JP2007052855A - 媒体記憶装置のデータ消失防止方法及び媒体記憶装置 - Google Patents

媒体記憶装置のデータ消失防止方法及び媒体記憶装置 Download PDF

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Abstract

【課題】記憶媒体にヘッドでリード/ライトする媒体記憶装置において、記憶媒体の記録データの熱緩和によるデータ消失を未然に防止する。
【解決手段】記憶媒体(19)の記録レコード単位に、チャネル回路(16C)の検出したリードエラーに関連する情報を格納するテーブル(19B)を設け、このリードエラーに関連する情報を測定し、更新し、熱緩和によるデータ劣化を判定する。熱緩和による記録データの劣化を、精度良く検出して、データ消失防止することができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、磁気ディスク等の記憶媒体にデータをヘッドで記録する媒体記憶装置のデータ消失防止方法に関し、特に、熱緩和による記憶媒体の記録データの劣化によるデータ消失を未然に防止する媒体記憶装置のデータ消失防止方法及び媒体記憶装置に関する。
近年のデータ電子化処理の要求により、媒体にデータを記憶する磁気ディスク装置や光磁気ディスク装置の媒体記憶装置に、大容量化が要求されている。このため、記憶媒体は、益々トラック密度や記録密度が高くなっている。しかも、トラック上の無駄な領域の減少が要求されている。
データが記録、保存される磁気媒体には、正負の磁化反転によって、情報が記録されている。この記録磁化が、ある揺らぎ、即ち、磁気雑音や原子の熱エネルギーによる僅かな磁化反転によって、打ち消す方向に磁化され、磁化状態が小さくなり、記録保持力が低下する場合がある。この現象が「熱緩和(Thermal Relaxation)」または「熱揺らぎ」と呼ばれている。
熱緩和現象が発生した場合は、S/N比の低下、即ち、エラーレイトの悪化を招き、既に記録されたデータの読み出しに失敗する等の信頼性に関わる問題を含んでいる。最悪の場合は、データ損失という危険性を内在している。
この記録保持力の低下(磁化の低下)は、数十年以上の時定数で低下していくために、現在までは、全く問題にされていなかったが、ここ近年の記録密度の向上に伴い、数年単位の時定数で、磁化低下現象が発生することが問題視されてきている。
例えば、時間経過と共に、熱緩和によってエラーレイトが悪化していった場合の例を、図20及び図21で説明する。図20の書き込み後の経過時間とBER(ビットエラーレート)のデータに示すように、時間経過1分(LOG表記で、1.78)から60分(LOG表記で、3.56)後に、BERが0.53乗劣化した場合を考える。図21に示すように、時間経過(LOG表記)1.78(1分)から3.56(60分)の経過の比で表すと、0.53/(3.56−1.78)=0.53/1.78=0.3となる。
即ち、1decade当り、約0.3乗の劣化となる。これを、0.3乗/decadeと表記すると、5年後(8.2decade)は、0.3×(8.2−1.78)=1.93乗の劣化が発生することになる。従って、製品出荷時には、例えば、品保証期間5年の場合、アンリカバードエラー発生保証[ビットエラーレイトBER=1e−13(−13乗)]は、既に書き込まれたデータが5年経過した後にも、満足していなければならない。その場合、製品出荷時のエラーレイトに対して,5年後の熱緩和によるエラーレイト劣化を上乗せしたエラーレイト検証を行った後に,製品出荷しなければならない。
この例では、アンリカバードエラー発生保証[BER=−13乗]に,上記5年後の熱緩和劣化量=1.93乗を上乗せした「−14.93乗」を保証できるような製品出荷体系が必要となる。
しかし、このような方法は、ヘッドや記憶媒体の特性によって、記録再生特性が変化するため、より特性の優れたヘッドや記憶媒体を使用する他に、製品出荷の試験時に、熱緩和劣化を測定して、5年後の予測を行い、その劣化量に対する再生マージンを上乗せし、出荷試験を行う必要があり、試験工程に時間と手間がかかり、大量生産に不向きである。
このような観点から、従来、以下の熱緩和によるデータ消失を防止する種々の方法が提案されている。(1) 通常のデータとは別に、記録媒体の所定の領域に、参照データを記録しておき、この参照データの再生レベルの値により、対応するデータのデータ消失防止の必要性を判断する(例えば、特許文献1参照)。
(2)記録データは、書き込みからの経過時間と共に劣化するため、記録後の経過時間を計測して、再記録の必要性を判定する。また、媒体の温度変化を検出して、変化が大きい時は再記録を行う(例えば、特許文献2参照)。
(3)記録データを再生し、その再生レベルと基準レベルを比較して、熱緩和による劣化が生じたかを判断する(例えば、特許文献3参照)。
特開平10−255202号公報(図4) 特開平10−255209号公報(図3) 特開2001−216605号公報(図3)
近年、記憶装置の記憶密度の高密度化と、低価格化が要求されている。従来技術(1)は、参照データの再生レベルは、実際のデータのレベルに比例すると仮定しているが、周知のように、記録パターンにより、熱緩和現象が異なるため、参照データの再生レベルの検出では、精度良く再記録すべきデータを検出することは困難である。また、多数の参照データを記録すると、参照データを記録する所定の領域を、記録媒体に設ける必要があり、記録領域の無駄が生じる問題もあった。
又、従来技術(2)は、各データの経過時間を検出するため、比較的簡単に実現できるが、経過時間は、データ劣化を間接的に示すものであるため、実際に再記録する必要のないデータも再記録の必要があると判断してしまう問題がある。更に、温度変化と経過時間の関数のみで判断してしまうため、品質低下の無い記録データも再記録の対象となってしまうので、膨大な無駄な処理が発生する可能性が大きい。
更に、従来技術(3)は、記録データを読み出す必要があり、記憶媒体に膨大なデータを記録している場合には、劣化判定に時間がかかるという問題があり、しかも、再生データのレベルを検出するには、リードデータの作成経路とは別に、特別なA/Dコンバータを含む別の経路を必要とし、ハードウェアの増加をもたらす。
従って、本発明の目的は、熱緩和による記録データの劣化を、精度良く検出して、データ消失防止するための媒体記憶装置のデータ消失防止方法及び媒体記憶装置を提供することにある。
又、本発明の他の目的は、熱緩和による記録データの劣化を、少ない記録領域の使用で、精度良く検出するための媒体記憶装置のデータ消失防止方法及び媒体記憶装置を提供することにある。
更に、本発明の更に他の目的は、熱緩和による記録データの劣化を、短時間で、精度良く検出するための媒体記憶装置のデータ消失防止方法及び媒体記憶装置を提供することにある。
更に、本発明の更に他の目的は、熱緩和による記録データの劣化を、ハードウェアを増加することなく、精度良く検出するための媒体記憶装置のデータ消失防止方法及び媒体記憶装置を提供することにある。
