JP2007049080A - 配線基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 必要な部分のみに金属層を析出させるとともに、簡単な製造プロセスで配線を形成することにある。
【解決手段】 本発明にかかる配線基板100の製造方法は、(a)第1の界面活性剤を含む第1の界面活性剤層16を基板に設ける工程と、(b)第2の界面活性剤および触媒を含む溶液に前記基板を浸漬することによって触媒層32を設ける工程と、(c)前記触媒層上に金属を析出させることによって金属層60を設ける工程と、を含む。
【選択図】 図8

Description

本発明は、配線基板の製造方法に関する。
フレキシブル基板に配線を形成する方法として、サブトラクティブ法やアディティブ法が知られている。サブトラクティブ法では、フレキシブル基板の全面に金属層を形成し、金属層上にフォトレジストをパターニングして形成し、フォトレジストをバリヤとして金属層をエッチングする。アディティブ法では、フレキシブル基板上にフォトレジストをパターニングして形成し、フォトレジストからの開口部にめっき処理によって金属層を析出させる。
これらの方法によれば、フォトレジストを最終的に除去する点、さらにサブトラクティブ法では金属層の一部を除去する点において、資源及び材料の消費が課題となっていた。また、フォトレジストの形成及び除去工程が必要となるので、製造工程数が多いことが課題となっていた。さらに、配線の寸法精度がフォトレジストの解像度に依存するため、より高精度の配線を形成するには限界があった。
特開平10−65315号公報
本発明の目的は、必要な部分のみに金属層を析出させるとともに、簡単な製造プロセスで配線を形成することにある。
本発明にかかる配線基板の製造方法は、
(a)第1の界面活性剤を含む界面活性剤層を基板に設ける工程と、
(b)第2の界面活性剤および触媒を含む溶液に前記基板を浸漬することによって触媒層を設ける工程と、
(c)前記触媒層上に金属を析出させることによって金属層を設ける工程と、
を含む。
本発明にかかる配線基板の製造方法によれば、第1の界面活性剤および第2の界面活性剤を用いることにより、基板の液中表面電位を制御し、所望の領域にのみ触媒層を形成することができる。
本発明にかかる配線基板の製造方法において、
前記第1の界面活性剤のイオン価の符号は、前記第2の界面活性剤のイオン価の符号と異なることができる。
本発明にかかる配線基板の製造方法において、
前記工程(a)と前記工程(b)との間に、
(d)所定の領域の前記界面活性剤層を除去する工程を、さらに含むことができる。
本発明にかかる配線基板の製造方法において、
前記工程(d)は、
前記界面活性剤層の所定の領域に真空紫外放射を照射することによって、前記界面活性剤層を分解する工程を含むことができる。
本発明にかかる配線基板の製造方法において、
前記工程(b)では、
前記界面活性剤層の上方に前記触媒層を設けることができる。
本発明にかかる配線基板の製造方法において、
前記工程(d)では、
前記基板の上面の所定の領域の前記界面活性剤層を除去し、
前記工程(b)では、
前記基板の上面の前記所定の領域以外の領域に前記触媒層を設けることができる。
本発明にかかる配線基板の製造方法において、
前記工程(b)では、
前記基板に設けられた前記界面活性剤層のうち、所定の面積より小さい面積の界面活性剤層の上方に前記触媒層を設けることができる。
本発明にかかる配線基板の製造方法において、
前記工程(a)の前に、
前記基板の上面の所定の領域にレジスト層を設ける工程をさらに含み、
前記工程(b)では、
前記所定の領域以外の領域に前記触媒層を設けることができる。
本発明にかかる配線基板の製造方法において、
前記工程(c)の後に、
前記レジスト層を除去する工程をさらに含むことができる。
本発明にかかる配線基板の製造方法において、
前記第1の界面活性剤は、カチオン系界面活性剤であり、
前記第2の界面活性剤は、アニオン系界面活性剤であり、
前記触媒は、パラジウムを含むことができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
1.第1の実施の形態
1.1.配線基板の製造方法
図1〜図9は、第1の実施の形態にかかる配線基板100(図9参照)の製造方法を示す図である。本実施の形態では、無電解めっきを適用して配線基板を製造する。
(1)まず、基板10を用意する。基板10は、図1に示すように絶縁基板であってもよい。基板10は、有機系基板(例えばプラスチック材、樹脂基板)であってもよいし、無機系基板(例えば石英ガラス、シリコンウエハ、酸化物層)であってもよい。プラスチック材としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。あるいは、基板10は、光透過性基板(例えば透明基板)であってもよい。基板10は、単層のみならず、ベース基板上に少なくとも1層の絶縁層が形成されている多層のものも含む。本実施の形態では、基板10上に金属層を形成する。
