ところで、従来のスライド式電子部品では、特許文献1のように、つまみと摺動型物の取り付けは、つまみに設けた突起部を摺動型物に設けた貫通穴に貫通させてこの突起部の先端を熱カシメすることで行っていた。しかしながらこの方法では、外装ケースを介してその上下につまみと摺動型物を一体に固定するには、つまみが外装ケースに固定されていない状態で、外装ケースを介してつまみと摺動型物を直接熱カシメして固定しなければならず、その取り付け作業が煩雑であった。そのため、電子機器の組み立て作業の効率化を図るには、従来の摺動型物へのつまみの取り付け方法を改善してスライド式電子部品の組み立て手順の簡単化を図る必要がある。
一方、スライド式電子部品では、摺動型物やつまみにそのスライド移動方向以外の方向へのガタつきがあると、これら摺動型物やつまみがスライド移動する際にスムーズな移動の妨げになり、また、スライド式電子部品を振動させた際に、つまみや摺動型物が他の部材に接触して接触音が生じるという問題がある。そのため、つまみや摺動型物のガタつきを効果的に防止する必要がある。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、外装ケース等の固定部材の上下に設置したつまみと摺動型物を簡単な手順で容易に取り付けることができるスライド式電子部品及びその組立方法を提供することにある。
また本発明の他の目的は、つまみや摺動型物のガタつきをなくしてスムーズに操作することができるスライド式電子部品を提供することにある。
上記課題を解決するため本願の請求項1に記載の発明は、移動することで電気的機能部の電気的出力を変化させる摺動型物と、前記摺動型物を操作するつまみとを、固定部材に設けた貫通穴を介して一体にスライド移動自在に取り付けてなるスライド式電子部品において、前記つまみに設けた係合爪を、前記固定部材の貫通穴に挿入して固定部材の下面にスナップイン係合することで、係合爪の先端を前記固定部材の下面から突出させた状態で、前記つまみを前記固定部材にスライド移動自在に取り付け、前記固定部材の下面から突出した前記係合爪の先端を、前記摺動型物に設けた被係合部に係合させることで摺動型物とつまみを一体に取り付けることを特徴とする。
本願の請求項2に記載の発明は、移動することで電気的機能部の電気的出力を変化させる摺動型物と、前記摺動型物を操作するつまみとを、固定部材に設けた貫通穴を介して一体にスライド移動自在に取り付けてなるスライド式電子部品の組立方法であって、前記つまみに設けた係合爪を、前記固定部材の貫通穴に挿入して固定部材の下面にスナップイン係合することで、係合爪の先端を固定部材の下面から突出させた状態でつまみを固定部材にスライド移動自在に取り付け、前記固定部材の下面から突出した係合爪の先端を、前記摺動型物に設けた被係合部に係合させることで摺動型物とつまみを一体に取り付けることを特徴とする。
本願の請求項3に記載の発明は、移動することで電気的機能部の電気的出力を変化させる摺動型物と、前記摺動型物を操作するつまみとを、固定部材に設けた貫通穴を介して一体にスライド移動自在に取り付けてなるスライド式電子部品において、前記固定部材には、前記つまみをスライド移動自在に収納する収納溝が設けられ、且つ前記つまみには、そのスライド方向と略直交する方向に向かって突出して前記収納溝の前記スライド方向に向かう側面に当接する突出部が設けられて前記つまみの前記スライド方向に略直交する方向への移動が規制されていることを特徴とする。
本願の請求項4に記載の発明は、移動することで電気的機能部の電気的出力を変化させる摺動型物と、前記摺動型物を操作するつまみとを、固定部材に設けた貫通穴を介して一体にスライド移動自在に取り付けてなるスライド式電子部品において、前記つまみには、該つまみから突出してこのつまみのスライド方向に伸びるガイド突起部が形成され、且つ前記固定部材には、前記ガイド突起部をスライド移動自在に係合させるガイド係合部が設けられて、前記ガイド突起部が前記ガイド係合部に係合することで前記つまみの前記スライド方向に略直交する方向への移動が規制されていることを特徴とする。
