JP2007058231A - 定着装置・画像形成装置 - Google Patents

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廣和 池上
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Abstract

【課題】輻射ヒータを有する定着装置における立ち上がり時の熱ロスを低減し、立ち上がり時間の高速化・省電力化を実現する。
【解決手段】ガラス管28に封入される不活性ガスをクリプトン又はキセノンを主成分としたものとし、タングステンフィラメント29を細線化してその色温度を2500K以上とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、加熱部材の内部に輻射ヒータを有する定着装置及びこの定着装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
例えば、複写機においては、像担持体としての感光体に、原稿を読み取った画像情報に基づいて静電潜像を形成し、この静電潜像を現像手段によりトナー像として可視像化し、トナー像を転写紙に転写した後、熱ローラ方式又はベルト定着方式の定着装置で定着するようになっている。
この熱ローラ方式の定着装置は、熱源を内部に有する加熱ローラと、この加熱ローラとの間で定着ニップ部を形成する加圧ローラを有しており、定着ニップ部でトナー像を担持した転写紙を挟持・搬送して熱と圧力により定着を行うようになっている。
この加熱ローラを加熱する方式として、上述のように加熱ローラの内部に輻射ヒータを設けて輻射ヒータの輻射熱により加熱ローラを加熱する、いわゆる間接加熱方式と、加熱ローラの内面もしくは外面に発熱層を設けて加熱ローラ表面を発熱させる、いわゆる直接加熱方式とがあり、間接加熱方式は、直接加熱方式に比べると、加熱ローラが所定の定着温度に昇温するまでの立ち上がり時間が遅かった。
しかし、複写機等の画像形成装置における定着装置の熱源としては、低コストであること、安全性が高いことなどの理由から、間接加熱方式の輻射熱源であるハロゲン物質を封入したハロゲンヒータという輻射ヒータが広く使用されている。また、近年では、環境対策から、ハロゲン物質を封入しない輻射ヒータや、遠赤外線の輻射を得るためにフィラメントを炭素にした輻射ヒータなども開発されている。
この輻射ヒータは、ガラス管内にフィラメントと少なくとも不活性ガスが封入された構成を有しており、この不活性ガスとしては一般に窒素やアルゴン(Ar)が用いられている。
例えば、輻射ヒータの一例としてのハロゲンヒータは、タングステンフィラメントをガラス管で覆う構成を有し、ガラス管内には窒素やアルゴンなどの不活性ガス、ヨウ素、臭素、塩素などを含んだ微量のハロゲン物質が封入されている。
通常、タングステンは融点以下で蒸発が始まり、徐々に細くなって切れてしまうが、ハロゲンヒータの場合、ガラス管内にハロゲンガスが封入されているため、フィラメントから蒸発したタングステンがハロゲンガスとの反応と分解を繰り返すハロゲンサイクルにより必要な耐久性能を得ている。
また、ガラス管はハロゲンサイクルを維持するに必要な高温に耐えるため、石英ガラスが使用されている。
輻射ヒータを熱源とする間接加熱方式の定着装置は、上述のように低コストであり、安全性が高いなどの利点を有するが、直接加熱方式に比べて加熱ローラが所定の定着温度に昇温するまでの立ち上がり時間が遅く、20sec以上の立ち上がり時間を要しているのが現状である。
輻射ヒータを備えた定着装置の立ち上がり時間を速くすることができれば、前記利点を活かしながら、このような定着装置を有する画像形成装置の使用性の向上を図れるとともに、未使用時の電源オフ制御による省エネルギー化を達成することができる。
そこで、近年においては、加熱ローラの基体をアルミニウム製もしくは鉄製の薄肉パイプとし、加熱ローラの基体が所定の定着温度に昇温させるのに必要な熱容量を小さくすることによって、立ち上がり時間を早くするようにした定着装置も開発されている。しかしながら、それでも直接加熱方式に比べて加熱ローラが所定の定着温度に昇温するまでの立ち上がり時間は遅く、加熱ローラの基体を薄くするだけでは、立ち上がり時間を短縮することに限界があった。
そこで、本発明者は、輻射ヒータの熱放射と損失の割合について鋭利研究をすることにした。
従来、輻射ヒータが所定の定着温度に達した定常状態において、この輻射ヒータの熱放射と損失の割合は、実験値として常識的に把握されており、その割合を具体的に説明すると、図9に示すように、輻射ヒータから輻射される赤外放射が約86%、可視放射が約7%、端子損失が約2%、ガラス管での損失が約5%となっている。一般には、赤外放射が有効な熱放射であり、赤外放射以外は熱損失とされていた。
これに対して、輻射ヒータを備えた定着装置の立ち上がり時における輻射ヒータの熱放射と損失の関係について、本発明者が分析を行った結果、以下のことがわかった。
