JP2007054446A - 香料放出方法及び香料放出装置 - Google Patents

Abstract

【課題】最初から生体に快適感等の感覚を与えるように香料を放出することができる香料放出方法及び香料放出装置を提供することである。
【解決手段】はじめに生体の生体情報を計測手段1で計測する。計測した生体情報を検知手段3で解析し、この解析に基づいて、所望の香り空間を提供できるように香料の種類と吐出態様の情報を制御手段3で制御する。この制御された放出条件に基づいて放出手段4により空間への香料の放出を行う。香料放出後は、これらの工程を繰り返し行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット方式などを用いて空間内に香料を放出する香料放出方法及び香料放出装置に関するものである。

近年、リラックスやリフレッシュ、疲労回復などの効果を得ることを目的に、天然精油や合成精油などの香料を摂取する香料療法（アロマセラピー）が注目を浴びている。アロマセラピーにおいては、一般に、精油を皮膚に直接塗布することや精油成分を自然に気化させることにより香料を人体に提供している。これら従来の手法では、呈示する香料の量を自在に制御することが容易ではなかった。

一方、アロマセラピーによる人体への効果は、個人差があることが知られている。また、大量に香料成分を摂取することによる人体への弊害も指摘されている。これらのことから、使用者の要求に応じて、呈示する香料の量を自在に制御でき、必要充分な量だけ香料を呈示できる香料放出方法が要望されている。

これまで、香料成分を制御して放出する方法としては、呼吸数から人体情報を判別して香料の発生量を制御する方法がある（特許文献1参照）。また、生体の中枢神経系指標を基に香料の発生量を制御する方法があった（特許文献2参照）。
特開2001-161819号公報 特開2002-282231号公報

しかしながら、上記特許文献1に記載される技術では、呼吸数だけでは人体の快適性に関する情報を得るには不十分であるという欠点があった。また、上記特許文献2に記載される技術は、香料を放出してから生体情報を計測する構造である。そのため、香料放出したばかりの時には、放出する香料が香料を提供される人にとって不愉快な香料である場合は、快適感ではなく不快感を与える可能性がある。さらに、中枢神経系を計測する機構を備える必要があることにより、装置の携帯性や装置設置の簡便性に難がある。そして、頭部に計測器具を設置するということに対する被計測者の心理的な負荷もある。

上記課題に鑑み、本発明の香料放出方法は、はじめに生体の生体情報を計測し、計測した生体情報に基づいて、所望の香り空間を提供できるように香料の種類と吐出態様の情報を制御し（例えば、最も快適感を与えるような調合比や吐出量となるように香料と吐出量の情報を制御し）、制御された情報に基づいて空間への香料の放出を行い、香料放出後は前記工程を繰り返し行うことを特徴とする。

また、上記課題に鑑み、本発明の香料放出装置は、少なくとも1種類の香料を収納する手段と、香料放出の対象である生体の生体情報を計測する計測手段と、前記計測手段により計測される生体情報に基づいて香料放出手段による香料の放出の制御を行う制御手段を有する。そして、前記制御手段は、前記計測手段により計測される生体情報が入力されたときのみに前記香料放出手段を駆動するように構成されている。

上記構成の香料放出方法ないし装置において、生体情報に基づいて、次の如きファクターのいずれかまたはそれらの組み合わせを制御することができる。ファクターとしては、香料の種類、調合比、単位時間あたりの放出量、単位時間における放出及び休止時間（すなわち放出デューティ比）、放出する香料の濃度、放出周波数（すなわち単位時間における放出回数）、放出する材料の液滴径などがある。こうしたファクターは、例えば、使用時に使用者により装置に対して入力・指示される香り空間モードと上記生体情報に基づいて、装置が自動的に選択して、その制御を実行するように予めプログラムされていてもよい。あるいは、外部からの入力・指示に基づいて装置にファクターを選択させ、上記指示された香り空間モードと上記生体情報に基づいて、装置が、その選択されたファクターの制御を実行するようにプログラムされていてもよい。

また、上記構成の香料放出方法ないし装置においては、以下のようなデータベースが装置に格納されていて、装置はこうしたデータベースを参照して制御を実行することになる。データベースの内容としては、香料が生体の感覚（快適感、リラックス感、集中感、高揚感など）に及ぼす効果、香料の放出態様と生体の感覚に及ぼす効果との関係、生体情報と生体の感覚との関係などがある。こうしたデータは、その一部が使用前に各個人ごとに測定・収集されて格納されてもよいし、予め大多数の人に当てはまると思われるものを作ってそれを装置に格納しておいてもよい。

