋め込みは、公知技術を利用して実現すればよい。その具体例の一つとして、例えば「iTone(登録商標)」と呼ばれるもののように、階調表現としての万線スクリーンまたはドットスクリーンを構成する画素の形態(位置、形状等)を変化させることで、ハーフトーン画像の中にデジタル情報を埋め込むようにする、といった技術を用いることが考えられる。一方、解答者情報欄23には、解答記入者の学級、出席番号、氏名等が記入され得るようになっている。
このような教育用教材20についての電子データに関しては、その教育用教材20における解答欄21や識別情報欄22等のレイアウトを特定し得るものであり、かつ、データベース部1にて保持蓄積可能なものであればそのデータ形式を問わない。具体的には、例えば、後述する画像読み取り部2での画像読み取りによって得られるラスター形式の画像データを、教育用教材20についての電子データとして記憶保持することが考えられる。
ただし、教育用教材20の電子データは、その教育用教材20についての答案情報を含んでいるものとする。図3は、答案情報の一具体例を示す説明図である。ここに、答案情報とは、教育用教材20毎の、当該教育用教材20上における各問題の番号、問題文および解答欄21の配置レイアウト、各問題それぞれの解答欄21についての配点を特定するための情報である。
配置レイアウトを特定する情報としては、例えば、段組(段数、区分位置等)情報や横書き/縦書き情報が挙げられる。また、配点を特定する情報としては、教育用教材20上における各解答欄21について、それぞれの配点を示す配点情報が挙げられる。なお、配点は、各解答欄21毎に異なっていても、あるいは一律であっても構わない。
図1に説明を戻す。画像読み取り部2は、本発明における読み取り手段に相当し、読み取り対象となる教育用教材20に対して、公知の光学的画像読み取り技術を用いた画像読み取りを行って、その教育用教材20から画像データを得る。読み取り対象となる教育用教材20としては、解答欄21への解答記入、解答者情報欄23への氏名等の記入および当該解答に対する正誤判定のためのチェック記号(具体的には、例えば「○」や「×」等の図形)の追記が為されたものが挙げられる。また、データベース部1内への電子データの記憶保持のために、解答欄21および解答者情報欄23が未記入であるもの(以下、これを「原本」と記す)も、画像読み取り部2での読み取り対象となる。
画像データ解析部3は、画像読み取り部2で得られた画像データについて、その解析処理を行う。解析処理としては、レイアウト解析、文字図形分離、文字認識、コード情報認識、図形処理、色成分認識等が挙げられるが、いずれも公知の画像処理技術を利用して実現すればよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
教材判別部4は、タイトル解析部41とコード情報解析部42との少なくとも一方によって構成され、画像データ解析部3での解析処理の結果、特に識別情報欄22についてのタイトル解析部41によるタイトル解析またはコード情報解析部42によるコード解析の少なくとも一方の解析結果を基にして、画像読み取り部2で得られた画像データの元となった教育用教材20を識別特定する。
このとき、教材判別部4においては、データベース部1が保持蓄積している教育用教材20の電子データと照らし合わせ、該当する電子データがデータベース部1に保持蓄積されていなければ、教育用教材の識別特定エラーとする判定を行う。すなわち、教材判別部4は、画像データ解析部3での解析結果から、画像読み取り部2で得られた画像データとの比較対象となる電子データを特定する。
歪み補正部5は、画像読み取り部2で得られた画像データに対して、その画像データにおける画像歪みの補正を行う。画像歪みの補正としては、傾き補正や主走査方向または副走査方向の拡縮補正等が挙げられる。これらの歪補正については、いずれも公知の画像処理技術を利用して実現すればよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
差分抽出部6は、教材判別部4での教育用教材20の識別特定の結果に基づいて、画像読み取り部2で得られ、歪み補正部5での歪み補正処理後の画像データと、その比較対象となるデータベース部1内の電子データとを比較して、それぞれの間の差分を抽出する。なお、差分抽出処理の手法自体については、公知の画像処理技術を利用して実現すればよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
解答者抽出部7は、出席番号情報切り出し部71と手書きOCR(Optical Character Reader)部72との少なくとも一方、好ましくは両方から構成され、画像データ解析部3での解析処理の結果を基にしつつ、差分抽出部6で抽出された差分のうち、解答者情報欄23についての差分に対し、その差分からの出席番号情報切り出し部71による文字情報抽出や手書きOCR部72による文字認識処理等を通じて、画像読み取り部2で読み取り対象となった教育用教材における解答者情報を抽出する。解答者情報としては、解答記入者の学級、出席番号、氏名等といった、解答記入者を識別するための情報が挙げられる。
正誤判定抽出部8は、画像データ解析部3での解析処理の結果を基にしつつ、差分抽出部6で抽出された差分から、さらに正誤判定の記入内容を抽出する。正誤判定の記入内容の抽出は、例えば差分抽出部6での抽出結果に対する色成分認識処理を通じて、所定色成分についてのものを抽出することによって行えばよい。何故ならば、正誤判定の記入は、一般に、赤色で行われるからである。
途切れ補正部9は、正誤判定抽出部8での抽出結果に対して途切れ補正処理を行う。ここに、途切れ補正処理とは、抽出された線分同士を接続して、その抽出線分間の途切れを解消するための処理である。
