JP2007047231A - 粒子移動型表示装置、およびその駆動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 表示面の中心側でも帯電粒子5を再現性高く高速に移動できる、応答性の高い粒子移動型表示装置を提供する。
【解決手段】 隔壁3で囲まれた着色層9の中心位置に開口を形成して表示電極6を露出させ、隔壁電極7、着色層9、スルーホール11を一体に覆って電気的に接続する抵抗層10を形成する。また、抵抗層10に対向させて、隔壁電極7とは電気的に分離された対向電極8を設ける。スルーホール11と隔壁電極7の間の抵抗層11には、スルーホール11と隔壁電極7の電位差を連続的に連絡した表面電位が形成され、この表面電位と対向電極8の正電圧とによって、移動空間50に形成される電界状態が最適化され、荷電粒子5が再現性高く速やかに移動する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気泳動表示装置、トナーディスプレイ等、表示単位ごとの表示電極と複数の表示単位に共通な隔壁電極との間で有色の帯電粒子を移動させて表示単位ごとの透過光量を設定する粒子移動型表示装置、詳しくは表示電極の構造に関する。
デジタル技術の目覚しい進歩により、個人が扱うことのできる情報量は飛躍的に増大している。これに伴い、情報の出力手段としての各種表示装置の開発、改良が盛んに行われており、それぞれ高精細化、低消費電力化、軽量化、薄型化等を目指した技術革新が続いている。
特に、近年では、電子ペーパー、電子ブック等の次世代商品に向けて、印刷物と同等の表示品位をもつ“読み易い”高精細な表示装置が待望されており、そのような表示装置の候補の1つとして、電気泳動表示装置が提案されている。
特許文献1には、帯電粒子の移動空間を仕切る隔壁を挟んで後方基板(表示側基板)と前方基板とを重ね、両者の間隙に形成された帯電粒子の移動空間に有色の帯電粒子を分散させた絶縁性液体を密封した電気泳動表示装置が示される。ここでは、後方基板に面状の表示電極、前方基板に面状の対向電極をそれぞれ設けており、表示電極と対向電極との間に任意の電位極性を設定することにより、帯電粒子を垂直方向に移動させている。
そして、後方基板側へ帯電粒子を移動させると、絶縁性液体の色が画素に設定される一方、前方基板側へ帯電粒子を移動させると、帯電粒子の色が画素に設定されることとなり、結果的に二色反転の画素表示が可能である。
特許文献2には、画素空間を囲む隔壁の起立面に隔壁電極、画素空間の底面に表示電極をそれぞれ配置し、黒色の帯電粒子を分散させた透明な絶縁性液体を画素空間に封入した電気泳動表示装置が示される。ここでは、画素空間の底面と隔壁との間で帯電粒子を水平方向に移動させており、画素空間の底面に帯電粒子を集めると、前方基板から入射した画素空間の透過光を帯電粒子が遮断して画素が黒色に観察される一方、隔壁に帯電粒子を集めると、透明な絶縁性液体を通して、前方基板側から表示電極が丸見えとなる。
言い換えれば、黒色の帯電粒子が画素ごとのシャッターを形成しており、表示電極に印加する駆動電圧信号の電圧、継続時間、パルス数の少なくとも1つを異ならせることにより、帯電粒子の底面被覆状態を変化させて、全閉から全開までの中間開度(中間諧調)を画素ごとに設定することも可能である。
米国特許第3612758号明細書 特許第3421494号明細書
特許文献2の電気泳動表示装置では、帯電粒子の移動空間の底面のほぼ全体が、隔壁電極と完全に絶縁された表示電極によって占有されているため、表示電極の中央部分では、帯電粒子を移動させるための電界の傾斜が緩くなって、帯電粒子を水平方向へ移動させるにもかかわらず、水平方向へ帯電粒子を十分に加速できず、帯電粒子の移動速度が低下してしまう。
言い換えれば、隔壁電極と隣接する表示電極の周辺部分に電界が集中する一方で、表示電極の中心側では電界が疎らとなり、帯電粒子を表示電極の中心へ移動させたり、表示電極の中心から隔壁へ移動させたりする際に、表示電極が帯電粒子に対する十分な静電引力/反発力を発生できない。
従って、表示電極の中心へ向かって帯電粒子を移動させる際には、帯電粒子が中心に近づくに従って急に移動速度が低下してしまい、帯電粒子が表示面を被覆完了するまでの時間がかかる、被覆完了に近い高濃度側での階調がばらつく、高濃度側の階調を制御しづらいと言った問題が指摘されている。
また、電気泳動表示装置では、帯電粒子の移動空間の底面に、帯電粒子に対する親和性を向上させる処理を施して、表示電極の駆動電圧信号を解除した後も帯電粒子を底面に保持させて、画素表示のメモリ性を高めることが提案されているが、処理によって加算された親和力に打ち勝って帯電粒子を表示電極の中心から隔壁電極へ移動させようとすると、隔壁電極と表示電極との間にかなり高い電位差を設定する必要がある。
しかし、隔壁電極と表示電極との間に極端に高い電位差を設定すると、絶縁性液体が電離して界面が腐蝕したり、帯電粒子の帯電が失われて凝集したりする可能性がある。
また、さらなる薄型化を目指して隔壁高さを減じ、後方基板と前方基板との間隙を狭くすると、表示電極の中心から見た隔壁電極の立体角が狭くなって、表示電極の中心付近での電界の傾斜はさらに緩くなり、帯電粒子の移動速度がさらに低下して、帯電粒子が表示電極の中心付近で停滞する可能性すらある。
また、特許文献2の電気泳動表示装置を参考にして反射型のカラー表示装置を構成する場合、反射面を兼ねた表示単位ごとの表示電極の上にカラーフィルタ層を配置することになる。ここで、カラーフィルタ層が絶縁性の場合、表示電極の電位を急変させた際に、カラーフィルタ層と絶縁性液体の界面に残留電荷が発生し易くなり、残留電荷が帯電粒子を拡散させて表示画像の品質を損ねたり、画素表示のメモリ性を損ねたりする。
本発明は、表示面の中心側から周辺までの電界密度の偏りを緩和して、表示面の中心側でも、帯電粒子に対する十分な静電引力/反発力を確保させて、帯電粒子を再現性高く高速に移動できる、応答性の高い粒子移動型表示装置を提供することを目的としている。
本発明の粒子移動型表示装置は、表示単位ごとの表示面を設定した表示側基板と、前記表示面から帯電粒子を集める隔壁電極を有して前記帯電粒子の移動空間を仕切る隔壁とを備えた粒子移動型表示装置において、前記隔壁電極から距離を置いて前記表示面に配置した電圧信号の給電部に接続して前記表示面を覆い、前記隔壁電極にも接続する抵抗性の薄膜層と、前記移動空間を挟んで前記表示面に対向する対向電極とを有し、前記隔壁電極と前記対向電極とが電気的に分離されて別々の電圧信号を印加可能なものである。