(1)本来、輻射ヒータ(輻射熱源)に投入されたエネルギーのうち全てがフィラメントから放射され、加熱ローラの内面で全て輻射されて熱となれば熱損失がないのであるが、実際にはそうならない。高温になったフィラメントは、その周囲のガスの対流により熱を奪われる。また、フィラメントからの輻射のうち一部はガラス管を透過する際に吸収される。これらによりハロゲンヒータに投入されたエネルギーのうちの何割かがガラス管及び封入ガスの温度上昇に費やされている。
(2)輻射ヒータ自体の立ち上がり時間、すなわち、放射が安定するフィラメント温度2200〜2500Kに達するまでの時間が、100V、1200Wの発光幅330mmのハロゲンヒータでは、約1.7秒であった。この分だけ加熱ローラの昇温は遅れている。フィラメント自身の立ち上がり時間はフィラメントの熱量/投入電力が大きいほど長くなる。フィラメントの熱量とは、「熱容量」×「放射が安定する温度」であり、熱容量は線径が大きいほど、フィラメントの長さが長いほど、大きくなる。
図10は、薄肉の加熱ローラを用いた定着装置における加熱ローラの芯金とハロゲンヒータのガラス管の温度上昇及び輻射ヒータへの入力電力量を示すグラフである。
この図から判るように、電源オンから約1secの間、温度上昇に遅れが見られる。これはフィラメントのタングステンが定常状態に達するまでの時間であり、電力がその間変化しているのは、タングステンの抵抗の温度依存(PTC特性)によるものである。それ以降の電力の安定した領域におけるフィラメントの色温度を定格の色温度として設定している。
また、加熱ローラ芯金が定着温度の180℃に達するまでの約10secでガラス管壁は約230℃にまで達している。この温度上昇速度とガラスの熱容量から、ガラス管内で吸収されたエネルギー量は、以下の式から約270Wであると推測される。
熱容量(J/K)×温度上昇速度(K/sec)=発熱量(W)
よって、電力は1200Wであるため、立ち上がり時においては、ハロゲンヒータのガラス管の温度上昇を測定することにより、タングステンから放射されるエネルギー(投入電力)のうちの約1/4がガラス管及びガスへの損失となっていた。
図11は、ガラス管と加熱ローラ間の温度差と輻射による熱伝達量の関係を示すグラフである。ガラス管と加熱ローラの温度差が200℃を超えた辺りから熱伝達量が急激に増すことが判る。
ガラス管から加熱ローラへの熱伝達については、輻射による熱伝達は温度の4乗の差に比例するので、温度差が大きくなれば輻射の影響が大きくなるが、ガラス管と加熱ローラとの温度差が小さい立ち上がりの時間内においては、ガラス管から加熱ローラへの輻射による熱伝達は無視してよく、ガラス管自体を温めることは全くのロスと考えてよい。
但し、図12に示すように、ガラス管の温度は、そのまま制御を行わなければ2分間で600℃前後まで上昇を続けるため、このような温度になればガラス管から加熱ローラへの輻射も十分大きいものと思われる。
以上の考察から、ガラス管から加熱ローラへの輻射がほとんど無い立ち上がり時においては、ガラス管及びガラス管内のガスの影響が特に大きいということがわかった。
従来は、輻射ヒータのガラス管での熱損失が放射エネルギー全体の5%程度と考えられており、その割合の低さから技術的に避けられないものとして容認されていた。しかしながら、それは上述のような輻射ヒータの温度が安定する定常状態での熱損失であって、図13に示すように、定着装置の立ち上がり時におけるガラス管及び封入ガスへの熱損失は、放射エネルギー全体の約25%程度であり、定常状態の約5倍程度であることが今回の実験で初めて明らかになった。
よって、特に高速で加熱ローラを立ち上げるような省エネルギー化を実現するタイプの定着装置においては、この立ち上がり時における輻射ヒータ自体での熱損失の割合を小さくして、輻射ヒータを用いた定着装置の立ち上がり時間を短くすることは、技術的に十分に意味があり、かつ、改良の余地が存在することがわかった。
これを模式的な水理モデルで表したものが、図15である。図15に示すように、楕円で囲んだ部分が今回初めて着目したヒータでの滞留熱量である。エネルギーの流れとしては、水道の蛇口から投入された電力は、その投入時には、その大部分が滞留熱量として井戸で表現したようにフィラメントの輻射量を2500Kの色温度まで上昇させることや水車で表現したように封入ガスの対流によってガラス管を暖めることにエネルギーを費やしてしまう。よって、この滞留熱量を低減するためには、井戸を細くしたり(フィラメントを細線化したり)、水車を回り難くしたり(封入ガスを対流し難くしたり)する構成にすればよいことがわかる。
ゆえに、従来のような定着装置は、定着温度への立ち上がり時間が数十秒で十分であったので、電源投入直後の輻射ヒータ自体の立ち上がり時間である約1.7秒は、加熱ローラの立ち上がり時間の全体に対して占める割合が小さかった。しかしながら、定着温度への立ち上がりを10秒程度まで短くするような高速立ち上げにより省エネルギー化を実現するタイプの定着装置においては、電源投入直後の輻射ヒータ自体の立ち上がり時間が大きな意味を持つことになる。
また、従来の輻射熱源では、電源のオン・オフ時の応答性遅れによる、通紙時の加熱部材(加熱ローラ)の温度リップルという課題もあった。