次に、基板10を洗浄する。基板10の洗浄は、ドライ洗浄でもよいし、図1に示すようにウエット洗浄でもよい。ウエット洗浄は、例えば、基板10をオゾン水12(オゾン濃度10ppm〜20ppm)に室温状態で5分〜30分程度浸漬することで行うことができる。またドライ洗浄は、真空紫外線ランプ(波長172nm、出力10mW、試料間距離1mm)を用いて、窒素雰囲気下において、30秒〜900秒間、真空紫外線を照射して行うことができる。基板10を洗浄することによって、基板10の表面に付着している油脂などの汚れを除去することができる。また、基板10の表面を撥水性から親水性に変化させることができる。また、基板10の液中表面電位が負電位であれば、基板10の洗浄により均一な負電位面を形成することができる。
(2)次に、図2に示すように、基板10を界面活性剤溶液14に浸漬する。界面活性剤溶液14に含まれる界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤またはアニオン系界面活性剤を含む。基板10の表面の液中表面電位が負電位の場合には、界面活性剤溶液14に含まれる界面活性剤として、カチオン系界面活性剤を適用することが好ましい。カチオン系界面活性剤は、他の界面活性剤に比べて基板10に吸着しやすいからである。一方、基板10の表面の液中表面電位が正電位の場合には、界面活性剤溶液14に含まれる界面活性剤として、アニオン系界面活性剤を適用することが好ましい。
界面活性剤溶液14としては、例えば、アミノシラン系成分を含む水溶性界面活性剤(テクニックジャパン(株)製FPDコンディショナー)の溶液や、アルキルアンモニウム系の溶液(例えば、セチルトリメチルアンンモニウムクロリド等)などを用いることができる。浸漬時間は、例えば、1分〜10分程度とすることができる。
次に、界面活性剤溶液から基板10を取り出し、超純水で洗浄する。その後、基板10を、例えば、室温下で自然乾燥、または、圧縮空気を吹き付けて水滴を除去した後、90℃〜120℃のオーブン内に10分〜1時間程度放置して乾燥させる。以上の工程により、図3に示すように、第1の界面活性剤層16を基板10に設けることができる。このとき、界面活性剤溶液14に含まれる界面活性剤としてカチオン系界面活性剤を適用した場合には、基板10の液中表面電位は吸着前よりも正電位側にシフトしている。
(3)次に、第1の界面活性剤層16をパターニングすることにより、所定の領域の第1の界面活性剤層16を除去する。本実施の形態では、図4に示すように、所定の領域の第1の界面活性剤層16を光分解することにより、パターニングする。
所定の領域に照射する光20としては、例えば真空紫外線(VUV;vacuum ultraviolet)を用いることができる。光20の波長を、例えば170nm〜260nmとすることにより、原子間結合(例えば、C−C、C=C、C−H、C−F、C−Cl、C−O、C−N、C=O、O=O、O−H、H−F、H−Cl、N−Hなど)を切断することができる。これにより、第1の界面活性剤層16を光分解させることができる。また、この波長帯域の光20を用いることにより、イエロールームなどの設備が不要となり、例えば白色灯下で本実施形態に係る一連の工程を行うことができる。
光20の照射は、具体的には、例えば、光源18として真空紫外線ランプ(波長172nm、出力10mW、試料間距離1mm)を用いて、窒素雰囲気下において、5分〜30分間行うことができる。光源18は、例えばXeガスが封入されたエキシマランプであってもよい。なお、光20の波長は、第1の界面活性剤層16を光分解することができるものであれば、特に限定されない。
光20は、マスク22(例えばフォトマスク)を介して基板10に照射される。詳しくは、光源18と基板10の間にマスク22を配置し、光20をマスク22の遮光部24(例えばクロムなどの金属パターン部)以外の領域に透過させる。本実施の形態では、第1の界面活性剤層16のパターン領域以外に金属層を形成するため、遮光部は、上述した所定の領域以外の領域に形成される。言い換えれば、遮光部は、金属層のパターン形状と反転形状であって、かつ面対称な形状をなしている。マスク22は、基板10に接して配置されていてもよい。また、窒素雰囲気中で光照射処理を行えば、光20が減衰しにくいので好ましい。こうして、図5に示すように、所定のパターン形状を有する第1の界面活性剤層28を形成することができる。なお、基板10の側面および裏面は、上述した光20が照射されず、パターニングされない。よって、図5に示すように、基板10の側面および裏面には、第1の界面活性剤層26が形成されている。
