JP2007057378A - マイクロチップ、及びマイクロチップを用いた分析方法 - Google Patents

マイクロチップ、及びマイクロチップを用いた分析方法 Download PDF

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Masaya Miyazaki
真佐也 宮崎
Hideaki Maeda
英明 前田
Hiroyuki Nakamura
浩之 中村
Yoshiko Yamaguchi
佳子 山口
Kenichi Yamashita
健一 山下
Masahito Uehara
雅人 上原
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Abstract

【課題】微量分析に適し、透過光による分光分析が可能なマイクロチップを、簡易な構造で実現する手段を提供する。
【解決手段】マイクロチップ1は、少なくとも一部分に透光性を有する基材10と、基材10の透光性を有する部分を含む領域に形成されたマイクロチャネル11と、マイクロチャネル11の透光性を有する部分に設けられた微小凹凸を有するタンパク質固定部12と、タンパク質固定部12に固定されて被検物質22と特異的に反応する抗体21とを備えてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、少なくとも一部分に透光性を有する基材に微小流路が形成され、該微小流路に被検物質と特異的に反応するタンパク質が固定されてなるマイクロチップ、及び該マイクロチップを用いた分析方法に関するものである。
従来からウィルスや微生物により引き起こされる感染症等の早期発見を目的として、唾液や血液等のヒト体液中のウィルスや抗体を検出する分析方法が知られている。
また、ヒト体液中のウィルスや抗体の検出方法の一つとして、検出すべきウィルス等の被検物質と特異的に反応する抗体を用いた免疫測定方法が知られている。
免疫測定方法では、抗体の固定担体として、96穴マイクロプレート、ビーズや微粒子、ニトロセルロース膜等が用いられているが、比較的簡易な測定方法として、ニトロセルロース膜等を抗体の固定担体として用いたイムノクロマト法がある。
イムノクロマト法は、予め被検物質と特異的に反応する抗体が固定されたニトロセルロース膜等の試験紙上に、被検物質及び標識抗体を滴下し、被検物質と標識抗体との結合物質が試験紙上を移動する際に前記抗体との免疫反応により捕捉され、該抗体が固定された部位に標識抗体による着色を行うものである。
一方、マイクロチャネルと称される微小流路を形成したマイクロチップを用いた分析方法が提案されている。この分析方法は、被検物質と標識抗体をマイクロチャネルに流入し、被検物質と標識抗体との結合物がマイクロチャネルを流れる際に、マイクロチャネル内に予め固定された抗体と免疫反応させるものである。
このようなマイクロチップを用いた分析方法は、マイクロ・トータル・アナリシス・システム(μ−TAS)と称せられる。
この分析方法は、マイクロチップが小型軽量であるという利点と、分析に必要な被検物質及び標準抗体が微量であり、分析時間が短時間であるという利点がある。
従来より、このようなマイクロチップでは、抗体の固定担体として複数の微粒子が用いられており、該微粒子をマイクロチャネル内に封入されていた(特許文献1参照)。
特開2001−4628号
従来のイムノクロマト法は、標識抗体による試験紙上の着色を目視で簡易に確認できるという利点があるが、定量検出や検出精度の向上が難しいという問題がある。試験紙上の着色を反射光により客観的な数値として読み取る読取装置を用いれば、イムノクロマト法による定量検出も不可能ではないが、そのような読取装置は高価であり、普及するに至っていない。
また、被検物質と標識抗体との結合物は、試験紙の厚み内を流れるように移動し、試験紙に固定された抗体により捕捉される。
試験紙上の着色として検出できるものは、試験紙の表面付近において捕捉された結合物のみであり、反射光による読取装置を用いても、試験紙の内部において捕捉された結合物を検出することは難しい。このことが、イムノクロマト法の検出感度の向上を難しくしている。
一方、抗体を固定する担体として微粒子を用いたマイクロチップでは、抗体が固定された微粒子をマイクロチャネル内の所定の場所に保持し、且つ被検物質及び標識抗体との分離を行うために、分離壁と称される壁が必要となる。