この目的の達成のため、本発明の媒体記憶装置は、記憶媒体のデータをリード及びライトするヘッドと、前記ヘッドからのリードデータに復調し、前記ヘッドへのライトデータを変調するチャネル回路と、上位からのコマンドに応じて、前記ヘッドのリード及びライト動作を制御する制御回路と、前記記憶媒体のレコード単位に、前記チャネル回路の検出したリードエラーに関連する情報を保持するテーブルとを有し、前記制御回路は、前記記憶媒体に記録されたデータを前記レコード単位に、前記チャネル回路を介し読み出し、前記読み出し時の前記チャネル回路の検出したリードエラーに関連する情報を測定し、前記測定値で、前記テーブルを更新するとともに、前記測定値から前記レコード単位のデータの劣化を判定する。
又、本発明のデータ消失防止方法は、記憶媒体のデータをリード及びライトするヘッドと、前記ヘッドからのリードデータに復調し、前記ヘッドへのライトデータを変調するチャネル回路と、上位からのコマンドに応じて、前記ヘッドのリード及びライト動作を制御する制御回路とを有する媒体記憶装置のデータ消失防止方法であり、テーブルに、前記記憶媒体のレコード単位に、前記チャネル回路の検出したリードエラーに関連する情報を保持するステップと、前記記憶媒体に記録されたデータを前記レコード単位に、前記チャネル回路を介し読み出し、前記読み出し時の前記チャネル回路の検出したリードエラーに関連する情報を測定するステップと、前記測定値で、前記テーブルを更新するステップと、前記測定値から前記レコード単位のデータの劣化を判定するステップとを有する。
更に、本発明では、好ましくは、前記チャネル回路は、前記リードデータの取りうる状態遷移における前後関係から最も確からしいデータ系列を検出する最尤復号器を有し、前記制御回路は、前記リードエラーに関連する情報として、前記最尤複号器の前記前後関係から最も確からしいデータ系列を検出するためのパラメータで、前記テーブルを更新する。
更に、本発明では、好ましくは、前記最尤復号器は、前記最も確からしいデータ系列を検出するためのパラメータとして、前記リードデータの前後関係における取りうる状態遷移の理想値と前記リードデータとの誤差に関する情報を検出し、前記制御回路は、前記リードエラーに関連する情報として、前記最尤複号器の前記誤差に関する情報で、前記テーブルを更新する。
更に、本発明では、好ましくは、前記最尤復号器は、前記理想値と前記リードデータとの誤差との累積値が、所定値を超える回数値が少ないデータ系列を最も確からしいデータ系列として検出し、制御回路は、前記パラメータとして、前記最尤複号器の回数値で、前記テーブルを更新する。
更に、本発明では、好ましくは、前記制御回路は、前記測定値と所定の閾値とを比較し、前記比較結果により、前記レコード単位のデータを、前記記憶媒体に再記録する。
更に、本発明では、好ましくは、前記テーブルは、前記レコード単位に、前記測定値とともに前記データの経過時間情報を格納し、前記制御回路は、前記テーブルから前記レコード単位の測定値と経過時間情報を読み出し、前記経過時間情報による経過日が、基準日を経過している前記レコードに対し、前記測定及び更新を実行する。
更に、本発明では、好ましくは、前記制御回路は、前記装置の稼動時間を累積し、前記累積した稼動時間が所定値を超えたことを判定し、前記テーブルの前記測定値の測定及び更新を実行する。
更に、本発明では、好ましくは、前記テーブルは、前記装置の製造日情報を格納し、前記制御回路は、前記テーブルから前記製造日情報を読み出し、現在日への経過日が、基準日を経過していることを判定し、前記テーブルの前記測定値の前記測定及び更新を実行する。
更に、本発明では、好ましくは、前記制御回路は、前記測定を行った後、前記測定値と所定の閾値とを比較し、前記比較結果により、前記レコード単位のデータを、前記記憶媒体に再記録する。
更に、本発明では、好ましくは、前記テーブルは、前記レコード単位に、前記測定値とともに前記測定値の更新日を格納し、前記制御回路は、前記テーブルから前記レコード単位の測定値と更新日を読み出し、前記更新日から現在日への経過日が、基準日を経過している前記レコードに対し、前記測定及び更新を実行する。
更に、本発明では、好ましくは、前記記憶媒体が、磁気記憶媒体である。
本発明では、記憶媒体の記録レコード単位に、チャネル回路の検出したリードエラーに関連する情報を使用して、熱緩和によるデータ劣化を判定するので、熱緩和による記録データの劣化を、精度良く検出して、データ消失防止することができる。しかも、リードエラーに関する情報を使用するため、熱緩和による記録データの劣化を、少ない記録領域の使用で、且つ短時間で、精度良く検出でき、ハードウェアを増加することも防止できる。
以下、本発明の実施の形態を、媒体記憶装置、熱緩和マップ、熱緩和マップ作成処理、熱緩和マップ更新処理、他の実施の形態の順で説明する。
**媒体記憶装置**
図1は、本発明の一実施の形態の媒体記憶装置の構成図、図2は、図1の記録/再生回路の構成図である。図1は、媒体記憶装置として、磁気ディスクにデータをリード/ライトする磁気ディスク装置(Hard Disk Drive)を例に示す。
図1に示すように、磁気ディスク装置10は、パーソナルコンピュータ(図2で後述する)に内蔵又は接続され、パーソナルコンピュータのホスト(図1では図示せず)とATA(AT Attachment)規格等のインターフェースのケーブル(図示せず)で接続される。
磁気ディスク装置10は、ディスクエンクロージャー1内に、複数枚(ここでは、2枚)の磁気ディスク19と、磁気ディスク19を回転するスピンドルモータ20と、磁気ディスク19の各面にデータをリード/ライトする複数(ここでは、4つ)の磁気ヘッド25と、磁気ヘッド25を磁気ディスク19の半径方向(トラック横断方向)に移動するアクチュエータ(VCM)22と、ヘッドIC(プリアンプ)18とを備える。
又、制御ボード2に、HDC(Hard Disk Controller)12と、データバッファ14と、MCU11と、メモリ(RAM/ROM)13と、リードチャネル回路16と、スピンドルモータ/VCMドライバ21と、これらを接続するバス17とを備える。
HDC12は、ホストからタスクをセットするタスクファイルを有するインターフェース制御回路と、データバッファ14を制御するデータバッファ制御回路とを有する。リードチャネル回路16は、リードデータの復調やライトゲートの生成を行う。
データバッファ14は、キャッシュメモリの役目を果たし、ホストからのライトデータを保存し、磁気ディスク19からのリードデータを保存する。そして、ライトバック時には、データバッファ14のライトデータを、磁気ディスク19にライトし、リード時には、データバッファ14のリードデータを、ホストへ転送する。
ヘッドIC(プリアンプ)18は、ライト時は、ライトデータに従い、磁気ヘッド25に記録電流を流し、リード時は、磁気ヘッド25からの読取信号を増幅して、リードチャネル回路16に出力する。スピンドルモータ/VCMドライバ21は、スピンドルモータ20を回転駆動し、磁気ヘッド25を移動するVCM22を駆動する。