(4)次に、図6に示すように、触媒溶液30に基板10を浸漬する。触媒溶液30は、無電解めっきの触媒として機能する触媒成分および界面活性剤を含む。触媒成分としては、たとえばパラジウムを用いることができる。触媒溶液30に含まれる界面活性剤としては、そのイオン価が、上述した界面活性剤溶液14に含まれる界面活性剤のイオン価と異なる符号を有することが好ましい。具体的には、第1の界面活性剤層16に含まれる界面活性剤がカチオン系界面活性剤である場合には、触媒溶液30に含まれる界面活性剤はアニオン系界面活性剤であることが好ましい。一方、第1の界面活性剤層16に含まれる界面活性剤がアニオン系界面活性剤である場合には、触媒溶液30に含まれる界面活性剤はカチオン系界面活性剤であることが好ましい。アニオン系界面活性剤としては、たとえばドデシル硫酸ナトリウム等のアルキルサルフェート系界面活性剤を用いることができる。
たとえば、以下の手順により触媒溶液30を作製することができる。
(4a)純度99.99%のパラジウムペレットを塩酸と過酸化水素水と水との混合溶液に溶解させ、パラジウム濃度が0.1〜0.5g/lの塩化パラジウム溶液とする。
(4b)上述した塩化パラジウム溶液をさらに水で希釈することによりパラジウム濃度を0.01〜0.05g/lとする。
(4c)水酸化ナトリウム水溶液等を用いて、塩化パラジウム溶液のpHを4.5〜6.8に調整する。
(4d)ドデシル硫酸ナトリウムを塩化パラジウム溶液に添加し、ドデシル硫酸ナトリウムの濃度を0.1〜4.0g/lとする。
このように作製された触媒溶液30に基板10を浸漬すると、図7に示すように、第2の界面活性剤層34および触媒層32が形成される。
第2の界面活性剤層34および触媒層32が形成されるメカニズムについて、以下のように想定することができる。ここでは、第1の界面活性剤層28がカチオン系界面活性剤を含み、第2の界面活性剤層34がアニオン系界面活性剤を含む場合について説明する。
まず、第2の界面活性剤層34は、図7に示すように、基板10の側面および裏面の第1の界面活性剤層26上に優先的に形成される。第1の界面活性剤層26の面積は、パターニングによって形成された第1の界面活性剤層28の面積より大きいため、より広い領域にわたって正電位を保持している。したがって、第1の界面活性剤層26は、イオン価の符号が異なる界面活性剤、即ち触媒溶液30に含まれているアニオン系界面活性剤を引き寄せやすい。よって、第1の界面活性剤層26の上に優先的にアニオン系界面活性剤が吸着し、第2の界面活性剤層34が形成される。
次に、触媒層32は、図7に示すように、第1の界面活性剤層28上に形成される。基板10における第2の界面活性剤層34が形成されている領域は、第1の界面活性剤層28が形成されている領域に比べて、より多くの負電荷を有する。一方、触媒溶液30に含まれる触媒のパラジウムは、液中において負の電荷をもつイオンに取り囲まれているため、負に帯電している。したがって、パラジウムは、液中表面電位が正電位の第1の界面活性剤層28に引き寄せられやすいため、触媒層32は、第1の界面活性剤層28上に形成される。
以上のようにメカニズムを想定したが、基板10を触媒溶液30に浸漬する工程であっても、第1の界面活性剤層28上には触媒層32を形成し、基板10の側面および裏面の第1の界面活性剤層26上には触媒層32を形成しないようにすることができる。これにより、基板10の側面および裏面に触媒層が形成されないようにするための保護層を予め形成する必要がなく、プロセスを簡略化することができる。
(5)次に、図8に示すように、触媒層32上に金属層36を析出させる。具体的には、基板10を無電解めっき液に浸漬させることによって、触媒層32上に金属層36を析出させることができる。金属層36としてニッケル層を析出させる場合を説明すると、無電解めっき液としては、硫酸ニッケル6水和物が主体であり、次亜燐酸ナトリウムが還元剤として含まれたものを用いることができる。例えば、基板10をこのような無電解めっき液(温度80℃)に1分〜10分程度浸漬することによって、0.1μm〜1.0μmの厚みを有するニッケル層を形成することができる。あるいは、無電解めっき液として、塩化ニッケル6水和物が主体であり、次亜燐酸ナトリウムが還元剤として含まれたものを用いることもできる。例えば、基板10をこのような無電解めっき液(温度75℃)に0.5分〜10分程度浸漬することによって、0.1μm〜1.0μmの厚みを有するニッケル層を形成することができる。なお、金属層36の材料は触媒によってめっき反応が起こる材料であれば特に限定されず、例えば白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)などからも形成することができる。こうして、基板10上に金属層36を形成することができる。
