JP2007042491A - 燃料電池用電解質膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体高分子型燃料電池電解質膜の酸化劣化引き起こす過酸化水素の発生原因である酸素のカソードからアノードへのクロスリークを有意に抑制・防止することによりラジカル耐久性が向上した炭化水素系電解質膜を提供する。
【解決手段】炭化水素系電解質膜2中に酸素と親和力のある金属を少なくとも一種含む酸素捕集材の添加量を高濃度酸素側(カソード)に多く、低濃度酸素側(アノード)に少なくなる傾斜濃度に設定し、ソル−ゲル法を用いて配合してなることを特徴とする燃料電池用電解質膜および該膜を用いた膜/電極接合体と燃料電池。
【選択図】図5
【解決手段】炭化水素系電解質膜2中に酸素と親和力のある金属を少なくとも一種含む酸素捕集材の添加量を高濃度酸素側(カソード)に多く、低濃度酸素側(アノード)に少なくなる傾斜濃度に設定し、ソル−ゲル法を用いて配合してなることを特徴とする燃料電池用電解質膜および該膜を用いた膜/電極接合体と燃料電池。
【選択図】図5
Description
本発明は、燃料電池用電解質膜、特に固体高分子型燃料電池用電解質膜、当該電解質膜を使用してなる燃料電池、及び燃料電池を搭載した自動車に関するものであり、特に、酸素ガスのクロスリークが抑制され、膜耐久性に優れた炭化水素(HC)系の固体高分子型燃料電池用電解質膜、当該電解質膜を使用してなる燃料電池、及び燃料電池を搭載した自動車に関するものである。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動して高出力密度が得られる燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないクリーンな発電システムである。特に、固体高分子型燃料電池は、比較的低温で作動することから、電気自動車用電源として期待されている。固体高分子型燃料電池の構成は、一般的には、電解質膜−電極接合体を、ガス拡散層さらにはセパレータで挟持した構造となっている。電解質膜−電極接合体は、高分子電解質膜が一対の電極触媒層により挟持されてなるものである。
上記したようなMEAを有する固体高分子型燃料電池では、以下のような電気化学的反応が進行する。まず、アノード側に供給された燃料ガスに含まれる水素は、触媒成分により酸化され、プロトンおよび電子となる(2H2→4H++4e−)。次に、生成したプロトンは、電極触媒層に含まれる固体高分子電解質、さらに電極触媒層と接触している高分子電解質膜を通り、カソード側電極触媒層に達する。また、アノード側電極触媒層で生成した電子は、電極触媒層を構成している導電性担体、さらに電極触媒層の高分子電解質膜と異なる側に接触しているガス拡散層、セパレータおよび外部回路を通してカソード側電極触媒層に達する。そして、カソード側電極触媒層に達したプロトンおよび電子はカソード側に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する(O2+4H++4e−→2H2O)。燃料電池では、上述した電気化学的反応を通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。
このような固体高分子型燃料電池では、従来様々な問題があり、そのうちの大きな問題の一としては、触媒層の劣化の恐れならびにアイドル停止(OCV:Open Circuit Voltage)状態における電解質膜の劣化や孔開きの恐れの問題がある。この劣化メカニズムを図1を参照しながら説明する。すなわち、電解質膜は完全にガスを遮断(不透過状態)するものではないため、酸素や水素ガスの濃度勾配(分圧)によっては、アノード側からカソード側に向かって水素が、カソード側からアノード側に向かって酸素や窒素が、僅かながら透過(溶解拡散)している(このような現象を「クロスリーク」とも称する)。特にOCV時は、カソードと電解質膜の界面における酸素濃度は、発電時に比べて高いため、電解質膜を介してカソード側からアノード側へ溶解拡散する酸素量も、発電時に比べて多くなる。このため、クロスリークにより酸素がカソード側からアノード側へ移行して、酸素がアノード側で水素と直接反応して、H2+O2→H2O2の反応が起こって、過酸化水素(H2O2)が生成し、また、水素がアノード側からカソード側へ移行して、水素がカソード側で酸素と直接反応して、同様にして過酸化水素が生成する。この過酸化水素は、電解質膜またはアノード若しくはカソードに含まれる電解質成分(アイオノマー)を分解して、電解質膜を化学的に劣化させる恐れがあることが知られている。ここで、アノード触媒層とカソード触媒層の電位と過酸化水素の分解反応との関係を考慮すると、電解質電位に対して電位が比較的高い(0.6〜1V程度)カソード側では、カソード近傍の酸素と、アノード触媒層よりクロスリークしてきた水素が直接反応するため、生成する過酸化水素は、H2O2→O2+2H++2e−の反応によって、比較的速やかに酸素とプロトンとに分解する。これに対して、アノード側では、電位が低いために上記したような過酸化水素の分解反応は生じにくい。このため、アノード側で多く発生する過酸化水素が、濃度拡散により電解質膜中に移動して、電解質膜を酸化劣化させたり、あるいは電解質膜中のカチオン(例えば、Fe2+、Cu2+)の存在により加速的に電解質膜成分を劣化させる恐れがある。また、触媒層においても、固体高分子電解質膜と電極の界面に形成された触媒層で過酸化水素が生成し、生成した過酸化水素が拡散しながら過酸化物ラジカルとなって劣化反応を起こして、触媒層中の電解質膜成分の劣化が起こる恐れがある。
従来の燃料電池では、上記過酸化水素による電解質成分の劣化の問題の恐れがあるため、耐酸化性に乏しい炭化水素系電解質膜を使用することが困難であり、一般的に、高いプロトン伝導性及び高い耐酸化性を有するパーフルオロスルホン酸系の膜が用いられている。
このパーフルオロスルホン酸膜に代表されるフッ素系電解質としては、C−F結合を有しているために化学的安定性が非常に高いため、特に、Nafion(登録商標、デュポン社製)の商品名で知られるパーフルオロスルホン酸膜に代表されるフッ素系電解質膜が使用されている。しかしながら、上記フッ素系電解質は、製造が困難で、非常に高価であるという欠点がある。
これに対して、炭化水素系電解質膜は、上記フッ素系電解質膜と比較すると、製造が容易で低コストという利点がある上、ガス透過性が低く(下記参考例1参照)、酸素のクロスリーク、即ち電解質膜の劣化を抑制・防止するという意味では有用であるものの、上述したように耐酸化性が低いため、過酸化水素による電解質膜の劣化を有意に抑制できないという問題があった。この際、炭化水素系電解質膜の耐酸化性が低い理由は、炭化水素化合物は一般的にラジカルに対する耐久性が低く、炭化水素骨格を有する電解質はラジカルによる劣化反応(過酸化物ラジカルによる酸化反応)を起こす可能性が高いためである。
このため、電解質の系内で生成された過酸化水素ラジカルを抑制して耐酸化性を向上させることが検討されている(特許文献1)。特許文献1には、下記繰返し単位を有するホスホン酸化−ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)をフッ素系高分子電解質に添加した触媒層が開示されている(請求項5、段落「0024」〜「0025」)。
上記特許文献1によると、上記式の化合物を抗酸化剤としてフッ素系高分子電解質に添加することによって、触媒層中に生成した過酸化物ラジカルによる酸化反応を予防・防止し、これにより固体高分子電解質の劣化を予防・防止して、電解質の耐久性を向上させるものである。
特開2004−175997号公報
しかしながら、特許文献1では触媒層自体に耐酸化性の高分子化合物を導入させるという構造をとるため、カソード触媒層中にある白金触媒にもこの抗酸化作用が働いて、触媒上で本来起こるべきプロトンと酸素との反応をも阻害してしまう可能性があるという問題がある。上記問題に加えて、特許文献1に開示されるホスホン酸化−ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)は、電解質、特にフッ素系高分子電解質と均一に混合することが困難であるために、十分な膜強度が達成できないおそれがある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、電解質膜の劣化の原因である過酸化水素の発生原因の一である酸素のクロスリークを有意に抑制・防止することにより電解質膜の耐久性が向上した電解質膜、及び当該電解質膜を有する固体電解質燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記特許文献1に記載されるような触媒層中で起こる過酸化物ラジカルによる酸化反応を予防・防止するのではなく、当該酸化反応を引き起こす原因である酸素のアノード側へのクロスリークを有意に抑制・防止できる手段について鋭意検討を行なった結果、電解質膜中に酸素捕集材、特に酸素との親和力のある金属/金属化合物を配合すると、カソード側からクロスリークした酸素がアノード側で電解質膜の劣化の原因となる過酸化水素を形成する前に、酸素を効率よく捕集でき、これにより電解質膜の劣化を有意に抑制防止できることを見出した。また、本発明者らは、上記酸素との親和力のある金属/金属化合物は炭化水素系電解質膜に適用することによって、従来耐酸化性が低いという理由で他の多くの利点があるにもかかわらず、使用が困難であった炭化水素系電解質膜を燃料電池用電解質膜、特に固体高分子型燃料電池用電解質膜として好適に使用できることをも見出した。上記利点に加えて、本発明者らは、上記方法では酸素捕集材の添加量の制御が容易であり、この添加量によって電解質膜の高分子成分と酸素捕集材との結合が調節できるため、高分子の流動性を抑制でき、電解質膜の機械的強度を向上することも可能であることを見出した。上記知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、電解質膜中に酸素捕集材を配合してなることを特徴とする燃料電池用電解質膜により上記課題を解決する。