MCU(Micro Controller Unit)11は、磁気ヘッド25の位置制御、リード/ライト制御、リトライ制御を行う。メモリ(ROM/RAM)13は、MCU11の処理に必要なデータを格納する。このリードチャネル回路16に、リード/ライトタイミング回路が設けられ、MCU11は、このタイミング回路と連携して、リード/ライト制御を実行する。
図2のライト及びリード系の構成図に示すように、ホストコンピュータ30から送られてくる[0、1]のバイナリーパターンからなるユーザデータは、ハードディスクコントローラ12に入力される。ハードディスクコントローラ12は、ユーザデータに、誤訂正検出のためのCRC (Cyclic Redundancy Check)符号器12Aにより、CRCを付加し、ECC(Error Correcting Code)符号器12Bにより、エラー訂正のためのECCが付加し、リードチャネル回路16に入力する。
リードチャネル回路16では、PLL(Phase Locked Loop)における再生時のタイミング補正を可能ならしめるためのRLL(Run Length Limited) 符号器16Aが、入力データを符号化する。そして、RLL符号器16Aの出力は、ヘッドIC18及びヘッド25を介して、ディスク19に、磁気記録、再生される。
一方、ヘッド25で、ディスク19から再生されたアナログ信号は、リードチャネル回路16の等化器16Bにより、PR4(Partial Response class 4)、EPR4(Extended PR4)、EEPR4(Extended EPR4)、MEEPR4(Modified EEPR4)方式等の所望の目標波形となるように信号が整形される。
整形されたアナログ信号は、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式を実現する最尤復号器の一つであるビタビ復号器16Cにより復号された後、RLL復号器16Dにより復号されて、リードチャネル回路16より出力される。このリードチャネル出力は、ハードディスクコントローラ12のECC復号器12Cにより誤り訂正がなされ、CRC検出器12Dにより,誤訂正の有無をチェックされた後、ホストコンピュータ30に渡される。
本発明では、後述するように、ライト毎に、再記録の管理情報である熱緩和マップを、レコード単位で作成し、ディスク19のシステムエリアに保持し、この熱緩和マップを、ディスク19からRAM14に読み出し、そのレコードを最記録するか判定し、又は更新し、システムエリアに記録する。
**熱緩和マップ**
前述の再記録のための管理情報である熱緩和マップについて、説明する。図3は、熱緩和マップの説明図、図4は、熱緩和マップの格納領域の説明図、図5は、熱緩和マップのセクタ内での格納状況説明図、図6は、1コマンド分の熱緩和マップRAMエリアの説明図である。
図3に示すように、製造年月日データ40は、1Byteで構成され、製造年、月、日からなり、製品出荷時に、HDD内部のディスク19のシステム領域19B(図4参照)に書き込まれる。
次に、熱緩和MAP41の構成について説明する。一般に、ATA仕様でのコマンド形式は、CHS方式(Cylinder−Head−Sector形式)で行われるので、特に、Write系コマンドで発行されたCHSを記憶しておき、即時に又は上位ホストからのコマンド発行が無いときに、最尤情報の一つであるVTM(Viterbi Trellis Margin)の測定を測定し、その値を、熱緩和MAP41に書き込む。また、その際、更新年月日(西暦)も同時に書き込んでおく。
また、製造年月日からその更新年月日までの経過日数も、合わせて書き込んでおく。この様にすれば、HDDに書き込まれたデータの経歴を”書き込み日”,”製造年月日からの経過日数”及び”VTM値”によって知ることができ、信号品質の判定を行うことが可能である。
ここで、ライト系コマンドは、指定されたセクタ数を媒体にライトするWrite Sector command、指定されたセクタ数を、(データ+ECC)バイト構成で媒体にライトするWrite Long command、指定されたブロック数(複数のセクタ単位で構成)を媒体にライトするWrite Multiple command等である。
即ち、図3に示すように、熱緩和マップ41は、8バイトで構成され、1バイト目に、書き込み時の年月日(西暦)を、decimalで書き込む。2バイト目に、上記書き込み時から、データスキャンを行った現在時刻までの経過日数と、該当するヘッド番号を書き込む。3バイト目、4バイト目に、該当する開始シリンダ番号(MSB/LSB)を書き込む。5バイト目に、該当する開始セクタ番号を書き込む。6バイト目に、転送要求セクタ数を書き込む。7バイト目,8バイト目に、該当する全セクタのVTM値(MSB/LSB)を書き込む。
図5に示すように、この8バイトの熱緩和マップ41を、1セクタに展開した場合には、1セクタ=512Byteとすると、ディスク19のデータ領域19A以外の領域(システム領域19B)に、100トラック程度準備すれば、64,000×100トラック=640万個のデータファイルの熱緩和MAP41を格納できる。
この場合は、1ヘッドの場合であり、更に、図1の4ヘッドの場合には、640万×4=2560万個まで拡張できる。但し、多ヘッドの場合には、多重書き込み等を行うので、上記値からは多少減少する。媒体19上では、データ領域として使用しない外周のシステム領域19B内に、熱緩和MAP41を格納するようにすれば、データ領域を削減しなくて済む。
上記のような熱緩和MAP41を、HDD内部のシステム領域19Bに格納することで、定期的に、この情報を読み出し、更新DATE(経過日数)が、あるしきい値(例えば、製造年月日からある一定期間が経過しているか否か及びホストから与えられる現在時間情報との比較)を超えている場合には、マップ41に表示されたLBA情報の位置へアクセスを開始し、最尤情報(VTM)またはリードオンリーエラーレイトの測定を開始する。
その結果、あるVTM又はエラーレイトを満足しない場合には、ディスク19から該当LBA全ての読み出しを行い、データをバッファ14上に保持し、該当データのディスク19の書き直し(再記録)作業を、自動的にHDD(MCU11)が行う。
図6は、Write系コマンド受信時に、RAM14に作成される1コマンド分の熱緩和マップ42の説明図である。ライト系コマンドの場合には、コマンド要求のCHS(または、LBA形式の場合にはLBA),並びに転送要求セクタ数(書き込みセクタ数)を、RAM領域14に、その値を格納する。この動作は、全てのコマンドが終了するまで、実行される。全てのコマンドが終了した後には、図6に示すような熱緩和マップ42が、RAM14に作成される。