金属層36を析出させた後、超純水によるリンス洗浄を行い、自然乾燥および圧縮空気を吹きかけることによって水滴を除去する。
以上の工程により、配線基板100を形成することができる。本実施の形態では、上述したように触媒層32は第1の界面活性剤層28上のみに形成されているため、金属層36を第1の界面活性剤層28上にのみに形成することができる。これにより、基板10の側面および裏面に金属層36が形成されないようにするための保護層を形成する必要がなく、プロセスを簡略化することができる。
1.2.配線基板および電子デバイス
図9は、第1の実施の形態にかかる配線基板の製造方法によって製造される配線基板を適用した電子デバイスの一例を示す。電子デバイス1000は、配線基板100と、集積回路チップ90と、他の基板92とを含む。
配線基板100に形成された配線パターンは、電子部品同士を電気的に接続するためのものであってもよい。配線基板100は、上述した製造方法によって製造される。図9に示す例では、配線基板100には、集積回路チップ90が電気的に接続され、配線基板100の一方の端部は、他の基板92(例えば表示パネル)に電気的に接続されている。電子デバイス1000は、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、EL(Electro luminescence)ディスプレイ装置などの表示装置であってもよい。
2.第2の実施の形態
図10〜図17は、第2の実施の形態にかかる配線基板200(図17参照)の製造方法を示す図である。
(1)まず、上述した基板10を用意し、レジスト層52を形成する。レジスト(図示せず)を基板10の上面に塗布した後、リソグラフィ法により該レジストをパターニングすることにより、レジスト層52を形成することができる。
(2)次に、基板10を洗浄する。基板10の洗浄は、図11に示すようにドライ洗浄でもよいし、ウエット洗浄でもよいが、ドライ洗浄がより好ましい。ドライ洗浄にすることによって、剥離等のレジスト層52に与えるダメージを防止することができる。
ドライ洗浄は、上述した真空紫外線ランプを用いて、窒素雰囲気下において、30秒〜900秒間、真空紫外線を照射して行うことができる。基板10を洗浄することによって、基板10の表面に付着している油脂などの汚れを除去することができる。また、基板10およびレジスト層52の表面を撥水性から親水性に変化させることができる。また、基板10の液中表面電位が負電位であれば、基板10の洗浄により均一な負電位面を形成することができる。
(3)次に、図12に示すように、基板10を上述した界面活性剤溶液14に浸漬する。浸漬時間は、例えば、1分〜10分程度とすることができる。
次に、界面活性剤溶液から基板10を取り出し、超純水で洗浄する。その後、基板10を、例えば、室温下で自然乾燥、または、圧縮空気を吹き付けて水滴を除去した後、90℃〜120℃のオーブン内に10分〜1時間程度放置して乾燥させる。以上の工程により、図13に示すように、第1の界面活性剤層54を基板10およびレジスト層52上に設けることができる。このとき、界面活性剤溶液14に含まれる界面活性剤としてカチオン系界面活性剤を適用した場合には、基板10の液中表面電位は正電位側にシフトしている。
(4)次に、図14に示すように、上述した触媒溶液30に基板10を浸漬する。触媒溶液30に含まれる界面活性剤としては、そのイオン価が、上述した界面活性剤溶液14に含まれる界面活性剤のイオン価と異なる符号を有することが好ましい。具体的には、第1の界面活性剤層16に含まれる界面活性剤がカチオン系界面活性剤である場合には、触媒溶液30に含まれる界面活性剤はアニオン系界面活性剤であることが好ましい。一方、第1の界面活性剤層16に含まれる界面活性剤がアニオン系界面活性剤である場合には、触媒溶液30に含まれる界面活性剤はカチオン系界面活性剤であることが好ましい。アニオン性界面活性剤としては、たとえばドデシル硫酸ナトリウム等のアルキルサルフェート系界面活性剤を用いることができる。
たとえば、以下の手順により触媒溶液30を作製することができる。
(4a)純度99.99%のパラジウムペレットを塩酸と過酸化水素水と水との混合溶液に溶解させ、パラジウム濃度が0.1〜0.5g/lの塩化パラジウム溶液とする。
(4b)上述した塩化パラジウム溶液をさらに水で希釈することによりパラジウム濃度を0.01〜0.05g/lとする。
(4c)水酸化ナトリウム水溶液等を用いて、塩化パラジウム溶液のpHを4.5〜6.8に調整する。
