JP2007051656A - ベルト式無段変速装置 - Google Patents

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栄 梅田
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Abstract

【課題】従動プーリ5にその可動シーブ5bを付勢するばね10とトルクカム機構14とを備えたベルト式無段変速装置において、負荷が駆動プーリ3から従動プーリ5に伝動されている正負荷状態で、トルクカム効果が安定して有効に発揮されるようにし、ベルト7のスリップの発生を防いで高負荷を安定して伝動できるようにする。
【解決手段】従動プーリ5のベルト溝6における可動シーブ側溝側面6bの、プーリ回転軸線と直交する直交平面に対するベルト溝面角度θpmを、その可動シーブ側溝側面6bに接触するベルト側面7bの直交平面に対するベルト側面角度θbmよりも大きくし、固定シーブ側溝側面6aの直交平面に対するベルト溝面角度θpfを、その固定シーブ側溝側面6aに接触するベルト側面7aの直交平面に対するベルト側面角度θbfよりも小さくする。
【選択図】図1

Description

本発明は、変速プーリ間にベルトを巻き付けたベルト式無段変速装置に関し、特に、従動プーリ側にトルクカム機構を備えたものに関する。
従来より、固定及び可動シーブ間に断面V字状のベルト溝が形成された変速プーリからなる駆動及び従動プーリと、これら駆動及び従動プーリのベルト溝に巻き掛けられたVベルトとを備え、各プーリの可動シーブを固定シーブに対し両プーリで逆方向に移動するように接離させてベルト巻付け半径を変化させ、駆動プーリのベルト巻付け半径を従動プーリのベルト巻付け半径よりも大きくすることで、速比(レシオ)が1未満の増速状態とする一方、駆動プーリのベルト巻付け半径を従動プーリのベルト巻付け半径よりも小さくすることで、速比が1を越えた減速状態とするようにしたベルト式無段変速装置は知られている。
この種の無段変速装置として、例えば特許文献1に示されるように、Vベルトを張力帯に多数のブロックを係合させたブロックベルトとし、従動プーリの可動シーブを固定シーブに近付くように常時付勢するばねと、従動プーリの可動シーブが固定シーブに対し相対回転したときに該可動シーブを固定シーブに近付くように押圧するトルクカム機構とを設け、変速プーリ(駆動プーリ)のV溝角度を中間ピッチ径よりも大径領域ではベルト角度と同じにする一方、中間ピッチ径よりも小径領域ではベルト角度よりも狭く(小さく)することで、低速モードではベルトのブロック上部をプーリのV溝部に接触させて、同じトルクを伝達しながらベルトのスリップ率を低減するようにしたものが提案されている。
また、特許文献2に示されるものでは、駆動及び従動プーリの両シーブがなすシーブ面角度を互いに異ならせ、プーリ比決定側のプーリにおけるシーブ面角度を他方のプーリにおけるシーブ面角度よりも小さくするとともに、ベルトの側面に、上記シーブ面角度の異なる両プーリにそれぞれ接触する2つの接触面を形成することにより、ベルトの耐久性の向上と、シーブ推力発生のためのオイルポンプの駆動トルクの低下とを図り、伝達トルク容量を増大させるようにしている。
特開2004−28284号公報 特開2002−130408号公報
ところで、特許文献1に示されるように、従動プーリの可動シーブを固定シーブに近付くように付勢するばね等の付勢手段と、可動シーブをその固定シーブに対する相対回転により固定シーブに近付くように押圧するトルクカム機構とを組み合わせたベルト式無段変速装置において、ベルトの寸法等のばらつき、プーリのシーブ角度のばらつき等に起因して、その可動シーブ側(トルクカム機構側)のベルト溝面におけるベルト接触位置と、固定シーブ側のベルト溝面におけるベルト接触位置とが半径方向で異なり、トルクカム機構の効果が有効に発揮されず、ベルト伝動に必要な推力が得られなくなってベルト張力が低下し、スリップが発生して高負荷を安定して伝動できないという問題がある。
すなわち、図9に示すように、トルクカム機構14が、従動軸2と回転一体に設けられかつ回転方向進み側(円周方向の一方)に向かって可動シーブ5b側に向かう方向に傾斜する第1カム面16、及び回転方向遅れ側(円周方向の他方)に向かって可動シーブ5b側に向かう方向に傾斜する第2カム面17を有するカムプレート15と、可動シーブ5b背面に回転一体に固定され、上記カムプレート15の第1カム面16に接触可能な第1カム部20、及び第2カム面17に接触可能な第2カム部21を有するカムフォロワ19とを備えたものであるとすると、図9(a)に示す如く、従動プーリ5に負荷が加わっていない状態では、その可動シーブ5bの固定シーブ5aに対する相対回転が生じないので、カムプレート15の2つのカム面16,17はいずれもカムフォロワ19のカム部20,21に接触せず、トルクカム機構14は非作動状態で、可動シーブ5bが付勢手段としてのばね10のみでベルト7を押圧している状態となる。
また、負荷が駆動プーリ3から従動プーリ5に伝動されている正負荷状態では、図9(b)に示すように、可動シーブ5bが固定シーブ5aに対し進み側に相対回転するので、その可動シーブ5bにおけるカムフォロワ19の第1カム部20がカムプレート15の第1カム面16に接触し、可動シーブ5bが固定シーブ5a側に押されてばね10(付勢手段)と共にベルト7を押圧している状態となり、トルクカム機構14が作動状態となる。
一方、負荷が従動プーリ5から駆動プーリ3に伝動されている逆負荷状態では、図9(c)に示すように、可動シーブ5bが固定シーブ5aに対し遅れ側に相対回転するので、その可動シーブ5bにおけるカムフォロワ19の第2カム部21がカムプレート15の第2カム面17に接触し、可動シーブ5bが固定シーブ5a側に押されてばね10と共にベルト7を押圧している状態となり、トルクカム機構14が作動状態となる。