即ち、1バイト目に、フラグと、コマンド番号の上位、2バイト目に、コマンド番号の下位と、開始ヘッド番号、3バイト目、4バイト目に、開始シリンダアドレス、5バイト目に、開始セクタ番号、6バイト目に、転送セクタ数を、7バイト目、8バイト目に、後述するように、測定した最尤情報(VTM)を格納する。
1コマンド分は、上記のように8Byte構成になっており、2コマンド目以降も同様形式でデータが追加され、コマンド終了まで、全てのライト系コマンドで、データが書き込まれる箇所を、RAM14の熱緩和マップ42に格納していく。
例えば、コマンド番号を、0〜7FFまで用意していると、2048個分のコマンドが発行されるまで、RAM14に格納が可能であり、そのためのRAM14に、熱緩和RAMエリアを確保しておくことが必要になる。例えば、上記例では、8バイト×2048=16Kバイトである。
全てのコマンドが終了した後に、ホスト30から次の要求が無い場合には、熱緩和MAP作成処理(図13以下で後述する)がスタートする。この処理では、熱緩和マップ42内の全ての該当CHSから転送要求セクタ数分のVTM測定が実行される(VTM測定については、後述する)。測定したVTMは、熱緩和マップ42の7、8バイト目に格納される。尚、フラグは、測定中に、ホストから要求があった場合に、測定を中断するので、この中断を示すためのものである。
次に、測定、評価対象となる最尤情報を、図7乃至図10で説明する。図7は、磁気記録における磁化反転パターンの説明図であり、取り得る状態は、「S00」、「S01」、「S10」、「S11」の4パターンである。図8は、この状態遷移図であり、図9は、その状態遷移をトレリス線図で示した説明図である。図8、図9に示すように、「S00」、「S11」のパターンは、連続することがあるが、「S01」、「S10」のパターンは、連続することがない。
この状態遷移図、トレリス線図の特性を利用して、データの前後関係より最も確からしいデータ系列を捜し出す方法が、ビタビ検出方法(最尤検出法)であり、この確からしいデータ系列を探し出す方法として、累積二乗誤差(メトリック値)が用いられる。メトリック値は、サンプリングされた値と、理想値(例えば、Partial Response Class 4では、「1」、「0」、「−1」)との差分から求める。
このビタビアルゴリズムの最尤データの決定に使用される最尤情報を、VTM(Viterbi Trellis Margin)を例に説明する。VTMは、リードエラーレイトと相関性がある。Viterbi検出器16Cは、最尤検出器の一種であり、上記READ CHANNELでは、Viterbi Metric passの2乗誤差の累積値を、Viterbi Trellis Marginと称して、モニター回路のひとつとして持っているものである。
図10により、説明すると、図10に示すように、前述のトレリス線図から、確からしいデータ系列が、2つ(一方を実線、他方を点線で示す)見つかった場合に、それぞれのデータ系列のメトリック値(累積二乗誤差)の差分が、あるスレッシュルド値を超える回数が、何回出現したかを計数する。VTMは、この計数値であり、少ないデータ系列が、最も確からしいデータ系列と決定される。
このデータ系列のメトリック値(累積二乗誤差)の差分が、あるスレッシュルド値を超える回数(ここでは、VTM)をデータ劣化判断に使用する利点は、エラーレイト測定が、あるリード動作を行ったその度に、リードエラー判定を行い、ある一定回数に到達するまで、リード動作を行わなければならないのに対して、VTMの場合には、該当箇所のリード動作を1度実行するだけで、VTM値としてエラーレイトに匹敵する数値が得られる。
このため、時間的な節約と的確な信号品質が得られるメリットがある。本発明では、一般的なエラーレイトを用いることもできる。しかし、望ましくは、VTMの利点を生かして、使用する。
図11は、VTMとエラーレイト(SER:Signal/Error Ratio)の関係図である。横軸は、VTM値をLOG表記したものであり、縦軸はエラーレイトを同様にLOG表記したものである。例えば、あるセクタ数をリードして、100回、1000回、10000回、メトリック値の差分がスレシュルド値を超えた場合には、各々、Log(100)=2.0,Log(1000)=3.0,Log(10000)=4.0となる。
図11に示すように、VTMとSERは、1対1の相関性があるので、エラーレイトの代替手段として、簡便に測定可能なVTMを使用した方が、時間的に節約の面で非常に有利である。
図12は、熱緩和によるVTM劣化の測定結果の説明図である。図12において、図11と同様に、横軸に、書き込み後の経過時間を、LOG表記し、縦軸に、VTMを、LOG表記した。
図12に示すように、書き込み後1分後(1.78 decade)に、VTM=2.4であったものが、5年後(8.2 decade)では、VTM=3.3まで劣化している。即ち、図11より、エラーレイトが、1.5decade劣化することになる。その傾きは、(3.3−2.4)/(8.2−1.78)=0.14/decade と表すことができる。
このような最尤情報の特性を用いて、本発明では、熱緩和によるエラーレイト劣化を、VTMを用いて監視して、MAP化することで、記録劣化をモニターする。又、ある基準値を超えた場合には、再書き込み処理または再交代割付を行うようにして、信号記録劣化を検出することで、記録データの喪失を防止しようとするものである。
**熱緩和マップ作成処理**
先ず、前述の熱緩和マップの作成について、説明ずる。図13及び図14は、本発明の一実施の形態の熱緩和マップ作成処理フロー図である。図1、図2、図3、図6を参照して、図13及び図14の熱緩和マップ作成処理を説明する。
(S10)先ず、ホスト30側からDEVICE選択プロトコル実行が実行され、DEVISE(ディスクドライブ10)が、Ready状態であるか否かが判断される。
(S12)DEVICEがReady状態であると、ホスト30とDEVICE10は、データ転送準備のためのハンドシェーク処理を実行する。一般的には、Request信号(REQ),Acknowledge信号(ACK)のやり取りで、応答が成立すると、データ転送が開始される。
(S14)ドライブ10のMCU11は、受信したデータが、Write系コマンドかを判定する。Write系コマンドでないと判定すると、そのコマンド(例えば、リード系コマンド、診断コマンド等)の処理を実行する。
(S16)MCU11は、ライト系コマンドであると判定した場合には、要求コマンドのCHS(または、LBA形式の場合にはLBA)、並びに転送要求セクタ数を、特定エリアのRAM領域に、その値を格納する。この動作は、全てのコマンドが終了するまで、実行される。全てのコマンドが終了した後には、以下に示すような熱緩和RAMエリア(図6参照)42に格納される。即ち、図6に示したように、1コマンド分ずつ、熱緩和マップを作成する。このRAM14の熱緩和マップは、1バイト目に、フラグと、コマンド番号の上位、2バイト目に、コマンド番号の下位と、開始ヘッド番号、3バイト目、4バイト目に、開始シリンダアドレス、5バイト目に、開始セクタ番号、6バイト目に、転送セクタ数を、7バイト目、8バイト目に、後述するように、測定した最尤情報(VTM)を格納する。