図形形状認識部10は、正誤判定抽出部8で抽出され、途切れ補正部9で途切れ補正が為された正誤判定の記入内容に対して、その形状認識を行って正誤判定の記入内容を認識する。形状認識は、採点のためのチェック記号、具体的には「○」や「×」等の図形の形状とのパターンマッチングによって行えばよい。すなわち、図形形状認識部10は、本発明における正誤判定認識手段に相当し、正誤判定の記入内容が「正解(○)」あるいは「不正解(×)」であるかを認識する。
位置対応付け部11は、本発明における追記順番算出手段に相当し、図形形状認識部10での認識結果である正誤判定の記入内容に対する順番付けを行って、その認識結果と教育用教材20上における各問題との対応付けを行う。この位置対応付け部11での対応付けの結果と、図形形状認識部10での認識結果(「○」や「×」等の認識結果)と、データベース部1内に記憶保持されている配点情報を含む答案情報とから、後述する教育用教材20についての採点集計処理を行うことが可能となる。
採点集計部12は、本発明における採点集計手段に相当し、図形形状認識部10による正誤判定の記入内容の認識結果と、位置対応付け部11での対応付けの結果と、データベース部1が保持蓄積している教育用教材20の電子データに含まれる当該教育用教材20の各解答欄21についての配点情報とを基にして、画像読み取り部2が画像読み取りを行った教育用教材20について、その教育用教材20に記入された正誤判定の採点集計を行う。
集計結果出力部13は、採点集計部12による採点集計の結果を、解答者抽出部7が抽出した解答者情報と関連付けて出力する。なお、集計結果出力部13による出力先としては、本教材処理装置と接続するデータベース装置31またはファイルサーバ装置32で、教育用教材20についての採点集計結果を管理するものが挙げられる。
なお、以上説明した各構成要素、即ちデータベース部1〜集計結果出力部13のうち、画像読み取り部2については、画像読み取り装置としての機能を有した複写機、複合機あるいはスキャナ装置を利用して実現することが考えられる。その場合に、自動原稿搬送装置(Automatic Document Feeder;ADF)が付設されていると、複数の教育用教材に対する画像読み取りを連続的に行うことができる。
また、画像読み取り部2を除く他の各構成要素、即ちデータベース部1、画像データ解析部3〜集計結果出力部13については、例えばPCのように、所定プログラムを実行することによって情報記憶処理機能、画像処理機能、演算処理機能等を実現するコンピュータ機器を利用して実現することが考えられる。
その場合に、データベース部1、画像データ解析部3〜集計結果出力部13の実現に必要となる所定プログラムは、予めPC内にインストールしておくことが考えられる。ただし、予めインストールされているのではなく、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるものであってもよく、または有線若しくは無線による通信手段を介して配信されるものであってもよい。つまり、上述した構成の教材処理装置は、画像読み取り装置と接続するコンピュータを教材処理装置として機能させる教材処理プログラムによっても実現可能である。
(教材処理方法の処理手順)
次に、以上のように構成された本実施形態に係る教材処理装置(教材処理プログラムによっても実現される場合を含む)における処理動作、すなわち本発明に係る教材処理方法の処理手順の一例について、図4の説明図を参照して説明する。図4は、本発明に係る教材処理装置における処理動作例を示す説明図である。
教材処理装置を利用する場合には、予めデータベース部1内に採点集計処理の対象とな
る教育用教材20の原本についての電子データが保持蓄積されており、またその電子デー
タには当該教育用教材20の配点情報を含む答案情報が含まれているものとする。これら
電子データ、配点情報を含む答案情報の予めデータベース部1内への登録は、画像読み取
り部2での画像読み取りや画像データ解析部3でのレイアウト(段組)解析等を利用して
行えばよいが、その詳細については公知技術を利用して行えばよいため、ここではその説
明を省略する。
そして、採点集計処理にあたっては、先ず、生徒等の解答者によって解答者情報欄23への氏名等の情報の記入および解答欄21への解答記入が為され、さらに教師等によって各解答欄21に記入された解答に対する「○」や「×」等の正誤判定のためのチェック記号(正誤判定図形)の記入(追記)が為された教育用教材20について、画像読み取り部2が画像読み取りを行って、その教育用教材20からの画像データを得る(ステップS101)。
このとき、ADFを用いれば、例えば同一学級のような一つのグループに纏めて処理すべき複数の教育用教材20について、一括して画像読み取りを行って、各教育用教材20から連続的に画像データを得ることができる。そして、画像読み取りによって得られた画像データについては、一旦ワークエリアとして用いられるメモリ等に保持しておく。
その後は、各教育用教材20から得られたそれぞれの画像データに対して、順次、以下のような自動採点処理が行われる(ステップS102)。
すなわち、ある一つの教育用教材20から得られた画像データについて、画像データ解析部3がその解析処理を行い、その解析処理の結果に基づいて教材判別部4が教育用教材20の識別特定を行う。この識別特定は、例えば「理科」、「5年」、「1.天気と気温の変化」といったタイトル解析または識別情報欄22に埋め込まれたコード情報についてのコード解析を通じて行えばよい。この識別特定を経ることで、教材判別部4において、画像読み取り部2で得られた画像データとの比較対象となる電子データを特定することが可能となる。
なお、この識別特定は、画像読み取り部2が画像読み取りを行った複数の教育用教材20のそれぞれについて順次行うことも考えられるが、一般に一つのグループに纏めて処理される教育用教材20は全て同一のものであるため、その纏めて処理される中で最初に処理される教育用教材20についてのみ行えばよい。
教材判別部4が電子データを特定すると、データベース部1は、その特定結果に従いつつ、保持蓄積している中から該当する電子データを取り出して、これを差分抽出部6へ受け渡す。