そして、上記正負荷状態において、ベルト側面の摩耗等により、可動シーブ5b側(トルクカム機構14側)のベルト溝側面におけるベルト接触位置と、固定シーブ5a側のベルト溝側面におけるベルト接触位置とが半径方向で異なり、図10(a)に示すように(尚、図10は、説明のために、ベルト7の可動シーブ5b側及び固定シーブ5a側のベルト溝側面でベルト接触位置が異なる状態を強調して示している)、ベルト7が可動シーブ5b側のベルト溝側面には下部で、また固定シーブ5a側のベルト溝側面には上部でそれぞれ接触して、可動シーブ5b側の伝動ピッチ半径R1が固定シーブ5a側の伝動ピッチ半径R2よりも小さくなると(R1<R2)、図11に示す如く、可動シーブ5bの固定シーブ5aに対する速度差が大きくなって、可動シーブ5bが回転方向進み側にさらに相対回転し、その分、カムフォロワ19の第1カム部20がカムプレート15の第1カム面16上をさらに進み側に進んで、トルクカム機構14による推力が増大する。つまり、この場合はトルクカム機構14の効果が促進されるので、問題はない。
しかし、図10(b)に示すように、ベルト7が可動シーブ5b側のベルト溝面には上部で、また固定シーブ5a側のベルト溝面には下部でそれぞれ接触して、可動シーブ5b側の伝動ピッチ半径R1が固定シーブ5a側の伝動ピッチ半径R2よりも大きくなると(R1>R2)、図11に示す如く、可動シーブ5bの固定シーブ5aに対する速度差が小さくなって、上記逆負荷状態と同様に可動シーブ5bが回転方向遅れ側にさらに相対回転し、その分、カムフォロワ19の第1カム部20がカムプレート15の第1カム面17上を遅れ側に進んで、トルクカム機構14による推力が減少する。つまり、この場合、トルクカム機構14のカム効果が減少されることとなり、ベルト伝動に必要な推力が不足してスリップが発生する。図11の3は駆動プーリである。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもので、その目的は、上記の如く、従動プーリにその可動シーブを付勢する付勢手段とトルクカム機構とを備えたベルト式無段変速装置において、その従動プーリにおけるベルト溝面の傾斜角度とベルト側面の傾斜角度との関係や、ベルトの要素を考慮したレイアウトに工夫を凝らすことにより、負荷が駆動プーリから従動プーリに伝動されている正負荷状態で、トルクカム効果が安定して有効に発揮されるようにし、ベルトのスリップの発生を防いで高負荷を安定して伝動できるようにすることにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、固定及び可動シーブ間に断面V字状のベルト溝が形成された変速プーリからなる駆動及び従動プーリと、これら駆動及び従動プーリのベルト溝に巻き掛けられたVベルトと、上記従動プーリの可動シーブを固定シーブに近付くように常時付勢する付勢手段と、上記従動プーリの可動シーブが固定シーブに対し回転方向進み側に相対回転したときに該可動シーブを固定シーブに近付くように押圧するトルクカム機構とを備えたベルト式無段変速装置において、上記従動プーリのベルト溝における可動シーブ側溝側面の、プーリ回転軸線と直交する直交平面に対するベルト溝面角度θpmが、上記可動シーブ側溝側面に接触するベルト側面の上記直交平面に対するベルト側面角度θbmよりも大きく、かつ、固定シーブ側溝側面の上記直交平面に対するベルト溝面角度θpfが、上記固定シーブ側溝側面に接触するベルト側面の上記直交平面に対するベルト側面角度θbfよりも小さいことを特徴とする。
上記の構成によると、従動プーリのベルト溝における可動シーブ側溝側面のベルト溝面角度θpmが、可動シーブ側溝側面に接触する可動シーブ側ベルト側面のベルト側面角度θbmよりも大きく、かつ、固定シーブ側溝側面のベルト溝面角度θpfが、固定シーブ側溝側面に接触する固定シーブ側ベルト側面のベルト側面角度θbfよりも小さいので、これら角度差により、ベルトは常に安定して、可動シーブ側のベルト溝側面に下部で接触し、固定シーブ側のベルト溝側面には上部で接触する。このことで、可動シーブ側の伝動ピッチ半径が固定シーブ側の伝動ピッチ半径よりも小さくなり、可動シーブの固定シーブに対する速度差が大きくなって、可動シーブが回転方向進み側に相対回転し、その分、トルクカム機構による推力が増大する。つまり、トルクカム機構の効果が促進される。
また、この請求項1の発明では、従動プーリのベルト溝面角度θpf,θpmを異ならせて可動シーブの固定シーブに対する速度差を生じさせ、トルクカム機構の効果を促進させるので、可動シーブ側溝側面に働く押付け力が固定シーブ側溝側面の押付け力よりも常に大きくなり、ベルト側面の摩耗が生じても、その可動シーブ側が固定シーブ側よりも小径となるようにベルト全体が傾いて、可動シーブの固定シーブに対する速度差が維持されるようになり、後述する請求項2のように、ベルト側面角度θbf,θbmを異ならせるのに比べ、長期間に亘って上記トルクカム機構の効果を促進させることができる。
請求項2の発明では、上記請求項1の発明と同様の前提のベルト式無段変速装置において、従動プーリのベルト溝における可動シーブ側溝側面に接触するベルト側面の、プーリ回転軸線と直交する直交平面に対するベルト側面角度θbmが、上記可動シーブ側溝側面の上記直交平面に対するベルト溝面角度θpmよりも小さく、かつ、固定シーブ側溝側面に接触するベルト側面の上記直交平面に対するベルト側面角度θbfが、上記固定シーブ側溝側面の上記直交平面に対するベルト溝面角度θpfよりも大きいことを特徴とする。
この請求項2の発明によると、従動プーリのベルト溝における可動シーブ側溝側面に接触する可動シーブ側ベルト側面のベルト側面角度θbmが、可動シーブ側溝側面のベルト溝面角度θpmよりも小さく、かつ、固定シーブ側溝側面に接触する固定シーブ側ベルト側面のベルト側面角度θbfが、固定シーブ側溝側面のベルト溝面角度θpfよりも大きいので、これら角度差により、ベルトは常に安定して、可動シーブ側のベルト溝側面に下部で接触し、固定シーブ側のベルト溝側面には上部で接触する。このことで、可動シーブ側の伝動ピッチ半径が固定シーブ側の伝動ピッチ半径よりも小さくなり、可動シーブの固定シーブに対する速度差が大きくなって、可動シーブが回転方向進み側に相対回転し、その分、トルクカム機構による推力が増大する。つまり、トルクカム機構の効果が促進される。
請求項3の発明では、請求項1の発明と同様の前提のベルト式無段変速装置において、ベルトには、心線がベルト回転走行方向と同じベルト周方向に向かって巻回されるに伴ってベルト幅方向に進むようにスパイラル状に埋設されており、この心線がベルト幅方向に進む側に、上記従動プーリの可動シーブが配置されていることを特徴とする。