(S18)全てのコマンドのデータ転送が終了した後には、MCU11は、図示しない周知のライト系処理により、HDC12に指示し、ディスク19に、RAM14のライトデータを書き込む。これとともに、MCU11は、次のホスト30側からの要求有無を判断するための内部タイマーをスタートする。そして、タイマーの計数時間tが,予め設定された熱緩和タイマー値Tよりも、オーバーしているか判定する。
(S20)MCU11は、タイマー値tが、熱緩和タイマー値Tよりオーバーした場合には、熱緩和MAP作成処理をスタートする。この処理では、RAM14内の熱緩和マップ42内の全ての該当CHSから転送要求セクタ数分のVTM測定を実行する。VTM測定は、図2、図10に示したように、ディスク19から該当CHSから転送要求セクタ数分のデータを読み出し、ビタビ復号器16CのVTMを観測する。測定したVTMは、熱マップ42内の7,8Byte目に格納される。
(S22)また、MCU11は、VTM測定実行中に、HOST30からDEVICE選択要求があるかを判定する。MCU11は、DEVICE選択要求があったと判定した場合には、中断処理を行い、ステップS10のホスト要求の実行に戻る。その際の中断処理は、熱緩和マップ42の1Byte目のFLAGビットで、行う。例えば、あるコマンドのVTM測定済の場合には、その熱緩和マップ42のFLAGビットに”1”を書き込み、未処理のものには、”0”を書き込む。従って、ホスト30側の要求が終了した後に、再度、ステップS20の熱緩和MAP作成処理に入った場合でも、容易に判断が可能であり、未処理のものから実行すれば良い。
(S24)次に,MCU11は、全てのVTM測定処理が実行されたかを判定する。MCU11は、実行されていない場合には、ステップS22に戻る。一方。全てのVTM測定処理が実行されたと判定した場合には、熱緩和RAMエリア42の値を、先の述べたような熱緩和MAP41として、予め決められた媒体19上のシステム領域19Bへ格納する。図3の熱緩和マップ41は、図6の熱緩和RAMマップ42と同じ8Byte構成ではあるが、媒体19上に格納する際には、Command Number, FLAG等は必要ないので、予めホスト30側から得られた現在日を書き込み日として記録する。尚、図3の熱緩和マップ32の2Byte目の経過日数は、最初に、VTMを測定した日であるので,”0”を格納する。
又、書き込み日は、ホスト30から得られた現在日以外に、ディスクドライブ10自身が、ハードタイマー(HDD自身が電池等を持っており、MCUクロックカウントで計数された日時)から得られるものであっても構わない。
このように、ライト系コマンド単位に、コマンドで指定されたライトデータ全体に対し、熱緩和マップ41を作成するため、各データ単位で、熱緩和管理情報を作成する必要がない。従って、熱緩和管理情報を作成が簡単であり、且つ格納領域も少なくて済む。又、後述するように、この熱緩和マップによる再記録判定も容易であり、且つ、最尤情報の測定、更新も容易となる。
**熱緩和マップ更新処理**
次に、前述の熱緩和マップの更新について、説明ずる。図15、図16及び図17は、本発明の一実施の形態の熱緩和マップ更新処理フロー図である。図1、図2、図3、図6を参照して、図15、図16及び図17の熱緩和マップ更新処理を説明する。
(S30)先ず、ホスト30側からDEVICE選択プロトコル実行が実行され、DEVISE(ディスクドライブ10)が、Ready状態であるか否かが判断される。
(S32)DEVICEがReady状態であると、ホスト30とDEVICE10は、データ転送準備のためのハンドシェーク処理を実行する。一般的には、Request信号(REQ),Acknowledge信号(ACK)のやり取りで、応答が成立すると、データ転送が開始される。ドライブ10のMCU11は、コマンドの全てのデータ転送が終了するまで、データ受信動作を実行する。
(S34)全てのコマンドが終了した後には、MCU11は、図13、図14の熱緩和マップ作成処理が終了したかを判定する。
(S36)全てのコマンドの熱緩和マップ作成処理が終了した後には、MCU11は、次のコマンド受領の準備のため、コマンド待ちタイマーt2をスタートする。そして、タイマーの計数時間t2が,予め設定された熱緩和更新時刻値T2よりも、オーバーしているか判定する。
(S38)MCU11は、タイマー値t2が、熱緩和更新時刻値T2よりオーバーした場合には、熱緩和MAP更新処理をスタートする。この処理では、先ず、MCU11は、ディスク19のシステム領域19Bの熱緩和マップ41へアクセスし、全ての熱緩和MAP41を読み出して、その値をRAM14上に展開する。次に、MCU11は、RAM14上に展開された各熱緩和マップ41のデータの書き込み年月日(図3の1Byte目)と現在日との差を、経過日として算出する。MCU11は、この経過日と、予め決められた熱緩和基準日数D1との比較を行い、経過日が、基準日数D1を超えていなかった場合には、図17の処理Fへ進む。
(S40)一方、MCU11は、経過日が、基準日数D1を超えていた場合には、図16の処理Eへ進み、RAM14内の熱緩和マップ41内の全ての該当CHSから転送要求セクタ数分のVTM測定を実行する。VTM測定は、図2、図10に示したように、ディスク19から、該当CHSから転送要求セクタ数分のデータを読み出し、ビタビ復号器16CのVTMを観測する。測定したVTMは、熱緩和マップ41内の7,8Byte目に格納される。
(S42)MCU11は、VTM測定した該当ブロックのVTMが、熱緩和基準値VTM(VTM_D1)を超えているかを判定する。超えていなかった場合には、熱緩和マップ41が登録最大数になるまで、該当ブロックのVTM測定値の比較を継続する。
(S44)MCU11は、VTM測定した該当ブロックのVTMが、熱緩和基準値VTM(VTM_D1)を超えている場合には、該当ブロックの書き換え処理を開始する。
(S46)MCU11は、この書き換え処理開始中に、ホスト30からDEVISE選択要求があるかを判定し、DEVICE選択要求があった場合には、中断処理を施した後に、ホスト30からの要求コマンドを実行する。そして、再度選択要求の有無を判断する。
(S48)一方、MCU11は、ホスト30からDEVICE選択要求が無かった場合には、書き換え処理を継続する。即ち、MCU11は、ディスク19から該当ブロックのリード動作を行う。この際に、MCU11は、リードエラーの発生有無を判断する。MCU11は、エラー発生時には、リトライ処理を実施し、リカバリー(リトライ成功)が完了した後に復帰する。リトライ処理では、ECC処理等のリトライルーチン処理を実施する。