また、ある一つの教育用教材20から得られた画像データについては、歪み補正部5がその画像データにおける画像歪みの補正を行う。この画像歪みの補正は、その後に行う電子データとの比較や差分抽出等の精度向上を図ることを目的として、画像読み取り部2での画像読み取りの際に生じ得る画像歪みを補正するために行われる。
そして、差分抽出部6は、データベース部1から受け渡された電子データと、画像読み取り部2で得られ、歪み補正部5で画像歪みが補正された後の画像データとをそれぞれ比較して、その差分を抽出する。この差分抽出によって、解答者情報欄23および各解答欄21への記入内容、並びに各解答欄21に対する正誤判定の記入内容が抽出されることになる。
差分抽出部6が差分を抽出すると、その後は、解答者抽出部7が、その差分に対する文字認識処理等を通じて、画像読み取り部2で読み取り対象となった教育用教材における解答者情報を抽出する。これにより、ある一つの教育用教材20に解答を記入した解答記入者の学級、出席番号、氏名等を特定することが可能となる。
また、差分抽出部6による差分抽出結果に対しては、各解答欄21への正誤判定の記入内容を抽出するために、その差分抽出結果から正誤判定抽出部8がさらに所定色成分についてのもの、具体的には例えば赤色成分のものを抽出する。所定色成分の抽出は、例えば差分抽出結果が画素データからなる場合であれば、その画素データを構成する色成分データに着目することで行うことができる。
ただし、一般に、教育用教材20上での「○」や「×」等の正誤判定図形の記入は、問題文、各解答欄21を特定する枠、各解答欄21への解答記入内容等に重ねて行われることが多い。そのため、正誤判定抽出部8による所定色成分の抽出結果は、その重なり部分が除かれたもの、すなわち「○」や「×」等の正誤判定図形に途切れ部分が生じたものとなるおそれがある。このことから、正誤判定抽出部8による所定色成分の抽出結果に対しては、途切れ補正部9が途切れ補正処理を行う。
(途切れ補正の一例)
ここで、途切れ補正部9による途切れ補正処理について、図5のフローチャートに沿って説明する。図5は、途切れ補正の処理手順の一例を示すフローチャートである。
途切れ補正処理にあたっては、正誤判定抽出部8による所定色成分の抽出結果、すなわち「○」や「×」等の正誤判定図形である筈の抽出結果に対して細線化処理を実行し(ステップS201)、さらに端点抽出処理を実行する(ステップS202)。これにより、「○」や「×」等の正誤判定図形に途切れ部分が生じている場合に、その途切れ部分における端点が抽出されることになる。なお、このときに行う細線化処理および端点抽出処理は、公知技術を利用して行えばよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
そして、端点を抽出したら、その抽出した全ての端点に対し、接続処理済みと判定するまで(ステップS203)、以下のような処理を実行する。すなわち、先ず、未処理の端点を一つ選択し(ステップS204)、その選択した端点(以下、「第一端点」と記す)から、予め設定されている所定距離内にあって、かつ、最も近傍にある未処理の端点(以下、「第二端点」と記す)をさらに選択する(ステップS205)。
そして、対応する端点(第二端点)が有るか否かを判断し(ステップS206)、対応する端点があれば、第一端点と第二端点とを互いに接続し(ステップS207)、次いで第一端点および第二端点をいずれも処理済みにする(ステップS208)。一方、対応する端点が第二端点で無ければ、端点間の接続は行わずに、第一端点を処理済みにする(ステップS209)。
このような処理を、未処理の端点がなくなるまで、全ての端点に対して行う(ステップS203〜S209)。これにより、例えば図6に示す図形が抽出された場合には、端点Aに対して、所定距離内に端点B,Cが存在していても、その中で最も近傍の端点Bが端点Aと接続され、「○」の図形における途切れ部分が補正されることになる。
(途切れ補正の他の例)
図7は、途切れ補正部9による途切れ補正の処理手順の他の例を示すフローチャートである。途切れ補正処理の他の例では、正誤判定抽出部8による所定色成分の抽出結果の他に、歪み補正部5による画像歪み補正後の画像データをも用いて、途切れ補正処理の精度向上を図っている。
すなわち、途切れ補正処理の他の例では、歪み補正部5による画像歪み補正後の画像データに対して二値化処理を行う(ステップS301)。ただし、差分抽出部6による差分抽出または正誤判定抽出部8による所定色成分の抽出の際に二値化処理をしていれば、その二値化処理後の画像データを使用しても構わない。
また、正誤判定抽出部8による所定色成分の抽出結果に対しては、細線化処理を実行し(ステップS302)、さらに端点抽出処理を実行する(ステップS303)。そして、端点を抽出したら、その抽出した全ての端点に対して、接続処理済みと判定するまで(ステップS304)、以下のような処理を実行する。
先ず、未処理の端点を一つ選択し(ステップS305)、その選択した第一端点から、予め設定されている所定距離内にあって、かつ、最も近傍にある未処理の端点を第二端点として選択する(ステップS306)。次いで対応する端点(第二端点)が有るか否かを判断する(ステップS307)。
そして、対応する端点があれば、第一端点と第二端点とを連結するような画素群が、二値化処理後の画像データ中にあるか否かを判断する(ステップS308)。つまり、途切れの発生要因となった画像の重なり部分があるか否かを判断する。その結果、重なり部分があれば、第一端点と第二端点とを互いに接続し(ステップS309)、次いで第一端点および第二端点をいずれも処理済みにする(ステップS310)。
一方、重なり部分がなければ、ステップS306に戻り、第一端点から所定距離内にあって、かつ、最も近傍の端点の次に近距離にある端点を第二端点として選択する。このとき、選択すべき端点がなければ、端点間の接続は行わずに、第一端点を処理済みにする(ステップS311)。このような処理を、未処理の端点がなくなるまで、全ての端点に対して行う(ステップS304〜S311)。