この発明によると、ベルト内に心線がスパイラル状に埋め込まれているため、この心線の方向とベルト長さ方向とに角度差が生じ、ベルトに張力がベルト長さ方向に加わったときに、その心線がベルト長さ方向(ベルト幅方向に直角の方向)に向こうとする力が働き、この力によりベルトの両側面のうち、スパイラル状の心線が進む側がベルト回転走行方向(ベルト長さ方向の一方)に、また進む側と反対側がベルト回転走行方向と反対側(ベルト長さ方向の他方)にそれぞれずれるように捩れる。上記スパイラル状の心線が進む側に可動シーブが、また進む側と反対側に固定シーブがそれぞれ配置されているので、上記ベルトの捩り力を利用し、可動シーブが回転方向進み側に、また固定シーブが遅れ側にそれぞれ相対回転することとなり、このことでトルクカム機構による推力が増大し、その効果が促進される。
請求項4の発明ベルト式無段変速装置は、上記請求項1又は2のいずれか1つのベルト式無段変速装置と、請求項3のベルト式無段変速装置とが組み合わせられたことを特徴とする。
この発明によると、請求項1又は2の効果と請求項3の効果とが相乗的に得られる。
以上説明した如く、請求項1の発明では、従動プーリに、その可動シーブを固定シーブに近付くように常時付勢する付勢手段と、可動シーブが固定シーブに対し回転方向進み側に相対回転したときに可動シーブを固定シーブに近付くように押圧するトルクカム機構とを設けたベルト式無段変速装置において、従動プーリのベルト溝における可動シーブ側溝側面の、プーリ回転軸線と直交する直交平面に対するベルト溝面角度θpmを、可動シーブ側溝側面に接触するベルト側面の上記直交平面に対するベルト側面角度θbmよりも大きくし、固定シーブ側溝側面の上記直交平面に対するベルト溝面角度θpfを、固定シーブ側溝側面に接触するベルト側面の上記直交平面に対するベルト側面角度θbfよりも小さくした。また、請求項2の発明では、従動プーリのベルト溝における可動シーブ側溝側面に接触するベルト側面の、プーリ回転軸線と直交する直交平面に対するベルト側面角度θbmを、上記可動シーブ側溝側面の上記直交平面に対するベルト溝面角度θpmよりも小さくし、固定シーブ側溝側面に接触するベルト側面の上記直交平面に対するベルト側面角度θbfを、上記固定シーブ側溝側面の上記直交平面に対するベルト溝面角度θpfよりも大きした。従って、これらの発明によると、常に安定して、ベルトを可動シーブ側のベルト溝側面に下部で接触させ、固定シーブ側のベルト溝側面に上部で接触させて、可動シーブ側の伝動ピッチ半径を固定シーブ側の伝動ピッチ半径よりも小さくでき、負荷が駆動プーリから従動プーリに伝動されている正負荷状態で、可動シーブを回転方向進み側に相対回転させて、トルクカム機構の効果を増大でき、ベルトのスリップの発生を防いで安定した高負荷伝動を確保することができる。特に、請求項1の発明によれば、上記トルクカム機構の増大効果を長期間に亘って得ることができる。
請求項3の発明によると、上記と同様のベルト式無段変速装置において、ベルトに埋設されている心線を、ベルト回転走行方向と同じベルト周方向に向かって巻回されるに伴ってベルト幅方向に進むようにスパイラル状にし、この心線がベルト幅方向に進む側に従動プーリの可動シーブを配置したことにより、ベルトに張力がベルト長さ方向に加わったときに、心線方向とベルト長さ方向との角度差により、その心線がベルト長さ方向に向こうとする力が働いてベルトの両側面の一方が他方に対しベルト長さ方向にずれるように捩れることを利用し、可動シーブを回転方向進み側に、また固定シーブを遅れ側にそれぞれ相対回転させて、トルクカム機構の効果を増大でき、ベルトのスリップの発生を防いで安定した高負荷伝動を確保することができる。
請求項4の発明によると、請求項1又は2のいずれか1つのベルト式無段変速装置と、請求項3のベルト式無段変速装置とを組み合わせたことにより、請求項1又は2の効果と請求項3の効果とが相乗的に得られ、トルクカム機構の効果を増大させて、ベルトのスリップの発生をさらに有効に防いで安定した高負荷伝動を確保することができる。
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(実施形態1)
実施形態1は本発明の請求項1に係るものであり、図2はこの実施形態1に係るベルト式無段変速装置Aの全体構成を概略的に示す。このベルト式無段変速装置Aは、例えば、車両のエンジン等の動力源と駆動車輪等の被駆動装置(いずれも図示せず)の間のトルク伝達経路に配置されて、動力源のトルクを被駆動装置に伝達しつつ速比を変化させるために使用される。
上記ベルト式無段変速装置Aは、動力源に駆動連結される駆動軸1と、この駆動軸1に平行に配置されていて、被駆動装置に連結される従動軸2とを備え、駆動軸1に変速プーリからなる駆動プーリ3が、また従動軸2に同様の従動プーリ5がそれぞれ設けられている。
上記駆動プーリ3は、駆動軸1に回転一体にかつ軸方向(図2の左右方向)に移動不能に設けられた固定シーブ3aと、駆動軸1に回転一体にかつ軸方向に移動可能に設けられた可動シーブ3bとからなる。これら固定シーブ3a及び可動シーブ3b間には断面V字状のベルト溝4が形成されている。そして、固定シーブ3aに対し、可動シーブ3bが接近する方向(同図の左方向)に移動することにより、ベルト巻付け半径(プーリ径)が大きくなる一方、可動シーブ3bが離隔する方向(同図の右方向)に移動することにより、ベルト巻付け半径が小さくなる。
上記従動プーリ5も、駆動プーリ3と同様に、従動軸2に回転一体にかつ軸方向に移動不能に設けられた固定シーブ5aと、従動軸2に回転可能にかつ軸方向に移動可能に設けられた可動シーブ5bとからなっている。これら固定シーブ5a及び可動シーブ5b間には、駆動プーリ3と同様の断面V字状のベルト溝6が形成されている。そして、固定シーブ5aに対し、可動シーブ5bが接近する方向(図2の右方向)に移動することにより、ベルト巻付け半径が大きくなる一方、可動シーブ5bが離隔する方向(同図の左方向)に移動することにより、ベルト巻付け半径が小さくなる。但し、上記駆動プーリ3及び従動プーリ5の固定シーブ3a,5aと可動シーブ3b,5bとの配置は軸方向に互いに逆になっている。