本願の請求項1に記載の発明によれば、つまみに設けた係合爪を固定部材の貫通穴に挿入して固定部材の下面にスナップイン係合し、固定部材の下面から突出した係合爪の先端を摺動型物に設けた被係合部に係合させることで摺動型物とつまみを一体に取り付けたので、固定部材の上下に設置したつまみと摺動型物を簡単な手順で容易に取り付けることができるスライド式電子部品となる。また、つまみが固定部材にスナップイン係合で取り付けられているので、つまみが固定部材から容易に外れるおそれのないスライド式電子部品となる。
本願の請求項2に記載の発明によれば、つまみに設けた係合爪を、固定部材の貫通穴に挿入して固定部材の下面にスナップイン係合し、固定部材の下面から突出した係合爪の先端を、摺動型物に設けた被係合部に係合させることで摺動型物とつまみを一体に取り付けるので、固定部材の上下に設置するつまみと摺動型物を簡単な手順で容易に取り付けてスライド式電子部品を組み立てることができる。
本願の請求項3に記載の発明によれば、固定部材に設けた収納溝のスライド方向に向かう側面につまみに設けた突出部を当接させることで、つまみのスライド方向に略直交する方向への移動を規制しているので、簡単な構成で部品点数を増加させずに、つまみや摺動型物にガタつきがなくこれらがスムーズにスライド移動することが可能なスライド式電子部品となる。
本願の請求項4に記載の発明によれば、つまみに設けたガイド突起部を固定部材に設けたガイド係合部に係合することで、つまみのスライド方向に略直交する方向への移動を規制しているので、簡単な構成で部品点数を増加させずに、つまみや摺動型物にガタつきがなく、これらがスムーズにスライド移動することが可能なスライド式電子部品となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1及び図2は、本発明の第1実施形態にかかるスライド式電子部品(以下、本実施形態では「スライド式スイッチ」という)の分解斜視図で、図1はその上側部分、図2はその下側部分の構成部品を示す図である。このスライド式スイッチは、図1に示すつまみ10と、固定部材(以下、本実施形態では「外装ケース」という)30とからなるスイッチ操作部1と、図2に示す下ケース40と、摺動型物50と、摺動子60と、フレキシブル回路基板70と、取付部材80とからなるスイッチ機能部2とを備えて構成されている。以下、各構成部品について説明する。なお以下の説明では、このスライド式スイッチにおいてつまみ10と摺動型物50が一体にスライド移動する方向(図1、図2の矢印で示す方向)を、スライド方向と呼ぶ。
つまみ10は、いずれも合成樹脂の成型品である操作部材11と取付部材21とからなり、操作部材11の下面に取付部材21を一体に取り付けて構成されている。操作部材11は、外形が略長方形状の平板状に形成され、その上面には指などで操作する突起状の操作部12が形成され、その下面には下方に向かって突出する二個の突起状の固定部13が設けられている。図3は、取付部材21をその下面側から見た斜視図である。同図および図1に示すように取付部材21は、操作部材11の外形と略同一形状である略長方形の平板状に形成され、操作部材11の固定部13に対応する位置に貫通穴からなる取付固定部22が設けられ、この取付固定部22の下面外周には凹部22aが形成されている。また取付部材21のスライド方向に向かう両側面21a,21bには、これら両側面21a,21bからそれぞれスライド方向と略直交する方向の両外側に向かって突出する舌片状の突出部23a,23bが各二個ずつ設けられ、さらに両側面21a,21bの突出部23a,23bの間には、矩形状に切り込まれた切込部24a,24bが形成されており、この切込部24a,24bの側面から下方に向かって係合爪25a,25bが突出して形成されている。互いに同形状の係合爪25a,25bは、図3に示すように、切込部24a,24bの側面から下方に向かって突出する可撓性を有する薄板状の基部26a,26bと、この基部26a,26bの先端部(下端部)28a,28bより少し上の外側の面(スライド方向に直交する両外側の面)に設けた外側に向かって突出する係合用突起27a,27bとを備えた形状に形成されている。係合用突起27a,27bは、その上面が略水平な平面状に形成され、その下面が取付部材21の両外側(スライド方向に直交する両外側)に向かってそれぞれ上昇する傾斜面状に形成されている。