本発明の粒子移動型表示装置では、表示電極の主たる部分が抵抗性の薄膜層によって構成されており、表示電極には、給電部から隔壁電極へ向かって、給電部の電位と隔壁電極の電位とを連絡する連続的に傾斜した表面電位が形成される。これにより、表示電極に接する帯電粒子の移動空間には、給電部から隔壁電極まで、水平方向に連続的に空間電位が変化する電界をほぼ一様な密度で形成可能である。
従って、隔壁電極の近傍での電界集中が無くなるとともに、給電部の近傍でも隔壁電極の近傍とほぼ等しい密度の電界が形成される。そして、給電部と隔壁電極との電位差が小さくても、隔壁電極から給電部まで、帯電粒子に対する、十分で格差の少ない、水平方向の静電引力/反発力を作用させることができる。従って、給電部の近傍でも帯電粒子を再現性高く高速に移動でき、階調設定の再現性と応答性とが高い粒子移動型表示装置を提供できる。
そして、帯電粒子の移動空間を挟んで前記表示面に対向する対向電極は、隔壁電極とは異なる、帯電粒子を表示面側へ付勢する所定の電位を設定することにより、給電部の近傍の移動空間における電界配置をさらに適正化して、帯電粒子の水平方向の移動をさらに効率的に行わせる。
すなわち、対向電極は、表示電極から垂直に立ち上がる電気力線をより水平な方向に偏向させて、表示電極の中央部と隔壁電極との間に帯電粒子のより短い移動経路、従って空間電位の傾きが大きな移動経路を形成する。対向電極は、表示電極と共働して、水平方向に帯電粒子を移動させる効率を高めて表示電極中心から隔壁までの帯電粒子の移動時間を短縮し、階調表示の応答性を改善する。
以下、それぞれ本発明の一実施形態である反射型の電気泳動表示装置100〜500について、図面を参照しながら詳細に説明する。電気泳動表示装置100〜500は、バックライトを持たない反射型であるが、本発明は、後方基板1に隣接させてバックライトを設けた透過型として実施してもよい。また、電気泳動表示装置100〜500は、画素ごとに形成したスイッチング素子を、格子状に配列した多数のデータ線と多数のトリガー線とによりダイナミック制御するアクティブマトリクス型であるが、本発明は、アクティブマトリクス型以外の画素駆動方式を採用してもよい。
電気泳動表示装置100〜500は、無数の画素を格子状に配列した画像表示装置であるが、図1〜図5では、1つの画素部分で代表して図示している。また、特許文献1、2に示される表示装置の一般的な構造、一般的な製造方法、表面処理等については、本発明の趣旨と隔たりがあるので、煩雑を避けるべく、一部図示を省略して詳細な説明も省略する。
また、本発明の粒子移動型表示装置は、一対の基板間に、帯電粒子が介在する場合と、絶縁性液体に分散した帯電粒子が介在する場合との両方で実施可能であるが、これらの実施形態の本質は同じものであることから、以下では後者の電気泳動表示装置の代表的な実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の電気泳動表示装置における断面構成を示す説明図、図2は第1実施形態の電気泳動表示装置の動作を示す説明図である。また、図10は後述する比較例の電気泳動表示装置の動作を示す説明図である。図1、図2、図10中、(a)は黒色表示、(b)は白色表示である。
図1に示すように、第1実施形態の電気泳動表示装置は、後方基板1と前方基板2との間隙を一定に保持するように隔壁3が配置されており、後方基板1と前方基板2との間隙には、黒色の帯電粒子5を分散させた透明な絶縁性液体4が充填されている。
また、後方基板1上には、反射面を兼ねた表示電極6が配置され、隔壁3には、その内部や側面の少なくとも一部分を構成して形成された隔壁電極7が配置され、前方基板2上には、隔壁電極7から絶縁させて形成した実質的に透明な対向電極8が配置される。
また、後方基板1上には、表示電極6を覆って着色層9が配置され、着色層9には、画素中央部にコンタクトホール11が形成されている。コンタクトホール11は、着色層9の平面中央に形成した開口に抵抗層10を堆積して表示電極6に接続させている。
隔壁3と、着色層9と、コンタクトホール11とを覆うように、抵抗層10が一体で堆積されている。結果として、表示電極6と隔壁電極7との間が抵抗層10を介して接続される。
帯電粒子5の移動空間50の平面中央にコンタクトホール11が配置され、抵抗層10は全周が隔壁電極7に接続しているので、コンタクトホール11は、隔壁電極7から最も遠い場所に形成されている。これにより、コンタクトホール11から隔壁3までの抵抗層10の表面には、コンタクトホール11と隔壁電極7との電位差を接続する連続的な電位勾配が形成され、移動空間50には、水平方向のかなり均一な電界分布が形成される。
後方基板1及び前方基板2には、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリプロピレン等の樹脂フィルム或いは複数の樹脂の積層膜の他、ガラスや石英等の無機材料、さらには、ガスバリア層、光散乱層、導電層が積層された樹脂フィルムを用いることができる。ただし、前方基板2には、光透過性のある透明な材料が好ましい。
絶縁性液体4には、イソパラフィン、シリコーンオイル及びキシレン、トルエン等の非極性溶媒であって透明なものが用いられる。また、帯電粒子5には、絶縁性液体内で正極性又は負極性の帯電特性を示す着色された材料を用い、無機顔料、有機顔料、カーボンブラック、或いは、それらを含有させた樹脂等が用いられる。
なお、帯電粒子5の粒径は、通常0.01μm〜50μm程度のものを使用できるが、好ましくは、0.1μm〜10μm程度のものを用いるとよい。なお、上述した絶縁性液体4や帯電粒子5には、帯電粒子5の帯電を制御して安定化させるための荷電制御剤を添加しておくとよい。
表示電極6及び隔壁電極7には、アルミニウム、銅、銀、銀合金、クロム、チタン、ニッケル、インジウム−スズ酸化物(ITO)等の導電性材料を用いる。例えば、表示電極6を、アルミニウムや銀合金などの光反射性の高い材料にて形成した場合、前方基板から入射する光を拡散反射及び/又は鏡面反射する反射層として機能させることができる。対向電極には、インジウム−スズ酸化物(ITO)等の実質的に透明な材料を用いる。
着色層9には、白色、赤色、緑色、青色などの色を呈する光透過性の材料が使用されており、例えば、モノトーンまたは白黒表示をさせる場合、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等の金属化合物や、ガラス、シリカ等の微粉末を含有したアクリルやエポキシ、スチレン等の白色の有機材料を用いることができる。