上記駆動プーリ3のベルト溝4と従動プーリ5のベルト溝6との間には、Vベルト7が巻き掛けられている。このVベルト7は、断面略V字状のもので、図1に示すように、その内部には心線8がベルト周方向の一方に向かってベルト幅方向に進むように一定ピッチをあけてスパイラル状に埋設されている(尚、図1ではベルト7の断面形状を示しているために、心線8はベルト幅方向(同図の左右方向)に並ぶように配置されたレイアウトとなる)。
ベルト7の幅方向両側面7a,7bは、駆動プーリ3のベルト溝4の溝側面及び従動プーリ5のベルト溝6の溝側面6a,6bに接触する接触面となっており、例えば従動プーリ5について説明すると(駆動プーリ3でも同様である)、図1に示す如く、ベルト溝6の可動シーブ側溝側面6bに接触する可動シーブ側ベルト側面7bの、プーリ回転軸線と直交する直交平面に対するベルト側面角度θbmと、固定シーブ側溝側面6aに接触する固定シーブ側ベルト側面7aの上記直交平面に対するベルト側面角度θbfとはいずれも同じ(θbm=θbf)で、例えば13°に設定されている。
そして、変速装置Aの速比(レシオ)を変えるために、駆動プーリ3をその可動シーブ3bが固定シーブ3aに対し接離するように開閉する変速機構(図示せず)が設けられている。一方、従動プーリ5には、可動シーブ5bを固定シーブ5aに近付くように常時付勢する付勢手段としてのばね10が設けられており、上記変速機構による駆動プーリ3の開閉に応じて従動プーリ5を駆動プーリ3と逆の方向に開閉し、駆動プーリ3を開いたときに、従動プーリ5をばね10の付勢力によって閉じる一方、駆動プーリ3を閉じたときに、従動プーリ5をばね10の付勢力に抗して開くことにより、駆動プーリ3及び従動プーリ5の各ベルト巻付け半径を変えてLo状態とHi状態との間で変速するようになっている。
上記ばね10は、例えば従動軸2周りに配置されたコイルばねからなり、従動プーリ5において可動シーブ5bの背面側、つまり固定シーブ5aと反対側に設けられている。すなわち、上記可動シーブ5bの背面側の従動軸2上にはばね止め11が回転一体にかつ軸方向に移動不能に取り付けられ、このばね止め11と可動シーブ5bの背面との間にばね10が縮装されており、このばね10の伸張力により、可動シーブ5bを固定シーブ5aに近付くように常時付勢し、その推力によってベルト7の張力を付与するようにしている。
また、このばね10の他に、従動プーリ5の可動シーブ5bが固定シーブ5aに対し相対回転したときに可動シーブ5bを固定シーブ5aに近付くように押圧するトルクカム機構14が設けられている。このトルクカム機構14は、上記ばね止め11の可動シーブ5b側の部分に一体的に設けられたカムプレート15を備えている。このカムプレート15は、例えば従動軸2の周りに同心状に配置された円筒状のもので、その可動シーブ5bに対向する端部は略V字状に切り欠かれており、その切欠部分により、回転方向進み側(円周方向の一方)に向かって可動シーブ5b側に向かう方向に傾斜する第1カム面16と、回転方向遅れ側(円周方向の他方)に向かって可動シーブ5b側に向かう方向に傾斜する第2カム面17とが形成されている。
一方、可動シーブ5bの背面にはカムフォロワ19が一体に突設されている。このカムフォロワ19の先端部は上記カムフレート15の切欠部分内に位置し、その回転方向進み側(円周方向の一方)にカムプレート15の第1カム面16に接触可能な第1カム部20が、また回転方向遅れ側(円周方向の他方)に第2カム面17に接触可能な第2カム部21がそれぞれ設けられている。
そして、負荷が駆動プーリ3から従動プーリ5に伝動されている正負荷状態で、従動プーリ5の可動シーブ5bが固定シーブ5aよりも進み側に相対回転したときには、トルクカム機構14を作動状態として、その可動シーブ5bと一体のカムフォロワ19の第1カム部20をカムプレート15の第1カム面16に接触させ、このカム接触により可動シーブ5bを固定シーブ5a側に押して、ばね10の付勢力と共に推力を得る一方、負荷が従動プーリ5から駆動プーリ3に伝動されている逆負荷状態で、可動シーブ5bが固定シーブ5aに対し遅れ側に相対回転したときにも、トルクカム機構14を作動状態として、そのカムフォロワ19の第2カム部21をカムプレート15の第2カム面17に接触させ、このカム接触により可動シーブ5bを固定シーブ5a側に押して、ばね10の付勢力と共に推力を得るようにしている。
そして、図1に示すように、上記従動プーリ5のベルト溝6において、ばね10で付勢されかつトルクカム機構14が設けられている可動シーブ側の5b側にある可動シーブ側溝側面6bの、上記プーリ回転軸線と直交する直交平面に対するベルト溝面角度θpmは、上記可動シーブ側溝側面6bに接触するベルト側面7bの上記直交平面に対するベルト側面角度θbmよりも大きくて(θpm>θbm)、例えば13.4°とされている。一方、固定シーブ側溝側面6aの上記直交平面に対するベルト溝面角度θpfは、上記固定シーブ側溝側面6aに接触するベルト側面7aの上記直交平面に対するベルト側面角度θbfよりも小さくて(θpf<θbf)、例えば12.6°とされている。
次に、上記実施形態の作用について説明する。無段変速装置Aは変速機構によってLo状態及びHi状態の間で切り換えられて変速される。変速装置AがLo状態にあるときには、駆動プーリ3が開いて、その可動シーブ3bが固定シーブ3aから離隔する方向(図2の右方向)に移動し、駆動プーリ3のベルト巻付け半径が小さくなり、ベルト張力が低下しようとする。また、従動プーリ5の可動シーブ5bはばね10によって固定シーブ5a側に押圧付勢されているので、このばね10の付勢力により可動シーブ5bが上記ベルト張力の低下を補うように固定シーブ5aに接近する方向(図2の右方向)に移動する。このことにより、従動プーリ5が閉じてそのベルト巻付け半径が増大し、このベルト巻付け半径の増大によりベルト7が従動プーリ5側に引き寄せられ、駆動プーリ3のベルト巻付け半径が従動プーリ5よりも小さくなり、駆動プーリ3(駆動軸1)の回転が減速されて従動プーリ5(従動軸2)に伝達される。