さらに、輻射熱源では、電源のオン時に突入電流が大きくなることも問題の一つとなっている。
そこで、本発明は、輻射ヒータ(輻射熱源)自体の立ち上がり時間を速くして、この輻射ヒータに投入される熱エネルギーの熱損失を低減するとともに、定常状態への立ち上がり時間を速くし、省エネルギー化を達成できる定着装置及びその定着装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、フィラメントと少なくとも不活性ガスを含む封入ガスとを収納したガラス管を有する輻射熱源と、内部に前記輻射熱源を有する加熱部材とを備え、前記輻射熱源により加熱された前記加熱部材の熱によってシート上に形成されたトナー画像を当該シートに定着する定着装置において、電源投入直後に前記輻射熱源内の前記フィラメントと前記ガラス管と前記封入ガスに滞留される熱量を低減した、という構成を採っている。
請求項2記載の発明では、フィラメントと少なくとも不活性ガスを含む封入ガスとを収納したガラス管を有する輻射熱源と、内部に前記輻射熱源を有する加熱部材とを備え、前記輻射熱源により加熱された前記加熱部材の熱によってシート上に形成されたトナー画像を当該シートに定着する定着装置において、前記不活性ガスは、電源投入直後に前記ガラス管内の対流熱損失がアルゴン(Ar)よりも低い物質を主成分とした、という構成を採っている。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の定着装置において、前記不活性ガスはアルゴン(Ar)よりも熱伝導率が低い物質を主成分とした、という構成を採っている。
請求項4記載の発明では、請求項1又は2記載の定着装置において、前記不活性ガスはアルゴン(Ar)よりも分子量が大きい物質を主成分とした、という構成を採っている。
請求項5記載の発明では、請求項1乃至4のうちの一つに記載の定着装置において、前記不活性ガスの主成分がキセノン(Xe)である、という構成を採っている。
請求項6記載の発明では、請求項1乃至4のうちの一つに記載の定着装置において、前記不活性ガスの主成分がクリプトン(Kr)である、という構成を採っている。
請求項7記載の発明では、請求項1乃至6のうちの一つに記載の定着装置において、前記フィラメントの飽和色温度が2500K以上であることを特徴とする定着装置。
請求項8記載の発明では、請求項1乃至7のうちの一つに記載の定着装置において、前記フィラメントの径/電力^0.5×発光幅が4以下である、という構成を採っている。
請求項9記載の発明では、請求項1乃至8のうちの一つに記載の定着装置において、前記フィラメントが、巻きが密なセグメント部と、直線状又は巻きが粗なリード部からなり、該フィラメントの発光部全体におけるセグメント部の比率が50%以上である、という構成を採っている。
請求項10記載の発明では、請求項9記載の定着装置において、前記セグメント部が前記フィラメントの発光部全体において略均一に分布している、という構成を採っている。
請求項11記載の発明では、請求項9又は10記載の定着装置において、前記セグメント部とリード部の接続部が、ヒートサイクルによる伸縮ストレスを吸収可能な形状である、という構成を採っている。
請求項12記載の発明では、請求項11記載の定着装置において、前記接続部が、前記セグメント部から前記リード部へ向かって巻きが密から粗となるように形成されている、という構成を採っている。
請求項13記載の発明では、請求項1乃至12のうちの一つに記載の定着装置において、前記加熱部材が金属製のパイプであり、前記加熱部材の比熱C(J/kg/K)と、密度ρ(kg/m)と、体積V(m)と、前記加熱部材の設定温度までの温度上昇差ΔT(K)と、前記輻射熱源へ投入する電力P(W)とが、ρ×C×V×ΔT/P≦10を満たす、という構成を採っている。
請求項14記載の発明では、請求項1乃至13のうちの一つに記載の定着装置において、定着ベルトを有し、前記加熱部材が定着ベルトに接触して当該定着ベルトに熱を供給するように設置されている、という構成を採っている。
請求項15記載の発明では、請求項1乃至14のうちの一つに記載の定着装置において、前記加熱部材が常温から所定の定着温度に達するまでの時間が10秒以内である、という構成を採っている。
請求項16記載の発明では、内部に輻射熱源を収納した加熱部材を備えた定着装置を有する画像形成装置において、前記定着装置が請求項1乃至15のうちの一つに記載のものである、という構成を採っている。
請求項1,2,3,4,5又は6記載の発明によれば、不活性ガスの主成分をキセノンあるいはクリプトンとしたことにより、封入ガスの対流による封入ガス及びガラス管への熱伝達を抑え、定着装置の立ち上がり時にガラス管に熱量が滞留することを抑制できるので、輻射熱源(輻射ヒータ)自体の立ち上がり時間を短縮でき、定着装置の立ち上がりを高速にすることができる。また、同時にフィラメントの蒸気圧も抑制されるので、従来以上の寿命を得ることができる。