外装ケース30は、スライド式スイッチを組み付ける例えばデジタルカメラなどの各種電子機器の外装ケースであり、合成樹脂の成型品からなる。なお各図においては、外装ケース30は、つまみ10を取り付ける部分及びその周囲のみを図示している。この外装ケース30は略平板状で、つまみ10の係合爪25a,25bを挿通させる貫通穴31a,31bが形成されている。貫通穴31a,31bは、互いに同形のスライド方向を長手方向とする長方形状で、これら2個の貫通穴31a,31bはスライド方向に直交する方向に沿って所定間隔で並べて設けられている。一方、外装ケース30上面の貫通穴31a,31bの周囲には、つまみ10の取付部材21の下面をスライド移動自在に収納する収納溝33が形成されている。この収納溝33は、所定深さに形成されたスライド方向を長手方向とする長方形状の溝で、そのスライド方向に向かう両側面34a,34bの間の幅寸法Dが、つまみ10の突出部23a,23bの先端間の幅寸法D´と略同一かそれよりもわずかに大きい寸法に形成されている。
次に、図2に示す下ケース40は、金属製の板材などで構成され、スライド方向を長手方向とする略長方形の平板状に形成された上面部41と、上面部41の四辺に連接し下方に向かって略直角に折り曲げられた側壁42a〜42dとを備えて箱型に形成され、側壁42a〜42dで囲まれた下面に開口する凹状の収納部43を設けている。また、スライド方向に向かう両側壁42a,42bの下端には、下方に向かって伸びる細片状の固定部44a,44bがそれぞれ二個ずつ形成されている。さらに側壁42aの固定部44aの間には、側壁42aの下端を矩形状に切り欠いてなる切欠部45が設けられている。一方、上面部41の側壁42bの近傍位置には、スライド方向を長手方向とする略長方形状の貫通穴である開口部46が設けられている。また、上面部41の開口部46と側壁42aとの間には、それぞれ上面部41の途中から切り欠かれて、スライド方向に沿って両側壁42c,42dの上端まで達し、さらにそこから下方向に向かい両側壁42c,42dの途中まで連続する切り欠きとして形成された切欠部47c,47dが設けられている。両切欠部47c,47d内には、切欠部47c,47dのスライド方向に直交する方向に向かう両側面の間に掛け渡された帯状の当接用突起部48c,48dが形成されている。この当接用突起部48c,48dは、その途中が下方に向かって折り返されて収納部43内に突出しており、この折り返された部分の相互に対向する側面が、下記するコイルスプリング55の両端部55c,55dに当接する当接部49c,49dになっている。
摺動型物50は、スライド方向に向かう長手方向の側面51a,51bとスライド方向に直交する方向に向かう短手方向の側面51c,51dを備える略長方形状で、所定の厚さ寸法を有する平板状に形成された合成樹脂の成型品である。そしてその両側面51a,51b間の幅寸法が、下ケース40の両側壁42a,42bの内面間の幅寸法よりも若干小さく形成されていて、摺動型物50が収納部43内で側壁42a,42bにガイドされてスライド方向に移動自在となるように形成されている。また、側面51a,51bの下端には、それぞれ下方に突出してスライド方向に向かって形成された突起状の案内部52a,52bが設けられている。一方、上面の側面51bに近い位置には、略矩形状の所定深さの凹部からなる被係合部53が設けられている。