(4d)ドデシル硫酸ナトリウムを塩化パラジウム溶液に添加し、ドデシル硫酸ナトリウムの濃度を0.1〜4.0g/lとする。
このように作製された触媒溶液30に基板10を浸漬すると、図15に示すように、第2の界面活性剤層56および触媒層58が形成される。浸漬時間は、たとえば30秒〜5分であってもよい。触媒溶液30に浸漬した後、基板10を水洗してもよい。水洗は、純水によって行われることができる。この水洗によって、触媒の残渣が後述する無電界めっき液に混入するのを防止することができる。
第2の界面活性剤層56および触媒層58が形成されるメカニズムについて、以下のように想定することができる。ここでは、第1の界面活性剤層54がカチオン系界面活性剤を含み、第2の界面活性剤層56がアニオン系界面活性剤を含む場合について説明する。
第2の界面活性剤層56は、第1の界面活性剤層54上全面に形成されるが、基板10上の各領域によって触媒であるパラジウムとの親和性が異なる。具体的には、基板10の上面においてレジスト層52が設けられた領域1と、レジスト層52が設けられていない領域2と、基板10の裏面および側面の領域3は、触媒との親和性が異なる。これは、各領域の面積および材質が異なるために生じる現象である。
第2の実施の形態においては、上述した領域2が触媒との親和性が最も高いため、図15に示すように領域2にのみ触媒層58が形成される。なお、触媒溶液30に含まれる触媒のパラジウムは、液中において負の電荷をもつイオンに取り囲まれているため、負に帯電している。
以上のようにメカニズムを想定したが、基板10を触媒溶液30に浸漬する工程であっても、基板10の側面および裏面および基板10の上面のレジスト層52上には触媒層58を形成しないようにすることができる。これにより、基板10の側面および裏面に触媒層が形成されないようにするための保護層を予め形成する必要がなく、第1の界面活性剤層54をパターニングする必要もないため、プロセスを簡略化することができる。
(5)次に、図8に示すように、触媒層58上に金属層60を析出させる。
具体的には、基板10を無電解めっき液に浸漬させることによって、触媒層58上に金属層60を析出させることができる。金属層60としてニッケル層を析出させる場合を説明すると、無電解めっき液としては、硫酸ニッケル6水和物が主体であり、次亜燐酸ナトリウムが還元剤として含まれたものを用いることができる。例えば、基板10をこのような無電解めっき液(温度80℃)に1分〜10分程度浸漬することによって、0.1μm〜1.0μmの厚みを有するニッケル層を形成することができる。あるいは、無電解めっき液として、塩化ニッケル6水和物が主体であり、次亜燐酸ナトリウムが還元剤として含まれたものを用いることもできる。例えば、基板10をこのような無電解めっき液(温度75℃)に0.5分〜10分程度浸漬することによって、0.1μm〜1.0μmの厚みを有するニッケル層を形成することができる。なお、金属層60の材料は触媒によってめっき反応が起こる材料であれば特に限定されず、例えば白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)などからも形成することができる。こうして、基板10上に金属層60を形成することができる。
第2の実施の形態では、上述したように触媒層58は上述した領域2上のみに形成されているため、金属層60を領域2上にのみに形成することができる。また、金属層60の析出時にレジスト層52が周囲に形成されているため、レジスト層52が金属層60を保護することができる。これにより、微細なパターンであっても金属層60を厚く形成することが可能となる。
(6)次に、図17に示すように、レジスト層52を除去する。レジスト層52は、たとえばアセトン等を用いて除去することができる。レジスト層52とともに、レジスト層52上に設けられた第1の界面活性剤層54および第2の界面活性剤層56も除去される。
以上の工程により、配線基板200を形成することができる。第2の実施の形態によれば、液中電荷の異なる2種類の界面活性剤を用いた無電解めっきにより、基板10の上面の領域かつレジスト層52の形成されていない領域に選択的に金属層60を形成することができる。これにより、簡単な製造プロセスで信頼性の高い配線基板を製造することができる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