本発明によれば、電解質膜中に酸素捕集材が配置されるため、電解質膜の劣化を引き起こす過酸化水素を形成する要因である酸素がカソード側からアノード側にクロスリークするのを有意に抑制・防止でき、これにより電解質膜の耐久性を有意に向上することができる。
本発明の第一は、電解質膜中に酸素捕集材を配合してなることを特徴とする燃料電池用電解質膜を提供するものである。本発明によると、固体電解質燃料電池において電解質膜中に酸素捕集材が分散されているので電解質膜中を透過する酸素を効率よく捕集し、酸素が水素と反応して電解質膜の劣化を引き起こす過酸化水素が形成されるのを有効に抑制・防止することができる。さらに、酸素捕集材の電解質膜への添加量を調節することによって、電解質膜の高分子成分と酸素捕集材との結合を向上させて、高分子成分の流動性を抑制するので機械的強度を向上することができる。また、酸素捕集材は、カソード側のガス供給口に特に多く配合することが好ましい。これは、カソード側のガス供給口側では酸素が出口側に比して大量に存在し、このような場所では酸素のアノード側へのクロスリーク、即ち電解質膜の劣化が起こりやすいため、このような場所に酸素捕集材を重点的に配合することによって電解質膜の劣化をより有効に抑制・防止できるからである。
本発明において使用できる酸素捕集材の材質は、電解質膜中の酸素を効率よくトラップできるものであれば特に制限されないが、酸素との親和力(結合力)のある金属を含むことが好ましく、より好ましくは酸素との親和力(結合力)のある金属である。酸素捕集材に酸素との親和力(結合力)が強い金属材料を用いることにより、容易に酸素の捕集を行ない、酸素の膜中のガス(特に、酸素)透過を抑制できるからである。このような金属としては、酸素の捕集能を有する金属であれば特に制限されず公知の金属が使用できる。具体的には、周期表の第3族〜第5族の遷移金属が好ましく使用できる。より好ましくはバナジウム(V)、チタン(Ti)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)であり、特に、バナジウム(V)、チタン(Ti)及びイットリウム(Y)が好ましく使用される。これらの金属は、酸素捕集能に優れるからである。また、上記金属は、一種を単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
本発明において、上記した金属の形状は、特に制限されず、一般的な球状、略球状、楕円状だけでなく、直方体や板状、繊維のような直線形状、枝分かれした分岐形状なども用いることができるが、球状、略球状が好ましい。金属が球状である場合の大きさは、特に制限されないが、電解質膜の孔の中に入る大きさであることが好ましく、金属の平均粒径は、より好ましくは10〜500nmである。
さらに、本発明において、酸素捕集材が上記したような金属を含む場合の酸素捕集材の形態は、特に制限されないが、例えば、上記金属に加えて、他の公知の酸素捕集材、周期表の第3族〜第5族の遷移金属を含む金属合金を含む形態が使用できる。この際、金属の含量は、酸素捕集材の総質量に対して、50〜95質量%が好ましい。
本発明において、酸素捕集材は、図2に示されるように電解質膜中に均一に分布するよう配合されても、あるいは酸素捕集材が電解質膜中に不均一に分布するよう配合されてもいずれでもよい。好ましくは、酸素捕集材の添加量に、カソード側のガス供給口から出口の方向に向かって勾配がつけられている、より好ましくはカソード側のガス供給口から出口の方向に連続的にまたは段階的に酸素捕集材の添加量が減少するよう、酸素捕集材が配合される。これは、カソード側のガス供給口での酸素の量が、出口側に比べて多い、即ち、酸素のクロスリーク量が多いことを勘案したものであり、このように酸素濃度に応じて添加量を変えて酸素捕集材を配置することによって、酸素がクロスリークして水素と反応を起し易い(電解質膜の劣化が起こりやすい)位置に、重点的に多くの酸素捕集材を配置でき、酸素をより効率よく捕集して、電解質膜の劣化をより有効に抑制・防止できる。その一例としては、図3及び4に示される場合があり、すなわち、カソード側のガス供給口から出口の方向に向かって段階的(当該図では、4段階)に分けて勾配がつけられている場合がある。
本発明において、酸素捕集材の電解質膜内での配合量(添加量)は、電解質膜での酸素のクロスリークを十分抑制・防止できる量であれば特に制限されない。例えば、酸素捕集材が電解質膜中に均一に分布するよう配合される場合の、酸素捕集材の添加量は、電解質膜に対して、2400〜8000ppmとなるような量である。また、酸素捕集材がカソード側のガス供給口から出口の方向に向かって電解質膜面方向に対して連続的に減少する場合の、酸素捕集材の配合量は、電解質膜の大きさや酸素捕集剤の種類などによって異なるが、カソード側のガス供給口及び出口での酸素捕集材の配合量が、電解質膜に対して、それぞれ、6400〜8000ppm及び4800〜6400ppmとなり、かつ電解質膜面(カソード側のガス供給口から出口の方向に平行な長手)方向1mm当たり、32〜64ppm減少していくような量であることが好ましい。さらに、酸素捕集材がカソード側のガス供給口から出口に向かって段階的に減少する場合の、酸素捕集材の配合量は、電解質膜の大きさ、酸素捕集剤の種類及び減少させる回数などによって異なるが、例えば、図3及び4に示されるように、酸素捕集剤の添加量を4段階で変化させる場合には、酸素捕集材の配合量を、カソード側のガス供給口から出口方向に、電解質膜に対して、それぞれ、7200〜8000ppm、6400〜7200ppm、6400〜5600ppm、及び4800〜5600ppmとなるように、段階的に減少させることが好ましい。なお、上記では4段階の場合について述べたが、本発明では当該段階数に限定されるものではなく、カソード側のガス供給口及び出口での酸素捕集材の配合量が上記好ましい範囲として適宜その所望の段階数で減少させていけばよい。酸素捕集材を減少させる好ましい段階の回数は、2〜20回である。また、上記したように、酸素捕集材の配合量をカソード側のガス供給口から出口方向に向かって段階的に変化させる場合の各部分の長さ(容積)は、特に制限されず、各部分の長さ(容積)がほぼ同一であっても、あるいは例えば、カソード側のガス供給口に近い方での部分の長さ(容積)が大きくなるようにするなど、各部分の長さ(容積)が相互に異なるものであってもよい。
または、酸素捕集材が電解質膜中に不均一に分布する場合には、酸素捕集材は、酸素捕集材の添加量に、カソード側からアノード側の方向に向かって勾配がつけられている、より好ましくは酸素捕集材の添加量がカソード側からアノード側の方向に連続的にまたは段階的に減少するよう、酸素捕集材が配合されることもまた好ましい。これは、酸素はカソード側からアノード側にクロスリークする、即ち、電解質膜のカソード側の方がアノード側より酸素の存在量が多いため、カソード側の電解質膜部分に酸素捕集材を多く配合して、クロスリーク直後に酸素を捕集することによって、酸素をより効率よく捕集して、電解質膜の劣化をより有効に抑制・防止できる。その一例としては、図5に示される場合があり、すなわち、カソード側からアノード側の方向に向かって段階的(当該図では、4段階)に分けて勾配がつけられている場合がある。
上記場合において、酸素捕集材の電解質膜内での配合量(添加量)は、電解質膜での酸素のクロスリークを十分抑制・防止できる量であれば特に制限されない。例えば、酸素捕集材がカソード側からアノード側に向かって連続的に減少する場合の、酸素捕集材の配合量は、電解質膜の大きさや酸素捕集剤の種類などによって異なるが、カソード側に最も近い及びアノード側に最も近い電解質膜部分における酸素捕集材の配合量が、電解質膜に対して、それぞれ、6400〜8000ppm及び4800〜6400ppmとなり、かつ電解質膜の厚み方向1μm当たり、500〜1000ppm減少していくような量であることが好ましい。さらに、酸素捕集材がカソード側からアノード側の方向に向かって段階的に減少する場合の、酸素捕集材の配合量は、電解質膜の大きさ、酸素捕集剤の種類及び減少させる回数などによって異なるが、例えば、図5に示されるように、酸素捕集剤の添加量を4段階で変化させる場合には、酸素捕集材の配合量を、カソード側からアノード側方向に、電解質膜に対して、それぞれ、7200〜8000ppm、6400〜7200ppm、6400〜5600ppm、及び4800〜5600ppmとなるように、段階的に減少させることが好ましい。なお、上記では4段階の場合について述べたが、本発明では当該段階数に限定されるものではなく、カソード側のガス供給口及び出口での酸素捕集材の配合量が上記好ましい範囲として適宜その所望の段階数で減少させていけばよい。酸素捕集材を減少させる好ましい段階数は、2〜20回である。また、上記したように、酸素捕集材の配合量をカソード側からアノード側の方向に向かって段階的に変化させる場合の各層の長さ(容積)は、特に制限されず、各層の長さ(容積)がほぼ同一であっても、あるいは例えば、カソード側に近い層になるほど長さ(容積)が大きくなるようにするなど、各層の長さ(容積)が相互に異なるものであってもよい。