この被係合部53のスライド方向の幅寸法Lは、つまみ10の係合爪25bのスライド方向の幅寸法L´(図3参照)と略同一の寸法に形成されている。また摺動型物50の上面の被係合部53と側面51aとの間には、スライド方向を長手方向とする長方形状の凹部であるコイルスプリング収納部54が設けられている。このコイルスプリング収納部54に収納されるコイルスプリング55は、弾性金属製の線材をコイル状に巻回して構成されたもので、その軸方向(コイル軸方向)に圧縮されることで弾発力(弾性復帰力)を生じるバネ材である。そしてコイルスプリング収納部54は、コイルスプリング55を収納可能な深さを有し、その底面が略円筒形状に形成されると共に、スライド方向の両端部には、これを塞ぐ板状の係止部56c,56dが設けられている。さらにこの係止部56c,56dには、その上端から下端まで直線状に切り込まれた切込部57c,57dが設けられている。切込部57c,57dの幅寸法は、下ケース40の当接部49c,49dの幅寸法よりも若干大きな寸法に形成されている。
一方、摺動型物50の側面51aには、水平方向外側に向かって突出する略平板状の突出部58が設けられ、この突出部58の上面には、スライド方向に沿って所定間隔で並べて設けられた二個の突起58c,58dの間に形成された溝状の被係合部59が設けられている。この被係合部59のスライド方向の幅寸法(突起58c,58dの側面間の幅寸法)Lは、つまみ10の係合爪25aのスライド方向の幅寸法L´と略同一の寸法に形成されている。そして被係合部53と被係合部59とは、スライド方向における同一の位置に設けられており、スライド式スイッチを組み立てた際に、被係合部53に係合爪25aの先端部28aが係合し、被係合部59に係合爪25bの先端部28bが係合するように形成されている。一方、摺動型物50の下面の所定位置には、摺動子60を取り付ける突起状の固定部65が設けられている。
摺動子60は、導電性を有する弾性金属板によって構成され、平板状の基部61の一端から二本の摺動冊子62を突出し、これらを基部61の下側に折り曲げて形成されている。基部61には貫通穴からなる取付固定部63が設けられている。
フレキシブル回路基板70は、可撓性を有する合成樹脂フイルム(ポリエチレンテレフタレートフイルム〔PETフイルム〕等)製で、摺動子60の摺動冊子62が摺接する位置には、導電塗料を印刷形成してなる摺接パターン(以下、本実施形態では「スイッチパターン」という)71が形成されていて、これがフレキシブル回路基板70の表面に形成された図示しない回路パターンに接続されている。一方、下ケース40の各固定部44a,44bに対応する位置には、矩形状の貫通穴からなる取付固定部72が形成されている。なお図2では、フレキシブル回路基板70は、その一部のみを図示している。
取付部材80は、金属製あるいは合成樹脂製などの硬質板であり、フレキシブル回路基板70の取付固定部72に対応する位置に、取付固定部72と同形状の矩形状の貫通穴からなる取付固定部82を設けて構成されている。なお図2では、取付部材80は、その一部のみを図示している。
次に、スライド式スイッチの組み立て手順を説明する。まず、スイッチ操作部1を組み立てる手順を説明すると、操作部材11の下面に取付部材21を取り付けてつまみ10を組み立てる。その際、操作部材11の固定部13を取付部材21の取付固定部22に挿通させて、取付部材21の下面側に突出した固定部13の先端を熱カシメして固定する。ここでは、熱カシメした固定部13の先端は、凹部22a内に収まるため取付部材21の下面から突出しない。次に、この組み立てたつまみ10を外装ケース30に取り付ける。このとき、つまみ10の下面(取付部材21の下面)を外装ケース30の収納溝33内に配置し、各突出部23a,23bの先端を収納溝33の側面34a,34bに当接させると共に、つまみ10の係合爪25a,25bを貫通穴31a,31bに挿入する。このとき係合爪25a,25bを貫通穴31a,31bに挿入していくと、係合爪25a,25bの係合用突起27a,27bの下面に、貫通穴31a,31bの外側の側面32a,32bの上端部がそれぞれ当接することで、両係合爪25a,25bがつまみ10の内側方向に向かって押されて両基部26a,26bが撓み、係合用突起27a,27bが側面32a,32bを乗り越えて側面32a,32bの下端部(外装ケース30下面の貫通穴31a,31bの外周)にスナップイン係合する。以上によりスイッチ操作部1の組み立てが完了する。