例えば、従来の輻射熱源を使った場合に比べて10%昇温が速い場合は、同じ立ち上がり時間を達成するための加熱部材(定着ローラ)の肉厚を10 %厚く設計することができる。これにより、定着ローラの耐久性向上やコストダウンを図ることができる。また、同じ立ち上がり時間を達成するための投入電力を10%低減することもできる。これにより、定着装置の消費電力を低減し、省エネルギー化を図ることができる。
また、本発明に係る輻射熱源は、熱源自体の立ち上がりが速いため、従来のハロゲンヒータよりも定常時のオン・オフにおける応答性に優れており、通紙時の加熱部材(定着ローラ)の温度リップルを改善することができる。
さらに、輻射熱源では電源オン時の突入電流が大きいことも問題の一つとなっているが、本発明の輻射熱源は立ち上がりが速いため、突入電流の持続時間も短くなっており、電気的ノイズなどの影響が小さい。
請求項7又は8記載の発明によれば、フィラメントの熱容量を小さくしたので、フィラメント自体の立ち上がり時間を短縮でき、定着装置の立ち上がりを高速にすることができる。
請求項9記載の発明によれば、フィラメント全体におけるセグメント部の比率を50 %以上としたので、ヒートサイクル時のフィラメントの伸縮を吸収することができ、色温度が高く高速で立ち上げることができるにも拘らず、従来と同等の寿命を得ることができる。
請求項10記載の発明によれば、セグメント部が発光部全体において略均一に分布している構成としたので、加熱ローラの通紙部分の軸方向における発熱ムラを抑制し、従来と同等の寿命を得ることができる。
請求項11又は12記載の発明によれば、セグメント部とリード部の接続部が、ヒートサイクルによる伸縮ストレスを吸収可能な形状、特にセグメント部からとリード部へ向かって巻きが密から粗となるように形成されている構成としたので、セグメント部の比率を高めることなく、ヒートサイクル時のフィラメントの伸縮を吸収することができる。また、色温度が高く高速で立ち上げることができるにも拘らず、従来と同等の寿命を得ることができる。
請求項13記載の発明によれば、加熱部材の金属製のパイプとし、ρ×C×V×ΔT/P≦10を満たす条件にしたので、定着装置の立ち上がりを高速にすることができる。
請求項14記載の発明によれば、加熱部材を定着ベルトに接触するように配置されているので、定着ベルトを用いた定着装置の立ち上がりを高速にすることができる。
請求項15記載の発明によれば、加熱部材が常温から所定の定着温度に達するまでの時間が10秒以内であるので、定着装置の立ち上がりを高速にすることができる。
請求項16載の発明によれば、立ち上がりが速い定着装置を画像形成装置に設けたので、画像形成装置の待機中の時間を短縮することができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
まず、画像形成装置の一例として、図1に示すようなプリンタを用いて全体構成の概略を説明する。矢印方向に回転する感光体1の周りには、帯電手段2、クリーニング手段3、レーザ光学系によるレーザビームL、トナーを供給して感光体1上の潜像を顕像化する現像スリーブ5 を含む現像部7、及び転写手段6が配置されている。
装置下部には矢印a方向に着脱可能な給紙カセット10が設けられている。給紙カセット10 内に収容された用紙Pは、中板11で支えられ、図示しないスプリングの力によってアーム12を介して給紙ローラ13 に押し付けられている。
後述する制御手段37から指令が発せられて給紙ローラ13が回転することによって給紙カセット10内の最上紙は、分離パッド14で重送を防止されながら下流側のレジストローラ対15まで搬送される。
その給紙された用紙Pは、レジストローラ対15により感光体1上に形成されたトナー画像と同期するようにタイミングをとられて転写手段6に向けて送り出される。
転写手段6によって感光体1からトナー画像を転写された用紙Pは、さらに定着装置16に搬送され、この用紙Pのトナー画像側に設けられた加熱部材としての加熱ローラ18とこれに圧接対向する加圧部材としての加圧ローラ19とで形成されたニップ部を通され、熱と圧力によりトナー画像が定着される。
定着済みの用紙Pは、排紙ローラ対20によって画像面を下にして排紙口21より排紙トレイ22上に排出されてスタックされる。排出される用紙のサイズに対応するため、排紙ストッパ25は矢印b方向にスライド可能となっている。
装置右側に操作面が配置されており、操作パネル30が外装部31の上部前面(図1の装置上右側)で突き出ている。また、給紙トレイ32がピン33により回動可能に取り付けられている。図中左側に配置されたケース34内には、電源35やプリント板36(エンジンドライバーボード)等の電送、制御部が収納される。また、制御手段37(コントローラボード)も収納されている。
排紙トレイ22を構成しているカバー38は、回動支点39を中心に開放可能となっている。
定着装置16は、図2に示すように、加熱ローラ18と、これに図示しないスプリングの付勢力で押し当てられた加圧ローラ19を有している。加熱ローラ18は、断熱ブッシュ51,51、軸受52,52を介して定着側板50,50に取り付けられており、図示しない駆動源に係合した歯車53により回転駆動される。加熱ローラ18の内部には輻射ヒータ23が設けられており、その輻射ヒータ23の端部はヒータ保持部材24 により保持されている。