一方、変速装置AがHi状態にあるときには、駆動プーリ3が閉じ、その可動シーブ3bが固定シーブ3aに接近する方向(図2の左方向)に移動し、駆動プーリ3のベルト巻付け半径が大きくなり、ベルト張力が増大しようとする。また、このベルト張力の増大に伴い、従動プーリ5の可動シーブ5bがばね10の付勢力に抗して固定シーブ5aから離れる方向(図2の左方向)に移動する。このことで、従動プーリ5のベルト巻付け半径が小さくなり、ベルト7が駆動プーリ3側に引き寄せられ、駆動プーリ3のベルト巻付け半径が従動プーリ5よりも大きくなり、駆動プーリ3(駆動軸1)の回転が増速されて従動プーリ5(従動軸2)に伝達される。
また、上記Lo状態及びHi状態の間には速比1.0になる等速状態があり、駆動プーリ3のベルト巻付け半径が従動プーリ5と同じになって、駆動プーリ3(駆動軸1)の回転が等速で従動プーリ5(従動軸2)に伝達される。
この実施形態においては、従動プーリ5のベルト溝6における可動シーブ側溝側面6bのベルト溝面角度θpmが、その可動シーブ側溝側面6bに接触する可動シーブ側ベルト側面7bのベルト側面角度θbmよりも大きく、かつ、固定シーブ側溝側面6aのベルト溝面角度θpfが、その固定シーブ側溝側面6aに接触する固定シーブ側ベルト側面7aのベルト側面角度θbfよりも小さいので、ベルト7の寸法等のばらつきやプーリ3,5のベルト溝面角度のばらつき等があっても、基本的に、上記角度差により、ベルト7の可動シーブ側ベルト側面7bは、従動プーリ5のベルト溝6における可動シーブ側ベルト溝側面6bに対して下部(内周側部)で接触し、固定シーブ側ベルト側面7aは固定シーブ側ベルト溝側面6aに対して上部(外周側部)で接触する。このベルト7の左右の接触位置の違いによって、常に、従動プーリ5における可動シーブ5b側の伝動ピッチ半径が固定シーブ5a側の伝動ピッチ半径よりも小さくなる。このため、負荷が駆動プーリ3から従動プーリ5に伝動されている正負荷状態で、従動プーリ5における可動シーブ5bは、その回転速度が速くなって固定シーブ5aに対し進み側に相対回転し、トルクカム機構14のカムフォロワ19における第1カム部21をカムプレート15の第1カム面16上で進み側に移動させて、トルクカム効果を高めることができる。その結果、ベルト7の張力をトルクカム機構14の設定値以上に高めて、そのスリップの発生を防止することができる。
また、従動プーリ6のベルト溝6におけるベルト溝面角度θpf,θpmを異ならせて可動シーブ5bの固定シーブ5aに対する速度差を生じさせ、トルクカム機構14の効果を促進させるので、可動シーブ側溝側面6bに働く押付け力(プーリ中心方向に向かう力)が固定シーブ側溝側面6aの押付け力よりも常に大きくなり、ベルト7の長期間の走行によりベルト側面7a,7bの摩耗が生じても、その可動シーブ側ベルト側面7bが固定シーブ側ベルト側面7aよりも小径となるようにベルト7全体が傾いて、上記可動シーブ5bの固定シーブ5aに対する速度差が引き続いて維持されるようになる。このため、長期間に亘って上記トルクカム機構14の効果を促進させることができる。
(実施形態2)
図3は本発明の実施形態2を示し(尚、以下の各実施形態では、図1及び図2と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、上記実施形態1では、ベルト7の左右側面の角度θbf,θbmを同じとし、従動プーリ5のベルト溝6における溝側面6a,6bの角度θpf,θpmを固定シーブ側及び可動シーブ側で異ならせているのに対し、逆に、後者の溝側面6a,6bの角度θpf,θpmを固定シーブ側及び可動シーブ側で同じとし、前者のベルト7の左右側面の角度θbf,θbmを固定シーブ側及び可動シーブ側で異ならせたものである。
すなわち、この実施形態は本発明の請求項2に係るもので、図3に示すように、従動プーリ5のベルト溝6において、ばね10で付勢されかつトルクカム機構14が設けられている可動シーブ5b側に位置する可動シーブ側溝側面6bの、プーリ回転軸線と直交する直交平面に対するベルト溝面角度θpmと、固定シーブ側溝側面6aの上記直交平面に対するベルト溝面角度θpfとは互いに同じで(θpm=θpf)、例えば13°に設定されている。
これに対し、ベルト溝6の可動シーブ側溝側面6bに接触する可動シーブ側ベルト側面7bの、上記プーリ回転軸線と直交する直交平面に対するベルト側面角度θbmは、上記可動シーブ側溝側面6bのベルト溝面角度θpmよりも小さくて(θbm<θpm)、例えば12.6°とされている。一方、固定シーブ側溝側面6aに接触する固定シーブ側ベルト側面7aの上記直交平面に対するベルト側面角度θbfは、上記固定シーブ側溝側面6aのベルト溝面角度θpfよりも大きくて(θbf>θpf)、例えば13.4°とされている。その他の構成は実施形態1と同様である。
したがって、この実施形態の場合、従動プーリ5のベルト溝6における可動シーブ側溝側面6bに接触する可動シーブ側ベルト側面7bのベルト側面角度θbmが、可動シーブ側溝側面6bのベルト溝面角度θpmよりも小さく、かつ、固定シーブ側溝側面6aに接触する固定シーブ側ベルト側面7aのベルト側面角度θbfが、固定シーブ側溝側面6aのベルト溝面角度θpfよりも大きいので、ベルト7の寸法等のばらつきやプーリ3,5のベルト溝面角度のばらつき等があっても、基本的には、上記角度差により、ベルト7は可動シーブ側ベルト側面7bが下部で従動プーリ5のベルト溝6における可動シーブ側ベルト溝側面6bに接触し、固定シーブ側ベルト側面7aが上部で固定シーブ側ベルト溝側面6aに接触する。このベルト7の左右側面の接触位置の違いによって、常に、可動シーブ5b側の伝動ピッチ半径が固定シーブ5a側の伝動ピッチ半径よりも小さくなり、負荷が駆動プーリ3から従動プーリ5に伝動されている正負荷状態で、従動プーリ5における可動シーブ5bの回転速度が速くなって固定シーブ5aに対し進み側に相対回転し、トルクカム機構14のカムフォロワ19における第1カム部21をカムプレート15の第1カム面16上で進み側に移動させて、トルクカム効果を高めることができる。よって、この実施形態においても、ベルト7の張力をトルクカム機構14による設定値以上に高めて、ベルト7のスリップの発生を防止することができる。
(実施形態3)
図4は実施形態3を示し、この実施形態3は請求項3に係るものである。実施形態3は実施形態1又は2と異なり、ベルト7内で心線8がスパイラル状に配置されていることによるベルト7の捩れを利用したものである。