本発明で使用される電解質膜は、特に制限されず、フッ素系電解質膜、炭化水素系電解質膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリフッ化ビニリデン(PVDF)などから形成された多孔質状の薄膜にリン酸やイオン性液体等の電解質成分を含浸した膜など、一般的に市販されている固体高分子型電解質膜、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜、多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などの公知の膜が使用できる。このうち、フッ素系電解質膜としては、特に制限されず、公知のフッ素系電解質膜が使用される。具体的には、デュポン社製NAFION(登録商標)、旭硝子社製FLEMION(登録商標)、旭化成社製ACIPLEX(登録商標)等に代表されるパーフルオロスルホン酸膜、ダウケミカル社製のイオン交換樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体樹脂膜、トリフルオロスチレンをベースポリマーとする樹脂膜などが挙げられる。また、炭化水素系膜としても、特に制限されず、公知の炭化水素系電解質膜が使用される。具体的には、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂系膜、リン酸などの無機酸を炭化水素系高分子化合物にドープさせたもの、一部がプロトン導電体の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン導電体などが使用されるが、耐酸化性、低ガス透過性、製造の容易さ及び低コストなどを考慮すると、スルホン酸基を有する炭化水素系膜が好ましい。このようなスルホン酸基を有する炭化水素系膜としては、特に制限されず、公知のスルホン酸基を有する炭化水素系電解質膜が使用されるが、例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(トリフルオロスチレン)スルホン酸、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリビニルスルホン酸ポリマーの少なくとも一つのアイオノマー、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルホキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン、ポリフェニルキノキサリン、ポリアリールケトン、ポリエーテルケトン、ポリベンザゾール及びポリアラミドポリマーなどの芳香族ポリマーの少なくとも一つがスルホン化されたアイオノマーなどが適用できる。ここでいう「ポリスルホンポリマー」には、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン及びポリフェニレンスルホンポリマーの少なくとも一つが含まれる。また、ここでいう「ポリエーテルケトンポリマー」には、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン−ケトン、ポリエーテルエーテルケトン−ケトンおよびポリエーテルケトンエーテル−ケトンポリマーの少なくとも一つが含まれる。これらのうち、耐酸化性に優れる、ガス透過性が低い、製造が容易である及び安価であるなどの点から、炭化水素系電解質膜、より好ましくはスルホン酸基を有する炭化水素系電解質膜が好ましく、特にポリエーテルエーテルケトンがスルホン化したアイオノマー(S−PEEK)、が好ましく使用される。
また、本発明の電解質膜の厚みは、耐久性等の所望の特性、酸素捕集材の添加量などを考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは10〜100μm、より好ましくは20〜70μm、特に好ましくは30〜50μmである。酸素捕集材の添加しやすさ、製膜時の強度や燃料電池作動時の耐久性の観点から20μm以上であることが好ましく、燃料電池作動時の出力特性の観点からは50μm以下であることが好ましい。
本発明の電解質膜の製造方法は、電解質膜中に酸素捕集材が適当量配合できる方法であれば特に制限されず、公知の方法が同様にしてあるいは適宜組み合わせて使用できる。具体的には、(ア)酸素捕集材をゾル−ゲル法を用いて電解質膜中に配合する方法;(イ)電解質を上記したような酸素捕集材と混合した後、膜状に成形する方法などが使用できる。これらのうち、(ア)の方法が好ましい。酸素捕集材の添加、分散をゾル−ゲル法により行なうことにより、電解質膜中に均一に酸素捕集材が分布でき、添加面積や添加濃度などの制御が容易であり、かつ安価に製膜ができるからである。
以下、(ア)ゾル−ゲル法により酸素捕集材を電解質膜中に配合する方法の好ましい態様について詳述する。すなわち、下記反応に示されるように、金属アルコキシドを溶媒に溶解、分散または懸濁した後、溶液、分散液または懸濁液中の金属アルコキシドまたはその塩を金属水酸化物の形態に加水分解反応して、金属水酸化物を含む溶液(好ましくは水溶液)を得、この溶液中に電解質膜を浸漬して電解質膜に溶液を吸収させ、さらに当該溶液中の金属水酸化物を脱水して、金属酸化物とした後、還元雰囲気下において還元反応を行なって、電解質膜中に酸素捕集材を分散させることによって、本発明の電解質膜が得られる。即ち、本発明の第二は、(i)金属アルコキシドまたはその塩を溶媒に溶解、分散または懸濁して、金属アルコキシドまたはその塩の溶液、分散液または懸濁液を調製する段階、(ii)前記金属アルコキシドまたはその塩を加水分解して、金属水酸化物を含む溶液を調製する段階、(iii)前記(ii)で調製された溶液を電解質膜にしみこませる段階、(iv)前記(iii)で得られた電解質膜中の金属水酸化物を脱水する段階、(v)前記(iv)で得られた電解質膜を還元雰囲気下において還元反応を行なって、電解質膜中に酸素捕集材を分散させる段階を有する、燃料電池用電解質膜の製造方法である。本発明の方法によると、金属水酸化物は溶液中に均一に分散でき、この状態で電解質膜が溶液を吸収するため、金属水酸化物は膜中に均一に分布できる。このため、このような状態で脱水反応及び還元反応を行なった後の電解質膜中の酸素捕集剤(金属)は、膜中に均一に分布することができる。
上記工程(i)において、金属アルコキシドは、目的とする酸素捕集剤としての金属の形態によって適宜選択される、即ち、下記式(1)で表わされる。
上記式(1)において、Rは、水素原子または一価の置換基を表わし、R’は、一価の置換基を表わす。この際、R及びR’は、同一であっても若しくは相互に異なるものであってもよく、また、R及びR’が複数個存在する場合には、複数個のR及びR’は、それぞれ、同一であっても若しくは相互に異なるものであってもよい。R及びR’を表わす一価の置換基としては、金属化合物が酸素を効率よくトラップできるものであれば特に制限されないが、具体的には、炭素原子数1〜5の直鎖、分岐鎖及び環状のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル及び2−エチルヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル;アラルキル基、例えば、ベンジル、2−フェネチル;アリール基、例えば、フェニル、ベンジル、フェネチル、o−,m−若しくはp−トリル、2,3−若しくは2,4−キシリル、メシチル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ビフェニリル、ベンズヒドリル、トリチル及びピレニル;複素環基フラン、チオフェン、ピリジン;アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、フルフリルオキシ、アリルオキシ;アリールオキシ基、例えば、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシ安息香酸及びそのエステル類(例えば、メチルエステル、エチルエステル、メトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、フルフリルエステル及びフェニルエステルなど;以下、同様)、ナフトキシ、o−,m−若しくはp−メチルフェノキシ、o−,m−若しくはp−フェニルフェノキシ、フェニルエチニルフェノキシ、ならびにクレソチン酸及びそのエステル類;アシル基;ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子);シアノ基;アミノ基;アルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、n−ブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ及びiso−プロピルチオ;グリシジル基;ビニル基などが挙げられる。上記一価の置換基は、さらに置換基を有していてもよく、この場合の置換基としては、ハロゲン原子、特にフッ素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基などが挙げられる。また、上記式(1)において、Mは、上記した酸素との親和力のある金属における定義と同様である。nは、1〜4、好ましくは2〜4、より好ましくは3または4、特に好ましくは4である。これらのうち、R’が炭素原子数1〜5の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、Mがバナジウム、チタンまたはイットリウムであり、nが4である、式(1)の金属アルコキシドが特に好ましい。