また、カラー表示をさせる場合には、3つの隣接する移動空間50を用いて1つの画素のフルカラー表示をすることができる。この場合、3つの隣接する移動空間50に、着色層9として、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の顔料をそれぞれ分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストによる3種類のカラーレジスト層を配置してもよい。
抵抗層10には、光透過性の材料で、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリアセチレンなどの有機膜、もしくはそれの複合体、共重合体、または、カーボン含有膜、インジウム−スズ酸化物(ITO)などの無機膜、またはシリコンなどの半導体膜、または導電性のフィラ(充填物)、例えば金属粉、カーボン粒子等をエポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂等に配合して得る導電性樹脂膜を使用できる。さらに界面部材として、これらの膜の積層膜でもよい。体積抵抗率は10Ωcm〜1012Ωcm、膜厚は1nm〜200nmが望ましい。
次に、電気泳動表示装置100の駆動方法について説明する。以下の説明において、帯電粒子5をプラス帯電で黒色粒子、着色層9が白色に着色されているとする。表示電極6、隔壁電極7、対向電極8に対して所定の駆動波形を印加することで、帯電粒子5を、後方基板1上または隔壁3側面に移動して表示状態を形成する。
まず、黒書き込みについて説明する。隔壁電極7よりも低い電位を表示電極6に設定することにより、図1の(a)に示すように、帯電粒子5を後方基板1上に均一に広げた状態の黒表示を実現することができる。
すなわち、表示電極6、隔壁電極7、対向電極8に対して、「表示電極6の電圧<隔壁電極7の電圧≦対向電極8の電圧」の関係を満たす電圧信号を印加することで、図2の(a)に示すような、黒書き込みに最適な電界分布を形成できる。表示電極6と隔壁電極7とが抵抗層10を介して接続されているので、抵抗層10の表面に連続的な電位勾配が形成され、抵抗層10に沿った電界分布が均一である。
例えば、図2の(a)に示すように、表示電極6に−10V、隔壁電極7に0V、対向電極8に+2Vを印加することで、図1の(a)に示すように、移動空間50の帯電粒子5を後方基板1上に移動させることができる。
これに対して、図10の(a)に示すように、比較例の電気泳動表示装置100Aでは、抵抗層10がないので、表示電極6に沿った電界の不均一性が発生する。表示電極6と隔壁電極7との間隔が狭い場所では電界が強く、画素中央部方向への電界は小さくなってしまうため、図11の(a)に示すように、帯電粒子5が画素中央部まで到達せずに、十分なコントラストが得られない場合がある。
次に、白書き込みについて説明する。隔壁電極7よりも高い電位を表示電極6に設定することにより、図1の(b)に示すように、帯電粒子5を隔壁3側面に均一に接触させた状態の白表示を実現することができる。
すなわち、表示電極6、隔壁電極7、対向電極8に対して、「隔壁電極7の電圧<表示電極6の電圧、且つ、隔壁電極7の電圧<対向電極8の電圧」の関係を満たす電圧信号を印加することで、図2の(b)に示すような、白書き込みに最適な電界分布を形成できる。白書き込みの場合も、表示電極6と隔壁電極7とが抵抗層10を介して接続されているので、抵抗層10の表面に連続的な電位勾配が形成され、抵抗層10に沿った電界分布が均一である。
例えば、図2の(b)に示すように、表示電極6と対向電極8に0V、隔壁電極7に−10Vを印加することで、図1の(b)に示すように、移動空間50の帯電粒子5を隔壁3側面に移動させることができる。
これに対して、詳細は後述するが、図10の(b)に示すように、比較例の電気泳動表示装置100Aでは、前方基板2に対向電極8がないので、画素中央部の電界が前方基板2方向に向いてしまい、画素中央部の帯電粒子は、隔壁電極7へ直接移動せずに、前方基板2を経由した後に隔壁電極7へ移動する軌道をとる。また、図10の(b)に示すように、表示面に抵抗層10がない場合は、画素中央部での水平方向の電界が小さくなってしまうため、その場合も、画素表示の応答速度を高速化することが困難となる。
言い換えれば、帯電粒子は、電界と直交する電気力線に沿って移動するが、一様な電位の表示電極6に沿った移動空間50では、この電気力線に沿った電界勾配が緩いため、十分な加速を受けられない。このような粒子軌道においては、図11の(b)に示すように、応答速度を高速化することと、帯電粒子5を隔壁3側面に均一に接触させることが困難となる。
図1の(a)に示すように、第1実施形態の電気泳動表示装置100では、表示電極6と隔壁電極7とが抵抗層10を介して接続される構成と、対向電極8を有する本発明の構成とが相乗することにより、水平方向の電界の強い領域が後方基板1の全面で形成することができ、応答速度が速く、コントラストの高い表示を実現することができる。
そして、白黒反転表示のみならず、移動させる帯電粒子5の量を変えることにより、中間階調の書き込みが可能である。表示電極6に印加する電圧信号の電圧、印加時間、パルス数のうち少なくとも1つを変えることによって、速やかに帯電粒子5を移動させて応答性の高い中間調表示をおこなうことができる。
また、第1実施形態の電気泳動表示装置100では、表示電極6と隔壁電極7とが抵抗層10を介して接続され、且つ、この抵抗層10により着色層9が覆われる構成となっている。そのため、着色層9に蓄積される残留電荷を表示電極6へ逃がして抑制することができる。従って、所望の階調表示を安定して繰り返し表示することができる。
また、表示電極6のみが薄膜トランジスタに接続されて各画素で独立に制御され、隔壁電極7と対向電極8とは全画素で共通に制御される構成を可能とすることで、プロセスの複雑化やコスト上昇を回避することができる。
<第2実施形態>
図3は第2実施形態の電気泳動表示装置における断面構成を示す説明図、図4は第2実施形態の電気泳動表示装置の動作を示す説明図である。図3、図4中、(a)は黒色表示、(b)は白色表示である。
第2実施形態の電気泳動表示装置200は、本発明の給電部の一形態である表示電極6Bが移動空間50の底の中央に配置されて抵抗層10によって覆われる以外は、第1実施形態の電気泳動表示装置100と同様に構成されている。従って、図3中、図1と共通する構成部材には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