この分離壁は、抗体が固定された微粒子を捕捉し、且つ被検物質及び標識抗体を含む溶液を通過させるものである。しかし、マイクロチャネルに分離壁を形成したマイクロチップの製造は、技術的に難しいという問題がある。
また、分離壁を用いたとしても、未反応の被検物質と標識抗体との結合物を、複数の微粒子から完全に取り除くためには、反応後の微粒子を十分な量の洗浄液で洗浄することが必要になる。
また、微量の被検物質を検出するために測定感度を向上させるには、被検物質に特異的に反応する抗体の反応性を高める必要がある。抗体を固定した微粒子の量を増加させれば反応性は高まるが、多量の微粒子を保持するためにマイクロチャネルを大型化することになる。
一方、微粒子の径を小さくして容積当たりの微粒子の表面積を増加させることにより、固定される抗体の量を増やすことができるが、微粒子の径が小さくなると、微粒子間の光の乱反射や光の干渉等により、微粒子の透明性が失われる。
その結果、微粒子に対して透過光を用いた分光分析を行うことができない等いう問題が生じる。さらに、微粒子間の光の乱反射や光の干渉が、分光分析の際にノイズとなり、測定精度が劣化する原因となる。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものである。
即ち本発明は、微量分析に適し透過光による分光分析が可能で、且つ簡単な構造を有するマイクロチップを提供すること、及びそれを用いた分析方法を提供すること、を目的とする。
本発明者らは、前記課題について鋭意研究した結果、マイクロチャネルに抗体等のタンパク質を固定化する部位を凹凸形状にすることで、従来の諸問題点を解決できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
(1)すなわち、本発明に係るマイクロチップは、少なくとも一部分に透光性を有する基材と、前記基材の透光性を有する部分を含む領域に形成された微小流路と、前記微小流路の透光性を有する部分に設けられた微小凹凸を有するタンパク質固定部と、前記タンパク質固定部に固定されて被検物質と特異的に反応するタンパク質と、を備えてなるものである。
(2)また、前記タンパク質固定部の微小凹凸は、被検物質の検出のために前記タンパク質固定部に照射される光の波長より短い厚み範囲内に形成されたものであってもよい。
(3)また、前記タンパク質固定部の微小凹凸の厚さは、200nm以下となるように形成されたものが好適である。
(4)また、前記タンパク質固定部の微小凹凸は、前記微小流路の内壁にシラン処理を施すことにより形成されたものであってもよい。
(5)また、前記タンパク質固定部は、表面に微小凹凸が形成された透光性を有する薄膜材料からなるものであってもよい。
(6)また、前記タンパク質固定部の微小凹凸に、被検物質を含有する溶液が流通可能な3次元網目構造層が積層され、該3次元網目構造層に前記タンパク質が固定されたものであってもよい。
(7)また、前記3次元網目構造層は、パラホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドの重合体が好適である。
(8)また、前記基材が、高分子材料からなるものであってもよい。
(9)また、前記基材が、ポリメチルシロキサン、アクリル樹脂、又はポリスチレン樹脂からなるものが好適である。
(10)また、前記基材が、ガラスからなるものが好適である。
(11)また、前記タンパク質が被検物質と特異的に反応する抗体であることが好適である。
(12)また、前記微小流路に、被検物質を含む溶液を導入するための導入部と、該導入部から前記タンパク質固定部を通過するように微小流路を流通した前記溶液を貯留する液溜め部と、前記溶液が微小流路を導入部から液溜め部へ流れるように微小流路内の圧力を調整するための圧力調整口と、が設けられたものであってもよい。
(13)また、本発明に係るマイクロチップを用いた分析方法は、光学的に検出可能な標識物質が被検物質と結合する抗体に結合されてなる標識抗体と、被検物質を含む溶液とを混合する1次反応ステップと、標識抗体と被検物質との反応結合物を含む溶液を、前記マイクロチップの微小流路に流通させて、タンパク質固定部に固定されたタンパク質と該反応結合物とを反応させる2次反応ステップと、前記タンパク質固定部に結合した前記反応結合物の標識物質を光学的に検出する検出ステップと、を含むものである。