(S50)一方、リトライ処理を行った後にも、アンリバードエラーが発生した場合には、MCU11は、ホスト30側へのWARNIG処理を実行する。又は、SMART(Self Monitering,Analysis and Report Technology)情報へ、アンリカバード登録を済ませて、該当セクタに対する処理を終了する。
(S52)又、ステップS48で、MCU11は、リードエラーが発生しなかったと判定した場合には、読み込んだ該当ブロックのデータを、RAM14上に格納し、ディスク19への再書き込み処理を実行する。
(S54)この再書き込み時には、MCU11は、ライトエラー発生の有無をチェックし、MCU11は、エラー発生時には、リトライ(ライトリトライ)処理を実施し、リトライ成功した後に復帰する。例えば、ライトエラーとして、シークエラー、オフトラックエラー、図1のプリアンプ18の入力が、一定期間、周波数変化がない等である。
(S56)一方、リトライ処理を行った後にも、リトライ成功しなかった場合には、MCU11は、ディスク19の交代領域への再割付処理を行い、交代処理する。この交代処理に成功すると、ステップS58に進み、交代処理が成功しないと、ステップS50に進む。
(S58)又、MCU11は、ライトエラーの発生がない場合には、次に該当箇所のVTM測定を実施する。この測定は、ステップS40と同様である。そして、MCU11は、熱緩和マップ41の更新処理として、熱緩和マップ41の1バイト目の現在日から書き込み年月日の更新、並びに先に測定したVTM値の更新(7,8バイト目)をする。そして、MCU11は、このRAM14の更新した熱緩和マップ41を、媒体19上のシステム領域19Bに、再書き込みし、更新を実施して終了する。
(S60)一方、ステップS38で、経過時間が、熱緩和基準日数(D1)に達していない場合には、図17の処理Fを実行する。例えば、熱緩和基準日数を1年とした場合、実際のデータの記録劣化が進んでいる場合が想定されるので、その場合実際のデータのVTMを測定し、熱緩和基準VTMに達しているか否かを判定し、達していた場合には、データの再書き込みを実行しようと言うものである。先ず、MCU11は、ホスト30からのDEVICE選択要求があるかを判定する。DEVICE選択要求があった場合には、図15のステップS30に戻る。
(S62)一方、DEVICE選択要求がないと判定すると、MCU11は、内部からのパワーセーブモードのタイムアウト要求があるかを判定する。パワーセーブモードのタイムアウト要求がある場合には、パワーセーブ処理(例えば、スリープ処理)を実行し、図15のステップS30に戻る。
(S64)ステップS62で、MCU11は、パワーセーブモードのタイムアウト要求がないと判定すると、熱緩和MAP上の該当ブロックのVTM測定更新処理をスタートする。この処理では、ステップS38と同様に、MCU11は、ディスク19のシステム領域19Bの熱緩和マップ41へアクセスし、全ての熱緩和MAP41を読み出して、その値をRAM14上に展開する。
(S66)次に、MCU11は、RAM14上に展開された各熱緩和マップ41のマップ番号1の熱緩和マップ41内の全ての該当CHSから転送要求セクタ数分のVTM測定を実行する。即ち、測定マップ番号nが、(マップ番号の最大値+1)になったかを判定する。測定マップ番号nが、(マップ番号の最大値+1)であると、全マップの更新は終了したため、図15のステップS30に戻る。一方、測定マップ番号nが、(マップ番号の最大値+1)でないと、そのマップのセクタ数分のVTMを測定する。図2、図10に示したように、ディスク19から、該当CHSから転送要求セクタ数分のデータを読み出し、ビタビ復号器16CのVTMを観測する。測定したVTMは、熱緩和マップ41内の7,8Byte目に格納される。
(S68)MCU11は、VTM測定した該当ブロックのVTMが、熱緩和基準値VTM(VTM_D1)を超えているかを判定する。超えていなかった場合には、次のマップ41を対象にするため、マップ番号MAPnを、「n+1」に更新し、ステップS66に戻り、熱緩和マップ41が登録最大数になるまで、該当ブロックのVTM測定、比較を継続する。
(S70)MCU11は、VTM測定した該当ブロックのVTMが、熱緩和基準値VTM(VTM_D1)を超えている場合には、該当ブロックの書き換え処理を開始する。即ち、図15のステップS44からステップS58を実行し、熱緩和基準値に達していた場合には、再書き込み処理を実施する。
(S72)次に、MCU11は、測定マップ番号MAPnが、(マップ番号の最大値+1)になったかを判定する。測定マップ番号MAPnが、(マップ番号の最大値+1)であると、全マップの更新は終了したため、図15のステップS30に戻る。一方、測定マップ番号MAPnが、(マップ番号の最大値+1)でないと、次のマップ41を対象にするため、マップ番号MAPnを、「n+1」に更新し、ステップS66に戻り、熱緩和マップ41が登録最大数になるまで、該当ブロックのVTM測定、比較を継続する。
このように、熱緩和基準日数に達していない場合でも、順次、MAP番号が最大になるまで、VTMの測定、更新、再書き込みが実施される。このような処理を施せば、熱緩和基準VTM(D1)を超えるデータは存在せず、データの信号品質を基準以内にすることが可能となり、データ喪失するような危険な状態が回避することが可能となる。
勿論、図16に示したように、熱緩和基準日数に達している場合には、全MAPを対象とし、VTMの測定、更新、再書き込みが実施される。このため、熱緩和基準VTM(D1)を超えるデータは存在せず、データの信号品質を基準以内にすることが可能となり、データ喪失するような危険な状態が回避することが可能となる。
即ち、先ず、最尤情報により、熱緩和によるデータ劣化を判定するため、該当箇所のリード動作を1度実行するだけで、エラーレイトに匹敵する数値が得られる。このため、時間的な節約と的確な信号品質が得られるメリットがある。
次に、ライトコマンド単位に、データをまとめて、熱緩和マップで管理するため、管理情報の作成、更新、書き換え判定が容易であり、且つ書き換え判定の精度が向上する。しかも、この管理情報の格納領域も少なくて済み、媒体を有効利用できる。
**他の実施の形態**
図18は、本発明の他の実施の形態の熱緩和マップ更新処理フロー図であり、ディスクドライブ10の製造年月日とホストシステム側からの時間情報を元に経過時間を算出し、ある一定時間を経過していたならば、ある規定値に満たないデータを再読み出し、データを書き戻す操作を、ハードディスクドライブ10が自動的に行うことを実施する一例を示す。
(S80)MCU11は、ホスト30から現在日を取得する。ディスク19のシステム領域19Bには、図3で示した製造年月日の1Byteデータ40が、製品出荷時に書き込まれている。MCU11は、このディスクドライブ10の製造年月日とホストシステム側からの現在日を元に、経過時間(経過日)を算出する。
(S82)MCU11は、算出した経過日とある一定時間で設定した熱緩和基準日を比較し、経過日が、基準日を経過していなければ、終了する。