したがって、本発明において金属アルコキシドとしては、具体的には、バナジウム、チタン及びイットリウムの、ジメチルジメトキシド、ジメチルジエトキシド、ジメチルジイソプロポキシド、ジメチルジブトキシド、ジエチルジメトキシド、ジエチルジエトキシド、ジエチルジイソプロポキシド、ジエチルジブトキシド、ジフェニルジメトキシド、ジフェニルジエトキシド、ジフェニルジイソプロポキシド、ジフェニルジブトキシド等の、Rが炭素原子数1〜5の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアリール基であり、R’が炭素原子数1〜5の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、Mがバナジウム、チタンまたはイットリウムであり、nが2である、式(1)の金属アルコキシド;バナジウム、チタン及びイットリウムの、メチルトリメトキシド、メチルトリエトキシド、メチルトリイソプロポキシド、メチルトリブトキシド、エチルトリメトキシド、エチルトリエトキシド、エチルトリイソプロポキシド、エチルトリブトキシド、フェニルトリメトキシド、フェニルトリエトキシド、フェニルトリイソプロポキシド、フェニルトリブトキシド、ビニルトリメトキシド、ビニルトリエトキシド、ビニルトリイソプロポキシド、ビニルトリブトキシド、3−グリシドキシプロピルトリメトキシド、3−アミノプロピルトリエトキシド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシド、3−クロロプロピルトリメトキシド、3−メルカプトプロピルトリメトキシド、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシド、アセトキシトリエトキシド、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリメトキシド、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシド等の、Rが炭素原子数1〜5の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアリール基であり、R’が炭素原子数1〜5の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、Mがバナジウム、チタンまたはイットリウムであり、nが3である、式(1)の金属アルコキシド;バナジウム、チタン及びイットリウムの、テトラメトキシド、テトラエトキシド、テトライソプロポキシド、テトラn−ブトキシド、テトラt−ブトキシド等の、R’が炭素原子数1〜5の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、Mがバナジウム、チタンまたはイットリウムであり、nが4である、式(1)の金属アルコキシドなどが好ましく挙げられる。これらのうち、R’が炭素原子数1〜5の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、Mがバナジウム、チタンまたはイットリウムであり、nが4である、式(1)の金属アルコキシドがより好ましく、特にバナジウム、チタン及びイットリウムの、テトライソプロポキシド[M−[OCH(CH3)2]4(M=V、TiまたはY)]が好ましい。
本発明では、金属アルコキシドは金属塩の形態で使用されてもよい。このような場合の金属塩としては、例えば、上記したような金属アルコキシドの、コバルト、ニッケル、マンガン、チタン、バナジウム、鉄、リチウムなどの水酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、オキシ硝酸塩、ハロゲン化物、金属錯体塩などが挙げられる。
上記工程(i)では、金属アルコキシドまたはその塩(以下、一括して「金属アルコキシド/塩」とも称する)は、溶媒中に溶解、分散または懸濁されるが、この際使用できる溶媒としては、金属アルコキシド/塩を溶解、分散または懸濁するものであれば特に制限されないが、具体的には、水、シクロヘキサノール、メタノール、エタノールや2−プロパノール等の低級アルコール、アセトニトリルなどの水と相溶性のある有機溶媒が好ましく挙げられる。これらのうち、水、2−プロパノールがより好ましく、特に2−プロパノール水溶液が特に好ましい。また、この際の溶液、分散液または懸濁液中の金属アルコキシド/塩の濃度は、得られる本発明の電解質膜中に十分量の酸素捕集材が配合できる濃度であれば特に制限されないが、好ましくは10000〜100000ppm、より好ましくは48000〜80000ppmである。この際、濃度が10000ppm未満であると、十分量の金属/金属化合物(酸素捕集材)が電解質膜中に配合できず、カソード側からアノード側への酸素のクロスリークを有意に抑制できない可能性がある。逆に、濃度が100000ppmを超えても、添加に見合うクロスリークの抑制・防止効果が認められないばかりか、逆に電解質膜の機械的強度を低下させてしまう可能性がある。
次に、上記工程(ii)では、上記(i)で得られた溶液、分散液または懸濁液中に含まれる金属アルコキシドまたはその塩を加水分解して、金属水酸化物を含む溶液を調製する。このような加水分解反応では、上記反応式に示されるように、アルコキシル部分が水酸基に変換することより起こる。なお、当該反応においては、金属のテトラヒドロキシド(上記式(2)中のnが4である場合)について述べたが、他の金属アルコキシド/塩についても同様の反応が起こる。
上記反応において、加水分解反応は、特に制限されず、公知の加水分解反応が適用できる。具体的には、工程(i)で得られた溶液、分散液または懸濁液中に酸を加えて、金属アルコキシド/塩を酸や塩基で加水分解する方法などの方法が使用できる。上記方法は、特に制限されず、公知の加水分解法が使用できるが、例えば、金属のアルコキシド/塩を単独でまたは複数混合して水−アルコール溶液に添加してゾル溶液を調製し、これに塩基性触媒または酸性触媒を添加して、塩基性触媒または酸性触媒下で加水分解・重縮合反応を行う方法用いられる。
上記方法において、アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等が挙げられる。アルコールと水の割合は、約0.5〜5倍(モル比)とするのが好ましい。工程(i)で得られた溶液、分散液または懸濁液には、必要に応じて、導電助剤、バインダなどが溶解または分散していてもよい。この際、導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、SBR、ポリイミドなどが使用できるが、導電助剤およびバインダはこれらに限定されない。上記に加えてまたは上記に代えて、ゾル溶液に、安定化剤として、ポリビニルアルコール、エタノールアミンなどを添加してもよい。前記安定化剤は、溶液に含まれる総金属イオンモル数の0.5〜3倍のモル数となるように添加するのが好ましい。また、ゾル溶液に添加する前記金属アルコキシド/塩は、水に対して、金属成分の重量が1〜40質量%、特に3〜30質量%となるように添加するのが好ましい。ゾル溶液の粘度は、特に制限されないが、電解質膜への金属アルコキシド/塩の浸透性などを考慮すると、5〜20質量%とするのが好ましい。
上記方法において、塩基性触媒としては、アンモニウム水溶液、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、などが挙げられ、pH9〜14程度のものを用いるのが一般的である。また、酸性触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などが挙げられ、pH1〜5程度のものを用いるのが一般的である。反応速度の観点からは、塩基性触媒を用いるのが好ましいが、原料を均一に反応させる点では酸触媒が好ましい。このため、必要に応じて触媒を使い分けるとよい。
このようにして調製された金属アルコキシド/塩の加水分解反応は、上記したような塩基性触媒または酸性触媒下で、20〜100℃で5〜50分間、反応を行なう方法が用いられる。
上記工程(ii)によって、金属アルコキシド/塩は、下記式(2)で表わされる金属水酸化物となる。
上記式(2)において、Rは、一価の置換基を表わす。この際、Rが複数個存在する場合には、複数個のRは、同一であっても若しくは相互に異なるものであってもよい。Rを表わす一価の置換基としては、金属化合物が酸素を効率よくトラップできるものであれば特に制限されないが、具体的には、上記式(1)に記載されたのと同様の例が挙げられる。また、上記式(2)において、Mは、上記した金属における定義と同様である。nは、1〜4、好ましくは2〜4、より好ましくは3または4、特に好ましくは4である。これらのうち、Mがバナジウム(V)、チタン(Ti)またはイットリウム(Y)であり、nが4である、式(2)の金属水酸化物が特に好ましい。