第1の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。 第1の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。 第1の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。 第1の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。 第1の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。 第1の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。 第1の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。 第1の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。 第1の実施の形態にかかる配線基板を適用した電子デバイスの一例を示す図。 第2の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。 第2の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。 第2の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。 第2の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。 第2の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。 第2の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。 第2の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。 第2の実施の形態にかかる配線基板の製造方法を示す図。
符号の説明
10 基板、12 オゾン水、14 界面活性剤溶液、16、26、28、54 第1の界面活性剤層、18 光源、20 光、22 マスク、24 遮光部、30 触媒溶液、32、58 触媒層、34、56 第2の界面活性剤層、36、60 金属層、52 レジスト層、90 集積回路チップ、92 他の基板、100、200 配線基板、1000 電子デバイス

Claims (10)

  1. (a)第1の界面活性剤を含む界面活性剤層を基板に設ける工程と、
    (b)第2の界面活性剤および触媒を含む溶液に前記基板を浸漬することによって触媒層を設ける工程と、
    (c)前記触媒層上に金属を析出させることによって金属層を設ける工程と、
    を含む、配線基板の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記第1の界面活性剤のイオン価の符号は、前記第2の界面活性剤のイオン価の符号と異なる、配線基板の製造方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記工程(a)と前記工程(b)との間に、
    (d)所定の領域の前記界面活性剤層を除去する工程を、さらに含む、配線基板の製造方法。
  4. 請求項3において、
    前記工程(d)は、
    前記界面活性剤層の所定の領域に真空紫外放射を照射することによって、前記界面活性剤層を分解する工程を含む、配線基板の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
    前記工程(b)では、
    前記界面活性剤層の上方に前記触媒層を設ける、配線基板の製造方法。
  6. 請求項3または4において、
    前記工程(d)では、
    前記基板の上面の所定の領域の前記界面活性剤層を除去し、
    前記工程(b)では、
    前記基板の上面の前記所定の領域以外の領域に前記触媒層を設ける、配線基板の製造方法。
  7. 請求項3または4において、
    前記工程(b)では、
    前記基板に設けられた前記界面活性剤層のうち、所定の面積より小さい面積の界面活性剤層の上方に前記触媒層を設ける、配線基板の製造方法。
  8. 請求項1または2において、
    前記工程(a)の前に、
    前記基板の上面の所定の領域にレジスト層を設ける工程をさらに含み、
    前記工程(b)では、
    前記所定の領域以外の領域に前記触媒層を設ける、配線基板の製造方法。
  9. 請求項8において、
    前記工程(c)の後に、
    前記レジスト層を除去する工程をさらに含む、配線基板の製造方法。
  10. 請求項1ないし9のいずれかにおいて、
    前記第1の界面活性剤は、カチオン系界面活性剤であり、
    前記第2の界面活性剤は、アニオン系界面活性剤であり、
    前記触媒は、パラジウムを含む、配線基板の製造方法。
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