本発明によれば、基材の微小流路の透光性を有する部分に微小凹凸を有するタンパク質固定部を形成し、該タンパク質固定部に被検物質と特異的に反応するタンパク質を固定したので、タンパク質固定部に多量のタンパク質が固定できる。これにより、微量分析に適し、透過光による分光分析が可能なマイクロチップが、簡易な構造で実現される。
以下、本発明に係るマイクロチップの実施形態について説明する。
図1は、本発明に係るマイクロチップ1の概略構成を示す斜視図である。マイクロチップ1は、平面視が略矩形であって平板形状の基材10を有する。基材10は、全体が透明であり透光性を有する。なお、本発明では、基材10の全体が透光性を有する必要はなく、透過光が照射されるタンパク質固定部12が少なくとも透光性を有すればよい。また、基材10の形状や厚みは特に限定されない。基材10は、屈曲等による破損がなく、安価に製造できるものが好適である。また、基材10は、ウィルスやホルモン、抗体等の被検物質と反応しない材料からなるものが好適である。このような材料として、高分子材料を用いることができる。特に、基材10の材料として、ポリメチルシロキサン、アクリル樹脂、又はポリスチレン樹脂を用いると、基材10に形成されたマイクロチャネル11の内壁が疎水性を呈し、未反応液の除去が容易となるので好適である。また、高分子材料の他、ガラスや石英、シリカ、セラミックス等を基材10の材料として用いることができる。特に、ガラスは、安価且つ加工が容易なので好適である。
基材10には、マイクロチャネル11(微小流路)が形成されている。マイクロチャネル11の断面形状は特に限定されず、被検物質及び標識抗体を含む溶液が流通可能な形状であれば、円形や楕円形、矩形等を任意に選択できる。マイクロチャネル11の断面積も特に限定されないが、被検物質や標識抗体の必要量を少なくするためには、断面積が小さい方が好ましい。具体的には、ウィルス等を被検物質として微量分析を行うには、マイクロチャネル11は、矩形の断面形状の場合、幅約5mm以下、深さ約500μm以下程度が好ましい。マイクロチャネル11を形成する方法は特に限定されず、マイクロドリル等により基材10を機械的に加工しても、エッチング等の化学処理により形成してもよい。マイクロチャネル11の長さや形状も特に限定されず、被検物質及び標識抗体を含む溶液を流通させるために過剰な吸引等が必要とされず、且つ被検物質及び標識抗体がタンパク質固定部12において十分に反応する流速となるように適宜設定される。また、基材10の全体が透光性を有しない場合には、マイクロチャネル11は、基材10の透光性を有する部分を含む領域に形成されていればよい。
図1に示すように、基材10には、導入部13及び液溜め部15がそれぞれ形成されている。導入部13は、被検物質を含む溶液や標識抗体を含む溶液をマイクロチップ1に導入するためのものであり、基材10の上面に開口している。該開口から、被検物質を含む溶液及び標識抗体を含む溶液が導入される。液溜め部15は、マイクロチャネル11を流れた未反応の被検物資及び標識抗体を含む溶液を貯留するためのものであり、基材10の厚み内に所定容量の溶液を貯留可能な空間として形成されている。液溜め部15から、基材10の側面に開口するように通路14が形成されており、該通路14の開口が圧力調整口16となっている。圧力調整口16には、気体を吸引可能な外部装置が連結される。外部装置の吸引により、通路14及び液溜め部15を通じてマイクロチャネル11内の空気が吸引されて、マイクロチャネル11が減圧状態になる。これにより、導入部13に導入された溶液がマイクロチャネル11を通じて液溜め部15に流れる。なお、本実施の形態では、圧力調整口16は、マイクロチャネル11を減圧状態にするためのものとしたが、圧力調整口16をマイクロチャネル11を加圧状態にするためのものとして形成してもよい。その場合には、導入部13側に圧力調整口16を形成し、該圧力調整口16からの加圧により導入部13に導入された溶液がマイクロチャネル11へ流れるようにすればよい。
導入部13と液溜め部15とは、基材10の長手方向の両端付近にそれぞれ形成されており、導入部13と液溜め部15とを連結するようにマイクロチャネル11が形成されている。本実施の形態では、1つのマイクロチャネル11が形成されているが、導入部13から液溜め部15へ複数のマイクロチャネル11を、平行に又は途中で分岐するように形成してもよい。このマイクロチャネル11の所定領域に、タンパク質固定部12が形成されている。タンパク質固定部12を設ける領域は、基材10の透明な領域であれば特に限定されない。