したがって、本発明において金属の水酸化物としては、具体的には、バナジウム、チタン及びイットリウムの、ジメチルジヒドロキシド、ジエチルジヒドロキシド、ジプロピルジヒドロキシド、ジイソプロピルジヒドロキシド、ジブチルジヒドロキシド、ジフェニルジヒドロキシド等の、Rが炭素原子数1〜5の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアリール基であり、Mがバナジウム、チタンまたはイットリウムであり、nが2である、式(1)の金属水酸化物;バナジウム、チタン及びイットリウムの、メチルトリヒドロキシド、エチルトリヒドロキシド、プロピルトリヒドロキシド、イソプロピルトリヒドロキシド、ブチルトリヒドロキシド、フェニルトリヒドロキシド等の、Rが炭素原子数1〜5の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアリール基であり、Mがバナジウム、チタンまたはイットリウムであり、nが3である、式(1)の金属水酸化物;バナジウム、チタン及びイットリウムの、テトラヒドロキシド等の、Mがバナジウム、チタンまたはイットリウムであり、nが4である、式(1)の金属水酸化物などが好ましく挙げられる。これらのうち、Mがバナジウム、チタンまたはイットリウムであり、nが4である、式(1)の金属水酸化物が特に好ましい。
上記工程(ii)で得られる金属水酸化物は、上記(i)の溶媒(特に水)中に完全に溶解するため、金属水酸化物は膜内を自由に移動できるため、次工程で上記工程(ii)で得られる金属水酸化物を含む溶液中に電解質膜を浸漬すると、金属酸化物は膜中に均一に分布することができる。このため、工程(ii)の電解質膜を、下記で詳述する工程(iii)の脱水反応及び(iv)の還元反応に供した後の電解質膜中には、酸素捕集材が均一に分布することができる。ゆえに、このようにして製造された電解質膜は膜全体で有効に酸素を捕集することができるのである。
次に、工程(iii)において、上記工程(ii)で調製された溶液を電解質膜中にしみこませる。この際、電解質膜中に、上記工程(ii)で調製された溶液を電解質膜中にしみこませる方法は、特に制限されないが、例えば、工程(ii)で調製された溶液中に電解質膜を浸漬する方法や、工程(ii)で調製された溶液を、電解質膜にスピンコート法などにより塗布する方法、及び電解質膜上にろ紙、不織布、多孔性の樹脂などを重ねて、工程(ii)で調製された溶液を吸収させた後にろ紙などを剥がして全体を乾燥させる方法などが使用できる。この際、電解質膜としては、上記したのと同様のものが使用できる。
上記工程(iii)において、電解質膜を、溶液中に浸漬する場合の浸漬条件は、電解質膜中に十分量の金属水酸化物がしみこめるような条件であれば特に制限されないが、例えば、電解質膜を、上記溶液中に、20〜100℃、より好ましくは40〜80℃で、10〜450分間、より好ましくは30〜300分間、浸漬するような条件が好ましく使用される。また、浸漬は、減圧、常圧または加圧下のいずれの圧力条件下で行なわれてもよいが、常圧下で十分である。
なお、上述したように、酸素捕集材の添加量を、カソード側のガス供給口から出口まで勾配をつける、より好ましくはカソード側のガス供給口から出口に向かって連続的にまたは段階的に減少させることが好ましいが、このような場合には、所定の量の金属水酸化物が電解質膜中に配置できるように、上記工程(ii)で調製された適当量の金属水酸化物を含む溶液を所定の電解質膜部分に塗布する、あるいは各電解質膜部分に関する電解質膜の浸漬回数を変えるなどの方法が好ましく使用できる。このような方法をとることによって、酸素の存在量に応じて膜中の酸素捕集材量を適宜調節でき、より少ない量でより有効に酸素を捕集することができる。
上記工程(iii)における金属水酸化物の電解質膜への添加量は、酸素のクロスリークを有効に抑制・防止できる量であれば特に制限されないが、好ましくは、上記したような酸素捕集材の配合量が達成できるような量である。
次に、工程(iv)において、前記工程(iii)で得られた電解質膜中の金属水酸化物を脱水する。これにより、上記反応式で示したように、電解質膜中に存在する金属水酸化物は金属酸化物に変換する。このような脱水工程によって、電解質膜中の金属水酸化物量を適切に調節できる。また、金属水酸化物の脱水反応を経た後の電解質膜は、溶媒が存在しないことが好ましいため、電解質膜中の溶媒を完全に除去することが好ましい。この際、脱水工程は、特に制限されず、公知の脱水工程が使用でき、例えば、減圧下/真空下で電解質膜中の溶媒を吸引する、膜に乾燥ガス(空気、窒素やアルゴンガス等の不活性ガス)を通して溶媒を蒸発させるなどの方法が使用できる。
さらに、工程(v)において、上記(iv)で得られた電解質膜を還元雰囲気下において還元反応を行なって、電解質膜中に酸素捕集材を分散させる。これによって、電解質膜中の金属酸化物は金属に変換されるが、この際、金属酸化物は膜中に均一に分布しているため、このような状態で還元された後の電解質膜中にも金属が均一に分布することができる。したがって、本発明の方法で得られた電解質膜は、膜全体で有効に酸素を捕集することができる。
上記反応において、還元反応は、特に制限されず、公知の還元反応が適用できる。具体的には、例えば、電解質膜を、5〜15容積%の水素(残りは窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス)からなる還元雰囲気中に、80〜120℃で20〜120分間、おいて、還元処理を行なう方法が用いられる。
なお、上記工程(v)で得られた電解質膜中に溶媒が残っている場合には、上記工程(v)で得られた膜をさらに乾燥してもよい。この際、乾燥工程は、特に制限されず、公知の乾燥工程が使用でき、例えば、減圧下/真空下で電解質膜中の溶媒を吸引する、膜に乾燥ガス(空気、窒素やアルゴンガス等の不活性ガス)を通して溶媒を蒸発させるなどの方法が使用できる。
上記したような本発明の電解質膜及び本発明の方法によって製造される電解質膜は、カソード側からクロスリークした酸素がアノード側で電解質膜の劣化の原因となる過酸化水素を形成する前に、酸素を効率よく捕集できる。さらに、本発明によれば、酸素捕集材の添加量を制御することもでき、これにより、電解質膜の高分子成分と酸素捕集材との結合を調節でき、ゆえに高分子の流動性を抑制できるので、電解質膜の機械的強度の向上もまた達成できる。
したがって、本発明の電解質膜は、燃料電池用膜−電極接合体に好適に使用できる。ゆえに、本発明の第四によると、本発明の電解質膜または本発明の方法によって製造される電解質膜を用いた燃料電池用膜−電極接合体(MEA)が提供される。本発明のMEAでは、固体電解質膜として、本発明の電解質膜を用いたことを特徴とするものである。本発明の固体電解質膜は、アノード側にクロスリークする前に酸素を効率よく捕集するため、電荷質膜の劣化を有効に抑制・防止できる。また、酸素捕集材の添加量を制御することにより、電解質膜の高分子成分と酸素捕集材との結合を調節でき、ゆえに高分子の流動性を抑制できるので、電解質膜の機械的強度の向上できる。ゆえに、本発明のMEAは、耐久性に優れたものとなりうる。
本発明のMEAは、本発明の電解質膜を使用する以外は、従来と同様の構造、組成及び製造方法などが適用でき、特に制限されない。以下、本発明に係る電解質膜を用いたMEAの好ましい実施態様を説明する。
MEAの構成としては、固体電解質膜の両側に、アノード側電極触媒層及びカソード側電極触媒層とが、それぞれ対向して配置された構成など、従来公知のものであれば特に制限されない。
アノード側電極触媒層及びカソード側電極触媒層は、本発明の電解質膜のそれぞれの面に触媒インクを塗布することによって製造される。この際、各触媒層を形成するのに使用される触媒インクは、電極触媒、溶媒及び電解質を含む。
触媒インクを構成する電極触媒としては、水素の酸化反応(アノード側)及び酸素の還元反応(カソード側)を触媒する作用を有するものであれば、特に限定されず、公知の触媒が同様にして使用できる。具体的には、触媒成分が導電性担体に担持されたものである。この際、触媒成分としては、水素の酸化反応(アノード側)及び酸素の還元反応(カソード側)を触媒できるものであれば、特に限定されず、公知の触媒成分が同様にして使用できるが、例えば、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、及びそれらの合金等などから選択される。なお、電極触媒として合金を使用する場合の合金の組成は、合金化する金属の種類などによって異なり、当業者が適宜選択できるが、白金が30〜90原子%、合金化する他の金属が10〜70原子%とすることが好ましい。なお、合金とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本願ではいずれであってもよい。また、触媒成分の形状や大きさは、特に制限されず公知の触媒成分と同様の形状及び大きさが使用できるが、触媒成分は、粒状であることが好ましい。この際、触媒インクに用いられる触媒粒子の平均粒子径は、小さいほど電気化学反応が進行する有効電極面積が増加するため触媒活性も高くなり好ましいが、実際には平均粒子径が小さすぎると却って触媒活性が低下する現象が見られる。従って、触媒インクに含まれる触媒粒子の平均粒子径は、1〜30nm、より好ましくは1.5〜20nm、さらにより好ましくは2〜10nm、特に好ましくは2〜5nmの粒状であることが好ましい。担持の容易さという観点から1nm以上であることが好ましく、触媒利用率の観点から30nm以下であることが好ましい。なお、本発明における「触媒粒子の平均粒径」は、X線回折における触媒成分の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径あるいは透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒成分の粒子径の平均値により測定することができる。