すなわち、この実施形態では、従動プーリ5のベルト溝6において、可動シーブ側溝側面6bの、プーリ回転軸線と直交する直交平面に対するベルト溝面角度θpmと、固定シーブ側溝側面6aの上記直交平面に対するベルト溝面角度θpfとは互いに同じで(θpm=θpf)、例えば13°に設定されている。
また、ベルト7において、ベルト溝6の可動シーブ側溝側面6bに接触する可動シーブ側ベルト側面7bの、プーリ回転軸線と直交する直交平面に対するベルト側面角度θbmと、固定シーブ側溝側面6aに接触する固定シーブ側ベルト側面7aの上記直交平面に対するベルト側面角度θbfとはいずれも同じ(θbm=θbf)で、例えば13°に設定されている。
さらに、ベルト7は、図4において従動プーリ5(駆動プーリ3)の軸線方向右側から見て時計回り方向に回転して走行するものとされ、このベルト7において心線8は、ベルト回転走行方向と同じベルト周方向に向かって巻回されるに伴ってベルト幅方向の一方(図4左側)に進むようにスパイラル状にS巻き状態で埋設されている。つまり、この心線8の方向Z1はベルト長さ方向Z2に対し角度αだけ図4で見て左側に傾斜している。尚、図4では、心線8はベルト7の上側スパン内のもののみを示しており、下側スパン内の心線8は示していない。この下側スパン内の心線8を示すと、上側スパン内の心線8とは角度2αで交差するように異なる方向に配置される。
そして、上記従動プーリ5の可動シーブ5bは、上記心線8がベルト幅方向に進む側(図4左側)に配置されている。
この実施形態においては、ベルト7内にスパイラル状に埋め込まれている心線8の方向Z1とベルト長さ方向Z2とが異なって角度差αが生じている。このため、ベルト7に張力がベルト長さ方向Z2に加わると、その心線8がベルト長さ方向Z2(ベルト幅方向に直角の方向)に向こうとする力が働き、この力によりベルト7の左右両側面7a,7bのうち、スパイラル状の心線8が進む側(図4左側)の側面7bがベルト回転走行方向(図4で上側)に、また進む側と反対側(図4右側)の側面7aがベルト回転走行方向と反対側(図4で下側)にそれぞれずれるように捩れる。この場合に、上記スパイラル状の心線8が進む側に従動プーリ5の可動シーブ5bが、また進む側と反対側に固定シーブ5aがそれぞれ配置されているので、上記ベルト7の捩り力によって可動シーブ5bが回転方向進み側に、また固定シーブ5aが遅れ側にそれぞれ相対回転駆動されることとなる。その結果、トルクカム機構14のカムフォロワ19における第1カム部21をカムプレート15の第1カム面16上で進み側に移動させて、トルクカム効果を高めることができ、ベルト7の張力をトルクカム機構14の設定値以上に高め、ベルト7のスリップの発生を防止することができる。
(実施形態4)
図5は実施形態4を示し、心線8のスパイラル方向を変えたものである。すなわち、この実施形態では、ベルト7は、図5において各プーリ3,5の軸線方向右側から見て時計回り方向に回転するものとされ、このベルト7において心線8は、ベルト回転走行方向と同じベルト周方向(図5においてプーリ5の軸線方向左側から見て反時計回り方向)に向かって巻回されるに伴ってベルト幅方向の一方(図5右側)に進むようにスパイラル状にZ巻き状態で埋設されている。つまり、この心線8の方向Z1はベルト長さ方向Z2に対し角度αだけ図5で見て右側に傾斜している。尚、図5でも、心線8はベルト7の上側スパン内のもののみを示しており、下側スパン内の心線8は示していない。この下側スパン内の心線8を示すと、上側スパン内の心線8とは角度2αで交差するように異なる方向に配置される。
そして、上記従動プーリ5の可動シーブ5bは、上記心線8がベルト幅方向に進む側(図5右側)に配置されている。その他の構成は上記実施形態3と同じである。
この実施形態においては、ベルト7内にスパイラル状に埋め込まれている心線8の方向Z1とベルト長さ方向Z2とに生じている角度差αにより、ベルト7に張力がベルト長さ方向Z2に加わると、その心線8がベルト長さ方向Z2(ベルト幅方向に直角の方向)に向こうとする力が働き、この力によりベルト7の両側面7a,7bのうち、スパイラル状の心線8が進む側(図5右側)の側面7bがベルト回転走行方向(図5で上側)に、また進む側と反対側(図5左側)の側面7aがベルト回転走行方向と反対側(図5で下側)にそれぞれずれるように捩れる。この場合、上記スパイラル状の心線8が進む側に従動プーリ5の可動シーブ5bが、また進む側と反対側に固定シーブ5aがそれぞれ配置されているので、上記ベルト7の捩り力によって可動シーブ5bが回転方向進み側に、また固定シーブ5aが遅れ側にそれぞれ相対回転することとなる。その結果、トルクカム機構14のカムフォロワ19における第1カム部21をカムプレート15の第1カム面16上で進み側に移動させて、トルクカム効果を高めることができ、ベルト7のスリップの発生を防止することができる。
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、ベルトとしてVベルト7を用いているが、この他、心線がベルト幅方向に並ぶようにスパイラル状に埋め込まれた張力帯と、ベルト長さ方向に所定ピッチで配置されていて、張力帯に係止固定された複数のブロックとからなる、高負荷伝動用Vベルトとしてのブロックベルトでもよい。この場合、実施形態3又は4のように、ベルトの心線の巻き方向と従動プーリの可動シーブを対応させるには、ベルトの一部である張力帯の心線での巻き方向と従動プーリの可動シーブを対応させるようにすればよい。
また、上記実施形態1又は2の構成と、実施形態3又は4の構成とを組み合わせることもできる。その場合、上記トルクカム効果を高めてベルト7のスリップの発生を防止できるという効果がより一層有効に得られる。
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
(実施例1)