加熱ローラ18の表面には温度センサ60が当接され、温度センサ60により検出された信号は入力回路61を経てCPU63に取り込まれる。CPU63は温度センサ60により検出した加熱ローラ18の温度に基づいてドライバ62を介して輻射ヒータ23への通電を制御するように構成されている。
通常は画像形成装置の電源が投入されると、ドライバ62を介して輻射ヒータ23へ電流が流れ、加熱ローラ18は180 ℃前後の所定の設定温度まで急激に上昇される。
図3に示すように、加熱ローラ18は、金属製であるアルミニウム製の薄肉パイプ27を基体としており、その外径は40mm、厚みは0.4mmである。加熱ローラ18の外面には、定着後の用紙Pの分離性を向上させるためにフッ素系の表面離型層26が形成されている。
加圧ローラ19は、芯金40と、弾性材料としての発泡シリコンゴム層42を有している。
輻射ヒータ23は、タングステンフィラメント29をガラス管28で覆うように構成されて、そのガラス管28内には、少なくとも不活性ガス封入されており、必要に応じてタングステンフィラメント29の酸化を防ぐ窒素や、ヨウ素、臭素、塩素などを含むハロゲン物質等が封入されている。
本実施形態では、ガラス管28内に封入する不活性ガスとして、クリプトン(Kr)あるいはキセノン(Xe)を主成分としたものを使用している。その理由を以下に説明する。
上述のように、フィラメントからの放射のうち約1/4がガラス管及封入ガスに吸収されて熱損失となり、これが定着装置16の立ち上がり時おける立ち上がり時間を遅くする大きな要因の一つとなっている。本実施形態ではその立ち上がり時間を速くするため、ガラス管内の封入ガスの対流による熱伝達に係る熱損失に初めて着目し、その熱損失の低減を図ったものである。
すなわち、ガラス管28内の封入ガスのうち不活性ガスを対流しにくい物質にして、ガラス管28内の封入ガスの対流を抑制することによって、電源投入直後の前記輻射熱源内のフィラメントとガラス管28と封入ガスに滞留される熱量を低減し、ガラス管28及び封入ガスの熱エネルギーロスを極力少なくしようというものである。前述するように、このような考え方を図15に模式的に表している。
図4に示すように、不活性ガスとしてのアルゴン、クリプトン、キセノンの熱伝導率を比較すると、アルゴンよりもクリプトンが低く、クリプトンよりもキセノンが低い。また、アルゴン、クリプトン、キセノンの分子量を比較するとアルゴンよりもクリプトンが大きく、クリプトンよりもキセノンが大きい。
従来使用されている輻射ヒータは、不活性ガスとして一般的に窒素やアルゴンが用いられており、その理由として低コストであること、安全性が高いことなどが挙げられるが、特に、定着装置の熱源に用いる輻射ヒータとしては、不活性ガスをアルゴンより高コストのクリプトン又はキセノンを用いることの利点に気づかず、使用されていなかった。
しかし、輻射ヒータを定着装置の熱源として用いる場合に、不活性ガスにアルゴンより熱伝導率の低い物質、例えばクリプトンあるいはキセノンを封入することにより、フィラメントからの熱移動を少なくし、ガラス管内の封入ガスの温度差を小さくして封入ガスの対流を抑制するができる。また、不活性ガスにアルゴンより分子量の大きい物質、例えばクリプトンあるいはキセノンを封入することによりガラス管内で封入ガスが対流しにくくなり、封入ガスの対流を抑制するができる。そうすることによって、輻射ヒータ自体の熱損失であるガラス管28及び封入ガスの熱エネルギーロスを低減でき、輻射ヒータの立ち上がり時間を速くして、定着装置の省エネルギー化を達成できた。
封入ガスの対流による熱損失、いわゆる対流熱損失は、温度差(フィラメント−ガラス内面)×損失長さ×Nu(ヌッセルト数)×ガスの熱伝導率で求まる。ガラス内面温度は正確に測定できないため、ガラス内面温度とガスの種類によりNu数も変化するため、定量的な議論は困難であるが、図4に示すように、熱伝導率の差を基準とすれば対流熱損失の低減対策におけるガス選定が明確且つ容易となる。
上述したように、ガラス管28内での封入ガスによる対流熱損失を抑制する場合、分子量の観点から不活性ガスを選定してもよい。そうした場合、分子量の大きいガスは対流を抑制できることに加えて、タングステンフィラメント29の蒸発を抑制する効果(「照明ハンドブック」社団法人照明学会編 株式会社オーム社p.157あるいは特開平7−65798 号公報)もあり、高寿命化を達成できる利点もある。
封入ガス及びフィラメントの色温度を変えて、加熱ローラが所定の定着温度に達するまでの昇温時間、輻射ヒータを連続して点灯させたときの輻射ヒータの連続点灯寿命及び輻射ヒータを0.5秒点灯させた後10秒消灯させるヒートサイクルを繰り返し行ったときの輻射ヒータのヒートサイクル耐久を実験した結果を表1に示す。
Figure 2007058231