タンパク質固定部12は、マイクロチャネル11の内壁に、図2に示す微小凹凸が形成されたものである。微小凹凸とは、ナノ構造の凹凸形状である。詳細には、タンパク質固定部12の微小凹凸は、被検物質の検出のためにタンパク質固定部12に照射される光の波長より短い厚み範囲内に形成される。つまり、微小凹凸の凸形状の頂点と凹形状の底との間の距離Aが、分光分析等のためにタンパク質固定部12に照射される光の波長より短い。光の波長は、紫外線領域や赤外線領域、可視光領域等により異なるが、タンパク質固定部12の微小凹凸の厚み(即ち深さ)を、200nmの以下となるように形成すれば、紫外線領域より波長が長い光に対応できるので好適である。
タンパク質固定部12の微小凹凸の厚みを、例えばJIS B 0601−1994で規定される算術平均粗さ(以下、「Ra」と称す。)でいえば、約20〜30nmが好ましい。Raが大きいほど微小凹凸に固定可能なタンパク質量が多くなる。例えばRaが約20nm程度の微小凹凸では、平滑な表面に比べて数十倍の量のタンパク質が固定可能である。また、タンパク質固定部12に照射される光の乱反射等による測定時のノイズを考慮すれば、Raは約30nm以下が好ましい。
このように、タンパク質固定部12の微小凹凸の厚みを、被検物質の検出のための光の波長より短い厚み範囲内となるように形成することで、タンパク質固定部12に照射した光の透過光により、タンパク質固定部12に捕捉された標識抗体の色等を検出することができる。また、タンパク質固定部12の微小凹凸により、タンパク質固定部12の表面積が、平滑なマイクロチャネル11の表面に比べて増大する。タンパク質固定部12に固定されるタンパク質は、タンパク質固定部12の表面に結合されるので、タンパク質固定部12の表面積が増大すれば、固定されるタンパク質の量も増大する。例えば、タンパク質固定部12に抗体を固定するのであれば、その抗体量が増大されることにより反応性が向上する。つまり、被検物質と抗体との反応が向上され、測定感度が向上される。また、タンパク質固定部12に形成される微小凹凸は、ナノ構造であるので、マイクロチャネル11の断面積を狭くするようなことがない。
タンパク質固定部12の微小凹凸は、マイクロチャネル11の内壁にシラン処理を施すことにより形成される。シラン処理とは、シランカップリング剤による表面処理をいう。具体的には、シランカップリング剤のマイクロチャネル11の内壁への密着性を向上させるため、マイクロチャネル11の内壁に、例えばプラズマ照射等の前処理を施した後、アミノプロピルトリエトキシシラン又はアミノプロピルトリメトキシシランと、メチルトリエトキシシラン又はテトラエトキシシランとの混合希釈溶液を、所定の流速でマイクロチャネル11に流通させることにより、ナノメートルサイズの微小凹凸が形成される。なお、基材10の材質にポリメチルシロキサンを使用した場合は、前処理無しにシラン処理が可能である。
また、タンパク質固定部12は、表面に微小凹凸が形成された透光性を有する薄膜材料を、基材10内に固定することにより形成してもよい。薄膜材料には、例えば100μm〜1mm程度のシリコンゴムを用いることができる。この薄膜材料にシラン処理を施して微小凹凸を形成し、該薄膜材料を、基材10のマイクロチャネル12の所定位置に固定することによりタンパク質固定部12を形成することができる。例えば、基材10が2枚の平板を貼り合わせたものである場合には、その2枚の平板の間に薄膜材料を挟み込みことにより固定することができる。
タンパク質固定部12には、様々なタンパク質を固定することができるが、典型的には、被検物質と特異的に反応する抗体が好ましい。例えば、マイクロチップ1を用いてヒト体液中に含まれるウィルスを検出するには、タンパク質固定部12には、抗インフルエンザウィルスA抗体やB抗体、抗サイトメガロウィルス抗体、抗C型肝炎ウィルス抗体等が固定される。勿論、その他の抗体や各種疾患のマーカー分子に対する抗体等をタンパク質固定部12に固定してもよい。タンパク質固定部12への抗体等のタンパク質の固定は、物理的吸着や、タンパク質固定部12の反応基と抗体が有するアミノ基とによる共有結合を用いた固定等の周知の固定方法を採用することができる。