これにより、例えば図8に示す図形が抽出された場合に、端点Aに対して、所定距離内に端点B,Cが存在していると、その中で最も近傍の端点Cが選択されるが、二値化処理後の画像データ中に端点A,C間を連結する画素群がないので、端点A,C間は接続しない。そして、端点Cの次に距離の近い端点Bが選択されるが、その端点Bと端点Aとの間には二値化処理後の画像データ中に画素群が存在するので、端点Bが端点Aと接続されることになる。つまり、「○」と「×」とが誤って接続されてしまうことなく、「○」の図形における途切れ部分が補正されるのである。
以上のような途切れ補正部9による途切れ補正処理後は、図形形状認識部10が正誤判定の記入内容に対する形状認識、すなわち「○」や「×」等の図形形状とのパターンマッチングを行って、その正誤判定の記入内容が「正解」であるか、「不正解」であるか、あるいは「部分点」であるかを認識する。このときに行うパターンマッチングは、公知技術を利用して実現すればよいため、ここではその説明を省略する。
なお、図形形状認識部10による正誤判定の際には、「○」や「×」等の図形を構成する連続画素群を一つに纏めて取り扱うために、識別子を付与すべく、一般的な画像処理技術であるラベリング処理を用いることが出来る。そのラベリング処理の結果を利用して、「○」や「×」等の図形を構成する連続画素群(あるいはその外接矩形領域)を一つの纏まりとして取り扱う。
そして、図形形状認識部10での正誤判定の記入内容に対する形状認識が終わると、続いて、位置対応付け部11は、その認識結果である正誤判定の記入内容に対する順番付けを行う。ここで、順番付けとしては、例えば教育用教材20における上辺側から走査した場合の出現順に番号を付す、といったものが考えられる。すなわち、教育用教材20上における複数の問題には問題番号が付されていることが一般的なので、その問題番号と正誤判定の記入の出現順の番号とを用いて、正誤判定の記入内容と解答欄21との対応付けを行うことが考えられる。
(正誤判定記入内容の順番付け)
ここで、位置対応付け部11による正誤判定記入内容の順番付けの処理について詳しく説明する。図9〜11は、正誤判定記入内容の順番付け処理手順の一例を示す説明図である。
順番付け処理にあたって、位置対応付け部11は、先ず、データベース部1から答案情報を読み出して、処理対象である教育用教材20の段組の有無や文章方向(縦書き/横書き)等を判別して、順番付けの方向を認識する。すなわち、教育用教材20上における解答欄21の配置レイアウトを判別するとともに、以下に述べるように、判別したレイアウトに対応した態様での順番付けを行う。
具体的には、例えば図3に示したような横書き三段組みの教育用教材20であれば、図9に示すように、段組情報に基づき、ワークエリアとして用いられるメモリ上で、その三段組みの画像データを一段組に変更する。
そして、位置対応付け部11は、その変更後の一段組みの画像データについて、図10に示すように、所定の位置(例えば、上端または右端)から走査していき、「○」または「×」の図形領域が出現した順に、その図形領域に対して番号を付す。このとき、例えば上端から順に走査していき、同じ行に「○」または「×」の図形領域が見つかった場合には、答案情報の縦書き/横書きの別を認識して、左から右(または上から下)に順番を付ける。
位置対応付け部11は、このような順番付け処理を教育用教材20上に存在する全ての「○」または「×」の正誤判定図形について行い、その順番付けの結果をデータベース部1内に登録する。このときの登録は、図11に示すように、順番付けの結果を、答案情報の一部として、その答案情報における各問題それぞれに関連付けるようにして行うことが考えられる。これにより、教育用教材20上における各問題(当該問題についての解答欄21)と、その解答欄21に記入された解答に対する正誤判定の記入内容(「○」か「×」か)と、各解答欄21についての配点とが、正誤判定の記入内容への順番付けを介して、それぞれ互いに対応付けられることになる。
このようにして、位置対応付け部11が正誤判定記入内容に対する順番付けを行って、その正誤判定記入内容と各問題との対応付けを行った後は、採点集計部12が正誤判定の採点集計を行う。このとき、採点集計部12は、正誤判定図形が「○」であれば、これに対応する問題についての配点情報から特定される配点を加算し、また正誤判定図形が「×」であれば、これに対応する問題についての配点加算を行わず、このような採点集計を教育用教材20上の全ての正誤判定記入内容について行う。
以上のような処理を経ることで、採点集計部12からは、教育用教材20上に記入された正誤判定の採点集計の結果が問題別採点結果として出力される。採点集計部12から問題別採点結果が出力されると、その後は、集計結果出力部13が、その問題別採点結果、すなわち採点集計部12による採点集計の結果を、解答者抽出部7が抽出した解答者情報と関連付けて、教材処理装置と接続するデータベース装置31またはファイルサーバ装置32に対して出力する(図4におけるステップS103)。これにより、データベース装置31またはファイルサーバ装置32では、教育用教材20についての採点集計結果を、例えば一覧形式で、管理または利用することが可能となる。
(部分点)
ところで、採点(正誤判定)のためのチェック記号としては、正解を表す「○」、不正解を表す「×」に加えて、部分点を表す「△」や半丸等の記号(図形)が用いられることがある。以下では、これらの記号(図形)を単に「正誤判定図形」と記す場合もあり、さらに部分点の図形として「△」を代表して用いるものとする。ここに、部分点とは、正解とも不正解とも言えない場合に、「△」等のチェック記号を記入することによって与えられる設問の配点未満の得点、例えば設問の配点の半分の得点を言う。