本発明において、上述した触媒粒子は導電性担体に担持された電極触媒として触媒インクに含まれる。この際使用できる導電性担体としては、触媒成分を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、集電体として十分な電子導電性を有しているものであればよく、主成分としてカーボンを含むことが好ましい。具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子が挙げられる。なお、本発明において「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、実質的に炭素原子からなるとは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されることを意味する。
前記導電性担体のBET比表面積は、触媒成分を高分散担持させるのに十分な比表面積であればよいが、好ましくは20〜1600m2/g、より好ましくは80〜1200m2/gとするのがよい。前記比表面積が、20m2/g未満であると前記導電性担体への触媒成分および固体高分子電解質の分散性が低下して十分な発電性能が得られない恐れがあり、1600m2/gを超えると触媒成分および固体高分子電解質の有効利用率が却って低下する恐れがある。
また、前記導電性担体の大きさは、特に限定されないが、担持の容易さ、触媒利用率、電極触媒層の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点からは、平均粒子径が5〜200nm、好ましくは10〜100nm程度とするのがよい。
前記導電性担体に触媒成分が担持された電極触媒において、触媒成分の担持量は、電極触媒の全量に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%とするのがよい。前記担持量が、80質量%を超えると、触媒成分の導電性担体上での分散度が下がり、担持量が増加するわりに発電性能の向上が小さく経済上での利点が低下する恐れがある。また、前記担持量が、10質量%未満であると、単位質量あたりの触媒活性が低下して所望の発電性能を得るために多量の電極触媒が必要となり好ましくない。なお、触媒成分の担持量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって調べることができる。
また、導電性担体への触媒成分の担持は公知の方法で行うことができる。例えば、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法が使用できる。または、電極触媒は、市販品を用いてもよい。
触媒インクを構成する電解質(固体高分子電解質)は、ポリマー骨格の全部又は一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質と、ポリマー骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系電解質とに大別され、具体的には、上記電解質膜において述べたのと同様である。すなわち、フッ素系電解質として、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、ポリトリフルオロスチレンスルフォン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーなどが好適な一例として挙げられる。また、前記炭化水素系電解質として、具体的には、ポリスルホンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニルスルホン酸等が好適な一例として挙げられる。
固体高分子電解質は、本発明の電解質膜との適合性、加工性、ガス拡散性、化学耐性などを考慮すると、フッ素系電解質を含むのが好ましく、なかでも、ナフィオンなどのフッ素系電解質が好ましく挙げられる。
さらに、本発明で使用される触媒インクを構成する溶媒としては、特に制限されず、触媒層を形成するのに使用される通常の溶媒が同様にして使用できる。具体的には、水、シクロヘキサノールやエタノールや2−プロパノール等の低級アルコールが使用できる。
本発明で使用される溶媒の量は、電解質を完全に溶解できる量であれば特に制限されないが、電解質が、溶媒中、好ましくは3〜20質量%、より好ましくは5〜10質量%の濃度になるような量である。この際、電解質の濃度が20質量%を超えると、電解質を完全には溶解せずに一部コロイドが形成される可能性があり、逆に3質量%未満であると、含まれる電界質量が少なすぎて、電解質ポリマーの分子鎖がよく絡まりあいきれずに、形成される触媒層の機械的強度が劣る可能性がある。また、触媒インクにおいて、電極触媒および固体高分子電解質などを合わせた固形分の濃度は、触媒インク中、8〜50質量%、より好ましくは10〜25質量%程度とするのが好ましい。
また、本発明の触媒インクにおいて、電極触媒は、所望の作用、即ち、水素の酸化反応(アノード側)及び酸素の還元反応(カソード側)を触媒する作用を十分発揮できる量であればいずれの量で、使用されてもよい。電極触媒が、触媒インク中、5〜30質量%、より好ましくは9〜20質量%となるような量で存在することが好ましい。
本発明の触媒インクには、電極触媒、電解質及び溶剤に加えて、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体といった撥水性高分子などが含まれてもよい。これにより、得られる電極触媒層の撥水性を高めることができ、発電時に生成した水などを速やかに排出することができる。撥水性高分子を使用する際の、撥水性高分子の添加量は、本発明の上記効果を妨げない程度の量であれば特に制限されないが、触媒インクの全質量に対して、好ましくは0.1〜2質量%である。
本発明の触媒インクは、増粘剤を含んでもよい。増粘剤の使用は、触媒インクが基材や転写用台紙上にうまく塗布できない場合などに有効である。この際使用できる増粘剤は、特に制限されず、公知の増粘剤が使用できるが、例えば、グリセリン、(EG(エチレングリコール)、PVA(ポリビニルアルコール))などが挙げられる。増粘剤を使用する際の、増粘剤の添加量は、本発明の上記効果を妨げない程度の量であれば特に制限されないが、触媒インクの全質量に対して、好ましくは5〜20質量%である。
本発明の触媒インクは、電極触媒、電解質及び溶剤、ならびに必要であれば撥水性高分子および/または増粘剤、が適宜混合されたものであればその調製方法は特に制限されない。例えば、電解質を極性溶媒に添加し、この混合液を加熱・攪拌して、電解質を極性溶媒に溶解した後、これに電極触媒を添加することによって、触媒インクが調製できる。または、電解質を、溶剤中に一旦分散/懸濁された後、上記分散/懸濁液を電極触媒と混合して、触媒インクを調製してもよい。また、電解質が予め上記他の溶媒中に調製されている市販の電解質溶液(例えば、デュポン製のNafion溶液:1−プロパノール中に5wt%の濃度でNafionが分散/懸濁したもの)をそのまま上記方法に使用してもよい。
なお、上記では、直接塗布することにより、本発明の電解質膜に、直接アノード/カソード触媒層またはガスケット層を形成する方法について述べてきたが、本発明のMEAは、転写法などの他の方法によって製造されてもよい。このような場合の製造方法は、特に制限されず、公知の転写方法が同様にしてあるいは適宜修飾を加えて使用できるが、例えば、以下のような方法が使用できる。すなわち、上記で調製したような触媒インクを転写用台紙上に塗布・乾燥して、電極触媒層を形成する。この際、転写用台紙としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シート、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート等の、ポリエステルシートなどの公知のシートが使用できる。なお、転写用台紙は、使用する触媒インク(特にインク中のカーボン等の導電性担体)の種類に応じて適宜選択される。また、上記工程において、電極触媒層の厚みは、水素の酸化反応(アノード側)及び酸素の還元反応(カソード側)の触媒作用が十分発揮できる厚みであれば特に制限されず、従来と同様の厚みが使用できる。具体的には、電極触媒層の厚みは、1〜30μm、より好ましくは1〜20μmである。また、転写用台紙上への触媒インクの塗布方法は、特に制限されず、スクリーン印刷法、沈積法、あるいはスプレー法などの公知の方法が同様にして適用できる。また、塗布された電極触媒層の乾燥条件もまた、電極触媒層から極性溶媒を完全に除去できる条件であれば特に制限されない。具体的には、触媒インクの塗布層(電極触媒層)を真空乾燥機内にて、室温〜100℃、より好ましくは50〜80℃で、30〜60分間、乾燥する。この際、触媒層の厚みが十分でない場合には、所望の厚みになるまで、上記塗布・乾燥工程を繰り返す。次に、このようにして作製された電極触媒層で電解質膜を挟持した後、当該積層についてホットプレスを行なう。この際、ホットプレス条件は、電極触媒層及び電解質膜が十分密接に接合できる条件であれば特に制限されないが、100〜200℃、より好ましくは110〜170℃で、電極面に対して1〜5MPaのプレス圧力で行なうのが好ましい。これにより電解質膜と電極触媒層との接合性を高めることができる。ホットプレスを行なった後、転写用台紙を剥がすことにより、電極触媒層と電解質膜とからなるMEAを得ることができる。
本発明によるMEAは、下記に詳述されるように、一般的にガス拡散層をさらに有してもよく、この際、電解質膜上に触媒層を形成した後、得られた接合体をさらにガス拡散層で挟持することによって、電極触媒層と電解質膜との接合後にさらにガス拡散層を各電極触媒層に接合することが好ましい。