図4は、外装ケース30につまみ10を取り付けてなるスイッチ操作部1を、その下面側から見た斜視図である。同図に示すように、係合爪25a,25bが貫通穴31a,31bを貫通して外装ケース30の下面にスナップイン係合していることで、つまみ10が外装ケース30に対してスライド方向に沿ってスライド移動自在となるように取り付けられている。またこのとき、係合爪25a,25bの先端部28a,28bが、貫通穴31a,31bから外装ケース30の下面に突出した状態になっている。
次に、スイッチ機能部2を組み立てる手順を説明する。まず、摺動型物50のコイルスプリング収納部54にコイルスプリング55を収納する。この際、コイルスプリング55を圧縮した状態で収納することで、コイルスプリング55の両端部55c,55dを係止部56c,56dに弾接させた状態にする。一方で、摺動型物50の下面に摺動子60を取り付ける。このとき、固定部65を摺動子60の取付固定部63に挿通させて基部61の下面側に突出した固定部65の先端を熱カシメして固定する。そして、このコイルスプリング55と摺動子60を取り付けた摺動型物50を、下ケース40の収納部43に収納する。この際、下ケース40の当接部49c,49dをそれぞれ摺動型物50の切込部57c,57d内に挿入することで、当接部49c,49dをコイルスプリング55の両端部55c,55dに当接させた状態にする。また、摺動型物50の突出部58の根元部分を、下ケース40の切欠部45の下側に配置して、突出部58の先端を切欠部45から下ケース40の外側に突出させて、被係合部59を側壁42aの外側に配置する。またこのとき、もう一方の被係合部53が、下ケース40の開口部46から露出した状態になる。この状態で、取付部材80の上面にフレキシブル回路基板70を重ね合わせたものを、下ケース40の下面(側壁42a〜42dの下端面)に取り付ける。この際、下ケース40の固定部44a,44bをフレキシブル回路基板70の取付固定部72と取付部材80の取付固定部82に挿通させて、取付部材80の下面側に突出した固定部44a,44bを、それぞれ取付部材80の内側に向けて折り曲げることで、これら各部材を一体に固定する。以上によりスイッチ機能部2の組み立てが完了する。
次に、上記手順によりあらかじめ組み立てたスイッチ操作部1のつまみ10の係合爪25a,25bの先端部28a,28bを、スイッチ機能部2の摺動型物50の被係合部5
9,53に係合させて取り付ける。図5は、この手順を説明するための概略側断面図である。この取り付けは、スイッチ操作部1の外装ケース30に、スイッチ機能部2の取付部材80を取り付けることで行われる。即ち、外装ケース30内にスイッチ機能部2を収納し、これを貫通穴31a,31bの下側に配置する際に、スイッチ機能部2の取付部材80を、その図示しない位置でスイッチ操作部1の外装ケース30に対して固定する。それと同時に、外装ケース30の下面に突出する係合爪25a,25bの先端部28a,28bが、摺動型物50の被係合部59,53内に挿入される。ここでは、上記したように係合爪25a,25bの幅寸法L´と被係合部59,53の幅寸法Lとが略同一の寸法に形成されているので、スライド方向において係合爪25a,25bの先端部28a,28bが被係合部59,53内に固く係合し、つまみ10と摺動型物50が外装ケース30を介してその上下で一体に固定される。以上によりスライド式スイッチの組み立てが完了する。