また、図3に示すように、タンパク質固定部12の微小凹凸に、被検物質を含有する溶液が流通可能な3次元網目構造層17を積層し、その3次元網目構造層17にタンパク質を固定してもよい。3次元網目構造層17は、抗体等のタンパク質のアミノ基と反応する官能基を有し、透明性があり、内部に溶液が浸入可能な硬化樹脂により形成されることが好ましく、特にパラホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドの重合体が、架橋速度、作業性、経済性等の観点から好ましい。また、ある程度の鎖長を持ち、分子内に2つ以上の官能基(タンパク質中のアミノ酸等に結合できる官能基:アルデヒド基等)を有する化合物、例えばポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールの両端に官能基を結合させた化合物等も用いることができる。
3次元網目構造層17は、タンパク質固定部12の微小凹凸に硬化樹脂をスピンコート法により薄膜上に分散させて硬化させることにより形成される。また、3次元網目構造層17に固定される抗体等のタンパク質も、予め硬化樹脂と混合される。硬化樹脂として、パラホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドを使用した場合、抗体の固定力や微小凹凸に沿って3次元網目構造層17の形成を考慮すれば、硬化樹脂と抗体の混合比は重量比で約10対1〜100対1が好ましい。このようにして得られた3次元網目構造層17は、抗体を内包する。そして、3次元網目構造層17内を流れる溶液に含まれる被検物質と抗体とが反応する。タンパク質固定部12の微小凹凸に沿った3次元網目構造層17内に抗体等のタンパク質を固定することにより、微小凹凸の表面に固定するより多い量のタンパク質を被検物質と反応可能な状態でタンパク質固定部12に固定することができる。
以下、マイクロチップ1を用いた分析方法について説明する。マイクロチップを用いた分析方法は、1次反応ステップ、2次反応ステップ、及び検出ステップに大別される。
1次反応ステップは、被検物質を含む溶液と標識抗体とを混合して反応させるステップである。被検物質は、検出目的の物質であり、例えばインフルエンザウィルスや各種肝炎ウィルスの他、各種疾患マーカー等を任意に選択可能である。被検物質を含む検体は、唾液や血清等のヒト体液である。検体は、リン酸緩衝液等の水溶液により適宜希釈して用いられる。
標識抗体は、光学的に検出可能な標識物質が被検物質と結合する抗体に結合されてなるものである。標識物質としては、例えば、金コロイド、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)等が用いられる。金コロイドは、桃色を呈し、目視による検出も可能である。FITCは、蛍光測定又は吸光度測定により検出される。標識抗体に用いられる抗体は、タンパク質固定部12に固定される抗体と異なる抗原認識部位を有するものであれば、モノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体であってもよい。
被検物質を含む溶液と標識抗体とは、予め混合して反応させてからマイクロチップ1の導入部13に導入しても、それぞれを導入部13に導入して導入部13内において混合して反応させてもよい。この1次反応により、被検物質と標識抗体とが反応した免疫複合体(標識抗体と被検物質との反応結合物)が形成される。
2次反応ステップは、標識抗体と被検物質との反応結合物を含む溶液を、マイクロチャネル11に流通させて、タンパク質固定部12に固定された抗体と反応させるステップである。基材10の圧力調整口16に外部装置が接続されて吸引されることにより、免疫複合体を含む溶液は、マイクロチャネル11に流入される。図4に示すように、マイクロチャネル11内に流入した免疫複合体20は、タンパク質固定部12に固定された抗体21と反応する。免疫複合体20と抗体21との反応時間は、免疫複合体20を含む溶液の流速によって調整される。この反応は、必ずしも完全に終了させる必要はない。免疫複合体20と抗体21との反応は、マイクロチャネル11に流通される溶液中の免疫複合体20の量(濃度)に比例する。抗体21は、免疫複合体20の被検物質22と反応するから、免疫複合体20と抗体21との反応は被検物質22の量に比例することになる。したがって、サンプル内の被検物質22の量が多いほど、抗体21と反応する免疫複合体20の量が多くなる。被検物質22と反応していない標識抗体23や、未反応の免疫複合体20は、所定の流速でタンパク質固定部12を通過する。なお、必要であれば、未反応の免疫複合体20や標識抗体23の除去のために、マイクロチャネル11に洗浄液を流通させてもよい。未反応液及び洗浄液は、マイクロチャネル11から液留め部15に流出して貯留される。