図6に示すように、上記実施形態1と同様の構成の変速装置を用いた。すなわち、従動プーリ5のベルト溝6における可動シーブ側溝側面6bに接触するベルト側面7bのベルト側面角度θbm、及び固定シーブ側溝側面6aに接触するベルト側面7aのベルト側面角度θbfを共に13°とした。ベルト溝6における可動シーブ側溝側面6bのベルト溝面角度θpmは、上記可動シーブ側側面7bのベルト側面角度θbmよりも大きくてθpm>13°であった。一方、固定シーブ側溝側面6aのベルト溝面角度θpfは、上記固定シーブ側ベルト側面7aのベルト側面角度θbfよりも小さくてθpf<13°であった。尚、ベルト7のピッチ幅(ピッチラインでのベルト幅)は25mm、ベルト7の周長は612mmであった。また、変速装置Aの駆動プーリ3の外径は73.23mm、従動プーリ5の外径は124.49mm、軸間距離は148.5mmである。駆動プーリ3の可動シーブ3bにDCモータ31を連結して、このモータ31の駆動により駆動プーリ3の開閉による変速動作(可動シーブ3bの軸方向の移動)を行うようにし、従動プーリ5の可動シーブ5bにはばね10とトルクカム機構14(図6では概略的に示す)とを設けてベルト7に張力を付与する構造とした。駆動プーリ3はモータ(図示せず)で回転駆動し、従動プーリ5の負荷もDCモータ(図示せず)によって加えた。駆動プーリ3の回転速度は2500rpm、その駆動プーリ3の駆動トルクは74N・m、変速装置の速比(レシオ)は1.7、環境温度は130℃とした。
(実施例2)
実施形態2と同様に、従動プーリ5のベルト溝6における可動シーブ側溝側面6b及び固定シーブ側溝側面6aのベルト溝面角度θpm,θpfは共に13°であるのに対し、この可動シーブ側溝側面6bに接触するベルト側面7bのベルト側面角度θbmはベルト溝面角度θpmよりも小さくてθbm<13°であり、固定シーブ側溝側面6aに接触するベルト側面7aのベルト側面角度θbfはベルト溝面角度θpfよりも大きくてθbf>13°であった。その他は実施例1と同様である。
(実施例3)
実施形態3と同様に、ベルト溝6における可動シーブ側溝側面6bのベルト溝面角度θpm、この可動シーブ側溝側面6bに接触するベルト側面7bのベルト側面角度θbm、ベルト溝6における固定シーブ側溝側面6aのベルト溝面角度θpf、この固定シーブ側溝側面6aに接触するベルト側面7aのベルト側面角度θbfは、いずれも同じで13°であった。また、ベルト7の心線8は、ベルト回転走行方向と同じベルト周方向に向かって巻回されるに伴ってベルト幅方向の一方に進むようにスパイラル状にS巻き状態で埋設され、この心線8がベルト幅方向に進む側に従動プーリ5の可動シーブ5bが配置されているレイアウトとした。
(比較例1)
実施例1又は2と異なり、ベルト溝6における可動シーブ側溝側面6bのベルト溝面角度θpm、この可動シーブ側溝側面6bに接触するベルト側面7bのベルト側面角度θbm、ベルト溝6における固定シーブ側溝側面6aのベルト溝面角度θpf、この固定シーブ側溝側面6aに接触するベルト側面7aのベルト側面角度θbfを、いずれも同じ13°とした。
(比較例2)
実施例1とは逆に、従動プーリ5のベルト溝6における可動シーブ側溝側面6bに接触するベルト側面7bのベルト側面角度θbmが13°であるのに対し、ベルト溝6における可動シーブ側溝側面6bのベルト溝面角度θpmは、上記ベルト側面角度θbmよりも小さくてθpm<13°とした。一方、固定シーブ側溝側面6aのベルト溝面角度θpfは、この固定シーブ側溝側面6aに接触するベルト側面7aのベルト側面角度θbf(13°)よりも大きくてθpf>13°とした。
(比較例3)
実施例2とは逆に、ベルト溝6における可動シーブ側溝側面6bのベルト溝面角度θpmは13°であるのに対し、この可動シーブ側溝側面6bに接触するベルト側面7bのベルト側面角度θbmはベルト溝面角度θpmよりも大きくてθbm>13°とした。また、ベルト溝6における固定シーブ側溝側面6aのベルト溝面角度θpfは13°であるのに対し、この固定シーブ側溝側面6aに接触するベルト側面7aのベルト側面角度θbfはベルト溝面角度θpfよりも小さくてθbf<13°とした。
(比較例4)
実施例3とは異なり、ベルト7の心線8は、ベルト回転走行方向と逆のベルト周方向に向かって巻回されるに伴ってベルト幅方向の一方に進むようにスパイラル状にZ巻き状態で埋設され、この心線8がベルト幅方向に進む側に従動プーリ5の可動シーブ5bが配置されているレイアウトとした。その他は実施例3と同じである。
以上の実施例及び比較例について、その発生張力の大きさ、スリップの有無を評価したところ、表1に示す結果が得られた。
Figure 2007051656
この表1を見ると、本発明のように、従動プーリ5のベルト溝6における可動シーブ側溝側面6bのベルト溝面角度θpmを、可動シーブ側ベルト側面7bのベルト側面角度θbmよりも大きくし、固定シーブ側溝側面6aのベルト溝面角度θpfを固定シーブ側ベルト側面7aのベルト側面角度θbfよりも小さくすること、従動プーリ5のベルト溝6における可動シーブ側溝側面6bに接触するベルト側面7bのベルト側面角度θbmを、可動シーブ側溝側面6bのベルト溝面角度θpmよりも小さくし、固定シーブ側溝側面6aに接触するベルト側面7aのベルト側面角度θbfを、固定シーブ側溝側面6aのベルト溝面角度θpfよりも大きくすること、ベルト7の心線8をベルト回転走行方向と同じベルト周方向に向かって巻回されるに伴ってベルト幅方向に進むようにスパイラル状に埋設し、その心線8がベルト幅方向に進む側に従動プーリ5の可動シーブ5bを配置すること(ベルト7の心線8をベルト回転走行方向と逆のベルト周方向に向かって巻回されるに伴ってベルト幅方向に進むようにスパイラル状に埋設し、その心線8がベルト幅方向に進む側と反対側に従動プーリ5の可動シーブ5bを配置すること)によって、ベルト張力がトルクカム機構の設定値以上に増大し、ベルト7のスリップ発生が防止されている。
また、上記実施例1、比較例1、比較例2の構成のように、可動シーブ側ベルト側面7bのベルト側面角度θbmと、固定シーブ側ベルト側面7aのベルト側面角度θbfとが同じ13°に固定されている場合において、従動プーリ5のベルト溝6における可動シーブ側溝側面6bのベルト溝面角度θpmと固定シーブ側溝側面6aのベルト溝面角度θpfとの角度差θpm−θpfを−0.4°〜+0.4°に変えたときに、それに伴って、トルクカム機構により発生するベルト張力を測定した。θpm−θpf>0は実施例1であり、θpm−θpf=0は比較例1であり、さらにθpm−θpf<0は比較例2である。その結果を図7に示す。