また、採点処理において、部分点として、「△」等のチェック記号を記入するだけでなく、例えば「△3 」というように、チェック記号の近傍に設問の配点未満の得点、例えば設問の配点の何割かの得点を数字で記入したり、例えば「△-3」というように、設問に対する配点から減点する点数をマイナス符号を付して記入したりすることもある。
このように、部分点が追記された教育用教材20の採点集計を行うにあたり、上述した順番付けによる正誤判定記入内容と各問題との対応付けを行う場合に、数字類で記入された部分点がどの抽出画像、即ち正誤判定図形に付属するものなのかを判断して対応付ける必要がある。この数字類で記入された部分点についての対応付け(以下、単に「部分点の対応付け」と記述する)に関する技術が本発明の特徴とするところであり、その具体的な実施例について、以下に2つの実施例1,2として説明する。
先述したように、教育用教材20の電子データには、その教育用教材20における各解答欄21についての配点情報が含まれていることから、後述する採点集計の際は、「○○」の図形が記入された解答欄21についての配点情報が用いられることになる。なお、教育用教材20の電子データには、正解の配点情報のみならず、部分点を表す「△」等の図形に対応して予め規定された点数情報も含まれているものとする。「△」等の図形に対応する点数としては、例えば配点の半分の得点等が規定される。
〈実施例1〉
実施例1に係る部分点の対応付け処理の実行にあたり、図1の教材処理装置において、図形形状認識部10では、例えばパターンマッチングにより、「○」,「×」,「△」等の正誤判定図形と、部分点を示す数字類(「0〜9」,「+」,「−」等)とを認識する処理が行われる。位置対応付け部11では、全ての抽出情報に対して順番付けした後、正誤判定図形と部分点(数字類)との対応付けが行われる。採点集計部12では、正誤判定図形が「○」ならば配点どおり、「×」ならば0点、正誤判定図形に数字類が対応付けられている場合は配点との関係で得点を決めて集計が行われる。
続いて、位置対応付け部11で実行される実施例1に係る部分点の対応付け処理の一例について、図12のフローチャートおよび図13の説明図を用いて説明する。
先ず、データベース部1にて保持蓄積されている図13(a)に示す教育用教材20についての答案情報を用いて、図13(b)に示すように、図形形状認識部10にて認識された正誤判定図形および数字類の順番付けを先述した手法によって行い(ステップS401)、次いで数字類についてのカウント数Kを「1」に設定し(ステップS402)、以下の処理をステップS403でカウント数Kが数字類の数を超えたと判定するまで繰り返して実行する。
すなわち、各数字類について、順番が前後の正誤判定図形との距離を算出し(ステップS404)、次いで、図13(c)に示すように、距離が近い正誤判定図形に数字類を対応付ける(ステップS405)。具体的には、順番付けが例えば図14に示すように、「○」→「3」→「△」→「○」であったとき、数字「3」についてその前後の正誤判定図形のうち、距離が近い正誤判定図形に対応付ける。本例の場合は、数字「3」に対して「△」が一番近いために、当該「△」に「3」が対応付けられることになる。
正誤判定図形と数字類との対応付けが終わったら、カウント数Kの値をインクリメントし(ステップS406)、しかる後ステップS403に戻ってカウント数Kが数字類の数を超えるまで上述した処理を繰り返す。そして、カウント数Kが数字類の数を超えたら、正誤判定図形と対応付けた数字類を図13(d)に示す判定結果表に登録する(ステップS407)。
その後は、採点集計部12での処理として、数字類が登録された判定結果表を用いて正誤判定の採点集計が行われる。このとき、採点集計部12は、正誤判定図形が「○」であれば、これに対応する問題についての配点情報から特定される得点を図13(e)に示す集計結果表に登録し、正誤判定図形が「×」であれば、得点0を集計結果表に登録し、また正誤判定図形が「△」であれば、これと対応付けられて判定結果表に登録された得点を集計結果表に登録する。その詳細については後述する。
なお、本実施例1では、数字類を順番の前後の正誤判定図形に対応付ける際に、順番と距離とを基に対応付けの判断を行うとしたが、予め決めてある順番(前/後)の正誤判定図形に対応付けるようにすることも可能である。
〈実施例2〉
実施例2に係る部分点の対応付け処理の実行にあたり、図1の教材処理装置において、例えばパターンマッチングにより、「○」,「×」,「△」等の正誤判定図形と、部分点を示す数字類(「0〜9」,「+」,「−」等)とを認識する処理が行われる。位置対応付け部11では、正誤判定図形と部分点(数字類)との対応付けの後、グループ間の順番付けが行われる。採点集計部12では、正誤判定図形が「○」ならば配点どおり、「×」ならば0点、正誤判定図形に数字類が対応付けられている場合は配点との関係で得点を決めて集計が行われる。
続いて、位置対応付け部11で実行される実施例2に係る部分点の対応付け処理の一例について、図15のフローチャートおよび図16の説明図を用いて説明する。
先ず、各正誤判定図形の外接矩形の中心座標を算出する(ステップS501)。具体的には、算出対象となる図形(連続画素群)に対して外接矩形を抽出するとともに、その外接矩形の所定点(例えば、左上頂点)のxy座標、並びに、その外接矩形の幅wおよび高さhを算出する。そして、これらの算出結果から、中心x座標=x+w/2、中心y座標=y+h/2を算出し、その算出結果を連続画素群の位置、すなわち正誤判定図形の記入位置の算出結果とする。
次いで、数字類についてのカウント数Kを「1」に設定し(ステップS502)、以下の処理をステップS503でカウント数Kが数字類の数を超えたと判定するまで繰り返して実行する。具体的には、先ず、数字類の外接矩形の中心座標を、正誤判定図形の外接矩形の中心座標を算出する手法と同様の手法によって算出し(ステップS504)、次いで正誤判定図形についてのカウント数Pを「1」に設定する(ステップS505)