検出ステップは、タンパク質固定部12に結合した免疫複合体20の標識物質24を光学的に検出するステップである。検出方法としては、標識物質24の種類に応じて、例えば、紫外可視分光分析、蛍光分析、化学発光分析、熱レンズ分析等の所定の分析機を使って、標識物質24の光吸収、蛍光、又は発光を検出する。勿論、目視による検出が可能な場合に、目視検出を併用してもよい。検出のための光は、タンパク質固定部12に照射される。前述したようにタンパク質固定部12は透明であり、その微小凹凸は、光の波長より短い厚み範囲内となるように形成されているので、光の乱反射等がなく、透過光による分析が可能である。これにより、安価な分析装置を用いて、タンパク質固定部12に結合した標識物質24の量を数値化することができる。また、微小凹凸により固定される抗体21の量が増大されるので、微量の被検物質22に対する反応性が向上し、測定感度が向上される。これにより、高価な装置を導入することなく、医療療現場において簡易に免疫分析を行うことが可能になる。
次に実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
1)マイクロチップ(前述の図1に示した構造のもの)
ポリメチルシロキサン製の基材に、縦500μm×横0.5mmのマイクロチャネルを形成し、そのマイクロチャネル内に、100μm×100μm、厚み0.5μmのタンパク質固定部(微小凹凸の厚み180nm)を設けて抗インフルエンザウィルスA抗体を固定した。
2)サンプルの調整
インフルエンザ罹患者及び健常者の鼻腔内液をそれぞれ希釈して、下記の4種類のサンプルを調整した。
サンプルa; コントロール(健常者の鼻腔内液)
サンプルb; 200倍希釈(罹患者の鼻腔内液)
サンプルc; 100倍希釈(罹患者の鼻腔内液)
サンプルd; 50倍希釈 (罹患者の鼻腔内液)
なお、サンプルb(200倍希釈)は、従来のマイクロチップを用いた検出限界と考えられる濃度である。
3)標識抗体
タンパク質固定部に固定された抗インフルエンザウィルスA抗体と抗原認識部位の異なる抗インフルエンザウィルスA抗体に金コロイドを結合したものを標識抗体とした。
4)分析手順
各サンプルに標識抗体液を0.5%濃度となるように混合して1次反応ステップを行った。そして、各サンプルと標識抗体液との混合液を、前記マイクロチップにそれぞれ導入して、減圧吸引によりマイクロチャネルに流入させて2次反応ステップを行った。その後、未反応液をタンパク質固定部から吸引除去し、各サンプルa,b,c,dをそれぞれ反応させた各マイクロチップa,b,c,dを得た。なお、ポリメチルシロキサン製のマイクロチップでは、減圧吸引後にタンパク質固定部における未反応液の残存は殆ど確認されなかった。検出ステップは、下記に示すように、目視で行った。
5)結果
透明なマイクロチップを通して、抗体固定部の発色を目視にて確認したところ、下記のような結果を得た。
マイクロチップa;コントロール(健常者の鼻腔内液) 無色
マイクロチップb;200倍希釈(罹患者の鼻腔内液) 薄桃色
マイクロチップc;100倍希釈(罹患者の鼻腔内液) 桃色
マイクロチップd;50倍希釈 (罹患者の鼻腔内液) 濃桃色
このように、従来のマイクロチップの検出限界と考えられる200倍希釈のサンプルbにおいても、目視確認できる薄桃色を呈した。
〔実施例2〕
1)サンプルの調整
実施例1で同様にインフルエンザ羅患者の鼻腔内液を400倍に希釈してサンプルeとした。
2)標識抗体
タンパク質固定部に固定された抗インフルエンザウィルスA抗体と抗原認識部位の異なる抗インフルエンザウィルスA抗体にFITCを結合したものを標識抗体とした。
3)分析手順
上述1)で作成したサンプルを、実施例1と同様に、1次反応ステップ及び2次反応ステップを行った。マイクロチャネル内を減圧吸引して未反応液を除去した後、測定の正確を期すため、リン酸緩衝液をマイクロチャネルに流通させて洗浄を行って、マイクロチップeを得た。なお、実施例1と同様に、減圧吸引を行った後にマイクロチャネル内に残存する未反応液は殆ど確認されなかった。