表1の実験1,4,7を比較してわかるように、不活性ガスを従来使用されているアルゴン(分子量39.9、大気中に0.933%存在)とするよりも熱伝導率の低いあるいは分子量の大きいクリプトン(分子量83.8、大気中に0.00011%存在)とした方が、さらにはクリプトンよりも熱伝導率の低いあるいは分子量の大きいキセノン(分子量131.3、大気中に0.000009%存在)とした方が輻射ヒータの所定の定着温度に達するまでの昇温時間(定常状態への立ち上がり時間)を短くできることが判る。そうすることによって、加熱部材が常温から所定の定着温度まで達する時間を10秒以内にすることができた。尚、これらの混合物を用いた場合には、その混合比に応じた熱伝導率が得られることは言うまでもない。
さらに、不活性ガスとして上述したアルゴン、クリプトン、キセノン以外にも、ラドン、ヘリウム、ネオンがある。
しかし、キセノンより分子量の大きいラドン(分子量222)は、放射性のため、民生工業製品への展開は不可能である。
また、逆にアルゴンより熱伝導率が高く、分子量の小さいヘリウム(分子量4.0、大気中に0.0005%存在)あるいはネオン(分子量20.2、大気中に0.00182%存在)は、封入ガスの対流を促進させることになるし存在量も少なく、両者を用いる利点は見当たらない。
尚、クリプトン、キセノンを用いたハロゲン電球は、特開平7−65798号公報により公知であるが、これはあくまでも照度用の電球として、フィラメントの色温度を高め、可視放射を強めることで発光効率を向上させることを狙ったもので、そのハロゲン電球が定着装置の熱源として使用されることや、本発明のような輻射ヒータの立ち上がり時における輻射ヒータ自体の熱損失を低減し、輻射ヒータの発熱効率と向上させることを狙ったものではない。上述のような電球は、可視放射が強く、赤外放射が弱い。平板などの被加熱物に当たった放射の反射が外部に逃げるような電球としての通常の使い方では、熱源としては熱損失を増やしてしまうだけである。これは、前述したように、赤外放射以外が損失とされている図9から容易に理解される。体感的にも、可視光成分の多い青白く、眩しい電球が暖かくないことは明らかである。
よって、本発明者達も本発明にあたっては、輻射ヒータの不活性ガスとしてクリプトンあるいはキセノンを用いることによって、可視放射が強くなり、赤外放射が弱まることによる全体の熱エネルギーの熱損失が増加することを懸念したが、図2、3に示すように、輻射ヒータ23を覆うように、この輻射ヒータ23を円筒状の加熱ローラ18の内部に配置した構成としているので、可視放射も加熱ローラ18の内壁面で何度も反射を繰り返すことによって有効な熱に変換されることがわかった。よって、定着装置において、加熱ローラの内部に輻射ヒータを配置した構成は公知であるものの、輻射ヒータの可視放射が強くしても熱エネルギーの熱損失とならないことを見出した。
図5は、従来のアルゴン封入の輻射ヒータを有する加熱ローラに対する本発明に係る輻射ヒータを有する加熱ローラの所定温度への到達優位度を示すグラフである。
従来のアルゴン封入の輻射ヒータを有する加熱ローラを加熱してt秒で到達する温度に、本発明に係る加熱ローラを加熱してt’秒で到達したとすると、
到達優位度η(%)は、η=(t−t’)/tで表される。
図5における0 %のラインは、従来の加熱ローラ(不活性ガスとしてアルゴンを封入し、フィラメントの径が0.46)の場合を示している。これに対して、カーブAは、本実施形態における加熱ローラ(不活性ガスとしてキセノンを主成分として封入し、フィラメントの径が0.46)の場合を示している。
カーブAから判るように、10秒の経過時点において、従来の加熱ローラの立ち上がりに比べて約9%の到達優位度が向上していることがわかる。従って、本実施形態によれば、従来に比べて立ち上がり時間を約9%短くすることができた(カーブB ,C については後述)。
尚、前記比較実験の条件は、ガラス管の径(8mm)、入力電力(100V、1200W)、加熱ローラ(径=50mm、厚み0.6mm)である。
また、本実施形態では、輻射ヒータ23のフィラメント自体の立ち上がり時間を低減するために、タングステンフィラメント29の細線化によって、タングステンフィラメント29の熱容量を低減している。具体的には、タングステンフィラメント29の線径を電力と発光幅で補正した値、すなわち線径/電力^0.5×発光幅を4以下としている。線径/電力^0.5×発光幅とフィラメントの熱量の関係を図14に示す。
フィラメントの線径、長さは、発光幅、電圧、電力によって決まる。輻射ヒータ23の定格(電圧、電力)が決まれば抵抗が決まるため、タングステンフィラメント29の線径と長さを調整することになる。抵抗は長さに比例し、断面積に反比例するので、例えば線径が80%のフィラメントを使用すれば同じ抵抗のヒータを作製するのに長さは64%(=0.8^2)となり、熱容量(=体積)は40.96%(=0.8^4)となる。線径を80%にすれば、同じ発熱量でフィラメントを同等の温度とするのに要する時間が約40%となるのである。このため、図14のように線径が小さくなると急激に熱容量が低減される。また電力が大きいほど大電流に耐えるため、同時に線径が大きいことが必要となり、おおよそ電力の1/2乗に反比例して熱容量が増加する。発光幅は、単純に広くなるほどフィラメント長さが必要となるため、比例して熱容量が増加する。