ここでいう生体情報とは、血圧、呼吸、体温、血流、発汗、脈拍、脳波などのあらゆる生体（人体を含む。）の情報を指し、香料放出方法ないし装置の目的に応じて測定する情報を選択することができる。典型的には、計測する生体情報は、自律神経系の指標である。この場合、計測する自律神経系の指標が、腕または掌で計測できる指標であるのが好ましく、ここでは、人体の生体情報が簡便に判別可能であるために被験者に負荷を与えることがない。

上記測定手段は、例えば、接触式（測定手段を生体の適当な部位に取り付けて測定する方式）あるいは非接触式（赤外線などを生体の適当な部位に当てて測定する方式）で、生体情報を測定する。

放出手段としては、インクジェット方式、従来の噴霧器よる方式などがあるが、インクジェット方式は微細な香り空間の制御に適する。或る程度の広さを持つ空間での香り制御であれば、さほど微細な放出制御は必要ないので従来の噴霧器による方式などでもよい。しかし、例えば、吐出ノズルを利用者の鼻近くに持ってきて個人的な香り空間を制御する際などは、微細な放出制御ができるインクジェット方式が適する。

インクジェット方式では、香料の放出量制御を、例えば、インクジェットヘッドの吐出周波数、ノズル数、吐出時間の少なくとも1つを変化させることにより行うことができる。ここでは、インクジェットヘッドの上記ファクターの少なくとも１つを変化させることにより香料の放出量の制御を行う機構を備えているため、複数種の香料成分を極微細な任意の割合で混合できる。この場合、数種類の香料成分のみで、多様な印象を与える香料を作成することができる。放出する香料を、水または水とエタノールでほぼ10倍以上10000倍以下程度に希釈した香料とすれば、インクジェットヘッドのノズルの動作に適するものとなる。

本発明による香料放出方法ないし装置では、第一に生体の生体情報を計測し、計測した生体情報に基づいて快適感等の所望の感覚を与えるよう制御されて香料を放出するため、最初から生体に快適感等の所望の感覚を与えるように香料を放出することができる。

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。

図1において、1は、腕または掌で計測可能な生体情報計測手段である。生体情報を計測する手段として、発汗計、血流計、血圧計などを用いるのが好ましい。2は、生体情報計測手段1で計測した生体情報を検知する手段である。3は、検知手段2で検知した生体情報を基に香料の放出量などを制御する手段である。4は、香料を放出する手段である。香料の放出手段4としては、放出量などを微細に制御可能なインクジェット方式が好適に用いられる。インクジェット方式の放出手段4は、基本的には、ノズルと液流路で構成され、液流路の壁の一部を熱して気泡を発生させる。あるいは、ピエゾアクチュエータなどで液流路の壁の一部を押すことにより、液流路内の香料をノズルから噴射し放出する。

図2に香料放出手段4の一例を示す。43a、43b、43c、43dは、それぞれ、放出する個々の香料を収納するカートリッジである。また、43はインクジェット方式の吐出ヘッドであり、ここから各香料が空気中へ放出される。

調香師などが一般に香料を調合する場合、各種の香料成分を1000分の1単位程度で調合を行うのが一般的である。インクジェット方式の放出手段4を用いる本実施形態によれば、吐出周波数が少なくとも50-1500Hz、香料成分を吐出するノズル数が0-512個と広範囲で制御が可能である。そのほか、吐出を繰り返す時間も任意に制御可能であり、1000分の1から10000分の1単位程度の精密さで容易に溶液の調合が可能となるため、多様な香りを調製することができる。

以下に、本実施形態の生体情報に基づく香料放出量の制御について説明する。本実施形態で計測する生体情報は、人体の自律神経系の指標である。自律神経とは、本人の意思で制御することのできない、生体の恒常性維持のために働く神経系である。ここで計測する自律神経系の指標とは、素子を腕または掌内に装着することで簡便に計測することのできる指標である。すなわち、素子を掌に装着することで計測できる発汗計、素子を指の一部に装着することで計測できる血流計、素子を腕に装着することで計測できる脈拍および連続血圧計などを用いる。