次に、カウント数Pが正誤判定図形の数を超えたか否かを判断し(ステップS506)、正誤判定図形の数以下であれば、数字類の中心座標と正誤判定図形の中心座標との距離L(P)を算出し(ステップS507)、次いでカウント数Pのカウント値をインクリメントし(ステップS508)、しかる後ステップS506に戻ってカウント数Pが正誤判定図形の数を超えるまで、ステップS507,S508の各処理を繰り返して実行する。
次に、カウント数Pが正誤判定図形の数を超えたら、図16(b)に示すように、距離L(P)が最小の正誤判定図形とK番目の数字類とを対応付け(グループ化)し(ステップS509)、次いでカウント数Kの値をインクリメントし(ステップS510)、しかる後ステップS503に戻ってカウント数Kが数字類の数を超えるまで、ステップS504〜ステップS510の各処理を繰り返して実行する。
ステップS503において、カウント数Kが数字類の数を超えたと判定したら、データベース部1にて保持蓄積されている図16(a)に示す教育用教材20についての答案情報を用いて、図16(c)に示すように、図形形状認識部10にて認識された正誤判定図形と対応づけた数字類の順番付けを先述した手法によって行い(ステップS511)、次いで正誤判定図形と対応付けた数字類を図16(d)に示す判定結果表に登録する(ステップS512)。
その後は、採点集計部12での処理として、数字類が登録された判定結果表を用いて正誤判定の採点集計が行われる。このとき、採点集計部12は、正誤判定図形が「○」であれば、これに対応する問題についての配点情報から特定される得点を図16(e)に示す集計結果表に登録し、正誤判定図形が「×」であれば、得点0を集計結果表に登録し、また正誤判定図形が「△」であれば、これと対応付けられて判定結果表に登録された得点を集計結果表に登録する。その詳細については後述する。
上述した実施例2に係る部分点の対応付け処理において、正誤判定図形と数字類との対応付けにあたっては、先に正誤判定図形を抽出し、その後に正誤判定図形の周囲に存在する数字類を認識して対応付けるようにしてもよいし、あるいは、先に数字類を抽出し、その後に数字類以外の画像を正誤判定図形として認識して対応付けるようにしてもよい。
なお、上記実施例2では、正誤判定図形と数字類との対応付けの判断を、正誤判定図形の外接矩形の中心からの距離L(P)を基準に行うとしたが、これに限られるものではなく、例えば、正誤判定図形の重心からの距離、凸包からの距離、正誤判定図形の外接矩形からの距離などを基準に行うようにすることも可能である。
また、図17に示すように、レイアウト解析によって画像を領域に分割していき、同じ領域内か否かで正誤判定図形と数字類との対応付けを判断するようにすることも可能である。
また、実施例1,2について同様に言えることであるが、数字類との距離が複数の正誤判定図形でほとんど同じだった場合は、他の正誤判定図形と数字類との対応付けを参照して、当該対応付けと同じ位置関係にある正誤判定図形を選択するようにすれば良い。具体的には、図18に示すように、数字「5」に対して「△」と「○」の2つの正誤判定図形の距離がほぼ等しいとき、他の正誤判定図形と数字類との対応付けが「△3 」や「○-3」というように正誤判定図形の右肩に数字類が記入された位置関係にあれば、当該位置関係にある「△」を選択するようにする。
(採点集計処理)
次に、採点集計部12での採点集計処理の詳細について、図19および図20のフローチャートに沿って説明する。この採点集計処理は、図13(d)/図16(d)に示す判定結果表を基にして行われることになる。
先ず、正誤判定図形についてのカウント数Pを「1」に設定し(ステップS601)、以下の処理をステップS602でカウント数Pの値が正誤判定図形の数を超えたと判定するまで繰り返して実行する。すなわち、以下の処理は、正誤判定図形ごとに実行されることになる。なお、図13(d)/図16(d)に示す判定結果表の順番1,2,…は、順番付けられた各正誤判定図形に対応している。
次に、P番目の正誤判定図形に数字類が対応付けられているか否かを判断し(ステップS603)、対応付けられていない場合は、正誤判定図形の形状を判断する(ステップS604)。そして、正誤判定図形の形状が「○」であれば、これに対応する問題についての配点情報から特定される得点を図13(e)/図16(e)に示す集計結果表に登録し(ステップS605)、正誤判定図形が「×」であれば、得点0を集計結果表に登録する(ステップS606)。また、正誤判定図形が「△」であれば、当該図形のみによって部分点が示されていることになることから、部分点として予め規定されている得点、例えば配点の半分の得点を集計結果表に登録する(ステップS607)。そして、カウント数Pをインクリメントし(ステップS608)、しかる後ステップS602に戻る。
一方、ステップS603において、正誤判定図形に数字類が対応付けられていると判断した場合は、その数字類にマイナス記号が付されているか否かを判断する(ステップS609)。マイナス記号が付されている場合は、数字類についてのカウント数Kを「1」に設定するとともに、SUM値をこれに対応する問題についての配点に設定し(ステップS610)、次いでカウント数Kの値が数字類の数を超えるか否かを判断する(ステップS611)。
カウント数Kの値が数字類の数以下であれば、認識された数字を得点Tとし(ステップS612)、次いでSUM値をSUM−Tに設定する、すなわち配点からマイナスが付された数字分を減算するとともに、カウント数Kの値をインクリメントし(ステップS613)、しかる後ステップS610に戻ってカウント数Kの値が数字類の数を超えるまでステップS612,S613の各処理を繰り返して実行する。
一方、ステップS609において、数字類にマイナス記号が付されていないと判定した場合は、数字類についてのカウント数Kを「1」に設定するとともに、SUM値を「0」設定し(ステップS614)、次いでカウント数Kの値が数字類の数を超えるか否かを判断する(ステップS615)。