(S84)一方、MCU11は、経過日が基準日を経過していれば、図17で説明した処理を実行する。
このようにすれば、製造年月日か何年何ヶ月何日経過したかで判断し、ある一定時間経過していたならば、前記実施の形態1で示した熱緩和MAPを用いることで、データスキャン(即ち、各セクタ単位でエラーレイト測定)するのと同等のことが、VTM測定によって実現可能である。又、ある規定値に満たない場合には、該当セクタのデータを読み出し、再度読み出したデータを書き戻す操作をHDD自身が自動的に行うことが可能となる。
図19は、本発明の更に他の実施の形態の熱緩和マップ更新処理フロー図であり、SMART情報の一部である稼動時間、即ち電源投入累積値から経過時間を求め、ある一定時間を経過していたならば、ある規定値に満たないデータを再読み出し、データを書き戻す操作を、ハードディスクドライブ10が自動的に行うことを実施する一例を示す。
(S86)MCU11は、SMART情報(Self−Monitoring, Analysis and Reporting Tecnology)の一部の電源投入累積値を取得する。
(S88)MCU11は、SMART情報からの電源投入累積値から経過時間を判断し、ある一定時間として設定した熱緩和基準値と比較する。経過日が、基準日を経過していなければ、終了する。
(S90)一方、MCU11は、経過日が基準日を経過していれば、図17で説明した処理を実行する。
尚、上記例では、電源投入累積値を使用したが、SMART情報から他の情報を入手して判断基準に用いても良い。例えば、スピンドルモータ起動回数累積値、リードエラー回数累積値、スループットパフォーマンス閾値、シークエラー回数累積値、交代処理回数閾値などが上げられる。
前述の実施の形態では、ディスク記憶装置を磁気ディスク装置で説明したが、光ディスク、光磁気ディスク、他の記憶媒体を使用した記憶装置にも適用できる。又、インターフェースは、ATAに限らず、他のインターフェースにも適用できる。更に、4面のディスクのディスク装置で説明したが、2面のディスク装置等、ディスク面を複数持つ装置にも適用できる。
しかも、最尤情報を、VTMで説明したが、他の形式の最尤情報や、リードエラーレイト等、リード時の状態を示す他の情報を利用できる。
以上、本発明を実施の形態により説明したが、本発明の趣旨の範囲内において、本発明は、種々の変形が可能であり、本発明の範囲からこれらを排除するものではない。
(付記1)記憶媒体のデータをリード及びライトするヘッドと、前記ヘッドからのリードデータに復調し、前記ヘッドへのライトデータを変調するチャネル回路と、上位からのコマンドに応じて、前記ヘッドのリード及びライト動作を制御する制御回路と、前記記憶媒体のレコード単位に、前記チャネル回路の検出したリードエラーに関連する情報を保持するテーブルとを有し、前記制御回路は、前記記憶媒体に記録されたデータを前記レコード単位に、前記チャネル回路を介し読み出し、前記読み出し時の前記チャネル回路の検出したリードエラーに関連する情報を測定し、前記測定値で、前記テーブルを更新するとともに、前記測定値から前記レコード単位のデータの劣化を判定することを特徴とする媒体記憶装置。
(付記2)前記チャネル回路は、前記リードデータの取りうる状態遷移における前後関係から最も確からしいデータ系列を検出する最尤復号器を有し、前記制御回路は、前記リードエラーに関連する情報として、前記最尤複号器の前記前後関係から最も確からしいデータ系列を検出するためのパラメータで、前記テーブルを更新することを特徴とする付記1の媒体記憶装置。
(付記3)前記最尤復号器は、前記最も確からしいデータ系列を検出するためのパラメータとして、前記リードデータの前後関係における取りうる状態遷移の理想値と前記リードデータとの誤差に関する情報を検出し、前記制御回路は、前記リードエラーに関連する情報として、前記最尤複号器の前記誤差に関する情報で、前記テーブルを更新することを特徴とする付記2の媒体記憶装置。
(付記4)前記最尤復号器は、前記理想値と前記リードデータとの誤差との累積値が、所定値を超える回数値が少ないデータ系列を最も確からしいデータ系列として検出し、制御回路は、前記パラメータとして、前記最尤複号器の回数値で、前記テーブルを更新することを特徴とする付記2の媒体記憶装置。
(付記5)前記制御回路は、前記測定値と所定の閾値とを比較し、前記比較結果により、前記レコード単位のデータを、前記記憶媒体に再記録することを特徴とする付記1の媒体記憶装置。
(付記6)前記テーブルは、前記レコード単位に、前記測定値とともに前記データの経過時間情報を格納し、前記制御回路は、前記テーブルから前記レコード単位の測定値と経過時間情報を読み出し、前記経過時間情報による経過日が、基準日を経過している前記レコードに対し、前記測定及び更新を実行することを特徴とする付記1の媒体記憶装置。
(付記7)前記制御回路は、前記装置の稼動時間を累積し、前記累積した稼動時間が所定値を超えたことを判定し、前記テーブルの前記測定値の測定及び更新を実行することを特徴とする付記1の媒体記憶装置。
(付記8)前記テーブルは、前記装置の製造日情報を格納し、前記制御回路は、前記テーブルから前記製造日情報を読み出し、現在日への経過日が、基準日を経過していることを判定し、前記テーブルの前記測定値の前記測定及び更新を実行することを特徴とする付記1の媒体記憶装置。
(付記9)前記制御回路は、前記測定を行った後、前記測定値と所定の閾値とを比較し、前記比較結果により、前記レコード単位のデータを、前記記憶媒体に再記録することを特徴とする付記6乃至8のいずれかの媒体記憶装置。
(付記10)前記テーブルは、前記レコード単位に、前記測定値とともに前記測定値の更新日を格納し、前記制御回路は、前記テーブルから前記レコード単位の測定値と更新日を読み出し、前記更新日から現在日への経過日が、基準日を経過している前記レコードに対し、前記測定及び更新を実行することを特徴とする付記6の媒体記憶装置。
(付記11)前記記憶媒体が、磁気記憶媒体であることを特徴とする付記1の媒体記憶装置。
(付記12)記憶媒体のデータをリード及びライトするヘッドと、前記ヘッドからのリードデータに復調し、前記ヘッドへのライトデータを変調するチャネル回路と、上位からのコマンドに応じて、前記ヘッドのリード及びライト動作を制御する制御回路とを有する媒体記憶装置のデータ消失防止方法において、テーブルに、前記記憶媒体のレコード単位に、前記チャネル回路の検出したリードエラーに関連する情報を保持するステップと、前記記憶媒体に記録されたデータを前記レコード単位に、前記チャネル回路を介し読み出し、前記読み出し時の前記チャネル回路の検出したリードエラーに関連する情報を測定するステップと、前記測定値で、前記テーブルを更新するステップと、前記測定値から前記レコード単位のデータの劣化を判定するステップとを有することを特徴とする媒体記憶装置のデータ消失防止方法。