図3の(a)に示すように、第2実施形態の電気泳動表示装置200は、後方基板1と前方基板2の間隙を一定に保持するように隔壁3が配置されており、後方基板1と前方基板2の間隙には、帯電粒子5を分散させた絶縁性液体が充填されている。後方基板1上には着色層9が形成されている。
また、後方基板1上に配置された表示電極6Bと、隔壁3の内部や側面の少なくとも一部分を構成して形成された隔壁電極7と、前方基板2上に形成された実質的に透明な対向電極8が形成される。隔壁3と後方基板1と表示電極6Bとを覆うように抵抗層10が一体で形成される。この結果として、表示電極6Bと隔壁電極7との間が抵抗層10を介して接続される。
表示電極6Bは、隔壁3で囲まれた帯電粒子4の移動空間50の平面中央に、小面積(面積比2%)を占めて形成されている。表示電極6Bが周囲の隔壁電極7から最も遠い場所に形成されていることで、抵抗層10の表面には前後左右に対称な電位勾配が形成されて、移動空間50内の電界分布を最も均一とすることができる。
第2実施形態では、後方基板1の下面にバックライト(不図示)を配置することで、透過型表示を可能とすることができる。以下の説明において、帯電粒子5をプラス帯電で黒色粒子、着色層9が白色に着色されているとする。
まず、黒書き込みについて説明する。隔壁電極7よりも低い電位を表示電極6Bに設定することにより、図3の(a)に示すように、帯電粒子5を後方基板1上に均一に広げた状態の黒表示を実現することができる(バックライトからの光を、移動空間50の底の表示面を覆った帯電粒子5により遮蔽する)。
すなわち、表示電極6B、隔壁電極7、対向電極8に対して、「表示電極6Bの電圧<隔壁電極7の電圧≦対向電極8の電圧」の関係を満たす電圧信号を印加することで、図4の(a)に示すような黒書き込みに最適な電界分布を形成できる。
例えば、図4の(a)に示すように、表示電極6Bに−10V、隔壁電極7に0V、対向電極8に+4Vを印加することで、図3の(a)に示すように、帯電粒子5を後方基板1上に移動させることができる。
次に、白書き込みについて説明する。隔壁電極7よりも高い電位を表示電極6Bに設定することにより、図3の(b)に示すように、帯電粒子5を隔壁3側面に均一に接触させた状態の白表示を実現することができる(バックライトからの光が帯電粒子5によって遮断されることなく移動空間50を透過する)。
すなわち、表示電極6B、隔壁電極7、対向電極8に対して、「隔壁電極7の電圧<表示電極6Bの電圧、且つ、隔壁電極7の電圧<対向電極8の電圧」の関係を満たす電圧信号を印加することで、図4の(b)に示すような、白書き込みに最適な電界分布を形成できる。
例えば、図4の(b)に示すように、表示電極6Bと対向電極8とに0V、隔壁電極7に−10Vを印加することで、図3の(b)に示すように、帯電粒子5を隔壁3側面に移動させることができる。
中間階調の書き込みをおこなう場合は、移動させる帯電粒子5の量を変えることによりおこなう。表示電極6Bに印加する電圧の大きさや印加時間を変えることによって中間調表示をおこなうことができる。
<第3実施形態>
図5は第3実施形態の電気泳動表示装置における断面構成を示す説明図である。図5中、(a)は全反射(白色)表示、(b)は階調表示、(c)は全吸収(黒色)表示である。
第3実施形態の電気泳動表示装置300は、表示電極6Eが白色化処理されていることと、着色層9がカラーフィルタ層9a、9b、9cであること以外は、第1実施形態の電気泳動表示装置100と同様に構成されている。従って、図5中、図1と共通する構成部材には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
図5の(a)に示すように、第3実施形態の電気泳動表示装置300は、画素(単位表示)の平面形状を正方形とし、画素サイズを73.5μm×73.5μmとし、画素を300個×400個の格子状に配列したマトリクスパネル表示装置を作製している。
後方基板1として1.1mm厚のガラス基板を使用し、この後方基板1上には薄型トランジスタ(不図示)や、その他駆動に必要な配線やIC(不図示)を形成する。次に、感光性樹脂を塗布した後、露光及び現像をおこなうことで微小な凹凸を形成する。この微小な凹凸構造の上に、表示電極6Eとしてアルミニウムを成膜し、パターニングをおこなうことで表示電極6Eの輪郭を形成する。
このアルミニウムの成膜時において、予め形成しておいた開口にアルミニウムを堆積させてコンタクトホールを形成することにより、下層の薄膜トランジスタと表示電極6Eが導通される。表示電極6Eが凹凸状に形成されることによって、表示電極6Eに光を散乱させる機能を持たせ、白色化している。凹凸の高さやピッチを制御することで、視野角を拡大させるとともに外光を効率良く反射させることができる。
次に、表示電極6E上に、着色層9を形成する。着色層9としては、赤色、緑色、青色の顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストでカラーフィルタ層9a、9b、9cをそれぞれ構成する。着色層9の膜厚は通常0.3μm〜4μm程度であり、帯電粒子5の移動空間の平面中央には、コンタクトホール11を形成するための開口が形成されている。
次に、隔壁3を高さ18μm、幅5μmで形成した後に、隔壁電極7を成膜、パターニングにより形成する。隔壁電極7は、全画素で共通のコモン電極として一体に形成される。
次に、隔壁3と着色層9とコンタクトホール11の開口とを覆うように抵抗層10を一体に積層形成する。抵抗層10の体積抵抗率をインピータンスアナライザーSI1260(英国ソーラトロン社製)により測定して、体積抵抗率が5.0×10Ωcmとなるように、材料と成膜条件を選択した。
次に、帯電粒子5を分散して荷電制御剤を加えた絶縁性液体4を移動空間50に充填する。帯電粒子5には、粒径1〜2μm程度のカーボンブラックを含有したポリスチレン−ポリメチルメタクリレート共重合体樹脂を使用する。絶縁性液体4には、イソパラフィン(商品名:アイソパー、エクソン社製)を用いる。荷電制御剤を含有させることによって、帯電粒子5をプラス帯電とする。
次に、前方基板2として、100μm厚のポリカーボネート(PC)シートを用意して、このシート全面にインジウム−スズ酸化物(ITO)で対向電極8を形成する。対向電極8は、全画素で共通のコモン電極として一体に形成される。
最後に、前方基板2を後方基板1上に配置して密封した後に、不図示の駆動ドライバに接続して、電気泳動表示装置300が完成される。
<駆動方法>