このようにフィラメントを細線化した場合、飽和色温度も上がるのが常である。フィラメントの線径が小さいほど長さが短くなるが、抵抗が同じであれば全体の発熱量は同じであるので、フィラメント線径が小さいほど単位長さ当たりの発熱量は大きくなり、色温度は高くなる。
入力電力が同じ場合、タングステンフィラメント29を細くして熱容量を小さくすると、フィラメントの色温度が上昇し、同時に、タングステンフィラメント29の蒸発が促進され、寿命低下を招いてしまう。このため、従来では寿命に主眼をおき、フィラメントの色温度の中心値を2200〜2400Kに設定している。
表1から、フィラメントの線径を短くし熱容量を小さくした輻射熱源を使用することにより、昇温時間を短くすることができる。
図5におけるカーブBは、従来の加熱ローラに対してフィラメントの線径を細くした加熱ローラ(不活性ガスとしてアルゴンを封入し、フィラメントの径が0.42)の場合を示している。このカーブBから判るように、10秒の経過時点において、フィラメントの線径を細くして色温度を2500Kとした場合は、従来に比べて約7%の到達優位度が向上している。更に、図5におけるカーブCは、カーブAの加熱ローラに対してフィラメントをカーブBと同様に細くした加熱ローラ(不活性ガスとしてキセノンを主成分として封入し、フィラメントの径が0.42)の場合を示している。このカーブCからわかるように、10秒の経過時点において、フィラメントの線径を細くして色温度を2500Kとした場合は、カーブAに比べて約5%の到達優位度が向上している。
本実施形態では、アルゴンに比べて熱伝導率の低い又は分子量の大きいクリプトン又はキセノンを主成分とする不活性ガスを用い、かつ、フィラメントの線径を細くする条件で、表1の実験5,6,8,9から判るように、一層立ち上がり時間を短くすることができる。この効果は図5のカーブC(不活性ガスとしてキセノンを主成分として封入し、フィラメントの色温度が2500K)によっても把握することができ、従来に比べて約14%の到達優位度が向上している。
図5の横軸は、加熱部材の比熱C(J/kg/K)と、密度ρ(kg/m)と、体積V(m)と、前記加熱部材の設定温度までの温度上昇差ΔT(K)と、前記輻射熱源へ投入する電力P(W)とで計算される理論的な昇温時間(ρ×C×V×ΔT/P)と相関が高く、 これが10以下の短時間で昇温可能な加熱部材、ヒータ電力量、設定温度の組み合わせにおいて、本発明はきわめて有効となることがわかる。
また、分子量の大きい不活性ガスを用いることによりタングステンフィラメント29の蒸発が抑制され、表1の連続点灯時間の欄から判るように、従来のフィラメントより長い寿命を維持しながら、立ち上がり時間を短くすることができる。
また、本実施形態では、タングステンフィラメント29のセグメント部の比率を、タングステンフィラメント29の全体、すなわち発光部の50%以上としている。
図6に示すように、タングステンフィラメント29は、巻きが密で所定の色温度となるセグメント部29aと、直線状又は巻きが粗なリード部29bとからなっている。一般に、フィラメントには電源のオン・オフに係るヒートサイクルによる伸縮のストレスが作用するため、色温度を上げるためにタングステンフィラメント29を細くすると、その伸縮ストレスによりセグメント部29aとリード部29bの接続部29cで断線が生じ易くなる。
このため、本実施形態では、ヒートサイクルによる伸縮ストレスをコイルスプリング状のセグメント部29aの持つ伸縮性で吸収し、伸縮ストレスの影響を抑制するために、セグメント部29aの比率を発光部の50%以上としている。
上述のように、タングステンフィラメント29の線径を小さくして色温度を高くした場合、タングステンフィラメント29の長さは短くなるが、本実施形態では巻き径を小さくすることによって、又は巻きピッチを調整することで短くなった分をカバーするとともに、セグメント部29aの比率を大きくしている。
色温度を同じにして封入ガスとセグメント部29aの比率を変えて、加熱ローラが所定の定着温度に達するまでの昇温時間、輻射ヒータを連続して点灯させたときの輻射ヒータの連続点灯寿命及び輻射ヒータを0.5秒点灯させた後10秒消灯させるヒートサイクルを繰り返し行ったときの輻射ヒータのヒートサイクル耐久を実験した結果を表2に示す。尚、画像形成装置の定着装置として使用される輻射ヒータは、連続点灯寿命で3000時間程度ないと実用に耐え得ないものであり、かつ、ヒートサイクルの耐久性としては、0.5秒点灯させた後10秒消灯させるヒートサイクルで10万回程度が必要である。
Figure 2007058231
表1の実験2、5、8と表2の実験10〜15を比較してわかるように、セグメント部29aの比率を50%以上としたことにより、タングステンフィラメント29の色温度が高いにも拘らず、所望のヒートサイクル耐久性(10万回)を確実にクリアすることができ、従来と同等の寿命を得ることができることが判った。
また、本実施形態では、タングステンフィラメント29を細くしたので、その分の長さの伸びを利用してセグメント部29aの比率を高めている。タングステンフィラメント29を細くせず、入力電力を増加させて色温度を高める場合には、セグメント部29aの巻き径を小さくして比率を高めればよい。