この際、MEAに用いられるガス拡散層としては、特に限定されず公知のものが同様にして使用でき、例えば、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性及び多孔質性を有するシート状材料を基材とするものなどが挙げられる。前記基材の厚さは、得られるガス拡散層の特性を考慮して適宜決定すればよいが、30〜500μm程度とすればよい。厚さが、30μm未満であると十分な機械的強度などが得られない恐れがあり、500μmを超えるとガスや水などが透過する距離が長くなり望ましくない。
前記ガス拡散層は、撥水性をより高めてフラッディング現象などを防ぐことを目的として、前記基材に撥水剤を含ませることが好ましい。前記撥水剤としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
また、撥水性をより向上させるために、前記ガス拡散層は、前記基材上に撥水剤を含むカーボン粒子の集合体からなるカーボン粒子層を有するものであってもよい。
前記カーボン粒子としては、特に限定されず、カーボンブラック、黒鉛、膨張黒鉛などの従来一般的なものであればよい。なかでも、電子伝導性に優れ、比表面積が大きいことから、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましく挙げられる。前記カーボン粒子の粒径は、10〜100nm程度とするのがよい。これにより、毛細管力による高い排水性が得られるとともに、触媒層との接触性も向上させることが可能となる。
前記カーボン粒子層に用いられる撥水剤としては、前記基材に用いられる上述した撥水剤と同様のものが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系の高分子材料が好ましく用いられる。
前記カーボン粒子層における、カーボン粒子と撥水剤との混合比は、カーボン粒子が多過ぎると期待するほど撥水性が得られない恐れがあり、撥水剤が多過ぎると十分な電子伝導性が得られない恐れがある。これらを考慮して、カーボン粒子層におけるカーボン粒子と撥水剤との混合比は、質量比で、90:10〜40:60程度とするのがよい。
前記カーボン粒子層の厚さは、得られるガス拡散層の撥水性を考慮して適宜決定すればよい。
ガス拡散層に撥水剤を含有させる場合には、一般的な撥水処理方法を用いて行えばよい。例えば、ガス拡散層に用いられる基材を撥水剤の分散液に浸漬した後、オーブン等で加熱乾燥させる方法などが挙げられる。
ガス拡散層において基材上にカーボン粒子層を形成する場合には、カーボン粒子、撥水剤等を、水、パーフルオロベンゼン、ジクロロペンタフルオロプロパン、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒などの溶媒中に分散させることによりスラリーを調製し、前記スラリーを基材上に塗布し乾燥、もしくは、前記スラリーを一度乾燥させ粉砕することで粉体にし、これを前記ガス拡散層上に塗布する方法などを用いればよい。その後、マッフル炉や焼成炉を用いて250〜400℃程度で熱処理を施すのが好ましい。
本発明のMEAは、耐久性及び機械的強度に優れる。したがって、本発明のMEAを燃料電池に用いることにより、耐久性および発電性能に優れる燃料電池を提供することが可能となる。したがって、本発明の第五は、上述した本発明の第二のMEAを用いた燃料電池である。上述した本発明のMEAによれば、優れた発電性能を長期に亘って発揮することができる燃料電池を提供することが可能となる。
本発明の燃料電池の構造、材料などは、本発明のMEAを使用する以外は特に制限されず、公知と同様であるが、例えば、図6に示されるように、膜電極接合体(MEA)の両面にカーボンペーパーやカーボンクロス等のガス拡散層を配し、その両面にガス流路が設けられた緻密で導電性のセパレータを配してなる構造を有する。なお、図6は、アノード又はカソードの片方の極を示した構成図を簡略的に示したものである。
前記燃料電池の種類としては、特に限定されず、上記した説明中では高分子電解質型燃料電池を例に挙げて説明したが、この他にも、アルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池に代表される酸型電解質の燃料電池、ダイレクトメタノール型燃料電池、マイクロ燃料電池などが挙げられる。なかでも小型かつ高密度・高出力化が可能であるから、高分子電解質型燃料電池が好ましく挙げられる。また、前記燃料電池は、搭載スペースが限定される車両などの移動体用電源の他、定置用電源などとして有用であるが、特にシステムの起動/停止や出力変動が頻繁に発生する自動車用途で特に好適に使用できる。
前記高分子電解質型燃料電池は、定置用電源の他、搭載スペースが限定される自動車などの移動体用電源などとして有用である。なかでも、比較的長時間の運転停止後に高い出力電圧が要求されることによるカーボン担体の腐食、および、運転時に高い出力電圧が取り出されることにより高分子電解質の劣化が生じやすい自動車などの移動体用電源として用いられるのが特に好ましい。
前記燃料電池の構成としては、特に限定されず、従来公知の技術を適宜利用すればよいが、一般的にはMEAをセパレータで挟持した構造を有する。
前記セパレータとしては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、従来公知のものであれば制限なく用いることができる。セパレータは、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、それらの流路を確保するための流路溝が形成されてもよい。セパレータの厚さや大きさ、流路溝の形状などについては、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
また、各触媒層に供給されるガスが外部にリークするのを防止するために、電解質膜上の触媒層が形成されていない部位にさらにガスシール部が設けられてもよい。前記ガスシール部を構成する材料としては、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリイソブチレンゴム等のゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系の高分子材料、ポリオレフィンやポリエステル等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、ガスシール部の厚さとしては、2mm〜50μm、望ましくは1mm〜100μm程度とすればよい。
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介してMEAを複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
以下、本発明を、実施例を参照しながら、より具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例のみに限定されることはない。
参考例1
Nafion膜(登録商標、デュポン社製)、テフロン膜(Gore社製、商品名:GoreSELECT III)及びスルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(S−PEEK)膜について、水素ガスの透過度(H2・Arガスの流量:30ml)を測定した。なお、上記膜の大きさは50mm×50mmであり、厚みは30μmであった。また、水素ガスの透過度は、以下の方法に従って測定した。
Nafion膜(登録商標、デュポン社製)、テフロン膜(Gore社製、商品名:GoreSELECT III)及びスルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(S−PEEK)膜について、水素ガスの透過度(H2・Arガスの流量:30ml)を測定した。なお、上記膜の大きさは50mm×50mmであり、厚みは30μmであった。また、水素ガスの透過度は、以下の方法に従って測定した。
<水素ガスの透過度の測定方法>
図9に示されるような装置を用いて、H2ガスをWetライン、アルゴン(Ar)ガスをDryラインに導入する。この際、H2ガスは、バブラーにより所定の湿度に加湿され、マスフローコントローラーにより流量制御され、ArガスはDryのままマスフローコントローラーにより流量制御される。次に、両ガスを図10に示されるセル内に導入する。この際、セルはオーブンにより所定の温度に調温されている。これにより、加湿されたH2ガスがセル内で電解質膜を通りDryラインへと一部透過するため、Dryライン側に透過したH2およびH2Oをガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析する。なお、本測定を行なう前に、あらかじめ既知濃度の標準ガスにより校正直線を作成した。
図9に示されるような装置を用いて、H2ガスをWetライン、アルゴン(Ar)ガスをDryラインに導入する。この際、H2ガスは、バブラーにより所定の湿度に加湿され、マスフローコントローラーにより流量制御され、ArガスはDryのままマスフローコントローラーにより流量制御される。次に、両ガスを図10に示されるセル内に導入する。この際、セルはオーブンにより所定の温度に調温されている。これにより、加湿されたH2ガスがセル内で電解質膜を通りDryラインへと一部透過するため、Dryライン側に透過したH2およびH2Oをガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析する。なお、本測定を行なう前に、あらかじめ既知濃度の標準ガスにより校正直線を作成した。