次に、図5〜図8を参照して、第3実施例の電気泳動表示装置300の駆動方法について説明する。図5は上述した説明図、図6は全反射表示における各電極の駆動波形と光学応答の線図、図7は階調表示における各電極の駆動波形と光学応答の線図、図8は全吸収表示における各電極の駆動波形と光学応答の線図である。図6〜図8中、(a)は表示電極6Eの駆動波形、(b)は隔壁電極7の駆動波形、(c)は対向電極8の駆動波形、(d)は画素の光学応答である。
図5の(a)に示すように、まず、図6〜図7のリセット期間trにおいて、全画素を白表示状態にリセットする。リセット期間trでは、全画素の薄膜トランジスタのゲートラインがONとされ、ソースラインを介して全画素の表示電極に0Vが印加される。
このとき、全画素のコモン電極である隔壁電極7には−30V、対向電極8には0Vが印加される。このことで、図5の(a)に示すように、帯電粒子5の移動空間50には、白書き込みに最適な電界分布が形成されて(図2の(b)参照))、帯電粒子5を隔壁3側面に高速で移動させることができる。その結果、全画素を速やかに白表示状態へリセットできる。
次に、図6〜図8の書き込み期間twにおいて、300×400のマトリクスパネルの各画素に所望の階調書き込みをおこなう。書き込み期間twにおいては、全画素のコモン電極である隔壁電極7には0V、対向電極8には−2Vの一定電圧が印加されており、画素ごとの薄膜トランジスタで制御される画素ごとの表示電極6Eによって表示切り替えがおこなわれる。
白書き込みをおこなう画素では、薄膜トランジスタのゲートラインがOFFとされて、図6の(a)に示すように、表示電極6Eを0Vに保持する。このとき、既にリセット期間twにおいて画素が白リセットされているため、メモリ性のある電気泳動表示装置300においては、図5の(a)に示すように、白表示状態が保持される。また、対向電極8の正電位によって、帯電粒子5は、隔壁電極7へ押し付けられ、抵抗層10と対向電極8との対向空間への拡散が抑制されるので、白表示のメモリ性が強化される。
中間階調の書き込みをおこなう画素では、薄膜トランジスタのゲートラインがONとされて、図7の(a)に示すように、表示電極6Eに−10Vがtw/5期間だけ印加される。これにより、黒書き込みに最適な電界分布(図2の(a)参照))が形成されて、帯電粒子5をtw/5期間だけ移動させることができ、図5の(b)に示すように、一部の着色層9が帯電粒子5で覆われた階調表示状態となる。
このように、表示電極6Eの印加時間を制御することで、帯電粒子を移動させる時間を制御することができ、各画素に所望の階調を書き込むことができる。また、対向電極8と表示電極6Eとの間の電位極性によって、帯電粒子5は、抵抗層10に押し付けられ、表示のメモリ性が強化される。
黒書き込みをおこなう画素では、薄膜トランジスタのゲートラインがONとされて、図8の(a)に示すように、表示電極6Eに−10Vが書き込み期間twを通じて印加され続ける。これにより、黒書き込みに最適な電界分布(図2の(a)参照))が形成されて、帯電粒子5を書き込み期間twで移動させることができ、図5の(c)に示すように、全ての着色層9が帯電粒子5で覆われた黒表示状態となる。
ところで、ここでは、3つある電極(表示電極6E、隔壁電極7、対向電極8)のうち、2つの電極(隔壁電極7、対向電極8)をコモン電極とする構成と駆動方法を開示している。つまり、表示電極6Eのみがそれぞれの薄膜トランジスタに接続されて、各画素で独立に電圧が制御される一方、隔壁電極7と対向電極8とは、全画素で共通に制御されるコモン電極である。
これに対して、隔壁電極7と対向電極8とを各画素で独立に駆動しようとした場合、薄膜トランジスタの数が増えるなど、プロセスが複雑化するとともに、ドライバへの負担からのコスト上昇を招いてしまう。特に、対向電極8は、前方基板2上に形成されているため、各画素で独立に制御するためにはパターニングされている必要があり、後方基板1と前方基板2の精度の高い位置合わせが必要となるためプロセスが複雑化する。また、高精細の大判パネルの場合、対向電極8に配線を引き回したり、薄膜トランジスタを接続したりすることは非常に困難である。
従って、表示電極6Eは、薄膜トランジスタに接続されて各画素で独立に制御される一方、隔壁電極7と対向電極8とはそれぞれ独立の電源に接続されて全画素で共通に制御されることが好ましい。
そして、各画素に階調書込みを行う際には、上記の構成において以下の駆動方法で制御することが好ましい。
すなわち、帯電粒子5を正極性に帯電させている場合には、
(1)「隔壁電極7の電圧<表示電極6Eの電圧、且つ、隔壁電極7の電圧<対向電極8の電圧」として、全画素を一括して帯電粒子5が隔壁3側面に接する白表示状態にリセットし、その後、
(2)「電極部材6Eの電圧<隔壁電極の電圧≦対向電極の電圧」として、表示電極6Eに所定の駆動電圧信号を付与することにより各画素に階調書込みを行う。
また、帯電粒子5を負極性に帯電させている場合には、
(1)「隔壁電極7の電圧>表示電極6Eの電圧、且つ、隔壁電極7の電圧>対向電極8の電圧」全画素を一括して帯電粒子5が隔壁3側面に接する白表示状態にリセットし、その後、
(2)「電極部材の電圧>隔壁電極の電圧≧対向電極の電圧」として、表示電極6Eに所定の駆動電圧信号を付与することにより各画素に階調書込みを行う。
<比較例の電気泳動表示装置>
図9は比較例の電気泳動表示装置における断面構成の説明図、図10は比較例の電気泳動表示装置の動作の説明図、図11は比較例の電気泳動表示装置の問題点の説明図、図12はカラー画像表示の説明図である。図9、図10中、(a)は黒色表示、(b)は白色表示である。図11中、(a)は階調表示、(b)は白色リセット状態である。
比較例の電気泳動表示装置100Aは、表示面のほぼ全体を占める表示電極6が絶縁層6iに覆われて配置される以外は、第1実施形態の電気泳動表示装置100と同様に構成されている。従って、図9中、図1と共通する構成部材には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。以下の説明において、帯電粒子をプラス帯電の黒色粒子、着色層が白色に着色されているとする。
図9の(a)に示すように、比較例の電気泳動表示装置100Aは、後方基板1と前方基板2とを隔壁3によって所定間隙を開けた状態に重ね合わせ、後方基板1と前方基板2との間隔に多数の黒色の帯電粒子5を分散させた透明な絶縁性液体4を充填している。
後方基板1には、画素ごとに独立させた表示電極6が配置され、隔壁3は、表示電極6を囲む起立面によって帯電粒子5の移動空間50を囲い込む。表示電極6は、アルミニウムの蒸着膜をパターニングして輪郭形成されて、反射面を兼ねており、前方基板2側から入射した外光を反射して、前方基板2側へ折り返す。表示電極6の上には、絶縁性の着色層6i(泳動粒子の色と対比し得る色を有する)が形成されている。