図6は、組み立てたスライド式スイッチの構成を示す概略側断面図である。同図に示すようにこのスライド式スイッチは、つまみ10に設けた係合爪25a,25bを、外装ケース30の貫通穴31a,31bに挿入して外装ケース30の下面にスナップイン係合することで、係合爪25a,25bの先端部28a,28bを外装ケース30の下面から突出させた状態で、つまみ10を外装ケース30にスライド移動自在に取り付けると共に、外装ケース30の下面から突出した係合爪25a,25bの先端部28a,28bを、摺動型物50に設けた被係合部59,53に係合させることで、摺動型物50とつまみ10を外装ケース30の貫通穴31a,31bを介して一体にスライド移動自在に取り付けて構成されている。ここでは、係合爪25a,25bの先端部28a,28bが摺動型物50の被係合部59,53内に係合していることで、係合爪25a,25bがつまみ10の内側方向に向かって撓もうとすると被係合部53,59の内側の側面に当接してその移動が規制されるので、係合爪25a,25b(係合用突起27a,27b)のケース30へのスナップイン係合が容易に外れるおそれがない。またこのスライド式スイッチでは、下ケース40内にスライド移動自在に収納された摺動型物50に取り付けた摺動子60と、フレキシブル回路基板70上に形成されたスイッチパターン71とで、摺動型物50のスライド移動により電気的出力が変化する電気的機能部100が構成されている。
図7はこのスライド式スイッチのスイッチ操作部1の概略平面図である。同図を参照してスライド式スイッチの動作を説明する。まず、つまみ10を操作していない状態では、図7に示すように、つまみ10は収納溝33のスライド方向の中央に位置すると共に、図2に示す摺動型物50が下ケース40の収納部43の略中央に位置し、コイルスプリング55の両端部55c,55dがそれぞれ下ケース40の当接部49c,49dに当接している。このときのつまみ10と摺動型物50の位置を中立位置とする。この中立位置から、つまみ10をスライド方向のいずれか一方に向かって動かすと、つまみ10と摺動型物50が一体にスライド移動して、摺動子60の摺動冊子62がスイッチパターン71上を摺接してスイッチのオンオフ出力が変化する。またこのとき、コイルスプリング55が、下ケース40のいずれか一方の当接部49c又は49dとこれに対向する摺動型物50のいずれか一方の係止部56d又は56cとに挟まれて圧縮され、摺動型物50に中立位置への復帰力が生じる。したがって、つまみ10を操作する力を取り除くと、コイルスプリング55が元の形状に復帰することで摺動型物50が中立位置に自動復帰し、スイッチのオンオフ出力が元の状態に戻る。
一方、つまみ10を中立位置からスライド方向の他方に向かって動かすと、つまみ10と摺動型物50が一体にスライド移動し、摺動子60の摺動冊子62がスイッチパターン71上を摺接してスイッチのオンオフ出力が変化する。またこのとき、下ケース40の当接部49c又は49dとこれに対向する摺動型物50の係止部56d又は56cとの間に挟まれたコイルスプリング55が圧縮されるので、つまみ10を操作する力を取り除くと摺動型物50が中立位置に自動復帰し、スイッチのオンオフ出力が元の状態に戻る。
ここで図7に示すように、つまみ10に、スライド方向と略直交する方向に向かって突出する突出部23a,23bを設け、この突出部23a,23bの先端を外装ケース30の収納溝33のスライド方向に向かう側面34a,34bに当接させて、つまみ10のスライド方向に略直交する方向への移動を規制しているので、つまみ10や摺動型物50がスライド移動する際に、これらにガタつきがなくスムーズに操作することが可能となる。また、このスライド式スイッチを振動させた際に、つまみ10がスライド方向に直交する方向に向かって回転するように移動してつまみ10の側面21a,21bが収納溝33の側面34a,34bに接触したり、図2に示す摺動型物50の側面51a,51bが下ケース40の側壁42a,42bの内面に接触したりするおそれがないので、中立位置においてつまみ10や摺動型物50がガタつかずに済む。したがって、簡単な構成で部品点数を増加させずに、操作性が良好で且つ振動させた際に接触音が発生しないスライド式スイッチを構成できる。