上記実験における測定条件は下記のとおりである。
温度:40℃、60℃、80℃(セル温度)
湿度:30%RH、60%RH、90%RH(Wet側湿度)
流量:30、60、80、90cc/min
透過面積:3.14cm2(20mmφ)[50mm角の膜をセルに固定し、その一部(20mmφ)について測定した]
上記透過したH2ガス量から下記式に従って、透過度q(mol/mm2・sec・atm)を求め、これを、25℃、1atmで、気体1molは22.4L=22400ccとして、単位面積、単位時間、単位圧力あたりのガス透過量(cc/m2・24hr・atm)になるように換算し、この値を図7における縦軸(透過度)とした。
湿度:30%RH、60%RH、90%RH(Wet側湿度)
流量:30、60、80、90cc/min
透過面積:3.14cm2(20mmφ)[50mm角の膜をセルに固定し、その一部(20mmφ)について測定した]
上記透過したH2ガス量から下記式に従って、透過度q(mol/mm2・sec・atm)を求め、これを、25℃、1atmで、気体1molは22.4L=22400ccとして、単位面積、単位時間、単位圧力あたりのガス透過量(cc/m2・24hr・atm)になるように換算し、この値を図7における縦軸(透過度)とした。
上記式において、透過量Qは、Dryライン側に透過したH2ガス透過量であり、Dryライン側のマスフローコントローラーから求めた全流量とそのガス中のH2濃度(GCから求めたH2濃度(%))の積で求められる。また、本実験は常圧下で行なっているので、ガス圧力は、常圧である。
その結果を図7に示す。図7から、炭化水素系膜であるスルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(S−PEEK)膜は、他のフッ素系膜Nafion膜やテフロンの多孔質膜であるGoreSELECT IIIに比して、水素ガスの透過を有意に抑制している。このことから、水素に限らず酸素等のガスのクロスリークを抑制・防止するという効果を考慮すると、炭化水素系膜を電解質膜として使用することが好ましいことが示唆される。
実施例1
図8に示されるように膜中のTiの濃度が2400、4800、6400及び9600ppmになるように、Ti−〔OCH(CH3)2〕4の2−プロパノール溶液を調製した。この溶液に、窒素雰囲気中で、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(S−PEEK)膜(大きさ:100×100mm、厚さ30μm)を、室温、180分間浸漬した。所定時間浸漬した後、膜を溶液から取り出して、80℃で100分間、乾燥した。次に、この乾燥した膜を、還元雰囲気下(窒素90%水素10%)、110℃で30分間、還元処理を行ない、本発明の電解質膜を作製した。
図8に示されるように膜中のTiの濃度が2400、4800、6400及び9600ppmになるように、Ti−〔OCH(CH3)2〕4の2−プロパノール溶液を調製した。この溶液に、窒素雰囲気中で、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(S−PEEK)膜(大きさ:100×100mm、厚さ30μm)を、室温、180分間浸漬した。所定時間浸漬した後、膜を溶液から取り出して、80℃で100分間、乾燥した。次に、この乾燥した膜を、還元雰囲気下(窒素90%水素10%)、110℃で30分間、還元処理を行ない、本発明の電解質膜を作製した。
このようにして得られた膜について、それぞれ、酸素捕集効率を、以下のような方法にしたがって測定した。その結果を図8に示す。図8から、Ti濃度の増加に伴って、酸素捕集効率が上昇することが示される。これから、ゾル−ゲル法で膜内に金属アルコキシドを添加することによって、酸素補集材を膜中に均一に分散させることができ、かつ膜中に存在する酸素を効率よく捕集できることが分かる。しかしながら、Ti濃度が8000ppmを超えると、電解質膜と酸素捕集材の密着性が向上しすぎるために膜が剛直化しすぎて膜がひび割れてしまう、電気的な短絡が起こるなどの弊害が出る頻度が上がることが分かった。このため、酸素の捕集効率及び膜の機械的特性を考慮すると、酸素捕集材添加量は、金属濃度にして、4800〜8000ppmの範囲が望ましいと考察される。
<酸素捕集効率の測定方法>
まず、ゾルゲル法で酸素捕集剤の添加量を添加前後の重量差から求める。すなわち、重量計測のタイミングは、初期の重量(添加前 80℃ 100分の乾燥後)とゾルゲル法で添加後の重量(還元処理後(窒素90%水素10%)、110℃で30分間)である。なお、膜は水を吸うと重量が変わってしまうので、いずれも乾燥状態で計測した。
まず、ゾルゲル法で酸素捕集剤の添加量を添加前後の重量差から求める。すなわち、重量計測のタイミングは、初期の重量(添加前 80℃ 100分の乾燥後)とゾルゲル法で添加後の重量(還元処理後(窒素90%水素10%)、110℃で30分間)である。なお、膜は水を吸うと重量が変わってしまうので、いずれも乾燥状態で計測した。
このようにして測定された添加前後の重量差から酸素捕集剤の添加量を算出した。この際、増加した重量が酸素捕集剤(金属)の添加量となる。また、膜は100×100mm、厚さ30μmより体積が求まり、これから、酸素捕集剤の添加量(膜単位体積あたりの添加量)を算出した。
次に、金属捕集剤を添加した膜を酸化雰囲気(O2雰囲気下 80℃)で熱処理を加えて膜を酸化した。その後、膜重量を再測定して重量増加量を計測し、実際に酸素捕集剤1gあたりで捕集した酸素捕集効率を求めた。
1 MEA、
2 電解質膜、
3 触媒層、
4 ガス拡散層、
5 セパレーター
6 ガス流路、
7 ガスケット。
2 電解質膜、
3 触媒層、
4 ガス拡散層、
5 セパレーター
6 ガス流路、
7 ガスケット。
Claims (12)
- 電解質膜中に酸素捕集材を配合してなることを特徴とする燃料電池用電解質膜。
- 前記酸素捕集材は、酸素との親和力のある金属を少なくとも一種含む、請求項1記載の電解質膜。
- 前記金属は周期表の第3族〜第5族の遷移金属群より選択される少なくとも1種の金属であり、前記金属化合物は周期表の第3族〜第5族の遷移金属群より選択される少なくとも1種の金属の化合物である、請求項2記載の電解質膜。
- 前記酸素捕集材はゾル−ゲル法を用いて電解質膜中に配合される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解質膜。
- 前記酸素捕集材の添加量には、カソード側のガス供給口から出口の方向に向かって勾配がつけられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解質膜。
- 前記勾配は、酸素捕集材の添加量がカソード側のガス供給口から出口の方向に連続的にまたは段階的に減少するようつけられている、請求項5に記載の電解質膜。
- 前記酸素捕集材の添加量には、カソード側からアノード側の方向に向かって勾配がつけられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解質膜。
- 前記勾配は、酸素捕集材の添加量がカソード側からアノード側の方向に連続的にまたは段階的に減少するようつけられている、請求項7に記載の電解質膜。
- 前記電解質膜は、炭化水素系電解質膜である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電解質膜。
- (i)金属アルコキシドまたはその塩を溶媒に溶解、分散または懸濁して、金属アルコキシドまたはその塩の溶液、分散液または懸濁液を調製する段階、(ii)前記金属アルコキシドまたはその塩を加水分解して、金属水酸化物を含む溶液を調製する段階、(iii)前記(ii)で調製された溶液を電解質膜にしみこませる段階、(iv)前記(iii)で得られた電解質膜中の金属水酸化物を脱水する段階、(v)前記(iv)で得られた電解質膜を還元雰囲気下において還元反応を行なって、電解質膜中に酸素捕集材を分散させる段階を有する、燃料電池用電解質膜の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の電解質膜または請求項10に記載の方法によって製造される電解質膜を用いた燃料電池用膜−電極接合体。
- 請求項11に記載の燃料電池用膜−電極接合体を用いた燃料電池。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008132875A1 (ja) * | 2007-04-25 | 2008-11-06 | Japan Gore-Tex Inc. | 固体高分子形燃料電池用高分子電解質膜の製造方法、固体高分子形燃料電池用膜電極組立体および固体高分子形燃料電池 |
CN114614057A (zh) * | 2020-12-03 | 2022-06-10 | 丰田自动车株式会社 | 燃料电池及燃料电池系统 |
-
2005
- 2005-08-04 JP JP2005226485A patent/JP2007042491A/ja active Pending
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WO2008132875A1 (ja) * | 2007-04-25 | 2008-11-06 | Japan Gore-Tex Inc. | 固体高分子形燃料電池用高分子電解質膜の製造方法、固体高分子形燃料電池用膜電極組立体および固体高分子形燃料電池 |
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