この図7によると、角度差θpm−θpfが大きくなるほど張力が増大しており、θpm−θpf>0(実施例1)であると、2500N以上のベルト張力が得られている。
さらに、図8は、実施例3及び比較例4について、ベルト張力の大きさを比較したものであり、ベルト7の心線8がベルト回転走行方向と逆のベルト周方向に向かって巻回されるに伴ってベルト幅方向の一方に進むようにスパイラル状にZ巻き状態で埋設され、この心線8がベルト幅方向に進む側に従動プーリ5の可動シーブ5bが配置されている比較例4に比べ、ベルト心線8がベルト回転走行方向と同じベルト周方向に向かって巻回されるに伴ってベルト幅方向の一方に進むようにスパイラル状にS巻き状態で埋設され、この心線8がベルト幅方向に進む側に従動プーリ5の可動シーブ5bが配置されている実施例3の方が、トルクカム機構により発生するベルト張力が大きくなっている。
以上の結果から、本発明によれば、トルクカム機構によりベルト張力が増大して、ベルト7のスリップ発生を防止できることが判る。
本発明は、従動プーリ側に可動シーブの推力発生用のばねとトルクカム機構とを設けたベルト式無段変速装置に対し、トルクカム機構の効果を確保してベルトのスリップ発生を抑制できる点で、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
図1は、本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速装置における従動プーリの要部を拡大して示す正面図である。 図2は、ベルト式無段変速装置を概略的に示す図である。 図3は、実施形態2を示す図1相当図である。 図4は、実施形態3に係るベルト式無段変速装置の要部を示す正面図である。 図5は、実施形態4に係るベルト式無段変速装置の要部を示す正面図である。 図6は、ベルト張力測定のための装置を示す図である。 図7は、従動プーリのベルト溝における可動シーブ側溝側面と固定シーブ側溝側面との角度差を変えたときにトルクカム機構により発生するベルト張力の変化を示す図である。 図8は、ベルト心線のスパイラル方向に対し可動シーブ及びトルクカム機構の位置を変えたときにトルクカム機構により発生するベルト張力を示す図である。 図9は、トルクカム機構の作動を示す図である。 図10は、ベルト側面とプーリのベルト溝面との接触位置が異なった状態を示す図である。 図11は、可動シーブ側と固定シーブ側との伝動ピッチ半径が異なったときに両シーブ間で回転速度差が生じることを示す説明図である。
符号の説明
A ベルト式無段変速装置
1 駆動軸
2 従動軸
3 駆動プーリ
3a 固定シーブ
3b 可動シーブ
4 ベルト溝
5 従動プーリ
5a 固定シーブ
5b 可動シーブ
6 ベルト溝
6a 固定シーブ側溝側面
θpf ベルト溝面角度
6b 可動シーブ側溝側面
θpm ベルト溝面角度
7 ベルト
7a 固定シーブ側ベルト側面
θbf ベルト側面角度
7b 可動シーブ側ベルト側面
θbm ベルト側面角度
8 心線
Z1 心線の方向
Z2 ベルト長さ方向
α 心線のベルト長さ方向に対する傾斜角度
10 ばね(付勢手段)
14 トルクカム機構

Claims (4)

  1. 固定及び可動シーブ間に断面V字状のベルト溝が形成された変速プーリからなる駆動及び従動プーリと、
    上記駆動及び従動プーリのベルト溝に巻き掛けられたVベルトと、
    上記従動プーリの可動シーブを固定シーブに近付くように常時付勢する付勢手段と、
    上記従動プーリの可動シーブが固定シーブに対し回転方向進み側に相対回転したときに該可動シーブを固定シーブに近付くように押圧するトルクカム機構とを備えたベルト式無段変速装置において、
    上記従動プーリのベルト溝における可動シーブ側溝側面の、プーリ回転軸線と直交する直交平面に対するベルト溝面角度θpmが、上記可動シーブ側溝側面に接触するベルト側面の上記直交平面に対するベルト側面角度θbmよりも大きく、かつ、固定シーブ側溝側面の上記直交平面に対するベルト溝面角度θpfが、上記固定シーブ側溝側面に接触するベルト側面の上記直交平面に対するベルト側面角度θbfよりも小さいことを特徴とするベルト式無段変速装置。
  2. 固定及び可動シーブ間に断面V字状のベルト溝が形成された変速プーリからなる駆動及び従動プーリと、
    上記駆動及び従動プーリのベルト溝に巻き掛けられたVベルトと、
    上記従動プーリの可動シーブを固定シーブに近付くように常時付勢する付勢手段と、
    上記従動プーリの可動シーブが固定シーブに対し回転方向進み側に相対回転したときに該可動シーブを固定シーブに近付くように押圧するトルクカム機構とを備えたベルト式無段変速装置において、
    上記従動プーリのベルト溝における可動シーブ側溝側面に接触するベルト側面の、プーリ回転軸線と直交する直交平面に対するベルト側面角度θbmが、上記可動シーブ側溝側面の上記直交平面に対するベルト溝面角度θpmよりも小さく、かつ、固定シーブ側溝側面に接触するベルト側面の上記直交平面に対するベルト側面角度θbfが、上記固定シーブ側溝側面の上記直交平面に対するベルト溝面角度θpfよりも大きいことを特徴とするベルト式無段変速装置。
  3. 固定及び可動シーブ間に断面V字状のベルト溝が形成された変速プーリからなる駆動及び従動プーリと、
    上記駆動及び従動プーリのベルト溝に巻き掛けられたVベルトと、
    上記従動プーリの可動シーブを固定シーブに近付くように常時付勢する付勢手段と、
    上記従動プーリの可動シーブが固定シーブに対し回転方向進み側に相対回転したときに該可動シーブを固定シーブに近付くように押圧するトルクカム機構とを備えたベルト式無段変速装置において、
    上記ベルトには、心線がベルト回転走行方向と同じベルト周方向に向かって巻回されるに伴ってベルト幅方向に進むようにスパイラル状に埋設されており、
    上記心線がベルト幅方向に進む側に、上記従動プーリの可動シーブが配置されていることを特徴とするベルト式無段変速装置。
  4. 請求項1又は2のいずれか1つのベルト式無段変速装置と、請求項3のベルト式無段変速装置とが組み合わせられたことを特徴とするベルト式無段変速装置。
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