隔壁3には、隔壁3の起立面を覆って隔壁電極7が形成してある。前方基板2上の下面には、隔壁3の形状に合わせて黒色の遮蔽層13が形成してある。遮蔽層13は導電性の薄膜で形成され、後方基板1上に配置された多数の移動空間50の隔壁電極7を共通に接続して隔壁電極7への給電部を形成している。黒色の遮蔽層13は、画素を縁取り、移動空間50の間隔からの反射光を遮断して表示画像のコントラストを改善するブラックマトリックスを兼ねている。
比較例の電気泳動表示装置100Aでは、隔壁電極7を全画素共通の接地レベル0Vとし、画素ごとの表示電極6に個別の電位を設定することにより、隔壁電極7と表示電極6との間で帯電粒子5を移動させ、移動空間50の透過光量、ひいては表示電極6の反射光量を調整して画素ごとの濃度を設定している。
そして、表示電極6に負の電位を設定することにより、図9の(a)に示すように、表示電極6を黒色の帯電粒子5で覆って黒色表示が実現される。また、表示電極6に正の電位を設定することにより、図9の(b)に示すように、帯電粒子5を隔壁電極7に集めて表示電極6を露出させて白色表示が実現される。
電気泳動表示装置100Aの等電位線を図10に示す。点線は等電位線を表す。隔壁電極7と表示電極6との間隔が狭い場所では、等電位線が密なため電界が強く、表示電極6の中央部では電界が弱くなるので、移動空間50内の電界は不均一である。
ここで、図9の(b)に示す白色表示の状態から図9の(a)に示す黒色表示の状態へ表示を切り替える場合を考える。例えば、図10の(a)に示すように、表示電極6に−10Vの電圧信号を印加して、帯電粒子5を隔壁電極7上から表示電極6上に移動させて表示をおこなうが、隔壁電極7と表示電極6との間隔が狭い場所では電界が強く、表示電極6中央部方向への電界が小さいため、図11の(a)に示すように、帯電粒子5が表示面の中央部まで到達せずに、中心部で光漏れして十分なコントラストが得られない場合がある。
次に、図9の(a)に示す黒色表示の状態から図9の(b)に示す白色表示の状態へ表示を切り替える場合を考える。例えば、図10の(b)に示すように、表示電極6に10Vの電圧信号を印加して、帯電粒子5を表示電極6上から隔壁電極7上に移動させて表示をおこなうが、表示電極6の中央部での電界が小さく、また、電界方向が前方基板2方向に向いている。
このため、表示電極6中央部の帯電粒子5は、隔壁電極7へ直接移動せずに、前方基板2を経由した後に隔壁電極7へ移動する軌道をとる。このような粒子軌道のため、低電圧駆動において応答速度の高速化に限界がある。また、表示電極6中央部の帯電粒子5が前方基板2を経由した後に隔壁電極7に移動する結果、図11の(b)に示すように、隔壁3の上部に帯電粒子が溜まって、前方基板2への入射光および表示電極6からの反射光を遮ってしまい、画素の輝度が減少して、十分なコントラストが得られない場合がある。
ところで、電気泳動表示装置100Aをカラー表示させる場合、反射面を兼ねた表示電極6の上に着色層9としてカラーフィルタ層9a、9b、9cが形成される。しかし、この場合、着色層9に残留電荷が蓄積されてしまい、駆動不安定性を引き起こす可能性がある。電気泳動表示装置100Aにおいては、帯電粒子5を移動させるため、表示電極6に電圧信号が印加される。
よって、表示書き換えを何度も繰り返していると、結果的に長時間のDC電圧が表示電極6に印加され、表示電極6上の着色層6iに電子やイオンなどにより空間電荷分布が形成されて残留DC成分として蓄積されてしまう。その結果、所望の階調光学レベルが得られないという駆動不安定性の問題が発生する場合がある。
<発明との対応>
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、表示単位ごとの表示面を設定した後方基板1と、表示面から帯電粒子5を集める隔壁電極7を有して帯電粒子5の移動空間50を仕切る隔壁3とを備えた粒子移動型表示装置100において、隔壁電極7から距離を置いて表示面に配置したコンタクトホール11に接続して表示面を覆い、隔壁電極7にも接続する抵抗層10と、移動空間50を挟んで表示面に対向する対向電極8とを有し、隔壁電極7と対向電極8とは電気的に分離されて別々の電圧信号を印加可能なので、抵抗層10と対向電極8とを共働させて、抵抗層10だけの場合よりも効率的に帯電粒子5を移動できる電界状態を移動空間50に形成できる。
抵抗層10の表面には、コンタクトホール11の電位と隔壁電極7の電位とを連絡する連続的に傾斜した表面電位が形成される。表示電極11の実質的な部分を抵抗層10に担わせ、抵抗層10の表面に沿って連続的に空間電位が傾斜した電界を発生させることにより、抵抗層10に沿って水平方向に遅滞なく帯電粒子5を移動させる。
そして、対向電極8は、抵抗層10の表面電位が形成する移動空間50の電界を修正して、帯電粒子5の水平方向の移動をさらに効率的に行わせる。
対向電極8は、表示電極6から垂直に立ち上がる電気力線をより水平な方向に偏向させて(そのような電位設定を行うことで)、表示電極6の中央部と隔壁電極7との間に帯電粒子5のより短い移動経路、従って、空間電位の傾きが大きな移動経路を形成する。これにより、表示電極6の中心から隔壁3までの帯電粒子5の移動時間を短縮し、階調表示の応答性を改善する。
従って、隔壁電極7の近傍での電界集中が無くなるとともに、コンタクトホール11の近傍でも隔壁電極7の近傍とほぼ等しい密度の電界が形成される。そして、コンタクトホール11と隔壁電極7との電位差が小さくても、隔壁電極7からコンタクトホール11まで、帯電粒子5に対する、十分で格差の少ない、水平方向の静電引力/反発力を作用させることができる。
従って、抵抗層10だけに頼るよりも、コンタクトホール11の近傍で帯電粒子5を再現性高く高速に移動でき、階調設定の再現性と応答性とが高い粒子移動型表示装置100を提供できる。
また、さらなる薄型化を目指して隔壁3の高さを減じ、後方基板1と前方基板2との間隙を狭くすると、表示面の中心から見た隔壁電極7の立体角が狭くなるが、抵抗層10の傾斜した表面電位と対向電極8とによって、この立体角の中に電気力線を封じ込めることにより、抵抗層10の全面で十分な帯電粒子5の移動速度を確保して、帯電粒子5を中心付近で停滞させないで済む。
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、抵抗層10と隔壁電極7との接続位置から最も遠い平面位置にコンタクトホール11が配置されているので、抵抗層10のほぼ全面に必要な方向へ帯電粒子5を移動させる電位傾斜が形成されて、表示面に帯電粒子5の停滞場所ができない。