上記計測手段1を用いて自律神経系の各種指標を計測することで、自律神経のうち、交感神経と副交感神経のどちらが活発に働いているかを判別できる。交感神経系と副交感神経系のどちらが優位に働いているかの判別は、PC（パソコン）上の解析ソフトにより行う。この部分が上記測定情報検知手段2を構成する。

PCで解析した結果をもとに、上記制御手段3は、予め設定しておくところの求める効果（高揚感、鎮静感など）に近づくように香料の放出条件を制御する。すなわち、高揚感を得たい場合は交感神経系が活発化するように香料の放出種と量などを設定し、鎮静感を得たい場合は副交感神経系が活発化するように香料の放出種と量などを設定する。この設定はPCより行う。交感神経を活発化させるような香料または副交感神経を活発化させるような香料の放出種と量などは、予め作成した香りのデータベースをもとに決定する。

そして、制御手段3で設定された放出条件に従って放出手段4から香料が放出される。上記動作を繰り返し行うことで、香料を放出し始めた瞬間から、求めた効果に近づくように香料の放出種と量などを制御することができる。

図3は、生体情報に基づく香料放出量などの制御に関する上記フローを模式的に示したものである。この図3に示したフローでは、先ず生体情報が測定され、それが上記の如く解析される。解析した結果をもとに、放出内容すなわち放出材料の種類、量、時間、周波数などの放出条件が決定される。そして、その条件が信号により制御系に伝えられ、香り材料の放出態様が決定されて放出される仕組みとなっている。放出した後は、それによる生体反応の情報を測定し、上記解析工程以下の工程を繰り返す。

ここにおいて、上記解析は、格納されている種々のデータに基づいて行われる。このデータは、求める香り空間の種類、香り材料の効果、現在の生体情報と求める香り空間での生体反応との違いなどから、香り材料の効果を考慮して、どの材料をどの様に放出するかを決定するためのデータである。

本実施形態によれば、簡便に、しかも香料を放出する瞬間から人体に好影響を与える香料放出方法を提供できる。また、生体情報を被計測者に負荷を与えることなく逐次モニタリングすることで、放出する香料成分の放出量などを微細に制御し、常に人体に対して好影響を与えるのに必要充分な量の香料成分を放出できる。こうして、香料の人体へ与える影響の個人差を排除することができると同時に、過度の香料成分放出による人体への悪影響も未然に防ぐことができる。

本発明の実施の形態における香料放出装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態における香料収納カートリッジと吐出ヘッドを示す図である。 本発明の実施の形態における香料放出フローを示す図である。

符号の説明

1 生体情報計測手段
2 計測情報検知手段
3 香料放出量制御手段
4 香料放出手段

Claims (9)

1. はじめに生体の生体情報を計測し、計測した生体情報に基づいて、所望の香り空間を提供できるように香料の種類と吐出態様の情報を制御し、制御された情報に基づいて空間への香料の放出を行い、香料放出後は前記工程を繰り返し行うことを特徴とする香料放出方法。
2. 計測した生体情報に基づいて、最も快適感を与えるような調合比や吐出量となるように香料と吐出量を制御し、制御された情報に基づいて香料の放出を行うことを特徴とする請求項1に記載の香料放出方法。
3. 計測する生体情報が、自律神経系の指標であることを特徴とする請求項1に記載の香料放出方法。
4. 計測する自律神経系の指標が、腕または掌で計測できる指標であることを特徴とする請求項3に記載の香料放出方法。
5. 空間へ香料を放出する方法が、インクジェット方式によることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の香料放出方法。
6. 香料の放出量制御を、インクジェットヘッドの吐出周波数、ノズル数、吐出時間の少なくとも1つを変化させることにより行うことを特徴とする請求項5に記載の香料放出方法。
7. 放出する香料が、水または水とエタノールでほぼ10倍以上10000倍以下に希釈した香料であることを特徴とする請求項5または6に記載の香料放出方法。
8. 香料放出手段で香料を放出する香料放出装置であって、
   少なくとも1種類の香料を収納する手段と、
   香料放出の対象である生体の生体情報を計測する計測手段と、
   前記計測手段により計測される生体情報に基づいて前記香料放出手段による香料の放出の制御を行う制御手段と、
   を有し、
   前記制御手段は、前記計測手段により計測される生体情報が入力されたときのみに前記香料放出手段を駆動するように構成されていることを特徴とする香料放出装置。
9. 前記香料放出手段はインクジェット方式で香料を放出する請求項8に記載の香料放出装置。

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