カウント数Kの値が数字類の数以下であれば、認識された数字を得点Tとし(ステップS616)、次いでSUM値をSUM+Tに設定する、すなわち数字分を得点として加算するとともに、カウント数Kの値をインクリメントし(ステップS617)、しかる後ステップS615に戻ってカウント数Kの値が数字類の数を超えるまでステップS616,S617の各処理を繰り返して実行する。
ステップS611またはステップS615において、カウント数Kの値が数字類の数を超えたと判定した場合は、SUM値が配点を超えるか否かを判断し(ステップS618)、次いでSUM値が0点を下回るか否かを判断する(ステップS619)。SUM値が配点を超えるということは、部分点が設問の配点を超えるということであり、そのようなことはあり得なく、またSUM値が0点を下回るということもあり得なく、その設問についての採点に誤りがあるということが言えるため警告を出す(ステップS620)。警告が出されたときは、例えば、その設問について採点に不備がなかったか否かを採点者が見直す処理が行われることになる。SUM値が0点以上のときは、あいは警告を出した後は、カウント数Pをインクリメントし(ステップS621)、しかる後ステップS602に戻る。
以上説明したように、教材処理装置、教材処理方法また教材処理プログラムにおいて、正誤判定の記入がされた教育用教材20から読み取った画像データと、その教育用教材20についての電子データ、すなわち解答欄21への解答記入および当該解答に対する正誤判定の記入がされていないものについてのデータとを比較し、互いの差分から正誤判定の記入内容を認識して、その正誤判定の採点集計を行うようにしたことで、正誤判定が記入された教育用教材20に対する画像読み取りを行えば、その記入された正誤判定について採点結果の自動集計を行うことができるために、教育用教材20についての採点処理の省力化を図ることができることとなる。
しかも、教育用教材20から読み取った画像データを基にするため、例えば、複写機、複合機またはスキャナ装置によって実現されるスキャン機能と、PC等のコンピュータ機器が有する情報記憶処理機能、画像処理機能および演算処理機能とがあれば、装置構成を実現することができ、専用の構成機器を必要とすることもない。
つまり、本実施形態に係る教材処理装置、教材処理方法または教材処理プログラムによれば、教育機関で用いられる教育用教材20について、その採点処理の省力化を実現することが可能となるのに加えて、その採点処理にあたって専用の構成機器を必要とせず、しかも対応可能な教育用教材20についての汎用性を十分に確保することができる。したがって、教育機関で用いるのにあたり非常に利便性の高いものとなり、信頼性の高い採点処理を円滑に行えるようになる。
また、本実施形態に係る教材処理装置、教材処理方法または教材処理プログラムでは、正誤判定の記入内容として、当該正誤判定の記入図形形状および記入位置の両方を認識するようになっており、さらにはその記入図形形状および記入位置の認識結果を、電子データに含まれる解答欄21の位置情報および配点情報と対応させて、正誤判定の採点集計を行うようになっている。
つまり、正誤判定の記入位置を算出し、これを解答欄21の位置情報と対応させているので、教育用教材20上で解答欄21がどのようにレイアウトされていても、その教育用教材20に記入された正誤判定に対する採点集計を行い得るようになる。しかも、単に位置情報だけではなく、配点情報とも対応させるので、例えば解答欄21によって配点が異なるような教育用教材20についても、正誤判定に対する採点集計を行うことが可能となる。
特に、本実施形態に係る教材処理装置、教材処理方法または教材処理プログラムでは、正誤判定の採点集計に際して、正解/不正解を表す図形に基づく採点集計のみならず、部分点についても採点集計が行えることに加えて、数字類で記入された部分点がどの抽出画像、即ち正誤判定図形に付属するものなのかを正確に判断して対応付けることができるために、採点処理の作業性を向上できるとともに、信頼性の高い採点処理を行うことができることとなる。
なお、上記実施形態では、本発明の好適な実施具体例を説明したが、本発明はその内容に限定されるものではない。例えば、歪み補正処理や途切れ補正処理等は、必ずしも必須ではない。
このように、本発明は、上記実施形態での構成に対し、その要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。
本発明の一実施形態に係る教材処理装置の概略構成例を示すシステム構成図である。 教育用教材の一具体例を示す説明図である。 答案情報の一具体例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る教材処理装置における処理動作例を示す説明図である。 途切れ補正の処理手順の一例を示すフローチャートである。 途切れ補正処理の一例の説明図である。 途切れ補正の処理手順の他の例を示すフローチャートである。 途切れ補正処理の他の例の説明図である。 正誤判定記入内容の順番付け処理の一例を示す説明図(その1)である。 正誤判定記入内容の順番付け処理の一例を示す説明図(その2)である。 正誤判定記入内容の順番付け処理の一例を示す説明図(その3)である。 実施例1に係る部分点の対応付けの処理手順の一例を示すフローチャートである。 実施例1に係る部分点の対応付けの一具体例を示す説明図である。 距離に基づく正誤判定図形と数字類との対応付けの説明図である。 実施例2に係る部分点の対応付けの処理手順の一例を示すフローチャートである。 実施例2に係る部分点の対応付けの一具体例を示す説明図である。 レイアウト解析による対応付けの説明図である。 他の位置関係による対応付けの説明図である。 採点集計の処理手順の一例を示すフローチャート(その1)である。 採点集計の処理手順の一例を示すフローチャート(その2)である。
符号の説明