以上説明したように、このスライド式スイッチでは、あらかじめ外装ケース30につまみ10をスナップイン係合によって取り付けることでスイッチ操作部1を組み立てておき、一方それとは別に、摺動型物50を下ケース40内に収納して下ケース40の下面にフレキシブル回路基板70と取付部材80を取り付けることでスイッチ機能部2を組み立てておき、その後、スイッチ操作部1にスイッチ機能部2を取り付ける際に、外装ケース30の下面から突出した係合爪25a,25bの先端を、摺動型物50に設けた被係合部59,53にそれぞれ係合させて摺動型物50とつまみ10を一体に取り付けるので、外装ケース30の上下に設置したつまみ10と摺動型物50を簡単な手順で容易に取り付けることができるスライド式スイッチとなる。
また、つまみ10が外装ケース30にスナップイン係合で取り付けられているので、つまみ10が外装ケース30から容易に外れてしまうおそれがない。またこのスライド式スイッチでは、係合爪25a,25bの幅寸法L´と被係合部59,53の幅寸法Lが略同一の寸法に形成されて、係合爪25a,25bの先端部28a,28bが被係合部59,53内にスライド方向で固く係合しているので、つまみ10と摺動型物50の間にガタつきが生じるおそれがない。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態にかかるスライド式スイッチを説明する。以下の本実施形態にかかる図面及びその説明においては、上記の第1実施形態と共通する構成部分には同一の符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項や図示する以外の部分については、第1実施形態と同じである。図8は、本発明の第2実施形態にかかるスライド式スイッチが備えるつまみ10−2と外装ケース30−2とからなるスイッチ操作部1−2を、その下面側から見た分解斜視図である。本実施形態が第1実施形態と相違する点は、第1実施形態における取付部材21を備えたつまみ10にかえて、他の構成の取付部材21−2を備えたつまみ10−2を設けた点と、第1実施形態の外装ケース30にかえて、他の構成の外装ケース30−2を設けた点である。
即ち、つまみ10−2が備える取付部材21−2は、第1実施形態の取付部材21が備える突出部23a,23bを省略するかわりに、取付部材21−2の下面にガイド突起部90を設けて構成されている。このガイド突起部90は、取付部材21−2の下面中央から下方に向かって突出する突起状の支持部91と、該支持部91の先端からスライド方向の両外側に向かって略水平に直線状に延伸する棒状のガイド部92とを備えて略T字形状に形成されている。一方、外装ケース30−2は、その貫通穴31aと貫通穴31bの間であってつまみ10−2のガイド突起部90に対応する位置に、ガイド係合部95を設けている。このガイド係合部95は、長手方向がスライド方向である長方形状の貫通穴96と、外装ケース30−2の下面の貫通穴96の長手方向の両端からスライド方向の両外側に向かって直線状に形成された溝部97とを備えて構成されている。貫通穴96は、ガイド部92を挿通させてこれを外装ケース30−2の下面側に露出させる形状に形成され、溝部97は、その内部でガイド部92をスライド方向に沿ってスライド移動可能な形状に形成されている。なお、貫通穴96のスライド方向の両端部を溝部97とし、この部分に貫通穴96を設けないのは、つまみ10−2がスライド移動した際に、外装ケース30の上面側から貫通穴96が見えてしまうことを防ぐためである。