(付記13)前記更新ステップは、前記リードデータの取りうる状態遷移における前後関係から最も確からしいデータ系列を検出する最尤復号器の最も確からしいデータ系列を検出するためのパラメータで、前記テーブルを更新するステップからなることを特徴とする付記12の媒体記憶装置のデータ消失防止方法。
(付記14)前記測定ステップは、前記最も確からしいデータ系列を検出するためのパラメータとして、前記リードデータの前後関係における取りうる状態遷移の理想値と前記リードデータとの誤差に関する情報を測定するステップからなることを特徴とする付記13の媒体記憶装置のデータ消失防止方法。
(付記15)前記測定ステップは、前記理想値と前記リードデータとの誤差との累積値が、所定値を超える回数値が少ないデータ系列を最も確からしいデータ系列として検出する前記最尤複号器の回数値を測定するステップからなることを特徴とする付記13の媒体記憶装置のデータ消失防止方法。
(付記16)前記測定値と所定の閾値とを比較し、前記比較結果により、前記レコード単位のデータを、前記記憶媒体に再記録するステップを更に有することを特徴とする付記12の媒体記憶装置のデータ消失防止方法。
(付記17)前記テーブルから前記レコード単位の測定値と経過時間情報を読み出し、前記経過時間情報による経過日が、基準日を経過している前記レコードに対し、前記測定及び更新を実行するステップを更に有することを特徴とする付記12の媒体記憶装置のデータ消失防止方法。
(付記18)装置の稼動時間を累積した時間が所定値を超えたことを判定し、前記テーブルの前記測定値の測定及び更新を実行するステップを更に有することを特徴とする付記12の媒体記憶装置のデータ消失防止方法。
(付記19)前記テーブルから前記製造日情報を読み出し、現在日への経過日が、基準日を経過していることを判定し、前記テーブルの前記測定値の前記測定及び更新を実行するステップを更に有することを特徴とする付記12の媒体記憶装置のデータ消失防止方法。
(付記20)前記劣化判定ステップは、前記記憶媒体の熱緩和によるデータの劣化を判定するステップからなることを特徴とする付記12の媒体記憶装置のデータ消失防止方法。
記憶媒体の記録レコード単位に、チャネル回路の検出したリードエラーに関連する情報を使用して、熱緩和によるデータ劣化を判定するので、熱緩和による記録データの劣化を、精度良く検出して、データ消失防止することができ、益々高密度化する記録媒体のデータ消失防止に寄与する。
本発明の一実施の形態の媒体記憶装置の構成図である。 図1のリード/ライト系の構成図である。 本発明の一実施の形態の熱緩和マップの説明図である。 図3の熱緩和マップの格納位置の説明図である。 図4の熱緩和マップのディスクへの格納状態の説明図である。 図1の熱緩和マップRAMエリアの説明図である。 本発明の一実施の形態の最尤情報の説明のための磁化パターンの説明図である。 図7の磁化パターンの状態遷移図である。 図8の状態遷移のトレリス線図である。 図7乃至図9の最尤復号器の動作説明図である。 本発明の最尤情報とエラーレイトの関係図である。 本発明の熱緩和による最尤情報の劣化の関係図である。 本発明の一実施の形態の熱緩和マップ作成処理フロー図(その1)である。 本発明の一実施の形態の熱緩和マップ作成処理フロー図(その2)である。 本発明の一実施の形態の熱緩和マップ更新処理フロー図(その1)である。 本発明の一実施の形態の熱緩和マップ更新処理フロー図(その2)である。 本発明の一実施の形態の熱緩和マップ更新処理フロー図(その3)である。 本発明の他の実施の形態の熱緩和マップ更新処理フロー図である。 本発明の更に他の実施の形態の熱緩和マップ更新処理フロー図である。 本発明の対象とする熱緩和によるエラーレイトの劣化の関係図である。 磁気ディスクの熱緩和によるBER劣化の説明図である。
符号の説明
10 媒体(ディスク)記憶装置
11 MCU(制御回路)
12 HDC(コントローラ)
13 メモリ(RAM/ROM)
14 データバッファ
16 リードチャネル(チャネル回路)
16C ビタビ復号器
19 媒体(磁気ディスク)
20 スピンドルモータ
22 アクチュエータ(VCM)
25 ヘッド(磁気ヘッド)
30 ホスト
41 熱緩和マップ
42 熱緩和マップRAMエリア

Claims (5)

  1. 記憶媒体のデータをリード及びライトするヘッドと、
    前記ヘッドからのリードデータに復調し、前記ヘッドへのライトデータを変調するチャネル回路と、
    上位からのコマンドに応じて、前記ヘッドのリード及びライト動作を制御する制御回路と、
    前記記憶媒体のレコード単位に、前記チャネル回路の検出したリードエラーに関連する情報を保持するテーブルとを有し、
    前記制御回路は、
    前記記憶媒体に記録されたデータを前記レコード単位に、前記チャネル回路を介し読み出し、前記読み出し時の前記チャネル回路の検出したリードエラーに関連する情報を測定し、前記測定値で、前記テーブルを更新するとともに、前記測定値から前記レコード単位のデータの劣化を判定する
    ことを特徴とする媒体記憶装置。
  2. 前記チャネル回路は、前記リードデータの取りうる状態遷移における前後関係から最も確からしいデータ系列を検出する最尤復号器を有し、
    前記制御回路は、前記リードエラーに関連する情報として、前記最尤複号器の前記前後関係から最も確からしいデータ系列を検出するためのパラメータで、前記テーブルを更新する
    ことを特徴とする請求項1の媒体記憶装置。
  3. 前記最尤復号器は、前記理想値と前記リードデータとの誤差との累積値が、所定値を超える回数値が少ないデータ系列を最も確からしいデータ系列として検出し、
    制御回路は、前記パラメータとして、前記最尤複号器の回数値で、前記テーブルを更新する
    ことを特徴とする請求項2の媒体記憶装置。
  4. 記憶媒体のデータをリード及びライトするヘッドと、前記ヘッドからのリードデータに復調し、前記ヘッドへのライトデータを変調するチャネル回路と、上位からのコマンドに応じて、前記ヘッドのリード及びライト動作を制御する制御回路とを有する媒体記憶装置のデータ消失防止方法において、
    テーブルに、前記記憶媒体のレコード単位に、前記チャネル回路の検出したリードエラーに関連する情報を保持するステップと、
    前記記憶媒体に記録されたデータを前記レコード単位に、前記チャネル回路を介し読み出し、前記読み出し時の前記チャネル回路の検出したリードエラーに関連する情報を測定するステップと、
    前記測定値で、前記テーブルを更新するステップと、
    前記測定値から前記レコード単位のデータの劣化を判定するステップとを有する
    ことを特徴とする媒体記憶装置のデータ消失防止方法。
  5. 前記測定値と所定の閾値とを比較し、前記比較結果により、前記レコード単位のデータを、前記記憶媒体に再記録するステップを更に有する
    ことを特徴とする請求項4の媒体記憶装置のデータ消失防止方法。
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