1…データベース部、2…画像読み取り部、3…画像データ解析部、4…教材判別部、5…歪み補正部、6…差分抽出部、7…解答者抽出部、8…正誤判定抽出部、9…途切れ補正部、10…図形形状認識部、11…位置対応付け部、12…採点集計部、13…集計結果出力部、20…教育用教材、21…解答欄、22…識別情報欄、23…解答者情報欄、31…データベース装置、32…ファイルサーバ装置、41…タイトル解析部、42…コード情報解析部、71…出席番号情報切り出し部、71…手書きOCR部

Claims (8)

  1. 複数の問題それぞれについての解答欄を含む教育用教材についての電子データを保持蓄積するデータベース手段と、
    前記解答欄への解答の記入および当該解答に対する正誤判定図形の追記がされた教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る読み取り手段と、
    前記読み取り手段が得た画像データと前記解答欄が未記入の教育用教材についての電子データとを比較して差分を抽出する追記情報抽出手段と、
    前記追記情報抽出手段による差分抽出結果から前記正誤判定図形を認識する正誤判定認識手段と、
    前記正誤判定認識手段による認識結果である前記正誤判定図形に対する順番付けを行って当該正誤判定図形と前記複数の問題との対応付けを行うとともに、設問の配点の一部の点数を表す部分点が前記教育用教材上に数字類で記入されている場合に、当該数字類を前記正誤判定図形に対応付ける追記順番算出手段と、
    前記正誤判定認識手段による認識結果および前記追記順番算出手段による対応付け結果を基に、前記画像読み取り手段が画像読み取りを行った教育用教材について、当該教育用教材に追記された正誤判定の採点集計を行う採点集計手段と
    を備えたことを特徴とする教材処理装置。
  2. 前記追記順番算出手段は、始めに前記正誤判定図形と前記数字類との順番付けを行い、その後に前記数字類の認識を行って当該数字類を順番の前後の前記正誤判定図形に対応付ける
    ことを特徴とする請求項1記載の教材処理装置。
  3. 前記追記順番算出手段は、始めに前記正誤判定図形の抽出を行い、当該正誤判定図形の周囲にある前記数字類を認識して対応付け、その後に前記正誤判定図形と前記数字類との順番付けを行う
    ことを特徴とする請求項1記載の教材処理装置。
  4. 前記追記順番算出手段は、始めに前記数字類の抽出を行い、次いで当該数字類以外の画像を前記正誤判定図形として認識して対応付け、その後に前記正誤判定図形と前記数字類との順番付けを行う
    ことを特徴とする請求項1記載の教材処理装置。
  5. 前記追記順番算出手段は、前記数字類と前記正誤判定図形との対応付けを両者間の距離に基づいて行う
    ことを特徴とする請求項2,3または4記載の教材処理装置。
  6. 前記追記順番算出手段は、前記数字類を前記正誤判定図形に対応付ける際に、前記数字類との距離がほぼ等しい正誤判定図形が複数存在する場合、他の対応付けを参照して当該他の対応付けと同じ位置関係にある正誤判定図形に対応付ける
    ことを特徴とする請求項5記載の教材処理装置。
  7. 複数の問題それぞれについての解答欄を含む教育用教材についての電子データを保持蓄積させる第1ステップと、
    前記解答欄への解答の記入および当該解答に対する正誤判定図形の追記がされた教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る第2ステップと、
    第2ステップで得た画像データと前記解答欄が未記入の教育用教材についての電子データとを比較して差分を抽出する第3ステップと、
    前記第3ステップでの差分抽出結果から前記正誤判定図形を認識する第4ステップと、
    前記第4ステップでの認識結果である前記正誤判定図形に対する順番付けを行って当該正誤判定図形と前記複数の問題との対応付けを行うとともに、設問の配点の一部の点数を表す部分点が前記教育用教材上に数字類で記入されている場合に、当該数字類を前記正誤判定図形に対応付ける第5ステップと、
    前記第4ステップでの認識結果および前記第5ステップでの対応付け結果を基に、前記第2ステップで画像読み取りを行った教育用教材について、当該教育用教材に追記された正誤判定の採点集計を行う第6ステップと
    を有することを特徴とする教材処理方法。
  8. 複数の問題それぞれについての解答欄を含む教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る画像読み取り装置と接続するコンピュータを、
    複数の問題それぞれについての解答欄を含む教育用教材についての電子データを保持蓄積するデータベース手段と、
    前記解答欄への解答の記入および当該解答に対する正誤判定図形の追記がされた教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る読み取り手段と、
    前記読み取り手段が得た画像データと前記解答欄が未記入の教育用教材についての電子データとを比較して差分を抽出する追記情報抽出手段と、
    前記追記情報抽出手段による差分抽出結果から前記正誤判定図形を認識する正誤判定認識手段と、
    前記正誤判定認識手段による認識結果である前記正誤判定図形に対する順番付けを行って当該正誤判定図形と前記複数の問題との対応付けを行うとともに、設問の配点の一部の点数を表す部分点が前記教育用教材上に数字類で記入されている場合に、当該数字類を前記正誤判定図形に対応付ける追記順番算出手段と、
    前記正誤判定認識手段による認識結果および前記追記順番算出手段による対応付け結果を基に、前記画像読み取り手段が画像読み取りを行った教育用教材について、当該教育用教材に追記された正誤判定の採点集計を行う採点集計手段
    として機能させることを特徴とする教材処理プログラム。
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