このスライド式スイッチの組み立てにおいて、つまみ10−2の係合爪25a,25bを外装ケース30−2の貫通穴31a,31bに貫通させて、つまみ10−2を外装ケース30−2にスナップイン係合で取り付ける際に、ガイド突起部90のガイド部92を貫通穴96に挿通させて外装ケース30の下面側に露出させる。これにより、ガイド突起部90がガイド係合部95に係合した状態になる。そしてこのスライド式スイッチは、つまみ10−2をスライド移動させると、ガイド突起部90のガイド部92がガイド係合部95の貫通穴96及び溝部97内をスライド移動する。このようにガイド突起部90がガイド係合部95に係合していることで、つまみ10−2のスライド方向に略直交する方向への移動が規制されている。これにより、スライド式スイッチを振動させた際に、つまみ10−2がスライド方向に直交する方向に向かって回転するように移動してつまみ10−2の側面21a,21bが、外装ケース30−2の収納溝33の側面34a,34bに接触したり、摺動型物50の側面51a,51bが下ケース40の側壁42a,42bの内面に接触したりするおそれがないので、つまみ10−2や摺動型物50がガタつかずに済む。また、つまみ10−2や摺動型物50がスライド移動する際にも、これらにガタつきがなくスムーズな操作が可能となる。したがって第1実施形態と同様、簡単な構成で部品点数を増加させることなく、振動させた際に接触音が発生せず、且つ操作性が良好なスライド式スイッチとなる。また、第1実施形態のように取付部材21に突出部23a,23bを設けると、この突出部23a,23bが外から見えてしまいスライド式スイッチの外観上問題がある場合でも、本実施形態のようにつまみ10−2の下面にガイド突起部90を設けると共に、外装ケース30−2のつまみ10−2の下面に対向する位置にガイド係合部95を設ければ、スライド式スイッチの外観に影響を与えずに、つまみ10−2や摺動型物50のガタつきを効果的に防止することが可能となる。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、第1実施形態においては、つまみ10の係合爪25a,25bそれぞれに対応する貫通穴31a,31bを外装ケース30に設けたが、これら貫通穴31a,31bは互いに連結した1個の貫通穴として形成してもよい。また上記各実施形態のスライド式スイッチでは、つまみ10(10−2)に2個の係合爪25a,25bを設けているが、つまみ10に設ける係合爪25a,25bは、そのいずれか一方のみとしてもよい。その場合は、省略した係合爪25a又は25bに対応する外装ケース30(30−2)のいずれか一方の貫通穴31a又は31bも不要となる。
また、上記各実施形態では、つまみ10(10−2)を操作部材11と取付部材21の二個の部品で構成している場合を示したが、つまみ10(10−2)は1個の部品で一体に形成されていてもよい。また、第1実施形態のスライド式スイッチが備える突出部23a,23bと、第2実施形態のスライド式スイッチが備えるガイド突起部90及びガイド係合部95とは、これら両方を同一のスライド式スイッチに設置することもでき、これにより、つまみ10(10−2)や摺動型物50のガタつきをより効果的に防止することが可能となる。さらに第2実施形態では、つまみ10−2に設けたガイド突起部90を略T字形状に形成したが、ガイド突起部90の形状はこれに限定されず、例えばその他にも、ガイド突起部90を、つまみ10−2の下面(取付部材21−2の下面)から下方に向かって突出してスライド方向に伸びる板状の突起部とし(つまり、図8で示す支持部91を省略して、取付部材21−2の下面に直接ガイド部92を設けた構造)、外装ケース30−2の上面側である収納溝33の底面に、この板状の突起部をスライド移動自在に係合させる溝部を設けることも可能である。
また、上記の各実施形態では、スライド式電子部品として、スイッチパターン71上を摺動冊子62が摺接する構成の電気的機能部を備えたスライド式スイッチを説明したが、スライド式電子部品の構成はこれに限定されず、その他にも例えば、抵抗体パターン上を摺動冊子62が摺接する構成の電気的機能部を備えたスライド式可変抵抗器などとすることも可能である。