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、コンタクトホール11が表示面のほぼ中央に配置され、隔壁電極7は、表示面を囲んで配置されて全周が抵抗層10に接触しているので、コンタクトホール11を中心とした前後左右に対称な電界が形成され、隔壁電極7と表示面との間で、最も効率的、最も短時間に短い帯電粒子5の移動が完了する。
また、電気泳動表示装置100では、移動空間50の底面に、帯電粒子5に対する親和性を向上させる処理を施して、表示電極6の電圧信号を解除した後も帯電粒子5を底面に保持させて、画素表示のメモリ性を高めることが可能であるが、コンタクトホール11を中心とする連続的な電位傾斜があれば、隔壁電極7と表示電極6との電位差がかなり小さくても、処理によって加算された親和力に打ち勝って帯電粒子5をコンタクトホール11から隔壁電極3へ移動できる。
そして、隔壁電極7と表示電極6との電位差が小さくて済めば、絶縁性液体が電離して界面が腐蝕したり、帯電粒子の帯電が失われて凝集したりすることも無い。
従って、表示面の中心側から周辺までの電界密度の偏りを緩和して、表示面の中心側でも、帯電粒子5に対する十分な静電引力/反発力を確保させて、帯電粒子5を再現性高く高速に移動できる、応答性の高い粒子移動型表示装置100を提供できる。
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、抵抗層10が隔壁3の起立面と表示面とを一体に覆っているので、抵抗層10のパターニングをする必要が無い。抵抗層10の材料や積層方法を適正に選択することにより、抵抗層10を覆われた下層の保護層、帯電防止層、着色層、帯電粒子5の保持層等を兼ねさせることも可能である。
第3実施形態の電気泳動表示装置300では、後方基板1は、反射面を兼ねて表示単位ごとの電圧信号を供給される表示電極6Eと、表示電極6E上に配置された着色層9とを有し、コンタクトホール11は、着色層9に形成された開口に形成されているので、バックライトの不要な反射型の画像表示装置を提供できる。
第3実施形態の電気泳動表示装置300は、後方基板1に一定間隔で配置された複数のデータライン群と、複数のデータライン群に立体交差して配置された複数の走査ライン群と、データラインと走査ラインとの交差部に配置されて表示電極6Eに接続された薄膜トランジスタと、データラインに所定の電圧信号を供給しつつ、走査ラインにトリガー信号を供給することにより、表示単位ごとのコンタクトホール11に個別の電圧信号を供給する不図示の制御回路(ドライバ等)を備え、隔壁電極7がすべての表示単位について共通に接続され、対向電極8がすべての表示単位について共通に接続され、制御回路は、隔壁電極7と対向電極8とに所定の異なる電位を設定するので、対向電極8と表示電極6Eとを共働させた効率の良い画素表示のリセット、書き込みが可能である。
また、カラーフィルタ層9a、9b、9cが絶縁性の場合、表示電極6Eの電位を急変させた際に、カラーフィルタ層9a、9b、9cと絶縁性液体4の界面に残留電荷が発生し易くなるが、抵抗層10によって残留電荷を表示電極6Eへ逃がすので、残留電荷が帯電粒子を拡散させて表示画像の品質を損ねたり、画素表示のメモリ性を損ねたりしない。
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、抵抗層10の体積抵抗率が10Ωcmから1012Ωcmの範囲なので、表示電極6と隔壁電極7との間の電流漏れを最小限に止めて消費電力の増大を招くことなく、実用的な材料の選択を行って、十分な電界調整機能を発揮させることができる。
ところで、比較例の電気泳動表示装置100Aは、後方基板1および前方基板2と、後方基板1と前方基板2との間隔に配置されて帯電粒子5の移動空間50を仕切る隔壁3と、隔壁3に配置した隔壁電極7と、後方基板1に配置された表示電極6とを備えた粒子移動型表示装置100Aであるが、実施形態1の電気泳動表示装置100と同様な対向電極8(前方基板2に配置されて表示電極6に対向する対向電極8)を有して、表示電極6は、表示単位ごとに独立した電位状態を設定可能であり、隔壁電極7および対向電極8は、複数の表示単位について共通に接続されて、異なる電位を設定可能に構成していれば、比較例の電気泳動表示装置100Aよりも効率的に表示電極6に沿って帯電粒子5を移動できる。
その理由は、上述したとおりである。対向電極8は、表示電極6から垂直に立ち上がる電気力線をより水平な方向に偏向させて(そのような電位設定を行うことで)、表示電極6の中央部と隔壁電極7との間に帯電粒子5のより短い移動経路、従って、空間電位の傾きが大きな移動経路を形成する。これにより、表示電極6の中心から隔壁3までの帯電粒子5の移動時間を短縮し、階調表示の応答性を改善する。
第3実施形態の電気泳動表示装置300は、表示電極6Eと隔壁電極7と対向電極8とにそれぞれの電位を設定可能な不図示の制御回路を備え、制御回路は、対向電極8から表示面へ帯電粒子5を移動させる電位を、隔壁電極7の電位を挟んで、コンタクトホール11と対向電極8とにそれぞれ設定することにより、移動空間50の透過光量を制御するので、中間階調の画素表示が可能である。
第3実施形態の電気泳動表示装置300は、制御回路は、すべての表示単位のコンタクトホール11と隔壁電極7とに、表示面から隔壁電極7へ帯電粒子を移動させる電位差を同時に設定した後に、表示単位ごとの表示電極6Eに対して個別の電圧信号を供給して透過光量を制御するので、再現性の高い中間階調の設定が可能である。
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、「コンタクトホール11の電圧<隔壁電極7の電圧≦対向電極8の電圧」とすることにより、帯電粒子5を表示面に集めるので、対向電極8が無い場合や対向電極8にこれ以外の電位設定を行う場合に比較して効率的に、隔壁3から表示面へ帯電粒子5を移動できる。
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、「隔壁電極7の電圧<コンタクトホール11の電圧、且つ、隔壁電極7の電圧<対向電極8の電圧」とすることにより、帯電粒子5を隔壁電極7へ集めてすべての表示単位を一括リセットした後に、表示単位ごとに帯電粒子5を表示面に移動させて階調設定するので、同じ電圧信号で同じ階調を設定でき、再現性が高く階調乱れの少ない美しい画像表示が可能である。