また、本実施形態においては、セグメント部29aを発光部の全体において略均一に分布するように設けている。これにより、加熱ローラ10の通紙部分の軸方向における発熱ムラを防止し、従来と同等の寿命を得ることができる。
前記実施形態では、発光部全体におけるセグメント部29aの比率を50%以上とすることにより、セグメント部29aの持つ伸縮性の発現性を大きくしてヒートサイクルによる伸縮ストレスを吸収する構成としたが、図7に示すように、接続部29cの形状を、セグメント部29aからリード部29b へ向かって巻きが徐々に密から粗となるようにして滑らかに接続させるように形成することによってもヒートサイクルによる伸縮ストレスを有効に吸収することができる。
接続部29cをこのような形状にした場合の実験結果を表3に示す。
Figure 2007058231
表1の実験5、8と表3の実験15、16 を比較して判るように、接続部29cを前記のような構成とすれば、セグメント部29aの比率が従来と同じでも所望のヒートサイクル耐久性(10万回)を確実にクリアすることができることが判った。
前記実施形態では熱ローラ方式の定着装置を示したが、図8に示すようなベルト定着方式の定着装置においても同様に実施することができる。
図8において、前記実施形態と同一部分は同一符号で示している。
弾性層70aを有する定着ローラ70と加熱部材としての加熱ローラ18との間に定着ベルト72が掛け回され、定着ローラ70に定着ベルト72を介して加圧ローラ19が圧接されている。
定着ベルト72が加熱ローラ18により加熱され、トナー画像が転写された用紙Pは定着ベルト72と加圧ローラ19の定着ニップ部に通され、熱と圧力によりトナー画像が定着される。
本実施形態では、熱ローラ18を介して定着ベルト72を加熱しているが、輻射ヒータ23からの輻射により定着ベルト72を直接加熱してもよい。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置としての複写機の全体概要正面図である。 定着装置の概要側面図である。 定着装置の概要正面図である。 不活性ガスの熱伝導率を示すグラフである。 従来の定着装置に対する所定温度への到達優位度を示すグラフである。 フィラメントの概要全体図である。 フィラメントにおけるセグメント部とリード部の接続部を示す図である。 他の実施形態における定着装置の概要正面図である。 定常状態における輻射ヒータの熱放射と損失の割合を示すグラフである。 従来における薄肉加熱ローラを用いた省エネタイプの定着装置の加熱ローラとガラス管の温度上昇の関係及び輻射ヒータへの入力電力量を示すグラフである。 ガラス管と加熱ローラ間の温度差と輻射による熱伝達量の関係を示すグラフである。 ガラス管の温度上昇を示すグラフである。 立ち上がり時における輻射ヒータの熱放射と損失の割合を示すグラフである。 フィラメント線径と熱容量の関係を示すグラフである。 立ち上がり時における輻射ヒータの構成要素への滞留熱量と熱伝達を説明した模式図である。
符号の説明
18 加熱ローラ
23 輻射熱源としての輻射ヒータ
28 ガラス管
29 タングステンフィラメント
29a セグメント部
29b リード部
29c 接続部

Claims (7)

  1. フィラメントと少なくとも不活性ガスを含む封入ガスとを密閉したガラス管を有する輻射熱源と、内部に前記輻射熱源を収納した加熱部材とを備え、前記輻射熱源により加熱された前記加熱部材の熱によってシート上に形成されたトナー画像を当該シートに定着する定着装置において、
    前記不活性ガスはアルゴン(Ar)よりも分子量が大きい物質を主成分としたことを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1記載の定着装置において、
    前記加熱部材の比熱C(J/kg/K)と、密度ρ(kg/m)と、体積V(m)と、前記加熱部材の設定温度までの温度上昇差ΔT(K)と、前記輻射熱源へ投入する電力P(W)とが、ρ×C×V×ΔT/P≦10を満たすことを特徴とする定着装置。
  3. 請求項1又は2記載の定着装置において、
    前記不活性ガスの主成分がキセノン(Xe)であることを特徴とする定着装置。
  4. 請求項1又は2記載の定着装置において、
    前記不活性ガスの主成分がクリプトン(Kr)であることを特徴とする定着装置。
  5. 請求項1乃至4のうちの一つに記載の定着装置において、
    定着ベルトを有し、前記加熱部材が定着ベルトに接触して当該定着ベルトに熱を供給するように設置されていることを特徴とする定着装置。
  6. 請求項1乃至4のうちの一つに記載の定着装置において、
    前記加熱部材が常温から所定の定着温度に達するまでの時間が10秒以内であることを特徴とする定着装置。
  7. 内部に輻射熱源を収納した加熱部材を備えた定着装置を有する画像形成装置において、前記定着装置が請求項1乃至6のうちの一つに記載のものであることを特徴とする画像形成装置。
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