4)結果
得られたマイクロチップeを顕微レーザー分光装置を用いて分光分析した結果を図5に示す。図に示されるように、500〜600nmの波長において蛍光強度のピークが確認された。その他の波長では、ピークは確認されなかった。これにより、従来のマイクロチップの検出限界以下の濃度のサンプルが測定できることが確認された。
図1は、本発明の実施の形態に係るマイクロチップ1の概略構成を示す斜視図である。 図2は、タンパク質固定部12の微小凹凸を示す断面図である。 図3は、タンパク質固定部12に3次元網目構造層17を積層した状態を示す断面図である。 図4は、2次反応ステップを示す模式図である。 図5は、実施例2における分光分析結果を示す図である。
符号の説明
1 マイクロチップ
10 基材
11 マイクロチャネル
12 タンパク質固定部
13 導入部
14 吸出部
15 液留め部
16 圧力調整口
17 3次元網目構造層
20 免疫複合体(反応結合物)
21 抗体
22 被検物質
23 標識抗体

Claims (13)

  1. 少なくとも一部分に透光性を有する基材と、
    前記基材の透光性を有する部分を含む領域に形成された微小流路と、
    前記微小流路の透光性を有する部分に設けられた微小凹凸を有するタンパク質固定部と、
    前記タンパク質固定部に固定されて被検物質と特異的に反応するタンパク質と、を備えてなるものであるマイクロチップ。
  2. 前記タンパク質固定部の微小凹凸は、被検物質の検出のために前記タンパク質固定部に照射される光の波長より短い厚み範囲内に形成されたものである請求項1に記載のマイクロチップ。
  3. 前記タンパク質固定部の微小凹凸の厚さは、200nm以下となるように形成されたものである請求項2に記載のマイクロチップ。
  4. 前記タンパク質固定部の微小凹凸は、前記微小流路の内壁にシラン処理を施すことにより形成されたものである請求項1から3のいずれかに記載のマイクロチップ。
  5. 前記タンパク質固定部は、表面に微小凹凸が形成された透光性を有する薄膜材料からなるものである請求項1から3のいずれかに記載のマイクロチップ。
  6. 前記タンパク質固定部の微小凹凸に、被検物質を含有する溶液が流通可能な3次元網目構造層が積層され、該3次元網目構造層に前記タンパク質が固定されたものである請求項1から5のいずれかに記載のマイクロチップ。
  7. 前記3次元網目構造層は、パラホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドの重合体である請求項6に記載のマイクロチップ。
  8. 前記基材が、高分子材料からなるものである請求項1から7のいずれかに記載のマイクロチップ。
  9. 前記基材が、ポリメチルシロキサン、アクリル樹脂、又はポリスチレン樹脂からなるものである請求項8に記載のマイクロチップ。
  10. 前記基材が、ガラスからなるものである請求項1から7のいずれかに記載のマイクロチップ。
  11. 前記タンパク質が被検物質と特異的に反応する抗体である請求項1から10のいずれかに記載のマイクロチップ。
  12. 前記微小流路に、被検物質を含む溶液を導入するための導入部と、該導入部から前記タンパク質固定部を通過するように微小流路を流通した前記溶液を貯留する液溜め部と、前記溶液が微小流路を導入部から液溜め部へ流れるように微小流路内の圧力を調整するための圧力調整口と、が設けられたものである請求項1から11のいずれかに記載のマイクロチップ。
  13. 光学的に検出可能な標識物質が被検物質と結合する抗体に結合されてなる標識抗体と、被検物質を含む溶液とを混合する1次反応ステップと、
    標識抗体と被検物質との反応結合物を含む溶液を、請求項1から12のいずれかに記載のマイクロチップの微小流路に流通させて、タンパク質固定部に固定されたタンパク質と該反応結合物とを反応させる2次反応ステップと、
    前記タンパク質固定部に結合した前記反応結合物の標識物質を光学的に検出する検出ステップと、を含むものであるマイクロチップを用いた分析方法。
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