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、「隔壁電極の電圧<給電部の電圧、且つ、隔壁電極の電圧<対向電極の電圧」とすることにより、帯電粒子5を隔壁電極7に集めるので、対向電極8が無い場合や対向電極8にこれ以外の電位設定を行う場合に比較して効率的に、隔壁3から表示面へ帯電粒子5を移動できる。
なお、これらの駆動条件に関して、帯電粒子5が負に帯電している場合には、逆の極性で不等号を逆向きとした駆動を行うことで、正に帯電している場合と同様な帯電粒子5の移動と、移動空間50の透過光量制御が可能である。
第1実施形態の電気泳動表示装置における断面構成を示す説明図である。 第1実施形態の電気泳動表示装置の動作を示す説明図である。 第2実施形態の電気泳動表示装置における断面構成を示す説明図である。 第2実施形態の電気泳動表示装置の動作を示す説明図である。 第3実施形態の電気泳動表示装置における断面構成を示す説明図である。 全反射表示における各電極の駆動波形と光学応答の線図である。 階調表示における各電極の駆動波形と光学応答の線図である。 全吸収表示における各電極の駆動波形と光学応答の線図である。 比較例の電気泳動表示装置における断面構成の説明図である。 比較例の電気泳動表示装置の動作の説明図である。 比較例の電気泳動表示装置の問題点の説明図である。 カラー画像表示の説明図である。
符号の説明
1 表示側基板(後方基板)
2 前方基板
3 隔壁
4 絶縁性液体
5 帯電粒子
6、6B 表示電極
7 隔壁電極
8 対向電極
9 着色層
9a、9b、9c カラーフィルタ層
10 抵抗性の薄膜層(抵抗層)
11 給電部(コンタクトホール)
100、200、300 粒子移動型表示装置(電気泳動表示装置)

Claims (11)

  1. 表示単位ごとの表示面を設定した表示側基板と、
    前記表示面から帯電粒子を集める隔壁電極を有して前記帯電粒子の移動空間を仕切る隔壁と、を備えた粒子移動型表示装置において、
    前記隔壁電極から距離を置いて前記表示面に配置した電圧信号の給電部に接続して前記表示面を覆い、前記隔壁電極にも接続する抵抗性の薄膜層と、
    前記移動空間を挟んで前記表示面に対向する対向電極と、を有し、
    前記隔壁電極と前記対向電極とが電気的に分離されて、別々の電圧信号を印加可能であることを特徴とする粒子移動型表示装置。
  2. 前記薄膜層と前記隔壁電極との接続位置から最も遠い平面位置に前記給電部が配置されていることを特徴とする請求項1記載の粒子移動型表示装置。
  3. 前記薄膜層は、前記隔壁の起立面と前記表示面とを一体に覆っていることを特徴とする請求項1または2記載の粒子移動型表示装置。
  4. 前記表示側基板は、反射面を兼ねて前記表示単位ごとの前記電圧信号を供給される反射電極と、前記反射電極上に配置された透光性絶縁層と、を有し、
    前記給電部は、前記透光性絶縁層に形成された開口に形成されたコンタクトホールであることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の粒子移動型表示装置。
  5. 前記表示側基板に一定間隔で配置された複数のデータライン群と、
    前記複数のデータライン群に立体交差して配置された複数の走査ライン群と、
    前記データラインと前記走査ラインとの交差部に配置されて前記給電部に接続されたスイッチング素子と、
    前記データラインに所定の電圧信号を供給しつつ、前記走査ラインにトリガー信号を供給することにより、前記表示単位ごとの前記給電部に個別の電圧信号を供給する制御手段と、を備え、
    前記隔壁電極がすべての前記表示単位について共通に接続され、
    前記対向電極がすべての前記表示単位について共通に接続され、
    前記制御手段は、前記隔壁電極と前記対向電極とに所定の異なる電位を設定することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の粒子移動型表示装置。
  6. 前記薄膜層は、体積抵抗率が10Ωcmから1012Ωcmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の粒子移動型表示装置。
  7. 前記表示電極と前記隔壁電極と前記対向電極とにそれぞれの電位を設定可能な制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記対向電極から前記表示面へ帯電粒子を移動させる電位を、前記隔壁電極の電位を挟んで、前記給電部と前記対向電極とにそれぞれ設定することにより、前記移動空間の透過光量を制御することを特徴とする請求項1記載の粒子移動型表示装置。
  8. 前記制御手段は、すべての前記表示単位の前記給電部と前記隔壁電極とに、前記表示面から前記隔壁電極へ帯電粒子を移動させる電位差を同時に設定した後に、前記表示単位ごとの前記表示電極に対して個別の電圧信号を供給して前記透過光量を制御することを特徴とする請求項7記載の粒子移動型表示装置。
  9. 前記帯電粒子を正極性に帯電させている場合には、「給電部の電圧<隔壁電極の電圧≦対向電極の電圧」とし、
    前記帯電粒子を負極性に帯電させている場合には、「給電部の電圧>隔壁電極の電圧≧対向電極の電圧」とすることにより、前記帯電粒子を前記表示面に集めることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の粒子移動型表示装置の駆動方法。
  10. 前記帯電粒子を正極性に帯電させている場合には、「隔壁電極の電圧<給電部の電圧、且つ、隔壁電極の電圧<対向電極の電圧」とし、
    前記帯電粒子を負極性に帯電させている場合には、「隔壁電極の電圧>給電部の電圧、且つ、隔壁電極の電圧>対向電極の電圧」とすることにより、前記帯電粒子を前記隔壁電極へ集めてすべての前記表示単位を一括リセットした後に、前記表示単位ごとに前記帯電粒子を前記表示面に移動させて階調設定することを特徴とする請求項9記載の粒子移動型表示装置の駆動方法。
  11. 前記帯電粒子を正極性に帯電させている場合には、「隔壁電極の電圧<給電部の電圧、且つ、隔壁電極の電圧<対向電極の電圧」とし、
    前記帯電粒子を負極性に帯電させている場合には、「隔壁電極の電圧>給電部の電圧、且つ、隔壁電極の電圧>対向電極の電圧」とすることにより、前記帯電粒子を前記隔壁電極に集めることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の粒子移動型表示装置の駆動方法。
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